弾性波探査屈折法走時曲線の解析手順
“萩原の方法”を多層構造に拡張した解析
まえがき
最近では、弾性波探査屈折法の解析はパソコンによるトモグラフィー的解析が行われるよう になり、層構造として解析する従来からの解析法と併用されることが多くなってきた。 それぞれの解析法は長所・短所を有しており、どちらが地質状況を良く反映した解析手法で あるかは議論のあるところであり、調査目的に応じて両者を使い分け、あるいは併用すること が必要であろう。 ここにとりまとめた屈折法走時曲線の解析手順は、“萩原の方法”を多層構造に拡張した解 析理論を適用し、記録の読取りから始まって速度断面図が描かれる過程を、実例を示しながら 実務レベルに即応できるように解説したものである。理論的な説明は省き、解析の過程で必要 な数式のみを記載している。 また、複雑な地形条件あるいは地下の特殊な速度構造を解析する方法についても説明を省略 しているので、詳しくは弾性波探査に関する著書・文献を参照して下さい。 ウェブページ「弾性波探査解析の手引き」にも今回の資料を再収録しておりますので、他の 解説ページと併せて探査計画の立案・走時曲線の解析に役立てていただければ幸いです。 ウエブページアドレス http://www.ne.jp/asahi/refra/tansa/ 2009 年 10 月 3 日 財 津 敏 郎目 次
1.屈折波に関する仮定
1
2.走時曲線の作成
2
2.1 測定記録の読みとりと整理(付図-1) 2.2 初歩的走時曲線の作成(付図-2) 2.3 修正走時曲線の作成(付図-3)3.走時曲線上の速度層構造の概略把握
5
3.1 走時差図の作成と分析(付図-4) 3.2 走時曲線の分類(付図-4)4.各速度層の真の速度値の決定
6
4.1 萩原の方法(ハギトリ法) 4.2 基盤(V4)のハギトリ計算(付図-5) 4.3 異層間を通った走時のハギトリ計算 4.4 基盤(V4)速度の決定 4.5 第 1 層(V1),第 2 層(V2)の速度決定(付図-6) 4.6 第 3 層(V3)の速度決定(付図-6) 4.7 各層の速度分布の整理(付図-7) 4.8 遠隔発破走時曲線のハギトリ計算5.各速度層の深度走時の計算と分割
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5.1 原点走時と深度走時の関係 5.2 多層構造の深度走時 5.3 多層構造における深度走時の分割 5.4 各層の深度走時の決定(付図-8) 5.5 深度走時の分割(付図-9、付図-10)6.速度断面図の作成
13
6.1 第 1 層の作図(付図-11) 6.2 第 2 層の作図(付図-12) 6.3 第 3 層,第 4 層の作図(付図-13)7.速度断面図のチェック
14
7.1 傾斜補正 7.2 折点による概略層厚の計算 7.3 パス計算(付図-14) 7.4 パスプロッターによる屈折波の描画 参考文献 18付図 付図-1 測定記録の読み取りと整理 付図-2 初歩的走時曲線 付図-3 修正走時曲線 付図-4 走時曲線上の速度層構造の概略把握 付図-5 基盤のハギトリ計算と速度決定 付図-6 第 1 層、第 2 層、第 3 層の速度決定 付図-7 各層の速度分布の整理 付図-8 各層の深度走時の決定(D1、D2、D3) 付図-9 深度走時の分割(D12→D14) 付図-10 深度走時の分割(D24、D34) 付図-11 速度断面図の作図(第 1 層) 付図-12 速度断面図の作図(第 2 層) 付図-13 速度断面図の作図(第 3 層、第 4 層) 付図-14 速度断面図のチェック 巻末資料 速度モデルと走時曲線 20 モデル 萩原の方法による解析とトモグラフィ的解析の比較例
1.屈折波に関する仮定
屈折波と地層に関する仮定 a) 地震波動の伝播は、光の伝播と略同一の法則に従う。 b) 地震波動は、同一の速度層内では、どの方向にも等速である。 (1) スネルの法則 同一の地層内では、地震波は直線に進行すると同時に速度の境界面においては光と同じ法 則に従い屈折および反射する。 θ1 → 臨界角 (屈折波は速度境界面に沿って進む) (2) フェルマーの原理 光の径路が、2 点間の最短時間径路でかつ単一の径路であると同様に、屈折波の経路も その2 点間の最短時間径路にてかつ単一の径路である。 (3)屈折波の経路 屈折波は、光の 2 点間の経路を逆行すると同様に、一般的には任意の 2 点間を逆行する。 図1.1 反射と屈折 図1.3 屈折波の経路(1) 図1.4 屈折波の経路(2) 図1.2 臨界屈折 (1.1) (1.2) V1 V1 V2 V22 走時曲線の作成
