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家庭での性教育における親の果たすべき役割

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Academic year: 2021

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*1 中部大学生命健康科学部保健看護学科(Department of Nursing College of Life and Health Sciences CHUBU UNIVERSITY) *2 名古屋市立大学看護学部(Nagoya City University, School of Nursing)

2010年4月28日受付 2010年9月30日採用

資  料

家庭での性教育における親の果たすべき役割

The role of parents in sex education at home

小 倉 由紀子(Yukiko OGURA)

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北 川 眞理子(Mariko KITAGAWA)

*2 抄  録 目 的  本研究の目的は,家庭での性教育における親の果たすべき役割を親子双方の視点から明らかにするこ とである。 研究参加者と方法  研究参加者は,A県下M市内中学校1年生から3年生の親子の中から,10組21名を抽出し文書で通知, その後電話で研究の説明をおこない内諾が得られたものとした。親が10名、子どもが11名で、親子別々 に家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について非構成化面接を行い,データ収集を行った。 得られたデータを質的に記述し分析を行った。 結 果  家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について11カテゴリーが抽出された。その中で、 親が考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【学校教育での性教育の内容を知る】【学校 教育との連携をはかる】【性の相談に対応し知恵を伝授する】【子どもの成長発達を受け止める】【正しい 性知識を伝える】【親子の関係性を調整する】【性情報の氾濫に対応する】【夫婦の関係を円満にする】の 8カテゴリーが抽出された。また子どもが考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【子 どもが望む性教育実現への支援】【子どもの求める性問題へ介入する】【家庭環境を調整する】の3カテゴ リーが明確となった。 結 論  本研究より,家庭での性教育における親の果たすべき役割は,知識だけではなく経験の中での知恵や 細かい実践部分での対応に関連していた。子どもと親との関係において,どれくらい親が子どもに向き 合い子どもにとって話しやすい相手であることかが重要であった。 キーワード:性教育,思春期,親役割,親子関係,家庭 Abstract Objective

This study aimed to clarify the role of parents in sex education at home from the perspectives of both parents and children.

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Materials and Methods

From among junior high school students and their parents in M City, A Prefecture, we recruited 21 people, comprised of 11 students and 10 of their parents, as our test subjects. We notified them by letter, and later explained the survey to them by telephone to obtain their informed consent. In non-structured interviews conducted separate-ly with the parents and students, we asked their opinions about the role of parents in sex education at home. Then, we conducted a qualitative description and analysis of the data.

Results

Eleven categories were extracted regarding the role of parents in sex education. Among them, the role of par-ents in sex education as defined by the parpar-ents fell into the following 8 categories: "know what is taught as sex edu-cation at school", "work in liaison with sex eduedu-cation at school", "advise their children if asked about sex", "accept their children's growth", "provide accurate sexual knowledge", "adjust parent-child relationships", and "keep the relationship between the mother and father on good terms". On the other hand, the role of parents in sex education as defined by the children fell into the following 3 categories: "support their children to receive the desired sex edu-cation", "intervene in their children's problematic sex-related issues", "adjust the home environment".

Conclusion

Our study suggests that the role of parents in sex education is, in addition to providing knowledge, to advise their children based on their own experiences and cope with their children's practical issues. With regard to the parent-child relationship, it is important for parents to communicate with their children and be approachable. Key words: sex education, puberty, role of parents, parent-child relationship, home

Ⅰ.緒   言

 10代の若者における性の問題は,時代とともに変 化している。1990年以降に性交相手の多人数化や初 交の低年齢化,性感染症の罹患などの上昇がみられ, 2005年以降では,キス経験率や性交経験率で女子生 徒が男子生徒を上回る結果となっている(若者の性白 書,2007)。また,人工妊娠中絶は女性全体では低下 しているが,18歳以下では明らかに増加し,特に16歳 以下での上昇率は著しい(厚生労働省人口統計,2010)。 これから子どもを産み育てていく若者の性の問題は, 将来に対する影響が大きいため,早急な対応が必要で ある。そのために,子どもとその親,さらには学校や 社会が連携し対応することが課題となっている(健や か親子21検討委員会報告書,2006)。  先行研究では,母親の性に対する考え方が子どもの 性に対する考え方に影響を与えるという山地(2002) の報告や,家族のコミュニケーションや家庭の環境 ・雰囲気が子どもの性行動に影響するという報告が ある(斎藤・木村・関島,2004)。また,海外文献で は,家庭内の性教育が,家族関係及び性に対する子 どもの価値観や態度の形成に関連してくる(Baldwin & Baranoski, 1990)と報告されている。国内外を問わ ず,子どもの性に影響を及ぼす要因は同じであるとい えるが,その後の対処方法は全く異なっている。海外 では,性に対して開放的で積極的な親のかかわりが多 く(小川・朝井,2006),性教育は親がすべきことで親 の権利であるとされている国もある。そのため国家や 学校が家庭の問題に介入することは好ましくないとし ている(川原,1998)。しかし,日本では,親が子ども の性や性的な欲求を認めることには抵抗があり,子ど もとの会話やかかわりにおいても否定や無関心を装う といわれている(白井・草野・柴田,1988)。日本の親 は,性教育の必要性を感じながらも,対応の方法がわ からず実際のところは行われていない(武富・尾崎・ 山田,2003;丹羽・水谷・大橋他,2005)のが現状で ある。しかし子どもの性の問題を解決に導くためには 親の介入が必要であり,家庭で性教育を実施するため の親の果たすべき役割を親子双方で分析することは, お互いを理解した上で効果的な性教育を実施するため に欠かせないといえる。  先行研究では,家庭での性教育について親子の考え 方を双方から質的にまとめた研究はみあたらない(宍 戸・斉藤・木村,2007)。そこで本研究は,家庭での 性教育における親が果たすべき役割を親子双方の視点 から明らかにすることを目的とした。 〈用語の定義〉  本研究における用語の定義は以下のとおりである。 性教育:性教育とは性行為や性行動だけではなく,お 互いの性を認め合い尊重しあう人間関係の教育であ り,性の健康について知識や技術や態度を身につけ るための教育であるとした。 親の果たすべき役割:子どもを持つことによって習得 していく役割の中で親が子どもに対して必ず遂行し

