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外国人児童と日本人児童とを結ぶ多言語活動の実践

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

外国人児童と日本人児童とを結ぶ多言語活動の実践

著者 安部 美咲

雑誌名 奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研

究」

巻 2

ページ 89‑94

発行年 2010‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10105/3042

(2)

外国人児童と日本人児童とを結ぶ多言語活動の実践

安部 美咲

Misaki Abe

奈良教育大学大学院教育学研究科教職開発専攻

School of Professional Development in Education, Nara University of Education

1.はじめに

小学校における外国語活動の導入の賛否を巡 って、これまで何度もはげしい議論が繰りかえさ れてきた。平成23(2011)年度全面実施となる学 習指導要領で高学年必修の外国語活動が決定し たにも関わらず、最近の新政府の事業仕分の中で

「英語ノート廃止」という結果が出された。事業 仕分けの中では「そもそも小学校で英語を教えな ければならないのか、中学校からでも良いのでは ないか。 」という小学校英語の必要性自体を問う 意見が出され、議論は再び混迷することとなった。

小学校英語教育に賛成する主な理由は二つ挙 げられる。一つは、小学校から英語を導入するこ とにより、英語教育が改善され日本人の英語力が 全体的に向上する(唐須2004)。端的に言えば英 語が話せる切り札になりうるという意見である。

二つ目は、英語は世界の共通語であり、英語教育 は国際理解教育につながるという考え方である (文部科学省 2003) 。

また、反対する理由として、小学校では英語で はなく母語教育に重点を置くべきだという意見 が挙げられよう(大津2005) また、小学校で英 語を週1時間程度教えたとしても限界があり英 語が使えるようにはならないと言う指摘もある (松川 2004)。さらに、英語を特別な言語として 扱うのではなく、言語や文化の多様化‑の理解を 育む教育が必要だと唱える人もいる(古石2009)。

このように、賛否両論の様々な議論が出されて いるが、経済界や保護者からの強い要望により小 学校で英語を必修化する動きは加速している(吉 村 2005)。

では、この英語教育に対する賛成派と反対派の 要請に応えつつ、言語や文化に対する寛容な態度 をも育成する方法はないのであろうか。筆者自身 は、これまで小学校における総合的な学習の時間 枠で英語を含む多様な外国語に触れる活動の実 践を行い、言語学習に対する動機付けの側面等に おいて、長期的に見て有効であることを確認して きている。本稿では、さらに多言語活動の実践の

効果を実証すべく、学校実践Ⅳ1において多言語 活動を実践した結果をまとめる。ただし、実践に 至るまで、当初言語意識教育を中心とした外国語 活動を予定していたが、学校現場の実態を知り言 語意識に複言語主義の考え方を加える必要性を 感じ、実践を変更することを余儀なくされた。こ

のことについても多少触れることとする。

2.言語意識教育

まず、多言語活動の理論的根拠について簡単に 概観していきたい。言語意識(Language Awareness)という概念である。これは1970年代 のイギリスで母語である英語教育が成果を上げ ていないという問題意識から生まれた。発端は、

母語である英語の識字率と外国語教育の低迷か らであった。言語意識には3つの意義が込められ ている(福田1997)。

言語学と言語教育の間をつなぐ場を提供する ことである。外国語教育において話し言葉が中心 の初等科教育と書き言葉が中心の中等科教育と では学習内容の差が大きく、授業についていけな い子どもが増えていた。そこで、言語意識を高め る教育を中間に位置づけ、言語について知る機会 が必要であると考えられたのである。第二に、 「言 語とは何か」 「言語能力とは何か」といった言語そ のものに対する気づきを養うことである。第三に、

母語や外国語、方言に関わらず、言語と言語をつ なぐ橋渡しとしての教科の設定である。

このように、言語に関わる様々な側面を知識と して学ぶ総合的な学習として試みられた。当時と しては注目を集めたものの正式な科目として取 り入れられることはなかった。

