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アルミニウムおよびその合金の凝固に 及ぼす振動の影響(第1報)

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Academic year: 2021

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(1)

アルミニウムおよびその合金の凝固に 及ぼす振動の影響(第1報)

The eLffect of vibration during so!idification of        a置umlnium and its a星員oys

Yoshinobu Nak30 and Masakatsu Shihata Abstruct

 Vibration i皿posed during the solidi且cation of aluminiuni alld its alloys has b2en showed to produce

crysta! and grain refinement, eliminatien of segregatien and degassing. The effect o f lo ,・  h equency xTib−

rac tion on the crystal and grain refinement  was studied with a. 60,. vibrator.

 (1) 60,}vibration does not Inake primary crysta/s of si!icon伽er, but makes delldrites afld prlmary

crystals of NiAl, so.

 (2) Vibration imposed LAI−Sial/oys modified does not decrease the rnodification effec t . so both eutectic

and dendrites are refined.

 (3) Vibration imposed the inelt b.efore solldification starts coarsens ratJner than refine.

 (4) C.rain and crystal gro /th  Tere. restrained because ot  homogeniet:xr of tempei ature by・ vibration.

 (5) Refineinent by xr・ibration occurerrb by combination of.  increace. oi  aufJleation, brea. kin.g.  ot  cryb t als and restraint of growtn, not only one of them.

1. 緒

 金属の凝固に及ぼす振動の影響については多くの研究が あり,結晶および結晶粒の微細化,偏析の防止,脱ガス等 が行われることが知られているが,本報告ではまずアルミ ニウム合金を使用して振動による結晶および結晶粒の微細 化作用について検討した。

 一般に金属の機械的性質を向ヒさせる最もよい方法は結 晶および結晶粒を微細化させることである。その方法とし て微細化剤の添加,冷却速度の調節,振動などが用いられ ているが,成分を全くかえずしかも冷却速度を増加させる ことの出来ないものに対しては振動が最も良い。そこで筆 者らは60,,低周波振動を用いて,振動時期をかえることに より最も良い微細化効果を得る方法について実験した。さ らにナ1・リウム処理したシルミンに振動を与えることによ り,.ミクロ,マクロ両組織の改善を図ることを試みた。最

後にそれらの実験結果より振動によ る微細化機構について検討した。

2, 実験装置および        実験方法

 振動装置はFig・1に示すように,

出力35Wの電磁振動の発振休に先 端にステンレス製振動子のついた7・

テソレス棒を取付け,これを溶湯中 に挿入して溶湯を直接振動させる方 法によった。先端の振動子の振幅2 mm,振動数60Cである。振動によるFig.1 冷却速度および凝固開始温度の変化of

      Arragement       equユpment for       60,: vibration to be l燃翻渡計により厳密に管理し。pPli。d t。 soli.

た。供試料はA1−Si合金として、 difying metals.

一133一

(2)

津山高専紀要(第2巻 第1号)

Al−24%Si(過共晶), Al・12 % Si(共晶), A1−8% Si(亜

共晶)の3種類,それにA1−10 % cu, A1−15 % Ni各1挿 類ずつ,計5種類のアルミニウム合金をマグネシアライニ ングした黒鉛ルツボで溶製t、た。各種類の合金1009を1 ケの試料とし,これを最高加熱温度に注意しながら完全に 溶解した後,ルツボのまま炉外に取り出し,イソライト台 1;で空冷させながら振動を与えた。処理後,切断してミク ロ,マクロ両組織を観察した。

 実験順序は,最初に初晶珪素の影響を調べるためAl−24

%Sl,次に共晶珪素の影響を調べるためAl−12 % Siにつ いて行った。次にナトリウム処理したAl−8%Siについて 振動を与えた。さらに振動効果の最も良く現われる時期 を調べると共に微細化機構を検討するため,Al−8%Si,

A1・10% Cu, A1−15% Niの3種類について,振動時期を凝 固開始前の液体状態,凝固開始より凝固完了まで,凝固開 始前の液体状態から凝固完了まで,に分けた。凝固開始後 の振動の影響を詳しく調べるために,凝固開始直前より,

凝固開始直後より,凝固開始から30秒後より,それぞれ 振動を与えたものを作りそれらを比較した.

3.実 験 結 果

 (D AI−24%Si, Al−12%iiに対する振弔力の影響:よ見 られなかった.(Photo 1)

 (2) ナトリウム処理したAl−8%Siに振動を与える と,ナトリウムにより共晶珪素の微細化が行われる一 ・J∫.

