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産学共同研究に関する大学の研究者の意識 と 研究方針に関する研究

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(1)

産学共同研究に関する大学の研究者の意識 と 研究方針に関する研究

綿 引 宣 道

問題の所在

先の研究 (綿引2001a)では、共同研究の申 し込みは、 リエゾン ・オ フィス (た とえば地域共同 研究センター)などの公的機関を通 じての企業 と知 り合 うよりは、む しろ学会や講演会あるいは直接 申し込まれる方が多いことがわかった。 このことは、共同研究を取 りまとめると期待されていた共同 研究センターの存在意義を脅かす調査結果であ り、今後効果的な リエゾン活動を してい くための元 と なる。

これまで分かったことでは、大学の研究者が企業 と共同研究にいたる経緯は、Granovatter(1995) の転職に関する研究結果 と非常に似ている。彼の研究によると、知識労働者が職を得る際に公的な職 業紹介所や新聞広告などを経 由して仕事を得るよりも、む しろ個人的なつなが りによって職を探す こ

との方が多 く、またその方が高い満足度 とい う結果が出ている。

知識労働者の場合、その専門性が高まるほ ど細分化されていき、課業を標準化 しに くいため、説明 することが非常に難 しくなる。結果 として自分の専門性を説明する能力が求め られ、またその専門性 を活かす職場を探すチャンスを増やす存在 として、友人や知人の介在が考えられる。

大学での研究者の研究 も、その研究内容はきわめて高度である。それを利用する企業側でその内容 を充分に理解する能力があるとは限らない。ましてや、データベースのキーワー ド検索で出て くる部 分はかな り限 られた情報であ り、現実の状態 と入力までに時差が生 じる。 このミスマ ッチは日常的に 発生するであろう なぜならば、企業に内容を充分に理解する能力があれば、企業が単独で研究開発 を行 うことが可能で、大学の研究者の支援が必要無 くなるからである。 これは、企業側だけではな く 大学研究者にとっても互いに情報の非対象性が存在することを意味 している。

1番重要なのは、研究内容 とその レベルである事は言 うまでもないが、 この問題 と別の観点から検 討を加えることに した。つまり、講演会や学会発表 といっても分野によっては、大学の研究者ばか り ではな く、企業の研究者が多 く聞きに来ているケースが多々あ り、また学会や リエゾン ・オフィスが 催す講演会によっても対象者を誰に絞 っているのかによっても差が出ると考えられる。 と言 うのも、

例えば リエゾン ・オフィスや 自治体が催す講演会では、ある程度研究開発部門を持つ企業が参加する ような場合では、その分野に限っては高度な内容を発表することが可能になるものの、 これか ら研究 開発を行お うと思っている企業を対象に した場合は、研究全体の観点か ら見ればきわめて低 レベルの 話 しの出来な くなる可能性がある。

このため、実際に発表する立場からどのような人を対象 として共同研究をする上で何が重要である

(2)

かを考えているのか、 どの程度重視 しているのかについて質問 した。「高度に専門性を持つ人を対象 にしたものを書 く能力」であるか、あるいは専門家以外の人が理解 しやすいように説明する能力であ るのか、また 「異分野を含めた幅広い知識」をもって多 くの角度か ら多面的にものを見て説明する能 力が必要なのか、最後に 「社交性」について質問 した。全ての質問項 目は、5段階で評価 してもらった。

このアンケー ト対象者は、共同研究の経験者 と未経験者であってもこれから希望する人である。アン ケー トに関する具体的な方法に関 しては、綿引 (2001b)を参照されたい。

専門家を対象とした論文

大学での研究内容が企業で活かされるためには、企業は研究開発型であればその内容は非常に高度 なものが求め られる。テクノポ リス法の発想や多 くの自治体で行われているような産業政策から見た 産学共同には、きわめて高度で最先端の技術を大学で作 り出し、それを大学の近隣にある企業で商品 化 し、雇用の増大につながるなど地域の経済活動を高めることが求め られている。 したがってこの方 針に従 うならば、きわめて高度な研究成果を出す必要がある。

