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中国の高貯蓄率の決定要因について

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(1)

中国の高貯蓄率の決定要因について

―クロスカントリー・データによる分析―

張 怡

*

Determinants of high saving rates in China:

A Cross-Country Empirical Analysis Zhang Yi*

Abstract

Saving rates in China has increased steadily in recent years, climbing to about 52 percent point of GNI in 2007. Why are saving rates so high in China compares to other countries? The purpose of this study is to investigate what factors has been contributing to the differences in China s saving rates from other countries. First we use panel data from 110 countries for the 1982-2015 period to identify the determinants of national savings.

The empirical results show that, the real per capita disposable income and the rate of growth of real per capita disposable income have a significant positive impact on national savings. Furthermore, the inflation rate, the real interest rate, the dependency rate, and the international financial integration have a negative impact on national savings. Then we calculated the contribution by determinants of saving to the variance in saving rates between China and average countries. As a result, China s relatively high real per capita disposable income growth rate, lower dependency rate, real interest rate, inflation rate and degree of international financial integrational contributed to the variance in saving rates between China and average countries.

*早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程:PhD Program, Graduate School of Asia-Pacific Studies, Waseda University

Email:choiq@moegi.waseda.jp

*UDGXDWH6FKRRORI$VLD3DFL¿F6WXGLHV:DVHGD8QLYHUVLW\

-RXUQDORIWKH*UDGXDWH6FKRRORI$VLD3DFL¿F6WXGLHV No.35 (2018.3) pp.95-113

(2)

1.はじめに

中国は

1970

年代末の改革開放政策の実施以来、廉価かつ豊富な資源及び労働力などの優勢を 利用し、積極的に輸出を拡大させた上、経済の急成長を実現した。しかしながら、輸出の拡大に 伴い、中国の経常収支も急増してきた。2000年代以降、米国の経常収支赤字と、中国をはじめ としたアジア諸国の経常収支黒字が拡大し、グローバル・インバランスが発生した。このグロー バル・インバランス問題は、リーマンショックを発端とする世界金融危機の主因の一つとも指摘 されている。また、グローバル・インバランスが拡大した原因はアジア諸国の過剰貯蓄にあると されている。

とりわけ、アジアの中でも、中国は極めて高い貯蓄率1を示している。世界銀行の

national accounts data

統計によれば、1982年の中国の貯蓄率はわずか

34%であったが、2001

年に

39%、

2007

年に

52%に達したのである。2011

年以降はやや低下傾向となったものの、依然として

50%前

後で推移している。高貯蓄率は中国経済が抱える国内不均衡、すなわち内需不足と投資加熱とも 関連している。したがって、この内外不均衡を是正するためには、中国における高貯蓄率の決定 要因を解明するのが有益である。

中国の貯蓄率の決定要因に関する研究は、中国の時系列のデータ、または国内地域レベルのパ ネル・データによる実証分析が多く行われている。ほとんどの研究はライフサイクル仮説に基づ いて分析されているが、人口年齢構造などの要因がもたらす影響に関しては、必ずしも一致して いる結論が見出されていない。また、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明 できるような、国際比較の視点からの分析はほとんど行われていないのが現状である。本稿にお いては、この空白を補うために、世界

110

ヵ国の

1982

年−2015年のパネル・データを用いて貯 蓄率の決定要因を再検証してから、どの要因が中国と他の国との貯蓄率の差に貢献しているのか について、実証分析を行う。

本稿の構成は次の通りである。第

2

節では、国際比較の視点から、中国における貯蓄率の推移 を概観する。第

3

節では、貯蓄率の決定要因に関する主な理論及び、先行研究をレビューする。

4

節では、実証分析の枠組みについて説明し、推定結果を報告する。第

5

節では、本稿の結論 及び今後の課題を提示する。

2.中国の貯蓄率の推移と国際比較

中国の貯蓄率は

1980

年代から全体として上昇傾向になっている。図

1

に示されているように、

2000

年から急激に上昇しており、2007年に

52%となり、1982

年の貯蓄率に比べて約

1.5

倍に伸 びていた。2007年からはやや低下傾向にあるが、50%程度の高い水準を維持している。それと 対照的に、中国の国民可処分所得に占める家計部門最終消費の割合は

1980

年代から後退し続け ている。1983年に

52%までに上昇していたにもかかわらず、2004

年以降は

40%を下回ったまま

である。

2

と表

1

では地域別の平均貯蓄率の推移を示している。それによれば、欧州と北米地域の貯 蓄率は横ばいまたは低下傾向が続き、20%台での推移となっている。一方、中国を除いた東ア

1 本稿では、貯蓄率の定義を国内総貯蓄の対国民可処分所得比とする。

(3)

