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環境感染誌 Vol.30no.1,2015 置期間, 合併症, 起因菌, 抗菌薬投与期間,ICU 入室の有無, 菌血症発症 30 日後の転帰について検討した. 本研究では,PLABSI の診断基準を下記 もしくは の条件を満たすものと定義した. 血液培養が陽性となり, カテーテルの先端培養で血液培養

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1)東京医科大学病院感染制御部・感染症科,2)東京医科大学微 生物学講座

〈原 著〉

末梢静脈カテーテルによる血流感染症の現状

佐藤 昭裕1,2)・中村 1)・福島 慎二1)・水野 泰孝1)・松本 哲哉2)

Peripheral Line-associated Blood Stream Infection

Akihiro SATO1,2), Itaru NAKAMURA1), Shinji FUKUSHIMA1), Yasutaka MIZUNO1)and Tetsuya MATSUMOTO2)

1)Department of Infection Control & Prevention, Department of Infectious Diseases, Tokyo Medical University Hospital, 2)Department of Microbiology, Tokyo Medical University

(2014 年 7 月 16 日 受付・2014 年 11 月 21 日 受理)

要 旨

当院で 2010 年から 2014 年の間に血液培養が陽性となり,末梢静脈カテーテル関連血流感染症 (peripheral line-associated blood stream infection: PLABSI)と診断された 38 例について臨床的検 討を行った.PLABSI と診断されるまでの入院日数は,中央値 17 日(3~86 日),菌血症となるま でのカテーテル留置期間は,中央値が 5 日(2~15 日)だった.PLABSI もしくはその合併症に対し て抗菌薬が投与された期間は 7~100 日と幅広く,中央値は 18 日間であり,骨髄炎等の合併があ ると長期投与となっていた.起因菌はグラム陽性球菌が 23 例(60.5),グラム陰性桿菌は 20 例 (52.6),Candida 属は 5 例(13.2)でみられ,複数菌検出例が 10 例でみられた.カテーテルの 先端培養は,感染症医が診察に行ったときにはすでに抜去されていることが多かったが,7 例でカ テーテル先端培養が陽性となった.合併症としては化膿性血栓性静脈炎が 8 例(21.1),蜂窩織炎 が 3 例(7.9),椎体炎が 2 例(5.3)でみられた.菌血症判明から 30 日以内に死亡した症例が 4 例みられた.末梢静脈留置カテーテルは多くの患者に挿入される医療器具であるが,PLABSI の 存在は,十分に認識されていない可能性が示唆された.また,重大な合併症を伴う症例が存在する ことも確認された.観察を十分に行い,顕在化されていない PLABSI を未然に防ぐ対策を今後検 討すべきである. Key wordsカテーテル由来血流感染症,カテーテル関連血流感染症,院内感染,敗血症 序 文 カテーテル由来血流感染症(catheter-related blood stream infection: CRBSI)およびカテーテル関連血流感 染症は入院患者における血流感染症において最大の医療 関連感染症の要因である.中心静脈カテーテル関連血流 感染症(central line-associated blood stream infection: CLABSI)については,様々なサーベイランスや研究が なされている13).しかし末梢静脈カテーテル関連血流

感染症(peripheral line-associated blood stream infec-tion: PLABSI)に関する臨床的データ・疫学は不足して いる4,5).日常診療の中では時々遭遇し,合併症により 重症化する症例も経験する.これまで本邦ではカテーテ ル刺入部の観察による PLABSI の検討はあるものの3) 菌血症にまで至った症例をまとめた報告はない.当院で は血液培養陽性例は全例,感染制御部・感染症科が介入 を行い,診察,診断,抗菌薬選択,経過観察を行ってい る.そこで,今回我々は菌血症にまで至った PLABSI の臨床的特徴を中心に検討を行ったので報告する. 対象と方法 2010年 6 月~2014 年 1 月に東京医科大学病院(特定 機能病院,1015 床以下,当院)において,血液培養が 陽性となった患者のうち,PLABSI と診断された 38 例 を 対 象 と し た . 診 療 録 を 用 い て retrospective に 診 療 科,基礎疾患,末梢静脈留置カテーテルの挿入部位・留

