SiCおよびSi3N4の破壊じん性におよぼす酸化の影響
芳 賀 武
1 1 7 I
1. ま え が き
セ ラ ミックスは,一般に弾性率が高 く,強度は大 きいが,一方,機械加工に より導入 され る研摩 キズ等 の影響 を著 しく受ける.従 って測定 され る強度 のば らつきが,大 であるのが一 般的である.そ こで七 ラックスの ような脆性材料では,破壊応力 α′で評価す ることは危険 であ り,き裂 の存在 に依存 しない材料特性 として,破壊 じん性
( K
tc)が用い られ ることが 多い.筆者 らは,常圧焼成 した
Si C
お よびポ ッ、トプレ‑スSl ' a N4
を大気 中酸化( 9 0 0‑1 30 0oC
で1 hr
お よび1 0 hr
の酸化) させたのち,常温で破壊 じん性K
tcをマイ クp ・インデンティ シ ョソ法1)に よ り求めた。 また表面の酸化の皮合いを観察 し, 検討を 加えた 結果を報告す る.2 .
実 験 方 法試料は市販 の
Si C・ A Typ e .Sl ' C‑ B Typ e
お よびSz ' B N4
を用いた.Sz ' C‑ A Type
はSl ' C
‑ B Ty
pe より高密度である.Si 3 N4
は焼結助材 としてY2 0
3とAl
20
3を用いたホ ッ トプ レス材である.5×5×5 0mm
の素材 よ り5×5×1 0 0mm
の試料を採取 し,すべ ての試料は ダイヤモン ド・ペース トに よる 鏡面研摩仕上げを行い,酸化実験に供 した. 酸化試料はZr
0 2粉末上 に置 き,マ ッフル炉を用い
,90 0oC,1 0 00
oC,1 1 0 0oC,1 2 0 0oC
お よび1 3 0 0oC
の5
種額 の RADIALCRACK 温度で,l hr
'ぉ よび1 0 hr
大気中に保持 し酸化 させ た.その後常温で,K
tcの測定お よび表面観察を行った.'KJCは下記の式に よ り求めた.
INDENVm0N
Fi g.1 Sc he ma t i cvi e wofi nduc e d cr a c ks
byme a nsofi nde nt a・
t i o n.
K
tc‑0・ 1 6 ・Hy・ r ・ i( C ^ / r ・ ・ ) ‑ す
‑‑・・・・・
:・・・・(1)3
ここで
,H
v は試料の真の硬 さであ り, ビッカ ース圧子に よ り試料表面 に クラックが発生 しない 荷重P
を求めた.本実験 では,
H
v は 加圧荷重1 kg
, 保持時間3 0 s e cで 1 0
点測定 し,その平均を用いた. 普/た,/
\Fi g. 1に示す ように,Cは
ビ.ッーヵース正子に よ り* 昭和58年11月 粉体粉末冶金協会,昭和58年度秋季大会に講演発表p.166
** 機枕工学科 助教授 原稿受付 昭和59年9月28日
2 長野工業高等専門学校紀要 ・第
1 5
号試料面に発生 した
4
本の クラックの長 さの平均値であ り,riは圧 こんの対角線の半長であ /\る
。
Cおよびr
.・の測定は加圧荷重1 0kg
,保持時間2 0 s e cでクラックを発生させた3 0
点の 圧 こんの平均値か ら求めた.3 .
実 験結 果
Fi g. 2
に酸化温度 とK
zcの関係を示す。 l hr酸化では, いずれの試料 も1 3 00o Cで,わ
ずかにK
tcは低 くなる.一万 10 hr酸では,酸化温度の 上昇 とともに K
LCの値は,徐々Fi g.2 Re l a t i o ns hi pbe t we e no xi d a t i o nt e mpe r a t ur ea nd f r a c t ur et o ugh ne s s .
DISTANCE FROM EDGE O.2mm 0.4rnn
(
γtDN∑)UIM 4 2 s suNH9⊃ 01山∝⊃1 UVだ‑
JL‑A XIX‑k‑ A‑x
Fi g.3 Me a s ur i ngpo i nt so ff r a c t ur e t o ughne s saf t e r ‑t he r e mov a lof o xi d e丘1 m.
に小さくなるが, 1
3 0 0oCでは, 急激にそ
の値が小さくな り,Si C
でその徴候が著 し い. 表面での酸化生成物のK
tcへの影響 を避けるため,酸化試料の表面を1 0 J
皿 研 摩 し,除去 した後,Fig. 3
に示す ように,酸 化表面 よりK
LCを0.2,0. 4
および2. 5 mm
の位置で測定 した.その結果を
Tabl elおよび Tabl e2に
示す.Sl : 3 N
4はごく表面のみ酸化の影響を受けて,いずれの温度でもK
zcが0・ 2 mm
の位置 で,小さくなっている.一方, S,・ Cは Fi g. 2の結果 と比較すると著 しく,酸化の影響を受
け易いことが別 った.低密度であるSi C・ B Typeでは,内部酸化の影響を受け ,K
LCの値 はS, ' C・ A Type
に坪べると,いずれの温度でも小さくなっている・Pho t o・ 1に示すごとく・
si C
で酸化被膜の形成が著 しく,Fi g. 2に示 した1 3 0 0oCにおける Sl ' C
のK
tc値の著 しいSiCお よびSi8N一の破壊 じん性にお よはす酸化の膨甥
Table1 FracturetoughnessofSi8N▲aftertheremovalof oxide丘1m.
xIC(Si8N.)MN一号
Table2 Fracturetough nessofSic aftertheremovalof oxide丘Im.
KIC(Sic)MNm一号
Sic‑AType
Pt10tO.1 Surfaceappearanceofsamplesoxidizedat13000C for10hr
長野工業高等専門学校紀要 ・第
1 5
号 低下と対応 していると思われる。本研究は防衛大学校機械工学教室 中村 義一教授との共同研究である.