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鄱陽湖の開発と環境

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神戸女子大学文学部紀要 46 巻 71 - 82 2013

はじめに

江西省にある鄱陽湖は,中国最大の淡水湖であり,四大淡水湖の中では唯一富栄養化していない湖 泊といわれている。2009年12月12日,国務院が「鄱陽湖生態経済区計画」を発表し,国家戦略と位置 づけたのをきっかけに,関係するさまざまな分野の研究書や報告書が公刊された1)。本稿は,こうし た研究書や報告書に拠って鄱陽湖生態経済区の現状を明らかにし,主として開発と環境保護との関係 を問うという視点から生態環境に関わる諸問題を取り上げる。

鄱陽湖は,水位の変動が大きく湖水面積は一定していないが,湖口水位が21.71mのとき南北の長 さが173km,東西の幅が最大で74km,平均で16.9kmとなっており,湖岸線は1,200km,面積は3,283

㎢であり,平均水深は8.4m,容積は約276億㎥である。鄱陽湖には贛江・撫河・信江・饒河・修河の 五大河をはじめとする多くの河川が流れ込み,北端で長江に流出する。鄱陽湖の流域面積は16.22万

㎢で,長江流域面積の₉%を占めている2)。この流域面積は江西省の97%を占めていて,同省にとっ て鄱陽湖は生命線であり,この湖と周辺地域をいかに開発し,生かしていくかが大きな課題となって いる。江西省は,めざましい経済発展を遂げつつある沿海部の諸省には属さず,一部を除いて西部開 発の対象にもなっていない。こうした微妙な位置にある鄱陽湖を擁する面積16.7万㎢の省が掲げる 鄱陽湖生態経済区計画が,経済発展と環境保護の両面においてどのような意味を持ち,今後の可能性 がいかなるものであるのかを考察していきたい。

₁.鄱陽湖の現状と開発計画

2007年春,国務院総理温家宝は江西省を視察し,「鄱陽湖の生態環境を保護し,永遠に「一湖清水」

とせよ」と指示し,これをうけて江西省党委と省政府は「中国鄱陽湖生態経済区建設」の大きな戦略 策を打ち出した3)。この鄱陽湖生態経済区は,南昌・景徳鎮・鷹潭の₃市を中心に,九江・宜春・上 饒・吉安部分県も合わせて38県,面積は5.12万㎢で2,000万人を超える人口を有する。この生態経済 区の面積は江西省の30%であるが,人口は50%に近く,GDPは同省の60%以上を占めるなど重要な 地域である4)

1990年代,鄱陽湖の水の97%がⅢ類以上の比較的良い水質であったが5),2008年には調査地点の各

鄱陽湖の開発と環境

小  林  善  文

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所でⅣ類の水質が現れるなど明らかに悪化している6)。それは鄱陽湖に流入する五大河水系の汚染の ためにⅠ~Ⅲ類の水質が比率として低下していることとも無関係ではない7)。さらに湖周辺の企業体 の未処理水を含む工場廃水も状況を悪化させている。生態経済区に立地する医療化学工場,食品化学 工場,紡績縫製工場などは,経済効益のみを追求して生態環境を破壊することを代価としているとい われるように8),利益を最優先する鄱陽湖沿岸の企業の方針が,水質悪化を加速しているのである。

鄱陽湖を中心とした湖区は,生態経済区の約₄分の₃を占める29県からなり,水稲を中心とした 農業の盛んな地域でもあって,南昌県は「江南第一糧倉」と称えられている9)。年間の平均気温は,

17.9 ~ 18.4℃,年間降水量は1,305.3 ~ 1,908.7mmと農業生産には恵まれた地域である10)。湖区 の耕地の中で水田は76.85%を占め,その₈割以上が二期作である11)。ただし湖区の紅土(ラテライト)

は,東北の黒土地帯,長江三角州や珠江三角州の沖積平原などより地力が劣り12),それを補うべく大 量の化学肥料と農薬が投入されている。2005年に湖区で投入された化学肥料は533,456㌧で江西省の 41.23%を占め,₁㌶当たり691.91kgとなって,単位面積当たりでは全省平均より12%以上多い。同 年の農薬使用量は29,379㌧で江西省の39.01%となり,全省平均より6.16%多い13)。仮に水田で₁年 目に₁㌶当たり尿素を600kg使えば,₂年目は600kg以上使わないと増産できず,「化学肥料はアヘン の如く,₁年また₁年と増える」ことにならざるを得ない14)。農薬使用量も増加の一途である。こう した過剰に使用される化学肥料や農薬が面源汚染の大きな要因となり,鄱陽湖の水質を大きく悪化さ せている15)

水土流失や泥沙の堆積も鄱陽湖区の利用可能性を低下させている。2003年段階で湖区11県市の水土 流失面積は3,261㎢に達して当該湖区面積の16.5%を占めており,土壌の浸蝕に伴って流失した窒素・

リン・カリウムなどの有機物質は年間18.78万㌧に達している。さらに江西五大河より流入する泥沙 は毎年平均して2,524.3万㌧で,一部は長江と湖水との出入りによって排出されるが,結局平均して 1,209.8万㌧が湖内に堆積して,湖底は毎年3.2mmずつ高くなっている16)

