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経済教育学会第29回大会について(大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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186 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告  9 月 28 日(土),29 日(日)に第 29 回経済教育学 会全国大会が「いま経済を学ぶ意義」をテーマに滋賀 大学教育学部で開催された。  9 月 28 日(土)は,午後からシンポジウムと総会と 懇親会がおこなわれた。  シンポジウムは,「いま経済を学ぶ意義とは」を テーマにおこなわれた。最初に佐和隆光滋賀大学学長 の基調講演がおこなわれた。佐和先生の基調講演は 「経済学を学ぶということ」というタイトルで,アメ リカと日本の経済教育の相違やポスト工業化社会の問 題点などが取り上げられた。  続いて,現代の社会背景とかかわらせて経済を学ぶ 意義に関して,中学校,高等学校,大学の教員がパネ ルディスカッションをした。  最初に,中学校の教員の立場から河原会員が「中学 生が経済を学ぶことの意味」と題して,高等学校の教 員の立場から新井会員が「いま高校生に経済を教える 意味」と題して,大学の教員の立場から岩田会員が 「経済学を学ぶということ……私の視点」と題して, スピーチがおこなわれた。  その後,佐和先生と岩田年浩会員,新井明会員,河 原和之会員の 4 人でパネルディスカッションがおこな われた。コーディネーターは山根栄次会員である。ま た,山根会員の司会で,パネリストとフロアーとの質 疑応答がおこなわれた。時間が短く,フロアーからの 質問を多く受け付けることができなかったのが残念で あるが,白熱した議論であった。  シンポジウムにつづいて,学会賞の授与式,会員総 会があり,その後,懇親会がおこなわれた。懇親会で は,韓国の経済教育学会からの参加者の紹介などもあ り,非常に和やかな雰囲気で,会員の交流を深めるこ とができた。  9 月 29 日(日)は,6 つの分科会で報告がおこなわ れた。午前は,分科会 1「高等学校の経済教育(1)」, 分科会 2「小中学校の経済教育」,分科会 3「大学の経 済教育(1)」,午後からは,分科会 4「高等学校の経済 教育(2)」,分科会 5「経済学と経済教育」,分科会 6 「大学の経済教育(2)」である。11 件が大学の経済教 育をテーマにしたもので,9 件が大学以前の経済教育 をテーマにした報告である。それぞれの分科会で熱心 な議論がおこなわれた。分科会の報告者とタイトルは 別表のとおりである。  両日ともにトラブルもなく,スケジュールにした がって無事に大会をおこなうことができた。

経済教育学会

第 29 回大会について

The Journal of Economic Education No.33, September, 2014 加納 正雄(第 29 回大会開催実行委員長) The Japan Society for Economic Education

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経済教育33号  187

プログラム

2013 年 9 月 28─29 日(土・日)/滋賀大学教育学部 9 月 28 日(土) シンポジウム「いま経済を学ぶ意義とは」 10:30-12:50 理事会 13:20 開会 13:30-14:20 佐和隆光「経済学を学ぶということ」基調講演 14:20-16:00 パネルディスカッション 佐和隆光(滋賀大学) 河原和之(立命館大学・近畿大学・元東大阪中学校) 新井明(東京都立小石川中等教育学校) 岩田年浩(京都経済短期大学) コーディネーター : 山根栄次(三重大学) 学会賞授与式 16:10-17:10 総会 17:30- 19:30 懇親会 9 月 29 日(日) 〈午前〉10:00-12:00 会 場 テーマ 座 長 分科会 1 第 1 講義室 「高等学校の経済教育(1)」 松本朗(立命館大学)・二宮 健史郎(滋賀大学) 分科会 2 第 5 講義室 「小中学校の経済教育」 岩田年浩(京都経済短期大 学)・中里弘穂(福井県立大 学) 分科会 3 第 6 講義室 「大学の経済教育(1)」 角田修一(立命館大学)・中 谷武雄(元京都橘大学) 報告 1 10:00-10:40 「経済概念学習の可能性─教 科書の変遷を手がかりに─」 新井明(東京都立小石川中 等教育学校) 「中学校における経済教育授 業実践について─企業の社 会的責任を事例に─」 太田正行(慶應義塾大学) 「経済学入門としての経済学 史」 木村雄一(埼玉大学) 報告 2 10:40-11:20 「フィリピンの高等学校にお ける経済教育の現状と課題」 佐々木謙一(北海道教育大 学) 「小学校社会科の経済教育内 容を問いなおす─経済概念 に内包する道徳性─」 猪瀬武則(日本体育大学) 「金融危機と経済教育─リー マン・ショック後の経済学 教科書の変化について─」 柴田 透(新潟大学) 報告 3 11:20-12:00 「学習指導要領改訂に関する 商業高校教諭へのアンケー ト調査」 金子浩一(宮城大学) 「大学生の金融リテラシーに 関する調査研究(2)─大学 生を対象にした 「人生とお 金に関する調査」 から─」 飯嶋香織(神戸山手大学) 12:10-13:10 理事会 〈午後〉13:20-16:00 会 場 テーマ 座 長 分科会 4 第 1 講義室 「高等学校の経済教育(2)」 橋本勝(富山大学)・八木尚 志(明治大学) 分科会 5 第 5 講義室 「経済学と経済教育」 藤岡惇(立命館大学)・増田 和夫(京都経済短期大学) 分科会 6 第 6 講義室 「大学の経済教育(2)」 新里泰孝(富山大学)・柴田 透(新潟大学) 報告 1 13:20-14:00 「日本金融システム史に基づ く高校 「公民科」 経済学習 の教育内容開発(2)─近代 経済史(大正〜昭和期)の 教材化─」 松井克行(西九州大学) 「経済学の英語授業に関する 課題と展望」 齋藤哲哉(日本大学) 「「出席レポート」 を活用し たコンピテンスの育成」 金子能呼(松本大学松商短 期大学部)