実際に、企業が共同研究を行 う際に、大学の研究者を探す手段 として、論文や研究者総覧などのデ ータベースを利用することが多々ある。論文のデータベースに載るには、学会誌など高度に専門性が 高 く、 レベルが高い必要がある。そこで、「専門家が読むような学会誌に論文を書 く能力が必要であ るか」について、 どのような評価を しているのかを質問した。

3大学での経験の有無での比較

先述 したように、共同研究を行 うには国家や 自治体の発想からすればきわめて高度な研究が大学に 求め られている。 また、企業が共同研究の相手を探す場合、論文のデータベースを利用 していること を考えてみると、専門家が読む論文を書 くことが必要 と思われた。

グラフ1を見てみると、経験者 も未経験者 も 「どちらともいえない (評価3)」と評価する回答が 最も多い ことが分かる。

グラフ1

% 専門家が読む論文を書 く能力が重要である

305 30 25

21100505 l= :::ft /ケ\

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有意確率p=0.14で、統計的に有意であるとは言えなかったが、両端を比較 してみると、その傾向 に違いがあるように見える。経験者は、専門性の高い論文を書 く能力について未経験者 よりもそれは

(3)

ど必要であると思ってお らず、必ず しも企業は専門性の高い論文を重視 しているわけではない と思 っ ていることが分かる。む しろ、未経験者の方が専門性の高い論文を書 くことが重要であると感 じてい るように見える。

この ことは、その大学が存在する地域性の問題、すなわち共同研究するうえで相手 となる企業が ど れだけその地域に根付いて産業 として発達 しているのか、の問題が考えられる。特許権な どの知的財 産や最新の技術を利用す る能力が相手企業にあるのか、大学の研究 と地域の産業のニーズがあってい るのかの違いがあると考えられた。

②大学間比較

先述 したように、3大学で違いが生 じる原因としては、 このあた りの意識の違いがあるか と考 えら れた。そこで、大学別に経験の有無で比較 してみたところ、大学 ごとにかな り大きな違いがあること が分かった。3大学の単純な比較でみた場合、 この比較は経験の有無で大学や分野別で分類せずに比 較 しているが、有意確率p=0.00とな り大学間でかな りの差があることが分かった。

グラフ2

% 専門家が読む論文を書 く能力が重要

35 30

2521105050 A

+++.‑‑㌔■・0‑..‑‑秋田大乗娃類書‑‑岩手大束経尊者..‑秋田大軽尊者弘前大経類書弘前大乗経類書%S*##%

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思わない1 3 強 くそ う患う5

弘前大 秋 田大学 岩手大学 全体

経鹸者 未経験者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 経験 者 未経験者 平均 2.98 3.41 3.44 3.72 3.03 2.93 3.14 3.42 標準誤 差 0.14 0.16 0.17 0.16 0.15 0.23 0.09 0.10

中央値 3 3 3.5 4 3 3 3 3

最頻値 3 3 5 3 3 3 3 3

標準偏 差 1.26 1,19 1.38 1,13 1.15 1.26 1.28 1.21 分散 1.58 1.42 1.91 1.28 1.32 1.58 1.64 1.47 尖度 ‑0.84 ‑0.34 1.07 ‑0.59 ‑0.61 ‑0.74 ‑0.92 ‑0.60 歪度 ‑0.07 ‑0.47 ‑0.37 ‑0.40 ‑0.27 0.02 ‑0.17 ‑0.35

標本数 82 59 66 53 60 30 208 142

弘前大学 と岩手大学では、最頻値が中立の評価 3に偏る傾向がある一方で、秋田大学は、他の 2大 学 と異な り、経験の有無を問わず 「強 くそ う思 う (評価5)」と回答する場合が相対的に高い。 とく に秋田大学の経験者の場合は、「中立」に評価 したもの と 「強 くそ う思 う」 と評価 したものの二つに

(4)