鄱陽湖の湖面を縮小させ,総貯水量を大幅に減少させた最大の要因は埋立である。中華人民共和国 の成立初期からの農業生産拡大の国家的要求もあって,堤防を作り,埋め立てて耕地とする政策が進 められてきた。第一段階は1950年代で,1949年と54年の洪水被害もあって,以前より強固な堤防を作 り埋め立てた面積は394.9㎢であった。第二段階は1960年代で,食糧確保を第一とする政策が強力に 推進され,堤防の建設に伴う埋立地は793.4㎢となった。第三段階は1970年から78年で,大規模な埋 立が洪水と旱魃発生の原因となっていることが明らかとなり,埋立面積は211.7㎢に減少した17)。合 計1,400㎢に及ぶ埋立は鄱陽湖の貯水量を80億㎥減少させ,沿岸線を800km以上減少させた18)

2000年段階での江西省のGDPは,それぞれ安徽省の66%,湖南省の54%,福建省の51%,浙江省 の33%に止まっている。第一次産業の比率は25%で全国平均より10%高く,第二次産業は35%で全 国平均より10%低くて,工業化水準の低さを示している19)。それは江西省が農業に重点を置く省であ ることを示しており,その中心が鄱陽湖区である。この湖区の人口は1953年のセンサスでは264.6万 人で,人口密度は1㎢当たり134人であったが,2007年には人口が679万人で,人口密度は344人に達 している。江西省の同じ時期の人口が4,339.13万人で人口密度260人であるのと比べると,湖区の方

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に人口が集中していることが分かる20)。2006年の統計では,湖区の耕地面積は総面積の41.12%を占 めているが,₁人平均の耕地は0.123㌶と少ない21)。そのため江西省の農村貧困人口が相対的に集中 している地域となり,鄱陽と余幹の₂県は国家の扶貧開発工作の重点県となり,この₂県に加えて都 昌・楽平・徳安・新幹・万年の₅県(市)は西部大開発と関係する政策の適用対象となっている。湖 区内には江西省が定めた扶貧重点郷鎮が126あり,全省の22.4%を占め,扶貧重点村は973で,全省 の22.8%を占めている。2008年から09年にかけて,この地域の農村貧困人口はさらに増加し,とく に2008年初頭の大寒波による被害がそれを加速した。貧困人口の多くは,生きるために生態環境に背 く行為に向かわざるを得ず,その典型である囲湖造田は洪水や旱魃を頻繁に発生させ,湖区の森林は 乱伐され,非法漁法によって漁業資源が枯渇しようとしている22)。2007年の湖区経済圏の農村労働力 は700万人で余剰労働力は350万人に及ぶ23)。出稼ぎ労働で現金収入を得なければならないこうした労 働者のために工業化を進め,第二次,第三次産業を振興して雇用を確保することが,湖区再生の大き な課題となっている。

鄱陽湖に流入する五大河の水資源総量(1956 ~ 2000年平均)は,以下のようになっている。贛江 流域(水資源総量721.9億㎥)・撫河流域(178.7億㎥)・信江流域(198.7億㎥)・饒河流域(142.5億

㎥)・修河流域(135.2億㎥)で,環湖区も含めて総量は1,479.3億㎥となっており,その中の分配可 能水資源総量は440.0億㎥,実際に分配されたのは347.4億㎥となっている24)。しかし,近年の五大 河の各水文站の測定では,最大・最小流量と平均の流速はいずれも減少傾向を示しており,とりわけ 最近10年間の減少幅は大きい。2003年から07年にかけての五大河から鄱陽湖への年間流入量は,1956 年から1997年までより平均して178億㎥減少し,1998年から2002年までより平均して474億㎥減少して いる25)。鄱陽湖の水資源確保の鍵を握る五大河からの流入量が減少している一方で,上述したように 泥沙の流入は止まっていない。例えば,最大の贛江から鄱陽湖に入る地点に生まれている三角州は,

毎年平均75.55mの割合で湖に向けて拡大しているのである26)。この贛江からの入湖口ではⅣ類水と いう基準値を超える汚染水が測定されており27),江西省南部における贛江流域での環境対策が欠かせ ない。

湖区は日本住血吸虫の中間宿主であるミヤイリガイが繁殖する湿地が多く,罹患する可能性のある 地域は16の県市と284の郷鎮に及び,患者数は34万人で,その脅威を受ける人口は250万人以上となっ ている。鼠害も目立ち,疾病を伝播するだけでなく,農作物にも被害を与えている28)。豚など家畜の 糞尿水も直接河道に排出され,黒色や緑色を帯びた汚染水が贛江などの河川や鄱陽湖に流入してい る。当局は家畜の飼育場は居民区より₅km以上離れ,道路より200m以上離れている場所で,河道に 向かって糞尿水を排出することを厳禁する命令を出しているが29),WTOの競争にさらされ,退田環 湖政策で耕地面積が減少する中で,飼料多消費型の畜産業の前途は厳しく30),糞尿水の処理までコス トをかけられないからであろう。

江西省の2008年の生態環境に関わる経済指標を,全国平均と比較してみる。まずGDPと水消費量と の関係では,江西省がGDP₁万元当たり440.4㎥であるのに対して,全国平均は₁万元当たり273.44

