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理 科 カ リキ ュ ラ ム の 改 善 に関 す る研 究

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理 科 カ リキ ュ ラ ム の 改 善 に関 す る研 究

平 成9年(1997年)12月

国 立 教 育 研 究 所 ・科 学 教 育 研 究 セ ン タ ー 科学教育研 究室 ・物理教 育研究室

化学教育研 究室 ・生物教 育研 究室 地学教育研 究室

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昨 今 の科 学 技 術 の 目覚 ま しい発 展 、 益 々複 雑 にな る情 報 化 社 会 、 これ らに伴 う都 市化 の 波 が 日本 の隅 々 まで 押 し寄 せ て い る。 この よ うな 社 会 状 況 の変 化 の 中 に あ っ て 、 児 童 ・生 徒 を と りま く環 境 も大 き く変 わ りつ つ る。 多 様 な メデ ィ ア に よ る疑 似 体 験 は増 え る も の の 実体 験 の機 会 は失 わ れ つ つ あ る。 また 、 身 の回 りの 自然 は減 少 し、環 境 問題 は地 域 や 国 を 越 え地 球 規 模 で の広 が りを見 せ て い る。

理 科 で は、 本 来 自然 の事 物 ・現 象 に触 れ な が ら、 自然 事 象 に興 味 ・関心 を持 ち 、 美 しさ や 生 命 の大 切 さ を感 じ とる と とも に、 自然 を調 べ る活 動 を通 してそ の成 り立 ち や そ こ に潜 む 規 則 性 ・法 則 性 を見 出 し、 日常 生 活 に活 用 で き る科 学 的 リテ ラ シー を学 習 す る こ とが 求 め られ て い る。

ま た 、学 校 五 日制 の実 施 に 伴 う授 業 時 数 削減 の 中 で 、様 々 な変 化 に対 応 で き る学校 教 育 の展 開 に 当 た っ て は 、 学習 内 容 の選 択 は も とよ り指 導 方 法や 時 間割 の運 用 に も学校 の裁 量 に任 され る部 分 が今 日以 ヒに 大き くな ろ う と して い る。理 科 の 学 習 にお い て は 、 野 外 学 習 、探 究 学 習 、課 題 学習 等 の 重要 性 が指 摘 され 、教 科 の枠 を越 え た 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 で も様 々な 体 験 活 動 の展 開 が 期待 され て い る 。

本研 究 班 で は 、 上 述 の状 況 を踏 ま え 、 小 ・中学 校 段 階 にお け る理 科 カ リキ ュ ラム の改 善 につ いて の提 言 を行 う こと と した 。 この提 言 をす る に 当た って は、 主 と して 国 立教 育 研 究 所 科 学 教 育研 究 セ ン ター にお け る これ まで の調 査 ・研 究 の結 果 を基 に 、各 専 門委 員 が 理 科 教 育 の課 題 に対 応 す る事 項 を分 担 して そ の 分 析 を進 めた 。

こ こで取 り上 げ た提 言 の主 要 事 項 は 、 「理 科 のカ リキ ュ ラム 開発 」 、 「理 科 の 目標 」 、

理 科 の学 習 内容 」 、 「理 科 の指 導 法 」 、 理 科 と関わ る教 育 制 度 」 に 関す る こ とで あ る。報 告 書 の 前 半 に は提 言 事 項 の要 約 を 、後 半 に はそ れ らい くつ か と関 わ る資 料 を掲 載 し て あ る。 限 られ た 時 間 の 中で 各 事項 の具 体 的 な 内容 を詳 細 に示 す まで に は 至 って いな い が 、 こ の研 究 が 理 科 の 改 善 に い く らか で も貢 献 で きれ ば幸 い で あ る。

本研 究 に ご協 力 いた だ いた 所外 専 門委 員 の 方 々 に厚 くお礼 申 し上 げ る。

平 成9年12月

国 立 教育 研 究 所

科 学 教 育研 究 セ ンタ ー 長 下 野

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研 究専 門委員 一覧

(平成9年12月 現在、五十音順)

[所外専 門委員]

金 子 丈 夫 筑波大学附属 中学校 教諭

佐 々木 和 枝 お茶 の水女子大学 附属 中学校 教諭

鈴 村 雅 史 岐阜県加茂郡八百津町立八百 津小学校 教頭 新 田 正 博 東京 都新宿 区立四谷第一 中学校 教諭

庭 野 正 和 東京都江戸川 区教育委員会 指導主事 渡 邊 東京都清瀬市教育委員会 指導主事

[所 内専 門委員]

小 倉 科 学教育研究 セ ンター 科 学教育研究室研究員 猿 田 祐 嗣 科学教育研究セ ンター 物理教育研究室長

下 野 科学教育研究セ ンター 科学教育研究セ ンター長 鳩 貝 太 郎 科学教育研 究セ ンター 生物教育研 究室長

松 原 静 郎 科 学教育研究 セ ンター 化 学教育研 究室長 三 宅 征 夫 科学教育研究セ ンター 科 学教 育研究室長

‑‑

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は しがき

研究専 門委員 一覧 研究 の概要

[1]理 科 教 育 にお け る今 日的 な 課 題 につ いて 1‑1提 言 の基 本 的 な 姿 勢

1‑2「 理 科 」 の課 題 とそ の改 善 1‑3今 後 の課 題

[2]理 科 のカ リキ ュ ラム 開発 に関 す る こ と

2‑1科 学 的 リテ ラ シー(科 学 的 素 養)の 育 成 に重 点 を置 くカ リキ ュ ラム 編 成 を行 う こ と

2‑2理 科 好 き の児 童 ・生 徒 を増 や す 工 夫 をす る こと

2‑3大 学 や 地 域 で の教 育 課 程 の開 発研 究 を促 進 し,か つ 支 援 す る こ と

[3]理 科 の 目標 に関 す る こと

3‑1自 然体 験 の機 会 を一 層 充実 す る こ と

3‑3飼 育 ・栽 培活 動 や 製 作 な どの体 験 的 な 場 を 一 層 充 実 させ る こ と 3‑3観 察 ・実験 を通 して 問題 解 決 能 力 を一 層 高 め る こ と

3‑4実 験 ・観察 を通 して 科 学 的表 現 力 を伸 ばす た め に工 夫 す る こ と

[4]理 科 の学 習 内容 に 関す る こと

4‑1中 学 校 にお け る課 題研 究 の 内容 を一層 充 実 させ る こ と

4‑2科 学 的 素 養 を育 成 す る観点 か ら必 要 な基 礎 的 知 識 を整 理 す る こ と 4‑3中 学 校 の物 理 領 域 にお け る内容 の再 検 討

4‑4中 学 校化 学 領域 にお け る内容 の 再検 討

4‑5中 学校 生 物領 域 にお け る内容 の 再検 討 を 行 う こ と 4‑6中 学校 の 地 学領 域 にお け る 内容 の再 検 討

4‑7中 学校 学習 指 導 要 領 の選 択 理 科 の 内容 を 明 示 す る こ とに よ り, 生 徒 の 能 力 ・適 性 に対 応 しや す くす る こ と

4‑8中 学校 の2分 野制 を変更 す る こ と

[5]理 科 の指 導 法 に関 す る こと

5‑1観 察 ・実 験 に お け る科 学 の 方 法 の 習 得 及 び 評 価 の 観 点 を 科 学 的 思考 力 育 成 の 立 場 か ら工 夫 す る こ と

5‑2博 物 館,科 学館 な ど地域 の施 設 ・人材 と連 携 を取 り, 地 域 の 指 導 力 の 活 用 を図 る こ と

(5)

[6]理 科 教 育 と関 わ る教 育 制 度 に 関す る こ と

6‑1理 科 授 業 に お け る児童 ・生徒 の 数 を適 正 な 人 数 にす る こと 6‑2児 童 ・生徒 の観 察 ・実 験 等 の 自然体 験 や 科 学 的体 験 の 発 展

を促 す べ く地 域 ご とに科 学 学 習 セ ンタ ー を 整備 ・拡 充 す る こ と 6‑3観 察 ・実 験 や 野 外 学 習 を始 め教 師 の 自然体 験 ・科 学体 験 の 充 実

を 図 るべ く教 育 セ ン ター の施 設 及 び 人員 の拡 充 を 図 る こ と 6‑4理 科 担 当教 員 の研 修 ・研 究 会 へ の参 加,活 動 の支 援 体 制

を高 め る こと

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[資 料 編]

I理 科 好 き の児童 ・生 徒 を増 や す 工 夫 をす る こ と 1.小 ・中学 生 の 「理 科 ぎ らい」 の実 態

2.理 科 好 き児 童 ・生 徒 を増 や す 工 夫

3.学 習者 の視 点 か ら考 え る カ リキ ュ ラム の 開発

4.自 然 を科 学 的 に探 究 す るお も しろ さ を 味わ うカ リキ ュ ラム の 開発 5.「 学 び た い ・学 ばせ た い」 カ リキ ュ ラム へ