振動によりアルミニウムの樹枝状晶が見られなくなり.ミ クロ,マクロ両組織が微細化した。(Photo 2)

 (3) A1・8 % Si, A1−10%Cu, A1−15%Niに文塾する凝

固開始前の液体状態での振動は,かえって結晶および結晶 粒を粗大化させる。(Photo 3)(Fig 2)

 (4)従って,凝固開始前から振動を与えるよりも,凝 固開始と同時に与えた方がより微細化される。(Photo 3)

(Fig 2)

 (5)凝固開始後の振動の影響について詳しく調べた実 験では,凝固開始直前と直後より振動を与えたものが最:も よく微細化され,樹枝状晶や長い棒状晶はほとんど見られ なかったが,両者の間に差はなかった。しかし,凝固開始 から30秒後より振動を与えたものでは,樹枝状晶や長い 棒状晶が認められた。(Photo 4)

4. 考

 1) 実験結果に対する考察

 A1−24回目i合金の初晶珪素に対する振動の影響は,超音 波振動では初回珪素は5分の1位に微細化することが報告さ れている1)2)が,60eの低周波振動では微細化しなかった。

灘、

24 %

撚羅

12 %

献詠 匿直ぺぎ・.︐釦 磁. ボ℃へ

灘轟

Photo 1 Microstructures of Al−Si alloys  unvibrated (upper row) and vibrated

 (bottom row) at 60e.

Photo 2 Macro一 and microstructures of  modified Al−8% Si alloys unvibrated

 (upper row) and vibrated (bottom rosv)

 at 60,・.

      Vibrqtien  剛 Fig. 2 Grain refinement by vibration

a) unvibrated

b) vlbrated from the melt before solidification

  starts till solidification finishes

c) vibrated during the melt before solidification

  starts

d) vibrated as soon as solidification starts till

  solidification 丘nishes

一 134 一

(3)

中尾善信・柴田政勝  アルミニウムおよびその合金の凝固に及ぼす振動の影響(第1報)

 次にAL12%Si合金の共晶珪素に対する影響は起音波 振動でも低周波振動でも共晶珪素が粗大化する傾向があ る1)2)4)5)14)と報告されているが,本実験ではこの傾向は見 られなかった。しかしこれについては振動数は同じでも振 幅,振動強度などが異なるたあではないかということも考 えられるのでさらに詳細に実験を行う必要がある。さらに ナトリウム処理したA1−8%Si合金は,適当に振動時期 を選べばナトリウム効果を逸すことなく,樹枝状晶をも微 細化できる。以上の事実より,低周波振動は初晶珪素に対 しては影響はないが樹枝状晶に対しては影響しうると考え られる。さ.らに凝固開始前に振動を与えても影響はないと 報告されている9)が著者らの実験では粗大化した。これ は振動により溶湯が撹拝され温度均一化が起こるためであ ろうと考えられる。従って凝固開始前から振動を与えて凝 固させたものよりも,凝固開始時から振動を与えて凝固さ せたものの方が微細化しているのはうまく一致する。即 ち,振動により最も良い微細化効果を得るには,凝固開始.

時より振動を与え,凝固開始前の完全溶融状態では振動を 与えない:方がよい。最後に,凝固開始と同時に振動を与え たものには,樹枝状晶や長い結晶は.見られないが,開始30 秒後から振動を与えて凝固させたものにそれらが見られた

.ことは、回りが未だ融液であることを考えれば,.

賑動に』:る微細化はSchmid6)やSouthgate7)らのいう 晶出粘乎の破壊のみによるものて.はない二とが分かる.

 2)微細化機構に対する老察

 振動による結晶および結晶粒の微細化機構は大きく分け て,1)「監物粒子の破壊,2)核生成の促進,とする二二 がある。さらに1)の作用をなす原因として,晶出粒子と 溶湯との間に働らく摩擦力2)6)8)とキャビテーション7)8)が あり,2)の原因は振動により溶湯中に生ずる加圧波,減 圧波による核生成温度の上昇4)5)9)とキャビテーションに より生ずる圧力変化に基づく核生成温度の上昇1。)ll)のそ れぞれ二説があるが,著老らは著者らの実験結果と現在ま での他の多くの実験結果より次のように考えた。

 一般に振動を与えると核生成するための過冷が減少する ことが報告されている4)12 13)15)(著者らの実験では見られ なかったが,これについては後に説明する。)が,これを 説明するためには核生成温度の上昇による核生成の促進が 行われなければならないし,また晶出させた結晶.に半溶融 状態で振動を与えた時,その破片が見られた6)という二と より,結晶の破壊が行なわれることも充分考えられる。一 方,著者らの実験より半溶融状態で晶出させた樹枝状晶に 振動を与えても破壊されず大きく認められたのが,同じ強 度で凝固開始と同時に与えたものには認められなかったこ とと,凝固開始前の完全溶融状態での振動は,液体の温度 を均一化することにより結晶を粗大化させることを考え合

