(6)
I緒
言 近年,石
油化学工業の急速な進展 に伴い,農
業におい ても,石
油化学製品が生産資材 として,数
多 く用い ら漁 るようにな った。 その顕著なものの 1つ に,ポ
リエチ レンフィルムがあ る。 もともとポ リエテ レンフィルムは,低
温の季節,あ
る いは冷涼な気候の地域において,作
物の生育を促進 させ る目的で,マルチとして使用されてきた。 しか し今 日で は,スイカ・ メロン等の夏作物の露地栽培にも利用され るなど,暖
地においても季節をとわず利用されてい る。 ポ リエチ レンフィルムのマルチ (以下 ポ リマルチとよ ぶ。)の
効果に関す る研究は,
きわめて数少ないがj CLARKSON, V.A. ら (1957)(2), LIPPERT,L.F.ら (1964)(7)TAKATORI, F,H. ら (1966)(10)DINKEL,
D.H.(1%の
(3)などがある。それ らはいずれも,夏
期 に低温な地域においても,ポ
リマルチ処理を行な うこと によリスイー トコー ンやキ ャンタロープの収穫が可能 と なるか,あ
るいは生育促進 と収量増加をもた らすと述べ てい る。そ して,そ
れ らの効果は,地
温の上昇 と,上
壌 水分の保持に基 くことを明 らかにしている。 一方我国においては,ポ
リマルチに関して,利
用面で 急速な進歩をとげたものの,そ
の効果に対する理論的な 裏付けは,今
日なお見 るべ きのがない。疏 菜類 の栽培 にお ける
,ポ
リエチ レンマ ルチ
の利用 に関す る基礎 的研究
(第
1報
)
ナス の生 育収 量 お よび土 壊 条 件 にお よぼす 影 響
辺
賢
二 。佐
藤
一
郎
Fundamental Studies on the Utilization of Polyethylene
Mulch in Growing Vegetables(I)
Effect of some polyethylene mulches on gro、
vth, yields ofdO′,22η MCLο
Tη
α LI′u〕r. and soil conditions.‐
Kenti TANA3こ
and lchiro SATOH
(Faculty of Agiculture,Totto University)
そ こでポ リエテ レンマルチが
,上
壌中の物理的な らび に化学的環境におよぼす影響を,系
統的に明 らかに し, また上壌環境の変化 と,作
物体の生育反応の関係を明 ら かにす る必要がある。今回は,代
表的な夏作物であるナ スを供試 し,見
季におけるポ リマルチの影響を明 らかに す る目的で,本
実験を行な った。実験を遂行す るにあた り,ご
援助を願 った,山
根勇武 。鳥飼加代子の両氏に対 し,記
して感謝の意を表す る。 工 実験材料および方法 鳥取大学農学部砂丘利用研究施設のラインメーター ( 容積 1× 4× 1∬,排
水型)10基
に,未
耕地の砂上を入 れ,1970年 5月22日,50日 苗のナス (品種,長
岡長ナス)を
定植 した。植付け本数は, 1基あた り4本とし, 8 基に植付けた。残 りの2基は,土
面蒸発量をみるために 無植生 とした。 6月 5日 に透明ポ リエチ レンフィルム Oヒ透 過 率 98%,厚
さ0.02nm),白色 ポ リエテ レンフィルム (光透過 率85%,厚
さ0.02mnI),黒 色ポ リエチ レンフィルム (同2%,0.02mm)の
5種 を,そ
れぞれ 2基 ずつマルチ処理 した。マルチの広 さは,95×95cIEと し,株
元には直径 5 cmの穴をあけた。そ して,無
処理区を合せて,計
4区 に ついてそれぞれ,地
表下5,10お
よび20cmの各部位 の地 温を,毎
日午前10時に測定 した。第 1表 施 そ して
,7月
下 旬 か ら8月上旬にかけ て,高
温の早天 日が続いたが,例
年に比 べ て比較的短かかった。1)地
温な らびに土壌水分 実験期間中の地温を半旬 ごとの平均値 として示す と第 2図 のとお りであった。 まず5 cmの部位における地温につい て みると,6月
中はポ リマルチ処理によっ 配 元 月巴︲ 量 (成分量 ′) 全 量N:硫
安
PIBMよ
うりんK:硫
酸 カ リ :月管目
ぁ互
岳
梶昂
' 7月25日 10 18 8 N P Kを
│ % % 25 また 1週 間 ごとに,各