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べき役割の内容に注目し,語られている意味内容を損 なわないように文脈を抽出した。それぞれの文脈が何 を意味し何を表しているのかを考え,意味了解可能な 文脈を取り出し,次に内容を精読し,内容の類似性や 異質性について帰納的に分析し類型化した。分析の過 程で,質的研究の経験者と意見が一致するまで意味づ けの解釈を行った。 5.倫理的配慮  研究参加者に文章で説明し書面で同意を得た。さら に,事前準備として,学校長へ研究協力を説明し口頭 で承諾をとり,その後教員・養護教員への協力説明と 承諾などのプロセスを経た。その際,プライバシーは 守られること,研究の参加は自由意思であること,承 諾後も中断が可能であること,結果は研究目的以外に は使用しないことなどを説明し,同意を得た上で調査 を実施した。面接を始める前に,匿名性の保証と調査 内容の秘密の厳守について親子に説明した。本研究は, 名古屋市立大学看護学部の研究倫理委員会の承認番号 (05016)を得た後に,実施した。

Ⅲ.結   果

1.研究参加者の背景  参加者の概要は母親10名とその子ども11名(中学1 年生5名,中学2年生3名,中学3年生3名)であった(表1)。  母親の年代は,35歳∼44歳(平均39.0)で,そのう ち就業している者は5名であった。家族形態では,核 家族が7名で,子どもとの続柄では第1子が6名で第2 子が2名,第3子が3名であった。 ていく必要のある役割とした。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン  本研究は質的記述的研究とする。 2.研究参加者  A県下M市内中学校1年生から3年生の親子の中か ら,10組21名を無作為に抽出し文書で通知,その後電 話で研究の説明をおこない内諾が得られたものとした。 (研究参加者は各学年,各クラスの出席表と乱数表を 用いて無作為に抽出した。) 3.データ収集方法  プライバシーを確保できる個室にて,親子別々に非 構成化面接を実施した。面接内容は本人の許可を得て から,ICレコーダーに録音し,その後記録した。親 子別々に「家庭で性教育を実施することに対しての親 の果たすべき役割についてどのように考えますか」と 伝え,その後は参加者の自由な語りの流れに沿うよう にした。その際,研究者は,言語的・非言語的な促し により,参加者の経験の語りを引き出すように努めた。 面接時間は,親子とも一人30分程度とした。  調査期間は,2006年3月∼2007年1月であった。 4.データ分析方法  分析方法は,面接の録音データから親子別々(親子 でアルファベットは統一した)に遂語録を作成し帰納 的分析手法を用いた。参加者の逐語録をデータとし, 熟読してそれぞれの意味を捉える。その後親の果たす 表1 研究参加者一覧 母の事例 母親の年齢 就業の有無 子どもの数 家族形態 子どもの事例 性別 何番目の子 学 年 A 40 有 3 核家族 a1a2 男子女子 第2子第3子 中学3年生 B 40 有 2 核家族 b 男子 第1子 中学1年生 C 40 無 3 複合家族 c 女子 第3子 中学2年生 D 39 有 2 核家族 d 男子 第1子 中学2年生 E 38 無 3 核家族 e 男子 第1子 中学1年生 F 35 無 3 核家族 f 男子 第1子 中学1年生 G 40 有 3 複合家族 g 女子 第1子 中学1年生 H 38 有 3 複合家族 h 女子 第3子 中学2年生 I 44 無 3 核家族 i 男子 第1子 中学1年生 J 39 無 2 核家族 j 女子 第2子 中学3年生