2.1 測定記録の読みとりと整理(付図-1) a)読み取る前に極性のチェック(初動が押しか引きか)接続ミスが多々ある。 b)起震点から各受振点までの初動到達時間(走時)を 1/1,000 秒単位で読みとる。 c)初動 位置が明確でない場合は、2 動、3 動の山●谷○を読み、後で初動位置に引き 戻す。 2.2 初歩的走時曲線の作成(付図-2) 縦 軸 - 時 間(T),横 軸 - 距 離(D)として初動到達時間の読み取り値(付図-1) と距離の関係図を作成する。 ・走時曲線の目盛りの取り方 縮尺1/1,000 の場合 縮尺 1/500 の場合 ↓ ↓ 縦軸;1cm=1/100 秒 1cm=1/50 秒 横軸;1cm=10m 1cm=5m 2.3 修正走時曲線の作成(付図-3) a)走時曲線の接続 ①地表発破の場合→深度1m 未満程度では深度補正は行わず、展開内の起振点走時に隣 合わせの展開の走時を平行移動し接続する。(ボーリング発破など、深度が深い場合は 補正または地表発破の走時曲線に接続)。 図2.1 測定記録 図2.2 初動位置が明確でない記録の読み取り 図2.3 走時曲線の目盛りの取り方②走時曲線の凹凸の関係の整合性をチェックし、矛盾があれば記録を読み直し修正。 b) トータルタイムと走時曲線の平行性 測定した走時曲線に対し、下記の条件を満たしているか否かをチェックする。 ①一組の往復走時曲線の終端走時は、速度層毎にそれぞれ等しい(ト一夕ルタイムの一 致) 図2.4 走時曲線の接続 図2.6 走時曲線の凹凸の修正例 図2.7 走時曲線のトータルタイムの一致 図2.5 走時曲線の深度補正
t=T
AA"-(T
EE'+T
E'A")
A1=A2 B1=B2
V1<V2
② 同一屈折層の同方向の屈折走時曲線はすべて平行となり、重ね合わすことができる(平 行走時)。常に平行走時を検討すれば、走時曲線の折点や地下構造の異常を発見し易い。 ・V1層を通った走時 AA’//BB’ ・V2層を通った走時 A’A”//B’B” 発破地点のズレ・深度、offset の有無、雷管の斉発性などにより展開間の走時は必ずしも一 致しない。 走時曲線の平行性やトータルタイムの不一致などに矛盾があれば、発破点の位置・深度がず れていないかなどを確認しつつ、記録の読み直し・補正などを行い、解析用修正走時曲線を完 成させる。 →安易にトータルタイムを合わせたり、平行走時にしたりせず、その原因を究明した上で、 修正しなければならない。この作業は屈折法弾性波探査の解析で大切な作業で、充分な時 間をかけるよう心掛けなければならない。 図2.8 走時曲線の平行走時 V1<V2
3.走時曲線上の速度層構造の概略把握
修正走時曲線から何層構造の速度構造(走時曲線)であるかを予測する。 3.1 走時差図の作成と分析(付図-4) ・走時差の等しい部分は同一速度層を通ったものである(平行走時差)。 ・同一方向へ測定が実施されている走時曲線の間隔は平行であるか、漸近する。 ↓ 付図-4 では走時差の分析から 4 層構造として解析を進める。 3.2 走時曲線の分類(付図-4) 走時曲線上で第 1 層~第 4 層を通ってきた走時に分類 ・・・・・ 走時曲線中に折れ点を明示 すると以降の解析作業の手助けとなる。 この段階では、発破点①,⑤からの走時がどの部分から V4を通った走時であるか確定で きていない。 図3.1 3 層構造における走時差(τ) V1<V2<V34.各速度層の真の速度値の決定