マルチ処理区の地表下10cmの部 位 の上壌を採取 し,上
壌水分 の測定を行なった。 一方施肥は,第
1表 に示す要領で行なった。また灌水 は,晴
天 日に適宣行ない,そ
の量は 5月 下旬∼ 6月 中旬 :2 nun, 6月下旬∼ 7月 中旬 :5 mm, 7月 下旬∼ 8月 下 旬:104ulと した。さらに各処理区の流亡水量たついても 毎 日測定 し,10∼15日分を集めて,そ
れ ら のN H3
N,N03 N, Pお
よびK濃度を測定 し,養
分溶脱量 を求めた。N H3 Nは
ネス ラー試薬,N03 Nは
フ エノール硫酸によって,そ
れぞれ発色後比色定量を行な った。 Pは トルオーグ法に よる比色定量,Kは
炎光光度 計によりそれぞれ定量 した。 7月 上旬 より, 5∼5日 お きにナス果実の収穫を行な い,収
穫個数 とそれ らの乾物重を測定 した。 8月51日に 各 区の掘上げ調査を行ない,葉,茎
お よび根の乾物につ いてN,Pお
よびKの合量を測定 した。なお収穫果実に ついても同様に分析を行なった。 Ⅲ 結果 実験期間中の気温
,湿
度お よび降水量を示す と第 1図 のとお りであった。 6月 上旬か ら7月 中旬にかけて,降
雨 日数力彦 く,特
に 6月 中旬に著 しい降雨がみ られた。 1 5 1015202530 5 1015202531 5 10152025316
月7
月8
月 第1図 実験期間 中の気温,湿
度 お よび降水量 (9時) て,地
温の上昇が認め られた。 しか し7 月に入 ると,黒
色お よび白色のポ リマルチ処理区におい ては,無
処理区よ りと しろ低 くなる傾向にあった。特に 黒色 ポ リマルチ区では, 7月
下旬に無処理区よりる°C
以上 も低い値を示 した。 3月 中旬か ら再び処理区の地温 が無処理区より高 くなった。この地表下5 cmの部位にお ける地温 を,マ
ルチの種類別にみると,透
明>白
色>黒
色の順に高 く,透
明ポ リマルチ区は実験期間中に無処理 区より低 くなることは,ほ
とん どなか った。 一方地表下10calの部位 においては,透
明および白色区 は常に無処理区より0.5∼2.5°C高い 地 温 を 示 してい た。 しか し黒色区は,前
者に比べて地温の上昇 が顕著 で な く, 7月 中旬∼下旬にかけて, 5 cmの部位 と同様無処 理区よりも低い地温を示 していた。 次に地表下20clllにおける地温をみると,ポ
リマルチ処 理により,い
ずれ も0.5∼1.5°Cの上昇がみ られた。ま たポ リエチ レンの種類間の差は, 5 cm,10cmの 部位ほど には明瞭にみ られなかった。 第 5図 は, 6月 下旬, 7月 下旬お よび 8月 下旬の各時 期における,ポ
リマルチ処理 と地温の関係を示 したもの である。比較的関係湿度が高 く,また降雨の多い る月下 旬においては,地
表下O cmから20cmに至るまで,ポ
リマ ルチによって 2∼5.5°C地温の上昇がみ られた。 しか しなが ら,梅
雨明けの著 しく乾燥 した高温低mm
湿の 7月 下旬か ら3月 上 旬に か けては,無
処理区 雨は
,地
表面 の急速な乾燥に伴い,地
表面∼5 cmの地 温が著 しく高ま り,一
方 マルチ処理区はそれは ど上 量昇せず無処理区より
,か
な り低 く保たれていた。 8 月下旬においては,マ
ルチ処理により, 0∼20cnlの 地温は一様に上昇 したが,そ
の割合はる月下旬に比 べてかな り低いものであった。 次に実験期間中の各処理区の上壌水分の変化を調 べた結果は,第
4図 のとお りであった。降雨の多か った る月∼ 7月 中旬においては,無
処理区とマルチ 出 I = 度 0 ℃ tO(8)
田 辺 賢 二・ 佐 藤 一 郎 10 15 20 25 31 5 ℃+2
4旺 処 理+1
区 と 0 の 差-1
℃
蝸
が
添
3 4
町
輔
湘
2 6
が
2 2
2 0
鰤 明 色 色 猟 透 県 白 m -2 -3 ℃ +3.0 4tF処
+2.5 置 +2.0あ
+1.5 差+1,0 +0.5 0 +0.5 --1.0 --1.5 7 B。 10cm 8 0無処I■Iえ o透 明 区 △ 黒 色Iえ × 白 色 匡 区 区 区 区四
明
色
色
無 透 黒 白 5 ︼ 月 ・ 0 6 無 処 理 区 の 地 温 5 ℃ 34 32 30 28 26 24 22 20 18℃
+
3
,
0
+
2
.
