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宮本大輔 山川修治

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決のままであるが,PDOが世界各地の天候に影響を与 えていることがわかっている (例えば,Mantua and Hare (2002); Zanchettin et al. (2008) ; Deflorio et al. (2013) ; Krishnamurthy et al. (2014) ; Urabe and Maeda (2014)) 。

本稿では,PDOと総観気候系との関係について統計 的手法を用いて調査した。第2 章では,使用したデータ と解析方法について述べる。第3 章では,PDOについ ての説明を行う。第4 章では,相関係数を用いた議論を 行い,第5 章でPDOが卓越した時の大気循環場につい て議論する。そして,第6 章で全体のまとめを行う。な お,本稿では特徴的な結果が得られた1月と 8月につい て扱う。 1.はじめに 気候変動を考える上では海洋の役割が重要であること がよく知られている。特に,地球上で広大な面積をもつ 太平洋における海洋の変動は気候システムへの影響も大 きいと考えられる。Mantua et al. (1997) は北太平洋域 において数十年スケールの海面水温 (SST) 変動がある ことを明らかにし,これを太平洋十年規模振動 (Pacific Decadal Oscillation; PDO) という。

PDOは気候システム変動の要因の一つと考えられて おり (山川,2005),PDOに関する研究はこれまでに数 多くなされている。PDOのメカニズムに関しては未解

We investigated the relationships between Pacific Decadal Oscillation (PDO) and synoptic climate system using PDO Index (Washington Univ.) and NCEP/NCAR reanalysis data. In tropical zones, we found a positive correlation between PDO and sea level pressure (SLP) in the areas of Southeast Asia, South Asia, Middle East and a part of Africa. The varia-tions in the location and intensity of Walker circulation are dependent on PDO as well as ENSO. In the Northern Hemi-sphere, we detected a correlation between PDO and not only Siberian High but also Aleutian Low in January. The PDO warm phase is characterized by the quasi-stationary 3-wave pattern at 500 hPa and a warm winter in East Asia. It is point-ed out that Arctic Oscillation (AO) tends to be in a positive phase in January. In summer, we revealpoint-ed a positive correla-tion between PDO and Okhotsk High in August. PDO tends to be at a statistically significant level with SLP in the Okhotsk Sea with a ridge in the Far East at 500 hPa in both June and August. In the Southern Hemisphere, South Pacific High seems to be strong in the PDO cool phase. This study indicated a negative correlation between PDO and South Pacific Convergence Zone (SPCZ). Antarctic Oscillation (AAO) tends to be in a negative/positive phase during the warm/cool PDO phase, respectively. The quasi-stationary 3-wave pattern shows a tendency to prevail in January during the PDO cool phase.

Keywords: Pacific decadal oscillation (PDO), Arctic oscillation (AO), Antarctic oscillation (AAO), South Pacific convergence zone (SPCZ), Okhotsk High, Siberian High, Aleutian Low

Daisuke MIYAMOTO

and Shuji YAMAKAWA

**

(Accepted November 30, 2017)

Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8850 Japan

** Department of Earth and Environmental Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan

日本大学大学院総合基礎科学研究科:

〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

** 日本大学文理学部地球科学科:

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宮本 大輔・山川 修治 2.データおよび方法 本研究で使用したデータを以下に示す。 (1) PDO Index (ワシントン大学) (2) 海面更生気圧 (SLP),500hPa高度場,風向・風 速 (NCEP/NCAR再解析データ) (3)外向き長波放射量 (OLR) (NOAA)

ま ず,PDO IndexとSLP・500hPa高 度 場・OLRに つ いて,それぞれ同時相関係数を求め,相関係数分布図を 作成した。解析期間は1981∼2015年である。ただし, OLRについては1981∼2013年で解析した。 次に,PDO正負卓越年別に SLP・500hPa高度・東西 風・ 南 北 風・OLRについてコンポジット解析を行っ た。解析期間は1975∼2015年である。ただし,OLRに ついては1975∼2013年で解析した。図 1 に年平均PDO Indexの経年変動時系列を示す。この図からPDOの卓越 年について,正負別にそれぞれ上位5 事例を抽出した。 抽出された事例を以下に示す。 ・正卓越年:1983,1987,1993,1997,2015 ・負卓越年:1975,1999,2008,2011,2012