2. 1.日本における言語意識教育導入の必要性

言語意識‑の関心は、その後複言語主義2や複

文化主義と結びつきながら、ヨーロッパ‑と広が

っていった。最近のイギリスにおける外国語への

気付きを養う多言語言語意識モデルとして福田

(2007)は、 Dowries (2006)を紹介している。そし

(3)

安部 美咲

て、言語意識教育の枠組みで多様な言語に触れる 活動が日本の小学校でも必要だと主張する。

Downesの言語意識教育の定義と目的とは次のよ うなものである。

【学校向けの広い定義】

(1)言語の構造

(2)話すこと書くことのつながり (3)文化的な文脈の中での言語 (4)言語と地理

(5)言語と歴史 (6)言語と社会

【児童たちに言語意識教育を行う目的】

(1)コミュニケーションの現象について興味を刺激 する

(2)言語学習を文脈の中に入れ込む

(3)諸言語の領域や、なぜそんなに言語があるのか、

言語がどのように変化し発達して行くのかを 示す

(4)注意深い観察を奨励し、聴解力を養う

福田・吉村(2009)は、 Downesのモデルに基づい て、次のような日本用の多言語活動モデルを提案

している。

モデル1 :日本語指導が必要な児童生徒の母語別人 口比率の上位5言語であるブラジル・ポ ルトガル語、中国語、スペイン語、韓国 語、フイリピノ語に日本語手話を加えた

6言語を選択し、小学校中学年の総合的 な学習の時間枠の中で、年間約30時間、

2年間に亘り、多言語活動を実施する。

各言語の指導計画は約10時間で構成し、

学期ごとに1言語を扱う。なお、各言語 を学習している期間中に、当該言語の背 景となる文化的現象(地理、歴史、社会、

生活様式などを含む)を、 「調べ学習」の 題材として取り上げる。

モデル2 :小学校3年生用に中国語、韓国語、フイ リピノ語の3言語を、 4年生用にベトナ ム語、インドネシア語、タイ語の3言語 を選び、総合的な学習の時間枠で年間15 時間(各学期5時間)程度の多言語活動 を行う。その際、言語の音と文字、挨拶 などの基本表現、色、動物、果物、数字 などの語東、動物の鳴き声、歌などの中 から各時間の題材を決め、毎時間3言語 を同時に導入する。

モデル2を基に学校実践Ⅳ1で行うための計画

を練った。その際予定した言語は、英語、中国語、

韓国語、日本語の4言語であった。ところが、実 際に学校‑入った際に次の問題が浮上した。まず 新型インフルエンザによる学校閉鎖、学級閉鎖と 修学旅行の関係で多言語活動が実施できる期間 は3日間だけだった。また、私自身が配当された 学級に中国を背景とする児童Aがおり、彼と学級 児童との関係を改善する必要性が認められた。そ

のため、予定していた英語、中国語そして韓国語 の3言語から英語と中国語に限定した多言語活 動を実施することを決意した。

3.学校実践Ⅳにおける実践研究

平成21(2009)年10月より一ケ月間、天理市の 公立小学校6年3組おいて外国人児童と日本人 児童とを結ぶ多言語活動の実践研究を行った。 3 組には外国人児童は在籍していないが、中国人の 母親を持つ男子児童Aがいた。学級の児童らは児 童Aの母親が中国人であることを知っている。