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表 症例概要 症例数() Range 男/女 (.)/(.) 年齢,中央値(歳)   入院から血液培養陽性までの 期間,中央値(日)   カテーテル挿入部位 上腕 (.) 下肢 ( .) 記載なし (.) 部署 外科 (.) 内科 (.) 産婦人科 ( .) 小児科 ( .) カテーテル挿入から菌血症に 至った期間,中央値(日)   日 (.) 日 (.) 日 (.) 基礎疾患 悪性腫瘍 (.) 高血圧 (.) 脳梗塞 (.) 糖尿病 ( .) 抗菌薬投与期間,中央値(日)   表 血液培養及びカテーテル先端培養の検出菌と割合 起因菌 血液培養 カテーテル先端 症例数  症例数 グラム陽性球菌  .  S. aureus  .  CNS  .  Bacillusspp.  .  Enterococcusspp.  . ― グラム陰性桿菌  .  Enterobacterspp.  .  Klebsiellaspp.  . ― Pseudomonasspp.  .  Acinetobacterspp.  .  E. coli  . ― Serratiaspp.  . ― Candidaspp.  .  複数菌検出例  . 

S. aureus:Staphylococcus aureus, CNS: coagulase-negative

Staphylococcus,E. coli:Eschericia coli. 置期間,合併症,起因菌,抗菌薬投与期間,ICU 入室 の有無,菌血症発症 30 日後の転帰について検討した. 本研究では,PLABSI の診断基準を下記もしくは の条件を満たすものと定義した.血液培養が陽性と なり,カテーテルの先端培養で血液培養と同様の菌が検 出され,かつ他の感染症が否定的.血液培養が陽 性,かつ,◯その他の感染症が否定的,◯末梢静脈カ テーテルが留置されている,もしくはされていた部位に 発赤・腫脹・疼痛・膿性分泌物の存在がみられたもの. 自動血液培養装置は BACTEC 9240(日本ベクトン・デ ィッキンソン社),培養ボトルは BACTEC(日本ベクト ン・ディッキンソン社),菌株の同定には MicroScan WalkAway 96(Siemens 社)を使用した.カテーテル先 端培養は半定量(roll-plate 法)培養を行った. 結 果 表に PLABSI と診断した 38 例の臨床的特徴をまと めた.38 例中,男性が 26 例,女性が 12 例であり,男 女比はほぼ 21 であった.当院入院時の年齢は中央値 69 歳(1~92 歳)であった.PLABSI と診断されるまで の入院日数は,中央値 17 日(3~86 日)だった.カテー テルの挿入部位は,上肢が 27 例と最も多く,下肢が 2 例,記載がないものが 9 例みられた.カテーテル留置 期間は,中央値が 5 日(2~15 日)だったが,留置した日 の記載がないものが 23 例みられた.記載があった症例 15 例のうち,72 時間以内の発症が 2 例,72 時間を超 えての発症が 13 例(86.7)であった.基礎疾患として は,悪性腫瘍が 21 例,高血圧症が 6 例,脳梗塞が 4 例,糖尿病が 3 例であった(重複あり).PLABSI 診断 後の抗菌薬投与期間は,中央値 18 日間(7~100 日間)だ った. 血液培養での検出菌を表に示す.複数菌検出例が 10 例でみられた.グラム陽性球菌が 23 例(60.5)で, その内 methicillin-sensitive Staphylococcus aureus が 5 例 (13.2),methicillin-resistant Staphylococcus aureus が 1 例(2.6),coagulase-negative Staphylococcus (CNS) が 12 例 ( 31.6  ) , Bacillus 属 が 4 例 ( 10.5  ) , En-terococcus属が 1 例(2.6)だった.グラム陰性桿菌は 20 例 ( 52.6  ) を 占 め , そ の 内 Enterobacter 属 が 5 例 ( 13.2  ) , Klebsiella 属 と Pseudomonas 属 が 4 例 (10.5),Acinetobacter 属が 3 例(7.9),Escherichia coliと Serratia 属が 2 例(5.3)みられた.Candida 属は 5 例(13.2)でみられた.カテーテルの先端培養は,感 染症医が診察に行ったときにはすでに抜去されているこ とが多かったが,7 例でカテーテル先端培養が陽性とな っており,表に示した. PLABSI に続発した合併症としては,化膿性血栓性 静脈炎が 8 例(21.1),蜂窩織炎が 3 例(7.9),椎体 炎が 2 例(5.3)でみられた.その他の 25 例(65.8)で は静脈炎の所見はみられたものの,血管エコーを施行さ れていない症例や,カテーテル挿入部局所の発赤・腫脹 等の所見のみだったものが含まれている.5 例(13.2) で PLABSI が原因と考えられるバイタル変化,臓器不

