『 女 子 界 』 を通 して み た新 女 性 の 論 議 と詩
具 明 淑 歩 秀 一 訳
1.は じめ に
新 女 性 は 日本 留 学 を通 して 女 性 解 放 思 想 の潮 流 に接 しなが ら女 性 主 義 的 な 意 識 を 育 て る集 団 と して 形 成 され た。 これ まで 新 女 性 に対 す る研 究 は 多 角 的 に お こな わ れ て お り、 ま た研 究 者 に よ り新 た な 方 法 論 と して 研 究 され て い るが 、 そ の概 念 につ い て は合 意 さ れ て い な い 状 態 で あ る。
̲̲̲.般 的 に新 女 性 は̀近 代 的教 育 を受 けた 女 性'を さす 。 しか し、̀近 代 的教 育'と い う基 準 が か な り曖 昧 で あ る。 した が っ て 新 女 性 の範 囲 も教 育 の 程 度 に よ り̀高 等 女 学 校 を卒 業 し職 業 を も っ た 中 間 層 の新 女 性'̀文 字 解 読 程 度 の 労 働 新 女 性'̀海 外 留 学 まで して 戻 っ た 各 界 各 層 の 指 導 的新 女 性'̀自 己発 展 は もち ろん 社 会 に対 す る透 徹 した意 識 を も ち実 践 に遭 進 す る女 性'に 至 る まで 幅 広 い 。
昨 今 で は 新 女 性 とい う概 念 自体 よ り、 新 女 性 を め ぐ り形 成 さ れ た論 議 の 脈 絡 を 問 い 、 そ の 流 動 的 な性 格 に注 目す る論 議 が 主 流 を しめ て い る。
̀新女性'と い う概 念 が形 成 され る歴 史 化
、脈 絡 化 の過 程 を通 して 、 そ の 論 議 を生 み 出 した 特 殊 な 立 場 は もち ろん 、 多様 な 力 の勢 力 関 係 を具 体 的 に表 す こ とが で き る。 この よ う に新 女 性 に 関 す る論 議 は、 当 時 の 歴 史 的 ・ 社 会 的 な脈 略 に接 しなが ら近 代 性 を効 果 的 に究 明 す る こ とに助 け とな る。
新 女 性 に対 す る論 議 は1920年 代 初 めか ら新 聞 と雑 誌 を中 心 に本 格 的 に
『 女 子界 』 を通 して みた新 女性 の論議 と詩
形 成 され 始 め た 。 これ は新 女 性 が 一 っ の社 会 的 集 団 と して 認 識 され 始 め た 時 期 と同̲̲̲̲であ る。 初 期 に は̀新 女 子'あ るい は̀モ ダ ンガ ー ル'と
い う用 語 を混 用 して い たが 、1930年 代 末 に な り新 女 性 とい う用 語 を使 用
i)
せ ず 、 お も に̀現 代 女 性'と い う用 語 を使 用 した 。
本 稿 で は、 新 女 性 の概i念 を̀高 等 女 学 校 を 卒 業 して職 業 を も っ た 中 上 層 の女 性 や 、 海 外 留 学 を した 各 界 各 層 の指 導 的 新 女 性'の 範 囲 に 限 定 し
よ う と思 う。 この よ うな範 囲 に 限 定 す る理 由 は、1920年 代 初 め に雑 誌 や 新 聞 に参 画 して 、 自身 の立 場 や 考 え を発 表 で き る能 力 を も っ た 女 性 は 、 少 な くと も女 学 校 教 育 を受 け た 女 性 や 海 外 留 学 を した 知 識 人 女 性 で あ る
とい う こ とに根 拠 を お く。
1920年 代 の女 性 雑 誌 は 『 女 子 界 』 を は じ め と して 、 『 新 女 子 』 『女 子 詩 論 』 『 新 家 庭 』 な どが 発 刊 され た 。 これ らの雑 誌 に共 通 す る特 徴 は、 お も
に女 性 を教 育 す る た め の論 議 を 中心 に展 開 され て い る点 で あ る。 よ っ て 文 学 作 品 は あ ま り掲 載 され て お らず 、 小 説 に比 べ て 詩 は質 量 の 両 面 に お い て不 十 分 な水 準 に な っ て い る。 執 筆 者 もお も に男 性 で あ る点 で み れ ば 、
そ の 当 時 、 新 女 性 の論 議 を導 く主 体 に該 当 す る女 性 は 少 数 に す ぎ ず 、 こ の よ うな活 動 に参 与 し呼 応 で き る新 女 性 の 数 もそ れ ほ ど多 くな い とい う 当 代 の社 会 的 状 況 を推 し量 る こ とが で き る。 そ の 中 で 『女 子 界 』 と 『 新 女 子 』 に は 文 学 作 品 が 比 較 的 に載 せ られ て い る方 で あ り、 詩 と小 説 が 数 篇 入 って い る。 しか し、 『 新 女 子 』 に掲 載 され た詩 は翻 訳 詩 が 大 部 分 で あ り、 韓 国 の 新 女 性 文 学 を探 る に は適 合 しな い。 よ っ て本 稿 で は 『女 子 界 』 を 中心 に1920年 代 初 め に 見 られ た新 女 性 の論 議 をi探って み よ う と思 う。