PDOの時間構造は通常 PDO Indexを指し,イレギュ ラーな位相変化を示したり,年々変動を示したりする。 そのため,年々変動をノイズとみなし,年々変動成分を 除去した時系列を議論することもあれば,データ期間が 短い場合は年々変動を変調とみなし,年々変動成分を含 めたまま議論することもある (望月,2015)。本研究で は,データ期間が短いことから,年々変動成分を含めた まま議論することにした。 3.PDO の分布と時系列変動の特徴 PDOは 北 太 平 洋 域 に お け る10年 規 模 の 海 面 水 温 (SST) 変動であり,20°N以北におけるSST偏差をEOF 解析したときの第1モードと定義されている (Mantua et al., 1997)。SST 偏差分布は 20°N 以北における北太平洋 域でみられるものであるが,実際には熱帯域において ENSOと同様な SST分布も示す。PDOの正フェイズ時 はアラスカ近海∼北米西岸,熱帯太平洋中部∼東部で暖 水,北西太平洋で冷水という空間分布を示す。PDOの 負フェイズ時はその分布が逆になる (図 2)。 PDO IndexはSST偏差をEOF解析したときの時係数 PC1を 指 す。 図 3 にPDO Indexの 変 動 (1900年 1月 ∼ 2015年10月) を示す。1920∼1940年代,1980∼1990年 代 お よ び2014∼2015年 はPDOが 正 フ ェ イ ズ,1900∼ 1920,1940∼1980,2000年代はPDOが負フェイズを示 しており,数十年スケールの変動がみられる。 4.PDO と総観気候系との関係 (1)1 月 図4aは各年の 1月におけるPDOとSLPの同時相関係 数分布図である。東アジア∼中央シベリア,東シベリ ア,ヨーロッパ,アリューシャン列島南東方,カリブ海 諸国で負の相関関係が認められる。 東アジア∼中央シベリアの負相関域はPDOとシベリ ア高気圧との間に負の相関関係があることを示してい る。アリューシャン列島南東方の負相関域はアリュー シャン低気圧東部と対応している。つまり,PDOが正 フェイズのときアリューシャン低気圧が東偏強化される 関係にあることを示唆している。 東南アジア∼南アジア,中東∼東アフリカ・中部アフ リカ・南部アフリカ∼南米北部,南極では正の相関関係 が認められた。 図4bは各年の 1月におけるPDOと500hPa高度場との -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 19 75 19 76 19 77 19 78 19 79 19 80 19 81 19 82 19 83 19 84 19 85 19 86 19 87 19 88 19 89 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 20 13 20 14 20 15 図1  年平均PDO指数の時系列 (1975∼2015年)

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PDOと負の相関関係がある。これはPDOと北太平洋高 気圧が負の相関関係にあることを示している。北太平洋 高気圧とオホーツク海高気圧の変動にはPDOも中心的 な役割を果たしていることが明らかになってきている (松村・堀之内,2016)。東南アジア,南アジア,中東, アフリカ,熱帯大西洋,中米,北米においては正相関の 有意域がつながって分布していることが特徴的である。 南極では負の相関関係となっている。 図5bは各年の 8月におけるPDOと500hPa高度場との 同時相関係数分布図である。日本列島を含む東アジア∼ アリューシャン列島,ハワイ北部,北米北部,北アフリ カ北西部,オーストラリア西部,南極で負の相関関係が 認められる。東南アジア,南アジア,中東,東アフリ カ,中米,北米南東部,アラスカでは正の相関関係が認 められた。 図5cは各年の 8月における PDOとOLRとの同時相関 係数分布図である。太平洋赤道域,西日本,地中海,北 同時相関係数分布図である。中央シベリア,東シベリ ア,北日本,アリューシャン列島南東方,ヨーロッパで 負の相関関係が認められる。東アジア,中東∼北アフリ カ,南部アフリカ,北米北西部,南米中部,オーストラ リア北東部,南極で正の相関関係が認められた。 図4cは各年の1月におけるPDOとOLRの同時相関係 数分布図である。太平洋赤道域,南アジア,カリブ海諸 国,マダガスカル北部では負の相関関係が認められる。 ハワイ周辺海域,メラネシア,東南アジア,南米北部, 熱帯大西洋,オーストラリア東部では正の相関関係が認 められた。 (2)8 月 図5aは各年の8月におけるPDOとSLPとの同時相関 係数分布図である。オホーツク海上で正の相関関係が認 められる。これは,8月に出現するオホーツク海高気圧 はPDOと関係していることがいえる。北太平洋域では 図2  PDO正負別にみた海面水温偏差分布 【出典】ワシントン大学Web-site (http://research.jisao.washington.edu/pdo/PDO) 図3  PDO指数の時系列 (1900年1月∼2015年10月) 【出典】ワシントン大学Web-site (http://research.jisao.washington.edu/pdo/PDO)