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2.家庭での性教育における親の果たすべき役割  家庭での性教育における親の果たすべき役割につい て分析から43個のサブカテゴリーを得て,さらに11 個のカテゴリーを得た。親が考える親の果たすべき役 割は【学校教育での性教育の内容を知る】【学校教育と の連携をはかる】【性の相談に対応し知恵を伝授する】 【正しい性知識を伝える】【子どもの成長発達を受け止 める】【親子の関係性を調整する】【性情報の氾濫に対 応する】【夫婦の関係を円満にする】の8カテゴリーで あり,子どもが考える親の果たすべき役割は【子ども が望む性教育実現への支援】【子どもの求める性問題 へ介入する】【家庭環境を調整する】の3カテゴリーで あった。  以下の文章内の記号について,カテゴリー【 】,サ ブカテゴリーは『 』,で示す。親をA∼Jの10個のア ルファベットの大文字で表現し,子どもはアルファベ ットを小文字とし親子のアルファベットは同じとした。 尚,研究参加者の語りの部分は「斜体」で記した。 1)【学校教育での性教育の内容を知る】  親は学校から性教育の情報が得られていないことで 『学校における性教育の不透明さ』や子どもが理解で きるように教育されていないと答えている。子どもか ら親への伝達であるため,親自身が内容について不足 を感じ,『性教育内容における学校と家庭間との連携 不足』が生じている。 ・わかんないけど学校で聞いたこともあるけど,でもちゃ んとは聞いてこないんだわね。お母さんとお父さんのお ちんちんをくっつけたらできるよってぐらいは,小学校 で聞いてきたのかな。(A) ・学校で何を教えてくれるかはわからないけど,学校でや ってると思うから安心している。でも情報が欲しい。そ したら,家でもできると思うけど……小さい頃からそう いう話って必要なんだよね,子どもが何故なのってきい たら真剣に答えようとは思っている。(E) ・そうですね。学校のことはよくわからない。先生のほう からどんな話とかの連絡もないです。低学年の何の抵抗 もない時期に性器の名称を恥ずかしげもなく口に出す。 こういうことを教えているんだなと……。「ペニス」「ワ ギナ」という言葉が出たときに驚いた。一度通り抜けて 親になったわけなので子どもにうまく説明できるといい んですが……。(F)  さらに親は,教科書どおりではなく,教科書にはな いような性徴の大切さなどの『人格教育を含んだ教育 内容』に好感を示している。 ・学校で教えることはマニュアルどおりのことなんやって, 専門用語でさ。必要ある?(不満げ)Yの学校の先生は, おちんちんが大きくなったって毛がはえたって当たり前 のことなんやで堂々としとれ隠す必要なんてないぞ,成 長しとるいいことなんやで堂々とみせてやれといってく れるの。20代の若い先生だよ。自分の経験を話してくれ るの。がちがちの人が教えるのとは違うの。(B) 2)【学校教育との連携をはかる】  親は『学校教育体制への信頼』を寄せている。なぜ ならば,自分が性教育に直接かかわれないという思い から,学校に任せたい気持ちがある。しかし,特に自 分が行おうという意識はなく『学校からの引継ぎとし ての親の二次的介入』を望んでいる。性教育はその人 自身の価値観が大きく反映することが理解できている ため親も自信をもてないでいる。 ・性教育1年生からやっているなんて知らなかった。学校 でやってくれたほうがありがたい気がする。3年の授業 参観で性器の違いとかどこに毛が生えるとかやって,親 も親で恥ずかしくってね。(G) ・性教育ね。生理とかじゃなくてどういう行為して子ども ができるか説明あるのかな。親は話ができない。その中 に愛情表現の一つとして話さなければならない。学校で 何をやっているのかわからない。学校での内容の把握が できないと自分は何もできない。(G)  また親の中には,『担当教員の専門学習の必要性』か ら『パイプ役としての専門家の介入』を希望していた。 ・私ね 小学校の4年生のときに授業参観でみました。性 教育……。男の身体と女の身体とどうやって生まれるの か……。学校の先生はプロではないので,間違いだった そうで,看護師やってるお母さんが膵臓と腎臓が違うっ ていったら,懇談会のときに先生の反感かって「専門の 人にやってもらいます」って怒られちゃったんだって。 学校の先生も事前に学習が必要なんじゃない。小学生は そのままおぼえてしまうからね。(H) ・学校の先生たちは性教育の話を授業とかで学んでいるの でしょうか。そういうこともないのに価値観で話をする ことは難しいですね。性については専門家の人に入って もらうほうがよい。(F) ・自分では間違えるかもしれないから,先生はプロのほう がいい。学校の先生もプロのほうがいいといってたよ。 (H)

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3)【性の相談に対応し知恵を伝授する】  親はどのような形でも『子どもとの真剣な向き合い』 が必要であるとしている。幼いころに躊躇なく聞いて くる質問に戸惑い,対応できず,結局向き合おうと思 ってもなかなかできないという気持ちや『恥ずかしさ からの問題のごまかし』がある。親は決して性教育を 丸投げしようとはしていない。性の情報については子 どもが日常的にインターネットから得ていることは知 っているが親は子どもに介入はしていない。親は『子 どもの危機的状況への介入』について,そばにいて危 険の察知ができ,その時に関わる程度で良いといって いる。 ・子どもが本当ことを知って聞いてきたなら本当のことと して答えなければならない。私はどちらかというと学校 で聞いてきた後,正直に答えてる感じかな。(A) ・子どもが真剣に聞いてくれば(自分のわかる範囲で)真 剣に答えないといけないよね。(B) ・親からも何らかのアドバイスは必要だと思います。何も しなくても子どもは知識を持っていくと思いますけど, 自分も体験しているので上手く説明できるといいのです が,難しいです(F) ・上の坊主が小4のときかな。母子みんなで風呂に入って いるときに,「お母さん今日膣って聞いてきたんだけど, ……おかあさんみせてといわれたときはすごく戸惑った。 困ったから,赤ちゃんとおってくる道だし子どもでもお 母さんは恥ずかしいので見せれない。おしっこのでてく る穴とは違うといったら納得?してくれた。(D)  また子どもの行動をみれば日常的変化がわかるため, 早期に気づきたいという気持ちを親はもっている。ま た親は子どもとの距離を意識しており,離れすぎても いけないし近すぎてもいけないなど『親が距離を保と うとする姿勢』がある。さらに親は,性の話をタブー にしてもいけないしオープンすぎてもいけないと考え, 子どもの体が大人になる時期が怖いと表現している。 性に対して真剣に向き合おうとする親の気持ちは決し て性を安易に考えていない。性を大切なものと考えて いるからこそ答えることができないのであり,『性の 重さが親の対応のバリケード』になっている。  親の中には,学校で初潮の方法は学んできたので, 特別に親が話すことはなかったとしている。しかし, ナプキンから経血がもれたときの対処方法やおりもの に対する対応方法などの質問が子どもからあり『性行 動に必要な親から子への知恵の伝授』として,親は個 別に対応している。また,異性への子どものかかわり が難しいと考える親は,特に男の子をもつ母親に多い。 母親は男の子の二次性徴については学ぶ機会がこれま でになく『親̶子異性関係に関する性の自信喪失傾向』 が伺え,知識不足から自信をなくしている傾向にあっ た。家族構成に関しては,複合家族であれば,姑世代 の価値観も子どもに影響している。日本の文化では性 をタブー視している傾向にあるため,『家族構成と親 の対応の差異』が生じていた。 ・親が絶対話をしなくてはいけないとは思っていない。学 校だけとか,家庭だけだとそれぞれの価値観が強くなる から,(E)それが常識と違っていたら恐ろしい。そのま ま子どもに反映するから。(B) ・インターネットはよく使っているからなんか変なのをみ ているかもしれない。男の子はお父さんに任せているけ どお父さんは何も言わない。……妊娠とかで傷つくのは 本人だから未然に気づいてあげられる親,事前に気づい てあげられる親でありたい,子どものちょっとした行動 でわかるよね(E) ・性のことはタブーにしてはいけないと思うのですが, ……今日けがしたのと同じのりで話ができるといいんだ けど,オープンすぎてもいけないように思うし,軽くあ ってもいけないし身体が大人になっていく時期は私もど うすればいいかわからないから怖いかな。(F) ・5年生で聞いてきて特に教えることもなかった。ただ, どのくらいの時間でナプキンがいっぱいになるとかわか らないからもらしたりするけど,夜もれるけどどうすれ ばいい?ときいてきた。おりものが多くなって気持ち悪 いというから,シートを使わせている。おりものの対処 は学校ではやってないみたい。(G) 4)【正しい性知識を伝える】  性の対応についてどのように対処すればいいのか, わからないと思っている親が多い。親の恥ずかしいと いう気持ちが『実施に歯止めをかける性に対する恥ず かしさ』に繋がっている。何か方法があれば戸惑いが なくなり,実施も可能である。また,親は『子どもの 質問に答えられるだけの知識習得に対するニーズ』が あり,子どもの成長に合わせた対応方法や説明方法に ついての教材が親に配布されることが望まれている。 ・性の話は,特に男の子の精通などについて混乱するわ (F) ・学校で習ったその日から子どもは親に躊躇なく質問して くるが,親はそれに応えようと思いながら恥ずかしさが 先にたちそれを説明する方法がわからない(D)

