奈良教育大学学術リポジトリNEAR
本邦新生代層の花粉層序学的研究 ? 方法および 一般の問題
著者 島倉 巳三郎
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 6
号 2
ページ 57‑64
発行年 1957‑01‑31
その他のタイトル Pollenstratigraphical studies of the Japanese Cenozoic Formations
URL http://hdl.handle.net/10105/4939
本邦新生代暦の花粉管序学的研究 丁
方法および一般の問題 島 倉 巳 三 郎 (地学教室)
(昭和31年10月31日受理)
Mis油uro Sh川A】こて了抗: Pollenstratigraphical studies of the Japanese Cenozoic Formations
近時わが国に患いても花粉分析の研究が盛になってきたが,多くはその対象が泥炭地や炭層に 限られているoふつうの堆積岩,特に泥質の岩石は花粉化石を含むことが多いから,これを分離し て数量的にしらべるときは地層の詳しい研究に役立ち,花粉微層序学として確立されつ1あるO
さて花粉化石による微層序学的研究は,従来の古生物学的研究方法と異り,試料の採取に特別
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関係する。一般に花粉は枚編であるから空気,流水等によって運ばれその中に分散し,従って一 つの堆積地区の同時期堆積物中には比較的均一に存在することになるO花粉の外皮は植物質中も つとも耐久性に富むから,地層中にも保存され易いO また地質時代のごく若い泥炭層において は つE樟T一種甘言'蝣蝣::::^pf;Tft‑勉.一一・cj;t J∴王i.C、 viixしてい ことがHiij台ているので';'"
粉分析として数量的に取扱うことも有意義となっているO地層のぼあいには,果してこれらの事 柄がどの程度通用できるか十分検討する必要がある。
筆者は20数年前から石炭の地質学的ならびに古生物学的研究を行うかたわら,そのなかの花粉 胞子化石をしらべてきた。いろいろの資料があるので,まづ上にあげたような基礎的問題につい てこ1に論述し,各地の層序学的研究は第二報以下にのべる予定である。
この研究にあたり,文敵や試料その他について御援助をうけた埼玉大学遠藤隆次学長,大阪市 立大学三木茂教管,金沢大学尾崎金右衛門教授,石炭総合研究所浅井一彦所長および申柳靖夫所
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京都大学粉川昭平氏をよび帝国石油山形鉱業所探鉱課員その他の方一々に厚く御乱申し上げるO な おこの研究に要した費用の一部は文部省科学研究費によったo
l 言式料の処理方法について
泥炭や石炭を試料とする花粉分析は以前から研究されており,その方法についてもいろいろ発 表されている(3)。わが国においてはごく少量の試料を遠心沈澱管にとり, KOf壬液で処理する方 法またはシ‑ルツェ氏液で酸化した後アルカリで処理する方法等が行われているようであるが,
これでは1回に数gr以上の試料を取扱うことが困難であり,花粉の分離もうまくゆくとはかざ らす,ふつうの堆積岩には適用できない。筆者は堆積岩の処理方法について.すでに発表(W)した ことがあるが,最近D.J. JOKTESC5;がくわしくのべているO筆者の現在行っている方法の要点を のべると,
1 軟質の泥岩,砂岩,砂質泥岩,等のばあい
(1)試料20‑50<g‑γくらいを適宜に砕き,容器(100‑200cc入り三角フラスコ等)に入れ10%
NaO上Iを加え1昼夜以上放置する。