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II自然 環 境 の総 合 的 な理 解 を得 させ る こ と 1.地 学 リテ ラ シー の育 成

2.地 学 領 域 の学 習 内容 の取 り上 げ方 3.野 外 学 習 の工 夫

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III実 験 ・観 察 を通 して 科 学 的 表 現 力 を伸 ばす た め の工 夫 をす る こ と 1.科 学 的表 現 力 とは

2.学 習 場面 で の表 現 力 3.科 学 的表 現 力 を伸 ばす

37

IV中 学 校 にお け る課 題 学 習 ・研 究 を一 層 充 実 す る こ と 1.課 題 学 習 ・研 究 と新 しい学 力(観)

2.理 科 にお け る課 題 学 習

42

V中 学校 の物理領域 にお ける内容 の再検 討:

概念形成 中心 の学習」 か ら 「身の回 りの物理現象 の探求 を

中 心 と し た 学 習 」 へ の 転 換 を 図 る こ と 49

1.科 学 的 素 養 を育成 す る観点 か ら必 要 な 基 礎 的 知 識 を整 理 す る こと 2.カ リキ ュ ラム の変 遷 の 中で の 物 理領 域 の 位 置 づ け

3.中 学校 の物理 領 域 にお け る内 容 の 再検 討

iv

(6)

VI中 学 校 の 生物 領 域 内容 の 配 列 ・順序 の変 更 を 行 う こ と 1.学 習 内 容 ・教 材 の 配 列 につ いて

2.中 学校 理 科 第2分 野 生 物 領 域 のカ リキ ュ ラム の案

VII中 学校 の 物 理 ・地 学 領 域 にお け る内 容 の配 列 ・順 序 の 変更 を行 うこと

1.現 行 の学 習 内容 に対 す る教 師 の意 見 2.学 習 内容 の検 討

3.物 理 的 内容(物 質 とエ ネル ギー)の 構 成 4.地 学 的 内容 の構 成

VIIIこれか らの中学校理科 教育 を考 える視点:

中学校理科 の学習 内容 を基 にして考 え ること 1.現 在 の 中学 生 の科 学 へ の意 識 か ら

2.現 在 の 中学 校 理 科 の学 習 内容 に対 す る教 師 の意 識 か ら 3.学 習 内容 に対 す る提 言

4.理 科 の指 導 法 に 関す る提 言 5.物 理 教 育 に対 す る提 言

IX理 科 授 業 にお け る児童 ・生 徒 の数 を適 正 な 人 数 にす る こ と 1.主 体 的 な学 習 の重 視

2.少 人数 制 授 業

3.少 人数 制 授 業 の 実 践 4.少 人 数 制 にす る方 法

X観察 ・実験 や野外学習 をは じめ教師 の自然体験 ・科学 体験 の充実 を図 る べ く教 育 セ ンタ ー の施 設 及 び 人 員 の拡 充 を図 る こ と

1.理 科 指 導 に 関す る教 員 の実 態 調 査 2.教 育 セ ン ター に 関す る改 善 の提 言

XI理科担 当教員 の研修 ・研 究会へ の参加,活 動 の支援体制 を高 め る こと

(7)

研 究 の概 要

本研 究 班 で は、 国 立 教 育 研 究 所 科 学 教 育 研 究 セ ンターに お け る これ ま で の調 査 結果 を基 に教 育 課 程 改 善 に関 す る提 案 を ま とめ た。

(1)理 科 教 育 の課 題

児 童 ・生 徒 の 自然体 験 の欠 如 、 理 科 離 れ 、 知 離 れ の増 加 な どが 大 き な社 会 問題 に な っ て い る。 また 、 国 際 数 学 ・理 科 教 育 調 査(TIMSS,SISS等)に よれ ば、 わ が 国 の児 童 生 徒 の知 識 水 準 は 高 い方 で あ るが 、 理 科 に対 す る興 味 ・関 心 の度 合 い は非 常 に低 く、科 学

は 生 活 に役 立 つ とか 将 来 科 学 関 係 の職 業 に就 きた い と考 え る も の は少 な い ことが 分 か っ た 。 さ らに、 理科 の 内 容 と して 実 験 計 画 を立 て た り、 実 験 や 観察 の結 果 を科 学 的 に考 察 しそ の 結 果 を論理 的 に述 べ る ことが 不 得 手 で あ る こ と も判 明 した 。

本 研 究 班 で は 、 中教 審 の第 一 次 答 申 にあ る 「科 学 的 素 養 」 を育成 す るた め の 「理 科 教 育 の あ り方 」 につ い て は 、 例 え ば 、 次 の よ うな考 え方 が提 示 され た 。

ar生 き る 力」 を育 て るた め に必 要 な科 学 概 念 の習 得 を 図 る と と もに 、 身 の 回 りの 自然 の事 象 に潜 む規 則 性 、 法則 性 を観 察 、実 験 を通 して 見 い だ して い く能 力 、 関 心 、 態度 の形 成 を重 視 す る こ と。

b自 然 に対 す る興 味 ・関心 を持 ち 、 自然 を理 解 す る過 程 を通 して 科 学 が 人 間生 活 に と っ て 有 効 な も ので あ る こ とを認 識 す る こ と。

c基 礎 的 な 科 学 概 念 の理 解 に いた る科 学 的 行 為 を通 じて 、 科 学 的 な 思 考 力 判 断 力 を養 う こ と。

d自 然や 人 間 につ い て の科 学 的 認 識 の基礎 を身 につ け、 知 的 充 実感 を味 わ う と と も に、

現 代 社 会 にお け る 生 活 や 職 業 に必 要 な 基礎 的 な 知 識 、 能 力 を身 につ け 、 適 切 に判 断 し 行 動 で き る こ と。

(2)「理 科 」 の改 善 に 関す る事 項

上述 の理 科 教 育 の課 題 を踏 ま え つ つ 、以 下 の事 項 に つ い て理 科 の改 善 に 関す る 提 言 を 行 う こと に した。

a理 科 へ の興 味 ・関 心 を高 め 、 「科 学 的 素 養 」 の育 成 に重 点 を置 く と と もに、 小 ・中 ・ 高 の一 貫 性 を重 視 し、 大 学 で のカ リキ ュ ラム 開発 の研 究 を奨 励 す る。

b自 然体 験 の機 会 や 飼 育 ・栽 培 ・製 作 な ど の体 験 的 な 活 動 の場 を充 実 させ る と と も に、

実験 ・観 察 を通 して 問題 解決 の能 力や 科 学 的 表 現 力 を一 層 高 め る工 夫 をす る。

c科 学 的 素養 を育 成 す る観 点 か ら基 礎 的 な知 識 の 整理 を行 い、 中学 校 にお け る課 題 研 究 の 充 実 、選 択 理 科 の履 修 内 容 を明 示 す る と と も に、 物理 、化 学 、 生物 、地 学領 域 の 指 導 内容 や そ の配 列 を変 更 す る。

d観 察 ・実 験 に お け る科 学 の方 法 の指 導 及 び評 価 の観 点 の工 夫 をす る 。 ま た 、野 外 学 習 や 博 物 館 等 で の学 習 で は 、学 校 が地 域 の人 材 や 施 設 との連 携 を 図 る よ うにす る 。 e理 科 授 業 にお け る児 童 生 徒 数 の適 正 化 と児 童 ・生 徒 の科 学 的 体 験 を促 す た め の科 学

学 習 セ ン ター の充 実 を 図 る。

f教 師 の 自然体 験 ・科 学 的体 験 の充 実 を図 るた め の教 育 セ ンタ ー の拡 充 を行 う と と も に、 理 科 担 当教 員 の研 修 ・研 究 会 へ の参加 支 援 を行 う。

(8)

[1]理 科 教 育 に お け る今 日的 な課 題 に つ い て

[1‑1]提 言 の 基 本 的 な 姿 勢

特 別 研 究 「学 校 カ リキ ュ ラム の 改 善 に関 す る総 合 的 研 究 」 の 「理 科 」 班 に お いて カ リキ ュ ラム 改 訂 作 業 は平 成8年7月 に 開始 した 。 この 時 点 で は 第15期 中央 教 育 審 議会 の 一 次 答 申が 発 表 さ れ さ らに 教 育 課 程 審 議 会 も発 足 して い た 。