ジア・太平洋地域は上昇しているが、2004年−2015年の平均貯蓄率は

33%程度、中国と比べて 15%ポイントも低かったのである。

このように、中国の貯蓄率は時系列では上昇傾向にあり、地域別で比較してみても高い水準に ある。本稿では、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明するために、貯蓄率 の決定要因のうち、どの要因が中国と他の国との貯蓄率の差に貢献しているのかについて考察し ていく。

図 1 中国の貯蓄率と消費率推移(%国民可処分所得)

(出所)World Bank, World Development Indicatorsより筆者作成

図2 貯蓄率の国際比較(% 国民可処分所得)

(出所)International Monetary Fund, World Economic Outlook Database、

Undata、World Bank, World Development Indicatorsより筆者試算

(4)

3.理論及び先行研究

(1)貯蓄率の決定要因に関する主な理論

貯蓄・消費に関する理論は主にケインズ消費理論とライフサイクル・恒常所得仮説に基づいて 発展されてきた。そのため、貯蓄率の決定要因についての実証研究もほとんど下記の理論によっ て分析を展開されている。既存理論及び実証研究によれば、貯蓄率は主に下記の要因によって影 響される。

① 所得要因

ケインズ型消費関数(式1)によれば、消費は所得に依存し、限界消費性向が安定であるた め、所得水準の上昇とともに、平均消費性向は低下し、平均貯蓄性向(式

2)は上昇する。すな

わち、貯蓄と所得は正の関係にある。さらに、一人当たりの所得が増えると、当該国の貯蓄率も 上がるはずである。

式1 

   C:消費 Y:可処分所得  :基礎的消費 式

2 

② 不確実性要因

予備的貯蓄理論によれば、家計などの将来の所得に不確実性がある場合、その不確実性に備え るために、消費を減らして貯蓄を増やす。例えば、インフレ率が上昇すると、マクロ経済と将来 の所得の不確実性の増加につながるため、貯蓄が増加する可能性がある2

表1 貯蓄率の国際比較(%国民可処分所得)

国・地域 1982−1992年平均 1993−2003年平均 2004−2015年平均

中国(CHINA) 36.13 39.16 48.84 東アジア・太平洋地域(EAP) 30.03 31.77 34.51 東アジア・太平洋地域(中国以外)

EAP(without China) 29.53 31.15 33.39

欧州・中央アジア(EUCA) 23.70 24.06 23.98 中南米(LCA) 12.27 13.08 14.62 中東・北アフリカ(MENA) 20.71 23.21 30.27

北米(NA) 20.16 20.30 20.14

南アジア(SA 15.14 17.80 20.36 サブサハラ・アフリカ(SSA) 8.04 8.29 10.24

(出所) International Monetary Fund, World Economic Outlook Database、Undata、World Bank, World Development Indicatorsより筆者試算

(注)対象国は表8の国リストを参照

2 一方、インフレ率が上昇すると、実質所得が落ち込む影響があるため、貯蓄率が下落する可能性もありうる。

(5)

③ 人口年齢構成要因

ライフサイクル仮説(Modiglinai and Brumberg, 1990)によれば、人は働ける期間において所 得の一部を貯蓄し、退職後は貯蓄を取り崩して消費する。そのため、実際に貯蓄率に影響してい るのは人口年齢構成である。したがって、老年人口と年少人口の対生産年齢人口比率が高いほ ど、貯蓄率が低い。

④ 金融市場の発展

金融市場の発達とともに消費者信用が増加するため、貯蓄が低下する可能性がある。しかし一 方、金融商品の多様化により貯蓄が増加する可能性もある。

⑤ 国際的金融統合

金融の自由化は、より効率的に資源の配分と情報の非対称性を軽減することにより経済成長を 高め、国内貯蓄を補足することが考えられる。また、国際金融統合により外国信用が増加し、国 内貯蓄が減少することもありうる。

(2)貯蓄率の決定要因に関する先行研究

貯蓄率の決定要因に関する先行研究は主に前述の要因について実証分析がなされてきた。

① 所得要因についての考察

貯蓄率に対する所得要因の影響についての先行研究においては、所得の水準または所得の成長 率は貯蓄率にプラスの影響を与えていると確認された研究が多い。

Horioka and Terada-Hagiwara(2011)では、1966−2007

年のアジア

12

ヵ国のパネル・データ を使い、国内貯蓄率の決定要因について実証分析を行った結果、この期間において、アジア発展 途上国の国内貯蓄率に対し、所得水準はプラスの影響を与えていることが確認された。Grigoli

et al.(2014)では、世界 163

ヵ国の

1981−2012

年のデータを用い実証分析した結果、国内総貯 蓄率に対し、実質一人当たりの所得とその成長率はプラスの影響を与えていると報告している。

また、Loayza et al.(2000)は、1965−1994年の

150

ヵ国の貯蓄率の決定要因についての分析で は、同じく所得要因のプラスの影響が確認された。

② 不確実性要因についての考察

貯蓄率に対し不確実性要因の影響についての先行研究は、インフレ率を不確実性の指標として 分析する研究が多い。また、ほとんどの研究では、インフレ率は貯蓄率に対しプラスの影響を与 えていると確認された。Chowdhury(2004)では、1993−2001年の東欧