1915年 、 日本 の女 子 留学 生 た ち は、c在 京 朝 鮮 女 子 相 互 間 の親 睦 と品性
酒 養'と い う趣 旨 の も と、 東 京 女 子 留 学 生 親 睦 会 を 組 織 した 。 こ の集 い
は1917年 以 後 、 東 京 女 子 留 学 生 の代 表 的 な 団体 と して の性 格 を もつ よ う
に な り、1918年3月 に は会 員 が40余 名 の規 模 に な った 。 しか し、 この集
ま りの性格 は標 榜 した もの とは異 な り、女子 留学 生 の相 互親 睦 の次元 を 超 えて いた。 この団体 は植 民地朝 鮮 での女性 が処 す る特殊 な問題 に関心 を もち、 女 性問題 を社 会問題 の一 環 として提 起 す る女性 主体 の勢 力 を形
2)
成 す る基 盤 を作 り始 め た 。 『女 子 界 』 は1917年 に、 ま さ に そ の女 子 留 学 生 親 睦 会 を通 じて 発 刊 され た雑 誌 で あ る。 『 女 子 界 』 はわ が 国 初 の 女 性 雑 誌 とい う意 義 もあ るが 、 そ れ まで 沈 黙 を強 要 され た女 性 た ち の 声 を集 約 して 表 す こ とが で き る重 要 な媒 体 で あ る とい う点 に大 きな 意 義 が あ る と 言 え るだ ろ う。
しか し、 この雑 誌 の編 集 陣 を調 べ て み る と、 編 集 部 長 に金 徳 成 、 編 集 部 員 に許 英 淑 、J施 徳 、 羅 慧 錫 な どが お り、 顧 問 と して 田 榮 澤 、 李 光 沫 が 活 動 して い た 。 編 集 員 の 構 成 だ け を み て も男 性 が 雑 誌 の 発 刊 を 主 導 して お り、 男 性 的 な プ リズ ム を通 して 女 性 た ち の 声 を支 配 して い る こ と が わ か る。 『 女 子 界 』 を少 し詳 し く見 れ ば、 女 性 よ りも男性 の筆 者 が 多 く、
大 部 分 の 男 性 筆 者 た ち は お も に女 性 た ち の 自覚 を促 し、 近 代 教 育 問 題 や 女 性 問 題 をi扱っ て い るが 、 徹 底 した 男性 中 心 の 態 度 を と って い る こ とが 認 め られ る。
女 子 留 学 生 た ち は̀朝 鮮 女 子 の 教 育 普 及 、 幅 広 い知 識 向 上'と い う設 立 目 的 を掲 げ て 、1920年1月4日 、 朝 鮮 女 子 留 学 生 学 興 会 を組 織 した 。
この 女 子 学 興 会 は男 性 の顧 問 で あ っ た 田 榮 澤 と李 光 沫 の 関 与 が な く、 す べ て 女 性 の 力 で 『 女 子 界 』 第4号 を発 刊 した こ とに重 要 性 を もっ て い る。
しか し、 しば ら く して 経 営 難 に 陥 り、1921年7月 の第7号 で 雑 誌 の 発 刊 は 中断 され て し ま う。 全7巻 の本 を 出 した だ けで 終 わ っ た が 、 崔 南 善 が
『女 子 界 』 の発 刊 を祝 う文 で"私 た ち 女 に 口が あ る こ とを勇 敢 に示 した嗜
3)
矢"と 明 らか に した よ うに、 『女 子 界 』 の発 刊 は女 性 た ちの独 自的 な能 力
で言 論 の 道 を開 拓 した とい う点 に意 義 が あ る。 ま た女 性 た ちが 女 性 自 ら
が人 間 で あ る こ とを 自覚 し、 女 性 自身 の 意 見 を 自 由 に表 現 す る こ とが で
『 女 子界 』 を通 してみ た新 女性 の論 議 と詩
き る空 間 を確 保 した とい う点 に大 き な意 味 が あ る。
2,女 性教 育論 と賢母 良妻 論 を強要 す る論 議 と詩 2.1『 女子 界』 に表 れた男 性 た ちの論議
周知 の よ うに、 開化 期 の女性 教育 の嗜矢 は1886年 に始 まった キ リス ト 教 の女 性教 育で あった。 開化派 の人 士や女 性 知識 人、 キ リス ト教 宣教 師 た ち を中心 に女性 にも近代 教育 の機会 を与 えね ぼ な らな い とい う主張 が 起 こ り始 めた ので あ る。 日本植 民地 支配 の以 前 に始 め られた近代教 育 は、
あ る程 度 自由 ・平等 に対 す る近代 的な指 向性 を もって いたが 、植 民地 支 配 以後 の女性 教 育政策 は女 性 の̀主 体'を 弱化 させ る方 向 に迂 回 す る こ
とに重点 をおいた。
1911年 の朝鮮 教育令 に よれ ば、女性i教育 の 目的 は婦・ 女子 の徳 目を育て 静粛 で勤倹 な女子 に養成 す るこ とに ある。教科 内容 を みれば理科、 家事 、 手芸 、裁縫 な どが主流 で あ り、 女性 の地位 向上や 主体 的な意識 覚醒 とは
4)
無 関係 の もので あった。 女性 の正規教 育 は̀純 良 な皇 城 臣民'を 養成 す るこ と と封建 的 な家 父長制 に立 脚 した賢母 良妻 に重点 をお いた。非 正 規 教 育 の場 合 はお もに文盲退 治 と生活 啓蒙 にあ り、 日本植 民地 の後 期 に は 正 規 と非 正規 ともに植 民地教 育 に統合 された 。 日本 の植 民地統 治 の も と、
