1.インバウンドの増大とホスピタリティ 概念の見直しの必要性
1985年のプラザ合意以降、円高基調が続 き、従来日本経済を牽引してきた製造業が、
主に周辺アジア諸国の持つ相対的に安価な労 働力と、急速に高まってきた技術力を背景と した攻勢によって国際競争力を失っていく中、
これまであまり重視されてこなかった「観
光」に、「新たな輸出産業」として、そして 今後の日本の経済を支える重要な1分野とし ての期待が寄せられるようになった。その結 果、観光振興は国の成長戦略の大きな柱の1 つとして位置づけられ、そのための様々な具 体的な政策が策定・実施されてきた。その中 でも、特にビザの発給条件を緩和したり、ビ ザを不要としたりする政策は大きな効果をも
【目 次】
1.インバウンドの増大とホスピタリティ 概念の見直しの必要性
2.これから求められるホスピタリティ とは
3.ホスピタリティとしての言語、コミュ ニケーション手段
4.移動手段におけるホスピタリティ 1)CIQ
2)空港の活性化、魅力の向上 3)タクシー
4)自転車
5.宿泊におけるホスピタリティ
6.文化面におけるホスピタリティ(食、
宗教、歴史)
7.今後の「おもてなし」の対象の変化
【要 旨】
近年、日本は新たな成長戦略の 1 つとしてインバウンド観光客の誘致を掲げ、その振興を図っ てきた。それは効を奏し、インバウンド観光客は急増、大きな経済効果をもたらしてきている。
しかし、ここに来て、日本の観光産業、ならびにその関係者は、従来国内のみで通用してきた「お もてなし」「ホスピタリティ」の在り方の見直しを図り、国際化にみあったものに変えていく必 要がある。それはソフト・ハード両面にわたるものである。
戸崎 肇 Hajime TOZAKI
Hospitality in Japan's future inbound tourism strategy, and infrastructure for that
日本の今後のインバウンド観光戦略における
ホスピタリティと、そのインフラの整備について
たらした。その結果、ここにきて、インバウ ンド(日本から見れば、訪日外国人旅行者を 意味する)が急激に増加している。少し前ま では、インバウンドが1000万人を超える日が 来ようなどとは、専門家でさえほとんど考え なかったが、現実に、2016年は2404万人を超 え、2017年は3000万人には届かなかったもの の、2869万人と、前年実績をはるかに上回る ことになった。
こうして観光をめぐる状況が大きく変化す る中で、従来のアウトバウンド(日本から見 れば日本から海外に向かう旅行者)や日本人 による国内観光を主な対象としてきた観光政 策、取り組み姿勢を根本的に見直さなければ ならない時期に来ている。
特に国内観光の振興においては、日本人の もつ美点としての「おもてなし」が観光市場に おいても大きな競争力の源泉であるとみなさ れてきた。こうした認識が徹底的に強化され たのが2020年に開催される東京オリンピッ クの誘致活動であった。
2020年のオリンピック開催候補地選考過程 の最終段階で行われた誘致のためのプレゼン テーションは、大きな関心をもって日本国民の 注視するところとなった。そこで演じられた
「お・も・て・な・し」をアピールするプレゼ ンテーションは、その後流行語となるまでに、
日本のメディアによって大きくクローズアッ プされた。こうして、優れた「おもてなし」を 提供できることこそが日本の誇る観光上での 競争力であり、これさえあれば絶対にどこの国 にも負けないという意識を日本の国民の間に 植え付けたように思える。そして、「おもてな し」は「ホスピタリティ」と翻訳され、2つの 言葉はほぼ同義語として取り扱われている。
こうしてもたらされた「おもてなし」ブー ムは、現在も続いている。しかし、では一体
「おもてなし」とは何なのか、という原点に立 ち返ってみると、なかなか明確な答え、意見の 一致をみることができない。それに、「おもて なし」を提供する対象が変化していることに も、もっと留意しなければならないにも関わ らず、従来通りの感覚で「おもてなし」を表 現しようとしている。つまり、インバウンド の増加によって、異なる文化・歴史的背景を もつ人々を相手にする場合、これまでのやり 方がそのまま通用すると考えるのは「思考停 止」といってもいいような状況ではないかと 思われる。もちろん、同じ人間としての感性、
感受性に訴えるということはあるだろう。し かし、そのためには、それを理解するために 相応の時間が必要である。表層的に理解した つもりにさせるようなものは真のリピーター、
サポーターを確保することにはなりにくいし、
なったとしても、そこには誤解が包含されて、
長期的に見てマイナスに働いてくる危険性も 図1
ある。特に接触する時間が限られてくる多く のインバウンドの旅行者に対して日本の競争 力として考えている「おもてなし」をアピー ルするのであれば、きちんとその意図につい て相手に理解できるように説明し、理解・納 得してもらおうとする積極的な働きかけが求 められる。そのためには、ただ「おもてなし」
