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平成11年8月27日

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1 平成 23 年度社会教育主事講習B 平成 24 年 1 月 27 日(金) 於:社会教育実践研究センター

社会教育の広報・広聴

-社会教育における魅力ある広報とは-

国立教育政策研究所 生涯学習政策研究部 総括研究官 立田慶裕 Email [email protected] Ⅰ 広報・広聴活動とは Ⅱ プレゼンテーションの方法 Ⅲ 図表の活用 -グラフィック・ファシリテーション Ⅳ 日常的な広報・広聴活動-信頼できる社会関係を作る-

Ⅰ 広報・広聴活動とは

1.広報活動の意義 (1)広報活動と広聴活動 広報:「情報を広めること」 広聴:「広く聴くこと」、「情報を広く集めること」 広報 publication、public information、public relations 広聴 public hearing、public hearing office、

「公聴会」、「お達し」、「布告」、「新聞・テレビ発表」 人(話言葉) 講師、経験者、仲間、タレント、専門家、職員 活字(書き言葉) 広報、冊子、新聞、雑誌、本 音・オーディオ ラジオ、テープ、CD・レコード、電話 イベント 運動会、祭り、音楽祭、展覧会、コンテスト 画像(静) 図、表、写真、絵画、ポスター 画像(動画、音) テレビ、ビデオ、映画 マルチ・メディア ホームページ、インターネットテレビ等 博物 生活用品、道具、産物、機械、動植物 自然 風景、自然、都市、建物 表1 広報のメディア

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2 (2)広報活動の社会的意義 ①生涯学習活動の支援 第五回国際成人教育会議(ハンブルク宣言、1997)より 「すべての文化的な制度やマスメディア、新情報テクノロジーへの参加を通じて行われ る成人学習は、成人学習者に重要な機会を提供する。その目的は、効果的な相互コミュニ ケーションを行うことで、人々と文化の間の理解と協力関係を作るためである。それぞれ の個人にとって、自分たちの文化と地域は、対話と信頼構築の基礎であり、関連づけられ 継続できる学習と訓練の基盤なのである。すべての文化や社会集団が、コミュニケーショ ンの手段に参加し、近づける努力が必要である。それによってすべての人々が、単に他の 文化のメッセージを受け取るだけでなく、特別なものの考え方、文化的な作品や生活の仕 方を分かち合える。」 ②学習者の広報(広聴)活動の支援 学習者のメディア・リテラシーの習得 メディア・リテラシー(カナダのオンタリオ州) 「メディア・リテラシーとは、メディアがどのように機能し、どのようにして意味を作り だし、どのように組織されており、どのようにして現実を構成するのかについて、子どもた ちの理解と学習の楽しみを育成する目的で行う教育である。メディア・リテラシーはまた、 子どもがメディア作品を作りだす能力の育成をも目指している。」(オンタリオ州教育省編 『メディア・リテラシー』鈴木みどり他訳、リベルタ出版,1992) 受け手として、使い手としての、そして作り手としてメディア・リテラシー (3)生涯学習指導者にとっての意義 ①情報活用能力の育成 ②学習活動としての広報(広聴)の支援 (4)生涯学習振興行政にとっての意義 ①市民の意見反映 ②行政への理解と市民参加 2.広報(広聴)の役割 (1)生涯学習の情報提供(広報) 情報の内容(行政情報, 人事情報, 講師情報, 施設情報 行事情報, 年間計画情報,, ) (2)生涯学習政策や学習活動の情報収集と整理(広聴) ・定期的な社会調査、学習相談などによる意見収集 ・日常の住民や学習者との対話 ・担当ポスト以外の他の役職にある職員との交流 ・地域が抱える課題への日常的な関心 ・継続的な資料収集 ・情報の人脈と収集の方法の開発 (3)メディア・リテラシーの育成(広報への住民参画) 広報誌制作に必要な力 a.企画・取材の過程:情報収集の力と正確な調査の力 b.執筆・編集の過程:整理力、構成力と優れた表現力 c.割付・印刷の過程:デザインのセンス d.配布・宣伝の過程:人間関係の力と、広報誌の活用力