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・小さい頃の子どもは親に無意識に性について聞いてくる けど,親は返事にとまどうから,ごまかしやうそをいう から,子どもは次第に聞いたり,その話にふれなくなっ てくるんだわね。質問に答えれるぐらいの知識は持ちた いね。いずれ子どもの成長と共に子どもは親に話をしな くなるんじゃないかな。(J) 5)【子どもの成長発達を受け止める】  親は子どもの日常の様子や観察からその変化に気を 配り,『子どもの性徴発達への親の関心』を示したいと している。年齢に応じてあるいは段階を得て子ども が性教育を学んでいくことを親は希望している。また, 子どもは成長の過程において親に話すことと行動が一 致していないことを親自身は見抜いているし,そのこ とに対して理解も示している。子ども自身の性への興 味に対して親は,『子どもの性の発達に対する肯定的 受け止め』ができている。しかし,この時期の子ども の興味関心は著しく,『子どもの性の発達に対する親 の動揺』として親は多くの不安を抱いている。 ・それを迎えるまでに話をしとかないかんよね。例えば女 の子だったら,赤ちゃんを生む前にこういう段取りがあ ってっていうか身体の変化だから……。だって4年生に なったらおっぱい出てきたり丸みを帯びてきたりするや んね。そういう前に……(省略)……男の子はね。友達が 生えてくると,自分もそれをまっとるの。楽しみにしと るの。声変わりと毛が生えるのをね。自分の成長が遅れ てる気がしとるの。友達と一緒になりたい。でも恥ずか しい。でも大人の身体に近づきたいってね。平気でニコ ニコはなすからこっちのほうが恥ずかしくなる。(B) ・学校ではこう習ったよって,大まかなことは聞いてくる ので段階を得て,細かいことがわかってくれば知ってく れればいいかなって思う(B) ・ポルノ雑誌とか見とったってどうってことない。見とる のは正常なこと。隠れてこそこそみるほうが正常な感じ がする。それがエスカレートすると困る。だって雑誌に 書いてあることがすべてではない。(B) 6)【親子の関係性を調整する】  親子によっては,父親のほうが子どもの質問や性に 対して向き合っている場合もある。子どもは『性差で はなく向き合ってくれる親を選択』をしている。結局 のところ性差が影響する親子とそうでない親子が存在 する。さらに,子どもは日常のコミュニケーションの 中で,話をしてくれるほうと話をしている。そのため 何も言わなくてもいい子どもの場合は,親子のコミュ ニケーションの機会がすくない。 ・お父さんは真剣って言うかなんかさ,ちょっとごまかす っていうか,笑いの中で会話するから子どももそういう 感じで性の話をする。長女もそうだけど,やっぱいろい ろ性についてのわからない言葉をお父さんに聞いて私よ りもお父さんに話して,そうするとお父さんがおもしろ おかしく話をしているみたいで……。私はいつもごまか す感じかな。(A) ・同じ姉妹でも妹は入ってこない。話さなくても済んでい く。いわなくても済んでいく。でもおねえちゃんは男の 子の話に興味があって,関心があって聞くから,そっち とコミュニケーションを多くとるね。(A)  『親̶子関係でも考え方の不一致による会話不足』 がある。親子だからすべてうまくいくわけではなく人 間と人間であるため,あう,あわないという関係とし て『親子の相互関係の不一致』が存在する。この関係 は特に男の子と父親との関係で起こりやすい。 ・お父さんとあの子は合わない。お父さんは男はこうある べきというのがあって……。でもあの子は男っていう感 じではなく気持ちが繊細で細やかでよく気がつく。それ が男らしくないとお父さんは思っていていつも衝突にな る。その緩和剤が私。すごくあの子は私に頼ってくるん だけどお父さんの存在を私があの子に教えるように努力 している。(D)  親は子どもへのかかわりが理屈ではわかっているが 実際にはできないと感じている。また,親の中には『子 どもの性の問題の拡大と理解できていない親』がいる。 このことは,性についての問題は増え続け親世代から するとインターネットも増加し,内容も拡大している が,親はその情報を把握していない。 ・親はわかっているけれどできない。理屈ではわかってい るんだって,子どもの悩みはわかる。子どもの態度にで るからね。わからんのは親が忙しすぎてみとれんとか, がんじがらめの反動か,ただ自分の子が・そうならない かといわれれば,それはわからない。だから難しい。親 同士の情報網は大切だね。うちは今こうよとか。お宅の 子こうだったよとか。情報交換できるとわかるからいい ね。(B) ・うちはコミュニケーションが少ないほうではないと思う。 できるだけ話すようにしている。でも親子だからといっ て必ずしっくりいくとは限らないでしょう。うちのあの 子たちもそうだけど,性格もあるから,かといって破綻 しているわけではないんだけど親子でも性格や考え方が