(2)必要あるならば80‑90‑Cに暖め,泥化したら水を加えて姉別し,大形の容器に移し,
C58) 島 倉 巳 三 郎
十分水を加えるo この容告別こは2‑3/入りのガラスジョッキが適当である。硬いときは 乳鉢に入れて樗く圧すと泥化するO
(3) 1昼夜静霞した後,静かに容器を傾斜して上液の1/2‑2/3くらいを流し去り,水を注加 して放置,半EI後再び上液を流し去り水を加えて放置するO この操作を数回くり返し,演 の濁りがうすくなるまでつづける。
(4)沈泥を多数の小容器(滋製茶腕が適当)に分け移し,しばらく静還した後容器の底を軽 くたたきつ」傾け,沈滞の上に植物質を浮き上がらせるO これをスポイトで吸い上げ別の 容音別こ移し,砂粒,フジツト等と分離する。こD操作も数回くり返して植物遺体を濃縮す
Bサ
(5)集めた植物遺体を遠心沈澱管(7:入れ,遠沈にかけて余分の水を除き, HCi一月NO3(1: 1 または2:1に等量の水を加える)混合液を加えてよくまぜ,数十秒間湯煎で暖め,次に遠 沈にかけて酸液を除き,数回水洗し,更にNaOfT液を力はて暖め,後数回水洗する。
(6)沈澱を小容器に移し(4)と同夜の操作で砂泥と分離し,植物遺体を小瓶に集めておくo これをスライドグラス上に滴下し,クロラールガムまたはグリセリン・ゼリーで封ずる0 秒泥の多いときはFaegri‑Iverseri3^がのべているように,スライドグラス上にのせ,め すかに傾斜して花粉粒を一端‑流し集め,これをスポイトで吸いとるか HFで処理する
とよいo
I 硬質の頁岩,泥灰質岩石のばあい
(1)適宜に砕いた講和CHC1月NOo混合液を加え数十時間放置する。石灰分の多いものは HClのみで処理するが,このとき著しく発泡することがあるから注意を要するG
(2)必要があるならば暖め, 500cc くらいの容器(ど‑カー等)に移し水を加え,傾斜法に よって数回水洗する.
(3)上芭液をすて, Na0月液を加え,以下Iのぽあいと同様に処理するe 皿 炭質貢岩等のぼあい
適宜に砕いた試料にHN03を加えて酸化し,その後アルカT)を加え前記のように処理するo HN0,,の濃度は炭化の程度によって異り,また必要に応じて暖める。褐炭質や泥炭質のもの は落ちにアルカ1)で処理するIの方法がよい。
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の方法が適当であるものをⅡの方法でやったり,またはHNOgを強くはたらかせすぎると溶失 (?)する花粉もあるらしく,したがって処理方法によって分析結果も異ることになる。加熱や封 入剤や分離剤による花粉の変形は,埋没中にうけた変形にくらべれば問題でない。
筆者が2k前用いた方法(9)によって分離した山形県新庄地方の1ルート試料数十点を,上記の
方法でやniiY「 'v̲‑'*・たが、 ‑:一蝣蝣蝣>'>出も皆さ1J‑ ‑ト士ii .'一蝣.;、なかつ ‑.1‑なかて,班l三i!J一生年がV.,]f旦一'つて ち,それが花粉化石を十分よく集めてあったならば,分析結果に大きな差はないものと思われ る。処理する試料が少なかったり,分離が不完全であったり,またたくさんの植物営養体の破片 の混ったプレパラートであったりして,花粉フロルラの一部しかしらべていないときのようなば あいには,誤差を生じ易い。これは大形化石にあいても同様である。なあ永久プi/'ぺラートは研 究後も保存し,いつでも再調査できるようにして患くことは花粉化石も含めた古生物学研究者の 義務である。永久プレパラートの封入剤として,カナダバルサムやツェグックスは耐久性にとむ が,新生代花粉化石に対しては屈折率が高すぎて後編な構造の観察に適しない。グリセリンゼリ
‑は璃河を特別のワックスでかこまなければ保存性に乏しく,筆者は不満足ながらクロラールガ ムを使用している。