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宮本 大輔・山川 修治

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宮本 大輔・山川 修治 東部で有意な弱化傾向がみられる。アイスランド低気圧 の西部でも有意な弱化傾向がみられる。日本列島南岸, 北米では有意な負の偏差がみられる。東南アジア,南ア ジア,中東,北アフリカでは有意な負の偏差となってお り,正卓越年のときと逆パターンを示している。 南半球においては,正卓越年 (図6c) をみると,南極 では有意な正偏差がみられる。南極振動 (AAO) は負の 傾向を示している (山崎・宇田川,2010)。負卓越年 (図 6d) ではオーストラリア北東部で有意な負の偏差を示し ており,低気圧が卓越しやすい状況となっている。 AAOは正の傾向を示している。 図7 はPDO正負卓越年別にみた500hPa高度 (1月) の平均偏差図である。北半球においては,正卓越年 (図 7a) のとき,極渦の有意な強化傾向がみられ,ロシア西 部ではトラフ場が明瞭となっており,寒気の南下がみら れる。3 波数循環が特徴的で,東アジア,北米北部, ヨーロッパでは正偏差で暖冬傾向となっている。AOは アフリカ,北米,南米,オーストラリア北西部では負の 相関関係が認められる。インドネシア∼メラネシアでは 正の相関関係が認められ,南太平洋収束帯 (SPCZ) の活 動と関係していることがわかる。インド北西部,西アフ リカ,熱帯大西洋では正の相関関係が認められる。 5.PDO 正負卓越年別にみた総観気候系の特徴 (1)1 月 図6 はPDO正負卓越年別にみたSLP (1月) の平均偏 差図である。北半球をみると,正卓越年 (図6a) ではシ ベリア高気圧の北西部で有意な負の偏差がみられる。グ リーンランドでは有意な負の偏差となっており,極渦の 強化傾向がみられる。イギリスでは有意な正偏差であ る。東南アジア,南アジア,中東,北アフリカでは有意 な正偏差がみられる。また,北極振動 (AO) では正の傾 向がみられる (山川,2005;山崎,2008)。 負卓越年 (図6b) をみると,アリューシャン低気圧の 図6  SLP (1月) [hPa] の平均偏差図。コンターは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (北半球)(b)PDO負卓越年 (北半球) (c)PDO正卓越年 南半球)(d)PDO負卓越年 (南半球)

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偏西風は有意な強化傾向を示している。南米∼アフリカ における偏西風は有意な弱化傾向を示している。負卓越 年(図8b)のときは,太平洋赤道域で有意な東風偏差 となっており,貿易風の強化傾向がみられる。インド洋 では有意な西風偏差となっており,インドネシアでは収 束場になっていることがわかる。南半球では偏西風の強 化傾向がみられた。 南北風偏差においては,正卓越年 (図8c) のとき, ユーラシア大陸において有意な南風偏差がみられる。ハ ワイ北方では北風偏差,東方では南風偏差がみられる が,これはアリューシャン低気圧の発達によるものと考 えられる。負卓越年 (図8d) のときは,ハワイ北西沖で 南風偏差,アラスカ近海および北米西岸では北風偏差が みられるが,これはアリューシャン低気圧の弱化による ものと考えられる。北米北東部では有意な南風偏差と なっているが,アイスランド低気圧が弱化していると考 えられる。 正の傾向がみられる。負卓越年 (図7b) のときでは,2 波数循環となっている。アリューシャン列島南東部,北 米北東部,ロシア西部では有意な正偏差がみられる。東 アジア,東南アジア,北アフリカ,北米北西部,南米北 部では有意な負偏差となっており,低温傾向がみられ る。 南半球においては,正卓越年 (図7c) のとき,AAOが 負の傾向となっている。負卓越年 (図7d) のときは,南 米南部で有意な正偏差で暑夏傾向,オーストラリア北東 部,南米中部,アフリカ南部,マダガスカル南部で有意 な負偏差で低温傾向がみられる。また,3波数循環が特 徴的である。 図8 はPDO正負卓越年別にみた850hPa風偏差図であ る。東西風偏差においては,正卓越年 (図8a) のとき, 太平洋赤道域で有意な西風偏差がみられ,貿易風の弱化 傾向を示している。東南アジアでは北東季節風の東西成 分が有意な強化傾向を示している。ユーラシア大陸上の 図7  500hPa高度(1月)[m]の平均偏差図。コンターは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (東西風偏差)(b)PDO負卓越年 (東西風偏差) (c)PDO正卓越年 (南北風偏差)(d)PDO負卓越年 (南北風偏差)