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かみ合わないのよ。でも親子だから口きかんということ はないから,何とかかみ合うように調整していかないか ん。親があわせていくようにしないかん。(D) 7)【性情報の氾濫に対応する】  インターネットが普及している現在の子どもに対 し,『親の受けてきた性教育の伝承』することは重要と 捉えているが,教えたりすることは性の問題や捉え 方,性教育についての向き合い方でもギャップが生じ る。自分が育ってきた時代と今の時代を親は『インター ネットの普及に伴う性知識の拡大』があり,別物と認 識している。父親は自分の経験から特に教えなくても 友人などからその知識を取得するとしているが,子ど も世代は『親世代と異なる子ども世代の友人関係の希 薄さ』がある。 ・家の旦那は親から教わらず友達同士でそういう話をして きた人だから大丈夫なんやという。大まかなことは学校 で聞いてくるので段階を得て細かいことはわかればいい と思っている。(B) ・自分の親の世代はカチカチに生きてきた。夫婦になった らずっと添い遂げる時代。今はインターネットで相手を 探す時代。自分が小さいころは性なんて聞いたらいかん。 触れたらいかん。聞くと怒られそうやな。と思ったけど, 今はそういう感じやないね。家庭環境と自分が経験して きたことは全く違う。(B) ・子どものほうからは何も言ってくれない。でも自分も親 に話したとか聞いたとかせずここまできているので疑問 だったら自分で調べる。自分が育ったところがそうじゃ なく避けるようなところだったからなおさらできないね。 (E)  また親は自分自身が親から受けてきた対応に対して 嫌悪感を持ち続けたため,『反面教師として役割を持 つ親の存在』となり180度違う環境を子どもに与える 場合もある。 ・私の母が私の胸が大きくなったとき,私は母の言葉に傷 ついて「胸が大きくなったね」とか「ちんちん毛がはえた ね」とかいったり聞いたりしないようにしている。自分 がすごく嫌だったから。家は生理のときも私がいなくて 父親が対応した。私のときは親に言うのが恥ずかしく嫌 なこと言われるから自分が嫌だと思ったことはやってい ない。育った環境と別の環境で育てている。(H) 8)【夫婦の関係を円満にする】  『父̶母との夫婦の関係性と子どもへの性教育』は 密接であり,性教育は夫婦仲がよく夫婦のバランスが とれ,さらに夫婦の会話がないと実践できていない。 ・夫婦はどっちが強いってことはない。お父さんからこう 聞いたといえばそうだねといっていた。性教育は夫婦仲 がよくないとできないことだよね。うまくバランスがと れるでできるんじゃない。子どもをしかるときと同じで 片方がやるときは片方が引く。子どもの対応にはそうい うことが必要。子どもが話せるそういう雰囲気作り環境 だって。何も戸惑うことなく話せたり聞けたりする雰囲 気にしないと。すぐにできることではない。(B)  また『夫婦の関係性と父親の存在意識』が重要で, 母親が父親の存在意識を重視し,家庭環境を整えるこ とで性教育が行えると考えている親も存在している。 ・夫は単身赴任が多くって,今も帰りは遅いけどできるだ け子どもの様子は話すようにしている。例えば子どもに 皮向いて洗うこととかあなたから言ってよといってもま ったくいってる感じはないけど子どもは何でもない会話 しているときに話すかもしれない。会話は多いと思うよ。 できるだけ集まって話すようにしてる。(C) 9)【子どもが望む性教育実現への支援】  実際には行われている性教育を子どもは覚えていな い。このことは,子どもにとって『教育内容のつまら なさ』を意味しているとも読み取れる。子どもは学校 での性教育の内容が同じようなものばかりで興味や関 心をそそるものではなく実質的には何の役にも立たな い『実践的でない教育内容』と評価している。結局子 どもは現実に問題となる内容を,また役に立つことを 教育してほしいと望んでおり学校の考える内容と子ど もが欲している内容の間にギャップが生じ双方が乖離 している状態である。『子どもに継続的に関われる専 門家の介入』や『男女別の集団教育の希望』がある。 ・学校で,授業みたいにあんまりなかった。そんな話はし なかった。体の仕組みについて小学校も中学校もおんな じ様な内容ばっかだった。(a2) ・学校できいてない。何にも性について聞いてない。(d) ・5年とか6年に思春期とか習いました。6年生はなに習っ たか忘れた。(e) ・学校で,授業みたいにあんまりなかった。そんな話はし なかった。体の仕組みについて小学校も中学校もおんな じ様な内容ばっかだった。(少し考えて)親でも学校でも どっちでもいいよ(a1) ・性教育を先生からならうのは妙だった。普通の授業じゃ ないから,性は学校で受けるのは変。別のところがいい。

