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クラスタリングのための結合特異値分解を用いた多重画像からの部分画像の選択・・・11

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Academic year: 2021

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(1)

大分工業高等専門学校紀要 第 49 号 (平成 24 年 11 月)

―11―

クラスタリングのための結合特異値分解を用いた多重画像からの

部分画像の選択

平岡 透

1

・野中 尋史

1

・宮下 啓

2

・亀野 辰三

3 1情報工学科,2制御情報工学科,3都市・環境工学科 マルチスペクトル画像やハイパースペクトル画像などのような多重画像のクラスタリングは,画像の 枚数が多いために計算量が多くなるという問題や,不適切な画像の混在のために性能が劣化するという 問題がある.そのため,多重画像の次元圧縮や多重画像から部分画像の選択によって,クラスタリング の計算量の削減や性能の向上が図られる.そこで,本稿では部分画像の選択に注目し,結合特異値分解 を用いてクラスタリングに最適な多重画像から部分画像を解析的に選択する方法を提案する.提案法の 有効性を検証するために,LandsatTMのマルチスペクトル画像を用いた実験を行った.

キーワード :

結合特異値分解,クラスタリング,多重画像,部分画像

1.はじめに

マルチスペクトル画像やハイパースペクトル画像など のような多重画像のクラスタリングは,画像の枚数が多い ために計算量が多くなるという問題や,不適切な画像の混 在のために性能が劣化するという問題がある.そのため, 多重画像の次元圧縮や多重画像からの部分画像の選択に よって,クラスタリングの計算量の削減や性能の向上が図 られる.多重画像の次元圧縮として,主成分分析1)などを 用いる方法がある.しかし,主成分分析を用いる方法は, クラスタリングには最適でなく,低次元の各軸の意味が直 感的に理解しがたい.一方,多重画像からの部分画像の選 択は,理解の容易性が重視されるデータマイニング2)やリ モートセンシング3)の分野で多く用いられている.リモー トセンシングの分野に注目すると,マルチスペクトル画像 やハイパースペクトル画像のクラスタリングにおいて,多 重画像から選択した部分画像を用いることで精度の良い 結果が得られるという研究4)5)が多くある.多重画像から の部分画像の選択として,植生指標や裸地指標6)などのよ うに経験的,発見的に行われる場合や,エントロピー7) 遺伝的アルゴリズム8)などを用いて解析的に求める方法が ある. クラスタリングの問題においては,特徴量抽出や特徴量 選択がクラスタリングの性能に大きな影響を与える.結合 特異値分解9)による再構成画像は,画像間の画素値の構造 や画像内の空間的構造を考慮しているため,従来の主成分 分析よりも特徴量抽出という観点で性能の向上が期待で きる.本研究ではこれを更に推し進め,再構成画像との誤 差が小さいという観点で多重画像から選択した部分画像 を用いることで,クラスタリングの性能の向上に優位性が あるかを調査する.LandsatTMのマルチスペクトル画像を 用いた実験の結果,この範囲の多重画像においては提案法 の優位性が確認できた.提案法による多重画像からの部分 画像の選択とクラスタリングの性能の向上の意味を直観 的に理解できる可能性があることを報告する.

2.方法

提案法は,結合特異値分解を用いて,多重画像から段階 的にクラスタリングに適した部分画像を選択する.選択さ れた部分画像を用いたクラスタリングとして,ファジィク ラスタリング10)を用いる. (1) 結合特異値分解による多重画像からの部分画像の選 択 J I の大きさのK枚の多重画像Ckがあり,その画素値 をck,i,jとする.多重画像Ckを式(1)で標準化する. k k j i k j i k a c c    ,, , , (1) ここで, j i k c,, は標準化後の多重画像Ckの画素値であり,ak とkはそれぞれ各画像の画素値の平均と標準偏差である. 標準化後の各画像の画素値 j i k c,,は,平均が0,標準偏差が1

(2)

大分工業高等専門学校紀要 第 49 号 (平成 24 年 11 月)

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となり,部分画像の選択の際に画像間の比較を同一の基準 で行えるようになる. 多重画像の結合特異値分解(式(2))を行い,第1特異ベ クトル T J u u u [ [1], , [1]] 1 ] 1 [   と T I v v v [ [1], , [1]] 1 ] 1 [   ,第1特異値[1] を求める.式(2) の解法は,文献9)を参照されたい. 1 ) ( ) ( to subject ) ( min ] 1 [ ] 1 [ ] 1 [ ] 1 [ 1 2 ] 1 [ ] 1 [ ] 1 [ ] 1 [ , ] 1 [ , ] 1 [   

u v u u v u C T T K k F T k v u  

(2) 各画像において, 2 ] 1 [ ] 1 [ ] 1 [ ) ( F T k u v C  (Fはフロベニウスノ ルムを表す)(以下,判定値)を求め,判定値が最小とな る画像を1番目の部分画像として選択する. 次に, T k u v C [1] [1]( [1]) を新たに k C と置いて,前段落と 同様な処理を行う.第2特異ベクトル [2] u