わせれば,温度均一化により結晶および結晶粒の成長が抑 制されることも考えられる。従って,振動による結晶およ び結晶粒の微細化は,核生成の促進、破壊,成長の抑制等 のいずれか1つのみによるのではなく,それらがかみ合っ ておこり,振動数や振動強度その他のちがいにより,ある 場合にはそれらのいずれかが支配的になると考える方が妥 当であろう。

 さらに詳しく検討すると,核生成の促進に対しては振動 により発生する加圧波,減圧波に基く核生成温度の上昇に よるとする説は,核生成温.度を一しげるにはそれらは余りに も小さすぎる。従って核生成の促進される原因は,キャビ テーションに基く核生成温度の上昇によるもめと考えられ る。次に核の成長について考えると,上述の理由により成 長は抑制されることも充分考えられ,さらに大きく成長し たものはキャビテーションや摩擦力により破壊されるだろ う。ところがキャビテーションが存在しなくても微細化が おこること8)を考えれば,以上の事柄より次のようにまと めることができる。まずキャビテーションが存在するとき は,核生成時期においてキャビテーーショソにより核生成が 促進され,成長時期においては撹搾による温度均一化(潜 熱の拡散)のため成長が抑制され,さらに大きく成長した ものはそのほとんどは摩擦力にはよらずキャビテーション により破壊される。次にキャビテーーシジ/が存在しない時 は核生成の促進は行われず,成長時期において前と同じ理 由により成長が抑制され,その後さらに大きくなったもの は摩擦力により破壊される。

 以上は,成長の抑制が行われること以外は従来の結果よ り,推論的に述べたものでありそれらを断定するためには さらに多くの実験を続けて行かねばならない。

5. 結

 1)低周波振動では,.初晶珪素は微細化できないが樹枝 状晶やNiAI,のような二二晶は微細化される。

 2)ナトリウム処理と振動処理を組み合わせることによ り,ナトリウム効果減ず.驍アとなく樹枝状晶をも微細化で き,ミクロ,マク.ロ両組織が改善される。

 3)凝固開始前の完全溶融状態で振動を与えると結晶お よび結晶粒はかえって粗大化する。従って最もよい効果を 得るには凝固開始時から振動を与えるのがよい。これは振 動により液休が掩絆され,温度の均一化がおこるためと考 えられる。

 4)従来,振動による微細化機構として考えられてきた 核生成の促進と粒子の破壊の他に,新たに三二による温度 均一化に基く結晶および細見粒の成長抑制が考えられる。

従って振動による微細化はそれらの三つの作用が組み合わ さっておこると考えるとうまく説明できる,

一ユ35 一

(4)

lll尾善信・柴田政勝  アルミニウムおよびその合金の凝固に及ぼす振動の影響(第1報)

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      A1−15%Ni

、鱒繋.

奪一

Photo 3 Macro一 and microstructures of aluminium alloys unvibrated and vibrated

     at 60,・

     from left to right.

      . unvibrated

      . vibrated from the melt before solidification starts till solidification finishes.

      . vibrated during the melt before solidification starts.

      , vibrated as soon as solididification f tarts till solidification finifhes.

一136一

(5)

津山高専紀要(第2巻第1号)

Al−8% Si

箋︑

一鉄》

奪¥・・鷲譲

奪.〆鹿餐

轡咳馨﹂

A1−10% Cu

鱒灘識1 ・簸・

A1−15% Ni

Photo 4 Macro一 and microstructures of aluminium alloys vibrated at 60,一.

     left vibrated from a little time before solidification starts         till solidification finishes.

     center vibrated from a little time after solidification starts         till solidification finishes.

     right vibrated from 30 sec after solidification starts till         solidification finishes.

(6)

津山高専紀要(第2巻eg 1号)

      文    、... 献

1)松.田公扶,若曾根肇,鋳物,.:≒8,[4],19.

2)堀芳郎,上沢育三,日本金属学会報,38,[3],.ユ68.

3)燭篤美訳・W・C・Winegq「曙,,金顧騨概

  論(1964),地人書館。

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15) D. S. GilL L Lakhani and V. K. Bhandari,

   Foundry, June, 1962, 69.

(昭和43年10月16日受理)

一一 @138 一一一

参照

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