この 時 期 に国 立 教 育研 究 所 と して 「理 科 」 の カ リキ ュ ラム 改 善 に つ いて の 提 言 を行 うに 当た って は 、新 規 の 調 査 を した り、 理科 全 体 を網 羅 す るよ うな 提 言 は物 理 的 に 困難 で あ る と思 わ れ た 。 した が っ て 、 中央 教 育 審 議会 の答 申 を 尊 重 しつ つ 、 これ まで に国 立 教 育 研 究所 の 主 と して科 学 教 育 研 究 セ ンターが 所 持 す るデ ー タ を基 に 、 可 能 な 範 囲 で の 提 言 を し よ う とす る もの で あ る。

大 枠 と して は 、 小 ・中学 校 の理 科 に つ い て 以 下 の こと を基 礎 と して提 言 内 容 を ま と め る こ と とす る。

(1)学校 週 五 日制 の 完 全 実 施 を前 提 とす る。

(2)新 しい教 育 の 理 念 と教 科 「理 科 」 の あ り方 と して 次 の こと を念 頭 に お く。

a.科 学 的 素 養 の 育 成 に 関す る 教 育 b.自 然 環 境 の 理 解 を深 め る 教 育

[1‑2]「 理 科 」 の 課 題 とそ の 改 善

本 研 究 班 で は 、 国 立 教 育 研 究 所 に お け る 国 際 理 科 教 育 調 査 、 理 数 長 期 追 跡 研 究 、基 礎 学 力 と指 導 法 の 関 連 に つ い て の 研 究 、 理 数 に 関す る興 味 ・関 心 調 査 、 児 童 ・生徒 の環 境 認 識 の 実 態 な どの 調 査 結果 を基 に 、 各 専 門 委 員 が 理 科 教 育 の課 題 を提 示 し、 そ れ につ い て の研 究 協 議 を行 っ た 。

(1)理科 教 育 の課 題

昨今 の 科 学 技 術 の発 展 や 都 市 化 の進 展 に伴 い 、 児 童 ・生徒 の 映像 や コ ン ピ ュー タ に よ る 疑 似 体 験 の機 会 は増 え た も の の 、 自 然 体験 の 欠 如 、 理 科 離 れ 、 知 離 れ の 増 加 な どが 大 きな 社 会 問 題 にな っ て い る。 また 、 国際 数 学 ・理 科 教 育 調 査(TlySS,SISS等)に よ れ ば、 わ が 国 の 児 童 生 徒 の 知 識 水 準 は 高 い方 で あ るが 、理 科 に対 す る 興 味 ・関 心 の 度 合 い は非 常 に低 く、科 学 は 生 活 に役 立 つ とか 将 来 科 学 関 係 の 職 業 に就 き た い と考 え る もの は 少 な い こ とが 分 か っ た 。 さ ら に、 理 科 の 内容 と して 実 験 計 画 を 立 て た り、実 験 や 観 察 の 結 果 を科 学 的 に考 察 しそ の 結 果 を 論 理 的 に述 べ る こと が 不 得 手 で あ る こ と も判 明 した 。

この よ うな 問 題 を抱 え る 中 で 、 中教 審 の 第 一 次 答 申 に あ る 「科 学 的 素養 」 を育 成 す る た め に理 科 で は 具 体 的 に何 を ど の よ うに 指 導 す るべ きか と い う 「理 科 教 育 の あ り方 」 につ い て の協 議 を行 っ た 。 そ こで 提 起 され た主 な 課 題 を以 下 に列 挙 す る。

1)「 生 き る 力」 を育 て る た め に必 要 な 科 学 概 念 の 習 得 を図 る と と もに 、 身 の 回 りの 自然 の 事 象 に 潜 む規 則 性 、法 則 性 を観 察 、 実 験 を通 して 見 いだ して い く能 力 、 関 心 、 態 度 の 形成 を 重 視 す る こ と。

2)自 然 に対 す る興 味 ・関 心 を持 ち 、 自然 を理解 す る 過 程 を通 して科 学 が 人 間 生 活 に とっ て 有 効 な も ので あ る こと を認 識 す る こ と。

3)基 礎 的 な 科 学 概 念 の 理解 に いた る 科 学 的 行 為 を 通 じて 、 科 学 的 な思 考 力 判 断 力 を養 う こ と。

4)自 然 や 人 間 に つ い て の科 学 的 認識 の 基 礎 を身 に つ け、 知 的充 実 感 を 味 わ う と と も に 、 現 代 社 会 にお け る 生活 や 職 業 に 必 要 な 基 礎 的 な 知 識 、 能 力 を身 に つ け 、 適切 に 判 断 し行 動 で き る こ と。

一1一

(9)

(2)「理 科 」 の 改 善 に 関す る事 項

上 述 の 理 科 教 育 の課 題 を 踏 まえ つ つ 、 以 下 の事 項 に つ い て 理科 の 改 善 に関 す る提 言 を 行 う こ と に した 。

1)理 科 の カ リキ ュ ラ ム 開 発 に関 す る こ と

理 科 へ の興 味 ・関 心 を 高 め 、 「科 学 的 素養 」 の 育 成 に重 点 を 置 く と と も に 、 小 ・中 ・高 の 一 貫 性 を重 視 し、大 学 で の カ リキ ュ ラム 開発 の研 究 を奨 励 す る。

2)理 科 の 目標 に 関す る こ と

野 外 にお け る 自然 体 験 の 機 会 や 飼 育 ・栽 培 ・製 作 な どの 体 験 的 な 活 動 の場 を 充 実 させ る と と も に、 実 験 ・観 察 を 通 して 問題 解 決 の 能 力や 科 学 的 表 現 力 を一 層 高 め る工 夫 を す る。

3)理 科 の学 習 内 容 に関 す る こ と

科 学 的 素養 を育 成 す る観 点 か ら基 礎 的 な 知 識 の 整 理 を行 い、 中学 校 に お け る 課 題 研 究 の充 実 、 選 択 理 科 の 履 修 内 容 を 明示 す る と と も に、 物 理 、 化 学 、生 物 、地 学領 域 の 指導 内 容 や そ の配 列 を変 更 す る 。

4)理 科 の 指導 法 に関 す る こ と

観 察 ・実 験 にお け る科 学 の方 法 の 指 導 及 び 評 価 の観 点 の工 夫 をす る。

ま た 、 野 外 学 習 や 博 物 館 等 で の 学 習 で は、 学 校 が 地 域 の 人材 や 施 設 との 連 携 を 図 り地 域 教 育 力 を活 用 す る。

5)理 科 と関 わ る教 育 制 度 に 関 す る こ と

理科 授 業 にお け る児 童 生 徒 数 の 適 正 化 と児 童 ・生 徒 の科 学 的体 験 を促 す た め の 科 学 学 習 セ ン タ ー の 充 実 を 図 る。

教 師 の 自然 体 験 ・科 学 的 体験 の 充 実 を 図 る た め の 教 育セ ン タ ー の拡 充 を 行 う と と もに 、 理科 担 当 教 員 の 研 修 ・研 究 会 へ の 参 加 支 援 を行 う。

[1‑3]今 後 の 課 題

上述 の よ う に 、理 科 にお け る い くつ か の 改 善 事 項 を提 言 した が 、そ の 具体 的 な 内 容 、例 え ば 、

科 学 的 素 養 」 を育 成 す る た め に必 要 な 知 識 と して どの よ うな もの が あ る か を 学 校 別 、 学 年別 にそ の例 を 示す 必 要 が あ る。 ま た 、科 学 の 方 法 の習 得 や 科 学 的表 現 を 育成 す る 際 に 取 り上 げ る 実験 観 察 の 内容 や 課 題 研 究 の テー マ な どは 、 どの よ うな もの が適 切 で あ る か が 具体 的 に 事 例 を添 え て提 示 さ れ な け れ ば な らな い。

この た び 体 験 活 動 の重 要性 が 指 摘 され 、 そ の た め の 自然体 験 や 野外 学 習 は 地 域 や 家 庭 との 連 携 を 図 る こ とが 大 切 で あ る とい わ れ るが 、 そ の 連 携 の仕 方 な どに つ い て幾 つ か の モ デ ル や 実 践 例 な ど を 示す こ とが 必 要 で あ る。

特 に 、 「横 断 的 ・総 合 的 な 学 習 」 を推 進 す る に 当 た り小 ・中 学校 の 段 階 で は 理 科 の 内 容 と関 わ っ て環 境 教 育 、 自然 体 験 、課 題 学 習 な ど を ど の よ う に 計 画 す る こ とが で きる か な ど を、 例 え ば ク ロス

・カ リキ ュ ラム 的 な視 点 で モ デ ル を提 示 す る よ う な こ と も考 え な け れ ば な らな い。

さ らに 、 小 学 校 ・中学 校 ・高 等 学 校 にお け る指 導 内容 の 具体 的 な 内 容 の提 示 、 あ る い はそ れ を 指 導 す る た め の 教 員 養 成 や 現 職 教 育 の プ ロ グ ラム の検 討 な ど も重 要 な こ とで あ る 。