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表 血液培養陽性から日以内に死亡した例のまとめ 症例 (歳)年齢/ 性別 基礎疾患 菌血症に至る までの入院期間 (日) カテーテル留置から 菌血症に至った期間 (日) 合併症 起因菌  /男 慢性腎不全,白血病  不明 なし CNS  /男 慢性心不全   蜂窩織炎 S. aureus  /男 白血病   蜂窩織炎 CNS  /男 膵頭部良性腫瘍   化膿性血栓性静脈炎 K. oxytoca

S. aureus:Staphylococcus aureus, CNS: coagulase-negativeStaphylococcus,K. oxytoca:Klebsiella oxytoca.

全の合併や進行により ICU へ入室している.表に血 液 培 養 陽 性 と な っ て か ら 30 日 以 内 に 死 亡 し た 4 例 (10.5)をまとめた.4 例中 3 例は原疾患のコントロー ルが不良であったが,1 例は PLABSI が死因に影響を 与えた可能性が示唆された. 考 察 院 内 で 発 症 す る 感 染 症 の 感 染 部 位 と し て , 尿 路 が 34,手術部位が 17,血流が 14,呼吸器が 13 と報告されている6).血流感染症の中で血管内留置カ テーテルは最大の要因となっており,様々なサーベイラ ンスや研究の対象となっている.しかしそのほとんどが CLABSI であり,PLABSI に関する臨床・疫学情報は 十分とは言えない.PLABSI の 1000 catheter-days は 0.5 で,CLABSI のそれは 2.7 であり,CLABSI に比較 し PLABSI の頻度は低いと報告されているが,末梢静 脈カテーテルは入院患者の 30~80で挿入されている とされ,全累積挿入期間は中心静脈カテーテルの 15 倍 にものぼる7).また,感染頻度は低くても,母数が大き いことから発症件数としては決して少なくない. 日常診療の中で PLABSI は少なからず経験し,今回 の研究で,重症化し,ICU へ入室となってしまうケー スがあることも確認された.CLABSI だけではなく, PLABSI も重要な医療関連感染症として認識すべきと 考えらえた.

2009年に米国感染症学会(Infectious Disease Society of America: IDSA)から CRBSI の診断と管理に関する ガイドラインが出されている8).これによれば,CRBSI を疑った際,原因となる血管内留置カテーテルは抜去が 原則であり,その抜去したカテーテル先端の roll-plate 法による培養と,末梢血管から採取した血液培養で同一 の菌が検出されることが,最も推奨度の高い CRBSI の 診断基準となっている.しかし PLABSI を臨床的に疑 ったときには,すでにカテーテルは抜去されていること が多く,この診断基準を当てはめるのは困難である.本 研究でもカテーテルの培養が提出されていたのは 7 例 (18.4)のみであり,PLABSI 自体を認識していない臨 床医が少なからずいるとも推測された.また,カテーテ ルを介した血液検体と,末梢から採取した 2 つの血液 検体が陽性になるまでの時間差も診断に用いることがで き る が , PLABSI に は 適 応 が 困 難 で あ る . さ ら に CRBSI ではカテーテル刺入部の発赤,圧痛,膿性分泌 物の存在は 3程度しか見られないという報告もあるこ とから810),明らかな感染部位が不明である場合には, カテーテル刺入部を確認するだけでなく,血液培養と, 抜 去 し た カ テ ー テ ル の 先 端 培 養 を 行 い , 積 極 的 に PLABSI の存在を疑うことが重要である.日本環境感 染学会 JHAIS(Japanese Healthcare Associated Infec-tion Surveillance)委員会の医療器具関連感染サーベイラ ンス部門や厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業 (Japan Nosocomial Infections Surveillance)の ICU 部門 におけるカテーテル関連血流感染症の判定基準でも,血 液培養陽性に加え,検出された微生物がカテーテル以外 の感染巣と関連がないことを挙げている11,12).このよう に,PLABSI の診断をつけることは,CLABSI に比べ 困難であるため,まずは PLABSI の存在を認識し,カ テーテル以外に他の感染巣がないかを十分に評価するこ とが臨床医には求められる. こ れ ま で の 報 告 で は 男 女 比 は ほ ぼ 1  1 で あ る が13,14),本検討では 21 と男性に多くみられた.理由 については本検討では不明であった.初診時の年齢は 1 歳~92 歳と幅広かったが中央値は 69 歳と高齢者に多く みられ,先行研究とほぼ同様であった7,13).原疾患とし ては 21 例(55.3)が担癌患者であった.他の研究と比 較すると多い割合であるが,当院の特性に加え,担癌患 者は化学療法や経口摂取困難なことが多く,末梢静脈ラ インの実施率が高いことに起因すると思われる. カテーテルの挿入部位としては上肢が 27 例(71.1) と多かったが,9 例(23.7)が診療録もしくは観察記録 に記載がなかったため不明であった.末梢静脈カテーテ ルは多くの場合,上肢に留置され,本検討でも同じ傾向 がみ られた .カテーテ ル留置期 間は 2~ 15 日間 の幅 で,中央値は 5 日間であった.2011 年にアメリカ疾病 予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)から血管内留置カテーテル関連感染予防の た め の ガ イ ド ラ イ ン が 出 さ れ て い る15). こ れ に よ る