と軽く口にするのではなく、それを提供する 側も、日本においてどのようにして「おもて なし」というものが歴史的に形成され、それ がどのような意味を持っているのかについて よく理解しなければならない。
さらには「おもてなし」の対象となる人々 の背景にある歴史・文化、あるいは現在の政 治的状況についても共感できるほど深く理解 しておく必要がある。双方の歴史・文化、そ して現在に至る様々な社会的要因に関する相 互理解の架け橋となるべく、心理的深層での 交流を促すものとなれば、それこそが国際化 時代の「おもてなし」「ホスピタリティ」とい えるだろう。
2.これから求められるホスピタリティとは また、「おもてなし」を「ホスピタリティ」
と訳して、同義のものとして扱うことは正し いのだろうか。そもそも「ホスピタリティ」と いう概念についても、これを定義することは 難しい。どちらの言葉も定義すること自体難 しい以上、単に「ホスピタリティ」を「おもて なし」とするだけでは不十分であろう。そし て、こうした齟齬が解消されないままで「ホ スピタリティ」として「おもてなし」を外国 人観光客に提供しても、国際的な感覚とは合 わず、期待されるほどの満足度を高めること はできないだろう。
とりあえず、まずは「おもてなし」につい て改めて考えてみよう。日本の「おもてなし」
の概念は「以心伝心」のようなニュアンスが 強く働くものである。つまり、言葉で説明す るような類のものではないということになる。
「もてなされている」ことがわかるようであ れば、それは「もてなしていることにならな い」という見解までなされている。
確かにそれは「おもてなし」の1つの本質を 突いたものであろうが、それではおもてなし に対する対価を徴収することはできない。「お もてなし」がそもそも対価を要求するもので ないとしたら、それは問題ないことになるが、
そのような無償の奉仕が、観光を経済振興の 主軸と据えていこうとするときに、どこまで 甘受できるか、は現時点で厳密に問い直さな ければならないのではないだろうか。
さらにいえば、何度も述べてきたように、
それが相手に十分に理解されないのであれば、
それは単に「おもてなし」を提供する側の自 己満足にとどまってしまい、お互いに効用を 最大化することができないという不幸な状況 に陥ることになる。
現在、観光戦略が国内市場から海外市場へ とその軸足を移行させ、文化、価値観の違う 人々を対象としている中、これまで通用して きたやり方、考え方がそのまま通用するとは 限らないし、むしろ通用しない場合の方が増 えてくることは間違いないだろう。
そこで自分たちが伝統的な形を保持しつつ も、どういう形でもてなすのが相手を最大限 満足させるのか、あるいはそれにどういう意 図が込められているのかを、一元の顧客であ るインバウンドの旅行者、つまり彼らとの交 流が浅い段階において、あらかじめ明確に示
す必要がある。そうすれば、その意図はフェ イスブックやツイッターといったSNS(ソー シャル・ネットワーク・サービス)などを通し て、自然と海外旅行者の間にも浸透し、いち いち説明、あるいは意思表示しなくても、相 手側に理解され、評価され、リピーターを増 加させることにつながるものと期待できる。
ここ再度、誤解してはならないものとして 指摘したいのは、単に相手の望むサービスを 提供するだけでは「おもてなし」にも「ホス ピタリティ」にもならないということであ る。相手の意向を先取りして行動するだけで は、高度なサービスの提供と何ら変わらない。
「おもてなし」にせよ、「ホスピタリティ」に せよ、その次元を超えた、さらに高次なもの が求められるのだ。つまり、顧客が考えの及 ばない次元で、相手の満足度を高めていくか という創造性が求められるのである。そこに は深い人間性に対する洞察と同時に(ここま でであれば高度なサービス提供の次元と変わ らない)、新たな文化の創造、あるいは伝統 の発展的継承に向けた圧倒的な熱意が必要と なってくる。つまり、サービスとの違いは、そ れがさらに新たなステップとなって、社会全 体の価値観を創造するまでのダイナミクスを もっているかどうかであると考える。
このように考えていけば、現状のように、た だ惰性のように「ホスピタリティ」「おもてな し」といった言葉を声高に張り上げているだ けでは、とても観光上の競争力を長期的に向 上させるためにはならないだろう。
3.ホスピタリティとしての言語、コミュ ニケーション手段
これまで述べてきたような意図、考え方を
説明するためには、何といっても言葉の問題 を解決しなければならない。日本の伝統の美 点としての「以心伝心」を強調する人々の深 層心理には、国際コミュニケーションに対す る抵抗感があるように感じられるものが多い。
英語などの外国語に、新たに取り組み事に対 する抵抗感が、その言い訳として、外国語を 学ばなくても人間同士で分かり合えるという ことを体現したのが「以心伝心」であり、日 本文化での美徳であると強調しているように 思われるのだ。