(下野 洋)

一2一

(10)

[2]理 科 の カ リ キ ュ ラ ム 開 発 に 関 す る こ と

[2‑1]科 学 的 リテ ラシ ー(科 学 的 素 養)の 育 成 に重 点 を置 くカ リキ ュ ラム 編 成 を行 う こ と

今 日の 若 者 の 理 工 系 離 れ や 児 童 生 徒 の理 科 嫌 い が 問題 とな っ て お り,ま た,理 科 を 何 の た め に学 ばな けれ ば な らな いの か と思 って い る児 童 生徒 が多 い と い う現 実 が あ る。

一 方 ,エ ネルギー問題や科学 ・技術 の発達 の副産 物 として生 じた環境 問題 な どの諸問題 は,ま す ます 複 雑 に な って いて,そ れ らに適 切 に対 応 す る た め に,あ る い は適 切 な 意 志 決 定 をす る た め に, す べ て の 人 々 が 科 学 に対 す る正 しい知 識 と望 ま し い科 学 的 態 度 を 身 に つ け る こ とが これ ま で以 上 に 重 要 に な って きて い る。 さ らに,今 日の 高 度 科 学 技 術 社 会 で 快 適 に 生活 して い くた め の科 学 的 知 識 や 概 念 の 獲 得 が す べ て の 人 々 に要 請 さ れ る時 代 にな って きて い る。

以 上 の よ うな 背 景 に応 え るた め に は,わ が 国 の これ まで の 科 学 の 知 識獲 得 中心 の理 科 教 育 を 見 直 し,科 学 的 リテ ラ シ ー育 成 に重 点 を 置 く理 科 教 育 を押,し進 め る必 要 が ある 。

科 学 的 な 文 章 を読 み,理 解 す る 能 力 に加 え て,簡 単 な科 学 的 表 現 の で き る基 礎 的能 力 と され て き た科 学 的 リテ ラ シー の概 念 は,現 代 で は,も っ と広 義 に と らえ られ るよ う にな っ て き た 。 また,こ れ ま で の 我 が 国 の 理科 教 育 で は,科 学 的 な 知 識 ・理 解 の能 力 の 育 成 を 目標 と して い て,言 語 的 な 観 点 か ら の育 成 や,あ る い は 社会 生 活 を営 む 上で の 幅広 く調和 の 取 れ た 基 礎 的 な 能 力,つ ま り科 学 的 リテ ラ シー の 育 成 に 重 点 が 置 か れ た こ と は なか っ た よ うで あ る 。

国 際 理 科 教 育 調 査 結果 か らわ か るよ う に,我 が 国 の 児 童 生徒 の 科 学 的 な 表 現 能 力 の 弱 さ,生 活 に 関 連 した 問題 の解 決 能 力 の 低 さ,理 科 が 生活 に重 要 と思 っ て い な い生 徒 が 世 界 で 最 も多 い事 実,科 学 的 態 度 の 消極 性(科 学 を 否 定 的 にみ る)等 の現 状 を考 え る と,我 が 国 の 理 科 教 育 も科 学 的 リテ ラ シー の 観 点 か らカ リキ ュ ラム を考 え て み る必 要 が あ る。

科 学 的 な 読 み 書 き能 力 に加 え て,科 学 的 な 諸 問題 に 関 して 意 見 が 言 え,科 学 を 理解 し,身 近 な 事 物 ・現 象 に つ い て の 問 題 を科 学 的 に解 決 し,意 志 決 定 で き る な ど幅 広 く,調 和 の 取 れ た 科 学 的 能 力や 科 学 的 態 度 を 有 す る こ と」 を理 科 教 育 の 目標 に置 き,次 の よ う な科 学 的 リテ ラ シ ー の 要 素 を 入 れ た カ リキ ュ ラム の 編 成 を提 案 す る。 特 に,コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン能 力,現 実 問題 解 決 能 力,判 断 ・ 意 志 決 定 能 力 の 育 成 と,科 学 と技 術 と環 境 との 関 連 の 理 解 を 強 調 した カ リキ ュ ラ ム の 編 成 を要 望 す る。

(1)科 学 的 事 物 ・現 象 に 関す る もの を 読 み ・記 述 す る能 力 (2)科 学 的 な 諸 問題 に 関 して意 見 を 述 べ,意 志 決 定 で き る能 力 (3)科 学 的 な 事 実,概 念,原 理,理 論 につ いて の 知 識 と理 解 (4)科 学 的 な 知 識 を応 用 ・活 用 す る 能 力

(5)問 題 の 把 握,仮 説 の 設 定,実 験 の 計 画,観 察 ・実 験,結 果 の 処 理,デ ー タ の 解 釈(推 論), 一般 化 な どの 問題 解 決 の プ ロセ ス を使 用 す る能 力

(6)科 学 に対 す る 関心 と科 学 的 態 度 を 持 つ こ と

(7)実 証 性,論 理 性,合 理性,近 似 性(理 論 モ デ ル),限 界 性 な どの科 学 の 本 質 を理 解 す る こ と (8)社 会 に お け る科 学 と技 術 と環 境 の 関 連 を理解 す る こと

(三宅 征 夫)

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[2‑2]理 科 好 き の児 童 ・生 徒 を増 や す 工 夫 をす る こ と

現 在 、 「理 科 ぎ ら い」 に っ いて は さ ま ざ まな と こ ろ で 問題 に され 、 そ れ に対 す る プ ログ ラム も い ろ い ろな と こ ろ で 取 り組 ま れ て い る。 「理 科 ぎ らい」 は 、単 に 理科 が き ら い と い う よ りは 、 「読 書 離 れ 」 「思 考 離 れ 」 「学 校 ぎ ら い」 な ど と関 連 す る現 象 と して捉 え る必 要 が あ り、理 科 の 教科 と し ての 改 善 だ け で は解 決 しな い問 題 で は あ るが 、 こ こで は 、理 科 に お け る対 策 の1っ を提 言 す る 。

理 科 好 き の児 童 ・生徒 を 増 や す 工 夫 は 、 カ リキ ュ ラ ム 、 内容 、指 導 法 、 指 導 形 態 等 、様 々 な レベ ルで 考 え られ る が 、そ の1つ と して 、 「科 学 的 に探 究 す るお も しろ さ を味 わ え る よ うな カ リキ ュ ラ ム を 開発 す る こ と」 を提 言 す る 。

現 行 の学 習指 導 要 領 の 目標 で は 、 第 一 番 目の キー ワ ー ドと して 「自然 に対 す る 関心 を 高 め 」 が 挙 げ られ て い る。 ま た 、 生徒 指 導 要 録 の 評 価 項 目 に も、 第 一番 目に 「興 味 ・関 心 、 意 欲 ・態 度 」 が 挙 げ られ て い る。 これ は 児 童 ・生 徒 が 「自 ら考 え 、 自 ら学ぶ 意 欲 を も って 」 学 習 す る こ とで 、 「生 き る 力」 を 育 て る こ とが で き る と考 え られ るか らで あ る。

そ こで 、 理科 の 目標 の 第 一 番 目 に、 「科 学 的 に探 究 す る お も し ろ さ を味 わ う」 と い う項 目を 挙 げ て 、 そ の 目標 を達 成 で き るよ うな カ リキ ュ ラム を 開発 す る必 要 が あ る と考 え る。

U)科 学 的 に探 究 す るお も し ろ さ を味 わ え るカ リキ ュ ラ ム 開発

科 学 的 に探 究 す るお も し ろ さ を味 わ う に は、 児 童 ・生徒 が 自分 の 疑 問 を大 切 に し、そ こか ら学 習 を発 展 で き るよ う にす る必 要 が あ る。 つ ま り、1人1人 の児 童 ・生 徒 に と って 学 ぶ 意 味 の あ る こ と につ いて 、 そ れ ぞ れ の児 童 ・生 徒 が探 究 を進 め られ る よ うにす る こ とが 大 切 で あ る。 課 題 研 究 や 課 題 学 習 を これ まで 以 上 に取 り入 れ る こと も考 え られ る 。 ま た 、 自分 の 身の 回 りや 、 生活 に 関 連 す る 内 容 につ いて 探 究 で き るよ うな カ リキ ュ ラム を 開発 す る 必要 が あ る。 科 学 的 に探 究 す る お も し ろ さ を味 わ って 卒 業 す れ ば、 卒 業 後 も科 学 に対 して プ ラ ス の イ メ ー ジ を持 つ よ う にな り、 学 習 した こ と を次 の ス テ ッ プで 生 か す こ とが で きや す くな り、 ひ い て は 生 涯 学 習 へ とつ な げ られ る こ とが 期 待 で き る 。