4.1 萩原の方法(ハギトリ法) 図 4.1 ハギトリ法の概念図 ハギトリ法は不連続面の傾きが一様でなく、一つの測線の間で凹凸がある場合に適用した 場合、不連続面の深さ・形状・下層の速度を求めることができる。 条件 a)屈折波は屈折面に沿って進む。 b) ハギトリ計算は同じ速度層を通った走時曲線の組み合わせで行う。 c) 屈折面の傾斜ωがあまり大きくなく cosω≒1 とみなされる。 d) 起振点は地表にある 特に断らない限り、下層にゆく程速度は大なるものとする。 ここで、T’AR、T’BRは次式で示される。 T’AR,T’BRは地中の速度層境界面に設置した受振器で観測されるであろう仮想走時であり、 この走時をハギトリ点と呼ぶ。 ここで、実測走時(TAR,TBR)とハギトリ走時(T’AR,T’BR )の差(TAR-T’AR),(TBR-T’BR ) が深度走時D と呼ばれ、受振点 R において下層と地表の間を弾性波が進むに要する時間に 比例する量である。 T’AR及びT’BRの各点を直接で回帰した線が「ハギトリ線(速度走時曲線)」で、この直線 は1/V1なる傾きをもち、これからV1を決定することができる。 又、V0は発破点近くの立ち上がり部分の走時曲線の傾き1/V0から求められる。 各点の深度ZRは深度走時D と V0,V1を用いて次式で求めることができる。 (4.1) (4.2) (4.3) (4.4)T
'AR= T
AR- T
AR+T
BR-T
AB2
T
'BR= T
BR- T
AR+T
BR-T
AB2
4.2 基盤(V4)のハギトリ計算(付図-5) 先ず互いに遠方にある走時曲線(発破点①,②)の V4層区間について図式解法によりハギト リ計算を行う。 図式解法を理解するために、 (4.1) (4.2)式を次のようにを変形すると容易に理解できる。 具体的には、全走時TAB,TBAを読みとる。 TAB=74ms+α, TBA=75ms TABは発破点B が測線の外側に位置するため、正確な全走時は不明であるが、TBA=75ms と読みとれるので、75ms/2=37.5ms を上式の TAB/2 として採用し、37.5ms の位置に距 離軸に平行な線を引く。 任意の測点(R)おけるハギトリ点は次図に示すように比例コンパスを使って迅速に作図す ることができる。→ 比例コンパスでlines を 2 に設定 即ち、(TAR-TBR)/2 を比例コンパスで求め、TAB/2 の上、下に点をプロットすれば、こ れが求めるT’AR,T'BR(ハギトリ点)である。 図 4.2 比例コンパスを使ったハギトリ計算の要領 ハギトリ計算結果は、図中に×印(ハギトリ点)として示し、そのハギトリ点を直線に回帰 したのがハギトリ線(速度走時曲線)である。 付図-5 では 5~180m 間について、基盤(V4層)を通ってきた走時の組み合わせで計算を行 っている。 (4.5) (4.6) TAR TBR TAB 2 TAR-TBR TAR-TAB 2 T'BR= TAR-TBR 2 + TAB 2 T'AR= TAB 2 -TAR-TBR 2
T'
AR=T
AR-
T
AR+T
BR-T
AB2
=
T
AR2
-
T
BR2
+
T
AB2
=
T
AR-T
BR2
+
T
AB2
T'
BR=T
BR-
T
AR+T
BR-T
AB2
=
T
AB2
-
T
AR2
+
T
BR2
=
T
AB2
-
T
AR-T
BR2
TAB 24.3 異層間を通った走時のハギトリ計算 180~200m 間は V4層とV3層、200~205m 問は V4層とV2層の組み合わせでハギトリ計 算行い、見掛け速度 V’を求める。この間の V4層の速度が既知(4.7km/s)とすれば、(4.7) 式からV3層,V2層の速度を求めることができる。これは、各層がほぼ水平で極端な凹凸は ないもの仮定した条件下で成立する。 図 4.3 異層間を通った走時のハギトリ計算 図 4.4 異層間を通った走時のハギトリ計算から速度を求めるノモグラフ V’ Vn+1 Vn ・V1とV2で計算した見かけの速度 V’= 2.5km/s ・V2(Vn+1)→ 4.0km/s ・V1 (Vn) → 1.8km/s V'=2V1・V2 V1+V2 (4.7) V1<V2