女 性 の教 育 は植 民地教 育 の 目的で あ る朝鮮 人 を支 配 して統 治 す るた め の 皇 民化 、 愚民化教 育 の一環 として変形 した。
この ような植 民教 育の特 性 は、女性 た ち に伝 統 的 な女性性 を強化 す る 方 向 に展 開 され た。女 性 自身 の生 の質 を向上 させ る とか、地 位 向上 のた
めの もので はな く、全 国 民 の文 明開化 の た めに女性 を啓 蒙 した もので あ
らラ
る。 と くに女 性教 育 の重要 性 は子 女養 育 と立派 な二 世 を育 て る女性 の役 割 を忠実 に履 行 す るた めの手段 として さ らに強化 され た。
近代 的 な女 性教 育 が始 ま り、従 来 の賢母 良妻 の概念 が変化 した。 良妻
は̀良 き夫 の 良 き相 手'を 意 味 し、 内 助 に尽 くす 妻 あ るい は 内助 が よ く で き る識 見 が あ る女 性 で あ れ ば 、 子 女 の 教 育 も合 理 的 に成 し遂 げ られ る
6}
とい う論 旨で あ る。 これ は 日本 の̀良 妻賢母 主 義̀が 導入 され 、一夫 一 妻 制 に も とつ いた近代 的家族 にお け る女性 の位 置 を妻 の役 割 と内助 、 そ して母 の役割 と子女養 成に固定 した もので ある。 日本のi良 妻賢 母主義 が 朝鮮 に きて 賢 母 良妻 主義'に 変 わ った こ とは、妻 の役 割 よ り母 の役 割 を さ らに強 調 したた めで あ る。 近代 的 な母 性性 を強 調 す るた めに母性 教 育が 強調 されたが、 女性 を妻 と母 に規定 した賢 母 良妻 主義 は、1930年 代 末 に さ らに強化 され、 賢母 良妻 の役割 が遂 行 で きな い新 女性 た ち は厳 し
く批判 され た。新女性た ち も男性た ちが強要 した賢母 良妻 のイデオ ロギー は、他 の抑 圧 的 な仕 組 み に比べ て 比較 的 に受 容す る様相 をみせ た。
わが国 の家庭 は昔 か ら家庭 制 度 を手本 と して男尊 女卑 の別 が厳格 で あ り、 これ に よ り男 に は人権 と自由が あ るが、女 は人 が先天 的 に
もつ要 素 を失 くし男 に征服 され、 これ まで奴隷 の生 活 を続 けて きま した。 したが って この社会 は男 女共 同 の所 有 で はな く、 男単独 の所 有物 で あ り、国家 に対 す る義務 責任 は女 には少 しも関係 ないの で あ
り、甚 だ しきは家庭 の権利 さえ男 に奪 われ、女 は単 に付属 物 に過 ぎ ず、下 人 の使 役 を本務 として きた結 果 ……女 は歳 月が い くほ ど愚か で無 知 にな り、永 遠 に天性 を失 って人権 を回復 す る こ とが で きない
7)
と こ ろ で し た 。
朝 鮮 に は未 だ 女 子 教 育 が な い と言 っ て も過 言 で は な い と して も、
そ の精 神 と方 法 に つ い て は実 に言 う まで もな い こ とで す … … 女 も男
と同 じ く人 性 を具 備 し、 天 稟 の 能 力 が あ るが 、 生 まれ た ま ま完 全 で
は な い か ら、 完 全 な 人 を作 るた め に は女 を作 る べ き で あ る。 まず 人
『女子 界』 を通 して みた新 女性 の論 議 と詩
を作 る とい う こ とは 、 世 の 中 に所 用 が な い そ の ま まの 人 を養 成 しろ とい う こ とで な く、 無 意 味 で徹 底 で きな い い わ ゆ る賢 母 良 妻 とい う 器 械 を 作 ろ う とは しな い で 、 独 立 した̲̲̲̲,.個 の 人 間 に な る よ うに人 格
を養 成 し、 そ の 次 に一 家 の た め社 会 の た め に、 あ る い は 民族 の た め
8)
人 道 の た め に有 用 な人 に な る よ う に す る こ とで あ る。
上 の文 は男性 中心 の社会 にお いて、女性 は徹底 して人 と して言 い訳 が で きな い ま ま男の奴 隷 で生 きて きた こ とを認 め、 その た めに女性 は国家 に対 す る義務 や責任 に も関係 な く、 人権 もな く生 きて きた存在 として把 握 され てい る。 さ らに家族 の中で王 と奴隷 の関係 の よ うな男女 間 の不 平 等 な家庭 制 度 を改革 す る こ とは女 がす る こ とを前 提 に して い る。夫 が主 人 にな り中心 にな る家庭制 度 を改革 して家 庭 の主 人 になれ と、 女性 の積
9)
極 的 な 主 体 意 識 を刺 激 す る発 言 を して い る。