しかし、真の観光立国を目指す、あるいは インバウンド観光で本当に高い経済効果を得 ようとするのであれば、外国語の習得と実践 は避けて通ることが出来ない。そして、それ はあくまでも実践的なものとして位置づけら れるべきで、アカデミックな語学能力とは一 線を画して論じられなければならない。とい うのは、ここであまりにも実用性をいうこと を強調してしまうと、今度は外国語教育全般 に対するマイナスの影響を与えかねないから である。
この点に関して深入りすると本筋から離れ てしまうので、詳細には立ち入らないが、あ まりにも実用性を重視しすぎると、高等教育 とは何か、というさらに重要な問題にまで立 ち入らざるを得なくなる(特に最近の英語の 導入教育では、文法的理解が軽視されるよう になってきているが、長期的に見ればその弊 害は大きい)。
もし高齢者などが中心で、能力的に外交語 の習得が厳しいというのであれば、自動翻訳 機、自動通訳機を積極的に導入していかなけ ればならない。こうなると、「おもてなし」は ソフト面だけに限らず、ハード面にも関わっ
て来ることがわかってくる。
すでに相当に高度な技術をもった自動翻訳 機、通訳機が開発され、市場に投入されてい る。これらをあくまでも補助的に使用するこ とで、外国語でのコミュニケーションに対す る心理的抵抗感も緩和され、そのことが外国 語習得にもプラスに効いてくるものと考える。
その他、国際標準のピクトグラムの導入・
普及も重要である。聴覚障碍者などへの配慮 も当然必要となってくるし、視覚に基づく情 報伝達は、言葉を通したものよりもより迅速 に行うことができるからである。
とはいえ、それはあくまでも補助的なもの であり、インバウンドを主軸とした観光立国 を目指すのであれば、国民総体としての語学 力の向上は避けて通れない課題である。
4.移動手段におけるホスピタリティ 次にハードの側面から「おもてなし」、「ホ スピタリティ」の在り方について考えてみる。
観光行動をバリューチェーンとしてとらえ ると、観光において「移動」は大きな割合を 占め、極めて重要な要素となることがわかる。
この、観光の「良し悪し」の評価を大きく左 右することになる「移動」において、どのよ うにその利用者の身体的・精神的、そして金 銭的負担を軽減し、さらにそれを、スムーズ で快適なもの、そして楽しめるものとするか が重要となる。後半の部分は、移動自体を消 費の対象とする、つまり、「事」消費の商品と しようという発想になる。
もちろん、その前提となるのは安全性の確 保であることは言うまでもない。この部分を 軽視し、利便性や安さだけを追求するような ことになれば、事故が発生しやすくなるし、そ
して、実際にいったん事故が起こってしまえ ば、観光需要に大きなマイナス要因となって くる。
1)CIQ
インバウンド観光客に関して考えると、そ の全体の動きの中で、最初の障害となりうる のは、空港におけるCIQ(税関検査、検疫、入 国審査)である。これについては特に日本に 限ったことではないが、やっと飛行機から降 りて狭い空間から解放されたと思ったら、長 蛇の列に並ばされ、延々と待たされることに なる場合が多い。これは相当なストレスをも たらすものであり、リピーターを獲得する上 での大きな障害となりうるものである。
もちろん、その一方では、不法入国者を チェックし、国内の治安を維持するためには 厳格なチェックが必要なことも理解できる。
特に昨今のように、国際情勢が不安定化して いる状況ではチェックを強化することもやむ を得ないところだろう。
しかし、観光大国化しようとするのであれ ば、この点の対策も重要である。よく先進的 な例として参照されるシンガポール空港の場 合、旅客が飛行機から降りて空港の外に出る までに要する時間を20分以内とするよう目 標を設定し、それが確実に実現できるよう関 係者が一体となって取り組んでいる。
この問題の解決には、関連する技術の高度 化と、その積極的な応用が欠かせない。目の 虹彩などによる生体認証化の技術はすでに応 用段階にある。とはいえ、法を犯そうとする 側も次々に新しい手法でチェックの目を逃れ ようとしてくる。空港での水際対策にどこま での強固さを求めるかは、今後精緻な議論を 行っていく必要がある。
近い将来には、赤外線による監視・チェッ クの技術が進み、現在あるような「関所」の ようなエリアは姿を消し、鉄道の駅のように 自由に飛行機から空港の外までの出入りを行 うことができるようになるのが望まれる。
2)空港の活性化、魅力の向上
また、空港という空間をより有効に活かし、
旅客の満足を高めることも必要である。
空港といえば、単に航空を利用する人々が 利用するだけの特殊な空間であり、その中で 展開される店舗も免税品などの販売など、ど この空港も似たような構成になっているとい う印象がある。それは、空港の運営が地域独 占の状態にあり、特段の営業努力をしなくて も経営に問題がなかったという背景があるか らである。
