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大学生の職場選択に関する研究: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Author(s)

国吉, 和子

Citation

沖縄大学紀要 = OKINAWA DAIGAKU KIYO(10): 1-15

Issue Date

1993-03-15

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5772

(2)

大学生の職場選択に関する研究

国吉和子 1.はじめに 女性を取り巻く社会・経済的環境は大きく変化し、そのなかで、女性の生き 方は多様化してきた。そしてまた、女性の生活領域も拡大されてきた。今日、 特に、女性の就業をめぐる状況の変化はめざましいものがある。そのような状 況下で、とりわけ、若年層において就労意識や働き方に大きな変化が生じてき ている。 そこで、本研究では、特に職場の選択の問題に焦点を当て、これから社会に 出ようとする大学生を対象にして検討を進めていくことにする。 ここでは、大学生がどのような基準で職場の選択をするのか、また、職場の 選択においてどのような側面を重視するのかを捉えることが主目的である。特 に本稿では、女子学生と男子学生の間で職場選択のちがいがみられるのか、ま た、女子学生を学部生と短大生に分けて両者の比較を行い、それぞれの職場選 択の特徴を掘り下げてみることにする。 さらにまた、先に筆者らの成人を対象にした研究(国吉ら、1992)で、働くこ とへの価値意識が県内出身者群と県外出身者群でちがいがみられたので、ここ でも、両群間の職場選択のちがいについて検討を加えることにする。 2.方法 1)対象:沖縄県内の大学及び短期大学の学生218人(男78人、女140人)。その うち、県内出身者が185人、県外出身者は33人であった。 2)調査時期:1991年11月 3)調査方法:心理学関係科目の受講生に一斉に調査票を配布し、回答を求め た。 4)調査票:Manhardt(1972)及び森永(1991)を参考にして調査票を作成した。 | |ロロロニロ■一

(3)

質問項目は、森永(1991)の作成した29項目を-部修正し、それに4項目を新た

に加えて、合計33項目で構成されている(表1参照)。回答は、職場の選択の際

に、33項目それぞれについて回答者がどの程度重視するかを5段階の評定尺度 (非常に重視する:5点~全く重視しない:1点))によって行なわれる仕組み

になっている。また、その他に、33項目のなかで特に重視するものを3つ選択

させる質問項目も含まれている。 3.結果と考察 1)因子分析結果

職場選択に関する33項目それぞれに対して重視する程度を回答者に5段階尺

度で評定させ、そのデータに基づいて因子分析を行なった。その結果、固有値

が1.00以上のものが8因子抽出された。それにバリマックス法を適用し、回転

後の因子パターンを示したのが表1である。この因子分析結果は、大学生が職

場を選択する場合、その基準が8つの因子に分離されることを示している。そ

こで、因子負荷量が.400以上のものを基に、抽出された各因子を解釈していく ことにする。

第1因子では、負荷量の大きい項目は、「通勤が楽である」とか、「週休二

曰制である」、「残業がない」、「長期の休暇がとれる」、「立地条件がよい」、

「労働条件がよい」等で、職場の労働条件に関連する項目である。これは、

〈労働条件〉をあらわす因子と命名することができよう。 第2因子では、「仕事がおもしろい」とか、「やりがいがある」、「自分の 能力・経験が生かせる」、「職場の雰囲気がよい」、「人間関係がよい」、「自 分のやったことを評価してくれる」等の負荷量が大きくなっている。この因子 は、〈自己実現的雰囲気〉をあらわす因子とされる。

第3因子では、「仕事を通して社会に貢献できる」や、「研修の機会がある」、

「清潔なきれいな職場」、「他人から尊敬される仕事である」、「責任が大き い」等の項目が高い負荷量を持ち、これは、〈社会的貢献と自己啓発〉をあら わす因子と命名されよう。 第4因子では、「仕事の内容に変化がある」や、「自分で計画を立てて仕事 -2-

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(5)