4.4 基盤(V4)速度の決定 ハギトリ線の傾き(1/V4)から基盤速度を求める。 5m~120m 間 3.9km/s 120m~135m 間 2.2km/s 135m~180m 間 4.7km/s 180m~210m 間 前区間の速度が延長して分布すると想定(4.7km/s) 4.5 第 1 層(V1),第 2 層(V2)の速度決定(付図-6) 第 1 層あるいは第 2 層を通った往復走時曲線の組み合わせが存在すればハギトリ計 算によって V1,V2を求めることができるが、これがない場合は、異層間(基盤走時と V1,V2走時)のハギトリ計算、あるいは見掛けの傾斜から求める。 一般には、V1,V2は発破点からの立上がり部分の見掛けの傾斜の平均値を採用する。 4.6 第 3 層(V3)の速度決定(付図-6) 第3 層を通った往復走時曲線の組み合せがある場合 第3 層のハギトリ計算→V3決定 第3 層を通った往復走時曲線の組み合せがない場合 基盤走時と第3 層を通った走時を利用して異層間のハギトリを行う。 この時 でV3を決定 4.7 各層の速度分布の整理(付図-7) 決定した各層の速度分布を整理する。このように求めた速度値を走時曲線の欄外に一 覧表として整理しておくと、解析作業で速度値の取違いを防ぐことができる。 4.8 遠隔発破走時曲線のハギトリ計算 発破点のみを測線の外に設け、基盤走時を取得する方法が遠隔発破法である。測線内 で往復走時(Tbc、Tcb)が測定されていれば、遠隔走時の組み合わせによりハギトリ計 算を行うことができる。この時の全走時は図 4.5 の関係から求める。 図 4.5 遠隔発破走時のハギトリ計算 V3= 2V4-V' V'V4
5.各速度層の深度走時の計算と分割
二層構造の場合は、既に説明したようにハギトリ計算によって求められる下層の速度(V1) と深度走時D(TAR-T’AR)又は(TBR-T’BR)及び上層の速度(V0)によって受振点 R における ZR を次式で求めることができる。 多層構造の場合は、以下に説明するように各層の深度走時(D)を求めることによって第 1 層から順次速度断面図を画くことができる(萩原の方法の拡張)。 5.1 原点走時(インターセプトタイム:τ)と深度走時(D)の関係 深度走時 τ/2=D(=T2-T’2) (5.2) 原点走時 τ=2Zcosθ/V1 (5.3) 折れ点距離:X0と深度:Z の関係 図 5.1 二層構造の原点走時(インターセプトタイム)と深度走時の関係 5.2 水平多層構造の深度走時 図 5.2 多層構造の深度走時(D) 一般に最下層の速度をVn とし、任意の速度層の速度を Vk とすれば である。 (5.1) Z =X0 2 V2+ V1 V2-V1 (5.4) (5.5) (5.6) (5.7) (5.8) (5.9) (5.10) (5.11) (5.12) 又は V1<V2 V1<V2<V3<V45.3 多層構造における深度走時の分割
水平4 層構造における深度走時の分割の概念を次に示す。
図 5.2 水平 4 層構造における深度走時の分割 ここで
D12=Z1・cosθ12/V1 (5.12)
D13=Z1・cosθ13/V1 = D12・cosθ13/cosθ12 (5.13)
D23=Z2・cosθ23/V2 = D2-D13 (5.14)
D14=Z1・cosθ14/V1 = D12・cosθ14/cosθ12 (5.15)
D24=Z3・cosθ24/V2 = D23・cosθ24/cosθ23 (5.16)
D34=Z3・cosθ34/V3 = D3-D14-D24 (5.17)
Z1=D12・V1/cosθ12 = D13・V1/cosθ13 = D14・V1/cosθ14 (5.18)
Z2=D23・V2/cosθ23 = D24・V2/cosθ24 (5.19)
Z3=D34・V3/cosθ34 (5.20)
D1=D12
以上のように、最終的に測線全区間の各測点の Z1,Z2,Z3 を求めるためには、各層の速 度(V1、V2、V3、V4)と各速度層の深度走時(D14、D24、D34)が全区間を通して明らかとな れば、地表から順次Z1,Z2,Z3を決定することができる。 実際には(走時曲線の取り方にもよるが)D1,D2は発破点近傍でしか決定することができな いので、他の区間は地形条件等を考慮し内挿によって深度走時を分割する必要がある。 5.4 各層の深度走時の決定(付図-8) ハギトリ計算によって、基盤層(V4)までの深度走時 D3と第 3 層の一部についての深度走 時D2が決定できたが、V2,V3層を通った走時では、同一層の互いに重複する往復走時が観 測されていないので、これらの部分では近似的に水平層であると仮定し、1/2 原点走時の理 論によって各層のハギトリ相当線を決めることによってD1,D2を決定する。