分かれ、最頻値が 「強 くそう思 う」に偏る傾向がみ られた。その一方で、各大学の中での経験の有無 で比較 した場合では、弘前大学を除いて秋田大学 と岩手大学ではその違いは有意であるとはいえなか った。弘前大学の場合は、経験の有無にかかわ らず最頻値は 「中立的」評価にあるものの、歪度か ら 分かるように経験者は‑0.07で未経験者は‑0.47と、未経験者の方がやや専門家が読む論文を書 く能 力を重視 している傾向にある (有意確率p‑0.04)。秋田大学では、経験の有無による評価の違いは 有意であるとは言えなかったが、弘前大 と大きく異なる傾向がみ られた。秋田大学では 「どちらでも ない」か ら 「そ う思 う」 と評価する人は、経験の有無に関係な くほぼ同 じ割合で存在 し、「そう思わ ない」 と回答 しているのは経験者の方がやや多いが、統計上の有意は見 られなかった。

岩手大学の場合 も、弘前大学 と同様に全体像に近 く、「強 くそ う思 う」の部分に関 してみれば、未 経験者の方がわずかに多いように見えるものの、 これも統計的に有意 (p‑0.64)であるとまでは言 えなかった。

当初の予想では、「専門家が読む論文を書 く能力」を どれだけ重視するかが、共同研究に影響を与 えているか と思われたが、グラフ 2と表 2を見 る限 りにおいて、 この意識の差が大学の共同研究の 件数に影響与えているわけではなさそ うだ。 しか し、経験の有無にかかわ らず 「強 くそう思 う」が多 いのは、なぜだろうか。 これに関 しては、分野で確認する必要がある0

③分野間比較

専門家が読む論文を書 く能力」を どれだけ重視 しているかが、大学間で比較するとき共同研究に 影響 しているのかは未知数であるが、少な くとも大学間において大きな差があることだけは②か ら明 らかになった。 この理由としては、分野によって共同研究の相手 となる企業の質が異なって くるので はないか と予想される。高度に専門性を求める傾向がある企業 (あるいは部署)であれば、純粋に研 究開発部門の研究者が理解できる内容であれば良 く、まさに専門家が読む論文を書ければよい ことに なる。その一方で、基本原理は確立 していても、商品化 との間に大きなギャップがある場合、つまり 学術的には解明済みでも産業側でそれを知 らなかっただけであるような、限 りな く技術指導に近い状 態では、 この能力は却って阻害要因となる可能性がある。

グラフ3

% 専門家が読む論文を書 く能力が重要 (分野別)

50 45 40 35 30

2521105005 A +L+.Lr..L:.i一一一理学......医学工学農学複合

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思わない1 3 強 くそ う思 う5

(5)

3

理 学 工 学 農 学 医学 複合

平均 2.93 3.10 2.94 3.80 2.96 標準誤差 0.21 0.11 0.16 0,12 0.18

中央値 3 3 3 4 3

最頻値 3 3 3 5 3

標準偏差 1.39 1.09 1.09 1.25 1.27 分散 1.93 1.20 1.19 1.55 1.61 尖度 1.14 ‑0.39 ‑0.20 ‑0.34 ‑0.84 歪度 ‑0.09 ‑0.26 ‑0.08 ‑0.78 0.07

経験の有無はサ ンプル数が少ないため検定不可能

本調査では分野 ごとにおける経験の有無に関 しては、サンプル数が少な くなって しまうために、検 定は不可能であったが、それぞれの分野に関 しては分野によって若干の違いが出ている。単純な分野 間の違いは、有意確率p‑0.00で統計的に有意であることが言えた。

グラフ3を見ると、二つのグループに分け られる。一つは医学の分野で、専門能力をきわめて重視 する傾向、すなわち最頻値は 「強 くそ う思 う (評価 5)であ り、「そ う思わない (評価 1)が最 も 少ない。特に、医薬品や医療技術 といった分野では、免許の問題や流通の問題か ら専門メーカーが集 中する傾向がある。 このような企業であれば、企業 自体に高度に専門能力を持った研究者が多 くいる と思われるため、彼 らが理解できる論文を書 く能力があれば充分であると予想される。

理学分野では、「そ う思わない (評価 1)と回答 しているのが 25% と他の分野か ら比べて極めて 多 く、続いて中立的評価であ り相対的に他の分野 と比べて評価にあまり偏 りが見 られない。