(2)学 ばせ た い 内 容 と と も に 、生 徒 に とっ て も学 び た い 内容 の カ リキ ュ ラ ム構 成 にす る 。 ど ん な に価 値 の あ るす ば ら しい 内容 で あ っ て も 、 生徒 に とっ て 学 び た い内 容 でな け れ ば 、 「自 ら考 え 、 自 ら学 ぶ 意欲 」 には な り得 な い。 学 問体 系 を 前面 に 出 さ す の で は な く、 日常 生活 の 中 か ら生 じ た疑 問 、課 題 を 探 究 す る うち に科 学 の基 本 概 念 や 科 学 的 な技 能 の 習 得 、科 学 的 な 見 方 、 考 え方 が 身 につ き 、 生活 の 中 で 学 習 した こと を 生か す こ とが で き た と感 じ られ る よ う な 内容 で カ リキ ュ ラム を 構 成 す る方 が望 ま し い。 日常 生 活 と直 接 関連 しな い よ うな 内 容 で も 、知 的 好 奇 心 ・探究 心 か ら学 習 を ス ター トし、 「自 ら考 え 、 自 ら学 ぶ 」 こ とが で きれ ば 、満 足 感 が 得 られ 、 生涯 に わ た って 科 学 的 に調 べ 、考 え る 姿 勢 を もつ 糸 口 に な りう る と考 え る。

生徒 に とっ て 学 び た い内 容 と して は 、次 の よ うな条 件 が挙 げ られ る。

a.事 象そ の もの が お も しろ い

b.そ れ ま で 考 え て いた こ とが 覆 され る

c.そ れ ま で 考 え た こと の無 い新 しい考 え を知 る a.生 活 の 中 で 不 思 議 に思 って い た こ とがわ か る e.生 活 や 社 会 に役 立 つ よ うに感 じる

(佐々 木 和 枝)

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[2‑3]大 学 や 地 域 で の 教 育 課 程 の 開発 研 究 を 促 進 し、 か つ 支 援 す る こ と

文 部 省 学 習 指 導 要 領 は 、 学 校 教 育 法 施 行 規 則 と と も に学 校 教 育 の教 育 課 程 を定 め て い る。 これ は 、 公 教 育 の水 準 に 一 定 の基 準 を与 え る もの で 、 実 際 に児 童 生 徒 が 学 ぶ 日々 の教 育課 程 ま で を規 定 す る

こと ま で は 意 図 され て いな い。 した が っ て 、そ の 基 準 の 枠 内 で 地 域 や 子 ど も の実 態 に 即 した 教 育 課 程 を編 成 す る の は 、 各教 育 委 員 会 な らび に 各学 校 及 び 各 教 師 の 役 割 で あ る。 この点 に お いて 、 我 が 国 で は 数 あ る 教 育 雑 誌 、 学 術 雑 誌 、 及 び各 種研 究 会 な どで 、 活 発 な 情 報 交 換 が な さ れ て お り、 そ の 研 究 水 準 は 高 い もの と思 わ れ る。

しか し、 国 の基 準 に拠 らな い教 育課 程 の 開発 研 究 は 殆 ど深 ま って い な い。 学校 教 育 法 施 行 規 則 の 特 例(小 学 校 で は 、 第26条 の2)に よ り、 「教 育 課 程 に関 し、 そ の改 善 に資 す る研 究 を行 う た め特 に 必 要 が あ り、 か つ 、 児 童 の 教 育 上適 切 な 配 慮 が な され て い る と文 部 大 臣が 認 め る場 合 にお いて は」

と い う条 件 付 き で 、 国 の 基 準 に拠 らな い教 育課 程 の 実施 が 認 め られ て い る。 と ころ が 、 研 究 の後 に は、 国 の基 準 に則 った 教 育 課 程 に戻 さな くて は な らず 、 事 実 上 、 研 究 の成 果 をそ の 後 の 教 育 実 践 に 反 映 す る こと は で き な い。 した が って 、 短 期 的 で 、 か つ 一 つ の 小 学 校 な い し中学 校 と い った 個 別 的 な実 践 事 例 の 収集 に止 ま って い る のが 現 状 で 、 長 期 的 に12ヶ 年 の初 等 ・中等 教 育 を 視 野 に入 れ た 教 育 課 程 の 開発 研 究 は 全 くな され て いな い。

国 の基 準 に 拠 らな い教 育 課 程 の研 究 の利 点 は 明 らか で 、基 準 に則 っ た教 育 課 程 との 比 較 対 象 に よ って 、 双方 の 長 所 と欠 点 が 見 出 され る。 ま た 、 約10年 に一 度 の 国 の基 準 の改 訂 の際 に 、 基 準 に取 り 入 れ るべ き改 善 の 視 点 が 自ず か ら明 らか に な る。 ま た 、 大 学 や 研 究 機 関、 地 域 の教 育研 究 者 と実 践 者 に 、 よ り実 践 的 な 教 育研 究 の場 を提 供 す る こ とが で き る。 これ まで 低 迷 して き た 教 育 課 程 の研 究 は、 結 果 と して 、 諸 外 国 の 教 育 課 程 とそ の 歴 史 を紹 介 す る こ と に集 中 して いた が 、独 自の 教 育 課 程 の開 発 研 究 こそ 、 日本 の教 育研 究 にお いて 飛 躍 が 期 待 さ れ る領 域 と考 え られ る。

上 述 の よ うに 現行 の 法令 で も教 育 課 程 の 開発 研 究 は不 可 能 で は な い が、 よ り長 期 的 な 展 望 を も っ た研 究 が 芽 生 え る よ う促 し、研 究 が よ り深 化 す る よ うに 支援 す る こ と が必 要 で あ ろ う。 例 え ば、 科 学 研 究 費 の研 究 細 目に 「教 育 課 程 の 開 発 」 を新 た に設 け 、研 究 分 担 者 と して 、校 長 、 教 育 委 員 会 指 導 主 事 や 教 諭 等 を 認 め る こ とが 有 効 で あ ろ う。 ま た 、研 究 申請 の 審 査 の際 に は 「児 童 生 徒 の教 育 上 適 切 な 配 慮 」 や 「期 待 され る 成 果 、 及 び そ の評 価 方 法 」 等 に つ いて 特 に重 視 す る必 要 が あ ろ う。

教 科 書 に つ い て も、独 自の 教 育 課 程 に即 した教 科 書 が 編纂 さ れ る こ とが 望 ま しい 。 現 行 の教 科 書 制度(学 校 教 育 法)の 元 で は 、検 定 教 科 書 な い しは 文 部 省著 作 物 しか 教 科 書 と して 認 め られ な いが 、 科学 研 究 費 と して 代 替教 科 書 印 刷 費 を加 え 、そ の 使 用 を 認 め る な ど、 何 らか の支 援 措 置 が 必 要 で あ ろ う。

また 、最 終 的 に は、 開 発 され た 独 自の 教 育 課 程 を 、研 究 終 了 後 も継 続 して 使 用 した・り、 普 及 啓 蒙 す る こと を 可 能 とす るた め の環 境 整 備 が 必 要 とな る 。そ れ に は 、 国 と して の 認 定 基 準 や 、 教 科 書 や 指 導 資 料 等 の 出 版 、 啓 発 活 動 も含 めた 民 間 企 業 の参 入 も不可 欠 にな る。

教 育 課 程 の 開 発 研 究 を促 進 、支 援 す る環 境 づ く りに 当 た っ て は 、 他 国 の事 例 も参 考 にす べ きで あ る。 例 え ば 、 米 国 で は 、 政 府 機 関 で あ るNSF(全 米 科 学 財 団)が 、 広 域 的 な学 校 カ リキ ュ ラム 開 発 研 究 に莫 大 な資 金 援 助 を行 っ た り(例 え ば、1993=1998年 の ジ ョー ジ ア州 で のGIMSプ ロ ジ ェ ク ト)、

大 学や 地 区 の 科 学 セ ンタ ー が 独 自の初 等 科 学 カ リキ ュ ラム の 普 及 事 業 を展 開 した り(例 え ば、 ハ ワ イ大 学 のDASHや 、 ワ シ ン トン州Federalway学 校 区 の科 学 セ ンタ ー の プ ロ グ ラム な ど)、 事 例 が豊 富 で あ り、 こ こか ら学 ぶ べ き こ と は多 いで あ ろ う。

(小倉 康)

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[3]理 科 の 目標 に 関 す る こ と

[3‑1]自 然 体 験 の機 会 を 一 層 充 実 す る こ と は じ め に

理 科 教 育 で は 、 まず 自然 に親 しみ 自然 に対 す る 豊 か な 感 受 性 を育 て 、 自然 を 理解 し大 切 にす る心 を育 て る こ とが 大 切 で あ る。