しかし、学級内では中国や中国語について触れ る機会はほとんどない。また、外国語活動では英 語活動が主となるため、学級児童の多くが外国語

‑英語という考えが強く、中国語に対する関心は 薄い。児童Aの目の前で「中国語は勉強しても意 味がない。」という児童もいた。一方の児童Aも、

特別支援教育が必要な児童で日本語と中国語の 両方にコンプレックスを持っている。児童Aは

「僕は中国語が読めない。話も少ししかできない。

お母さんから『お前が中国人の子どもならもっと 文字が読めるのに』と言われた。中国語は難しい。

でも日本語も難しい。」と語った。

筆者は児童Aの中国語に対する意識はもちろ ん、学級の児童らが、身近に存在する学習資源と 言える中国語を認識できる授業にしたいと思い

ながら、実践に臨んだ。そのため、授業では児童 にとって身近な外国語である中国語と英語を使 った多言語活動を3時間連続して行った。結果、

児童の意識や態度の点で次のような変化が見ら れた。

4.授業設計について

本多言語活動を実施するにあたり、 DVD教材

『複言語活動のすすめ』 (吉村 2009)より中国 語を学習言語として選択し、英語学習と組み合わ せ計3時間の授業計画を立てた。

天理市立小学校では2週間に一度、カナダ出身

のALTが小学校を訪問し担任の先生と共に英語

活動を行っている。 6年生はこれまで、英語以外

の言語について触れる機会は無かったという。そ

こで、児童にとって身近な教材である英語ノート

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外国人児葺とrl本人児童とを結ぶ多言語活動の実演

からいくつかの活動を英語と中国語の両方を交 えて実施し、事前と事後に意識を計るためのアン ケートを行ったO

【表1】 授業設計 (全3時間)

時 敬

指 導 内 容 所 動

1 中 国 語 につ . 言語 意 識 に関 す る事 前アンケー ト いて知 ろう.:. .中 国 語 ケイズ

2 中 N nft の数 .英 語 と小同 語 の 1 か ら2 0 字 を声 にl¥¥

して言 って み ようB

.中 国 語 と英 語 の数 字 ビンゴ

3 ー 川* l語 の敢 . 言 語 意 識 に 関 す る事後 ア ンケ 】 ト fJj 練 蝣 # ?をし . 日本 語 、小 同 語 、英語 できらきら星

よう仁 を歌 う

4.1.事前と事後のアンケート結果について 多言語活動は10月26日から修学旅行の前日 28 日までの3日間、連続して行った.;また、事 前と事後に言語に対する意識アンケートを実施

した。アンケートの項目は以下の6つである。

日)あなたの知っている外同語を答えてください (2)陛界にたくさん言語があることはいいことで

ある

(3)英語をもっと勉強したいと思う (4)日本語をもっと勉強したいと思う (5)新しい外国語を勉強してみたい

(6)H営生活で日本語、英語以外の言語を見聞きし たことがありますか

4.1.1. 「あなたの知っている外国語を答えて ください」について

多言語活動を実施する中で、質問「ぁなたの 知っている外国語の名前を答えてください̲

(【図1】参照)に対して、児童は知っている 外国語を複数記述することができる.‥.まず、

事前と事後とで中国語と答えた児童の変化に 注目したい.‥.事前では、外国語として中国語 と答えた児童は33人中16人であった.:児童 の多くは男子児童Aの言語である中国語を外 国語として認識していなかったのではないだ ろうかこ.多言語活動で中国語を取り上げるこ

とにより、中国語と答える児童が32名に増加

したこ.

授業の中で紹介したのは中国語だけであっ たが、事後のアンケートでポ!レトガ/レ語やス

ペイン語などの外国語の名前を書く児童も増 加した点である(.

また、アンケートを行っている際、児童か ら「日本語も言柴だから、アンケートに書いて もいいですかC. 」という質問があった=.筆者は

「日本語は外国ではない と答えた。しかし、

どうしても日本語と児童に対しては、書いて も良いと許可をしたt̲,すると、 13名の児童が アンケートに日本語と書き込んだのであるO 多言語活動を通じて英語を含む多様な言語に 触れること言語に対する気付きにつながる可 能性を感じたC.

【図1】世界にたくさん言語があることはいいこと である

4.1.2. 「世界にたくさん言語があることはい いことである」について

この質問は言語の多様性に対する児童の意 識について調べた項目である「世界にたくさ

ん言語があることはいいことである」という 質問項目の事前と事後との回答をt検定(対 応)コで処理した結果、有意差が見られた(【図 2】参照)。外国語とL/C英語と中国語だけで 他の外国語を扱うことはなかったものの、多 言語活動を行うことで言語に対して寛容な態 度が少なからず生まれ、世界の言語に対して 意識の変化した可能性がある=.

t 検 定

統 計 iォ: t 3 . 2

自 巾 度 3 2

両 側 ll} 肺 0 . 0 0 3 1 * * 片 側 P 肺 0 . 0 1〉1 .3 * *

(5)

'it割 美咲

4.1.3 「英語をもっと勉強したいと思う」に ついて

外国語活動を実施するにおいて、保護者か らの要望が特に強い英語に対する意識を調べ た r英語をもっと勉強したいですか」に対す る事前アンケートでは全体の52% (17名)の 児童が英語をもっと勉強したいと回答してい る(【図3】参照)こ.その後、多言語活動を行 った事後アンケートでは76% (25名)になっ た,̲.そして、英語を全く勉強したいと思わな いと答えていた児童数が0%になった=.