21

ヵ国の貯蓄率に対し、

インフレ率は正の結果があると報告している。また、Grigoli et al.(2014)とLoayza et al.(2000)

においても同じく、貯蓄率に対しインフレ率はプラスの影響があると確認された。また、唐(2000)

は中国の

1978

年以降の家計高貯蓄率に対し、インフレ率はプラス効果があると示している。

③ 人口年齢構成要因についての考察

人口年齢構成要因が貯蓄率に与えている影響についての先行研究は、老年人口と少年人口扶養 比率のマイナス効果が確認され、ライフサイクル仮説と合致している研究が多い。

Modigliani and Cao(2004)では、中国の時系列データを用い、1953−2000

年の中国の家計部 門の貯蓄率に影響する要因について実証分析を行った。その結果では、人口年齢構造は貯蓄率に 対しプラスの影響を与えたと報告している。木原(2007)では、1973−2004年のアジアとサブ

(6)

サハラ・アフリカの途上国の貯蓄率について分析した結果、高貯蓄世代比率(40−60歳)と老 年人口比率(65歳以上)はマイナス影響があると示している。

しかし、Horioka and Wan (2007)では、1995−2004年のパネル・データを用い、中国の家計 貯蓄率の決定要因について実証分析を行ったが、人口年齢構造に関する変数は有意な影響が確 認できなかった。また、Swaleheen(2008)では、1994−2004年の

53

ヵ国の貯蓄率の分析では、

年少人口扶養比率がプラスの影響があると報告している。

④ 金融市場の発展についての考察

Grigoli et al.(2014)では、金融市場の発展の代理変数として、私的部門の信用フローの対国

民可処分所得比を用いて、貯蓄率に与える影響を分析した結果、金融市場の発展と貯蓄率にプラ スの効果があると示している。

しかし、Guo and N Diaye(2010)では、株式市場取引額の対

GDP

を金融市場の発展の代理変 数として、貯蓄率との関係を考察した結果、マイナスの関係であると確認された。ほかの金融市 場発展の代理変数として、Swaleheen(2008)では、M2の対

GDP

比を用いて分析したが、貯蓄 率にマイナスの影響があると報告している。

このように、金融市場の発展と貯蓄率の関係は不明確である。

⑤ 国際的金融統合についての考察

Rocher and Stierle(2015)では、2000−2012

年の

EU25

ヵ国の家計貯蓄率の決定要因を分析し た結果、国際的金融統合の代理変数として、FDI純流入フローの対GDP比は貯蓄率にマイナス の影響が確認された。

(3)中国と他の国との貯蓄率の差に貢献している要因に関する先行研究

Aart

(2000)では、1978−1995年の中国と他の国との貯蓄率の差に貢献している要因について

実証分析を行った結果、相対的に高い実質一人当たり所得の成長率、相対的に低い老年人口扶養 比率は最も貢献している要因であると報告している。

以上のように、貯蓄率の決定要因を対象とした先行研究は、所得要因と不確実要因が貯蓄率に 対しプラスの影響を与えていると確認された研究が多い。しかし人口年齢構造要因と金融市場の 発展がもたらす影響に関しては、必ずしも一致している結論が見出されていない。そして、国際 的金融統合の影響を考察した研究が数少ない。

また、国際比較の視点から、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明できる ような研究、特に

2000

年代以降のデータを用いた研究がほとんどなされていない。この空白を 補うために、本稿においては、貯蓄率に影響する要因のうち、どの要因が中国と他の国との貯蓄 率の差に貢献しているのかという問題を明らかにするのが目的である。そのため、まず

1982−

2015

年のクロスカウントリーのデータを用い、貯蓄率に影響する要因を検証してから、各要因 の中国と他の国との貯蓄率の差への貢献度を考察していく。

(7)

4.実証分析

(1)分析の枠組み

本稿において、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明するために、まずは 世界

110

ヵ国3

1982

年−2015年のパネル・データを用い、貯蓄率の決定要因について検証を 行う。貯蓄率の決定要因を明らかになってから、Aart(2000)及び

BulíĢ and Swiston(2006)で

使われていた手法を参考にし、中国とその他の国との貯蓄率の差に対する各要因の貢献度を考察 していく。第

3

節にて、貯蓄率の決定要因に関する理論と実証研究をレビューした結果、所得、

不確実性、人口年齢構成、金融市場の発展と国際的金融統合は貯蓄率に影響を及ぼしていること が明らかになった。したがって、本研究は既存の理論に基づき、先行研究を参考にし、貯蓄率の 決定要因について下記の推定モデルで分析を行う:

3 

:i国におけるt年の貯蓄率、LnGNDI_rp:対数を取った実質一人当たり可処分所得

(所得要因)、GNDI_rpg:実質一人当たり可処分所得の成長率(所得要因)、INF:インフレ率

(不確実性要因)、INT:実質金利(不確実所得要因)、CREDIT:私的部門の信用フローの対国 民可処分所得比(金融市場発展の代理変数)、OLD:老年人口扶養比率(人口年齢構成要因)、

YOUNG:年少人口扶養比率(人口年齢構成要因)、IFI:海外からの直接投資とポートフォリオ

の純流入フローの対

GDP比(国際金融統合の代理変数)、

:誤差項

次に、中国とサンプル平均との各説明変数の偏差を計算し、その差に上述のモデルにより推定 した各説明変数の係数を掛け、中国と他の国との貯蓄率の差に対する各要因の貢献度を求める。

(2)変数の選択と予想される結果(仮説)

本稿では、ライフサイクル仮説及びケインズの消費理論に基づき、また既存の実証研究を参考 にし、貯蓄率の決定要因について下記の変数にて推定を行う。

① 貯蓄率(NS)−被説明変数

本稿で分析の対象となる貯蓄率は国内総貯蓄の対国民可処分所得比とする。国内総貯蓄は国民 可処分所得から最終消費支出を引いたものであり、国民可処分所得は

GDP

と海外からの純所得 受取、海外からの純経常移転を合計したものである。

② 実質一人当たり可処分所得(LnGNDI_rp)−説明変数

ケインズ型消費関数によれば、所得水準の上昇とともに、平均消費性向は低下し、平均貯蓄性 向は上昇する。したがって、貯蓄率に対して所得は正の影響を与えると推測できる。また、本稿 では、国際比較のできる所得のデータを獲得するために、購買力平価で実質一人当たり可処分所 得を調整した。Ln は対数を取ったものを示す。

③ 実質一人当たり可処分所得の成長率(GNDI_rpg)−説明変数

3詳細なサンプル国リストは表8を参照。

(8)

実質一人当たり可処分所得の成長率は実質一人当たり可処分所得の対前年比である。所得の成 長率が高ければ高いほど、将来の資産に対する期待値も高くなる。そのため、消費を増やし、貯 蓄を減らす効果がある。しかし一方、ライフサイクル仮説及び恒常所得仮説4によれば、個人は 生涯にわたって、消費水準を平滑化する傾向があるため、消費を増やさず、貯蓄を増やす可能性 もある。したがって、貯蓄率に対する所得成長率の影響は不明確である。

④ インフレ率(INF)−説明変数

インフレ率が上昇すると、実質所得が落ち込む可能性があるため、貯蓄率が下落する可能性が ある。また、インフレ率は不確実性の代理変数として多く使われている。物価の上昇は、マクロ 経済と将来の所得の不確実性の増加につながるため、貯蓄が増加する可能性もありうる。した がって、予測される結果は不明白である。

⑤ 実質金利(INT)−説明変数

実質金利の上昇によって、貸し手側において所得が増加するが、借り手側において所得が減少 する。したがって、全体的には貯蓄率に対する実質金利の効果も不明瞭である。

⑥ 私的部門の信用フローの対国民可処分所得比(CREDIT)−説明変数

金融市場の発展は貯蓄に対し、正負両方の影響を与えうる。しかし、金融市場発展の度合いを 表す明確な指数がないため、本稿において、Grigoli, et al.(2014)に参照し、私的部門による信 用フローの対国民可処分所得比を金融市場の発展の代理変数とする。

⑦ 老年人口扶養比率(OLD)−説明変数

ライフサイクル仮説によれば、年齢グループによって貯蓄行動が異なるため、貯蓄率が人口年 齢構成によって影響される。本稿では、老年人口扶養比率と年少人口扶養比率の

2

つの変数をモ デルに組み込め、人口年齢構成の効果とライフサイクル仮説を検証した。老年人口扶養比率は、

老年人口の対生産年齢人口比である。また、65歳以上の人口を老年人口とし、15−64歳までの 人口を生産年齢とする。予測される貯蓄率との関係は負である。

⑧ 年少人口扶養比率(YOUNG)−説明変数

老年人口扶養比率と同じく、年少人口扶養比率は、年少人口の対生産年齢人口比である。ま た、0〜

14

歳の人口を年少人口とする。貯蓄率に対し負の影響を与えると予測する。

⑨ 海外からの直接投資とポートフォリオの純流入フローの対

GDP比(IFL)−説明変数

国際金融統合により国際金融市場へアクセスしやすくなり、外国信用などが増加することに よって、国内貯蓄が減少する可能性がある。しかし一方、国際金融統合は、より効率的に資源の 配分と情報の非対称性を軽減することにより経済成長を高め、国内貯蓄を増加させる可能性もあ る。国際金融統合の度合いを表す指数がないため、本稿において、GDPに占める海外からの直 接投資とポートフォリオの純流入フローの比率を、国際金融統合の代理変数とし、国際金融統合 の貯蓄率に対する影響を検証する。予測する結果は不明確である。