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と,末梢静脈カテーテルの交換時期に関しては,72~ 96 時間よりも頻回に交換する必要はなく,連続的に使 用されている輸液セットの交換には最低 96 時間の間隔 を設け,最低限 7 日毎に交換する,とされている.こ れはカテーテル挿入部位を毎日確認し,透明なドレッシ ング剤を使用している際には視診を,またドレッシング 剤の上から触診をすることが前提となっている.当院の 規定でも同様に,感染徴候がない場合には 72~96 時間 以内であれば定期的に交換をする必要はないが,1 週間 をこえて留置しないこと,また刺入部位の観察を毎日行 うことを原則としている.しかし実際には留置困難例等 では医師の裁量で 1 週間以上留置している例が本研究 でもみられた.カテーテル留置期間が記載されていた 15 症例のうち,72 時間を超えてからの感染が 86.7で あった.72 時間を超える末梢静脈カテーテル留置には 十分な日常的な観察が必要であると考えられた.本研究 は血液培養陽性となった患者から,PLABSI 症例を後 ろ向きに検討しているため,実際には菌血症までには陥 らず,刺入部の局所感染に留まっていた症例については 拾 い 上 げ ら れ て い な い . 菌 血 症 に ま で 陥 る 前 に , PLABSI を予防するためにはカテーテル刺入部の毎日 の観察が必須であり,今後積極的な改善が必要不可欠で ある.可視静脈炎スコア(Visual Infusion Phlebitis score)はカテーテル刺入部の所見を観察しスコア化し, それに応じた対応方法を示しており,ベッドサイドで今 後の方針を簡便に決定できるものである16).このよう なものを活用し,PLABSI を予防,もしくは早期に発 見できるように努めるべきである. PLABSI に対して投与された抗菌薬は 7~100 日と幅 広く,中央値は 18 日間であった.2009 年の IDSA ガ イドラインで示されている CRBSI の治療法は,微生物 によってカテーテル温存・抜去の是非,抗菌薬投与期間 が異なる8).当院ではこのガイドラインに則った治療法 を主治医に推奨しており,血栓性静脈炎や感染性心内膜 炎,骨髄炎等の合併がみられた症例で治療期間が長期と なっていた.合併症を併発した時は,治療・入院期間が 長期となってしまう.患者が被る損害はもちろん,入院 期間が延長し投入される医療材料の増加は,医療経済的 にも大きな問題である. 微 生 物 学 的 に は , S. aureus の 検 出 が CLABSI で は 33,PLABSI で 53と有意に PLABSI が多く,また 複数菌検出例が 4であったとする報告がある10).それ に対し当院では複数菌検出例が 26.3と多く見られる ため,重複を含む計算となるが,S. aureus は 15.8で あった.カテーテル先端培養ではグラム陽性球菌が 5 例,グラム陰性桿菌が 3 例,Candida 属が 3 例検出され ていた.一般的に血液培養から複数菌が検出されるのは 4.7とされているが17),免疫不全者では約 30の症例 で血液培養が複数菌陽性だったという報告がある18) 本研究でも基礎疾患に悪性腫瘍や糖尿病等の何らかの免 疫不全を有する患者が多く含まれたことに起因すると考 えられる.PLABSI の原因菌に関するデータは限られ ており,今後蓄積が必要と考える.また,カテーテル先 端培養については 31 例(81.6)で提出がなく,カテー テル挿入部に発赤や腫脹等の感染徴候があった場合,も しくは熱源が不明な発熱や炎症反応高値症例について は,診断を正確につけるためにも,末梢静脈カテーテル 抜去時にも先端のグラム染色及び培養を提出するように 推奨する必要がある. 表に示した死亡例では,カテーテル挿入から菌血症 までの期間は 2~9 日(1 例は記載なし),菌血症から死 亡までの日数は 5~23 日であった.CNS が原因菌であ った 2 例は死亡までの日数が 12 日,23 日であったのに 対し,S. aureus では 10 日,K. oxytoca では 5 日間であ った.PLABSI が明らかな死因とは言えないが,原疾 患に PLABSI を合併したことが死期を早める要因にな った可能性は残る. 本研究は後方視的な検討であるため様々な制約はある が,PLABSI は少なからず医療関連感染症の原因の 1 つとなっており,その中には重症化し ICU へ入室する 症例や,合併症を併発し長期の治療を要した症例が存在 することが示された.今回の研究では,血液培養が陽性 と な っ た 症 例 の み の 検 討 で あ り , 顕 在 化 し て い な い PLABSI が少なからず存在すると予想される.院内マ ニュアル等で血管内留置カテーテルについて観察項目や 留置期間の規定がされていても,必ずしも遵守されてい ない可能性もあり,重症化し患者の予後を大きく損ねう ることを認識すると共に,医療施設における PLABSI のリスク評価は十分とは言えず,現状把握,データの蓄 積を行い,適切な評価と対応法を検討することが必要で ある. 利益相反について申告すべきものなし. 文 献