(地下構造はそ の構造が幾分複雑であっても 1 展開毎に区切って考えれば局部的には直線とみなすことが できよう。) 「同一発破点から発射された両方向の屈折走時曲線は、下層の境界が多少湾曲していても 直線的であればすべて原点で会する。」 起振点の左右で層厚が著しく異なっている場合は原点走時は一致しないので注意。 図 5.3 原点走時の一致 図 5.4 原点走時の不一致 5.5 深度走時の分割 a) D14(付図-9) D14=D12・cosθ14/cosθ12 (5.21) D12が決定されていない区間については、地形、走時曲線の形を考慮してD14を内挿。 b) D24(付図-10)
D24=D23・cosθ24/cosθ23=(D2-D13)cosθ24/cosθ23
=(D2-D12×cosθ13/cosθ12)cosθ24/cosθ23 (5.22)
c) D34(付図-10)
D34=D3-D14-D24 (5.23)
深度走時を分割する場合、D34が横方向に凹凸が激しいと第 3 層の層厚に影響し、不自然な
6.速度断面図の作成
6.1 第 1 層の作図(付図-11) 各測点についてZ1を計算し、プロットする。第1 層の描画は層厚が薄い場合が多いので、 計算値を直接プロットする。 6.2 第 2 層の作図(付図-12) 各測点についてZ2を計算し、第1 層の下面からコンパスで Z2を半径とする円弧を画いて 作図し、包括線を速度境界とする。 6.3 第 3 層,第 4 層の作図(付図-13) 各測点についてZ3を計算し、第1 層の下面からコンパスで Z3を半径とする円弧を画いて 作図し、包括線を速度境界とする。 各測点の深度の計算は、図6.1 に示したように、走時曲線と同縮尺で Vk/cosknの傾斜の 直線を引き、深度走時の分割図からコンパスでDknをあたり縦軸に合わせる(a)。次にコン パスを回転すれば横軸が求める深度 Zk となるので(b)、この深度をコンパスで各測点につ いて円弧を描けば求める深さとなる。 (6.1) (6.2) (6.3) 図6.1 コンパスを使った深度の求め方 a b基盤低速度帯 ・・・ 基盤層のハギトリ計算によって求められたハギトリ線の傾斜が弾性波 速度を示すものであり、ハギトリ線上で局部的に低速度を示す部分を基盤低速度帯と呼び、 一般に地下に存在する断層破砕帯等に関連づけることが多い。必ずしも地下の断層破砕帯ば かりでなく、地形・基盤の形状によっても現れるので、解釈に当たっては、断層の有無など 調査地の地質状況などと照合し、断層破砕帯であるか否かの判定を下さなければならない。 基盤低速度帯は、地下の速度構成によって様々な走時曲線、ハギトリ線の形状を持つこと が知られているが、一般には付図-13 に示すような表現をする。この時の基盤低速度帯の 幅・速度は見掛けであり、見掛け速度の速度は()で括って表示すべきであろう。
7.速度断面図のチェック
7.1 傾斜補正 地形の傾斜および速度層境界が著しく傾斜している場合は、ハギトリ計算で求まった下層の 速度は見掛けの速度であり、またこの速度を使って計算した深さは誤差を伴っているので、こ れらの傾斜が大きい場合は補正を行わなければならない。 ハギトリ速度が必ずしも真の速度より小さいとは限らない点に注意を要する。 7.2 折点による概略層厚の計算 解析断面図で比較的水平層に近い箇所の発破点の走時曲線で折点距離と速度から各層の 厚さを計算し、照合することによって大きな解析ミスを回避することができる。 ハギトリ計算で求めた速度: V’ 真の速度:V2 地表の傾斜:ρ 速度境界の傾斜:ω 図7.1 地表および下層が一定に傾斜している場合のハギトリ速度(V’)と真の速度(V2) Z1= x1 2 V2+V1 V2-V1 Z2=x 2 2 V3+ V2 V3-V2 -Z1V 2 V3 2-V12 -V3 V2 2-V12 V1 V3 2-V2 2 1 ω<ρ V’<V2 2 ω>ρ a ω<2ρ V’<V2 b ω=2ρ V’=V2 c ω>2ρ V’>V2 3 ω=0 V’=V2 下層が水平 4 ρ=0 V’>V2 地表が水平 5 ρ=ω V’<V2 地表と下層が平行 Z3=x 3 2 V4+ V3 V4-V3 - Z1V 3 V4 2-V12-V4 V3 2- V1 2 V1 V4 2-V3 2 -Z2V3 V4 2-V 22 -V4 V32-V22 V2 V42-V3 2 (7.1) (7.2) (7.3) (7.4) 図7.2 水平層の折点距離 V1<V2<V3<V47.3 パス計算(付図-14) 解析された速度断面図はハギトリ法を拡張した理論に基づいたものであるが、解析の段階 で速度や深度走時が求められず、推定した箇所もある。