㎥であって,1.61倍も水消費量が多い。土地面積当たりの生産額については,江西省は全国平均の

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77%である。都市汚水の処理率は,江西省が34.93%であるのに対して,全国平均は55.67%で,対 全国比₆割強の水準に止まる。節水灌漑面積の比率は,江西省が7.51%であるのに対して,全国平 均は17.25%となっている。工業用水重複利用率は,江西省は全国平均より16%低い。工業固体廃棄 物の総合利用率は,江西省が35.6%であるのに対して,全国平均は60.2%と,全国平均の₆割にも 満たない水準に止まる。ただし都市の生活ゴミ無害化処理率については,江西省は全国平均に近い。

江西省の₁人当たりのGDPは,全国平均の₃分の₂である現状の中で,環境汚染対策投資の対GDP 比は,江西省は0.8%であるが,全国平均は1.22%である31)。このことから環境関連の投資では,ほ とんどの分野で江西省は全国平均に達していないことが判明する。人口と財政力という面で江西省と 全国を比較すると,2000年から07年の₈年間,江西省の人口は全国の3.3%であるのに対して財政収 入は1.3%となっており,指標に変化はなかった32)。この江西省の財政収入は,広東省の₉分の₁,

上海市の₈分の₁に過ぎず,中部地区の最下位である33)。こうした財政状況の中で,鄱陽湖生態経済 区の新たな政策が一斉に打ち出された。そこでこの政策はどのような内容であり,主として生態環境 の面からどのような意味を持ち,実効力を持つのか,次に考察したい。

₂.開発目標と現実的課題

湖区を中心とする鄱陽湖生態経済区計画は,生態保護の持続的な機制を打ち立て,世界各国の取り 組みを参考に循環経済のあらゆる措置を発展させ,企業が先進技術を採用して伝統的な生産工芸を改 造するように導き,排汚権交易を重要な方式として考える,と基本方針を示している34)。その上で,

工業化,都市化の過程の中にある鄱陽湖生態経済区は,人口が多く,教育水準が低く,資源が相対的 に不足し,₁人当たりのGDPは世界の下位にあり,資源環境を犠牲にして経済的数量を増長させる 伝統的な発展の形態を取ろうとしており,それは資源の持続的利用と生態環境の持続的発展にとって 脅威となっている35),と現実を認める。江西省の現状を見れば,省民の生活水準向上のためにも,工 業や農業などの産業発展は不可欠である。しかし,その発展は生態環境を破壊するものであってはな らない。こうした共通認識の上に計画された生態経済区の目標はいかなるものなのか。

(1)鄱陽湖周辺の砂漠化した山丘を緑化し,湖を巡る防護林を造る。

(₂)優良な豚・肉牛・鶏・鴨などの禽畜の養殖を発展させ,メタンガスを活用し,生物エネルギー を開発して緑色農産品を生産する。

(₃)汚染物の排出が少ない最新技術の産業に加えて,現代物流業,観光業などの現代サービス業 を発展させる。

こうした基本方針の中でも生態環境の保全が優先されており,水質と湿地の維持に力点が置かれ,

「退田環湖,移民建鎮」という埋立の禁止とかつて鄱陽湖が担っていた洪水調整湖としての役割の復 活を謳っている。さらに国際的な渡り鳥の棲息地としての保護事業,湿地を利用しての肉牛・鵝鴨な どの養殖,観光業の振興,生物エネルギーの他に風力や太陽光などの再生可能エネルギーの開発利用 等々多くの目標を掲げている36)。より具体的には鄱陽湖の最高水位線から内陸部にかけての₃km幅 を浜湖開発規制帯とし,その総面積は3,746㎢とする。造林緑化で森林覆蓋率を63%とする。森林保

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護のために2,100万畝(₁畝は6.67㌃)の天然広葉樹林を全面禁伐にする。5,100万畝の天然公益林 を厳格に保護し,3,018万畝の被災公益林を回復する等々生態環境保護についてはかなりきめ細かい 目標が設定されている37)

もっとも最新の技術を取り入れた産業を発展させない限り,湖区の余剰労働力を地元にとどめて就 労させることはできないだろう。そこでこの生態経済区が目標として掲げた新産業は,半導体照明産 業,太陽エネルギー関連産業,新エネルギー利用の自動車と動力電池製造,航空産業,生物医薬製造,

緑色食品(無公害・有機食品)製造,電子情報産業などである38)。これらの産業分野が他地域と競合 しながら生産活動を維持するには,すでに一定の産業基盤とインフラの整備がなされていることが前 提となる。そのため南昌を中心とする光電産業,南昌と新余を中心とする新エネルギー産業,南昌と 樟樹を中心とする生物関連産業,鷹潭と南昌を中心とする銅精錬・精密加工業,新余を中心とする鋼 材加工業,九江を中心とする石油精製・化学工業,南昌と景徳鎮を中心とする航空産業,さらには各 都市の自動車関連部品製造という構成が考えられている39)