4 ローマ(2006)では、ライフサイクル仮説と恒常所得仮説の基本な考え方について、「ある期における個人の消費はそ の期の所得のみによって決定されるものではなく、その個人の生涯にわたる所得全体によって決まる」「個人は貯蓄と 借入れを使って消費経路を平滑化する」とまとめた。

は 期における消費、 は初期資産、 ,... 期間ごとの所得

(9)

(3)データについての説明

本稿ではなぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明するために、中国と 平均 的 な国との貯蓄率の差に対し、各決定要因の貢献度を求めるのが目的である。そのため、世界 の 平均的 な国の貯蓄行動を検証できる、7つの地域を含む国々をサンプル国として選択する 必要がある。また、データの整合性と入手できる期間を考慮したうえ、欠損値の多い国をサンプ ルから削除した結果、1982−2015年の

110

ヵ国を含んだデータセットを構築した。

本稿で使われている各変数のデータソースは次のとおりである。

・International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2017

・UNdata

・World Bank, World Development Indicators

・OECD National Accounts data

(4)推定結果

① 貯蓄率の決定要因についての推定

各変数の記述統計は表

2

のとおりである。表

2

に示されているように、中国の実質一人当たり 可処分所得の成長率平均値はサンプル平均値より高く、また、年少人口扶養比率と老年人口扶養 比率はサンプル平均より低い。この三つの要因が中国の貯蓄率を押し上げた可能性がある。

また、各説明変数間の相関係数は表

3

のとおりである。

本稿においては、貯蓄率の決定要因のうち、どのような要因が中国と他の国との貯蓄率の差に 貢献しているのかについて検討するために、まず、世界

110

ヵ国の

1982

年−2015年のパネル・

データを用い、貯蓄率の決定要因について実証分析を行った。また、中国の貯蓄率は

2000

より 急激に上昇しているため、2000年前後の特徴を捉えるために、1982−1999年と

2000−2015

年の

2

つ期間を分けて推定を行った。

分析する際に、プーリング回帰モデル(OLS)、固定効果モデル(FE)、変量効果モデル(RE)

3

つのモデルを用いて推定を行った。3つのモデルのうち、望ましいモデルを選択するために、

表2 記述統計

変数 サンプル数 平均値 平均値(中国) 標準偏差 最小値 最大値

NS 3,752 18.078 41.595 13.876 −49.300 69.486

LnGNDI_rp 3,752 8.622 7.914 2.565 −37.010 11.641

GNDI_rpg 3,752 7.261 13.093 23.870 −47.652 316.206

INF 3,511 8.886 5.439 16.293 −13.057 198.517

INT 2,804 6.420 2.059 10.022 78.596 47.948

CREDIT 3,587 51.774 100.453 43.858 0.198 312.118

OLD 3,717 11.427 9.962 7.067 1.982 42.653

YOUNG 3,717 55.298 36.319 24.453 14.898 106.706

IFI 2,952 6.194 3.064 36.254 −223.801 750.269

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

(10)

Breusch and Pagan

検定5

Hausman

検定6を行った。表

4、表 5、表 6

に示されているように、

プーリング回帰モデルと変量効果モデルより、固定効果モデルが望ましいと判断した。

表3 変数間の相関係数

LnGNDI_rp GNDI_rpg INF INT CREDIT OLD YOUNG IFI

LnGNDI_rp 1.000

GNDI_rpg −0.161 1.000

INF −0.052 −0.051 1.000

INT −0.374 0.232 −0.214 1.000

CREDIT 0.621 −0.105 −0.131 −0.283 1.000

OLD 0.821 0.141 0.142 0.228 0.676 1.000

YOUNG 0.621 −0.107 −0.141 −0.254 0.634 −0.705 1.000

IFI 0.130 −0.033 −0.039 −0.058 0.153 −0.151 0.125 1.000

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

表4 推定結果①(1982−2015 年)

推定期間 (1) (2) (3)

1982−2015 1982−2015 1982−2015

推定方法 FE RE OLS

LnGNDI_rp 0.765*** 0.816*** 1.381***

(−0.163 (−0.161 (−0.194

GNDI_rpg 0.011 0.013 0.016

(−0.006) (−0.006) (−0.009)