ができる」、「創造性・独創性を要求される」等の項目が高い負荷量を持ち、 〈独自性の要求〉をあらわす因子と呼ぶことにする。 第5因子では、「親元から通える」や、「親が推薦してくれる」、「人気の ある企業」等の項目が負荷量が大きく、これは、〈親の支援〉をあらわす因子 と名づけることができよう。 第6因子では、「昇進が可能である」や、「安定している」、「給料がよい」、 「他人から尊敬される仕事」等が負荷量が大きく、これは、〈社会的地位の確 保〉をあらわす因子と名づけられる。 第7因子では、負荷量が大きい項目は、「結婚後も続けられる」や、「育児 休暇がある」、「長期の休暇がとれる」等で、〈家庭と仕事の両立〉をあらわ す因子と命名することができよう。 第8因子では、「ノルマがない」とか、「組織の重要な問題に関する仕事が できる」等の項目が高い負荷量を持ち、〈組織への自己投入〉をあらわす因子 と命名されよう。 2)項目毎の分析 33項目それぞれについて、職場の選択の際にどの程度重視するのかを男女別 にプロフロィール化したのが図1である。 全体的に、男女とも、「やりがいがある」、「仕事がおもしろい」、「人間 関係がよい」、「自分のやったことを評価してくれる」、「自分の能力・経験 が生かせる」、「職場の雰囲気がよい」、「安定している」、「労働条件がよ い」、「結婚後も続けられる」、「給料がよい」等を重視する傾向が強い。前 出の因子分析結果に即して考えれば、〈自己実現的雰囲気〉とく労働条件〉が 特に重視されているといえる。それは概ね、現在の大学性の理想の職場像なの であろう。 女子学生の場合は、その他に、「育児休暇がある」の項目においても重視度 が高くなっている。 33項目の中、11項目に関して男女間に有意差が認められるが、そのうち、8 項目で女子学生の重視度が高く、3項目で男子学生のそれが高くなっている。 -4-

(6)

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(7)

女子学生では、「残業がない」とか、「長期の休暇がとれる」、「給料がよ い」、「男女平等である」、「育児休暇がある」等の重視度が男子学生よりも 高くなっている。女性に対する現在の労働条件や待遇は決して良くはなく、し かも、家事・育児を女性が主担している現状では、そのような結果は当然出て くるものと受けとめることができる。 その他、「仕事がおもしろい」も女子学生の方の重視度が高くなっている。 また、「親元から通える」や、「親が推薦してくれる」等は、男女とも重要度 は高くはないが、得点からすれば、女子学生の方が男子学生よりも有意に高く なっている。相対的に、女子学生の方が、職場の選択の際に親の支援を気にか けるようである。そして、男子学生と比べて女子学生の方が、親の直接的支援 が受けられる範囲内の職場を選択する傾向がうかがえる。 男子学生では、「自分のやったことを評価してくれる」、「仕事を通して社 会に貢献できる」、「自分で計画を立てて仕事ができる」、「創造性・独創性 を要求される」等を重視する度合が女子学生よりも有意に高くなっている。ま た、「組織の重要な問題に関する仕事ができる」も男子学生の方が高い傾向に ある(P<・10)。このように、男子学生の職場選択においては、仕事そのもの の魅力や仕事への自己傾斜と結びつくようなものが重視されていることを示し ている。 ところで、図2では、33項目についての県内出身者群と県外出身者群のプロ フィールが示されている。 全体的に、両群とも「やりがいがある」、「人間関係がよい」、「仕事がお もしろい」、「自分の能力・経験が生かせる」、「自分のやったことを評価し てくれる」「職場の雰囲気がよい」、「労働条件がよい」、「安定している」、 「結婚後も続けられる」などの重視度が高くなっている。つまり、両群とも く自己実現的雰囲気〉とく労働条件〉を特に重視する傾向が強い。 33項目中4項目で両群間に有意差が認められる。「残業がない」は、両群と も重視度はそれほど高くはないが、県内出身者群の方が県外出身者群より有意 に高くなっている。そのような違いがみられる-つの要因として、仕事への価 値意識のちがいがあげられよう。一般成人を対象とした調査結果(国吉ら、1992) -6-

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(9)