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(g) ・女ばっかりだったらいい。よくわからんけど男が入ると しかとしたくなる。(a2) ・学校は全員なので聞きやすい。親は1対1なので聞きや すい。(e) 10)【子どもの求める性問題へ介入する】  解決できない問題に対して子どもは『性の相談に対 する親介入の希望』をしている。同性がいいとかでは なく,子どもが危険になりそうなことは親として教 えておくべきだと子どもは考えている。子どもは親か ら,くどくど聞かれたり命令されることに嫌悪感を抱 き,『親の態度に対する子の拒否的態度』という形で反 応を示している。思春期という時期にあっても決して 親の介入を拒んでいない。また話す相手は,性差で親 の介入を決めるのではなく話しやすさで相手を選んで いる。結局自分のことを理解してくれている人であれ ばどちらでもいいと思っている。『必要に応じた親の 関わり方』では,子どもは性の問題を家庭で話すとき にいつも話をしている母親を選択するといっている。 ・別に親が性教育をしてもいいと思う。親がしてもいい。 やっぱ子どもだけでは危ないこともあるもんで,例えば いろいろな問題もあるし,テレビでエイズとかあるも んで,そういうことは子どもでは解決できんもんで……。 そういうのを知らせておくために親がやるのもいいかな。 (a1) ・女の子のことを聞かれるのは大丈夫。自分のことにいろ いろなことを言ってくれるのは普通に「彼女いる?」っ て聞くのはいいけど命令っぽくどうしろこうしろといわ れるのは嫌。自分が気に入っているのに否定されるのは 嫌。自分がわからないことを教えてくれるのはいい,悩 んでもいないのに色々言われるのは気にしてないのに勝 手に決めてくるのは,それがどんどんうれしくなって, くどくなって引きづられるのは困る。(b)  性の介入についても『性差ではなく話しやすさ』を 優先する考えをもっている。第二次性徴の生殖に直結 する話については親から聞くことに抵抗を示し,親や 体育の先生でもなく『性の内容に応じて相手を選択』 する傾向があり,性教育は専門家の介入を希望してい る。さらに親だといやらしい感じや身近で恥ずかしい という感情を抱いている。決して男の子は父親を,女 の子は母親を選ぶということではない。性教育は父親 の存在を位置づけていれば,決して同性の親でなけ ればならぬということではないことが示唆された。ま た一方で,『性の問題に対する親世代との相違』があり, 子どもは親や家族に性のことは知られたくないと考え ている。 ・親が聞いてくれば話すけど,聞いてくれんかったらどう してもの時しか言わない。何回も聞かれると嫌だけど, 何回も聞かないのも心配。たまにちょくちょく聞いてあ んまり深く聞かない。家の親はタイミングがすごくいい と思う。(a1) ・学校の話だったらいい。女ばっかりだったらいい。よく わからんけど気持ち的に男が入ると嫌,関わってほしく ないのは恥ずかしいのもあるかもしれないけどお父さん には知られたくない(a2) ・話しやすいのはお父さん。男同士のほうがわかりやすい (b) ・学校は全体だから聞きやすい。親は1対1だから聞きに くい。やっぱお父さんのほうが同じ男なのでそういう気 持ちをわかってくれるので聞きやすいと思います。(e) ・生理のことはお母さんには言われてもいいけど。あんま り家族には聞かれたくない。お姉ちゃんはいいけど男は 何でーとか聞いてくるから嫌だ。(a2) ・親から体のことは変な感じ。えっだって人の体のことは ……。(b) ・専門の人から話がして欲しい。……省略……親だといや らしい感じがする  専門家の人に女の子だけで小さいグループを作って話し て欲しい。男は別。(g) 11)【家庭環境を調整する】  『子どものことを理解してくれる家族』に性の話は しやすく,自分を理解し『子どもを抑圧しない両親の 対応』が話しやすいと子どもは評価している。家庭の 雰囲気に子どもの反応は影響し,『話しやすい家庭の 雰囲気』を必要としている。結局のところ子どもは, 思春期という難しい時期にあっても,その時期が親に 話せないのではなく,自分のことにいかに親が向き合 ってくれるかということが重要で,その向き合ってく れるほうに話すと選択している。 ・お母さんは,自分の性格とか理解してくれる。性の話と か友達に相談すると友達に印象とか変わったとか言われ るからお母さんのほうがいい。(a1) ・友達は恥ずかしいというけど,家はそういう雰囲気じゃ ないもん。うちは辞めろとか,いけないとかあんまりそ ういうこと言わんで。お母さんは自分の性格とか理解し てくれている。(a1)