空港は国の玄関口にあたる。ここが魅力的 なものでなければ、最初から印象が悪くなり、
観光プロセス全体の評価にも関わってくる。
空港経営に関しては、その経営の非効率性 に対して従来から批判の声も強くあり、近年 は民間の手法を導入することで効率化、活性 化を図ろうという政策が日本でも導入され、
推進されている。すでに仙台空港、関西空港 などではその運営権(コンセッション)が民 間企業に売却され、長期の運営権を獲得した 企業連合がその期間で利益を上げるため、現 在その基礎固めに動いている。また、今後も いくつかの国保有の空港において同様の政策 が実施される予定である。
空港経営において今日重要視されているの は非航空系収入である。航空機の離発着に関 連して航空会社から得られる収入を航空系収 入というのに対し、非航空系収入とは、空港 内の店舗における売り上げなど、航空会社と
は直接的に関係なく獲得するもので、たとえ ば周辺住民が空港で飲食したり、物品を購入 すれば非航空系収入として計上される。
非航空系収入を増加させようとすればこれ まで行われてこなかったような様々な斬新で 新しい試みが必要となり、それが活性化にも つながる。また、周辺住民の利用を促すこと によって、空港と地域との一体性が生み出さ れ、それが観光客を迎える上でもプラスに働 くことが期待される。そして、生み出された 収益を新たな航空会社の誘致や新たな路線の 開設、就航便数の増加ための施策(航空会社 への支援金の交付など)に投入し、それが功 を奏することによって当該空港への就航航空 会社の増加、路線の充実が可能となれば、利 便性は増し、海外、国外問わず、観光客を積 極的に迎え入れる姿勢として評価されること になる。
3)タクシー
海外からの旅行者にとって一番安心感を もって利用できるのがタクシーだろう。鉄道 やバスとは違い、自分が望む場所から場所へ、
ダイレクトに移動させてくれるからだ。しか も重くかさばる荷物をもっていても、トラン クなどに収まる範囲であれば問題なく運んで くれる。
しかし、ここでも言葉の問題がある。日本 のタクシー・ドライバーは高齢化が進んでい ることがその主因となっている。
2000年に入り、小泉政権時の規制緩和政策 によって、タクシー産業は過当競争状態に陥 り、1台当たりの営業収入が低下した。その 結果、世帯を支えることがかなり難しくなっ たことから若者の就業が進まず、年金の受給 などによる生活費の下支えがあるか、あるい
は子育ても終わり、生活費の負担が少ない高 齢者がドライバーの主力となっているのであ る。このことからは、外国語によるコミュニ ケーションへの対応力の問題以前に、安全運 転上にも支障を生じさせているのではないか という懸念まで出ている。
こうした状況に対し、最近導入が検討され ているのがライド・ブッキング(日本では一 般に「ライド・シェア」と呼ばれている)。
ライド・ブッキングは、スマートフォンの アプリなどを通して、移動サービスを望む者 と、自家用車などを使ってその需要に応えよ うとする者を仲介するサービスのことを言 う。この場合、移動サービスの供給を担う者 は、タクシーと同様の行為を行うものの、タ クシー・ドライバーとして就業するための2 種免許の取得を必要としない。ただし、仲介 業者に対して登録し、人物調査などの審査を 経ることは求められている。
ライド・ブッキングは一種のボランティア 行為とみなされている。その結果、移動サー ビスの提供に対する支払いは、「お礼」として みなされるが、実際には支払額の基準は設け られている。
これは、「シェアリング・エコノミー」とい う考え方から出てきたサービスである。これ は後に述べる「民泊」についても同様である。
「シェアリング・エコノミー」とは、今ある ものをより有効に活用しようという考え方で、
こうした考え方自体は何も目新しいものでは ない。しかし、需要と供給のマッチングにおい て、最新技術を活用し、よりきめ細かくマッ チングを行い、利便性を高めたことに、その 目新しさ、積極的に支持されるまでに至った 理由がある。
ライド・ブッキングの事業者としては、日 本国内からすれば米国の「ウーバー」が断然 有名であるが、世界的にはいくつもの大手事 業者があり、アジアにおいても同様である。
日本では、ライド・ブッキングは現在、事 業認可を得られていない。しかし、ライド・
ブッキングは、それを海外で利用したことの ある人々の間で、それを日本国内でも利用で きるようにすべきだという声が強い。また、政 府自体、その政策諮問機関である規制改革推 進会議などが、ライド・ブッキングの日本で の事業展開を積極的に後押ししようとしてい る。
これに対し、交通行政を管轄する国土交通 省は、公共サービスに求められる安全性の確 保などの要件が満たされていないことなどの 理由を挙げ、反対の姿勢をとっている。具体 的には、既存のタクシー事業の中で行われて いる始業前の車両点検、ドライバーの健康状 態のチェックなどといった基本的なことから、
ドライバーの身元保証、労働管理の在り方と いったより根本的な問題にまで及ぶものであ る。