今 日、都 市 化 の 進 行 に伴 い学 校 や そ の 周 辺 の 自然環 境 が 大 き く変 わ っ た と ころ も少 な くな いが 、 工 夫 次 第 で は そ の 地 域 特 有 の 自然 を観 察 しそ の 様 々 な 体 験 を させ る こ と も可 能 で あ る。

自 然体 験 の させ 方 には 学 校 の校 庭 で休 み 時 間 に 自 由 に親 し め る もの か ら授 業 や 特 別 活 動 の時 間 に 野 外 学 習 を 設 定 す るな ど い ろ い ろ な方 法 が考 え られ る 。

(D自 然体 験 の 場 の 設 定

自 然体 験 の 場 の設 定 につ い て は 、例 え ば 次 の よ うな こ と に心 が け る こ と もそ の 対 策 と して は大 切 な こ とで あ ろ う。

a.校 庭 を 自然 体 験 の場 と して活 用す る こ と

都 市 化 の 進 展 或 い は運 動 場 の 機 能性 の 優 先 な ど に よ って 校 庭 か ら土 壌 、 植 物 、 小 動 物 が み ら れ な くな った 学 校 もあ る。 これ か らは 、 も っ と校 庭 を 自然 観 察 の場 と して 活 用 で き る よ うに植 物 の 教 材 園 、 観 察 池 、 小動 物 の飼 育舎 を設 置 す る等 思 い切 っ た改 善 が必 要 で あ る 。 そ れ ら施 設 の製 作 や 活 用 の 実 際 に つ い て も地 域 住 民 の 協 力 を 得 る こ と も考 え られ る。

b.自 然 体 験 の場 の設 置 や 地 域教 育 力 を 活 用 す る こ と

身 近 に 自 然体 験 の場 を 設 け た り、 地 域 や 近 隣 の動 物 園 、植 物 園 、 博 物 館 、 天 文 台 、科 学館 な ど の 施 設 や 人材 を積 極 的 に活 用 す る よ うに した い。 昨 今 の児 童 ・生徒 は 、 自然 体 験 が 少 な く授業 で 学 んだ 知 識 を実 際 の野 外 で対 応 させ る こ とが 困 難 で あ る と言 わ れ る 。 した が って 、 で き る だ け機 会 を と らえ て 野 外 学 習 を行 う こ とが 必 要 で あ る。

さ ら に、 少 年 自然 の家 な どで は 、集 団宿 泊 訓 練 や ス ポー ツ の み な らず 自然 観 察 や ネ イ チ ャーゲ ー ム な どの プ ロ グ ラム を利 用 す る こ と もで き る。

c.特 別 活 動 や 総 合 的 な 学 習 の 時 間 を利 用 す る こ と

遠 足 や 移 動 教 室 、林 間(臨 海)学 校 の よ うな特 定期 間 内 に集 中 させ た宿 泊 行 事 な どで 自 然体 験 の で き る機 会 を最 大 限 に活 用 す る ほ か 、総 合 的 な 学 習 の 時 間の 中 で野 外 学 習 を 計 画 す る こ と も考 え ら れ る 。

(2)野外 学 習 の 展 開

一 般 に 野 外 学 習 で は、 教 室 で の 学 習 内容 の検 証 や 教 師 主 導 の植 物 や 地層 の解 説 型 の もの が多 い 。 これ か らの 野 外 学 習 で は、 特 に次 の よ うな ね ら い を もつ こと が大 切 で あ る 。

a.自 然環 境 を知 覚 的 に認 識 で き る能 力 、 態 度 を身 に つ け る こ と。

b.自 然環 境 の 時 間 的 な 変 化 を認 識 で き る 能 力 、 態度 を身 につ け る こ と。

c.自 然環 境 を 分 析 的 だ け で な く、総 合 的 に認 識 で き る 能 力 、 態 度 を 身 に つ け る こ と。

d.人 間 と 自然 との 関 わ りを認 識 で き る能 力 、 態度 を 身 につ け る こと。

児 童 生徒 の 発 達 段 階 に あ っ たね らい を定 め 、 地 域 の 実 態 を う ま く取 り入 れ た野 外 学 習 を実 施 す る こと が大 切 で あ る。

(下野 洋)

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[3‑2]飼 育 ・栽 培 活 動 や 製 作 な ど の体 験 的 な場 を一 層 充 実 さ せ る こと

理 科 の教 科 の 目標 を達 成 す るた め に は,飼 育 ・栽 培 活 動や 物 づ く り ・製 作 な ど の体 験 的 な 活 動 の 場 を よ り一 層 充 実 させ る こ とが 重 要 で あ る。

国 立 教 育 研 究 所 が 行 った 「理 数 に関 す る の 関心 調 査 」(1997)で は,理 科 の 生物 領 域 を 好 き と し た 児 童 の好 き な 理 由 は3年 生 か ら5年 生 まで は 「生 き 物 を育 て るの が 好 き」 が4割 近 くを 占め,

よ くわ か っ た 」 「お も し ろか っ た」 のそ れ ぞ れ2割 前 後 に比 べ 高 い割 合 を示 して いる 。 一 方,生 物 領 域 が嫌 い と した 児 童 の 嫌 いな 理 由は3年 生,4年 生 で は3割 前 後 が 「生 き物 を 育 て る の が いや 」

と答 え て い る が,そ の割 合 は学 年 進 行 と と も に減 少 し,小 学6年 生 で は1割 にな っ て いる 。 す な わ ち,児 童 は飼 育 ・栽 培 活 動 が 好 きで あ り,飼 育 ・栽 培 にな れ な い児 童 も理 科 の授 業 等 で 飼 育 ・栽 培 の経 験 を積 む こ とに よ り,飼 育 ・栽 培 が き らい で な くな る傾 向 が あ る こと を示 して い る 。

現 行 の小 学 校 学 習 指 導 要 領 で も,観 察,実 験,栽 培,飼 育 を 重 視 し,そ れ らの活 動 を通 して 自然 に親 しみ,自 然 に 接 す る意 欲 や 心 情 を高 め る こと を 目標 と して い る。 今 の 子 ど も た ち は感 性 に欠 け る と い う指 摘 が あ る 。飼 育 ・栽 培 活 動 は 生 き物 と長 期 間 継続 的 に付 き合 いを す る こ とで あ り,そ の 過 程 で 生物 の 素 晴 ら し さや 生 命 の 大 切 さ を体 得 で き,感 性 が 磨 か れ る。 さ らに は 生 物 の 生 きて い く 仕 組 み や 生物 の変 化 の 事 実 だ けで な く,変 化 を も た らす 季節 や 環 境 まで も実 感 を も っ て と らえ る こ とが で き る。 飼 育 ・栽 培活 動 の よ り一 層 の充 実 は,そ れ を通 して 児 童 生 徒 が 自然 や 生 物 か ら学 び と る能 力 を育 成す る教 育,す な わ ち 「自 ら学 び 自 ら考 え る 教育 」 へ の 変 換 を はか り 「生 き る 力」 を育 成 す る こと を 可 能 に す る こ とが で き る。

学 校 にお け る 「い じめ 問 題 」 を 通 して 生 命 尊 重 の大 切 さが 強 く叫 ばれ て い る。 生命 軽視 の 傾 向 は 生 き て い る生 物 を探 した り,飼 育 ・栽 培 した り と い う 生 物 との 直 接 的 な 継 続 的 な 関 わ りな しに 生 命 を 理解 させ て い る と ころ に大 き な 問題 が あ る と考 え る。 飼 育 ・栽 培 活 動 は,自 分 た ち の体 の つ く り や 健 康 につ い て の興 味 関心 を 高 め る こ とが で き,さ らに 生 き 物 が 人 間 の 思 う とお りに は な らな い こ とや 死 を体 験 し生 命 を実 感 で き る 。そ の よ うな 体 験 に よ り生命 の大 切 さを 知 る こ とが で き る の で あ る。 「い じめ 問題 」 の解 消 の た め に も小 学 校 ・中学 校 や 高等 学 校 に お いて 飼 育 ・栽 培 活 動 を重 視 し た 理 科 教 育,生 物 教 育 の 充 実 が 必 要 で あ る。

前 述 の 「理 数 に 関 す る の 関 心 調 査 」 で は,物 理 領 域 を好 き と答 え た 児 童 の好 きな 理 由 は 各 学 年 と も 「お も ち ゃ作 りや 実験,観 察 が お も し ろか った 」 が4割 前 後 で あ る 。 一 方,物 理 領 域 が 嫌 い な 児 童 の 嫌 いな 理 由で は 「お もち ゃ作 りや 実 験,観 察 が い や 」 は 各 学 年 と も1割 前後 と少 な い。 今 の 子 供 た ち は不 器 用 で 創 造 性 に 乏 し く,物 づ く りの 感 動 体 験 が 少 な い とい わ れ る が,物 づ く りは子 供 た ち が 本 来 持 って い る能 力 で あ り,好 き な こ とで あ る と考 え る。 理 科 教 育 に お い て は 物 づ く りの体 験 を 一 層 重 視 し,物 づ く りを通 して 児童 生徒 の科 学 に対 す る興 味 関心 を 高 め る とと も に,自 ら進 ん で 創 意 工 夫 して 作 品 を製 作 した り,試 行 錯 誤 しな が ら改 良 を加 え よ う とす る 意欲 を 育 て る こ とが 必 要 で あ る 。