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3 広報誌の制作過程で育つメディア・リテラシー a「経験の拡大」 b「想像力の拡大」 c「創造力の拡大」 d「価値観や態度の変化」 e「社会関係の拡大」(参加する力、民主的な力) メディアに対する学習者の受動的な学習から、メッセージを批判的に理解し、創造的 な自己表現、情報の発信者としての学習へ  人間の能力拡張手段(augmentation)としてのメディア 3.広報(広聴)活動の企画と実際 A.広報誌メディアの制作 (1)生涯学習事業と広報(広聴)活動 ①事業の企画段階での広報 ②事業の展開段階での広報 ③事業の評価段階での広報 (2)広報誌の制作 ①企画:読者のニーズを把握する ②取材:情報収集、裏付け ③執筆:事実を整理し、文章にする ④編集と割付:構成とレイアウトを決める ⑥印刷と配布:装幀を施し、完成後宣伝活動に入る ①企画 :紙面構成:長期企画、特集企画や報道企画 編集方針:わかりやすさ(焦点化)や美しさ(感性化)、 ウィット(知性化)、ユーモア(楽しさ)などの雑誌の特徴やテーマ ②取材: 情報収集の基準 (自分にとって、地域にとって面白いもの、役立つもの) 新奇性(新しさ、変わり種、意外性)、 人間性(生老病死の問題、喜怒哀楽や教養と娯楽)、 普遍性(著名性、大衆性)、 社会性(時代や国家を越えてどこにでもあるようなもの)、 影響性(発展性)、 記録性(歴史、人間史、地域史、事柄史)、 地域性(近接性、生活感、共同意識、ふるさと意識)、 国際性(地域と全国、日本と世界) 記事の内容によって異なった編集、優先順序 ③執筆上の注意点 誰に向かって書くか(誰が、誰に向かって書くか)、 どんな形で書くか(手紙風、日記風、エッセイ、レポート、メモ)、 どんな立場で何に焦点を当てて書くか(誰が、どの立場から何を見るか)、 正しい語義と意味が使われているか(正しい用語・定義・説明、漢字、カタカ ナ、方言、略称、わかりやすい用語への翻訳)、

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4 ④編集と割付 内容の構成  空間的順序(上~下、左~右、遠く-近く、内-外)、  時間的順序(手順、経過)、  優先的順序(結論から理由づけ、結果と経過)、  物語的順序(起承転結、三分法:はじめ・なか・おわり、 五分法:序・陳述・証・反論・結論) ⑤印刷と配布 宣伝活動。 読んだ人々からの意見の反映と企画への活用 B.ホームページ(ブログ)の制作 (1)ホット情報:最新情報、ニュース、統計 (2)固定情報:地域情報、組織情報、施設情報、サービス情報 (3)検索サービス:情報から検索 (4)ジャンル別検索: (5)スタッフ情報:関係者のプロフィールと個人ページ (6)リンクページ:お役立ちリンク (7)文献紹介:お役立ち本、ビデオ、映画 (8)イベント紹介 (9)親ホームページへ C. ソーシャル・メディアの活用-現実の人間関係を作る- Social Network Service SNS の発展

Twitter ツィッター 2006〜 140 文字のつぶやきを送信するサービス 「今何してる」への回答を発信者が答え続ける Facebook フェイスブック 世界中に8 億人以上の利用者を持つ最大の SNS 2004〜 学生交流用のサービスから開始。 顔写真まで使うなど個人情報が中心なので、情報管理が厳しい。 MiXi ミクシィ 日本が中心の SNS 2004〜 当初は、完全招待制