実際、すでにライド・ブッキングが合法化さ れ、サービスが展開されている国々では、不 法な運賃の収受や、利用者に対するレイプな どの問題が無視できない件数、派生している。
また、公共交通機関が十分に発達していな い国・地域と、日本のように、ドライバーの 高齢化が進んでいるとはいえ、アンケート調 査などによる国際ランキングでトップの位置 を占める既存のタクシーを抱える日本の交通 事情を同列にして論じていいのかという問題 がある。
とはいえ、日本では、地方では、マイカー
の普及により鉄道やバスといった公共交通が 衰退し、タクシーもその影響をまぬかれてい ない。こうした間隙を縫って、ライド・ブッ キング事業者は、日本市場への参入を図るべ く、地方での社会実験の実施という形で入り 込み、 その実績をもって、参入を果たそうと している。
しかし、当初は地方においてサービスを提 供しても、最終的にライド・ブッキング事業 者が参入したいのは圧倒的に需要が多い都市 部であり、いったん日本市場への参入が認め られれば、すぐにでもライド・ブッキング事 業者は、採算性の薄い地方での事業を中止 し、都市部へのその活動拠点を移していくだ ろう。そうなるまでの間に、地方のタクシー 事業者は、ライド・ブッキング事業者によっ て駆逐されてしまっているだろうから、ライ ド・ブッキング事業者も去った後の地方には、
マイカーしか残らなくなる。
一方、高齢者の運転する自動車が引き起こ す事故の増加が社会問題となっている。特に 認知症が原因となる高齢者が起こす交通事故 の増加は深刻であり、最近道路交通法が改正 され、高齢者に対する免許更新の基準が厳格 化された。
国内において交通事故が起こらないようし、
安全に国内を見て回れるようにすることも、
一種のホスピタリティである。また、高齢者 の側にとっても生活をしていくためには、買 い物もしなければならないし、地域活動など に生きがいを見出そうとすれば、外出するこ とが必要となる。そして、外出し、人と交わ ることで精神的、肉体的健康も維持され、医 療費などの負担が軽減されることになり、そ の分財政の自由度が増し、観光政策などを強
化することができる。
このためには、地方の交通サービスの供給 を安易にライド・ブッキングに委ねるのでは なく、各地域の事情を十分に織り込み、タク シー、バス、鉄道などの交通モードが分断的 に運営されるのではなく、相互横断的に、有 機的・効率的に連動する形での交通政策を形 成し、実行していかなければならない。
そうした方向性を法制化したのが2013年 12月に施行された「交通政策基本法」である。
この法律の意義を今一度見直し、その実効化 を進めていかなければならない。
いずれにせよ、インバウンド旅行者に対し ては、既存のタクシー事業者が築き上げてき た、国際的にも最高水準のサービスを提供す べきである。再度確認すれば、日本のタク シーが国際的に見たホスピタリティ上で、現 時点でネックとなるのは、高齢者を中心とし たドライバーのコミュニケーション能力の問 題と、ライド・ブッキングに劣らないように するための、会社横断的な配車アプリの構築 と運営である。こうした問題性をどれだけ早 く解決しくことができるかどうかで、ホスピ タリティの担い手は変わってくることになる 可能性がある。
4)自転車
海外からの旅行者から時に問題視されるの は自転車利用者のマナーの悪さである。歩道 を我が物顔で通行し、歩行者に追突してけが をさせたり、スマートフォンを見ながらの運 転で歩行者を死に至らしめたりしている。
道路交通法では、自転車は、自動車と同じく 車両として位置づけられており、自動車と同 じ車線を通行しなければならない。ただ、日 本の場合、車線が狭く、そこを自転車が通行
することは確かに危険なため、自転車利用者 が歩道を走行しようとするのも理解できる。
本来であれば、自転車専用レーンを設ける べきであり、最近ではようやくそのような方 向で、歩道上に自転車専用の走行ゾーンが設 けられたり、車線上に自転車が走行すべき部 分がイラストなどで示されるようになった。
それでも自転車の歩行者に対する脅威はまだ まだ大きい。
日本では、特に2011年の東日本大震災以 降、自転車は環境に優しく、機動性の高いも のとして再評価が進み、自転車の利用が進ん だ経緯がある。しかし、その反面で無謀運転 も増加してしまうという副作用も発生してき たのである。つまり、環境にやさしいといっ た高評価が、利用者に対して自転車を利用す ることは無前提に正しいことだという意識を もたらし、自分たちが優先されてしかるべき だといった意識を生み出したのではないかと 思われる。
こうした問題を解決するためには、自転車 利用者に対する法的規制を厳格化し、国際標 準に見合った安全走行をさせる必要がある。
そのためには徹底的な厳罰化を図るしかない だろう。