しかし,鄱陽湖生態経済区における新産業育成へのハードルは高く,多くの課題があるので,主要 なものを検討していく。まず資金力の問題である。2000年から07年にかけての環鄱陽湖経済圏の全社 会固定資産投資は計6,823億元で,同時期の全国の投資総額の1.2%足らずで,この地域の人口が全 国の1.4%であることから見て40),新産業への重点的投資の可能性は乏しいといえるだろう。財政収 入が多いとはいえない地方政府に,資金面での融資を期待することは難しい。そこで打ち出されたの がABS(Asset-BackedSecuritization)方式である。それは当該項目の資産が将来あげるであろう 収益を証券化し,国際市場で資金を集める証券融資方式であり,建設段階で大量の資金を必要とする 事業推進には有利な方法と考えられている41)。ただし具体的展望があり,確かな収益が見込める事業 でない限り,国外・省外など外部からの投資は見込めないであろう。

江西省の現状については,全体として交通運輸郵電通信業,貿易,飲食など伝統産業の主導的な地 位は改変されておらず,現代的な物流・情報・金融などのサービス業の発展水準が低い状況が続いて いるといわれる42)。さらに今後は資金集中型,技術集中型産業を発展させると同時に,大量の就業人 口を受け入れ市場に直結する労働集中型産業を発展させなければならないといわれているが43),実際 には雇用確保を優先する労働集中型産業に比重を置く方が,地域の経済力上昇につながりやすいだろ う。

いずれにせよ先端産業は,高度情報化社会に対応できる人材の確保とインフラの整備が不可欠であ る。まず人材の確保に関しては,開放型経済を支えるに足る人材の欠乏のため,沿海部の経済先進地 帯に人材を求めざるを得ない現実があり44),特に農民の素質向上が課題とされている。湖区の農民に 対しては,第一に子どもたちの入学率を高めて義務教育の完成を図ること,第二に農民の文化や科学 技術の水準を高めるために夜校・各種訓練斑・新聞・テレビ・映画などを通しての訓練をすること,

第三に地域リーダーとしての「基幹農民」の育成を図ること,第四に各家庭への科学技術の導入工作 を推進することなどがあげられている45)。鄱陽湖生態経済区の地理的位置が内陸にあって閉鎖的なこ とが農民観念の遅れを生んでいると考えられ46),貧困が農民を伝統的観念から脱し得ない要因につな

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がっているとの指摘もある47)

教育界の状況を見ると,江西省では中小学教育の強化が必要とされ48),高等教育に関しても生態経 済区内には全国重点大学が一つもなく,国家の重点学科・重点実験室もきわめて数が少なく,国家か ら獲得する教育科学研究費も限られている。職業教育でも専門技術人材に対する需要にほとんど応え ていない49)。人材供給という面で,最新技術を用いた産業の導入に大きな壁が生じているのである。

交通インフラに関して見ると,南昌昌北国際空港は2009年初めに改造されて滑走路(1本)は3,200m に延伸され,2020年には年間利用者1,200万人,離発着回数12.1万回,取り扱い貨物は年間12万㌧と 予測されている50)。しかし,設定された路線が多くなく,江西省の航空貨物に関していえば,2009年 1月から2010年₃月まで上海の浦東空港が70.37%,広州の白雲空港が17.15%と両者で₉割近くを 取り扱い,昌北国際空港の利用は限られている。それは空港につながる地上交通路の未整備とも無関 係ではなく,道路・鉄道共に接続が悪い51)。船舶も鄱陽湖の水位が正常であれば1,000㌧級の貨物船 の運航が可能であり,上海港に通じることができるが52),渇水時には不可能で,安定的な運輸手段と はなりにくいのである。

産業発展には資源・エネルギーの確保が欠かせない。江西省の地下資源としては,銅・タングステ ン・ボーキサイト・ウランの他に,レアアースなど140種余りが確認されているが53),量的に十分と はいえず,鉄鉱石や銅鉱石を省外から購入しており,エネルギー源としての石炭自給率は50%に満た ず,天然ガスはすべて省外から購入している54)。こうした現実が物語るように,江西省は新規産業振 興の鍵となる資源・エネルギー共に優越しているわけではない。以上のことから生態経済区の先端産 業育成計画には,それを裏打ちする根拠が乏しく,単に希望的項目を羅列したようなイメージが残る のである。

₃.生態環境をめぐる課題と展望

鄱陽湖の住民の環境保護観念についていえば,薄弱で目前の利益を重んじて,長期にわたる発展を 見ようともしないといわれている55)。それは利益最優先の湖区企業にも見られる傾向で,鄱陽湖東部 の楽安江流域の農田と地下水は重金属汚染を受け,流域の村民の内には血液中のカドミウムが基準値 を超えるなどの現象が現れている56)。また周辺諸省の公害規制が厳しいため重汚染型企業が規制の緩 い江西省に移転するケースが目立ち,贛江流域の吉安市は2001年より浙江省の多くの製紙企業を誘致 し,それらの工場から排出された廃水は水汚染事故を引き起こし,2006年に国家環境保護総局と国家 工商総局による査察を受けた57)。生態経済区では,銅・タングステン・タンタル・ニオブなどの有色 金属企業の内,生産品の品質が悪く,汚染を生みながら技術改造がおこなえない企業を取り締まり,