5
+
2
,
0
十
︲
.
5
+
・
,
0
和
0
朝
無 処 理 区 と の 差 5 10 7 15 20 25 月 5日 10 6 第2図 C,20cm 15 20 25 30 5 10 15 20 25 31 5 1 月7
月8
ポ リエチ レンマルチが地温におよぼす影響 (10時) 20 25 月 34 32 30 28籠 処 26投 24線―
――――
――――
ラ
22 20 180 2022 24 温 (℃) 32 34 36 5 10
A. 6月
28日 温 (℃) 34 36 38 0 5 10B. 7月
28日 20 0 5 10 20 第 5図 時期別にみたポ リエチ レンマルチと地温 の関係 処理区の差 は,明
瞭にみ られなか ったが,無
処理区の水 分量が処理区よりも多い 日がかな りあった。 しか し7月 下旬以降は,無
処理区の土壌水分量の減少 が著 しく,連
日7∼101mの灌水を行な ったにもかかわ ら ず, 2%以
下に低下す ることもあった。一方 ポ リマルチ 処理区は,い
ずれも大 きな変化がみ られず,ほ
ぼ4∼5%に
保たれていた。2)蒸
発散量 ポ リマルチ処理 と蒸発散量の関係をみた結果,第
5図 お よび第 2表 のとお りであった。 まず,無
植生の状態で,ポ リマルチ処理が土面蒸発に 第 2表 ポ リマルチが上面蒸発におよぼす影響 10日 17 24 1 8 15 22 29 5 14 19 26 316
月7
月8
月 第 4図 ポ リエチ レンマルチが上壌水分におよぼす影響 (地表下10cnJ お よぼす影響をみると,
平均 して2∼2.8rlul程度土面蒸 発を抑制 していることが認め られた。また これを少 し詳 しくみると,第
2表 のようであった。すなわち,マ
ルチ 処理によって,晴
天 日には土面蒸発が4 1ull抑制 され,一
方曇天∼雨天 日には0.5111al程度抑制 されていた。 他方蒸発散量にお よぼす ポ リマルチの影響をみ ると, 生育初期においては,マ
ルチ処理区がやや少ない傾向に あった。′しか し中後期においては,マ
ルチ処理により上 面蒸発が著 しく抑え られていたにもかかわ らず,無
処理 区 よりも処理区の蒸発散量がむ しろ多 くなる傾 向にあっ ス全。 このことは,マルチ処理により地上部の生育がお う盛 にな った こと,ま た乾燥期にも十分な土壌水分が保持 さ れたため蒸散作用が活発に行なわれた ことにもとづ くも 地 85)養
分吸収な らびに溶脱 ポ リマルチ処理がナスの養分吸収にお よぼす影響をみた ところ第 6図 の結果を 得た。N,Pお
よびKの
いずれも,処
理に よ って吸収量が増加 した。特 にPの
吸収 が,処
理によって著 しく多 くな り,次
い でKが多 くなった。そ して5成
分 の う ち,Nの
吸収は,処
理に よる影響が最 も%
含 12 水 10 ,ヒ 8 6 4 2 深 さ ︵ c i n ︶ 地 3 区 区 区 区理
明
色
色
無 透 黒 白 の と思 わ れ た 。 る.00 8月15日∼22日 (く も り∼雨) 8月24日∼50日 (晴天) 0.54 ●無処理区 o透 明 区 △黒 色 区 x白 色 区 測 定 期 日
土面蒸発抑制量 ■
.裸
地 b・ マルチ処理
a一
b 8月 4日 ∼ る日 (晴天) 1.62
田 辺 賢 二・ 佐 藤 一 郎 10 蒸 発 8 散 量 6 4 2 ` 了 ′ ム、、、 、γ ′ 第 5図 ポ リエチ レンマルチが蒸発散量におよぼす影響 少 なかった。またマルチの種類別にみると
,透
明ポ リエ チ レン区の吸収量が多い傾向にあった。 各成分について,全
吸収量のうち栄養体が占める割合 をみると,Nお
よびKに
おい ては,処
理,無
処理間の差 はほとんど認められず, Pにおいてわずかに処理区が多 い傾向を示 していた。 したがって,処
理によって多 く吸 収 されたN, P,Kは
いずれも果実に移行 し,後
にのベ る果実の収量増加をもた らしたものと考えられた。 次にN,Pお
よびKの溶脱 とポ リマルチ処理の関係をN 5
吸 4 1又 量 3 2 1 無 処41 iとけI 「1色 黒 色 第 6図 ポ リエチ レンマルチR:根
S:茎 L
みた結果,第
7∼10図のとお りであった。 まずN H3
Nは
,第