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・お母さんに性の話はちょっと聞いて。いつかは,覚えて いない。だれでもいいけどお父さんは嫌。お母さんはす ぐ終わるでいい。お母さんのほうがいっぱい話をしてき た。お父さんは相談に乗ってくれんでお母さんがいい。 (d) 表2 家庭での性教育における親の果たすべき役割 カテゴリー サブカテゴリー 親が考える親の果たすべき役割   学校教育での性教育の内容を知る ・学校における性教育の不透明さ・性教育内容における学校と家庭間との連携不足 ・人格教育を含んだ教育内容   学校教育との連携をはかる ・学校教育体制への信頼 ・学校からの引継ぎとしての親の二次的介入 ・担当教員の専門学習の必要性 ・パイプ役としての専門家の介入   性の相談に対応し知恵を伝授する ・子どもとの真剣な向き合い ・恥ずかしさからの問題のごまかし ・子どもの危機的状況への介入 ・親が距離を保とうとする姿勢 ・性の重さが親の対応のバリケード ・性行動に必要な親から子への知恵の伝授 ・親̶子異性関係に関する性の自信喪失傾向 ・家族構成と親の対応の差違   正しい性知識を伝える ・実施に歯止めをかける性に対する恥ずかしさ・子どもの質問に答えられるだけの知識習得に対するニーズ   子どもの成長発達を受け止める ・子どもの性徴発達への親の関心・子どもの性の発達に対する肯定的受け止め ・子どもの性の発達に対する親の動揺   性情報の氾濫に対応する ・親の受けてきた性教育の伝承 ・インターネットの普及に伴う性知識の拡大 ・親世代と異なる子ども世代の友人関係の希薄さ ・反面教師として役割を持つ親の存在   夫婦の関係を円満にする ・父̶母との夫婦の関係性と子どもへの性教育・夫婦の関係性と父親の存在意識   親子の関係性を調整する ・性差ではなく向き合ってくれる親を選択 ・親̶子関係でも考え方の不一致による会話不足 ・親子の相互関係の不一致 ・子どもの性の問題の拡大と理解できていない親 子が考える親の果たすべき役割   子どもが望む性教育実現への支援 ・教育内容のつまらなさ ・実践的でない教育内容 ・子どもに継続的に関われる専門家の介入 ・男女別の集団教育の希望   子どもの求める性問題へ介入する ・性の相談に対する親介入の希望 ・親の態度に対する子の拒否的態度 ・必要に応じた親の関わり方 ・性差ではなく話しやすさ ・性の内容に応じて相手を選択 ・性の問題に対する親世代との相違   家庭環境を調整する ・子どものことを理解してくれる家族・子どもを抑圧しない両親の対応 ・話しやすい家庭の雰囲気

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Ⅳ.考   察

 本研究では,家庭での性教育における親の果たすべ き役割について分析した。その結果11のカテゴリー が抽出された。家庭で性教育を実施していくために, 親が考える親の果たすべき役割と子どもが考える親の 果たすべき役割について考察を述べたい。 1.親が考える親の果たすべき役割  【学校教育での性教育の内容を知る】【学校教育との 連携をはかる】について,親は学校側から情報が得ら れていないという事実が確認された。学校側と家庭と の間に性教育の内容がうまく浸透せず両者間での連携 不足が浮き彫りとなっている。その理由として性教育 全般における内容をオープン化しない日本の体制や性 を秘め事と考える教員が未だ多く70%が苦手意識を 持っており,学校内でも養護教諭と担任の考え方の相 違や校長の教育方針でも異なり,連携不足が生じやす い(鈴木,2005;Kondo・多田・濱,2001)。  さらに親は,マニュアルどおりではなく,性徴を肯 定化し人格形成を豊かにできるような内容を望んでい ることが示唆された。思春期の子どもをもつ親の中に は学校任せにする親も存在することは確かなことであ る。しかし,幼少期から性についてかかわりを避けて きた親にとって,思春期で子どもの性に触れようとし ても無理が生じ,子どもに向き合い教育する煩わしさ から逃れようとする親の心理が理解でき,内田(2001) の内容と一致する。これまでの研究では,親は性教育 を避ける傾向にあると報告(山地,2002)されてきたが, 親は性についての情報が欲しいと希望し,教育内容を 知りたいと考えていることが確認された。これは,今 まではみえてない部分であり,今後更なる研究が必要 である。  親は,性教育を学校だけではなく親が実施する必要 があると理解しているが,自分が中心になって行うと いう形式ではなく,学校側が行った後での二次的介入 を希望している。瀬戸(2001)は「学校が性教育を総論 として担当し,家庭は個別の各論を担当する」ことを 薦めている。子どもの体を理解している身近な親が, 【性の相談に対応し知恵を伝授する】ことは親の果た すべき役割ですぐに実践できる内容であると考えられ る。さらに,親は常に子どもの性に向き合わなければ ならないと考え,性教育を学校に丸投げしようとはし ていない。子どもの成長発達と共に性の内容は困難と なるが,子どもは苦悩しても親には相談しないことを 親は理解し,子どもの関わり方に苦慮し方法が見出せ ず,子どもの行動察知程度で,あえて口出ししていな い。  さらに親は,ナプキンの当て方やおりものの対処方 法など子どもの個別相談に対応していることが示され た。親は,知識だけではない経験の中での知恵や細か い実践の部分での対応に【子どもの性徴発達を受け止 める】【正しい性知識を伝える】などの親の果たすべき 役割が関連していると考えられた。  異性の子どもとのかかわりは難しいと考える親は, 特に男の子をもつ母親に多いことが明確となった。母 親は男の子の二次性徴について,これまで学ぶ機会が なく,知識不足から男の子の性には自信喪失している 傾向がある。性の対応についてどのような対処方法を とればいいのか,子どもの質問に対応したいが,恥ず かしさから説明の仕方や対応方法がわからないでいる。 親のはずかしいという気持ちが実施に歯止めをかけて いる状況が確認された。親子関係においても合う,合 わない関係があり,特に少数ではあるが父親と男の子 の場合にその傾向が強くなると考えられる。父親が男 としての考え方を強調し,わが子が即さない場合,父 親と子どもの関係は難しいことが考えられる。その困 難を緩和しようと母親が間に入って苦労しているケー スもある。その場合,男の子は母親とコミュニケーシ ョンをとることが多い。【親子の関係性を調整する】こ とは家庭での性教育における親の果たすべき役割の中 で重要である。  また親は子どもの質問に答える知識を持ちたいと考 えており,子どもの発達や成長にあわせた対応方法や 説明方法について実践されているならば,親の戸惑い も少しは解消されると推察される。今後更なる性の教 育プログラムを親に提供していくことが必要であると 考える。特に男性と女性の性に対する対応や身近な質 問に答えるぐらいの知識や【性情報の氾濫に対応する】 方法をわかりやすく親が子どもに伝授できることが望 ましいと考えられる。  さらに,子どもが必要としているのは知識ではなく 困ったときのアドバイス程度であると親は認識してお り,そばにいて危険の察知ができ,そのときにかかわ る程度でいいと親は考えている。しかしながら父親は, 自分と子どもを同一視し,いずれ友人や雑誌などから 情報を得るだろうと考えており,自分の経験から子ど もの性については,特に教えなくてもいいとしている