このことを示す好例がある。2000年代の前 半まで、運転中にシートベルトを着用してい た人はそれほど多くなかったはずである。し かし、2007年に道路交通法が改正され、運転 中のシートベルト着用が義務付けられ、取り 締まりが強化されると、状況は劇的に変化し た。違反者に対し、違反点数が課されること になったことから、ドライバーの意識が劇的 に変化したのである。
このような経験に鑑みれば、自転車の走行
についても、無謀な運転については厳罰化を 進め、かつ取り締まりを強化することで、事態 は相当に改善されるものと思われる。そして、
このことは単にインバウンドの観光客を迎え 入れる体制を整えるというだけでなく、頻発 化するようになった自転車による悲惨な事故 を少しでも減らすためにも喫緊の課題である。
5.宿泊におけるホスピタリティ
日本において、「おもてなし」、もしくは
「ホスピタリティ」の強みについて最もよく 言及されるのが宿泊産業、あるいはクラブな どの高級飲食産業であろう。特に前者の場合、
インバウンド観光政策に直接かかわって来る。
石川県の加賀谷旅館など、老舗旅館はどこも
「おもてなし」の高さの水準の高さを誇り、時 には海外に姉妹店を出し、それを台湾に出店 したように、海外にまで輸出しようとしてき た。そして、実際インバウンド観光客の中で も、それは「日本的情緒」として評価されて いる。
そうした「おもてなし」について、初めて それを受けるインバウンド観光客にとっては 物珍しさもあり、積極的に評価しようという ことになるのは理解できる。そしてそれがリ ピーター化に結び付いていくならば何の問題 はない。しかし、現状の旅館のサービス提供 は、一部見直しが進められているものの、ま だまだ1泊2食を前提とし、ホテルにとまる 場合と比べて施設外での行動の自由度が制約 されがちな状況にあり、慣れた旅行者になれ ばなるほど、自由度の高い、つまり泊まるだ けでもいい旅館やホテルを選び、飲食は周辺 の「割安」で「より個性的」な飲食店で済ま せようということになっていく。
実際、インバウンドの急増によって日本の 宿泊施設はかなり需給がひっ迫しているとは いえ、それは主に大都市での話であり、さら に旅館となると、その稼働率は、総体的には まだ50%を切るくらいに余裕がある。
つまり、多くの旅館はまだまだ経営改革が 求められており、今後ますます多くの多様な インバウンド観光客がマーケットの対象とな る場合には、その「おもてなし」について、通 り一遍の解釈に基づいたものを提供するので はなく、宿泊客として想定する対象を明確に し、そのターゲットとなる国の歴史・文化・
風俗を徹底的に研究し、それを「おもてなし」
の中に反映していかなければならない。日本 的「おもてなし」の押し付けは、ある一定の 理解ある層にまでしか通用しないという現実 を受け入れるだけの覚悟が求められるのであ る。
この一方で、ホテルなど、一般的な宿泊施設 の供給不足の現状に鑑み、海外でかなり普及 してきている、いわゆる「民泊」を積極的に 導入しようという動きがあり、これをめぐっ ても、その妥当性をめぐって激しい議論が行 われている。
「民泊」とは、先に述べたライド・ブッキ ングと同様に、「シェアリング・エコノミー」
の考え方をベースとして発展してきたビジネ スモデルである。これは、宿泊業としての登 録を得ていない古民家や一般家庭でも、宿泊 行為を行うことを認めようというものである。
ライド・ブッキングの場合のように、ここで も宿泊場所を提供しようとする側と、それを 希望する側の間をネット上のサイトで仲介す る業者が主たる役割を果たすことになる。そ の中でも有名なのが「エー・アンド・ビー」
である。
海外では、こうした仲介業者によるサービ スがすでに広範に展開されている。日本でも、
近年のインバウンド観光客の急増に伴うホテ ルなどの宿泊施設の供給不足により、すぐに 供給を増やすことのできないホテルなど大型 宿泊施設の代わりに、今ある古民家などの潜 在的に宿泊機能を持つ施設の有効利用や、一 般家庭の副業としての宿泊サービスの提供を 実現化することで経済の活性化を図ろうと政 府は考えている。また、古民家などの再生利 用は、地方創生事業とも連動することになる。
その結果、ライド・ブッキングに先んじる 形で、2017年6月に「民泊新法」が可決され、
日本でも実質的にはそれ以前からすでに解禁 同様であった「民泊」事情が、ついに合法化 され、全面的に展開されようとしている。そ れに日本の航空会社など、関連する大手企業 も提携する動きを顕在化している。
ただし、宿泊業に対しては、従来、宿泊客 の安全性を確保するために様々な措置を講じ るように多角的な観点から規制が課されてき た。
たとえば消防法に基づいた各種対策措置の 遵守規定である。この点については、違法民 泊業者や、いくつかの風俗店が、非常口が荷 物でふさいでいたり、適切な避難誘導が行わ なかったりした結果、多くの犠牲者を出して しまうという事件を起こしてきたことに鑑み れば、その重要性が理解できるだろう。
また、民泊事業者を通した宿泊施設の提供 者が、利用者を監禁し、レイプするなどの被害 報告も挙がっている。その際、仲介者は、被 害者から携帯電話で助けを求められた家族か ら助けを求められていたにも関わらず、何の
