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どく拡張する ( 中毒性巨大結腸症 ) こともあります. このような場合には緊急に手術が必要です. また 大腸癌になった場合にも手術が必要になります. 内科的治療が効きにくい難治例や重症例の場合にも 内科的治療のバランスの点から手術を選択することがあります. 手術の方法は 大腸全摘ですが 肛門を残す

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Academic year: 2021

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1. 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)とは 消化管に炎症、潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などの症状をおこす疾患の総称で、一般 には、潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患をいいます.世界では、欧州、北米、北欧に高頻度で、 日本、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカは中等度、他のアジア、アフリカ、南米に は少ないとされています.人種的には、ユダヤ人、白人に多く、有色人種にはあまり多くありませ ん.本邦での発症率は、欧米の約五分の一から十分の一と推定されています.厚労省からは特定疾 患に指定され、特定疾患研究事業のもとに、公費で医療費が補助されています.

2. 潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis, UC)の疫学、病因

日本では、平成21年度で約11万人の患者数がいると推定され(特定疾患受給者数のデータから)、 年々増加の一途をたどっています.男:女はほぼ同数で、発症年令は、10代から30代に最も多 くなっています.原因は、遺伝要因、食事、腸内細菌、免疫などが複合しているとされていますが、 まだ特定はされていません.タバコとの因果関係については、喫煙者が禁煙したのちに発症する確 立が高まるといわれており、また、虫垂切除後の潰瘍性大腸炎患者が少ないことが疫学的に報告さ れており、腸管免疫との関与が推定されています. 3. 潰瘍性大腸炎の症状・分類 粘血便、腹痛、下痢、腹部不快感、疲労、倦怠感、発熱、食思不振などが主な症状であり、大腸内 視鏡検査で診断されます.症状、貧血により軽症、中等症、重症、劇症の4段階に重症度分類され、 病変の拡がりにより、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型、特殊型として区域性大腸炎型に分類 されています.また、臨床経過により、初回発作型、再燃寛解型、慢性持続型、急性劇症型(急性 電撃型)の四つに分けられます.症状がなく、内視鏡検査でも炎症のないものを寛解期、症状があ るか、内視鏡検査で炎症のあるものを活動期として、病期の時期—病期を分けています.治療内容は、 病変の拡がりと重症度によって、治療指針が定められています.また、ステロイド剤が効きにくい ものや、効果があっても限定的なものは“難治例”とされ、別に治療方針があります. 4. 潰瘍性大腸炎の治療 (1) 薬物治療:軽症例や中等症では、5-ASA(ペンタサ)の経口薬や注腸薬、ステロイド注腸薬 が使われております.直腸炎型では、とくに5-ASA(ペンタサ)やステロイドの坐薬や注腸 薬を主に用います.重症以上では、ステロイド治療がメインとなりますが、状態に応じて 5-ASA(ペンタサ)を併用します.また、抗 TNF-α抗体(レミケード)やタクロリムスは 最近認可された新しい治療薬で特に重症例に用いられています.免疫抑制剤(イムラン)は、 ステロイド薬の効果が不十分な場合に他剤との併用で用いられます. (2) 血球成分除去療法:中等症以上でステロイド薬の効果が十分でない場合に多く用いられてお ります. (3) 外科治療:病変が高度な場合には大腸に穴があくこともあり、大量に出血したり、大腸がひ

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どく拡張する(中毒性巨大結腸症)こともあります.このような場合には緊急に手術が必要 です.また、大腸癌になった場合にも手術が必要になります.内科的治療が効きにくい難治 例や重症例の場合にも、内科的治療のバランスの点から手術を選択することがあります.手 術の方法は、大腸全摘ですが、肛門を残す術式と肛門も一緒に切除して永久人工肛門とする 術式があります.大腸粘膜をすべて切除して小腸を肛門につなぐ回腸肛門吻合術、大腸(直 腸)をわずかに残して小腸を肛門管につなぐ回腸肛門管吻合術、直腸を残して小腸を直腸に つなぐ回腸直腸吻合術などがあります.それぞれ、排便機能の問題や術後治療が必要だった りで一長一短があります. 図:潰瘍性大腸炎に対する主な手術術式(潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針. 平成23年後改訂版より) 5. クローン病の疫学、病因 クローン病は、1932年に米国の BB クローン博士が報告した限局性腸炎ですが、後に小腸のみ