しか し、 男 性 た ち が 強 調 す る女 性 教 育 の最 終 的 な 目標 は 、 自 由 と平 等 ,とい う近 代 性 の 指 向 や 女 性 個 人 の主 体 の 実 現 とい う近 代 的 意 識 の表 出 に あ る もの で は な く、.一国 な い しは救 国 の た め の全 国 民 に対 す る近 代 化 の 必 要 性 の一 環 と して 強 調 され た もの で あ る。
遅 く と も これ か ら は家 庭 の 中 の権 力 は そ の婦 人 が つ か ん で お い て
な けれ ば な らな い ので あ る。 お お よ そ家 庭 の こ とは家 庭 に い る婦 人
が 知 っ て い るの で あ り、 万 一 常 に外 に出 て い る男 が 関 係 す る よ う に
な る と、 そ の 中 に 統 一 が な くな り筆 耕 は 円 満 に治 めて 行 け な い だ ろ
う。 そ れ の み な らず 男 が 家 庭 の こ と まで 干 渉 し管 理 す る よ う に な れ
ぼ、 男 の事 業 上 に妨 害 を受 け る こ とが 多 い だ ろ う。 実 際 、 家 庭 は 婦
人 の 唯 一 の領 土 で あ り、 家 庭 の 統 治 権 は婦 人 の もの で あ る。 人 の権
利 を奪 い取 る よ う に、 悪 が な く権 利 を奪 わ れ る こ とほ ど悔 しい こ と
10)
は な く、 そ の 中 に は不 平 と闘 争 が起 こ る の で あ る。
上 の文 で は男性 は家庭 の こ とで 自身の̀仕 事'に 妨 害 を受 けて は な ら ない とい う基 本 的 な発 想 に も とつ いてお り、女性 に家庭 を任せ る寛 容 な 態度 を見 せ て い る。家庭 の外 は当然 男性 の世界 で あ る こ とを それ とな く 表 してお り、女性 の領 土 で あ る家 庭 に まで関係 して女性 の権利 を侵 害 し て は家庭 の平 和 が壊 れ る とい う論 旨が読 み取 れ る。 男性 た ちが 自 ら家父 長制 の家 庭 制度 を改革 し、女性 の権 利 を探 してや るべ きだ とい う主張 に は、女性 に家庭 の暮 ら しを一任 して ひたす ら価 値 あ るこ とにだ け専 念 し よ う とい う意 味が込 め られ てい る。 そ うして こそ変 化 す る近代 社 会 に対 処 で き る競 争 力 を養 うこ とがで きる とい うもので あ る。
そ して 女性 の社 会 に対 す る義務 とは、他 で もない近代 的 な教 育 を受 け た新 知識 を もち賢母 良妻 の役割 を忠実 に履 行 す る こ との みで あ る。女性 教育 の実 際 は男性 と対等 に 自由人 を養成 す るための もので はな く、女性 教育 とい う表 面的 な授 恵 を装 い、̀よ り謙 虚 な(よ り教養 あ る)奴 隷 を 作 ろ う とす る巧妙 さで あ る。 そのた め に家庭 経済 や個性 的な人 間性 を求 め る教育 とは程遠 い賢母 良妻 教育 や母性 教育 に限定 した もので あ る。 母 性 にっ いて の終 わ りのな い強調 は、母性 保護 のた め女性 を職 場 か ら再 び 家庭 に送 らね ばな らな い とい う母性 論議 を形成 し、女 性 の場 を家 庭 とい うもの に確 固 として作 った。 よって女性 解放 の最 も基礎 的 な基盤 にな る 女性 の経 済 的 な独 立 は実際 には成 り立 たず、 女性 自身 も経 済的 な重要 性
エリ
に 目を開 けなか った ので あ る。 当時 、女子 留学生 たち は賢 母 良妻型 を否 定 的 に考 えて、男性 た ち と同等 の教育 を受 けねば な らない と主張 したが、
その 叫び は社会全 体 の賢母 良妻 の論議 に巻 き込 まれ無 視 され、 女性 の社 会進 出 は依 然 として容 認 され なか った。 この よ うな賢 母 良妻教 育 の強化
12)
は結 局"新 女 性 た ち の 没 落 を もた らす"大 き な原 因 に な っ た。
『 女 子界 』 を通 して み た新女性 の論 議 と詩
22李 光 沫 の 『 母 の 膝 』
先 に言 及 した よ うに 『女 子 界 』 に は詩 は多 くお さ め られ て お らず 、 掲 載 され た 詩 も意 識 が 明 らか に され た もの や 女 性 問 題 と関 連 した作 品 は そ ん な に多 くな い。本 稿 で は 『 女 子 界 』 第3号 に お さ め られ た李 光 洗 の 「 母
エ3)
の膝 」 とい う詩 を題 材 に して、 男 性 た ち の 論 議 を 調 べ よ う と思 う。 李 光
14)
沫 の 「 母 の膝 」 は作者 に敬 意 を表 す ほ ど傑 作 と言 われ、 息子 が遠 くか ら 母 を回想 して懐 か しむ心情 を歌 ってい るが、 詳細 にみれ ば女性 に対 す る
男性 的な意 識 を端 的 に表 した例 とい え る。