従って、この条件が著しく矛盾した ものであった場合、その断面図が現実的でない場合がありうる。このため速度断面図中で弾 性波の波路を入れ走時を計算し、実測走時に合致することをチェックする(パス計算)。 図 5.2 速度断面図のチェック箇所(パス計算) ①パス計算のチェック箇所は、発破点から走時曲線上の走時曲線の折れ点(速度の変換点)を ターゲットにし、すべての起振点からの走時に対して上層と下層の複数のパスを計算するこ とが好ましい。 ②実測走時と計算走時の差は、測定精度,初動の読み取り誤差等を考慮すると、2~5msec に留める必要があろう。もしその差が大きければ、上層から下層へと順次断面を修正しなが ら最適な断面図を作成する。 ③基盤の折れ点からある程度離れた基盤走時、終端走時へのパス計算は、往復走時のトータ ルタイムが一致していれば、いかなる比率に深度走時を分割しても一致するはずである。 V1<V2<V3
7.4 パスプロッターによる屈折波の作図法 解析断面図にパスを描画するには、次に示すようなパスプロッターを利用すれば、これを迅 速に行うことができる。 (1) パスプロッター (2)二層構造の屈折波の作図 (3)三層構造の屈折波の作図 k n= sin-1Vk Vn Vk=2.0km/s Vn=4.0km/s Vk=1.0km/s Vn=4.0km/s Vk=2.0km/s Vn=4.0km/s
参考文献 1 萩原尊礼(1957) 物理探鉱法 P1~41 朝倉書店 2 増田秀夫・北野昭彦(1957):浅い地下構造の屈折法について 物理探鉱第 10 巻 2 号 8-18 3 多治米鏡二・武内俊昭(1958)屈折法の解析に対する萩原の方法の拡張 物理探鉱第 11 巻 1 号 44-46 4 栗原重利(1960)屈折法走時曲線の選定法並びに零走時による屈折法走時曲線の解析法 九州鉱山学会誌28 号 144-168 5 服部保正(1962)屈折法走時曲線の解析法についての研究 地質工学第 2 輯 9-46
6 金子徹一(1963)正則走時曲線(Regulated time-distance curve)の提唱 物理探鉱第 16 巻 2 号 34-37 7 神田祐太朗(1964)T’曲線にあらわれる断層破砕帯 物理探鉱第 17 巻 3 号 17-21
8 東山俊博(1964)スプレッド(Spread)の継ぎ目における走時のズレについて 物理探鉱 第 17 巻 3 号 134-136
9 SEG (1967) SEISMIC REFRACTION PROSPECTING
10 吉田寿寿(1970)基盤が山型をなす場合、T’曲線の補正について 物理探鉱第 23 巻 1 号 1-5 11 田治米鏡二(1977)土木技術者のための弾性波による地質調査法 槇書店 12-141 12 物理探鉱技術協会(1979)土木地質調査における屈折法弾性波探査の調査計画に関する要綱 物理探鉱 第32 巻 6 号 26-43 13 物理探査学会(1998) 物理探査ハンドブック 手法編 第 2 章「屈折法地震探査」 115-151 14 物理探査学会(2000) 物理探査適用の手引き 51-71
