平成26年5月16日
日本製紙連合会
メンタルヘルスセミナー
中央労働災害防止協会
健康快適推進部 研修支援センター
所 長
三 觜 明
(心理相談員
産業カウンセラー)
みつ はし
「強い不安・悩み・ストレス」がある労働者の割合
%
(厚生労働省:労働者健康状況調査 2012年)
その理由の第一位は
労働者の自殺者数 (総数27,858名)
名
(警察庁 2012年)
精神障害等の労災認定状況
件〔うち自殺
件〕
(厚生労働省 2012年)
27,421
475
93
労働の高密度化
就労環境の変化
およそ70%はうつ病
が原因と推測
1.職場のメンタルヘルスの現状
60.9
職場の人間関係
1257 1272 1181 42 155 212 265 341 447 524 656 819 952 927 1136 0 100 200 300 400 500 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 精神障害等(支給決定件数) うち自殺(未遂を含む) 精神障害等(請求件数) (件) 資料:厚生労働省 4(3) 269(66) 14(11) 36(19)70(31) 100(43) 108(40) 130(45) 127(42) 205(66) 268(81) 308(65) 234(63) (件) 平成 年 325(66) 475(93) 職場でのいじめや嫌がらせも判断要件に 「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」 (平成11年9月、基発第544号、545号)
■
精神障害等に係る労災認定件数の推移
「心理的負荷による精神障害の認定基準」 (平成23年12月26日、基発1226第1号)働く人のストレスと
メンタルヘルス対策
メンタルヘルス不調はだれにも起こりうる
誤解や偏見をなくし、適切な対応を!
4眠れない
イライラする
落ち込む
不安
やる気が
起きない
3.4 1.4 1.6 5.6 9.2 12.6 29.1 29.1 31.7 38.2 58.4 67.7 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 無回答 専門家等に相談しづらい雰囲気 年休取得の難しさ 上司が部下を育成する余裕がない 長時間労働 成果がより求められることによる競争過多 上司・部下のコミュニケーション不足 家庭の問題 仕事の責任の増大 仕事量・負荷の増加 職場の人間関係 本人の性格の問題
ストレス
うつ病
5 (複数回答、%) 注:選択肢は3位まで3つ選択する複数回答。 「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」 独立行政法人 労働政策研究・研修機構、2012年3月■
どのような人にメンタルヘルス不調が現れるのか?
性格傾向
ストレス
防衛医科大学校防衛医学研究センター 高橋 祥友より一部改訂生物学的要因
精神疾患
家族的背景
うつ病
うつ状態
自殺の
危険
覚悟の自殺・原因不明 6複数の因子
が重なり合わ
さって発症す
ることがほと
んど
■
メンタルヘルス不調が現れる原因
【職場での出来事】
・仕事上の失敗、重い責任の発生
事故や失敗による責任
・仕事の質・量の変化
長時間労働・ コンピューター化
・役割・地位・身分の変化
昇進・降格・配置転換・出向・入社
・組織変革や合併に伴う風土の変化
・人間関係のトラブルや変化
上司や部下との対立、
セクハラ・パワハラ
【職場以外での出来事】
・自分の出来事
病気・家庭内不和・人との
トラブル・事故や災害
・自分以外の出来事
家族・親族・友人の死や病気、
非行など
・金銭問題
多額の借金・ローン・収入減
・住環境の変化
転居・騒音
7■
様々なストレス要因(ストレッサー)
日常の中で起こ
る様々な変化
⇒刺激(ストレス)
心理的側面
うつ症状 意欲の低下 気力、集中力の低下 不安 ・緊張 ・イライラ身体的側面
行動的側面
高血圧 胃十二指腸潰瘍 糖尿病 くびや肩のこり 動悸 息切れ 下痢、便秘 食欲不振 不眠 肥満 斜頚 生活の乱れ 過食、拒食 異常行動、暴力 作業能率の低下 作業場の事故 幻聴、幻影 アルコール依存 自殺念慮、リストカット心理的ストレス要因に対する反応は、人により異なる