淘汰するとの方針を出し58),年産₃ ~ ₄万㌧以下の製紙用パルプ生産装置や年産1.7万㌧以下のモル タル生産ラインを停止し,年産₁万㌧以下の廃紙を原材料とする製紙工場を閉鎖するなどの措置をと ろうとしている59)。生態経済区がめざした企業とは正反対の環境汚染型企業が現実には展開している ことが窺える。

2007年の江西省の工業分類(37項目)の内,上位₇位はエネルギー浪費型企業で,石炭およびコー

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クス化学・石油化学・黒色および有色金属加工などの伝統工業の比重が高い60)。それでも江西省は,

遅ればせながら鋼材と銅材のリサイクルに取り組みはじめ,固体廃棄物やSO2の排出減少に取り組み 始めた61)。汚水処理場については,2009年末に80 ヵ所の汚水処理場が建設され,生活排水などの集 中処理率は71.24%となり,₁日当たり162万㌧処理できるようになった62)。とはいえ,未処理の工場 廃水,生活排水の他に,家畜の糞尿水も処理されることなく湖に流れ込んでいる63)。農地に投下され る化学肥料と農薬も処理する術なく,農田から湖に流出している64)。湖水中のリン含有量は0.038 ~ 0.131mg /㍑で,すでに富栄養化を生み出す水準に達している65)

江西省が他省に優るのは,鄱陽湖を中心とした生態環境である66)。鄱陽湖区を「魚米之郷」として 存続させる為には,生物農薬を生かして従来型農薬を減少させなければならない67)。使用禁止農薬を 明示し,化学肥料を減らし有機肥料を増やすよう,農民に対する訓練を強化せよ68),との提言もあ る。しかし,具体策と実効性が問われることになり,国家と地方政府の政策実行力が問題となってく る。鄱陽湖の管理面では,制度の不備や法律適用の不完全さが問題とされる69)。緑色食品と称せられ る安全な農産物として認証されるには,公的な品質保証が不可欠である。しかし,緑色食品としての 鑑定認証に必要な基準も不明確で,プロセスも複雑であるため,一般農家はその認証を受ける術がな い70)。生態経済区の各所に設けられた緑色食品質量安全監督検査機構の検査手段や検査能力の向上を 進めなければならない。現に厳格な検査を経ることなく緑色食品の標示を長期にわたって使用してい るケースもある。最近,山東・安徽・河北・広東・湖南・河南などの省は,「食品工業大省」のスロー ガンを作り,主導的産業として積極的な推進政策をとっている71)。鄱陽湖生態経済区としては,他省 を上回る食品安全につながる積極的で信頼を得る政策を進めないと,完全に取り残されることになる だろう。

鄱陽湖の水資源は豊かであると錯覚されていたためか,長期にわたって「福利水」「大鍋水」を当 然のこととしてきた結果,用水管理は粗放であり,用水分配は必要無しと考えられてきた72)。しかし,

江西省の₁人当たりの水資源占有量は,全国平均のわずか₅分の₁であって,水資源に乏しい省の一 つである73)。二期作の稲作では,早稲の生長期である₄ ~ ₆月は梅雨時期で用水確保に困難はない が,晩稲の生長期である₈ ~ 10月は少雨期で,旱害のおそれに直面している74)。都市部では生活用 水の使用量が増大し,工業用水の重複利用率は先進国レベルに遠く及ばない。ここ数年,鄱陽湖に流 れ込む五大河の流量減少と三峡ダム運用開始後の秋の長江流量の減少が,鄱陽湖の水位低下を加速し ている75)

水位の低下は,水質の悪化と富栄養化の可能性を生み,湖に生息する魚類や飛来する渡り鳥などに も影響することになる。湖水域と湿地を確保し,伝統的な洪水調整機能を回復するための退田還湖面 積は,1998年に300㎢に達するなどの取り組みが続いており,洪水調整可能面積は1998年の3,900㎢

から10年近くの間に5,100㎢にまで回復した76)。しかし,水質悪化は続いていて漁獲高は減少してい る。鄱陽湖では,かつて四大家魚といわれる青魚・草魚・鰱(ハクレン)・鱅(コクレン)が漁獲の 中心を占めていたが,最近では漁獲高が急減し,贛江の峡江段では草魚が多少取れるが,青魚・鰱・

鱅は捕獲が難しいと報告され77),捕獲されても低年齢魚の比率がきわめて大きいことも判明してい

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78)。魚類の生息状況の悪化は,産卵場の減少にも現れており79),電捕船と呼ばれる電気ショックで 魚群を一網打尽にする漁法が乱獲に拍車をかけてきた80)。省政府は,魚業資源を守るために休漁期や 禁漁期を設け81),撫州市が大量の稚魚を放流するなど努力を続けているが82),湖底の砂の採取やダム 建設で魚道を設けない83)などの矛盾点や取り締まりの不徹底などが,漁業資源を危機に追いやって いる。

鄱陽湖は世界的な渡り鳥の宝庫であり,その飛来調査は冬場を中心にさまざまな方法で続けられて いる84)。その数値は大きく変動し,一定の傾向を読み取ることはできないが,鄱陽湖の水位の極端な 変動は,水鳥の生息にとって一般的には不利といわれている85)。湖区では比較的風が強いこともあっ て,自然エネルギーとしての風力発電が推進されている。しかし,渡り鳥の飛来と風力発電塔の設置 との関係については,鳥衝突防止策などを慎重に検討しなければならない86)