他の研究分野か ら比較 して極めて基礎研究の性格が強いため、最初か らその分野が理解できる企業 (あるいは部署) と共同研究を行 うのであろう。つま り、製品化する上でボ トルネ ックとなる技術が 特定の分野に集中 している場合、研究者の意識は高度に専門性の高い論文が書ければよい とする方向 へ向 くであろう。その一方で、理学分野は、他の分野 との連携が低い ことか ら専門性が高すぎる論文 は、学術的に評価されても企業側に理解 されに くくなるために共同研究につなが らない ことへの反省 なのかもしれない。

最 も多かったのは、最頻値が 「中立 (評価3)」で両端に行 くほ ど回答者数が少な くなるグループ である。工学分野の中には研究開発部門だけではな く製造過程に関する研究を行 う場合 もあ り、そう いった場合には研究者間においては、きわめて常識的なことであっても、実務家サイ ドでそれを知 ら ないために大学研究者が啓蒙活動 として技術を指導することがある。

また、イノベー シ ョンはSchumpeter(1923)が示 しているよ うに、新技術の開発 だけではな く 既存技術の組み合わせ方を変更 ことによっても生 じる。 したがって、極めて高度な専門家が勤務する 企業 (あるいは部署)であっても、大学研究者が書いた論文を必ず しもその分野の専門家が読む とは 限 らず、 またそもそもその分野の専門家が勤務すると限 らない。大学研究者が 自分が開発 した技術 を活か してもらいたい と思 っている場合は、専門家以外の人が理解できるような方法を心掛けなけれ ばな らない。つまり、製品化する上でボ トルネ ックとなる技術が複数ある、あるいは しば しば入れ替 わるような企業 と共同研究を行 う場合には、高度に専門性のある論文はさほ ど重視 されない ことが言

(6)

えそうだ。

専門外の人にも分か りやす く説明する能力が必要である

前節で示 したように、製品開発の上でボ トルネックとなる技術が異分野の研究 と組み合わせが必要 な企業 (あるいは部署)の場合は、専門家が読む論文を書 くだけでは企業研究者が理解できないため 技術の移転が行われない可能性がある。

それだけではな く、イノベーションが発生 したところから、それを製品化するあるいは一般へ と普 及するには大きな壁があるようだ。 これをvon Hippel(1988,1994)や小川 (2000)は、情報の 粘着性の概念を説明 している。彼 らの説明によると発明者以外に発明の優位性が理解させるには、説 明と時間とい う大きなコス トが必要 となるようだ。 この原因には、イノベーションを構成する技術が 理解される必要がある。さらに、その技術の優位性を従来の技術 と比較 して理解されなければならな い。ある発明に関して、特定の分野に従事する研究者にとっては画期的なものであっても、他の分野 に従事する人から見れば昔か ら知 られていることは、 しば しば見受けられる。 このような状態は、ま さに情報の粘着度が高いために生 じることである。

この情報の粘着度を低 くするためには、その技術内容を異分野の人たちにも理解 しやすいように説 明する能力が必要 となる。 この件に関 して、大学の研究者はどのような意識を持っているのかについ て質問を している。

(93大学での経験の有無での比較

前節の回答結果によると医学 と理学分野を除 く他の分野では、専門家が読む論文を書 く能力に関 し ては中立的な傾向がみ られたため、当初の予想では、専門家でない人への説明能力はさほど重視 して いないように思われた。 とうい うのも、 自分の専門性を充分に理解 していない企業 との共同研究は望 んでいない と予想されたからである。

グラフ4

% 専門家以外にも説明できる能力が重要

35 30 25 2015

1050 /本こL1一̲ l= ≡≡芸者l

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ところが予想に反 して、全体は専門家以外にも説明できる能力を重視 していることが分かった。 こ れは、経験の有無によって分けているが、基本的にここでのアンケー トに協力 してもらった未経験者 は、共同研究を希望する人のみであることか ら、 自らもこの能力を重視 していることが分かる。

(7)

3大学全体を通 じて、共同研究の有無の比較か ら見るとほ とん ど同 じ回答傾向で、違いがない と ( 意確率p‑0.19)み られる。両者 ともに 「思わない (評価1と2)」は少数であ り、「ややそ う思 う ( 4)」が最頻値 となってお り、「強 くそ う思 う (評価5)」はやや少な くなっている。 したがって、