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Ⅱ プレゼンテーションの方法

1.プレゼンテーションとは 「プレゼンテーションの定義とは,あなたが誰かを説得し,その人があなたの考え に同意し,決断して,実行に移すようにしむけること。」(ボイラン,16 頁) ○目的 情報を与えるだけでなく,人の意思決定に役立ったり,態度を変化させる方法 ①正確な情報、②時間の節約,業務の効率化。③創造的開発、④共通の理解 ○効果 「①よいプレゼンテーターになれば,あなたの考えていることは明確になり,簡潔になる。 ②よいプレゼンテーターになれば,あなたはいつも平静心を保つことができる。 ③よいプレゼンテーターになれば,あなたは今よりもっと高い権威が生じる。 ④よいプレゼンテーターになれば,あなたの提案によってもっと大きな行動を起こすことが できる。」(同,18~19 頁) 「効果的なプレゼンテーション」『学びのスタイル―生涯学習入門』所収、立田慶裕 ① 論理 (明確なテーマ) L ogic ② イメージ (わかりやすい話) I mage ③ 事実 (正確な事実と経験) F act ④ 効用 (社会的効果) E ffect 2. プレゼンテーションのコツ つかみ-なかみ-まとめ (1) 話し方の基本 (2) 話の態度 (3) 会場 (4) 説明の道具 (5) いつも準備を 3. わかりやすい表現 (1) おもてなしの心をもつ (2) わかりやすい言葉を使う (3) 全体と現在地を明確に (4) 欲張るな (5) 具体的な情報を示す (6) みやすさと自然さに配慮 4. プレゼンテーションに挑戦 一方的な「説得」から「効果的なコミュニケーション」へ

効果的コミュニケーションを図ること

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Ⅲ 図表の活用

-グラフィック・ファシリテーション 1.基本の図形 ○ △ □ 2.情報の整理と表現の工夫 1) ポスター表現 (絵) 2) リスト表現 (一覧表) 3) グリッド表現 (格子) 4) フレーム表現 (枠) 3.プロセスに応じたフレーム活用 4.イメージの分類(概念関係、要素や構造、階層、流れやプロセス) 5.多様なグラフィックの収集を

Ⅳ 日常的な広報・広聴活動

-信頼できる社会関係を作る- 1.おとなの生きる力 (1)生涯学習の4つの柱 (『学習:秘められた宝』(ユネスコ 21 世紀国際教育委員会ぎょうせい,1997) 知ることを学ぶ 実践することを学ぶ 共に生きることを学ぶ (自分を知ること、人を知ること) 人間として生きることを学ぶ (2)「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」 (平成 20 年 2 月 中央教育審議会答申) 社会の変化や要請に対応するために必要な力 ○次代を担う子どもたちに必要な「生きる力」 子どもたちに必要とされる「生きる力」は学校教育のみならず、実社会における 多様な体験等と相まって伸長していくもの。子どもたちが学校の内外で、その発達段 階に応じて「生きる力」を育むことができるような環境づくりが求められている。 ○成人に必要な変化の激しい時代を生き抜くために必要な力 成人についても、変化の激しい社会を、自立した一人の人間として力強く生きて いくための総合的な力を身に付けることができるよう、生涯にわたって学習を継続で き、その成果を適切に生かせる環境づくりが求められている。 国民一人一人がこのような社会を生き抜いていくための総合的な力を身に付けることを 支援する (OECD は「単なる知識や技能だけではなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会 的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な課題に対応することができる力」 を「主要能力(キー・コンピテンシー)」として定義) 2.キー・コンピテンシー

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コンピテンスとは、「環境との相互作用に対応する力」(ホワイト)

キー・コンピテンシーとは、

「特定の問題状況に対応するため、知識や技能、態度を含む多様な資源を活用し、 動員して、複雑な需要やニーズに応える力」(DESECO)