鄱陽湖区の自然環境は,観光資源として大きな可能性を持っている。しかし,その開発は進まず,

例えば2009年の観光収入に関しては,南昌が約85.5億元であるのに対して,安徽省の合肥は約176.3 億元,湖南省長沙は約343.3億元,湖北省武漢は約550億元,浙江省杭州は約809億元となっており,

南昌の収入はきわめて少ない87)。湖区では全体をまとめる観光計画はなく88),観光地として期待され る国家級重点風景名勝区の中に五つ星ホテルが一つもなく,旅行記念品の生産と販売も十分な態勢と はいえない89)

鄱陽湖自然保護区は2,093.17㎢の広さを持ち90),2010年₃月末までに江西省は₈ヵ所の国家級生 態模範区,28の全国環境優美郷鎮,₉つの国家級生態村,10の省級生態村,184の生態郷鎮,106の生 態村を造った91)。ただこれら生態環境保護を名乗る地域の細部に関する報告は管見の限りでは見つけ られなかったので,これらの地域に共通する水資源の統一管理の視点から状況を見ていきたい。農業 地帯では用水需要の中で最大のものは農業用水であるが,江西省の現有の水利施設で合格といえるも のは₃分の₁で,残りの₃分の₂は不合格で機能を果たしていない92)。当然,用水の浪費現象が目立 つのであるが,鄱陽湖を管理する政府部門は10以上あり,その職責は交差し,協調性に欠け,管理や 湿地保護体制の連繋がない状況が続いている93)。水資源の統一管理体制は,機能しているとはいえな いのである。森林覆蓋率の向上をめざしても,植樹される樹種は経済林・用材林で,土壌の保全には ほとんど繋がっていない94)

鄱陽湖生態経済区では低炭素社会の構築を目標に掲げ,風力発電の推進を主張しているが,とうて い安定的電力源とはなりえないので,彭沢と万安の二つの原子力発電所が計画されている。二つの原 発は,合わせて1,000万KWの設備容量となり,現在の江西省の火力等の設備容量が1,100万KWであ ることから,エネルギー供給量が大幅に増加することになる95)。ただし,万一原発事故の発生となれ ば,湖区のみならず長江下流域に深刻な影響を及ぼすので,慎重に事業を進める必要がある。自然エ ネルギーの活用という面で,稲作地帯であることから生まれる籾殻を利用した発電が試行されてい る。全省の籾殻を利用すれば大型の発電所に匹敵する発電が可能とするが96),そもそも籾殻は有機肥 料となりうるもので,それを農地に散布すれば化学肥料を節約できるし,仮に全省から籾殻を集める とすれば,それに要するコストとエネルギーはどれほどになるのかを考えない机上の空論である。ま

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た鄱陽湖東部の大規模な湿地は,傾斜が₁%以内と緩やかであるので,金属加工・医薬製造・造船な どの工業園を外部資本を導入して建設する計画がある97)。しかし,湿地は鄱陽湖の環境保全の要であ る。はたして湿地を消滅させて,生態環境を守り続けることができるのだろうか。

おわりに

江西省は沿岸部の経済的先進地帯ではなく,一部を除き西部開発の対象として中央政府の重点投資 対象となっていない中間地域でもある。その地理的条件もあって,省民の平均所得は全国平均の₃分 の₂にとどまり,出稼ぎ労働による収入が重要な収入源となってきた。四大淡水湖の中で唯一富栄養 化されていない鄱陽湖と周辺の豊かな可能性を持つ生態環境を生かしながら,地元での住民の雇用確 保をめざす産業育成が,鄱陽湖生態経済区の主要な目標となっている。これは経済発展こそが,その 貧困を脱する最も有力な道であるとの共通認識に支えられた計画であるといえよう。しかし,中央や 地方政府の財政支出も期待できず,ABS方式の資金調達などを唱えても確かな資金確保の手段とは なりえない計画であり,住民の教育と科学水準が低く,交通インフラも未整備の状況を抜本的に改善 する具体策を伴わない計画ともいえよう。現実には,伝統的な産業構造が温存され,外省から汚染型 企業を誘致し,過剰な化学肥料と農薬の投入による農業経営からくる面源汚染が深刻化している。工 場廃水や生活排水,家畜の糞尿水の処理も全国平均の水準に及んでいないが,鄱陽湖水の交替の早さ が,この問題を緩和してきたと考えられる。

三峡ダムの運用による長江の水量変化との矛盾が表面化し,洪水調整を含めた鄱陽湖の本来の機能 を生かす水門設置を初めとする水資源の統一管理が不可欠のものとなっている。観光資源としての活 用も,緑色食品としての認証も全体計画の策定と統一的指導や管理が欠かせない。総花的で相互の連 関性に欠け,実現可能性に乏しい諸々の計画を羅列するだけの生態経済区計画ならば,策定する意味 はない。鄱陽湖は江西省の宝であり,その生態環境を生かす取り組みこそが,他省にはない独自の価 値を生み出すことになるだろう。人口比率の高い農民の意識レベルを少しでも引き上げ,化学肥料や 農薬を適正に使用させ,散布基準を遵守させる取り組みも欠かせない。地方政府が確固とした長期的 視野で,教育的手段など可能な手段を総動員し,湖区やその周辺の住民の意識を変え,遵法精神を扶 植するなど地道な取り組みを続けていくことが,結局のところ江西省を豊かにする最良の道であると 考えられる。

