二重大学教育学部研究紀要 第 57巻 社 会科学 (2006)63‑79頁
1 . は じめに
現在、子 どもを取 り巻 く環境 は著 しく変化 している。
都市化による自然環境の減少、学歴社会醜 スケジュー ルによるゆとりの減少、それに伴 う仲間集団の解体な ど、それ らは しば しば 『「 三間」(空間 ・時間 ・仲間) の消失』 と表現 される。 また、核家族化 ・少子化の影 響による家庭環境や人間関係 の変化、携帯電話 ・イ ン
ターネ ットの普及によるコ ミュニケーションの多様化 など、子 どもをめ ぐる環境の変化 は家庭、学校、地域 を含んだ子 どもの生活環境すべてにわたっている。
このような状況の中で、いじめや不登校などの子 ども をめぐる社会問題は年々深刻になっており、近年におい ては少年犯罪の低年齢化 0凶 悪化 も指摘 されている。
﹄ 日
要
世代 間比較 か らみた子 どもの居場所 に関す る研究
一 個人的居場所 の場合 ― 中島喜代子 ・小長井明美 ・木屋 真 依
Studies on the Children's Place from the viewpoint of cOmparison between generations
一 The Case of the individual Place一 Kiyoko NAKAJⅢ A,AkemilKoNAGAIand Mai KIYA
現在、「 子 どもの 「 居場所」がない」 といわれているが、子 どもの 「 居場所」がどのように変化 したのか実 証的に研究 されていない。そ こで本研究では、子 どもの 「 居場所」 を世代間比較を通 して検討 し、現在の子 ど もの 「 居場所」の実態 と特徴を明 らかにす る事を目的 としている。 この目的を達成す るため、 「 居場所」 の定 義および理論的枠組みを考察 した上で、高校生 とその保護者を対象 に調査を行 った。本研究では、 「居場所」
を 〈 他者 との関わ り〉の視点か ら 「 社会的居場所」 と 「 個人的居場所」 に分類 した。 さ らに、「 個人的居場所」
についてはその意味内容 と要求の次元か ら4つ の種類に分けて調査 し検討 した。なお、今回は特に 「 個人的居 場所」 についての報告である。調査の結果、以下の知見を得た。
〈 子 ども世代〉 の方が家庭、地域 における個人的居場所の所有率 は高 くな っているが、学校 における個人的 居場所 はみつけに くくな っているといえる。 これは、く 子 ども世代〉 の方が家庭 において子 ど も部屋 の専用個 室化、地域ではお店を多用途 に利用 していることと関係 していると考え られる。
また、両世代 ともに、家庭 ・学校 ・地域すべてに個人的居場所のある子 どもは 3〜4割 お り、 どこに も居場 所のない子 どもも0.5〜1割存在 している。
家庭 に個人的居場所のある子 どもが多 い中、家庭にはないが、学校や地域 にはある子 ど もも 5〜7%み られ る。 このことか ら、個人的居場所の中心 となる場所は家庭であるが、それ以外の場所に個人的居場所を求めて いる子 どももお り、学校や地域が個人的居場所を補完 していることが明 らかになった。
こうした多 くの問題を抱えた現代の子どもの心理状態を 安定 ・回復させるためには、 一人になって自分を取 り戻 せる場や、気持ちが通 じ合える人 とのコミュニケーショ
ンの場などの 「居場所」を持つことが非常に重要である といえる。 しか し、子どもを取 り巻 く環境の著 しい変化 が、時間面においても、 空 間面 において も、 人間関係 の面においても、子どもが自分に適 した 「居場所」を持 つことが困難な状況をつ くり出していると考えられる。
これまでの研究をみると、「居場所」 を タイ トルや キーヮー ドに用いたものはあまり多 くはな く、小学生 や中高生 の 「居場所」の現状を扱 ったものが多少み ら れる程度である。 しか し、現在の 「居場所」の実態だ けでは、子 どもの 「 居場所」がどのように変化 してい るのかを捉えることはできず、現在の 「 居場所」の実
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