文 明 は̀女 性 も人 で あ る3と い う真 理 を教 え 、̀男 と女 は均 衡 に社 会 を維 持 し発 展 す る責 任 を もつ'と い う真 理 を教 え て お り、 この 二 つ を前提 に して 、̀よ って 男 と女 の教 育 は平 衡 しな けれ ばな らな い'と の結 論 を教 えて い る。 妻 にな り母 に な る こ とが 母 論 女 性 の天 職 で しょ
う。 しか し、 そ れ は天 職 で あ り女 性 の全 体 で は な い で し ょ う。 そ う な らば その 主 体 は何 な の か?̀人'な の だ 。 女 は 妻 や 母 にな るた め に人 に な っ た の で は な い で し ょ う。 人 に な っ た か らi妻や 母 の 義 務 を
もっ とい う こ とで し ょ15)。
上 の文 で見 るよ うに、李 光沫 は文 明の恩 恵 で̀女 性 も人'と い う真理
を知 るよ うにな り、男 女が 等 し く社会発 展 に責任 を もた ね ばな らず 、 そ
のた めに男女 の教 育が 同等 に形成 され な けれ ば な らない と主張 した。女
性 の天職 は妻 にな り母 にな る こ とで あ り、人 にな った後 に その天職 の義
務 を遂 行 しな けれ ばな らない と力 説 す る。李 光沫 は女性 の役 割 を賢 母 良
妻 の規 範 の も とにお き、女性 教 育論 を繰 り広 げた男 性 の論議 を主導 した
人 で あった。賢 母 良妻 は李光 沫 が願 う新 女性 像 その もので あ る。彼 は限
りな く女性 の 自覚 と近代 教育 の必 要性 を力説 した が、近 代教 育 を受 けた
新 女 性 た ちが 社 会 に進 出 す る こ とに は同 調 せ ず 、 家 庭 に戻 り賢 母 良 妻 に な らね ば な らな い とい う矛 盾 した 主 張 を繰 り広 げ た 。 彼 の 詩 「 母 の 膝 」 に も同 じ論 理 を展 開 して い る こ とが 感 じ られ る。
お 母 さ ん!
あ な た の 膝 は軟 らか っ た の で す 。 春 の 田 の あぜ に生 え る芝 よ りも 夏 空 に浮 か ぶ 雲 よ り
羊 の 毛 よ りも絹 の 座 布 団 よ りも お母 さん!
私 は そ の 軟 らか い 膝 に座 り ま した!
(中 略) お母 さん!
あ な た の 懐 に は歳 月 が 止 っ た ま まで した 。 乳 首 にべ った り しが み 付 い て 目 を と じ る と 夜 も昼 の よ うで 、 昼 も夜 の よ うで あ りま した!
そ の 時 、 私 が 足 を ば た ば た し な が ら
ブ ツ ブ ッ と意 味 も分 か ら な い こ とを しゃべ る時 を 夜 だ と言 い ま し ょ うか 。 昼 だ と言 い ま し ょ うか?
大 地 に雪 が 積 もろ う と、 積 も る ま い と 水 が 凍 り、 冷 た い風 が 吹 い て も
あ な た の胸 に深 く抱 か れ て 乳 首 を ぎ ゅ っ とい じ る時 に
そ れ を冬 だ と言 い ま す か 、 夏 だ と言 い ま す か
お母 さん!
『 女 子界 』 を通 してみ た新女性 の論議 と詩
あ な た の膝 は 私 の 遊 び場 で あ りま した 。 (中 略)
あ な た の膝 は私 の 学 校 で あ り ま した 。
一 「 母 の膝 」 部 分
この 作 品 は 女 性 の 視 覚 で み れ ば 作 品 の 中 に 隠 さ れ た 意 図 が 明 らか に さ れ る。 作 家 が描 い て い る女 性(母)は 育 児 に専 念 す る姿 を見 せ て い る。
母 が す る こ とは子 ど もの た め に全 て の こ と犠 牲 に す る こ と と表 れ て い る が 、 単 純 に子 ど も を養 育 す る水 準 で は な くハ ン グ ル や 漢 文 を教 え る教 育 まで 担 当 す る完 壁 な 母 で あ る。 即 ち作 家(李 光 沫)ほ どの 人 物 を 育 て 上 げ た 崇 高 な 母 を想 像 で き、 一 方 で は す べ て の 女 性 た ち が そ の よ うな母 に な らね ば な らな い とい う意 味 を 内包 して い る。 母 性 性 を表 し女 性 た ち を 賢 母 良 妻 に変 化 させ る過 程 に 留 ま らせ て お こ う とす る作 家 の基 本 的 な 意 図 を裏 付 け る作 品 に見 え る。
この 作 品 で 母 の胸 と膝 はす べ て の こ とを許 して軽 く叩 い て抱 い て くれ る包 容 力 を 象 徴 す る。 母 の 膝 を"春 の 田 の あぜ に生 え る芝 よ り も/夏 空 に浮 か ぶ 雲 よ り羊 の毛 よ りも絹 の座 布 団 よ り も"柔 らか い"遊 び 場"で あ り"学 校"と 描 写 して い る。 奴 隷 の よ うに ひ ざ まず き働 く母 の膝 の 裏 を見 る こ とが で きず 、 幼 か っ た 時 に 座 り遊 ん だ 軟 らか くて安 らか な 膝 だ け を懐 か しが る。 そ れ が 男 性 が称 賛 す る母 で あ り、 美 化 され た 女 性 、 即 ち 母 性 性 を 強 調 した女 性 の 全 貌 で あ る。