[註]

1)鄱陽湖については,拙稿「長江中下流域湖沼の環境問題」(『神戸女子大学文学部紀要』第42巻,2009年)で 部分的に取り上げているが,本稿では特に生態経済区に焦点を絞って考察している。なお本稿の関係文献につ いては,以下の略称をもって明示する。

・黄国勤等著『鄱陽湖区農業生態系統可持続発展研究』(中国環境科学出版社,2011年)→『農業生態』。

・肖文海等編著『鄱陽湖生態経済区生態工業発展問題研究』(中国環境科学出版社,2011年)→『生態工業』。

・廖進球等編著『鄱陽湖生態経済与産業発展研究』(中国環境科学出版社,2011年)→『産業発展』。

・王万山・黄建群等著『鄱陽湖生態経済区開放型経済研究-江西開放型経済2008黄皮書-』(江西人民出版社,

2008年)→『開放型経済』。

(10)

・黄国勤著『探索鄱陽湖生態経済区建設』(中国環境科学出版社,2011年)→『生態経済区建設』。

・楊永生・許新発・李栄昉著『鄱陽湖流域水量分配与水権制度建設研究』 (中国水利水電出版社,2011年)→『水量分配』。

・張利国『鄱陽湖生態経済区生態農業与農村発展研究』(中国環境科学出版社,2011年)→『生態農業』。

・殷剣敏・蘇布達・陳暁玲・王懐清・鄭林主編『鄱陽湖流域気候変化影響評估報告』(気象出版社,2011年)→『気 候変化』。

・麻智輝・李志萌主編『鄱陽湖生態経済区研究』(江西人民出版社,2010年)→『生態経済区』。

・周文斌・万金保等著『鄱陽湖生態環境保護和資源総合開発利用研究』(科学出版社,2012年)→『総合開発』。

・黄新建・陳暁玲著『鄱陽湖区域生態経済発展模式研究』(科学出版社,2012年)→『生態経済発展』。

・黄新建等著『鄱陽湖生態経済区産業体系研究』(中国社会科学出版社,2011年)→『産業体系』。

・李風山・劉観華・呉建東主編『鄱陽湖湿地和水鳥的生態研究』(科学普及出版社,2011年)→『湿地和水鳥』。

・呉志強等著『鄱陽湖水系四大家魚資源及其与環境的関係研究』(科学出版社,2012年)→『四大家魚』。

₂)『生態経済区』51頁。

₃)『農業生態』224頁。

₄)『産業発展』38頁,『生態工業』19頁。鄱陽湖生態経済区の財政収入に関していえば,2005年段階で江西省全 体の27.4%しかなかったのに対して,固定資産投資総額は51.7%と投資に関する優遇措置が図られていたこと が分かる(『開放型経済』140頁)。

₅)『開放型経済』94頁。

₆)『生態工業』30頁。2008年7月の18 ヵ所の調査では,Ⅲ類水が13 ヵ所であるが,それより悪いⅣ類およびそれ より劣る水が₅ ヵ所と₂年前より9.9%増加した(同書,39頁)。

₇)『生態経済区建設』63頁。

₈)『生態経済区』408頁。

₉)『生態経済発展』99頁。

10)『農業生態』84頁。

11)同前書,21頁。この書では,2005年の食糧作物播種面積の93%が水稲(同書,153頁)と,異なったデータも 示しているが,水田が圧倒的比重を占めていることに変わりがない。

12)『産業体系』24頁。

13)『農業生態』154 ~ 155頁。1997 ~ 2006年までの単位面積当たりの窒素投入量は,国際的に公認されている上 限を超えている(同書,249頁)。さらに2005年の中国の化学肥料総使用量は4,766万㌧で,世界の約35%を占め ている(『産業発展』129頁)。

14)『産業発展』145頁。

15)中国の農薬生産量は,1989年の10.62万㌧から1997年の39.45万㌧に増えており(『総合開発』231頁),輸出 比率を考えなければならないとはいえ,中国の農薬使用量の大幅な増加が予想され,江西省も同様の傾向と考 えられる。

16)『農業生態』192頁。2003年の水土流失面積をレベルに応じて分類すると,強度の水土流失が13.1%,中程度 が22.9%,軽度が63.9%である(同書,248頁)。それが2006年には強度の水土流失が14.5万㌶(30.5%),中 程度が15.4万㌶(32.4%),軽度が17.6万㌶(37.1%)で,水土流失面積は4,750㎢に増えるとともに,強度・

中程度の増加が目立つ(『総合開発』58頁)。

17)『開放型経済』258頁。

18)『産業発展』102頁。なおここで1954 ~ 95年の湖水域の減少を1,300㎢としているのは,「退田還湖」政策が 1998年以降であるため,自然要因による湖水面の回復があったとも考えられる。