専門家以外の人に説明する能力に対する意識の違いが共同研究に与えている影響はほとん どない と言 える。

②大学間比較

3大学全体での経験の有無では違いがみ られなかったが、大学によって若干の差が見 られるかもし れないので、 どれだけ 「学術的な素人」にも意識が向いているのかについて比較 してみた。 と言 うの は、岩手大学のINSのよ うに地域に貢献する目的で作 られたサー クルが、共同研究のケースに大 き く寄与 している場合があるか らである。岩手県 も基本的に秋田県や青森県のようにそれほ ど大きな産 業があるわけでもな く、先端的な研究をする企業が多数あるわけでもない。地域に貢献すると言 うこ

とは、この3県においては専門家以外の人にも技術移転を考えなければな らない ことを意味 している。

このような環境 も若干 この回答の傾向に影響を与えているようだ。

グラフ5

% 専門家以外にも説明できる能力が重要

45 40 35 30 25

20115050 ‑‑●+....‑‑‑ト.....十‑t.......[....岩手大夫桂類書.秋 田大夫経壌者弘前大桂額者秋 田大経唇音弘前大夫経額者岩手大経額者

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弘前大 秋田大 岩手大 全体

経験者 未経 験者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 平均 3.74 3.93 3.92 4.17 4.07 4.00 3.89 4.04 標準誤 差 0.13 0.12 0.13 0.ll 0.13 0.19 0.08 0.08

中央値 4 4 4 4 4 4 4 4

最頻値 4 4 5 4 4 4 4 4

標準偏 差 1.17 0.93 1.07 0.78 0.97 1.02 1.09 0.89 分散 1.38 0.86 1.15 0.61 0.94 1.03 1.19 0.80 尖度 0.36 0.12 0.58 ‑ 0.32 1.61 1.18 0.71 0.43 歪度 ‑0.98 ‑0.54 ‑ 0.93 ‑ 0.56 1.17 ‑ 1.05 ‑ 1.03 ‑ 0.73

標本数 82 59 66 53 60 30 208 142

(8)

当初INSを中心 とす る産学官のサー クル活動が充実 している岩手大学で、他の2大学を大 き く引 き離 し重視 していると思われたが、いずれ も大学による分類、経験の有無による比較氏にもかかわ ら ず中央値は評価4であ り、最頻値では秋田大学での経験者が評価5で有るものの、それぞれの有意確 率はいずれ もp>0.05であ り、違いがない ことが言えた。

③分野間比較

分野間での比較については、前の章の 「専門家が読む論文を書 く能力」のような違いが見 られるか と思われた。狭い範囲での技術が重要であるような企業を相手 とするような分野、 Ⅱでは理学 と医学 であったが、この二つの分野では「そ う思 う(評価45)傾向がみ られると予想 された。 と言 うのは、

理学や医学 といった分野では、先に示 したようにそもそも製造免許や流通の問題か ら企業そのものが 限定されてお り、結果 として共同研究つながると思われる企業は限 られると考えられるか らである。

グラフ 6

% 専門家以外に説明する能力が重要

50 45 40 35

322110500055

ー 理 + 一一

‑ 一.

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一 一 一 一

...医学工学農学

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理学 工学 農学 医学 複合

平均 2.93 3.10 3.85 3.87 4.04 標準誤差 0.21 0.11 0.13 0.12 0.14

中央値 3 3 4 4 4

最頻値 3 3 4 5 5

標準偏 差 1.39 1.09 0.88 1.22 1.03 分散 1.93 1.20 0.78 1.48 1.06 尖度 1.14 ‑ 0.39 1.00 0.22 1.13 歪 度 ‑ 0.09 ‑ 0.26 ‑ 0.68 ‑ 1.00 ‑ 1.09

経験の有無はサンプル数が少ないため検定不可能

この質 問 に関 して は、先 の質 問 と異 な り分 野 に よ って か な り傾 向が違 うよ うだ (有 意 確率

p=0.00)

異分野 との連携が重要であると予想に対 して、工学 と農学の最頻値が 「ややそ う思 う (評価 4)」で、

強 くそ う思 う」になる とやや少な くなる。 これに対 して、医学、複合の各分野の最頻値は 「強 くそ う思 う (評価5)」の二つのグループに分かれるように見える。