7図 に示されるとお り, 6月 の上旬か ら下旬に かけて溶脱が認められ,特
に降雨量の多か った る月中旬 に著 しい溶脱がみ ら注た。しか し7月 に入 って後には, ほとん どみ られなか った。これについて処理 との関係を みるとポ リマルチ処理区のうち,白色お よび黒色区は無 処理区より溶脱量が多 く,一
方透明区は無処理区よりも 少なか った。 15 20 25 306
月 第 7図 ポ リエチレンマルチがN H3 Nの
流亡におよ ぼす影響 ● 無処理区o透
明 区 Δ 黒 色 区X白
色 区 ・‐‐→ 無植生裸地 かぃ‐A無 植生ポ リマルチ 8 6 4 N 流 亡 量 ︵ ア ン モ ニ ア 態 ︶ 無 処rll 透 明 白 色 黒 色 無 処F■ 透 明 常I色 黒色 がナスのN, Pお
よびKの吸収におよ慮す影響 :葉F:果
実 6月SH 6月15日 6月26日 7月6日 7月15日 7月斜日 8月 611 8月18‖ 1 1 1 1 1 1 1 1 6月14日 6月25日 7月5日 7月14日 7月お同 8月5月 8月17阿 8川ЫR x103m9 〉(102m9 x103m9N 溶 脱 量 ︵ 硝 駿 態 ︶
N03 Nの
溶脱は,第
8図 に 示 さ れ る とお りであ り, 6月 上旬∼ 7月 上旬に至 る間は,各
区ともその溶脱 量は少なか った。 しか し特に透明マルチ区の溶脱量はる 月上中旬の生育初期に多い傾 向が認め られた。その後 7 月中旬か ら下旬にかけて,
著 しいN03 Nの
溶脱がみ られ,特
に無処理区と透明マルチ区の量が多か った。最 終的な溶脱量 とポ リマルチ処理 との関係をみると,無
処 理区が最も多 く,次
いで透明区,黒
色区,自色区の順で あった。 そ してN03 Nと
しての溶脱量を,施
用N量
に対する割合でみると, 無処理区で19%,透
明 区 で14%,黒
色区で11%,白
色区で10%で あった。 5 10 第 8図 ポ リエチレンマルチがN03 Nの
溶脱におよぼす影響 他方 Pの 溶脱 とポ リマルチ処理の関係は,第
9図 に示 す とお りであった。いずれの処理 区とも6月 上旬か ら下 旬にかけての溶脱量が多 く, 7月 に入 ってか らの溶脱は きわめて少なか った。 6月 上中旬においては透明区,黒
色区の両 区が無処理区より溶脱量が多い傾向にあった。 しか し6月 中下旬に無処理区の溶脱が急速に多 くな り, 処理区に比べ てかな り多い溶脱量を示 していた。また 7 月に入 って乾燥が著 しくなると,無
処理区ではほ とん ど 溶脱がみ ら注なか ったのに対 し,処
理区では,わ
ずかな が ら実験打切 の時期 まで溶脱が認められた。 Kの溶脱 とポ リマルチ処理の関係は,第
10図に示され るとお りであ り,溶
脱量の多いものか ら,無
処理区>黒
色区>透
明区>白
色区の順であっ た。 しか し,溶
脱量は施用量のほぼ5∼6%
程度であ り,また区間の差は比較的少なか っ た。さ らにN H3 Nや
N03 Nで
み ら浄た ような,特
定の時期に多量の溶脱をみるよう な ことはな く,生
育全期を通 じてほぼ一定 の 溶脱量を示 していた。4)生
育 な らびに収量 苗の活着後の初期生育 に対す るポ リマルチ の影響は,透
明区が最も顕著であ り,生
育 が 著 しく促進された。次いで黒色区が著 しか っ た。そ して,開
花結実 も透明区が最 も早か っ た。一方 6月 下旬 ごろか ら黒色区はきわめて お う盛な生育を示 し,外
見上透明区以上に繁 茂 し,や
や栄養生長に偏 よっていたように見 受 け られた。また白色区は,無
処理区より良 好な生育を示 したが,透
明,黒
色の両 区より はやや劣 っていた。 8月 下旬 ごろになると,透
明区は下棄の黄 化が 目立ちはじめ,落
葉 もみ られてかな り草 勢が衰えてい るように見受け られた。一方 こ の頃より無処理区の生育が良好 となった。 8月 末 に各区を掘上げ,生
育調査を行な っ た結果 は第 5表 のとお りであった。 まず葉重についてみ ると,黒
色,白色の両 区が無処理区より多 く,透
明区はやや少 なか った。一方茎重は,黒
色区が最 も多 く,次
い で透明区,自
色区,無
処理区の順であった。 また根についてみ ると,無
処理区に比べ, 処理区の根重はきわめて多 く,ポ