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〔連絡先〒1600023 東京都新宿区西新宿671

東京医科大学病院感染制御部・感染症科 佐藤昭裕

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Peripheral Line-associated Blood Stream Infection

Akihiro SATO1,2), Itaru NAKAMURA1), Shinji FUKUSHIMA1), Yasutaka MIZUNO1)and Tetsuya MATSUMOTO2)

1)Department of Infection Control & Prevention, Department of Infectious Diseases, Tokyo Medical University Hospital, 2)Department of Microbiology, Tokyo Medical University

Abstract

Clinical manifestations, laboratory results, treatment methods, recurrence rates, and complica-tions were studied in 38 patients who were diagnosed with peripheral line-associated blood stream infection (PLABSI) from June 1, 2010 to January 31, 2014 in our hospital. The median length of hospitalization was 17 days (range: 386 days), and the median time from catheter insertion to bac-teremia was 5 days (215 days). The duration of antibiotic therapy after the diagnosis of PLABSI ranged from 7 to 100 days. Patients with complications such as osteomyelitis received longer dura-tions of antibiotic therapy. The causative pathogen was Staphylococcus aureus in 6 cases (15.8), coagulase-negative Staphylococcus in 12 cases (31.6), Bacillus spp. in 4 cases (10.5), Gram-negative rods in 20 cases (52.6), and Candida spp. in 5 cases (13.2). Polymicrobial bacteremia was observed in 10 cases. Seven patients had positive catheter cultures, whereas the catheter had already been removed in the other patients. Complications included suppurative thrombophlebitis, bacterial cellulitis, and osteomyelitis, which were diagnosed in 8 (21.1), 3 (7.9), and 2 (5.3) patients, respectively. Four patients died within 30 days after diagnosis of PLABSI. Our results in-dicate the possible underdiagnosis of PLABSI, and demonstrate the potential for severe complica-tions that may occur. PLABSI is a major health care-associated infection, but is not the target of major surveillance or research in Japan. Health care providers should carefully observe catheter in-sertion sites to prevent and correctly diagnose PLABSI.

Key wordscatheter-related blood stream infection, catheter-associated blood stream infection, hospital-acquired infection, sepsis

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 高齢者の性腺機能低下は,その症状が特異的で

tiSOneと共にcOrtisODeを検出したことは,恰も 血漿中に少なくともこの場合COTtisOIleの即行

本症例における IL 6 および IL 18 の動態につい て評価したところ,病初期に IL 6 は s JIA/ inac- tive より高値を示し,敗血症合併時には IL