この作 品 は全 体 的 に見 る とき、 自身 の生 を放 棄 した ま ま母 と して の 生 が 最 上 で あ る こ との よ う に描 か れ た賢 母 良 妻 主 義 に 立 脚 して い る こ とを うか が わ せ る。 母 も入 格 が あ り、 自身 の生 が な け れ ば な らな い こ とを看 過 して 、 苦 痛 と犠 牲 で 綴 られ た母 を犠 牲 的 、 献 身 的 な聖 女 の よ うな 存 在
と して 浮 き彫 り して い る。
詩 の雰 囲気 は全 体 的 に慈 愛深 く献 身的 な母 の姿 で いっ ぱい に埋 ま り、
それ 自体 だ けで は感動 的 で もあ る。 しか し、 感動 的 な雰 囲気 の源 泉 は子 どもを限 りない愛 で見 守 り、家庭 をきちん とや り くりして い く良母 に あ るのだ。女 性 は家 庭 を守護 す る天使 とい う美 名 の も と、 家庭 の下 男 で あ り、家族 のた めの働 き手 に過 ぎない。女性 の幸 福 は まさに家庭 を守 る こ とにあ る とい う論 旨を通 して、女 た ちに子 どもを世 話 す る こと、家事 を 受 け持 たな けれ ば な らない義務 を内面化 しろ と強要 す るの みで あ る。 『 女 子 界』 で女 性 の 自覚 を大 き く叫ぶ 男性 た ちの論議 が大部 分 を 占め なが ら
も、母 として の女性 自身 の生 に対 す る悟 りを論 じる文 は どの個 所 で も見 出せ なか った。 これ は賢母 良妻 論 に圧倒 された男性 たちが、 母 の生 とい う人 間 の 自律 的で個性 的 な生 とは質 的 に別 の次元 の もの として認 識 して お り、 それ は ひ とえに女性 だ けの義務 とい う意識 を内面 化 した結果 で あ る考 え られ る。女性 たちが賢母 良妻教育 論 に受動 的 で はあ るが 受容 す る 様 相 もこの よ うな脈 略 につ なが る。
3.女 性 の 自覚 と個 性 的な生 を主 張す る論議 と詩 3.1『 女子 界』 に表 れ た男性 と女 性 たちの論 議
『 女子界 』 には女性 の 自我覚醒 と個性 的 な生 を主張 す る文が何篇 か掲載 されて い る。 男性 の筆者 たちが大 部分 で あ るが、 日常 生活 で 自 ら悟 った 考 え と覚 醒 を他 の女性 た ちに紹介 す る女性 た ちの文 が あ り注 目を集 め る。
日本 留学 時代 に逸早 く西欧 の文物 を受 け入 れ た新 女性 た ち は、 自由 と平 等 とい う価 値観 に も とづ き̀女 性 も人'で あ る とい う自覚 を堂 々 と表現 す る。
『 女子界 』第2号 に秋湖 の"覚 醒 しな さい"と い う題 目の社 説が載 って
い る。 この文 は強 い語 調 で女性 の覚醒 を促 してお り、一 方で は女性 た ち
の無 自覚 な態度 と贅 沢 で意識 の ない生 活 を批 判 して い る。
『 女 子界 』 を通 してみ た新 女性 の論 議 と詩
あ あ、 朝 鮮 の 天地 に女 性 た ち は生 命 が あ ります か 、 あ りませ ん か 。 生 命 が あ る な ら覚 め ね ば な らな らず 、 動 か ね ば な ら な い の で あ り、
成 長 し進 まね ば な りませ ん。 冬 はす で に過 ぎ 去 り春 が 戻 っ た の で す 。 寝 る時 も今 や 過 ぎ覚 め る時 に な っ た の で す 。 私 た ち は あ ま りに長 く 停 止 し、 あ ま りに多 く休 息 して い ま した 。 あ あ、 私 た ち は早 く目覚
め て生 命 あ る人 に な らね ば な らず 、 な す べ き こ とが 多 い わ が 社 会 で 男性 と力 を合 わせ 体 を支 え て 活 動 しな けれ ば な りませ ん 。(中 略)目
を開 い て か ら寝 つ く時 まで 格 好 をつ け る考 え に追 わ れ て 、 服 も不 自 由 な くよ く食 べ 良 い 生 活 を営 む だ け で 、 ど う し よ う と言 うので す か 。 実 際 私 た ち の 立 場 で は皆 さ ん が して い る こ と は あ ま りに度 を超 し て い ます 。 良 い 生 活 を し よ う と しな い で 生 き る こ とに努 め な さ い 。 メ ガ ネ を か け靴 を履 き、 ピ ア ノ を弾 き絵 を描 き、 車 に乗 って 船 に 乗 る こ とが 文 明 で は な い の で す 。 それ が 目覚 め た 人 が す る こ とで は な
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い で し ょ う 。
秋 湖 は世 の 中 で最 も哀 れ で 苦 労 す る人 、 最 も愚 か な 人 は朝 鮮 人 で あ り、