リマルチは 15 20 25 30 5 10 15 18 24 4 14 24 316
月7
月8
月 P 2,0 1容 月比 1.5 量 1.0 0.5 4 月 ・4 8 5 月 5 月 第 9図 ポ リエチレンマルチがPの 溶脱におよだす影響(1の 田 辺 賢 二・ 佐 藤 一 郎
6
月7
月8
第10図 ポ リエチ レンマルチがKの溶脱におよばす影響 第5表 ナスの生育にお よぼす ポ リエチ レンマルチの 影響 処 理 ‥ 一聾生hの
T/R率
葉茎
根 根の生育を強 く促進す ることが うかがえた。 そ して
,そ
の根群分布をみると,処
理区で はいずれも地表直下 にかな りの分布がみ られ た。ちなみに各区のT―
R率
を 求めてみる と,無
処理区の4.72に対 して,処
理区では 5.27∼4.2と かな り低い値を示 し,ポ
リマル チ処理は,地
上部 よ りも地下部の生育に著 し い影響をあたえることが知 られた。 次に果実収量についてみると第11,12図 の とお りであった。マルチ処理により収穫果実 数がほぼ40%程度多 くな った。初期において は透明区の収量が多 く, 8月 に入 ると黒色区 が他区よりもやや多 くなる傾向にあった。ま た処理区の呆実はいずれ も肉質が柔か く正常 果がほとん どであったのに対 し,無
処理区の 果実 はきわめて肉質がかた く,中
には石ナス に近いものもあ り,わ
ん曲したものが多か っ7
月8
月 第12図 果実収量におよばすポ リエチ レンマルチの影響 ス生。 一方,果
実収量を乾物収量 としてみると,処
理により 収量力∀0%程
度多 くなることが認め られた。そしてマル チの種類別にみると,区
間には明瞭な差 はみ られなか っ たが,し
いていえば黒色>透
明>白
色の傾向にあった。 K 溶 脱 量 透 明 白 色 黒 色 無処理 56.0 57.6 22.5 5.27 59.2 57.5 19.4 4.20 59。2 42.4 22.4 5.64 5る。7 55.2 14.8 4.72 収 穫 果 累 積 乾 物 量 累 積 収 穫 果 数 2 月 1 月 ・6 7 11 16 21 27 31 4 8 12 18 25 28 31 第11図 収穫果数におよぼすポ リエチ レンマルチの影響Ⅳ 考
察 ポ リエテ レンフィルムのマルチに関する,これまでの 報告によれば
,マ
ルチ処理により地温が上昇 し,あ
るい は土壌水分が保持 されることが述べ られている。そして このようなポ リマルチの作用は,比
較的冷涼な地方にお けるスイー トコー ンの稔実や,キ
ヤ ンがロープの成熟を 可能にし,(2)(3)(5)ま た 早春 の低温な季節における作物 の発芽,立
上 りの割合を高め初期生育を促進す るなどの 効果をもた らしている。(の0の さらに これ らの 効果は , 黒色ポ リエテ レンよりも透明ポ リエチ レンにおいて著 し ヤヽと予ヽわれ る。 本実験は,夏
作物の生育に十分な温度条件下 にある6 ∼ 8月 の夏季に,代
表的な夏作物であるナスについて, ポ リマルチの効果をみたものである。したがって上記の 内容 とはやや趣を異にするものと考え られ る。 い うまでもな く,夏
季の砂丘地は,土
壌の乾燥がきわ めて著しいために,普
通畑に くらべ て著 しく地温が高 く な り,
また接地気温も きわめて高 くなる。(8)この よう に,む
しろ高温に過ぎるような条件のもとでも,ポ
リマ ルチ処理を行なうことにより,ナ
ス果実の収量が,乾
物 で60∼70%も 増加することが認められた。もともとナス は,統
菜類の中でも高温性のグループに属す るが,そ
の 適温 はせいぜい25∼50°C前後である。(9' したがって,この夏季におけるポ リマルチ処理がもた らす増収効果は,地
温上昇以外 の何 らかの要因にもとず いていることが十分に考えられる。本実験において供試 した5種 のポ リエチ レンフィルムは, 6月 中旬 と8月中 下旬において, いずれも 地温を 上昇させた。しか し黒 色,白
色の両 ポ リエチ レンフィルムは, 6月 下旬∼ 8月 上旬の高温期に地表下 5∼10cnIの地温を低下 させること が認め られた。また透明ポ リエチ レンフィルムは,終
始 無処理区より地温を高 く保 ったが,や