8■
ストレスに対する反応
ストレス
ス
ト
レ
ス
関
連
疾
患
身体疾患
呼吸器系 消化器系 循環器系 免疫系 神経・筋肉系 生活習慣病 等精神疾患
うつ病 不安障害 パニック障害 アルコール依存症 PTSD 等63% 61% 57% 52% 29% 21% 20% 19% 16% 16% 14% 11% 10% 9% 6% 5% 3% 2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 睡 眠 障 害 食 欲 不 振 頭 重 感 倦 怠 感 便 秘 め ま い 頭 痛 性 欲 減 退 心 悸 亢 進 口 渇 肩 こ り 悪 心 ・ 嘔 吐 月 経 異 常 体 重 減 少 多 汗 胸 部 圧 迫 感 過 眠 耳 鳴
■
初診時のうつ病患者の身体症状と初診診療科
170人の患者
*女性患者中の頻度 森-1989を一部改変 * 9 婦人科 10% 整形外科 3% 脳外科 8% その他 1% 耳鼻科 4% 内科 64% 精神科 6% 心療内科 4% 出典:三木治「プライマリ・ケアにおけるうつ病の治療と実態」 (心身医学、42: 585-591, 2002) 腹痛 下痢うつ病、うつ状態が疑われる時のチェック項目
*1. この2週間、いつも憂うつな感じがしたり、気持ちが沈んだりしている *2. この2週間、いろんなことに興味がなくなったり、楽しめなくなったりして いる 3. 食欲が減少、または増加した。意図しないのに体重が減少または増加した 4. 毎晩寝つきが悪かったり、夜中や早朝に目が覚めたり、逆に、遅くまで寝ている 5. 話し方や動作が緩慢になり、イライラして、落ち着きがなく、静かに座っていられない 6.いつも、疲れを感じたり、気力がないと感じたりする 7.いつも、自分に価値がないと感じたり、または罪の意識を感じたりする 8.いつも、集中できなかったり、すぐに決断できなかったりする。 9.自分を傷つけたり、自殺や死んでいればよかったと繰り返し考える。 項目1または2のうち少なくとも1つを含み、合計で5つ以上の症状があれば、明ら かにうつ病といえる。この条件を満たさなくても、該当する項目が多ければ、産業医、 保健師、看護師、いなければ、かかりつけ医や専門医と相談することを勧める。自 分がそうなったら、相談に行く。 (中災防「こころのリスクマネジメント」より) *代表的な診断基準である米国の「DSM-Ⅳ」を基に作成されている 10仕事の
ストレス要因
個人要因
ストレス
反
応
仕事外の要因
緩衝要因
NIOSH:アメリカ国立労働安全衛生研究所(1999:川上ら)疾病
家庭の出来事、家族の要求等
身体面、心理面、行動面
■
ストレスと健康との関係
ストレス
耐性を
高める
ストレス
要因を
軽減する
適切な
サポート
ストレスサインに 気づいたら、早めの セルフケアが大切 11 メンタルヘル ス不調の未然 防止にはライ ンによるケア が重要性・年齢・婚姻・性格・
生活習慣 等
上司・同僚・後輩
家族・友人 等
物理的環境・対人関係、
労働負荷(量・質) 等
あなたの職場は?
人を育てる余裕が職場になくなってきている
管理職の目が一人一人に届きにくくなってきている
仕事の全体像や意味を考える余裕がなくなっている
(公財)日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所 2012年11月8日
こんな職場で
「心の病」が増えている
12■
職場環境等の改善
第1ステップ
病気休業開始および休業中のケア
第2ステップ
主治医による復帰可能の判断
第3ステップ
職場復帰の可否の判断及び復帰
支援プランの作成(本人・産業医・人事・
上司
)
第4ステップ
最終的な職場復帰の決定
第5ステップ
職場復帰後のフォローアップ
職場復帰
(試験出社もあり)
~ 一定の手順にもとづく公平な対応を ~
132.部下の職場復帰を支える
•症状には波があり、それをくり返しながら回復していく
•復職が決まると症状が悪化することがある
自
宅
療
養
復
職
面
談
復
職
働くレベル再
燃
?