(9)

理学は企業 と共同研究を行 うには、先に述べたように基礎研究の傾向が強 く、きわめて専門性が高 くかつ近い企業 との共同が中心になる可能性が高 く、「そ う思わない (評価1)が他の分野よりかな り多い。

医学は企業研究所の側 に医師が勤務 している可能性はほ とん どな く、複合 は複数の分野にまたが り集合体 としての独 自の分野を形成するため、共同研究を行 う際に専門家が企業側に依存する可能性 がある。また複合に関 しては医学分野 と同 じような回答分布が見 られたが、その原因に関 しては分か らなかった。複合の中には医学分野に近い物が多数含まれることか ら、おそ らく類似 した傾向が見 ら れると考えられる。 これ らの回答傾向に関 しては、統計的に分野間で違いがあるといえた (有意確率 p=0.00)0

異分野を含めた幅広い知識

先ほどⅢとⅢで検討 したように、製品化するのにボ トルネ ックとなる技術が限 られた範囲に集中 し ている企業あるいは部署 と共同研究を行 う分野 (医学)では、極めて高度に専門的な論文を書 く能力 が重要であると感 じているようだが、広範囲にわたる技術を必要 とする企業 と共同研究を行 う分野 ( 学 と農学 と複合)では、研究内容を製品 として活か してもらうためには、他の分野の知識が必要 とな るであろう

アカデ ミックでは、きわめて狭い範囲での研究を行 うのが通例であ り、そ うでない と評価されに く い傾向がある。企業などに技術を移転するには、アカデ ミズムのような発想では柏手企業が理解でき ない可能性がある。通常、企業が作 り出す製品は、単一の技術あるいは特許によって構成されるもの は皆無であ り、 どんなに素晴 らしい技術であっても通常複数のもので構成されている。 この時、企業 か ら 「最終的に消費につながるようなもの」を求め られてお り、「基礎研究は要 らない」 とする強い 不快感 (綿引2000a,2000b)がある。 これは、企業の前 として一蹴する前に検討すべ き部分がある かもしれない。

3大学全体での経験の有無での比較

科学の発展には特定の分野に特化するよりも、異分野の研究 との接点で新 しい科学が発展すると言 われている。実際に、イ ンタビューに答えて くれた多 くの大学研究者は、意図的に異分野の人たちと 付き合 うように しているようだ。 これは、企業研究者にとっても同 じはずである 】。ただ、企業研究者 の場合は、製品につながる研究 に限定されているとい う問題がある。Allen(1971,1979)は、小規 集団内における技術情報の流れに関する研究であったが、同様の ことが大学 と企業間にもあ りそうだ。

そ して、問題解決の方法が線形モデルでは進 まない とき、ごみ箱モデル (MarchandOIsen1976)

l産業界だけではな く、(元)国立研究所であるが、元科学技術庁系の研究所のプロジェク トリーダーは、「現在、

私は内外の様々なグループとつ き合っていますが、全 く違 う分野の内外の研究者が、以前か らの知 り合いだった ということがよ くあ ります‖・・・・わた しは、こうい う人的ネ ッ トワークが、研究開発のフロンティアを形成す るのだと考えています(,」 と述べている(,200062日に行ったE‑Mai1でのイ ンタビューよ りo

(10)

に頼 らざるを得ない。 この とき、問題 と解決方法を効率よくつなげてい くためには、互いの問題点を 理解 しやすい状態にある必要がある。

こうしたことか ら、3大学の研究者で比較 した場合でも、経験者の方が有利の知識を重視 している と思われた。全体 として経験の有無にかかわ らず、「そう思 う (評価 4と5)」に偏る傾向があった。

グラフ7

% 異分野の知識が必要である

40 35 30 25 20 15

1005

l= ≡≡芸者l

/ \

/ // ' ‑‑.\ ‑

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l l l l

ここでも予想に反 して経験者の最頻値は 「ややそう思 う (評価4)で、「強 くそう思 う (評価5) は最頻値よりも15%も少ない。その一方で未経験者は、「ややそう思 う(評価4)」と「強 くそう思 う( 5)」が、ほとん ど同 じの32%の回答である。有意確率見てみるとp‑0.43で、意識の上ではこの 違いは有意にあるとは言えなかった。