では、県内出身者群は、県外出身者群ほど仕事に対して価値を置かない傾向が みられた。 また、「親元から通える」や、「親が推薦してくれる」、「人気のある企業」 など、〈親の支援〉と関連する項目では、両群とも重視しない方向にあるが、 両群差は目立って大きくなっている。県内出身者群の平均得点が県外出身者群 より有意に高くなっている。 それは、県内出身者が家庭志向的で人間関係をより重視し(国吉ら、1992)、 また、就職先の希望については県内志向がかなり強い(総務庁、1991;国吉、1993) ことなどからうかがえるように、いわゆる家族との絆が比較的強いことの反映 なのであろう。 さらに、「育児休暇がある」についても、両群間にかなりの違いが認められ る。県内出身者群の方の得点が有意に高く、重視度が高くなっている。全国の 場合と比べて、沖縄の女性の就業の進行化はより急激なこと(1975年を基準に して1990年の全国の女子労働力率は約2%の上昇に対して、沖縄の女子労働力率 は6~7%上昇)、そして、各世帯の子数が多いこと(1992年の全国の出生率は1.53、 沖縄のそれは1.96)等、そのような状況が大学生の意識にも影響を及ぼし、上 記のような違いを生じさせているのであろう。 3)因子得点による分析 各因子ごとに回答者各人の因子得点を算出し、男女別にその平均値を求めた 結果が図3に示されている。第2因子のく自己実現的雰囲気〉や、第5因子の く親の支援〉、第6因子のく社会的地位の確保〉、第7因子のく家庭と仕事の両 立〉、第8因子の〈組織への自己投入〉の側面で男女間に有意な差がみとめら れる。 職場を選択する祭に、女子学生の場合は、男子学生と比べて、〈自己実現的 雰囲気〉やく親の支援〉、〈家庭と仕事の両立〉の側面をより重視すると言え るだろう。また、第1因子のく労働条件〉の側面に関しては、そうした明瞭な ちがいはないが、女子学生の方が男子学生よりも幾分重視する傾向がうかがえ る。 -8-

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ところが、上記のような傾向は、学部学生(78人)と短大学生(62人)の場合と では多少異なってくる。図4は、学部学生と短大生の因子得点の平均値を示し たものである。両者間に、〈労働条件〉、〈親の支援〉で有意な差が認められ る。学部女子と比べて短大女子は、「通勤が楽である」とか、「残業がない」、 「週休二曰制である」、「長期の休みがとれる」等の、いわゆるく労働条件〉 と、「親元から通える」、「親が推薦してくれる」などのく親の支援〉を重点 に置いて職場を選択する傾向が強い。 このように、相対的に短大女子が仕事内容よりも労働条件や親の支援を重視 するということの背景には、短大女子の就労意識の問題が関わっていると思わ れる。つまり、短大生は学部学生と比べて、「仕事よりも家庭を大切にしたい」 とする者が多く、また、結婚退職や出産退職を希望ると者も比較的多いという 報告(森永、山本、1987;国吉、1993)にも示されるように、短大女子の方が家 庭志向が比較的強く、とりあえず、結婚や出産までの職場という考えがあるか らなのであろう。それと併せて、インセンティブのある職場が得られにくいと いうこともその一因になっているのかもしれない。 一方、学部女子は、「結婚後も続けられる」や「育児休暇がある」等のく家庭と仕 事の両立〉の側面においては、短大女子よりも重視する傾向がある(P<・10)。 就業継続希望者は、短大生よりも学部学生に多く(森永、山本1987;国吉、1991)、 上記の傾向は、学部女子の方が就労志向あるいは就労継続志向が比較的強いこ とによると思われる。 また、〈組織への自己投入〉、〈独自性の要求〉、〈社会的貢献と自己啓発〉 の側面は、仕事内容や仕事への関与と深く関連するもので固定的な男性役割と 結びついているためか、短大女子においても、学部女子においても共に余り重 視されていないし、両者間の違いもほとんどない。 上記のことから、仕事そのものの魅力よりも、仕事に付随するものを重視す る傾向は、前述したように、短大女子に比較的強いと言えるが、また、それは、 学部女子においても共通していえることである。女性にとっての労働環境は、 改善されつつあるとはいえ、未だ仕事に情熱をかけられる状況ではない。そう いうことからすると、女子学生が、仕事内容よりも職場の雰囲気や労働条件等、 -10-

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いわゆる労働環境に重点を置いて職場を選択する傾向が強いのは、むしろ当然 のことであるといえよう。 ところで、男子学生の方(図3)は、女子学生に比べてく社会的地位の確保〉 やく組織への自己投入〉の側面をより重視することが有意に認められる。また、 〈社会的貢献と自己啓発〉、〈独自性の要求〉の側面に関しても、男子学生の 方が女子学生よりも重視する傾向がうかがえる。 このように、男子学生の方に仕事そのものの魅力と関連した側面への重視度 が比較的高く、仕事への関与・傾斜が比較的強いことがうかがえる。女子学生 の職場選択の場合とは対照的に、仕事は男性の役割という固定的な性別役割分 業体制が根強くあって、そのことが、男子学生の職場選択の際にも反映されて いるといえるだろう。 ところで、図5は、県内出身者群と県外出身者群の比較をしたものである。 県外出身者群のサンプル数が少ないので、ここでは大まかな分析にとどめるこ とにする。 +1 0 -1 (労働条件) 第1因子 (自己実現的雰囲気) 第2因子 (自己啓発と社会的貢献) 第3因子 (独自性の要求) 第4因子 (親の支援) 第5因子 (社会的地位の確保) 第6因子 (家庭と仕事の両立) 第7因子 (組織への自己投入) 第8因子 **P<、01 *P<、05 図-5県内群と県外群の因子得点の平均値 -11-