① ② ③ ④ ⑤ ① ② ③ ④ ⑤ 0 50-0.7 95 155 210 0 50-1.0 95 155 215 0.8 1.5 0.6 0.7 0.8 0.6 1.0 0.7 0.7 L1.0 R0.5 R0.5 0 2 34 45 62 77 129.0 5 6 30 40 56 73 130.0 10 9 29 39 54 72 130.5 15 13 28 40 55 74 131.5 20 15 27 41 56 74 132.5 25 17 26 41 57 75 133.0 30 22 27 43 59 76 134.0 35 23 22 38 55 72 135.0 40 26 19 39 57 75 136.0 45 28 11 38 56 73 136.5 50 29 2 39 57 74 137.0 55 29 10 35 52 69 136.5 60 32 17 34 53 70 136.0 65 37 25 36 54 73 138.0 70 40 31 35 55 73 140.5 75 41 35 30 53 71 142.0 地盤高 (m) 発破点位置(m) 初動到達時間の読み取り値(1/1,000秒) 展開 深度(m) オフセット(m) 1展開 2展開 発破点番号 測定記録 75 41 35 30 53 71 142.0 80 44 38 24 53 70 143.0 85 45 40 17 52 69 143.5 90 46 41 10 49 67 144.0 95 45 42 6 46 65 144.0 100 47 43 12 47 65 144.5 105 48 43 19 44 63 144.0 110 49 44 24 43 60 50 46 19 44 58 144.5 115 53 50 32 45 59 146.0 120 56 53 39 44 60 147.5 125 61 56 43 44 58 150.0 130 65 60 48 43 58 152.0 135 63 59 48 39 55 152.5 140 63 61 49 30 54 151.5 145 60 56 47 20 48 149.0 150 58 55 46 10 45 148.0 155 62 62 51 4 48 150.0 160 61 63 50 11 45 152.5 165 69 67 52 21 50 154.5 170 74 75 64 34 55 155.0 175 78 80 69 45 55 157.5 180 80 82 71 53 53 160.0 185 78 80 69 52 46 162.5 190 75 78 67 50 39 162.0 195 72 73 64 47 33 160.5 200 75 78 53 53 31 159.5 205 76 78 54 54 25 159.5 210 72 74 49 49 7 159.5 受 振 点 ( m ) 付図1 測定記録の読み取りと整理 測定記録
記録の読み取り
プロット
① ② ③ ④ ⑤ ① ② ③ ④ ⑤ ① ② ③ ④ ⑤
終端走時のチェック
実測地形断面図 ①:⑤ ④ ③ ② ① ⑤-② ⑤-③ ④-① ②-① ③-① ⑤-④ 4層構造を想定 走時曲線の分類 走時差のチェック 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ⑤-④ ③-① ②-① ④-① ⑤-③ ⑤-② 走時差のチェック 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ⑤-② ⑤-③ ④-① ②-① ③-① ⑤-④ ①,② ①,③ ②,⑤ 走時差のチェック 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ⑤-② ⑤-③ ④-① ②-① ③-① ⑤-④ ②,⑤ ①,③ ①,② 走時差のチェック 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ⑤-② ⑤-③ ④-① ②-① ③-① ⑤-④ ②,⑤ ①,③ ①,② 走時差のチェック 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ②,⑤ ①,③ ①,② 深度走時の分割 実測地形断面図
⑤ ④ ③ ② ① ②,⑤ ①,③ ①,② 実測地形断面図 深度走時の分割
⑤ ④ ③ ② ① ②,⑤ ①,③ ①,② 深度走時の分割 速度断面図
⑤ ④ ③ ② ① ②,⑤ ①,③ ①,② 深度走時の分割 速度断面図
⑤ ④ ③ ② ① ②,⑤ ①,③ ①,② 深度走時の分割 速度断面図
⑤ ④ ③ ② ① ② ① ③ ④ ⑤ ②,⑤ ①,③ ①,② ②→ ④→ 深度走時の分割 速度断面図