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宮本 大輔・山川 修治 図10はPDO正負卓越年別にみた OLR (1月) の偏差図 である。正卓越年 (図10a) では,東南アジア,ギニア 湾,熱帯大西洋で対流不活発傾向となっている。負卓越 年 (図10b) では,東南アジア,メラネシア,南米北部, 熱帯大西洋で対流活発傾向となっており,太平洋赤道域 中部,西アフリカでは対流不活発傾向となっている。 (2)8 月 図11はPDO正負卓越年別にみたSLP (8月) の平均偏 差図である。北半球における正卓越年 (図11a) では, オホーツク海上で有意な正偏差がみられ,オホーツク海 高気圧の卓越傾向にあることが考えられる。東南アジア やインドでは有意な正偏差で,モンスーン低気圧は不活 発傾向にあることが考えられる。負卓越年 (図11b) で 図9 はPDO正負卓越年別にみた200hPa東西風偏差図 である。正卓越年 (図9a) のとき,太平洋赤道域では有 意な東風偏差がみられる。図8 からウォーカー循環は弱 化傾向となっている。北半球のジェット気流は地中海∼ 日本南岸で北寄りにシフトする傾向がみられる。南半球 のジェット気流は弱化傾向となっている。負卓越年 (図 9b) のときは,北アフリカ∼東アジアにおけるジェット 気流が南寄りにシフトする傾向がみられる。ハワイ北方 ではジェット気流が弱化傾向となっている。 南半球におけるジェット気流は強化傾向を示してい る。太平洋赤道域では有意な西風偏差となっており,図 8 からウォーカー循環が強化されていると考えられる。 また,フィリピン上空では有意な東風偏差で,熱帯太平 洋西部では発散場がみられる。 図8  850hPa風偏差図 (1月)[m/s]。ベクトルは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (東西風偏差)(b)PDO負卓越年 (東西風偏差) (c)PDO正卓越年 (南北風偏差)(d)PDO負卓越年 (南北風偏差)

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特徴的である。負卓越年(図12b)では,東アジアで有 意な正偏差がみられ,暑夏傾向となっている。中央シベ リアでは有意な負偏差がみられ,寒冷渦の出現頻度が高 いと考えられる。ヨーロッパでは有意な西谷型がみら れ,悪天傾向であると考えられる。 南半球における正卓越年 (図12c) では,南極で有意 な負偏差がみられ,低温傾向が顕著となっている。オー ストラリア南東部,アフリカ南部では有意な正偏差で暖 冬傾向を示している。負卓越年 (図12d) では,南米南 西部で有意な負偏差がみられ,低温傾向となっている。 図13はPDO正負卓越年別にみた850hPa風偏差図 (8 月)である。正卓越年 (図13a,c) では,オホーツク海 上で有意な東風偏差と北風偏差がみられる。これはオ ホーツク海高気圧の卓越によるものと考えられる。負卓 越年 (図13b,d) では,熱帯太平洋で有意な東風偏差と なっており,北太平洋高気圧から吹き出す偏東風が強化 傾向にあることがわかる。 は,北太平洋高気圧の有意な強化傾向がみられ,日本へ の張り出しも正卓越年より大きくなっている。中央シベ リアでは有意な低気圧傾向であるが,上空の寒冷渦の活 動によるものと考えられる。アゾレス高気圧は有意な弱 化傾向を示している。 南半球における正卓越年 (図11c) では,南極では有 意な負偏差を示している。また,オーストラリア高気圧 は有意な強化傾向となっている。負卓越年 (図11d) で は,南太平洋高気圧の有意な強化傾向を示している。 図12はPDO正負卓越年別にみた500hPa高度 (8月) の平均偏差図である。北半球における正卓越年 (図12a) では,日本付近で東谷型傾向となっている。ユーラシア 大陸東岸では偏西風の分流傾向がみられ,極東リッジを 形成している。500hPa極東リッジが形成されると,数 日以内にオホーツク海高気圧が発達するという関係にあ ることが知られている(山川,2000)。この極東リッジ はアラスカ方面におけるリッジとリンクしていることが 図9  200hPa風偏差図 (1月) [m/s]。ベクトルは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (東西風偏差)(b)PDO負卓越年 (東西風偏差) 図10  OLR偏差図(1月)[W/m2]。シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (b)PDO負卓越年