(鳩貝 太 郎)

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[3‑3]観 察 ・実 験 を通 して 問題 解 決 能 力 を一 層 高 め る こと

児 童 生 徒 に と って 、理 科 を 学 ん で い る と実 感 す る の は ど うい う状 態 の とき で あ ろ うか 。 状況 とす れ ば 理 科 の 時 間 に教 室 に居 る とい う こ とで あ るが 、そ れ で は あ ま りに 消極 的 で あ る 。 また 、教 科 書 に示 さ れ て い る 図表 の数 値 を 計算 して い く こ とや 、疑 似 体 験 とい う名 の 下 に 写 真 ・ビデ オ を見 て考 え を ま とめ る ことな どで 済 ませ て いる こ とは な い だ ろ う か。 これ らは 結 局 の と ころ 、 知 識 を丸 暗 記

して い る こ と と 同 じで あ る 。

理 科 の 学 習 は 、 ま ず 自然 の事 物 現 象 を し っか りと見 つ め る と ころ か ら出発 す べ き で あ る。 理 科 の 長 所 は 、 目の 前 の存 在す る 対 象 物 を扱 う こ とで あ る。 した が っ て 、 そ れ を 生 か さな いで い た な ら児 童 生 徒 の 学 習 意 欲 は ひ ど く低 下 して しま うで あ ろ う。

自然 の 事 象 を実 際 に見 た り触 れ た り しな が ら感 覚 で と らえ 、 自分 な りに 生 活 経 験 の 中で 解 釈 し、

釈 然 と しな い事 柄 を解 決 して い く こ とが 大 切 で あ る。 今 ま さ に 、 「知識 を 教 え 込 み が ちで あ っ た 理 科 教 育 」 か ら 「自 ら考 え 、 判 断 し、行 動 す る理 科 教 育 」 へ と転 換 しな け れ ば な らな い こと は 、 中 央 教 育 審 議 会 の 指 摘 を待 つ ま で もな く、 多 くの 教 育 者 が 心 して い る と ころ で あ る 。 そ の よ う な学 習 活 動 は 、 次 の よ うに考 え る こ とが で きる 。

児 童 生 徒 が 、 直 接 自然 の事 象 か ら 「どん な こ とが 問題 」 で あ り、 「どの よ う にす れ ば解 決 で き る のか 」 と い う考 え の も とに 「見 通 し」 を も って 、 さ らに そ の 考 え ・見 通 しを 確 か め るた め に 「観 察

・実 験 」 を して調 べ 、 自然 の事 象 に対 す る自分な りの知 識を創ってい く。 このよ うな一連 の問題解 決 の 活 動 が 主 体 的 に 行わ れ る 学 習 が 大 切 で あ る。

問 題 解 決 の 活 動 が 重視 さ れ る 理 科 に お いて は 、そ の 能 力 の 育 成 に 力 を注 が な け れ ばな らな い。 感 性 、思 考 力 、判 断 力 、表 現 力 な ど いろ い ろ と あ る が 、そ れ らを 育 て る 側 面 と して 「観 察 ・実 験 」 の 存 在 が あ る。

小学 校 や 中 学校 段 階 の観 察 ・実 験 にお いて は 、 これ ま で に 明 らか に な っ た 科 学 的 な 事 実(絶 対 的 真 理)の 確 認 の た め のそ れ で は な く、 児 童 生 徒 の科 学 的 な見 方 ・考 え 方 を 育 て て い くと い う方 法 が 大 変 重 要 で あ る。(相 対 的 真 理)。

身 の 回 りの 事 象 に 潜 む規 則 性 は 、 繰 り返 し繰 り返 し観察 ・実験 を行 う こ と によ って 見 出 され て い くもの で あ る。 規 則 性 を見 つ け る とい う関 心 ・意 欲 ・態 度や 能 力 は 、 さま ざ まな 観 察 ・実 験 の積 み 重 ね の 結 果 で あ る と考 え る 。 また 、 観察 ・実 験 を通 して 思考 す る た め には 、 観察 ・実 験 の 技 能 に つ

いて も徐 々 に 身 につ い て い き、 そ れ が 問 題 解 決 能 力 の 一 つ に もな っ て い く。

問 題 解 決 の 学 習 活 動 で は 、 そ の プ ロセ ス で 多 くの 時 間 を費 や す こ と も認 め な けれ ば な らな い。 児 童 生 徒 が 主 体 的 に 問題 を と らえ 、 自分 な りの 見 通 しを も った 観察 ・実 験 の 方 法 で 確 認 し、 結果 を考 察 す るた め に は 、余 裕 の あ る学 習 時 間 を与 え る こ とが大 切 で あ る。 一 見 これ は 非 能 率 的 と映 る が 、 科 学 の 方 法 を 身 に付 け た り、 思 考 力や判 断 力や 表 現 力 を養 っ た りす る た め に は 極 め て 重 要 な プ ロセ ス と い え る。 観 察 ・実験 を 十 分 に行 う こ とで 、 これ ま で 不 十 分 と言 わ れ て い る論 理 的 な思 考 力 の 育 成 が 期 待 で き る。

観 察 ・実 験 」 の 時 間 は 、 な によ り も児 童 生徒 が歓 迎 して い る の で ある 。 歓 迎 の 意 こそ 、理 科 学 習 へ の 入 口で あ る。 理科 嫌 いや 考 え る こ とが 嫌 い に な る 「知 離 れ 」 を これ 以 上 ふ や さな い た め に も 観 察 や 実 験 の位 置 づ け を大 切 にす る必 要 が あ る。

(庭野 正 和)

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[3‑4]実 験 ・観 察 を 通 して 科 学 的 表 現 力 を 伸 ばす た め に 工 夫 す る こ と 1科 学 的 表 現 力 と は

表 現 力 に つ い て は 、 指 導 要 録 の 観 点 別 学 習 状 況 評 価 の た め の 観 点 」 の 趣 旨 の と こ ろ で 、 小 学 校 中 学 年 で は 「…(観 察 や 実 験 の)過 程 や 結 果 を 分 か りや す く 表 現 す る 」 、 小 学 校 高 学 年 と 中 学 校 で は と も に 「…(観 察 や 実 験 の)過 程 や 結 果 を 的 確 に 表 現 す る 」 と 示 さ れ て い る 。 ま た 、 中 学 校 の 分 野 別 の と こ ろ で は 「創 意 あ る 実 験 報 告 書 の 作 成 や 発 表 を 行 う」 と さ れ て い る 。

こ こ で は そ れ ら を 受 け て 、 科 学 的 表 現 力 を 、 科 学 的 な 問 題 解 決 あ る い は 主 体 的 探 究 活 動 の 過 程 や 成 果 を 総 合 的 に 伝 え る 能 力 」 とす る 。 よ り 具 体 的 に は 「ど の よ う な 問 題 意 識 で 、 ど の よ う な 観 察

・実 験 を 行 い 、 得 られ た デ ー タ は何 か 、そ れ を ど う解 釈 した の か 、 そ の 際 、 反 論 や 批 判 あ る い は 異 な る デ ー タ は な か っ た の か 、 あ れ ば そ れ ら を ど う 処 理 した の か 、 観 察 ・実 験 の 限 界 を ど う考 え 、 新 た な 問 題 意 識 を ど う 持 っ た の か 等 、 自 分 の 考 え の 深 ま りの 過 程 を 表 現 す る 中 で そ の 子 な り の 見 方 や 考 え 方 を 総 合 的 に 伝 え る 能 力 」 で あ る と考 え る 。

2学 習 場 面 で の 表 現 力

実 際 の 学 習 活 動 で は 、 表 現 力 が 関 わ っ て く る 場 面 と して は 、a.問 題 や 課 題 を 書 く 、b.観 察 ・実 験 の 予 想 や 方 法 を 書 く、c.結 果 や デ ー タ を 書 く 、d.考 察 を 書 く 、e.結 果 を 発 表 す る 、f.感 想 を 書 く 、 と い っ た 場 面 が あ げ られ る 。 こ こ で は 「… を 書 く 」 と した が 、 口 頭 で の 発 表 も 含 ま れ る 。 な お 、 一 人 一 人 の 児 童 ・生 徒 が 自 分 な り の 問 題 解 決 活 動 や 主 体 的 な 探 究 活 動 を 行 う と い う こ と も 、 自 分 の 思 い や 願 い を 表 出 して い る と い う意 味 で は 表 現 活 動 の 場 面 で あ る と も 言 え る が 、 科 学 的 表 現 力 を 先 の よ う に 狭 義 に と らえ て い る の で 、 こ こ で は 含 め な い 。