INT −0.032 −0.033 −0.073***

(−0.013) (−0.013) (−0.017)

INF 0.136*** 0.139*** 0.227***

(−0.017) (−0.017) (−0.021)

CREDIT 0.038*** 0.035*** 0.007

(−0.006) (−0.006) (−0.006)

OLD −0.227** −0.299*** −0.743***

(−0.083) (−0.07) (−0.037)

YOUNG −0.137*** −0.169*** −0.243***

(−0.023) (−0.021) (−0.016)

IFI −0.016 −0.017 −0.024

(−0.007 (−0.007 (−0.01

R−squared 0.432 0.452 0.326

Breusch and Pagan検定 Prob>chi2=0.0000

Hausman検定 Prob>chi2=0.0000

Standard errors in parentheses

p<0.05, ** p<0.01, *** p0.001

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

5 Breusch and Pagan検定 は、変量効果モデルよりプーリング回帰モデルが望ましいという仮説を検定する。

6 Hausman検定 は、固定効果モデルより変量効果モデルが望ましいという仮説を検定する。

(11)

表5 推定結果②(1982−1999 年)

推定期間 (4) (5) (6)

1982−1999 1982−1999 1982−1999

推定方法 FE RE OLS

LnGNDI_rp 0.497 0.631 3.871***

0.266 0.268 0.431

GNDI_rpg 0.180*** 0.191*** 0.505***

0.034 0.034 0.069 INF −0.039 −0.046 −0.190***

(−0.028 (−0.028 (−0.049 INT −0.123*** −0.129*** −0.321***

(−0.022) (−0.022) (−0.038)

CREDIT −0.026** −0.027** −0.024**

(−0.008) (−0.008) (−0.008)

OLD −0.027 −0.113 −0.819***

(−0.095) (−0.085) (−0.054)

YOUNG −0.124*** −0.185*** −0.331***

(−0.033) (−0.03) (−0.028)

IFI 0.001 0.002 0.029

(−0.007) (−0.007) (−0.012)

Rsquared 0.3481 0.3837 0.471

Breusch and Pagan検定 Prob>chi2=0.0000

Hausman検定 Prob>chi2=0.0002

Standard errors in parentheses

p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.001

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

表6 推定結果③(2000−2015 年)

推定期間 (7) (8) (9)

20002015 20002015 20002015

推定方法 FE RE OLS

LnGNDI_rp 0.422 0.477** 0.973***

(0.164) (0.154) (0.183)

GNDI_rpg 0.007 0.008 0.004

(0.005) (0.005) (0.008)

INF −0.01 −0.02 −0.062***

(−0.015) (−0.015) (−0.017)

INT −0.088*** −0.101*** −0.165***

(−0.022) (−0.022) (−0.025)

CREDIT −0.01 0.009 0.037***

(−0.013 (−0.012 (−0.009 OLD −0.322 −0.491*** −0.652***

(−0.234 (−0.13 (−0.057

YOUNG −0.143** −0.181*** −0.177***

(−0.045) (−0.035) (−0.021)

IFI 0.047 0.044 0.096

(0.058) (0.056) (0.07)

R−squared 0.3401 0.4018 0.31

Breusch and Pagan検定 Prob>chi2=0.0000

Hausman検定 Prob>chi2=0.0137

Standard errors in parentheses

p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.001

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

(12)

4

における(1)列の固定モデルの全期間の推定結果により、実質一人当たり可処分所得と その成長率は貯蓄率にプラスの影響が確認できる。所得が上昇すると貯蓄が増加する傾向にな る。予測した効果と一致しており、ケインズの消費理論と整合している。

インフレ率と実質金利はマイナス有意な結果になった。貯蓄率にマイナス要因であると確認で きる。インフレ率の上昇は実質所得の低下につながるため、貯蓄が減少する。また、金利が上が ると、資産効果が働き、消費を増やす効果があると考えられる。

人口年齢構造変数については、年少人口扶養比率は老年人口扶養比率とともに、貯蓄率に対し マイナスの影響を与えていることが明らかになった。ライフサイクル仮説と一致している。

金融市場の発展は貯蓄率にマイナスの影響を与えていることが確認できる。金融市場の発達と ともに消費者信用が増加するため、貯蓄が低下する可能性がある

国際金融統合については、貯蓄率にマイナスの効果が確認できた。国際金融統合により国際金 融市場、外国信用へのアクセスがしやすくなるため、国内貯蓄が減少すると考えられる。