②大学間比較

異分野に対 してどれだけ積極的であるか、三つの大学で比較 してみた。 これはⅢと同様に、一様的 に大学の外部 との接触 しているものと思われる岩手大学で、異分野の知識が必要 と 「強 く思 う」 と回 答する比率が他の大学よ りも高い と予想 した。だが、単純な大学間比較では、p‑0.08で有意にある

とは言えなかった。

グラフ8

% 異分野の知識が必要

50 40

30 ‑ 1ト...弘前大拝顔者

+ 弘前大東経類書

/ゲ 二 モモ , ー「 p y

20

100 一一一一・一岩手大縫廉者

I

一一一ケ‑ 岩手大束経廉者

I l .Bg l l l 思わない1 3 強 くそ う思 う5

(11)

8

弘前大 秋田大 岩手大 全体

経験者 末経 襲者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 平均 3.65 3.83 3.62 3.81 4.07 3.87 3.76 3.83 標準誤 差 0.11 0.14 0.15 0.16 0.11 0.20 0.07 0.09

中央値 4 4 4 4 4 4 4 4

最頻値 4 5 4 4 4 4 4 4

標準偏 差 1.03 1.10 1.20 1.16 0.88 1.ll 1.06 1.12 分散 1.07 1.21 1.44 1.35 0.78 1.22 1.13 1.25 尖度 0.74 0.23 ‑0.33 0.04 1.16 1.34 0.44 0.24 歪度 ‑0.95 ‑0.78 ‑0.65 ‑0.84 ‑0.90 1.19 ‑0.87 ‑0.87

標本数 82 59 66 53 60 30 208 146

結果では、予想通 り岩手大学の経験者が評価5での回答が最も多かったが、その割合は弘前大学の 未経験者 とほぼ同 じである一方で、弘前大学の経験者がすべての大学の未経験者 よ りも 「強 くそ う思 う (評価 5)」と回答 した人の割合が最も少なかった。最頻値が評価 4で評価 5になると最頻値の半 分以下 まで下がっている。その一方で、弘前大学の未経験者を見 ると評価5が最頻値 となってお り、

一貫 して評価5に近づ くほ ど回答者数が増えていることが分かる。他の二つの大学でも、弘前大学ほ どははっき りとした傾向は見ることはないが、似たような回答の構造になっている。各大学で経験の 有無で比較 した場合では、いずれの場合 もp>0.05で違いがあるとは言えなかった。 しか し、経験の 有無よって分けないで各大学で見た場合にはp‑0.43であ り、大学による違いは見 られなかった。

大学による違いが見出せなかったが、各大学の研究者はとも一様に異分野の知識が重要であると感 じているようだ。

③分野間比較

しか し、分野間の比較になって くると若干事情が変わって くるようだ。医学は、最頻値が 「中立的 (評価3)」で 「そ う思わない (評価 1と2)」よ りは 「そ う思 う (評価45)」の方が多 く回答 して お り、他の分野では最頻値が 「ややそ う思 う (評価4)」で圧倒的に 「そ う思 う」とする回答数が多い。

グラフ9

% 異分野の知識が必要

50

40 /太\A + 一一一理学工学

// .

30

21000 ..m‑/‑.......●・一一‑‑.〜‑医学...複合農学

=xLL. .,

A.̲

/ ‑‑l:J√ l l l

患わない1 3 強 くそう思 う5

(12)

9

理学 工学 農学 医学 複合

平均 4.00 3.99 3.87 3.45 3.87 標準誤差 0.12 0.10 0.12 0.13 0.13

中央値 4 4 4 4 4

最頻値 4 4 4 3 4

標準偏 差 0.83 0.98 0.82 1.32 0.97 分散 0.68 0.97 0.68 1.75 0.94 尖度 ‑ 0.86 0.65 2.20 ‑0.78 1.22 歪度 ‑ 0.25 ‑ 0.98 ‑0.97 ‑0.49 ‑0.92