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宮本 大輔・山川 修治 ア,南アジア,中東,アフリカの一部地域でPDOと正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た。PDOでもENSOと同様に ウォーカー循環の変動がみられ,東南アジアでは正卓越 年のとき発散場,負卓越年のとき収束場が確認できた。 北半球中高緯度帯においては,冬季 (1月) における シベリア高気圧とアリューシャン低気圧はPDOとの相 関関係が認められた。正卓越年では500hPa高度で 3 波 数循環がみられ,東アジアでは暖冬傾向になる。また, 正卓越年の1月には AOの正フェイズがみられるように なる。 夏季においては,8月のオホーツク海高気圧がPDO と正の相関関係にあることがわかった。正卓越年の8月 では,オホーツク海上で有意な高気圧偏差がみられ, 500hPa高度では極東リッジも確認できた。また,太平 洋・日本 (PJ) パターン (Nitta,1987) もみられ,オホー ツク海高気圧の卓越に一役買っているものと解釈され る。 図14はPDO正負卓越年別にみた200hPa東西風偏差 図(8月)である。正卓越年(図14a)では,北半球に おけるジェット気流が全体的に南偏する傾向にある。一 方,負卓越年(図14b)では,ジェット気流が北偏する 傾向にある。 図15はPDO正負卓越年別にみた OLR (8月) の偏差図 で あ る。 正 卓 越 年 ( 図15a) で は, 南 太 平 洋 収 束 帯 (SPCZ) が不活発傾向にある。負卓越年 (図15b) では, インドネシア,アフリカ北部で対流活動が活発傾向と なっている。 6.まとめ 太平洋十年規模振動 (PDO) と総観気候系との関係を 調べるために,ワシントン大学のPDO IndexとNCEP/ NCAR再解析データを使用して,相関解析とコンポジッ ト解析を行った。 熱帯地域においては,SLPに関してみると,東南アジ 図11 SLP (8月) [hPa] の平均偏差図。コンターは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (北半球)(b)PDO負卓越年 (北半球) (c)PDO正卓越年 (南半球)(d)PDO負卓越年 (南半球)

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謝辞 本研究を進めるにあたり,作図ソフトGrADSの扱い方等 をご教示いただいた秋田県立大学の井上誠准教授,(株)ラ イフビジネスウェザーの小櫃美月氏,ならびに貴重なご意見 を頂いた研究室所属の丸本美紀研究員をはじめとする皆さん に深く感謝いたします。また,ワシントン大学が提供してい るPDO Index,アメリカ国立環境センターと大気研究セン タ ー で 開 発 さ れ たNCEP/NCAR再 解 析 デ ー タ, お よ び NOAAのOLRデータを多岐にわたり活用させていただきま したことについて御礼いたします。 なお,本稿は第一著者の2016年度・地球システム科学 科・卒業論文に加筆・修正を施して作成されたものである。 南半球中高緯度帯においては,負卓越年のときに南太 平洋高気圧が強まる傾向にある。SPCZはPDOと負の相 関関係にあることがわかった。また,AAOは 1月におい て正卓越年で負フェイズ,負卓越年で正フェイズの傾向 がみられるが,8月の正卓越年では正フェイズの傾向を 示す。さらに,3 波循環が 1月の負卓越年で明瞭にみら れた。 図12 500hPa高度 (8月) [m] の平均偏差図。コンターは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (北半球)(b)PDO負卓越年 (北半球) (c)PDO正卓越年 (南半球)(d)PDO負卓越年 (南半球)

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宮本 大輔・山川 修治 図13 850hPa風偏差図 (8月) [m/s]。ベクトルは平均,シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)PDO正卓越年 (東西風偏差)(b)PDO負卓越年 (東西風偏差) (c)PDO正卓越年 (南北風偏差)(d)PDO負卓越年 (南北風偏差) 図14 200hPa風偏差図 (8月) [m/s]。ベクトルは平均, シェードは偏差,黒太実線域は95%有意域。 (a)正卓越年 (東西風偏差)(b)PDO負卓越年 (東西風偏差)。

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図 4  各年の 1月におけるPDOとの同時相関係数分布図。(a)SLP,(b)500hPa高度場,(c)OLR
図 5   各年の 8月におけるPDOとの同時相関係数分布図。(a)SLP,(b)500hPa高度場,(c)OLR

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