OECD の DESECO プロジェクト(コンピテンシーの定義と選択、Definition and Selection of Competencies)で定義

次の3つのカテゴリー 1)道具を相互作用的に用いる力 → 道具活用力 A 言語、記号、テクストを相互作用的に用いる力 B 知識や情報を相互作用的に用いる力 C 技術を相互作用的に用いる力 2)自律的に活動する力 → 自己啓発力 A 大きな展望の中で活動する力 B 人生計画や個人的活動を設計し実行する力 C 自らの権利、利害、限界やニーズを表明する力 3)異質な集団で交流する力 → 人間関係力 A 他者と良好な関係を作る力 B 協力する力 C 争いを処理し、解決する力 3つの中心に、 反省性の概念(reflectiveness:個人による人生への思慮深いアプロー チ) 「考える力」がある。 1)道具活用力 A 言語、記号、テクストを相互作用的に用いる力→言語活動の充実 B 知識や情報を相互作用的に用いる力 → 科学的思考 C 技術を相互作用的に用いる力 → テクノロジー 2)自己啓発力 A 大きな展望の中で活動する力 → ビジョン B 人生計画や個人的活動を設計し実行する力 → ストーリー C 自らの権利、利害、限界やニーズを表明する力 → プレゼンテーション

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8 3.人間関係の力 A 他者と良好な関係を作る力 → ネットワークの形成 B 協力する力 → チームワーク C 争いを処理し、解決する力 → 問題解決力 (1)関係を作る(ネットワーク) ①自己紹介 ②名前を知ること ③接点や共有点を作る (2)共に働く(チームワーク) ①パートナーシップの形成 上下関係?(行政内部) 対等な関係?(民間との関係) ②信頼関係を築く ☆信頼関係の3つの要素 1)約束を守る 2)人の役に立つ 3)共有するものを持つ ③対話に学ぶ → ☆質問力を高める 学習における形成的アセスメント

(3)問題解決の力 (PDCA サイクル、Plan Do See) ①問題の定義(分析と発想) ②目標の設定 ③行動計画 ④実行と反省 ☆質問力を高める ●オープンな質問とクローズドな質問 質問の分類例

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◎キー・コンピテンシーの意義

●すべての人の能力向上 ●人を比較して競争的な状況におくのでなく,共に生きることを学ぶ ●無能感ではなく有能感(自己効用感)をもたらす ●学習者の自信や自尊心の向上 キー・コンピテンシーの向上 → 人間関係力の向上 → 広報の基礎(地域における人間関係の形成) 参考文献 1)OECD『教育のトレンド』立田慶裕監訳、明石書店、2009 2)山本慶裕編『メディアと生涯学習』、玉川大学出版部、2000 3)山本慶裕「効果的なプレゼンテーション」『学びのスタイル―生涯学習入門』 所収、玉川大学出版部、1996 4)ライチェン他『キー・コンピテンシー』立田慶裕監訳、明石書店、2006 5)立田慶裕他著『生涯学習の理論− 新たなパースペクティブ』福村出版、2011 6)朝日新聞整理部『あなたも編集者―広報・社内報・機関誌・会報の作り方(第 二版)』、1989 7)ボブ・ボイラン(今井茂雄訳)『プレゼンテーション成功の秘訣』TBSブ リタニカ、1993 8)藤沢晃治 『「分かりやすい表現」の技術-意図を正しく伝えるための16 のルール』講談社,1999 9)堀公俊・加藤彰著『ファシリテーション・グラフィック』日本経済新聞社 10)ミリー・ソネマン『説明上手になれるらくがきの技術』PHP 11)OECD『世界の生涯学習』立田慶裕監訳、明石書店、2010 12)R・E.ホワイト『質問力ノート』戸田ちえ子訳、ディスカヴァー・トゥエン ティワン、2004

13) D リーズ、『その気にさせる質問力トレーニング―The 7 powers of Questions』 桜田直美訳、ディスカバー、2003

14)マーク・ジョンソン『心のなかの身体―想像力へのパラダイム転換』、菅野・ 中村訳、紀伊国屋書店、1991

参照

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