19)同前書,39頁。

20)『総合開発』85頁。

21)同前書,68頁。

22)『生態農業』93 ~ 96頁。

23)『開放型経済』26頁。

(11)

24)『水量分配』166 ~ 168頁。

25)『生態経済区建設』61頁。

26)『総合開発』88頁。

27)同前書,195頁。贛江をはじめとする五大河の水質を良好とする評価もあるが(『生態経済区』10頁), 「九五」

期間,主として総リン・過マンガン酸塩などの汚染物質が贛江南支口に出現しているという指摘は具体的である。

28)『農業生態』194頁。血吸虫病には急性・慢性・晩期・異位の₄種類があるが,湖区ではミヤイリガイと接す る機会が多いため急性が多い(『気候変化』137頁)。

29)『農業生態』208 ~ 209頁。

30)同前書,213頁。家畜飼育のコストの厳しさは,2010年₄月の豚肉価格が₁kg9.5元であるのに対して,生産 原価が₁kg10.2元と原価割れ状態にあることからも分かる(『産業発展』130頁)。

31)『開放型経済』306頁。

32)『産業発展』52頁。

33)『生態経済区』12頁。

34)『生態工業』11頁。

35)同前書,21頁。

36)同前書,24頁。

37)『農村発展』120 ~ 127頁。

38)『生態経済区』257 ~ 259頁。

39)『生態経済発展』75頁。

40)『開放型経済』28頁。

41)『生態経済区』113 ~ 114頁。

42)同前書,269頁。

43)同前書,272頁。

44)『開放型経済』88頁。

45)『農業生態』197頁。

46)『農村発展』83頁。

47)1990年代より生まれてきた新たな貧困の原因として,子どもの大学への進学に多額の支出をすることがあげ られている(同前書,97 ~ 98頁)。また江西省に中でも湖区農民の平均寿命は都市より₆歳近く低く,妊婦死 亡率・乳幼児死亡率は都市の₃倍であり,病気による貧困への転落は貧困原因のトップとなっている(『産業体 系』24頁)。

48)『生態経済発展』70頁。

49)『産業体系』22頁。

50)『生態経済区』181頁。

51)同前書,185 ~ 186頁。

52)『開放型経済』112頁。

53)同前書,53頁。

54)『産業発展』80頁。

55)同前書,159頁。

56)同前書,118頁。21世紀に入って鄱陽湖周辺の12県区から直接流入する工場廃水・生活汚水は年間₂億㌧に達 している。

57)『生態経済区』56頁。

58)同前書,20頁。

59)同前書,276頁。

60)『生態工業』38頁。

61)同前書,78頁,129頁。

(12)

62)『生態経済区』147頁。

63) 『産業体系』149頁。1998年より2006年にかけて鄱陽湖地区の工場廃水は42.9%増加した(『生態経済発展』179頁)。

64)流失率を80%として,2006年の湖区からの化学肥料の流入量は,40.88万㌧,農薬の流入量は2.34万㌧と推 定されている(『生態経済発展』179頁)。

65)『総合開発』61頁。

66)『産業発展』44頁。

67)『生態経済区建設』122頁,127頁。

68)『生態経済区』96頁。

69)『生態経済区建設』66頁。

70)『産業発展』125頁。

71)『生態経済区』300頁,302頁。

72)『水量分配』185頁。

73)『生態工業』30頁。

74)『総合開発』250頁。

75)『気候変化』47 ~ 48頁。

76)『総合開発』67頁。

77)『四大家魚』42頁。

78)同前書,63頁。

79)『開放型経済』260頁。『四大家魚』49頁。

80)『四大家魚』18頁。卯田宗平「中国における環境史研究の可能性-生産技術からみるミクロな人間-環境系」

(水島司編『環境と歴史学』勉誠出版,2010年,所収)は,鄱陽湖における鵜飼い漁を伝えているが,現実に は電捕船による不法漁法が伝統的な漁法を駆逐している。

81)『総合開発』269頁。

82)『四大家魚』72頁。

83)同前書,92 ~ 93頁。

84)『湿地和水鳥』は,その詳細な報告書である。

85)鄱陽湖の周辺にある養殖用の湖は,水位変化が小さいため天然の食物に乏しく水鳥は少ないが(『湿地和水鳥』

152頁),適度の水位変化が湿地利用につながれば,鳥類の多様性の可能性を高める(同前書,166頁)と考えら れている。

86)『農村発展』134頁。

87)『生態経済区』185頁。

88)『開放型経済』172頁。

89)同前書,164頁。それでもこの生態経済区の中のGDPの面では,観光業は10%を超えており,発展させる必要 がある(『生態経済区』131頁)。ただし,ホテルやレストランから出る生活排水は全体の16%を占め,ゴミ類の 増加も目立っている(『産業発展』135頁)。

90)『総合開発』56頁。

91)『生態経済区』354頁。

92)『生態経済区建設』147頁。

93)『産業発展』145頁。

94)『気候変化』49頁。2000年以来,速成の柳を植えるブームが湖区に広がった(『生態経済区建設』64頁)。

95)『産業発展』52頁。

96)『生態経済区』374頁。

97)『生態工業』136頁,138頁。

参照

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