[2] v

第2特異 値[2]を求め,各画像の判定値を求め,1番目に選択された 部分画像以外で判定値が最小となる画像を2番目の部分画 像として選択する. 以下,同様にして,3番目以降の部分画像を順次選択す る.各画像の判定値を合計した復元誤差は,部分画像の選 択が進むにつれて単調に減少する.復元誤差がある値より 大きい部分画像をクラスタリングで用いる. (2) ファジィクラスタリング 選択されたL枚の部分画像Dlの画素値をdl,i,jとする.各 部分画像を式(3) で0から1に規格化する. [min ] [max ] [min ] , , , , l l l j i l j i l d d d d d   

(3) ここで, j i l d,, は規格化後の部分画像Dlの画素値であり, [min ] l d と [max] l d はそれぞれ各部分画像の画素値の最小と最大 である. ファジィクラスタリングによって抽出される第1クラス タの代表点の画素値 [1] l r を式(4)で求める.



    I i J j l r j i l d l r e 1 1 2 ] 1 [ , , ] 1 [ max 

(4) ここで,はファジィ度を調節するパラメータであり,以 下の実験では文献10)を参考に10.0とした。 次に,第2クラスタの代表点の画素値 [2] l r を式(5)で求め る.



     I i J j l r j i l d j i l r e m 1 1 2 ] 2 [ , , ] 1 [ , ] 2 [ (1 ) max 

(5) ここで, 2 ] 1 [ , , ] 1 [ , l r j i l d j i e m    である. 以下,同様にして第qクラスタの代表点の画素値 [ q] l r を 式(6)で求める.



       I i J j q n q l r j i l d n j i q l r e m 1 1 1 1 2 ] [ , , ] [ , ] [ (1 ) m a x 

(6) 抽出されたクラスタの大きさを [] , 1 1 1 1 ] [ , ) 1 ( q j i I i J j q n n j i m m

  

     で求める.この値はクラスタの抽出が進むにつれて単調に 減少するので,この値が充分小さくなり主要なクラスタが なくなれば,処理を終了する.

3.実験

提 案 法 を 福 岡 市 の 市 街 地 の 約2km×2k m の 範 囲 の LandsatTMのマルチスペクトル画像(2004年4月撮影, 70×70pixels,バンド数7,階調数255)に適用した.実験 で 使 用 し たLandsatTM 画 像 を 図 -1 に 示 す . ま た , LandsatTM画像の範囲を含む航空写真(国土地理院国土 変遷アーカイブ空中写真閲覧,2005年3月撮影)を図-2に 示す. 提案法によって得られたマルチスペクトル画像のバン ドを選択された順に表-1に示す.参考のため,表-1に判定 値も示しておく. 選択された部分画像が最適であるかを評価するために, 選 択 さ れ た 上 位3までのバンド( BAND3, BAND4, BAND5)を用いてファジィクラスタリングを行う.抽出 されたクラスタの大きさを表-2に示す.表-2より,クラス タの大きさがある程度大きな値を持つのは5番目であるこ 図-1 LandsatTM画像の例 図-2 航空写真の例

(3)

大分工業高等専門学校紀要 第 49 号 (平成 24 年 11 月)

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表-1 選択された部分画像の順位と判定値 順位 バンド 判定値 1 BAND4 3534.5 2 BAND5 3084.0 3 BAND3 2570.2 4 BAND7 2209.0 5 BAND2 2145.0 6 BAND1 2151.0 7 BAND6 3260.3 表-2 抽出されたクラスタの大きさ 番号 大きさ 1 3511.6 2 1213.5 3 1140.8 4 547.6 5 477.7 6 293.1 7 262.1 8 163.9 9 143.1 10 88.1 表-3 抽出されたクラスタの代表点の画素値 番号 BAND3 BAND4 BAND5

1 47 74 60 2 16 14 13 3 61 142 100 4 10 136 44 5 120 106 68 とが分かるので,5つのクラスに分類した土地被覆分類図 を作成する.参考のため,抽出されたクラスタの代表点の 画素値を表-3に示す.提案法によって得られた土地被覆分 類図を図-3に示す.図-3と図-2の航空写真より,クラスタ 1が市街地,クラスタ2が水部,クラスタ3とクラスタ5が 裸地やコンクリート部,クラスタ4が植生部であり,比較 的良好な土地被覆分類図が作成できていることが分かる. また,定量的な評価を行うために,10年以上の経験を持つ 航空写真測量の技術者が,航空写真とLandsatTMのフォ ルスカラー画像から市街地,植生,水部,裸地からなる土 地被覆分類図(以下,正解図)(図-4参照)を作成し,図 -4と比較した.この結果,正解率は74.92%であった.正 解率とは,全画素数に対する正解図の土地被覆と一致した 画素数の割合である. なお,選択された下位3までのバンド(BAND1,BAND2, BAND6)を用いて5つのクラスに分類した土地被覆分類図 図-3 土地被覆分類図(提案法) 図-4 土地被覆分類図(正解) 図-5 土地被覆分類図(提案法の下位の部分画像を用い た場合) を図-5に示す.図-5と図-2の航空写真より,水部と植生部 が同じクラスタに分類されているように,これらの下位の バンドでは土地被覆分類が適切に行われないことが分か る.また,定量的な評価を行うために,図-5の5つのクラ スタを市街地,水部,裸地,植生に対応づけることは難し いが,クラスタ1とクラスタ4,クラスタ5を市街地,クラ スタ3を水部,クラスタ2を裸地として,正解図と比較した. この結果,正解率は61.53%であった. また,主成分分析の第3主成分までを用いて5つのクラ スに分類した土地被覆分類図を図-6に示す.定量的な評価 を行うために,クラスタ1とクラスタ5を市街地,クラスタ