対策も講じなかったという。この事例につい ては大手マスコミによっても大きく報道され ている。
さらに、経済効果の面でも疑問視しなけれ ばならないことがある。日本の大都市におけ る民泊事業者が提供する民泊施設の多くは、
中国などの外国人資本によって買い上げられ た住宅やマンションなどであり、その収益は 日本にはもたらされず、海外に流出している のである。
ともあれ、宿泊事業における「おもてなし」
「ホスピタリティ」は、安心してゆっくり過ご せる場の提供である。この点を確保できない ものは当然排除されてしかるべきである。
6.文化面におけるホスピタリティ(食、宗 教、歴史)
日本人は宗教的意識が希薄であるとよく言 われる。確かに、何かと神頼みをするかと思 えば、クリスマスになると国中が浮かれ騒ぎ 出す。結婚式はキリスト教徒でなくとも教会 で挙げる場合が多いが、年始になると誰もが
初詣で神社に詣でる。
しかし、世界的には依然として、ムスリム、
キリスト教徒を始めとして、自分の信じる宗 教に厳格に殉じる人々の方が多い。そうであ るならば、自分はともかくとして、海外から 人々を招きいれる立場としては、各宗教の考 え方、その実践の在り方について深い知識を もっておく必要がある。特に昨今、依然として 石油資源に基礎を置く、経済力の強い中東の イスラム諸国、そして多くの人口を抱え、今 後の経済発展が大いに期待されるインドネシ アやマレーシアなどのアジアのイスラム国の 存在の大きさを考えれば、宗教的理解を深め ることの重要性は容易に理解されるだろう。
日本においてインバウンド振興政策を進め る初期の段階では、ムスリム対応について積 極的に議論がされ、具体的な政策がとられて いった。先述したようなマレーシア、インド ネシアといった近隣のイスラム国家を意識し てのことである。
主なムスリム対応としては、ハラール食の 提供、そして一日5回行う祈祷を行うことが 図2 アジアにおけるムスリムの人口
出所:一般社団法人ハラル・ジャパン協会
できる場所の提供がある。特に後者において は、単に場所があればいいということにはな らない。方角など、イスラム教に対する正確 な知識に基づいた場所の設置、運営が必要で ある。
ハラール食についても、その認定を受けな ければならない。そのためのシステムの構築 も必要である。こうした点については、レス トランや宿泊施設、空港など、公的施設では いずれも特に慎重な対応が求められる。
その後、「イスラム国」の台頭と、彼らに よるテロの実行などによって、イスラムに対 するイメージが急激に悪化した結果、日本国 内におけるムスリム対応の動きも鈍化、ある いはあまり声高に論じられなくなった。しか し、2017年10月、「イスラム国」が首都とし ていたシリアのラッカが陥落し、脅威が低下 したこと、そしてサウジアラビア国王が2017 年3月、46年ぶりに来日したことよって、再 度、ムスリム対応への関心が高まっている感 がある。
服装においてもそうだろう。イスラム教で は、男性と女性の間において、依然として違っ た行動様式、服装を求めるところがある。そ れはイスラム圏以外では通用しないのだとい うだけでは済まされない。それは、我々日本 人が他国において違った風俗・習慣に直面し、
時に不快な思いをすることがあることに鑑み れば理解できるだろう。女性においては過度 な露出を避けるなど、伝統的な制約がまだま だ彼らの意識の中に残っているはずである。
そうした状況を理解し、欧米流にのっとった 我々の生活習慣、暮らしの現状を優越的にと らえ、それを強制、あるいは見せびらかせる ような態度はとってはならない。
もちろん、神道や仏教など、日本人がよって 立つ宗教についても、我々日本人自身が理解 を深め、それを海外からの観光客にきちんと 理解できるように説明できるまでになってお かなければならない。自国のことについて相 手によく知ってもらい、新たな視野を広げて もらうのもホスピタリティだからである。そ のためにも、自国の伝統的慣習、行事などは 正確に後の世代に伝承していかなければ、観 光政策推進のための大きな競争力を失うこと になってしまう。
最後に観光政策を進めていく上での歴史的 理解の重要性である。この点については、最 近の通訳ガイド業の一般人への開放という規 制緩和が大きな問題性をもたらしている。
日本にとって、当面のインバウンド観光推 進のターゲットとなっているのはアジア諸国 であるが、そのアジア諸国との間には、歴史 的に難しい関係を抱えているところが少なく ない。特に韓国、中国についてはそうである。
したがって、歴史認識に関する事柄について はできる限りナーバスにならなければならな い。
しかしながら、違法ガイドの横行は、これ とは全く逆の効果をもたらしている。特に問 題視されているのが中国人による免許をもた ない違法ガイドによる案内行為である。