経験の有無はサンプル数が少ないため検定不可能

医学を除 くいずれの分野でも、「ややそう思 う (評価4)」が最 も多 く、全体 として異分野の知識が 必要である と感 じている。分野の比較についての有意確率 はp‑0.03であ り、グラフ9を見 る と医 学が 「ややそ う思 う」が少な く、特殊な回答分布 となっている。 この分野に関 しては、異分野 との交 流はあまり必要ない と感 じているのかもしれない。

これは、専門家が読む論文を書 く能力を重視するかの質問を したとき、理学 と医学が他の分野 と異 なる傾向を示 したことを合わせてみてお く必要があるようだ。

V 社交性が必要である。

共同研究を行 うに、最 も重要なものは企業 と大学の双方の研究内容であることは言 うまでもない こ とだが、それが どのように して互いに知 り合 うのかが重要な問題 となる。互いに知 り合 うきっかけが 大学の リエゾン ・オフィスや国や地方 自治体の試験場あるいは研究機関を公式的に経由 しているのは 少数派であるよ うだ。む しろ、Granovetter(1995)の転職に関す る研究結果のよ うに、基本的に は個人間のつなが りが発端 となっている場合が多いようだ。

この結果か ら考えてみると、大学研究者の社交性は研究内容を広めるための重要な要素、言い換え れば共同研究につなげるための補完的な要素である可能性が高い。 これについて、大学研究者側はど のような意識を持 っているのかについて質問 した。

3大学全体での経験の有無での比較

企業の立場か ら共同研究をや ってよかったこととして、「新たな人脈が広がった」 と回答 している 例がある (綿引2000b)。 また、企業研究者は大学の研究者を探す場合に複数の人の紹介を経てその 人にた どり着いていることが分かった。 したがって、社交性がある方が有利であると考えられる。 も ちろん社交性が重要であると思いつつも、社交的であることとは別物であるため、実際にそれを実行 するかは分か らない。

(13)

グラフ10

% 社交性が重要である

35 30 25 20 15

1005 A I :::fl

/I// \‑..̲ // // \ーpppp..

/,/

/'' >

d ′

l l l l

この質問に対 して3大学の研究者は、経験の有無にかかわ らずほとん ど同じ様な回答パタンを見せ ている。社交性は重要でない と思っているのは、評価 1とZを合わせてみると全体の20%にも満たず、

少数派であることがわかる一方で、中立的か ら 「ややそ う思 う (評価4)」が最 も多 く30%をやや 上回る回答である。逆に、「強 くそ う思 う」 と回答 しているのは経験者で13%、未経験者は21%と 減少に転 じている。

全体的みると、共同研究の経験の有無 と社交性の間には関係があるとは言えなかった (p=0.10)0

(∋大学間比較

大学間で経験の有無に関係な く全体で社交性に関する意識を比較すると、p‑0.46と統計的には違 いが見出されなかった。 もっとも、大学によって雰囲気の差はあるものも、個人が社交的か どうかに ついては重視 しても実行するかは別問題で、この数字はある意味当然の帰結である。大学別でかつ経 験の有無を表 したものがグラフグラフ1111である。

% 社交性が重要である

45 40 35 30 25

21105050 ,a +‑.‑一一一・.「ー‑‥<J‑ ‑秋田大夫経類書..岩手大束軽類書弘前大経験者弘前大夫撞類書秋田大経験者岩手大経験者

/ \ J才 一ま \ .

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表 3 理 学 工 学 農 学 医学 複合 平均 2. 93 3. 1 0 2. 94 3. 80 2. 96 標準誤差 0. 21 0. 11 0. 1 6 0, 1 2 0
表 8 弘前大 秋田大 岩手大 全体 経験者 末経 襲者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 経験者 未経験者 平均 3. 65 3. 83 3. 62 3. 81 4. 07 3
表 9 理学 工学 農学 医学 複合 平均 4. 00 3. 99 3. 87 3. 45 3. 87 標準誤差 0. 1 2 0. 1 0 0. 1 2 0. 1 3 0
表 11 弘前大 秋田大 岩手大 全体 経 験者 末経額者 経襲 者 末経襲者 経襲 者 未経験者 経貧者 末経無音 平均 3. 38 3. 49 3. 55 3. 62 3
+3

参照

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