The Japan Society for Economic Education

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188 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 報告 2 14:00-14:40 「高校生は経済学の用語をど のように理解していくのか ─経済教育におけるカリキ ュラム再構築の研究─」 金子幹夫(神奈川県立平塚 農業高等学校初声分校) 「生産期間と生産構造を明示 した国民所得理論の導入」 大坂洋(富山大学) 「経済教育の中のサービスラ ーニング─ソーシャルビジ ネスの体験的学習を通して ─」 井草剛(明治大学地域活性 システム研究所)・水野勝之 (明治大学商学部) 報告 3 14:40-15:20 「EU 加盟をどのように高校 生に教えるか」 佐々木優理(東京都立総合 芸術高校) 「アダム・スミスと人間の科 学」 中谷武雄(元京都橘大学) 「キャリア教育における金融 教育の取入れと効果─早期 離職防止に繋げる福井県立 大学経済学部の実践からの 考察─」 中里弘穂(福井県立大学) 報告 4 15:20-16:00 「原発事故の政治経済学を高 校生に教える」 箕輪京四郎(元横浜商業高 校) 「現代の企業・利益に各分野 から迫る─オムニバス講義 の実践─」 岩田年浩(京都経済短期大 学)・佐藤健司(京都経済短 期大学)・藤原隆信(京都経 済短期大学) 「経営管理論の授業で実施し たキャリア教育」 田中淳(東京都立産業技術 高等専門学校) 第 29 回大会実行委員 加納正雄(滋賀大学),岸本実(滋賀大学),藤岡惇(立命館大学),松本朗(立命館大学) 第 1 分科会  第 1 分科会は 3 つの報告が行われた。第 1 は,新井 明会員の「経済概念学習の可能性─教科書の変遷を手 がかりに─」である。本報告は,高等学校「政治・経 済」教科書の検定過程と学習指導要領の変遷を丁寧に 追いながら,高校での教科書が(1)主流派経済学の 学問体系から離れていること,(2)制度的説明に力点 が置かれたこと,(3)近年では主流派経済学の内容へ の回帰が見られるという仮説を検証したものである。 この報告では教科書が経済学の内容を展開するよりも 高校の現場で教えやすい指向が強まっていることなど が強調されると同時に,教科書調査官や教科書執筆者 の個性がその内容の変遷に大きく関わっていることも 強調された。フロアからの質問も報告者の報告意図よ りも後者の部分へのものが中心になっていた。  第 2 報告は,「フィリピンの高等学校における経済 教育の現状と課題」(佐々木謙一会員)である。本報 告は,フィリピンの高等学校における経済学教育の現 状について,ラガナ州の公立高等学校を事例に研究さ れたものである。報告者によれば,フィリピンでは海 外出稼ぎ労働者が経済の重要な位置を占めており, フィリピンの名目 GDP の 10%をこえる送金を本国の 家族などに行っている。したがって,中等教育段階に おける経済教育もそうした状況に対応した世界経済事 情にも通じる内容になっているという。カリキュラム も一般的なミクロ,マクロ経済学から始まり,国際経 済,貿易論に至るまで大学レベルでもおかしくない内 容となっている。フロアからの質問では,こうした内 容のカリキュラムに高校生の生徒達が付いてこられる のか否かなどに関心が集中した。  第 3 報告は,金子浩一会員による「学習指導要領改 訂に関する商業高校教諭へのアンケート調査」である。 科学研究費補助金による平成 25 年度に始まる商業高 校の新課程に関するアンケート調査研究の結果報告で ある。新課程の科目の特徴を紹介された上で,アン ケート結果から抽出された内容が報告された。結論と しては,(1)商業課程でも上昇している大学への進学 を意識した内容の必要性,(2)「ビジネス経済」科目 における経済学の概念,内容を教えることの難しさ, (3)アンケート時期の問題から来る調査の限界などが 示された。フロアからの質問では,簿記や現実の商業

分科会報告

The Japan Society for Economic Education

参照

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