多言語活動を実施することで学習意欲が向 Lすることは言語の多様化・児童生徒の多様 化が田本以上に進行しているヨーロッパ諸国 の研究でも調査されている(Perregaux 2004)r;i 少なくとも、英語と英語以外の外国語を外国 語活動で行うことで児童の学習意欲が低下す ることはなかったr̲,

検定の結果からも、有意差を示す数値が出て おり多様な外国語に触れる学習は言語に対す る気付きを促すということがわかった。今回 は、 DVD教材『複言語活動のすすめ』を授業 の中で取り入れたl..映像と音声を通して外国 語に触れる活動が効果向上につながったので はないだろうか=.

L'J. j^^^^^^^^^^^^^B. 」 Fコ

‑ ヽ t TII.'.*   ・I      ・ 一

) .       ユ 0

t検 定

統 計 旦 ‥ t 3.9456

自 由 度 32

両 側P値 0.0004 **

片 側P値 0.0002 **

【図3】英語をもっと勉強したいと思う 4.1.4. 「日本語をもっと勉強したいと思う目 について

ほとんどの児童にとって母語である日本語 に対する意識を調べたC アンケート結果から は『日本語をもっと勉強したい』という項目 に有意差は見られなかった(【図4】参照), 有意差は確認されなかったものの、割合だけ を見ると「日本語をもつと勉強してみたい。 」 と思った児童は増加傾向にある,J という質問 項目に対してF思うJ「少し思う」と答えた児童 は事前では75% (24名)、事後では85% (29

名)となったl‥l

多様な言語に触れる中で日本語を言語と して意識するようになったのではないだろう か,̲1実践での反省点として、授業実数の関係 もあり、日本語、中国語、英語等と比較し紹 介することができなかったことが挙げられるE.

t.検 定

統 計 量 :t. 1 . 6 7 7 3

自 由 度 3 2

両 側 P 値 0 . 1 0 3 2 片 側 P 値 0 . 0 5 1 6

【図4】日本語をもっと勉強したいと思う 4.1.5 r新しい外国語を勉強してみたい」に ついて

質問項田、 「新しい外国語を勉強してみたい ですか」は児童らが英語以外の言語に対して 意識したことがあるのか、学習したいと考え たことがあるのかを調べたこ.多言語活動終了 後、事前と事後のアンケート比較を行‑‑)た (【図5】参照){1新しい外国語を学びたいと いう児童が45% (14名)から55% (17名) に増加した,̲.

ただし、こちらでも有意は認められなかったLII 反省点として、英語と中国語以外の言語を授 業の中で扱わなかったことが挙げられるO ま た、児童からは英語以外の言語を学ぶという ことに対してイメージが持ちにくいようだ.̲.

また、英語以外の言語は勉強しても意味がな いのではと考えている児童もいたが全体的に 新しい言語に対する学習意欲は向上したと言

えるのではないだろうかt̲,

t 検 定

統 計 量 :tー 1. 2 2 7 9

自 由 度 3 2

両 側 P 値 0 . 2 2 8 4 片 側 P 値 0 . 1 14 2

【図5】新しい外国語を勉強してみたい

(6)

外国人児葺とrl本人児童とを結ぶ多言語活動の実演

4.1.6. 「日常生活の中で日本語、英語以外 の言語を見聞きしたいことがありますか」に ついて

質問の意図は、もっとも身近な外国語であ る中国語に気付くことであったこ.授業で中国 語をあつかったことで認知度があがったのだ と考えられる(【図6】参照).= また、有意差 が認められたことも児童らの意識が少しでも 教室内の外国語に向いたと可能性がると言え るだろう。

授業の中では中国語しか扱わなかったが韓 国語について知りたい、身近に韓国人の知り 合いがいるといった意見が児竜の側から出る

ようになった。

容認      ET3

リt*ti        ∴こい    。 qlこい

・ I V   蝣▼ .I      ▼ 日.