実 際 の 学 習 場 面 で は 、a.か らf.は 、 ア;導 入(a.b,)、 イ;観 察 ・実 験 、 ウ;ま と め(c.d.)、

エ;発 表(e.)、 オ;感 想(f.)、 と い う よ う に 時 間 的 に は 区 分 さ れ て い る の が 一 般 的 で あ る と い え る 。 即 ち 、 そ れ ぞ れ の 表 現 活 動 が 部 分 的 に な さ れ て お り、f.の 感 想 な ど も 、 「… な の で お ど ろ い た 。 」 「… と い う こ と が 分 か っ た 。 」 「… 今 度 は … に つ い て 調 べ て み た い 。 」 と 言 っ た パ タ ー ン 化 さ た 一 面 的 な 表 現 が 多 く 見 ら れ る 。

ま た 、 今 回 の 中 学 生 の 第3回 国 際 理 科 教 育 調 査 で は 、 選 択 肢 形 式 及 び 求 答 形 式 の 問 題 の 正 答 率 は 高 い が 論 述 形 式 の 正 答 率 は 各 領 域 に わ た っ て 低 く な っ て い る 。 さ ら に 環 境 問 題 と 科 学 の 本 質 」 領 域 の 正 答 率 が か な り低 く 、 応 用 的 ・総 合 的 な 能 力 が 今 一 歩 で は な い か と考 え ら れ る 。

3科 学 的 表 現 力 を 伸 ば す

科 学 的 表 現 力 を 伸 ば す に は 先 の 考 え に 示 さ れ た … 総 合 的 に 伝 え る 能 力 」 と い う 部 分 を 学 習 指 導 要 領 の 内 容 に 加 え 、 重 視 して い く必 要 が あ る 。 即 ち 、 学 習 活 動 を 部 分 の 総 和 で は な く 、 一 連 の ま と ま り を 持 っ た 問 題 解 決 ・探 究 活 動 と と ら え 、 学 習 活 動 の 記 録 を 連 続 す る 物 語 と し て 表 現 す る 方 法 や 、 小 単 元 ご と の 実 験 レ ポ ー トで は な く 単 元 の ま と め の 時 間 を 重 視 し て 学 習 活 動 全 体 を 振 り返 っ て 総 合 的 に レ ポ ー トを 作 成 す る 活 動 を 重 視 し 、 位 置 づ け て い く こ と が 重 要 で あ る 。 そ の 際 、 個 人 的 な 考 え を 重 視 し つ つ も 、 自 分 と 異 な る 考 え や 方 法 、 追 究 活 動 の 限 界 性 、 新 た な 問 題 、 独 創 性 等 を 観 点 と し て 組 み 入 れ て い く こ と が 大 切 で あ り 、 そ れ らの 観 点 を 児 童 ・生 徒 の 発 達 段 階 に 応 じ て 構 造 化 し 、 学 年 ご と に 具 体 的 に 示 し て い く こ と が 必 要 で あ る と 考 え る 。

(渡 邊 守)

一g一

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[4]理 科 の 学 習 内 容 に 関 す る こ と

[4‑1]中 学校 にお け る課 題 研 究 の 内容 を 一 層 充 実 させ る こ と (1)課 題 研 究 の必 要 性

人 が 新 しい 問題 に 出 会 った と き 、 また 、 取 り組 まね ば な らな い課 題 が あ っ た とき 、 そ れ に取 り組 んで 解 決 して 、次 の 段 階 に進 む と い う 「問題 ・課 題 解 決 の 能 力 」 は、 これ か らの社 会 で は ます ます 求 め られ る もの で あ る 。 この 能 力 は 中教 審 答 申 の 中 に あ る 『生 き る 力』 の 中 の一 つ で あ る 。

問 題 ・課 題 解 決 の 能 力 を 身 につ け させ る に は 、 日々 の 授 業 の 中で 、 「問 題 ・課 題 」 を 意 識 的 に設 定 し、 そ の解 決 を 生 徒 の 自主 的 ・主 体 的 な 活 動 で 実行 さ せ る と い う学 習 の 過 程 が 必 要 に な っ て く る で あ ろ う。 つ ま り、 そ の 学 習 の 過 程 と は、 問題 ・課 題 解 決 に 向 け、 生 徒 が 話 し合 い 、企 画 ・立案 し た 実験 ・観 察 方 法(教 師 が 路 線 を敷 くわ け でな い方 法 、 教 師 が 助 言 者 ・支 援 者 とな る方 法)で 行 わ せ る 学 習 形 態 を意 味 して い る 。

しか し、 現 在 の理 科 の 実 験 ・観 察 を 中心 と した 学 習 の 多 くは 、 生徒 が 話 し合 い、 企 画 立 案 す る と い う部 分 は行 わ ず 、 教 師 が 実 験 ・観 察 の 方 法 を詳 し く説 明 して 、操 作 を生徒 に行 わ せ 結 果 を得 る と い う形 態 にな っ て い る。 この 方 法 で は 、 実 験 ・観 察 を行 う技 術 的 な操 作 す る 能 力 は 高 め られ る が 、 問題 ・課 題 解 決 の能 力 を 育 て られ る とは い いが た い。

そ こで 、解 決 す べ き学 習 の課 題 を教 師 が 生 徒 に提 示 し(生 徒 自身 の積 極 的 な 意欲 と強 い 問題 意 識 に よ っ て 課 題 が 設 定 され る こ とが 望 ま しい が)、 そ の 課 題 の解 決 過 程 を 生徒 の 手(班 単 位 な ど の活 動 な ど)に ゆ だね 、 つ ま り、 生徒 が 話 し合 い、 実 験 ・観 察 の 企 画 立 案 を し、班 単位 で 実験 ・観 察 を 行 う と い う 「課 題 研 究 」 を 設定 し、 問題 ・課題 解 決 の 能 力 を育 て る よ うにす べ き で あ る と考 え る。

この 「課 題 研 究 」 は 、現 在 の学 習 指導 要 領 の選 択 教 科 と して の 理 科 に あ る よ うに 、 生 徒 の 特 性 等 に 応 じ、 多 様 な 学 習 活 動 が 展 開 で き る よ うに 設定 さ れ る べ き もの で 、私 た ち は この 「課 題 研 究 」 を第 1学 年 か ら積 極 的 に取 り入 れ るべ き で あ る と考 え て い る 。 この 「課 題 研 究 」 を通 して 、 生 徒 の 個 性 と創 造 性 の 伸 長 を 図 り、 そ して 「課 題 研 究 」 とい う直 接 体 験 を通 して 、 自然 の厳 しさ 、 美 し さ、 壮 大 さ な どを 味 わ わ せ る こ と が期 待 で き る と思 わ れ る(文 部 省 指 導 書 理 科 編 の 一 部 引 用)。

(2)「 課 題 研 究 」 の 『課 題 』 の質

今 ま で行 わ れ て きた 観 察 ・実 験 が 「課 題 研 究 」 に必 ず しも適 して い るわ け で は な い と思 わ れ る。

課 題 研 究 」 を生 徒 の手 に ゆ だね た とき 、 適 度 な 難 し さが あ り、予 定 され た 時 間 内 で 終 わ る と い っ た 、 い くつ か の 条 件 に あ った もの が 良 い 『課題 』 とな る で あ ろ う。 そ の よ う な 『課 題 』 の 条 件 を列 挙 す る と次 の よ う にな る だ ろ う。

1解 決 の 過程 が い くつ か あ る課 題 。

2解 決 の過 程 で これ ま で の 学 習 経 験 、 生活 経 験 が 生 かせ る 課 題 。 3調 べ て み よ う とす る もの が 身近 に感 じ られ る課 題 。

4適 度 な 難 しさ が あ り、 話 し合 い を し、 計 画 ・立 案 の過 程 が 設 定 で き る 課題 。 5生 徒 の 手 で 結 果 が は っき り出 せ る 課 題 。

6中 学 校 の 実 験 室 で 準 備 で き る道 具 ・薬 品 な どで 実 験 ・観 察 な ど で き る課 題 。 (3)「 課題 研 究 」 の 例(3〜4時 間 の場 合)

・ 「使 い 捨 て カ イ ロの 成 分 は何 だ ろ うか 」(酸 化 と燃 焼 の 学 習 の あ と に設 定 す る)

・ 「未 知 の イ オ ン を検 出 しよ う」(酸 ・ア ル カ リ ・塩 の 学 習 の あ と に設 定 す る)

(金子 丈 夫)

参照

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