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傾向が強い。しかし,子どもの友人関係は,親世代と は異なり希薄であり(松田,2005)インターネットなど の普及により,雑誌の中での創造性だけでなく,生々 しい性情報が目の前に現れ,それを選別する力のな い子どもは混乱し,悩みと発展しやすい(渋井,2005)。 そのため親の性知識がそのまま子どもに通用するとは 考え難くまたギャップが起こりやすいと考えられる。  今回の研究参加者からも明らかなように,母親が親 の中心的役割を担っている。父親の参加が稀であった としても,父親の存在と役割は家庭での性教育に非常 に重要であると考えられる。家庭での性教育では【夫 婦関係を円満にする】ことや夫婦関係の良否,バラン スが子どもに大きく影響すると考えられた。 2.子どもが考える親の果たすべき役割  子どもに性教育の内容を確認したが,習っていない という返答が多く,その理由として羞恥心も推察され る。「小学校・中学校とも体の仕組みばかりで,何も 役に立たなかった」という子どもの発言からも,興味 や関心が薄く覚えていないという印象を受けた。子ど もにとっては,興味や関心をそそる内容でなく,自分 の成長発達に即していない時期に聞けば,自分には関 係ないものとしてとらえてしまうことが危惧された。  宮崎(2004)の研究によると従来の性教育指導を有 効とする評価が多いとされている。さらに,今回研究 参加者となったM市は,小学校・中学校の教員が積 極的に性教育推進委員会を作り,マニュアルを作成, 各学年で取り組めるように性教育を発達段階ごとに準 備している学校である。学校教育の時間数不足や性教 育を実践する立場の教員の考え方により,一致団結し たカリキュラムにはいたっておらず,マニュアルの中 からの抜き出し程度の内容になっていることが推察さ れ,【子どもが望む性教育実現への支援】を親と学校が 連携し促す必要があることが示唆された。  また,子どもは同性の親のほうが話をしやすいと考 え,瀬戸(2001)の研究でも父のほうが性について一 歩引いているとの結果を示していた。しかし親子関係 では,性差ではなく向き合ってくれるほうと話をして いることが確認された。  結局子どもは,自分を理解してくれることや親から の抑圧がないことが前提であれば,【子どもの求める 性問題へ介入する】ことを受け止めている。さらに家 庭が話せる雰囲気(宮崎,2004)かどうかも条件の一つ であると考えており,【家庭環境を調整する】ことは重 要である。複合家族の場合,世代間の異なる第1世代 と第2世代の性に関する価値観の一致や夫婦の間での 性に対する価値観の一致なども家庭の雰囲気に影響す ると考えられる。  家庭での性教育における親の果たすべき役割は,家 庭環境を調整し夫婦関係を円満にし,父親母親それぞ れが子どもの性に向き合い,知識だけではなく経験の 中での知恵や細かい実践部分での対応に親の果たすべ き役割が関連していた。今後も子どもを受容できるよ うに支援していくことが求められると考える。

Ⅴ.研究の限界と今後の課題

 本研究では,家庭での性教育における親の果たすべ き役割を明らかにしたが,研究参加者が母親に限られ ており,親の果たすべき役割というには,父親が含 まれていない。また,中学生の子どもを持つ親10名, 子11名から得られた結果であり,一般化には限界が ある。今後の課題として,さらに父親・母親のデータ を積み重ねて研究を継続し,より確実性の高い研究成 果を提示していきたい。

Ⅵ.結   論

1 .親が考える家庭での性教育における親の果たす べき役割は,【学校教育での性教育の内容を知る】 【学校教育との連携をはかる】【性の相談に対応し知 恵を伝授する】【正しい性知識を伝える】【子どもの 成長発達を受け止める】【親子の関係性を調整する】 【性情報の氾濫に対応する】【夫婦の関係を円満にす る】の8カテゴリーが明確となった。 2 .子が考える親の果たすべき役割は,【子どもが望 む性教育実現への支援】【子どもの求める性問題へ 介入する】【家庭環境を調整する】の3カテゴリーが 明確となった。家庭での性教育における親の果たす べき役割は,知識だけではなく経験の中での知恵や 細かい実践部分での対応に関連していた。子どもと 親との関係において,どれくらい親が子どもに向き 合い子どもにとって話しやすい相手であることかが 重要であるとの示唆を得た。 謝 辞  本研究の調査に快く御協力いただきましたM市中 学校の校長,養護教諭をはじめ,多くの親子の皆様に

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心よりお礼申し上げます。  尚,本研究は,名古屋市立大学大学院看護学研究科 に提出した修士論文の一部に加筆修正したものである。 また内容の一部は,第22回日本助産学会学術集会で 発表した。 引用文献

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参照

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