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ならず大腸にも病変を生ずることがわかり、現在では肛門も含め消化管全域に病変を生ずる疾患で あることがわかってきています.日本では、平成21年には3万人を越える患者数が特定疾患とし て登録されています.男:女比は、潰瘍性大腸炎とは異なり2:1を超え男性優位です.発症年令 は、20代後半をピークに10代から30代が最も多いとされています.数々の研究でこれまで明 らかにされてきていますが、いまだにクローン病発症のメカニズムは解明されてはいません.遺伝 的素因、免疫系の異常、食事因子、腸内細菌など多くの要因が複雑に関与していると考えられてい ます. 6. クローン病の症状、分類 クローン病の症状は、下痢、腹痛、倦怠感、貧血、肛門部症状、痔瘻、腹部膨満、体重減少、発熱、 血便など多岐にわたっています.主に小腸、大腸がおかされますが、病変部位の分布により、小腸 病変のみの小腸型、大腸病変のみの大腸型、両方に病変を有する小腸大腸型の3型に分類されてい ます.クローン病患者全体の半数以上は小腸大腸型で、ついで小腸型、大腸型となっています.ま た、病態による分類も行われており、深い潰瘍により、瘻孔(腸管同士あるいは膀胱などの他臓器 との間に交通ができるもの)、穿通(潰瘍が他の腸管、多臓器に達して癒着するもの)、穿孔(腸に 穴があくもの)をおこす“瘻孔型“と腸が狭くなるだけの”狭窄型“と、瘻孔も狭窄もない炎症だ けの”炎症型“の3型に分けられます.重症度は、軽症、中等症、重症の3段階に分けられ、各重 症度に応じて、治療指針が定められています.

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7. クローン病の治療 (1)薬物療法:5-ASA(ペンタサ)、サリチルアゾスルファピリジン(サラゾピリン)は軽症例や 寛解維持療法に用いられます.免疫抑制剤のアザチオプリン(イムラン)は単独または他剤との併 用で用いられ、抗 TNF-α抗体(レミケード、ヒュミラ)も最近、奏功率が高いことから広く用い られるようになりました.ステロイド剤は、使いやすいことと有効性から寛解導入時に使用されま すが、副作用の点から長期間の使用には不適とされております.また、これらの薬剤に併用する形 で、メトロニダゾール(フラジール)、シプロフロキサシン(シプロキサン)などの抗菌薬が症状緩 和の目的で使用されることもあります. (2)栄養療法:成分栄養剤(エレンタール)は経管栄養または経口として、副作用もほとんどな いため本邦では広く用いられており、寛解導入や寛解維持の双方に有効です.重症例、合併症を有 する例では、絶食の上で中心静脈栄養が、特に手術を視野に入れた場合には、用いられます. (3)血球除去療法:顆粒球除去療法(アダカラム)が本邦では認可されており、通常治療で効果 が不十分または通常治療が使えない場合に適応とされています. (4)内視鏡的バルーン拡張術:特に腸管が狭くなった場合で、他に瘻孔などの合併症がない部分 に対して、内視鏡的バルーン拡張術を行うことがあります.手術を避ける方法として有効ですが、 腸が裂けて穴があくなどの合併症の可能性もあるため、手技に十分習熟した施設にて行う必要があ ります. (5)外科治療:外科治療の原則は、狭窄、瘻孔、穿孔、膿瘍、大量出血などの合併症を有する腸 管を切除することです.切除範囲は、正常な部分をできる限り残す小範囲切除が原則です.また、 短い狭窄の場合には、切除せずに拡張するだけの狭窄形成術を用いることもあります.とくに重症 な肛門病変を有する患者さんに対しては、人工肛門を造設することがあります.クローン病の手術 に当たっては、通常の手術と異なった知識や技術が要求されますので、経験豊富な病院での治療が おすすめです. (6)肛門病変に対する治療:内科的治療としては、メトロニダゾール(フラジール)などの抗菌 薬や抗 TNF-α抗体(インフリキシマブ、ヒュミラ)などを用います.肛門病変で最も多いのは肛 門周囲膿瘍や痔瘻ですが、膿の排出を促すシートン法が有効です. (7)クローン病での食事の注意:クローン病では、食事によって腸の消化吸収が変化しますので 注意が必要です.クローン病患者では、特に動物性脂肪は消化吸収が悪く下痢しやすいので過剰に 摂取することは避けるべきです.揚げ物、フライなどは控え、消化の良い和食中心の食事—一般に、 低脂肪、低残渣食と呼ばれるーが望ましいと思います.腸に狭窄のある場合は、繊維質の多い食事 は避けるべきです. 8. まとめ 炎症性腸疾患は、厚労省から特定疾患に指定されている難病ですが、この5年間の間に新しい治療 方法が多く開発され、治療が大きく進歩しており、現在では、入院せずに学業や仕事のかたわら、

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治療を続けることができるようになってきております.外科治療も同様で手術後の QOL は手術の 前に比べると格段に向上し、普通に生活することができます.どうか、おそれることなく、病気に 立ち向かっていって欲しいと思います.

参照

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