その 中 で も さ らに苦 労 し愚 か で 哀 れ な人 は女 性 で あ る と論 理 を展 開 す る。
だ か ら 『女 子 界 』 が 前 駆 して 当代 朝 鮮 の 女 性 た ち の 惨 状 を 正 し く見 て 、 彼 ら を救 わ ね ば な ら な い任 務 が あ る と力 説 す る。 そ して 朝 鮮 女 性 の た め に しな けれ ぼ な らな い こ とは、 一 っ に教 育 、 二 っ に社 会 改 良 、 三 つ に社 会 救 済 だ と提 示 す る。 と りわ け"社 会 事 業 は 男 性 よ り も女 性 に適 す る天 職"で あ る と主 張 す る。 何 よ りも男 性 た ち が 賢 母 良 妻 論 と母 性 論 を繰 り 広 げ るの に比 べ て、 女 性 の 職 業 問題 、 生 活 問 題 の 重 要 性 を強 調 した 点 に 、 他 の 男 性 た ち の主 張 との 差 異 が あ る。
女 性 教 育 の 目的 は、 男 性 た ち が 言 う よ うに家 庭 を よ く守 るた め の賢 母
良 妻 を育 て る こ とで はな く、 職 業 を教 え て 職 業 の道 を 開 い て 女 性 た ち の
生 活 を保 全 で き るよ うに経済 的 な独 立 を助 け る ことにあ る と見 た ので あ る。最後 に この よ うな重大 な任 務 を正 し く遂 行 す るた め に覚醒論 を繰 り 広 げ る。 女性 たち は寝 ず に常 に 目覚 めて い るべ きで真 実 で な けれ ば な ら ず、 また勤勉 で力 を合 わせ るべ きだ と結 論 づ けて い る。 女性 た ち は自 ら 覚醒 しな けれ ばな らず 、哀 れで 蒙昧 な地位 か ら抜 け出 すた め に、休 まず
に誠 実 に働 きな さい とい うの で あ る。
近代 的精神 は人間個 人 を重視 す る個 人主 義 と、人 間 の理性 に も とつ く 合理 主義 を含 んで い る。 しか し、 これ に負 けな いほ どお金 に対 す る経済 主 義 も大 きな役割 が あ り作用 して い る。女性 た ちの論議 は、 女性個 人 の 重要 性 を強調 す る個人 主義 と職 業 と経済 的 自立 を重視 す る経済 主義 に基 礎 を おいて い る。男性 た ちの女 子教 育論 で抜 けてい る個 人主 義 と経 済主 義 は、女 性 た ちの主体 的 な女性 教育 論で前 面 に打 ち 出す条項 で あ る。
男 尊 女 卑 の 思 想 が 厳 存 した従 来 の 家族 制 度 の も とで 、女 性 は"人 に な る要 素 を失 っ た"存 在 と して 男 性 に征 服 され 、 国 家 に た いす る 義 務 、 責 任 は少 し も関係 な か っ た の で あ り、 家 庭 で は権 利 す ら男 性 に奪 わ れ て女 は単 に付 属 物 に過 ぎず 、 下 人 の使 役 が 本 務 と知 られ て きた 。(中 略)諸 姉!何 か を学 ぶ 前 に、 まず初 め に ケ ラ..̲..女 史 の精 神 を学 び 、 何 も模 範 とす る こ とが で き な くて も ひ た す らケ ラ ー女 史 の 生 涯 一 そ の努 力 だ け を 模 範 とす れ ば 、 今 日 の 朝 鮮 の 女 性 一 一 本 当 に 自覚 と自信 が あ る女 の 役 を す るの に何 も不 足 す る も の が な い の で あ る。 我 々 の 諸 姉 に 対 す る要 求 は あ ま り重 くな い の で あ る。 た だ、
ケ ラ ー 女 史 よ り目 と耳 と口の 自 由 を 持 っ て い る ほ ど価 値 が あ るゆ え に 、 自分 の修 養 と社 会 的 な 貢 献 が あ れ ば 、 両 手 を 挙 げ て 諸 姉 の 賞 賛
の
に堪 え な い の で あ る。
『 女 子界 』 を通 して みた新女 性 の論 議 と詩
引 用 した 上 の文 で み る よ う に、 崔 南 善 は 『女 子 界 』 を通 して 女 性 た ち に"空 想 に 陥 らず 、 他 人 の 家 の 味 を 心 配 しな い で 、 今 日の 朝 鮮 の 女 性 問 題 を正 面 に着 実 に研 究 しな さ い"と の 注 文 と と も に、 ヘ レ ンケ ラー 女 史 の精 神 を学 び な さ い と要 求 す る。 そ うす れ ば"真 に 自覚 と自身 あ る女 役 をす る こ とに何 の不 足 もな い"と 説 き明 か す 。 自覚 と自身 あ る女 性 とは、
す な わ ち覚 醒 され た 女 性 と して個 性 を 尊 重 す る女 性 を 意 味 す る。 女 性 た ち が 人 に な っ た要 素 を失 っ て下 人 の使 役 で 生 きて い くよ う に成 す原 因 は、
ま さ に男 尊 女 卑 の思 想 が 厳 存 した 家 族 制 度 に あ る とみ る崔 南 善 の視 角 は、
そ の 当 時 と して は画 期 的 で あ る とい え よ う。