2 荏">{」石の識別および命名について
花粉化石の識別は,現生植物榎本との比較患よび文献によって行う。一般に化石は埋没に至る
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でる以上,このことを考慮する必要があるD
わが国で出版された現生棺物の花粉図(4,M)は,たんにアルコホルで固定し原形質を含んだまま を示しているため,これを概準として比較することができないO古生物学にあいては筋肉や内臓 のついたままの標本と化石を比較して研究することが稀であると患なじく,花粉においても生鮮 の標本は細抱内容物を除いて化石と同じような状態にして観察することが絶対必要であるO これ には神保のHCl法‑>, ERDTMANa2)のアセトl)シスなどがあるが,後者は双子葉植物の花粉に たいしてきわめてよい方法である,その要点をのべると,
(1)試料(生鮮の花粉,荊または雄蕊)を氷酪酸と共K遠心沈澱管に入れ,沈澱させた後上 鐙の氷醇酸をのぞくo
(2)無水酷酸・硫酸(9:1)の混合液を少量滴下し,湧煎で30秒〜 1分間位あたためる。
(3)遠沈にかけ無水館酸硫酸混液を除き,沈澱を氷酷酸,次に水で洗う。
(4)沈澱をスポイトでスライドグラス上にとり,グ1)セリンゼリーまたはクロラール・ガム で対する。
花粉の化石を既知のものに固定したとき,この名称の書き方については規定がないO古生代や 中生代の胞子花粉化石では,栢物の系統と無関係に形態に基いて人為的に分類し命名している。
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らす,数馬または1科数科にわたる花粉を1属として取扱うよりほか仕方のないばあvlや, 1属 の中でも著しく異なる特徴を示すものもある。そこでいろいろの命名法が行われているわけで, R.P.WODRHOUSE(13)は植物学名の語尾に‑蝣pitysを K.POTONIEョは語尾に‑ceoipollenitesを, 中村(7′THIIヨKGART"氏等は属名の次に‑typeをつけている。花粉の化石であるという意味を持 たせて語尾にづIollenites,胞子化石のときは‑sporitesまたは‑sporaをつけ,料,属,瞳まで の同定程度によりそれぞれの名称の語尾に‑ceoiをつけるPOTONI虫のやりかたは一応合理的で
ある。
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によってそのまま植物名をつける。花粉も槌物体の一部であるから,同定が確冥ならばそのまま の栂物名をつけてもよいわけであって,筆者はこのシステムを採ること(ll)に賛成する0
3 荏粉分析の結果と地層との関係について
ナ損:1「,上、; ‑ hj 'り;こ‑.'">'*十蝣rj '‑'‑*!iニ
ーと続きの盾(部層または員層),または近接した同じ層と思われるものの各地点から採集した 試料において,花粉分析の結果がどう変化するかをしらべてみる。
粉川昭平氏によると,兵魔県西ノ宮市愛宕山に患いては下部に万地谷累層,上部に上ケ原累層が
C60)
分布し,第1図左上に示し たような露出状態になって いる。ここから採集した試 料蝣A.B^BaBs,患よびCの .5点について花粉分析を行 い,第'Sの僕なダイアグ ラムを得た。 BiBsBsはい づれもPiceaとTsugaにと みよく類似し, AはAbies とEicaceaeが多い点は異 るもTsugaにとみB群に やや近いo CはTsugaが少
く, Alnus, Polygonum,
Sapiu叫?)そのほかいろい ろの種類の花粉があり,図 で現わした以上にB群と異 るo従ってBiBgB,,は‑と 続きであり,万粕谷累層と 上ケ原累層の境はBとCの間 に設けるのが適当である。こ の結論は岩質や野外観察と矛 盾しない。