は り6月 下旬∼8 月上旬には,上
昇割合が低か った。 このように高温乾燥 期のポ リマルチは,そ
れほ ど高 く地 温 を 上 昇させない か,種
類によっては,か
えって低下 させることが認め ら れ,このことは砂丘地において夏作 物 を 栽 培す るうえ で,き
わめて興味深い。 土壌水分 と地温は表裏一体 の関係にあることより,高
温乾燥期のポ リマルチ処理は無処理区よりも地温を低下 させる理由として次のように推察される。すなわち,ポ
リマルチ処理区は土壌水分が常にほぼ一定に近い状態に 保たれるのに対 し,無
処理区では地 表 面 か ら急速に乾 燥 し,著
しく土壌水分が少なくなる。処理,無
処理間の 上壌水分の量が同程度の状態では,貯
熱量の多い処理 区 の地温が高 くなることは当然である。 しか し両者の上壊 水分量に著 しい不均衡を来 した状態では,土
壌の比熱に も大 きな差を生 じ上壌水分の少ない無処理区では著 しく 比熱が小 さくなる。そのために,比
熱の低下に伴 う地温 上昇速度の増加が,ポ
リマルチ処理によってもた らされ る地温上昇速度を上回るようになる。 これがポ リマルチ 処理区の地温を相対的に低 くする理由と考えられる。 したが って夏期におけるポ リマルチの主作用は土壌水 分の保持にあるといえよう。 第2表に示 されるように,ポ
リマルチは晴天 日に土面 蒸発を4 nulも抑制 し,結
局 この ことが土壌水分 の保持ひ いては地温の上昇をも抑制するものと考えられる。 次に養分吸収におよぼすポ リマルチの影響をみると, 処理によりN,Pお
よびKのいず れ も 吸 収量が増加 し た。特にPの 増加が著 しく,またNよ りもKの方に大 き な影響がみ られた。 このことについては,処
理によって 土壌の急激な乾燥,吸
湿が抑え られ,そ
の結果多 くのP およびKが可吸態 として土壌中に存在 した ことによるも のと想像される。 一方植物の側か らみた場合,ポ
リマルチ処理によって 根群の発達がきわめて著 しくな り, この ことも吸収量を 多 くす る要因といえよう。養分溶脱 とポ リマルチの関係 については,処
理により,上
壌中に長期間肥料成分が保 持 されることが知 られている。(つ 本実験 の場合には , 降雨時に雨が株元の穴の他に大部分が周辺部か ら浸透す るため,そ
の養分溶脱の様相も,畦
にマルチを行な う圃 場条件 と,か
な り異 ることを予め知 っておかねばな らな い。処理による溶脱量の減少は,マ
ルチそのものの直接 的な作用によるものか,あ
るいは作物が多 く吸収 したこ とによるものか,本
実験 の結果 か ら は 明 らかにで きな い。 しかし,い
ずれにせ よ,マ
ルチ処理により溶脱量が 少な くなることは確かである。 以上要す るに,夏
季のポ リマルチは土壌水分を保持す ることがその主作用 とな り,そ
れが表裏一体 の関係にあ る地温の上昇を抑 制す る。 そ して このこ とが ナスの生 育,特
に根の生育を良好にし,増
収をもた らしたものと 考え られる。土壌水分が植生の制限要因となる夏季の砂 丘地においては,特
に土壌水分を保持す る上で,ポ
リマ ルチの効果はきわめて大 きいと思われ,光
透過率の低い ポ リエチ レン,た
とえば黒色 ポ リエチ レンフィルムを利田 辺 賢 二・ 佐 藤 一 郎 用することにより
,砂
丘地においてもナスの良品を多収 することが可能であると思われる。V摘
1. 夏季におけるポ リエチ レ ン マ ル チが,ナ
スの生 育,収
量お よび土壌条件にお よぼす影響を,明
らかにす る目的で本実験を行なった。2. 6月
下旬∼ 8月 上旬の高温期においては,黒
色 ポ リエチ レン区お よび白色ポ リエチ レン区の地温 (地表下 5∼ 10cm)は,無
処理区よりも低か った。一方透明ポ リ エチレン区は,常
に無処理区よりも高か った。 5。 上壌水分量は6∼7月 上旬の降雨の多い時期にお いては,処
理,無
処理区ともに多か った。 しか し7月 下 旬か ら8月 下旬にかけて,無
処理区の上壌水分量は著 し く低下 したが,ポ
リマルチ処理区は 4∼5%に
保たれて ヤヽアこ。4.ポ
リエチ レンマルチ処理によって,晴
天 日におけ る上面蒸発は4 nm抑制され,また曇∼雨天 日には0.5m■ 程度抑制された。5. N09-N, Pお