それ は他 で もな く強 固 な 家 父 長 制 の イ デ オ ロ ギ ー に た い す る批 判 的 な 視 角 を 内 包 して い るか らで あ る。 家 父 長 制 の イ デ オ ロ ギ ー を批 判 して 、 これ に 対 抗 し よ う とす れ ば 男 性 と同様 に人 間 ら し く生 き る こ とを覚 悟 し て、 そ の 方 法 を 求 め て慢 性 化 した 家 父 長 制 の 社 会 に挑 戦 す る こ とが 唯 一 の道 で あ る と忠 告 して い る。 言 い 換 えれ ば 女 性 の 自覚 を基 礎 にお く主 体 意 識 の確 立 で あ る。
日本 植 民 地 政 策 の さ ま ざ まな社 会 の仕 組 み は、 新 女 性 に一 定 の近 代 的 な女 性 性 を要 求 した 。 近 代 的 思 想 は合 理 的 な個 人 とい う人 間 に も とつ い た も の で 、 これ を受 け入 れ た 新 女 性 た ち は 、 女 性 が まず 一 つ の個 人 と し て人 間 と して 自由 と平 等 の権 利 を もっ た め に結 婚 の 自由 選 択 、 平 等 な 教 育 を受 け る権 利 、 社 会 で 働 く権 利 を要 求 した 。
自由 が何 だ とか 理 想 が ど うだ と言 っ て 、 これ か ら は女 も待 遇 を 受
け るべ き こ とを知 る人 も時 々 い る よ うに な りま した 。(中 略)こ れ
か ら私 た ち は完 全 に覚 醒 して 、 子 ど も も養 育 して 、 理 想 も振 興 し意
志 も確 立 して 、 私 た ち の 退 廃 した 女 子 界 を再 び 建 設 した後 に 私 た ち
の 権 利 も発 現 して 私 た ち の本 位 も探 す べ きで す 。(中 略)私 た ち は
何 よ りも人間 らしい理想 が あ るべ きで す。(中 略)個 人 の安逸 だ け を要 求 すれ ば、 わが家 の周辺 で 聞 こえ る私 た ちの 同類 の女 た ちの五 臓 が 消 え うせ るよ うな泣 き声 と溜 め息 を どう して ゆっ くり聞 いて い られ ますか。誰 が彼 らを千辛 万苦 を厭 わず に黒 暗 同衆 か ら救 出す る
is)
の で し ょ うか 。
しか し、 女性解 放 や女性 の 自覚 とい う新 女性 の論議 は、現 実 的 に制度 的 に反 映 され得 なか った のが実 情 で あ る。植 民 国家が規 定 した法 的制度 の下で 、女 性 の位 置 は朝鮮 時代 の奴 碑制 度下 の女性 の位 置 と別段 変 わ る
こ とが ない とい う点 は、 これ を立証 して い る。 そ うは言 って も論議 の変 化 は即 ち その社会 の変化 を読 む尺度 にな る点 で、 新女性 自身 の論議 は重 要 な意 味 を もっ。
3.2羅 慧 錫 の 『光 』
『女 子 界 』 第2号(1918 .3)に は 羅 意 錫 の 小 説 「キ ョ ン ヒ 」 が 、 彼 女
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の号 で あ る晶 月 で 載 っ て い る。 羅 恵 錫 の 作 品 と して 看 取 さ れ る詩 「 光 」 はH.S.生 とい う筆 名 で 出 て い る。 しか しHとSは 恵錫 の イニ シ ャル で あ
る とい え る。 先 に言 及 した よ う に、 女 性 の筆 者 が 多 くな い 場 で 羅 惹 錫 の 作 品 を数編 載 せ る よ う に な り、 晶 月 とH.S.と い う筆 名 で 違 うよ うに載 せ た の で は な いか と思 う。 詩 の 題 目 は 目次 に は 「旦、 ス」 と表 示 さ れ 、 本 文 で は 「 光 」 と載 せ られ て い る。
羅 意 錫 は1917年3月 『学 之 光 』 に 「 雑 感 一K姉 さ ん に与 え る」 とい う文 を通 して 、 す で に彼 女 の 女 権 論 を披 渥 した こ とが あ る。̀女 も人 で あ る'し た が って̀女 も人 ら し く生 きね ば な らな い'と い う要 旨 で あ る。
彼 女 は 朝 鮮 女 性 の 先 覚 者 は あ ま りに横 行 す る悪 口 を恐 れ た り、 女 ら し く
淑 や か だ とい う称 賛 を聞 き た くて 、 女 性 が な さ ね ば な らな い 事 業 を で き
『 女子 界』 を通 して みた新女 性 の論 議 と詩
な くて はい け な い と、 女 性 も人 に な る こ とを 強 力 に 主 張 した 。"探 険 す る 者 が な けれ ば そ の道 は 永 遠 に行 け な い はず で あ り ます 。 私 た ち が 欲 を 出
さ な けれ ば 私 た ち の 子 孫 に何 を与 えて 生 か そ う とい うの で す か 。 私 た ち
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