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「親元から通える」とか、「親が推薦してくれる」、「人気のある企業」な どのく親の支援〉、そして、「結婚後も続けられる」や「育児休暇がある」な どのく家庭と仕事の両立〉の側面の因子得点の平均値は、県内出身者群が有意 に高くなっている。県内出身者群の家庭を重視した職場の選択傾向を示唆して いる。 一方、「ノルマがない」とか、「組織の重要な問題に関する仕事ができる」 などのく組織への自己投入〉に関しては、県外出身者群が重視度が高いという 結果を示している。相対的に、県外出身者の方が仕事に自己を関与させる傾向 が強いと言えるのではないだろうか。両群の男子のみの比較をしても同様な結 果になっている。また、一般成人を対象にした仕事への価値意識の調査結果 (国吉ら、1992)でも、県内出身者群よりも県外出身群の方が仕事への自己投入 が強い傾向にあることが示されている。 4)特に重視すること 表2,3は、職場の選択において33項目のなかで特に重視するものを3つ選 択させた結果をランクづけしたものである。 男女別比較(表2)では、「やりがいがある」、「給料がよい」、「人間関係 がよい」、「仕事がおもしろい」が男女とも共通して上位にある。前述したこ とでもあるが、「やりがいがあって、おもしろく、人間関係のよい職場で、し かも、給料がよい」というのが現在の大学生にとっての理想の職場であるよう だ。 その他、「自分のやったことを評価してくれる」、「週休二曰制である」、 「安定している」等も男女共通して10位以内に入っている。 男女の違いについて言えば、「職場の雰囲気がよい」、「自分の能力・経験 が生かせる」、「結婚後も続けられる」等は、女子学生のみが10位以内に入っ ている。また、「仕事を通して社会に貢献できる」や「労働条件がよい」、 「創造性・独自性を要求される」等は、男子学生のみが10位内に入っている。 「男は仕事、女は家庭」という社会の性別役割期待が未だ根強く存在する現 状では、就労を望む女性にとっては、職場の選択の際には、自己の能力・経験 -12-

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表-2特に重視するもの-男女比較一 表-3特に重視するもの-県内外比較一 -13- 男子(n=78) 女子(n=140) 肋 選択項目比率 鮒 選択項目比率 1234 55 ●● 55 7999 やりがいがある41.03 給料がよい30.77 人間関係がよい 26.92 仕事がおもしろい 20.51 やて通き件 のしをで条 分価事献働 自評仕貢労 つくしるが たれてよ こる社い とを16.67 に 会 16.67 15.38 創造性・独創性1410 を要求される 週休二日制である14.10 安定している14.10 % 123456789m やりがいがある44.29% 給料がよい38.57 人間関係がよい3286 仕事がおもしろい26.43 安定している22.86 職場の雰囲気がよい16.43 自分の能力・経験が15.71 生かせる 週休二日制である12.86 結婚後も続けられる11.43 自分のやったことを10.00 評価してくれる 県内群(n=185) 県外群(n=33) 鮒 選択項目比率 鮒 選択項目比率 123456789m やりがいがある42.70 給料がよい 36.76 人間関係がよい31.89 仕事がおもしろい23.24 安定している20.54 週休二日制である15.14 職場の雰囲気がよい1405 能るやて件 のせのし条 分か分価働 自生自評労 力・経験が13.54 つくが たれよ こるい とを11.89 10.27 % 1 FhUFhU F【UFHUPhbFトしr原しP卜し 224且且8888 やりがいがある45.45 給料がよい 30.30 仕事がおもしろい 30.30 人間関係がよい 24.24 労働条件がよい 18.18 力つく独るしるい 能るやて・れ通きて のせのし性さをでし 分か分価造求事献定 自生自評創要仕貢安 ・経験が18.18 とを会 こる性社 たれ創てる を15.15 に 15.15 15.15 15.15 %