高知県の西南隅に湿原を含 む第四系がある。尾崎樽氏が (1)清水市以布利峠, (2)宿毛市 戸内汚水, (3)宿毛市戸内清水 から授集した泥炭質粘土につ いて花粉をしらべたところ, 第2図に示したような結果に なった(1)と(2)はよく類似 し. (3)はこれらと異ってい る。当地の常磐公園の試錐試 料について中村・甲藤両氏が 報告(8)して患られるが,地点 も処理方法も興るので分析値 の違うのは当然であるが,花 粉の種類はかなり一致する。
東京都千代田区大手町大手 町ビル建築工事場で,尾崎博 氏が次の深さのところから採
妨 s s 湘 s s
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島 倉 巳 三 郎
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兵庫県西ノ宮市愛宕山万地谷累暦及び上ケ原累暦e)花粉分析 A,おi,B3>B3,Cは探巣地点 1 Abies, 2 Picea, 3 Pinus,
4 Tsuga, 5 Taxodiaceae, 6 Alnus, 7 Nuphaγ, 8 Ilex,
9 Ericaceae, 10 Compositae
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1■巴訂
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7S 9 10tl I 23 4 5 1i 78 910II12
>t52R∴;‑・:.・ii,'i:二ヾ計・kilTl車第3;蝣蝣司‑蝣サIv:郎千ftIT】区Vjvi'flく手 泥淡質粘土の花粉分析図,蒜芸ル地下の試料の花粉分
1Abies,2Pkea,3Pinus,1Abies,2Pinus,3Tsuga, 4Tsuga,
7Quercu豊霊ニ6Shiia, s,9%46冒ryptomena,5 Inus,7Ul‑us
,9P。Iyg。num荒glans, 8Quer‑
Nuph‑
rax!,10Ilex,llhrkaceae.ar,llIlex,12C'ompositae.
集した試料
地下9m‑‑・(有楽町層の下底)‑ 砂質粘土
地下12m‑ ‑(東京層)‑‑・‑'・‑・・‑‑・・泥炭質粘土および塾木を含む粘土
についてしらべた結果は第3図に示してあるO地下12mの試料は当然のことながらよく一致し, 地下9mのものは前者と著しく異ってレ、る。
これらは同一または近接した同一一層にあいて,花粉軽の量的構成が類似しているばあいである が,必ずしも一つの層は同じ傾向を示すとは限らない。 ‑と続き叉は同時期の地層でありなが
ら,いろいろ変化していることも少くない。
大阪府池田市北方の丘陵地では,舌端岩層の上にのつて新生代層が分布する。千里山丘陵の大 阪層群に相当するものであるが,露頭が断続的なため詳しい対比がやりにくい。大阪学芸大学学 生大島氏が,
池田市下渋谷(試料番暑3)
〝 新稲,瀬川々床(試料番号6)
〝 中川原の東方100m (試料番号7)
〝 陽桧庵の南(試料番号9) 川西市新田の北方200m (試料番号12)
〝 東畦野の南方500m (試料番号15)
〝 西畦野の西方800m (試料番号16) 束谷村‑庫の西100m (試料番号18)
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第4図 大阪府池田市北方大阪暦群の花粉分析図
A Abies, B Picea, C Pinus, D Tsuga, E Taxodiaceae, F Salix, O Alnus, ll Carpinus‑Setula, I Quercus.