I.検 定

統計 量 ‥ t. 2.94 12

自由度 32

両側 P 値 0.0060 **

片側 P 値 0.0030 **

【図6】日常生活の中で日本語、英語以外 の言語を見聞きしたことがある 4.1.7.言語に対する意識の事後比較

「中国語をもっと勉強してみたい」という アンケートの問いは事後のアンケートにのみ 提示した。 「英語をもっと勉強したい(事後)」

l日本語をもっと勉強したい(事後白1新し い外国語を勉強してみたい(事後)Jの3つの 結果を比較する.ニそれぞれの質問に対して1思

う」と「少し思う」と答えた児童はどの言語 を比べても大きな差は見られないt̲]全体の 80%以上の児童が言語を勉強したいと答えて いる

特に、 r英語をもっと勉強したい」と答えた 児童数の増加である 小学校における英語活 動の問題は英語に限定した外国語学習を行う

と高学年になるにつれT、英語に対する学習 意欲が低下するという報告がある(西中1996)。

多様な外国語に触れる活動を行うこ.とで、全 体的な言語に対する意識の高まりが期待でき るだろう,̲1

和■一日I(柑fL‑いほ.‑ 'i‑maiM打ち柵1り>/.‑l、′

∴an       ∴白      地

・*・・'..'.'  a* 蝣レ*‑蝣'・        ・りl ‑.  llー 蠎I ¥.

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【図7】言語に対する意識の事後比較 5.結論

外国人児童と日本人児竜とを結ぶ活動を終え、

わずか3時間であっても、英語と中国語との多言 語活動により、児竜の意識や態度の点で次のよう な変化をもたらすことが可能であることがわか

ofc.

日)世界の多様性についての知識が増える (2)言語の多様性に対する肯定的な態度が喚起

する

(3)言語に対する学習意欲が高められる (4)日常生活で日本語、英語以外の言語に対す

る知識が増える

以上の多言語活動による意識の変化について はヨーロッパ諸外国で実践されている.,日本でも 実践できる可能性があると言えようr‥l

今後の課題は3点である.:まず、英語以外の言 語を授業の中で取り扱うに当たって‑保護者の理 解を得ることが先決だ.:多くの保護者が英語活動 の推進を希望していることを踏まえ、外国語活動 の中では英語に触れる活動を触り入れていく必 要があるだろうrI.次に、男子児童Aのようなバイ

リンガル児童の言語に対する理解と支援である.:

日本語能力は児童Aにとって将来に関わる問題 である また母親の言語である中国語での支援も 必要に応じて行うことも課題といえるだろうO最 後に、多言語活動を実施後の学級の児童らの意識 が向上した後、維持することも視野に入れていき たいL̲,通常、短期間での実践で意識の向上が見ら れる機会が多いが、長期間で続けた場合に児童ら の言語に対する意識を高められるかが課題であ

るO

(7)

安部 美咲

6.謝辞

本稿作成にあたり、担当教諭の松川利広教授と 吉村雅仁教授から熱心なご指導いただきました。

また本研究に際し、貴重な授業時間を提供して いただいた、天理市立小学校の先生方に深く感謝 いたします。

皆様‑の感謝の気持ち、御礼申し上げたく謝辞 に代えさせていただきます。

1 )本大学院では4つの実践科目が設定されてい る。学校実践I 、 Ⅱはそれぞれ連携協力校であ る公立の小学校、中学校の取り組みに参加し、

子どもの見取りの仕方、授業・学級経営の方法、

学校の仕事を学ぶ。学校実践Ⅲでは、一ケ月間、

研究を希望する学校種の教員助手として参加 し、各場面における対応の方法を学ぶ。最後に、

学校実践Ⅳでは県境目的に沿って、学校で実践 研究を行う。 (奈良教育大学 教職大学院パン

フレット2008)