起 き ら れ る 散 歩 が で き る 本 が 読 め る3ヶ月
状態
時間
産業医 座間聡子氏資料より引用(一部改変)■
休職から復職時の状態推移
日常生活レベル 14★職場復帰の目標 : 「再発しないで、仕事ができるようになること」
① 通院・服薬を支持する
・一時的によくなったからといって自己判断で通院や服薬を中断するのは再発
リスクを高める。
・「通院することは良いこと」「主治医とよく相談しきちんと服薬し続けよう」
② 無理をしない(させない)
・まずは無理せず「会社に通い続けられるようにする」ことが最優先。
・毎日行った仕事をメモしてもらい、仕事の進捗状況を客観的に見る。
③ 定期的な面談と日ごろの観察
・復帰後の日々の勤務状況を確認し、気になったときに声かけする。
④ こまめな声かけと確認
・「気になることはどんなことでも聞いてね」
~暖かい受け止めと、関係者との連携~
■
部下の職場復帰を迎える上司の心得
15日々の状態や生活を自分で記録する。
↓
自分の心身の調子の変化に早めに気づき、対処することが可能。
□ 寝つきが悪い、夜中に何度もおきてしまう、朝早く目が覚めてしまう
□ 食欲がない・食欲が急に増えた、体重が減った・体重が増えた
□ 頭重感、頭痛、めまい、微熱、吐き気、下痢や便秘が続く
□ 気持ちが落ち込む、何事にも悲観的になる
□ 何もするにもおっくう
□ 楽しみだった趣味から遠ざかっている
□ 集中力がなくなる、仕事がはかどらない、失敗やミスが多くなる
□ 何でもないことでイライラする
□ 疲れが取れない
*管理監督者も参考にして部下の様子に気をつけましょう。
セルフチェックも有効
16■ 復帰者への接し方や配慮すべき点を伝える
・ 気を遣いすぎない
はれものに触るような接し方でなく、普通に挨拶や声かけ
・ サポートするつもりがあることを伝える
「自分にできることがあったら遠慮なく言って」 と、伝える
・ 対応に困ったときには、上司に相談する
■ 復帰者の業務や状態について必要な点を伝える
■ 負担やしわ寄せが過度にならないよう調整する
■
他のメンバーへの対応と配慮
17●
休業期間が長いと体力も集中力も低下しているので、できるだけ
仕事をさせないよう皆で気を使う。
→
●
復帰者を元気づけるため、職場の皆で歓迎会を開いた。
→
●
復帰者の健康状態が分からないと周囲も対応に困ると思い、
「うつ病」であることを部下たちに伝えた。
→
●
仕事の内容は明確に、指示はできるだけ細かく出す。
→
×
「うつ病」は孤独感の強い疾病。歓迎会という形でなく、日ごろから職場の 中で互いに声を掛けて気持ちを伝え合うことの方が大切。×
「仕事をさせない」ことがマイナス効果を生むこともある。
△
本人が病名の公表を望み、その疾病が周囲に正しく理解される状況であれば ○だが、そうでなければ×。上司が自分ひとりの判断で決めてはいけない。○
復帰直後は、考えたり判断したりすることが本人にとって大きな負担となる ことがある。明確・詳細に指示することが、負荷を軽減する支援となる。職場の対応 ○or×
18部下の不調に気づき、適切な対応をするために
(別紙事例検討用紙)
19
1.Hマネジャーの対応のチェック
(個人作業)
別紙事例の対応について適切(○)、不適切(×)をチェックする。
また、対応にあたっての注意点を検討する。
2.4人で意見交換
1問ずつ、チェックしたポイントとその理由、対応にあたっての
注意点を意見交換する。
3.発表、全体討議
4人で話し合ったことを発表し、全体で討議する。
講師より、ポイント解説を加える。
事例検討の進め方
20中災防 健康快適推進部
http://www.jisha.or.jp
ご清聴ありがとうございました
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