(4)

大分工業高等専門学校紀要 第 49 号 (平成 24 年 11 月)

―14―

図-6 土地被覆分類図(主成分分析を用いた場合) 図-7 土地被覆分類図(再構築画像を用いた場合) 4を植生,クラスタ2を水部,クラスタ3を裸地として,正 解図と比較した.この結果,正解率は65.61%であった. 更に,第1から第3までの特異ベクトルと特異値で復元し た7バンドの再構成画像で5つのクラスに分類した土地被 覆分類図を図-7に示す.各バンド

k

の再構築画像は,第1 から第

O

までの特異ベクトルと特異値で復元した場合,

O o T o o o k

u

v

1 ] [ ] [ ] [

)

(

で求められる.水部と植生部が同じク ラスタに分類されているように,土地被覆分類が上手く行 われないことが分かる.図-7の5つのクラスタを市街地, 水部,裸地,植生に対応づけることは難しいが,クラスタ 1とクラスタ2を市街地,クラスタ3を植生,クラスタ4を 水部,クラスタ5を裸地として,正解図と比較した.この 結果,正解率は58.98%であった.良好なクラスタリング を行うためには復元にある程度の特異ベクトルと特異値 の数が必要である.

4.おわりに

多重画像から結合特異値分解を用いて部分画像を選択 する方法を提案し,LandsatTMのマルチスペクトル画像を 用いた実験を通して有効性を検証した.提案法で選ばれた 部分画像を用いてクラスタリングを行えば,不適切な画像 の混在を避けることができ,性能の向上が見込まれる. 今後の課題は,ハイパースペクトル画像でも実験を行う こと,最適な部分画像の数を自動的に決定すること,より 多くの場所で実験を行い,検証を重ね,提案法の性能を向 上させることなどである.また,提案法は,土地被覆分類 以外の様々な分野でも利用できると考えられるため,新た な利活用の分野を探求することも今後の課題である. 参考文献

1) X. Jia and J.A. Richards : Segmented Principal Components

Transformation for Efficient Hyperspectral Remote-sensing Image Display and Classification, IEEE Trans. Geo. Remot.

Sens., Vol.37, No.1, pp.538-542, 1999.

2) R. Agrawal, J. Gehrke, D. Gunopulos, and P. Raghavan :

Automatic subspace clustering of hight dimensional data for data mining applications, Proc. SIGMOD'98, pp.94-105,

1998. 3) 北本朝展:リモートセンシング画像情報から時空間情 報処理へ,電子情報通信学会論文誌,Vol.102,No.708, pp.73-80,2003. 4) 浅野太郎,小杉幸夫,宇都有昭,小阪尚子,小田川信 哉,小田九二夫:グループ分割手法によるハイパース ペクトルデータからの葉面積指標推定,写真測量とリ モートセンシング,Vol.48,No.6,pp.338-347,2009. 5) 宇土有昭,小杉幸夫,尾方俊成,小田川信哉:可視/近 赤外ハイパースペクトルデータに基づくナラ枯れ指標 NWIに関する研究,写真測量とリモートセンシング, Vol.49,No.5,pp.294-309,2010. 6) 向井幸男,力丸厚,高橋一義,寺岡延尉:衛星データ による稲の生育段階の分布把握,長岡技術科学大学研 究報告,No.25,pp.63-67,2003. 7) 平岡透,井上光平,浦浜喜一:マルチスペクトル画像 のセグメンテーションのためのエントロピーによるバ ンド選択,電子情報通信学会論文誌,J85-D-Ⅱ,No.12, pp.1884-1887,2002. 8) 小島尚人:ハイパースペクトルデータを用いたカラー 合成処理におけるバンド選択アルゴリズムの一提案, 日 本 リ モ ー ト セ ン シ ン グ 学 会 誌 ,Vol.28, No.1, pp.17-27,2008. 9) 井上光平,平岡透,浦浜喜一:結合特異値分解による 多重画像の圧縮,映像情報メディア学会誌,Vol.57, No.5,pp.624-626,2003.

10) K. Inoue and K. Urahama : Sequential fuzzy cluster extraction by a graph spectral method, Pattern Recognition Letters, Vol.20, No.7, pp.699-705, 1999. 11) 宮下啓,平岡透,亀野辰三:クラスタリングのための

結合特異値分解によるマルチスペクトル画像からのバ ンド選択,平成24年度電子情報通信学会九州支部第20 回学生講演会,D-40,2012.

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