また、1982−1999年の期間のデータによる推定では、表

5

におけるモデル(4)の推定結果が 示しているように、実質一人当たり可処分所得成長率は貯蓄率にプラスの影響が確認できる。実 質金利と金融市場の発展は貯蓄率にマイナス要因であると確認できる。年少人口扶養比率は貯蓄 率に対しマイナスの影響を与えていることが明らかになったが、老年人口扶養比率の影響が確認 できなかった。

最後に、2000−2015年の期間のデータによる推定では、表

6

におけるモデル(7)列の推定結 果により、実質一人当たり可処分所得は貯蓄率にプラスの影響が確認できる。実質金利と年少人 口扶養比率は、貯蓄率に対しマイナスの影響を与えていることを確認できた。

② 中国と他の国との貯蓄率の差への各要因の貢献度について

次に、貯蓄率の決定要因のうち、どのような要因が中国と他の国との貯蓄率の差に貢献して いるのかという問題を解明するために、有意な要因による貢献度を試算した。算出方法はAart

(2000)と

BulíĢ and Swiston(2006)に参考し、中国の各説明変数のサンプル平均からの偏差を

固定効果モデルで推定した係数の値を掛け、各要因の貢献度を計算した。その結果、表

7

及び 図

3

に示しているように、1982−2015年期間の中国とその他の国の貯蓄率の差に対し、相対的 に高い実質一人当たり可処分所得の成長率、また、相対的に低い年少人口扶養比率と老年人口扶 養比率、実質金利及びインフレ率、国際金融統合の度合いが貢献している。一方、サンプル平均 より高い金融市場の発展の度合い、相対的に低い実質一人当たり可処分所得は、中国の貯蓄率の サンプル平均からの偏差を縮小させる効果がある。

また、表

7

及び図

3、図 4

に示しているように、1982−1999年期間の中国とその他の国の貯蓄 率の差に対し、相対的に高い実質一人当たり可処分所得の成長率、また、相対的に低い年少人口 扶養比率、実質金利及び金融市場の発展の度合いが貢献している。一方、2000−2015年期間の 中国とその他の国の貯蓄率の差に対し、相対的に低い年少人口扶養比率、実質金利及び金融市場 は発展の度合いが貢献していることが確認できた。

最も貢献度の高い要因は相対的に低い年少人口扶養比率であることがわかる。図

6

に示される ように、中国の年少人口扶養比率と他の国との差がやや拡大傾向となり、2014年では対象国の 平均より大よそ

7%ポイント低い。中国で実施されてきた一人っ子政策の影響が伺える。

(13)

表7 中国と他の国との貯蓄率の差への有意な要因の貢献度

貯蓄率の決定要因 貢献度

1982−2015 1982−1999 2000−2015 実質一人当たり可処分所得(Ln 0.541 0.218 実質一人当たり可処分所得成長率 0.064 1.287

インフレ率 0.469

実質金利 0.140 0.689 0.328

金融市場の発展 1.850 0.097

老年人口扶養比率 0.333

年少人口扶養比率 2.600 1.574 2.625

国際金融統合 0.050

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

(注)「−」は有意ではない要因を示す

図 3 中国と他の国との貯蓄率の差への有意な要因の貢献度(1982−2015 年)

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

図 4 中国と他の国との貯蓄率の差への有意な要因の貢献度(1982−1999 年))

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

(14)

5.結論及び課題

本稿では、国際比較の視点から、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかという問題を解明す るために、実証分析を行った。まず、世界

110

ヵ国の

1982

年−2015年のパネル・データを用い、

貯蓄率の決定要因について推定した。推定結果によれば、実質一人当たり可処分所得とその成長 率は貯蓄率にプラス要因であることが確認できた。そして、インフレ率、実質金利、金融市場の 発展、年少人口扶養比率、老年人口扶養比率、国際金融統合は貯蓄率にマイナス要因であること が明らかになった。所得要因と人口年齢構造要因に関しては、ケインズ消費論とライフサイクル 仮説と合致し、Grigoli et al.(2014)など多くの先行研究と整合的な結論となった。次に、中国 と他の国との貯蓄率の差に対し、有意な要因による貢献度を試算した。

本稿の主なアカデミックな貢献と特徴は以下のとおりである。

第一、中国の貯蓄率の決定要因に関する分析は、中国国内の地域レベルデータ、あるいは時系 列データによる分析が多い。しかし、国際比較の視点から、各要因の貢献度を求めるという手法

図 5 中国と他の国との貯蓄率の差への有意な要因の貢献度(2000ー2015 年)

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

図 6 少年人口扶養比率の推移(中国とサンプル平均)

(出所)STATA14.0の計算により筆者作成

(15)