よびKの溶脱はポ リマルチ処理 によって少な くなった。 る。ナスのN, Pお
よびK吸
収は,ポ リエチ レンマル チ処理によって増加 した。特にPの 吸収が処理によって 著 しく増加 した。7.
ナス果実 の収量 は,ポ
リエテ レンマル チ処 理 に よ って,ナ
スの栄 養体 の生育 も促進 されたが,特
に根 の生 育が著 しく強め られた。 参 考 文 献1. A.M.Liptay and H.Tiessen」 .Amer.
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2. CLARKSON, V. A.,and W.A.FRAZIER PrOc.
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4. DEAN E.KNAVEL and i
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丘地におけるナガイモ生産に関する 研究,鳥
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ary
l)In Order to determime the effect ot polyethylene mulch upon the growth ot egg―plants
(Sο″″ク脇 力修乃η
『 ¢″クLINN.), their yields in the summer season, and soil cOnditions, this
investigation was cOnducted.
2)BIack POlyethylene and white polyethylene decreased the soil temperature as compared to the bare soil temperature to a depth of 5-10 cm during the period fromユ ate June to early
August,Transparent polyeth,lene increased the soil temperature more than non― mulched soil.
3)Soil mOiSture levels of mulched and non― mulched soil were high in the rainy periOd from
」une to early July,During the period from late July to:August, the sOil moisture in non― mulched soil decreased remarkably, but that of mulched soils was retained by about 4 to 5%.
4)EvaPoration from soil surface was suppressed about 4mm per day by po]yethyユ ene mulch on clear days, and on cloudy or rainy days it was suppressed about O.5■ lm per day.
5)percOlation losses of nitrate form N,P and K werc decreased by polyethylene mulchs. 6)Egg―Plants mulched with pOlyethyユ ene absorbed more N, P and K than non mulched pl―
an ts, eSpecially if P was much more absorbed by mulched plants than non― mulched PIants, 7)Yields were increased about 60守 O percent by Polyethylene mulch treatment. It was also seen that the growth oF egg_Plants was advanced by mulches,especially in promoting the roots.