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を生かせるような、また、結婚後も続けられるような労働環境であるか否かは 当然重要な問題として出てくることが考えられるし、また、男性にとっては、 仕事を通して自己の独自性が発揮できく社会への貢献ができるような職場の選 択傾向が当然生じてくるものと思われる。 ところで、県内出身者群と県外出身者群の比較(表3)では、「やりがいがあ る」、「給料がよい」、「人間関係がよい」、「仕事がおもしろい」等が両群 とも共通して上位に入っている。そのなかで、「人間関係がよい」は、県内出 身者群が県外出身者群より上位にあり、県内出身者群の職場における人間関係 をより重視する傾向がうかがえる。前述したように、一般成人においても同様 なことが確認されている(国吉ら、1992)、 全体的に、県内出身者群では、自分の能力を生かし、評価してくれるような 職場の雰囲気、いわゆる支援的側面や、労働条件が比較的重視される傾向にあ ると言えよう。県外出身者群では、労働条件の重視傾向は県内出身者群と共通 しているが、その他に、仕事を通して自己の能力や独自性を発揮できるような 職場選択の傾向が比較的強いように思われる。つまり、県外出身者の方が、仕 事への自己傾斜・関与が強いことがうかがえる。 4.まとめ 本研究では、大学生218人を対象にして職場選択に関する調査を行った。そ して、大学生が職場の選択をどのような基準で行ない、また、その際、どのよ うな側面を重視するのかを、男女の比較及び県内出身者群と県外出身者群の比 較をして考察を行なった。その主な結果は次の通りである。 ①職場選択に関する33項目についての回答者の反応結果を因子分析した結果、 〈労働条件〉、〈自己実現的雰囲気〉、〈社会的貢献と自己啓発〉、〈独自性 の要求〉、〈親の支援〉、〈社会的地位の確保〉、〈家庭と仕事の両立〉、 〈組織への自己投入〉の8因子が抽出された。このことは、大学生がこのよう な8つの基準で職場の選択を行っていることを示唆している。 ②全体的に、職場の選択において、男女共通して、「やりがいがある」、 「仕事がおもしろい」、「人間関係がよい」、「自分のやったことを評価して -14-

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くれる」、「自分の能力・経験を生かせる」、「職場の雰囲気がよい」、「安 定している」、「労働条件がよい」、「給料がよい」等を重視する傾向が強い。 いわゆる、〈自己実現的雰囲気〉とく労働条件〉の2つが、現在の大学生に、 職場の選択において特に重視される側面となっている。 ③男女間の違いをみると、〈自己実現的雰囲気〉やく親の支援〉、〈家庭と 仕事の両立〉の側面は、男子学生よりも女子学生の方に重視される傾向がある。 一方、〈社会的地位の確保〉やく組織への自己投入〉の側面は、女子学生より も男子学生に重視される傾向がある。また、〈社会的貢献と自己啓発〉、〈独 自性の要求〉の側面も男子学生の方に幾分重視される傾向がうかがえる。 ④女子学生を学部女子と短大女子に分けて検討すると、〈労働条件〉とく親 の支援〉の側面は、学部女子よりも短大女子に重視される傾向がみられるし、 〈家庭と仕事の両立〉の側面は、学部女子に比較的重視される傾向がある。 〈組織への自己投入〉やく独自性の要求〉、〈社会的貢献と自己啓発〉の側面 は、両方においてともに重視度は低く、また、差もみられない。 ⑤県内出身者群と県外出身者群の比較では、〈親の支援〉とく家庭と仕事の 両立〉の側面は、県外出身者群より県内出身者群に重視される傾向がみられる。 また、〈組織への自己投入〉の側面については、県外出身者群の方の重視度が 高くなっている。 引用文献 国吉和子・安谷屋良子1M働くことへの価値意識・態度に関する研究(1)沖縄大 学紀要第9号149-170 国吉和子1991大学生の職業選択に関する研究(未発表) 国吉和子1993大学生の勤労観に関する研究(未発表) Manhardt,PJ1972JobOrientationAmongUaleandFemaleCollegeGraduatesin BusinesSPersomelPsychoLogy,Vol、25 森山康子・山本美保1987女子青年の就業意識に関する研究日本教育心理学会第29 回総会論文集 森山康子1991女子短期大学生の就労意識に関する研究女生学年報12号124-129 総務庁1991時系列でみる県のすがた -15-

参照

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