2 )複言語主義とは異なる言語話者同士が交流す る心のあり方を表す概念である。単に、複数の 言葉を学習することを目的としているのでは ない。言語をそれぞれ個別に学習するのではな く、場面に応じて自分の使える言語を増やそう とする考え方である。そのために、三つの態度 育成に重点を置いている。一つ目は、いくつか の言語を個人の体験や生活の必要性に応じて 使い分けようとする態度の育成である。次に、

4つの技能「聞く」「話す」「読む」「書く」を必要 な部分で柔軟に発揮できる能力と態度の育成 を目標としている。三つめは、個人の主体性に 応じた学習目標を掲げることで、言語学習の一 貫性を保ち、個人のレベルにあった学習ができ ること。最後に自分と相手の独自の言語を尊重 する態度の育成である。 (吉村茂(他)訳編 (2004) 「外国語学習、教授、評価のためのヨ ーロッパ共通参照枠」朝日出版社)

3) t検定(対応あり)を行うに当たって、最初 に事前事後のアンケート結果を「思う」を4点、

「少し思う」を3点、「あまり思わない」を2点そ して「全く思わない」を1点として事前事後と それぞれのアンケートにおける平均点を算出

した。

これら2つのテストの平均点の差に有意差 があるかどうかは「対応があるときのt検定」

を用いる。データに対応があるときは,単にデ ータの個数が等しいだけでなく,対応するデー タ間の差を求めることができるので,それらの 差の平均と分散から有意差を判断できる。

参考文献

大津由紀雄(2005) 「小学校での言語教育‑ 『英語 教育』を廃したあとに」 『小学校での英語教育は 必要ない! 』慶応義塾大学出版会 pp.141‑160 古石篤子(2009) 「多様で豊かな言語教育現場を

創造していくために‑モノリンガル的な発想 を超えて‑」 『解放教育』 No.500 pp. 17‑25 唐須教光(2004) 「Who's afraid of teaching

English to kids?」 『小学校で英語教育は必要 か』慶庵義塾大学出版会 pp.81‑111

西中隆、大阪市立真田山小学校編著(1996) 「子 どもと保護者の意識の様子」 『公立小学校にお ける国際理解教育・英語学習』明治図書

pp. 158‑172

福田浩子(1997) 「LanguageAwarenessの意義 一言語学と言語教育の架け橋」 『青山国際コミ

ュニケーション研究』 1号 pp.5‑18

‑(2007) 「複言語主義における言語意識教育‑イ ギリスの言語意識運動の新たな可能性」 『異文 化コミュニケーション研究』 19 pp.101‑119 福田浩子、吉村雅仁(2009) 「言語意識教育一多言 語・多文化に開かれたリテラシー教育を目指し て」 『複言語・複文化主義と言語教育予稿集』

リテラシーズ研究集会 pp.104‑109

松川増子(2004) 「小学校英語活動の現在から考 える」 『小学校で英語教育は必要か』慶鷹義塾 大学出版会 pp.81‑111

文部科学省(2003) 「『英語が使える日本人』の育 成のための行動計画」

http://www. e‑jes. org/03033102. pdf (参照

2010. 1.10)

吉村雅仁(2005) 「多言語・多文化共生意識を育む 小学校英語活動の試み」 『国際理解教育』第36 号 pp.186‑196

‑ (2009) 『複言語活動のすすめ』 (DVD教材、奈 良教育大学)

Downes, Peter (2006) "Language Awareness in UKPrimarySchools". (*2006年7月5日に ルマン工科大学で開催されたEdiLicにおける 発表資料)

Perregaux, Christian(2004) 「 『諸言語に対 して開かれた心』を育てる教育を小学校に おいて実践するための教員養成(La Forma

tion des enseignations pourune ouvertu

re aux langues a 1‑ecole primaire)」吉 島茂・長谷川弘基編集. 『外国語教育Ⅳ一 小学校教育から中学校‑‑』朝日出版社

pp. 184‑193

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