彼らの違法行為については各種メディアに よって視覚的にも報道されているものの、そ の取り締まりについては全くといいほど不十 分な状況にある。彼ら違法ガイドは、主に中 国人の経営する、いわゆる「ぼったくり店」
に旅客を誘導することによって、旅客に対し て日本に関する悪い印象を残させる一因をつ くるとともに、旅客に対して誤った日中間の
歴史を風潮し、中国人が日本を再度訪れるリ ピーターとなる可能性を低下させている。
自動通訳などの語学上の技術進歩がもたら すプラスの効果についてはすでに言及したが、
逆にガイド業務については、よほど正確な知 識を内蔵した案内技術を開発し、それを利用 するように義務付けるようにしない限り、長 期的に見て、両国関係に大きなマイナスの効 果をもたらすことになる。
従来、通訳ガイドの待遇については、その 資格を取得するのは相当に難しいにも関わら ず、職業としての地位は脆弱であり、資格取 得のために費やす労力に全く見合わないもの であった。それが、今回の規制緩和によって さらに悪化することになってしまった。政府 は、国益の観点から通訳ガイドの重要性を見 直し、国としてのホスピタリティのあるべき 姿としても、通訳ガイドの専門性の維持・向 上、そしてそのための環境整備に努めなけれ
ばならない。
7.今後の「おもてなし」の対象の変化 2019年、ラグビーのワールドカップの日 本開催は、これまで進めてきた観光政策の大 きな転換点となりうるものと考えられている。
というのは、欧州を中心に、ラグビーのプラ イヤー層、そしてそのファン層は経済的に上 位層に属する人々が多く、日本国内において 多くの消費行動を行うことが期待できるから である。
これを機に、従来の観光政策の方向性を変 更し、ターゲットをより富裕な旅行者層に振 り向けていくことも考える必要があるだろう。
というのも、「数」を追う観光政策にはすでに 限界が見えているからだ。
その最大のボトルネックとなっているのが 首都圏の空港の発着枠の供給制約である。す でに羽田、成田空港の発着容量は限界に近付
図3
出所:国土交通省 関東地方整備局 東京空港整備事務所
いている。今後、成田には新たな滑走路が建 設される予定だが、それが供用されるまでに はまだ相当の時間がかかる。それに対し、政 府が掲げている観光政策の1つの目標値は、
2030年までにインバウンドを6000万人まで 増加させるというものである。地方での受け 入れ政策をよほど強化しなければ達成するの が難しい数値である。
このことは、目標が達成できるかどうかの 鍵を握るのが地域の在り方次第であるという 危機感につながれば、地域創生を促し、日本の 均衡のとれた発展に導くというベストのシナ リオになっていく。しかし、それはなかなか 難しいのも現実であり、よほどうまくDMO
(Destination Marketing / Management Organization)などによる取り組みが機能し ていかないと、先述のように、観光における 航空や宿泊といったインフラが不足してきて いる状況もあり、目標達成は難しいものと思 われる。
そうであれば、一方では数を求めながらも、
改めて経済効果の高さという観点から観光政 策の修正を行う必要があるだろう。つまり、
より高い経済効果をもたらす層に照準を当て、
その層の取り込みを図ることである。そのた めには、時間をかけた準備が必要となる。
世界の富裕層に対する「おもてなし」は、こ れまで国内の富裕層に対して通用してきたも のとは全く別次元のものを要する。わかりや すいものは語学対応であり、顧客の細かい要 求にこれまで以上に的確にかつ迅速に応えて いかなければならない。これは、文化的背景 もあるので、「以心伝心」では無理であり、た
とえ一度目の訪問時はある程度受け入れられ たとしても、リピーター化していくにはよほ どの好印象を残す必要がある。
当然、施設面での対応もある。デービッド・
アトキンソン著『新・観光立国論』によると、
世界のトップ富裕層の宿泊するホテルの1泊 の平均の料金は700万円であるという。それ に見合うようなものを日本でも提供できるよ うにしなければならない。本来、日本はこれ まで、多くの機会に自らの「世界1のおもて なし」を誇り、喧伝してきたにもかかわらず、
それが現実的に「世界標準」となっていない ということを認識する必要がある。
こうして、世界レベルで通用する新たな次 元の「おもてなし」に到達するためには、語 学、歴史認識、異文化理解等、多面的に深く 掘り下げた人材教育と、それが活きるための 施設整備を進めていくことが求められる。
以上、ソフト・ハードの面から日本が今後 目指すべき「おもてなし」「ホスピタリティ」
の課題について論じてきた。2020年東京オ リンピックの開催にただ間に合わせようとす るのではなく、その意味をしっかりと吟味し、
長期的な視点において観光大国化のための準 備・整備を進めていくべきである。
参考文献
[1]デービッド・アトキンソン『新・観光立国論』、
東洋経済新報社、2015年6月
[2]戸崎 肇『観光立国論』、現代書館、2017 年8月