を用いて、なぜ中国は他の国より貯蓄率が高いのかについての実証分析がほとんどなされていな いのが現状である。特に

2000

年以降のデータによる分析がなされていない。本稿はこの空白を 補うために、分析を展開した。その結果、中国とその他の国の貯蓄率の差に対し、相対的に高い 実質一人当たり可処分所得の成長率、また、相対的に低い年少人口扶養比率と老年人口扶養比 率、実質金利及びインフレ率が貢献していることが確認できた。特に相対的に低い国際金融統合 の度合いが中国と他の国との貯蓄率の差に貢献していることを新たに明らかにした。ほかの国と 比べ、国際金融市場へアクセスしにくいため、中国の貯蓄率が押し上げられた可能性がある。

第二、中国の貯蓄率は

2000

年より急激に上昇しており、本稿では

1982−1999

年と

2000−2015

年の

2

つに期間を分けて分析を行った。その結果、相対的に高い実質一人当たり可処分所得成 長率は

2000

年以前までに、中国と他の国との貯蓄率の差に貢献していることが確認できたが、

2000

以降からその貢献を確認できなかった。そして、2000年より、相対的に低い実質一人当た り可処分所得は、中国と他の国との貯蓄率を縮小させる効果があると新たに発見した。

第三、全体的に最も中国と他の国との貯蓄率の差に貢献しているのは、相対的に低い年少人口 扶養比率という要因であることを明らかにした。中国で実施されてきた一人っ子政策の影響が伺 える。

最後に本稿の課題を指摘しておきたい。本稿では、包括的な貯蓄率の決定要因を検証したが、

不確実性の要因が貯蓄率に与える影響を確認できなかった。今後は不確実性要因の代理変数とし て、失業率、原油価格などの変数を加え、モデルを修正する必要がある。また、本稿では、国内 総貯蓄を用い、貯蓄率を算出した。しかしながら、総貯蓄は家計と企業、政府の

3

つの部門の貯 蓄から構成しているため、それぞれの貯蓄率の決定要因について分析する必要があると考える。

(受理日 2017年

10

17

日)

(掲載許可日 2017年1月

18

日)

表8 サンプル国リスト

Region Country Name

East Asia & Pacific

Australia China

Hong Kong SAR, China Indonesia

Japan Korea, Rep.

Macao SAR, China Malaysia

Mongolia New Zealand Philippines Singapore Thailand Europe & Central Asia Austria

Belgium

(16)

Region Country Name

Europe & Central Asia

Bulgaria Cyprus Denmark Finland France Germany Greece Iceland Ireland Italy Luxembourg Netherlands Norway Portugal Spain Sweden Switzerland Turkey

United Kingdom

Latin America & Caribbean

Antigua and Barbuda Argentina

Bahamas, The Barbados Belize Bolivia Brazil Chile Colombia Costa Rica

Dominican Republic Ecuador

El Salvador Guatemala Guyana Honduras Jamaica Mexico Panama Peru Puerto Rico St. Kitts and Nevis St. Lucia

Suriname

Trinidad and Tobago Uruguay

Venezuela, RB Middle East & North Africa Algeria

Bahrain

(17)

Region Country Name

Middle East & North Africa

Egypt, Arab Rep.

Iran, Islamic Rep.

Israel Jordan Kuwait Malta Morocco Oman Saudi Arabia Tunisia North America Canada

United States

South Asia

Bangladesh India Nepal Pakistan Sri Lanka

Sub-Saharan Africa

Benin Botswana Burkina Faso Burundi Cameroon

Central African Republic Chad

Comoros

Congo, Dem. Rep.

Congo, Rep.

Cote d'Ivoire Gabon Gambia, The Ghana Kenya Madagascar Malawi Mali Mauritania Mauritius Mozambique Namibia Niger Nigeria Rwanda Senegal South Africa Togo Uganda Zimbabwe

(18)

参考文献

(英語文献)

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Aizenman,, Joshua., Ilan, Noy. (2013) Saving and The long Shadow of Macroeconomic Shocks. NBER Working Paper. No. 19067.

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Working Paper Series. No. 21019.

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Comparative Economic Studies, Vol. 46, No. 4, pp. 487-514.

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Grigoli, Francesco., Alexander, Herman., Klaus, Schmidt-Hebbe. 2014 World Saving. IMF Working Paper.

WP/14/204.

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(19)

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(日本語文献)

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ローマ・デヴィッド(2006『上級マクロ経済学』堀雅博/岩成博夫/南條隆訳。日本評論社(David Remer, Advanced Macroeconomics Third Edition, McGraw. Hil, New York, 2006)

阿部修人(2011『家計消費の経済分析』 岩波書店。

唐成(2000)「中国の家計貯蓄―その推移と決定要因―」『筑波大学経済学論集』,42,pp.35-84。

木原隆司(2007「高齢化する東アジア―成長・貯蓄・金融市場への影響―」『経済学研究』第74卷,第3 pp. 101-128。

参照

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