(62) 烏 合 巳 三 郎
の地点から採集した試柳こついて花粉分析を行ったところ,第4因のような結果を得た。横木の 花粉も草本の花粉もあわせて21極の百分比を示すと図の上の部分のようになり,個々の花粉瞳の 量的変化は著しく,ぜんたいが離然としてみえるo横木のうち9種だけえらぴ,いわゆるAPシ ステムであらわすと,図の下の部分,Dような花粉ダイアグラムであらわすことができるO試料番 号12, 15, 16はやし頂似し, (3と18も多少似ているが,これは野外調査の結果とどんな関係があ るか末だ確めていないO とにかく均一性に乏しいことは事実で,これは層位的に上下のあるため か,堆積地が異って患ったためか,そのほかの原田によるものか将来の検討にまつ。
同様な例は種ケ鳥の中新統においても認められるが,これについては別に報告するであろう。
上にあげたようなとき,比較に用いる樹種のえらびかたをよく考えなければならない。一般に草 木の花粉は木本にくらべて,示準化石性より示相化石性が強いように思われる。
地層の垂直方向における変化
晃層を構成する部層の間で花粉分析の結果がどう変化するか,すなわち地層の上下による変化 につレーてのべる。
東京都中央区三井別鋸建築工事場の地下から,尾崎博氏が一定の探さ毎に採集した試料につい て,花粉分析を行った結果は第5図に示したとおりである 5mより深いところの試料から花粉 や珪藻の化石が豊富に
検出され,大きくみて
蝣m, 8m, 9mを一
つの群, 10m,ュlm, 12mを別の一つ'D群に
まとめることができる ようだ。 .5mのものは tiサ/ ">!i;t花‑ト ‑ど てているが, 7mから 漸変するようにも見 え,これだけでは決め られないO これらは現 場の調査とあわせて判 断しなければならな
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1,000m以上に達す
る累層または層群に患 第5図 東京都中米区三井別儲地下の地膚の花粉分析図
ける花粉分析の例として,山形県最上部大石田町附近に分布する第三紀層をあげるOこの地域の 層序は上から
新庄固辞
G層‑ 上部合炭層(高倉山層,折波風紫山層,紫山層) F層‑‑‑粗粒砂岩層(藁口層)
E層‑‑‑下部合炭層(大林層)
最上層可冒眉‑ 撮色砂岩層(小平層) 層‑・‑黒色頁岩層
となっているO一つの川筋にそって数十mから数百m毎に試料をとり,その花粉分析を行って
みると第6図のようになったo 上部含炭層は4試料ともAlnusが圧倒的に多く, Quercus, Liquidanibarにとみ有翼花粉がはなはだ少い。蹟粒砂岩からは花粉が検出できす,下部含炭層 では上部の3試料がSalix, Quercus, symplocosがやや多く, Alnusはなお優勢であるO中 間の花粉を含まない部分を‑だてて下部の・3試料ではAlm∠Sが減少し, Abies, Picea等の有翼 花粉が著しく増加している。撮色砂岩層からは花粉が検出できす,その下位<7J>,異色貢岩層はこの 川筋に露出していないけれども,別の地域で挟築した木屑璃式料からは多くの花粉を分離するこ とができた。この花粉群は含炭層T)ものと著しく異っている。
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さて上の結果を通覧すると新庄固辞の合炭層は無花粉部を境として, 3部に分けることができ る。上部合炭層や下部合炭層の下部のように,地層の厚さ数百mの問にわたって花粉の構成状態 が比較的均一であることがある。しかし厚さの如何にかかわらす著しく変化するぼあいもあっ
て,これらは堆積環境や条件とも密接な関係があるものと思われる.
地層の境界と花粉分析
2つの地層の境界が花粉分析の結果とよく一致する例は,前述の西ノ宮市愛宕山のぼあいにみ られる(第1園)。ここのC試料は珪藻遺体を含み,花粉以外の化石でも同じ結果を示している。
知多半島の西南部に,極めて限られた分布を示す野間貝層がある。その附近に広く発達する炭
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るO この合貝化石粘土と,その下の不完全な硬層をへだてた下位の含炭粘土,およびその中問か ら採集した試料について花粉分析を行ったところ,第7図のようになった。上部の合只化石層に はAbiesが圧倒的に多く,ほかにAlnusやCompositaeを含み,疎層下のものにはTsuga, Liquidambar(?)が多く,両者のみを此校すると異ってみえ,含貝化石層には新蝣mの要素が多いo
Lかし中間のものはそれらの推移型を示しているようで大きくみれば‑と続きとなり,簡単に決 められないo改めてしらべる予定であるo
(64) 良 倉 巳 ≡ 郎
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以上のべたごとく,堆積岩の 花粉分析は本邦新生代層の研究 に役立つが,より有効にするた めには,試料の採集,分離の方 漢,訣別患よび使用花粉種の選
定に深い注意を払い,堆積学, 古生物学患よび植物生態学の教 示を考慮する必要がある。
引 用 文 献
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