S県下における幼児の採血場面のプリパレーションと関連要因 (研究ノート)
8
0
0
全文
(2) 1 4 6. 流郷千幸、古株ひろみ、東美香、大西孝子. 田らゆの報告、小児外科を有する病院の婦長や小児科 部長を対象にプリパレーションの実施状況を調査した野 村ら 14)の報告以外には見当たらなし ) 0 そこで¥. S県下における幼児の採血場面でのプリパレー ションの実施および必要性の認識状況、これらとプリパ レーションの認知との関係、プリバレーションの認知に 関連する要因を検討することを目的とし、本研究に取り 組むこととした。. I I . 用語の定義 プリパレーション:病気や入院によって引き起こされる 子どものさまざまな心理的混乱に対し、医療者が準備や 配躍を行ない、子どもの対処能力を引き出し、その影響 を緩和するような支援。本研究では、採血場面に限定す る 。 幼児:本研究では幼児期後期の 4 ' " " 5歳克と定義した。. 置.方法 1.対象 S県下 1 0 0床以上の総合病院および、小児専門病院の小 児病棟、小児および成人混合病棟、小児外来に勤務する 看護師5 9 4 名 。 2 . 期間 7 年5 月"'7月 平成 1 3 . 方法 ①調査方法:各施設の看護部長に研究の趣旨を説明 し、承諾が得られた施設の看護部に、看護師への雲間紙 配布を依頼した。質問紙には研究依頼文、返信用の封筒 を添付し、プライパシーを確保した。回収は、記入後の 質問紙を一定期間後に看護部で回収してもらう留め置き 法とした。 ②調査項目:研究枠組みに基づき(図 1、 ) a .看護. 師の属性(年齢、看護経験年数、小児看護経験年数、勤 務部署、看護の最終学歴など)、については、実数の記 入、または①②③などの選択肢で回答を求めた。 b .プ リパレーションを知っていたかについては、はし¥いい えの選択肢で回答を求めた。 C . プリバレーションの実 1 1項目)は実施の有無で回答を求めた。 d .プ 施状況 ( 1 )パレーションの必要性の認識 ( 1 1項目)については、 ' 5 .必要とした順序尺度で田答を求めた。 1.必要でない " C. プリパレーションの実施状況および d .プリバレー ションの必要性の認識に関する項目は先行研究 15)16)17)18) より抽出し、対象は 4 " ' 5歳の幼児であること、採血場面 での援助であること、子どもが極度の不安を示すような 状況は除く条件下での回答を求めた。 e . これまでのプ リパレーション学寄の経験は、有り、無しの選択肢で回 答を求め、有りとした場合の具体的なツールについて 9 項目を設定し、該当するものに Oを付けるよう求めた。 ③倫理的配慮:研究の依頼文には、対象者の他人情 報と回答内容を守秘すること、研究への参加は強制では なく個人の自由意志であること、得られたデータは本研 究以外には使用しないことを明記した。回答は添付の封 筒を使用し、封をすることで研究者以外の呂に回答者お よび回答内容が確認できないよう配慮した。返送された ものを研究参加の同意が得られたものと判断した。 ④分析方法:プリパレーションの実施については項 巨ごとに度数、プリバレーションの必要性の認識につい ては項臣ごとに平均値 (SD) を求めた。プリパレーショ ンの認知とプりパレーションの実施との関係には χ2検 定、プ 1 )パレーションの認知によるプリバレーションの Whit n e yU検定を行っ 必要性の認識の差異には Mann た。プリノマレーションの誌!矢口およびプリノマレーションの 学習経験と看護蹄の属性との関係には χ2検定を行った。. e r .1 2f o rWindowsを 分析には、統計ソフト SPSSV 用いた。. プリパレーションの内容 プリバレーションの実施 プリパレーションの必要性の認識. 関連する要因 小児看護経験年数. プリノマレーション. の認知. ‘ 一 一 一. 勤務部署 プリバレーションの学習経験. 図 1 研究の枠組み.
(3) 1 4 7. S県下における幼児の採血場面のプリバレーションと関連要因. I V . 結果. 表 1 対象の属性. n = 4 7 2. 回答は 5 1 7名から得られた(回収率 87%)。有効回答 4 9 2名を分析の対象とした。 1.対象の属性 平均年齢は 3 4 . 8 1歳 ( S D = 1 0 .2 4 )、看護経験の平均年 数は 1 1 .9 年、小児看護経験の平均年数は 3 .6 年であった。 小児看護経験については、 l 年未満の看護師 1 0 7 名 ( 21 .7 % ) 、 l 年以上3 年未満の者護蹄 1 5 7名 ( 31 .9 % )、 3 年以上5 年未満の看護師8 4 名( 1 7 .1 % )、5 年以上 1 0 年未満の看護師 9 2名 ( 1 8 .7 % )、 1 0年以上の看護師 4 7名 ( 9 . 6 % )であった。 看護師の勤務部署は小児病棟 1 1 6名 ( 2 3 .6%)、混合病 棟2 7 8 名 ( 5 6 .5%)、小児外来 6 2名 ( 1 2 .6%)、病棟と外 来の兼務 1 6名 (3.3%) であった。小児看護経験と勤務 部署の再方に回答したものの割合を表 1に示した。看護 の最終学歴は専門学校 4 3 1名 ( 8 8 .1%)、短期大学4 2名 (8.5%)、大学6 名(1.2%)、大学院 1 名 ( 0 .2%)、その 他1 0名(1.8%) であった。 また、プリパレーションについて知っていたものは 1 9 2名 ( 3 9 .0 % ) であり、プリパレーションの学習経験 があるものは 1 1 7名 ( 2 3 . 8 % ) であった。 2 . 幼児の採血場面におけるブリバレーションの実施お よび必要性の認識 設定した 1 1項目のうち、多くの看護師が幼児の採血時 の援助として実施していると回答した項目は(図 2、 ). 0 0 (人数) 5 4 5 0 4 0 0 3 5 0 3 0 0 2 5 0 2 0 0 1 5 0 1 0 0 5 0. 。. 小児看護経験年数 勤務部署 小児病棟( n = 1 1 4 ) 混合病棟( n = 2 7 6 ) 外 来( n = 6 2 ) 病棟と外来( n = 1 6 ). 1 年未満 1 年以上 3年未満. 2 2 5 4 1 5. 3 5 1 0 2 1 3 5. 3年以上. 5 i ! 三 未 満. 5 年以上 1 0 年以上 1 0 年未満. 1 7 5 3 1 1. 2 7 4 6 1 2. 1 3 2 1 1 1 2. 「ねぎらう J4 7 7名 ( 9 6 .8%)、「緊張をとく J4 7 6名 ( 9 6 .6%)、「体に触れる J4 6 7名 ( 9 4 .7%) であった。 実施していると回答したものが少ない項目は「絵本やビ デオを用いて説明する J1 6名 (3.2%)、「実物に近い玩 具に触れる J2 8 名 ( 5.7%)、「対処方法を指導する J2 0 4 名 ( 41 .4%) であった。 設定した 1 1項匡のうち、看護師が幼児の採血時の援助 としての必要性を高く回答した項目は(図 3)、「ねぎら う必要性Jm e a n 4 .9 6 ( S D = 0 .2 9 )、「緊張をとく必要性J m e a n 4 .9 4 ( S D = 0 . 3 3 )、「体に触れる必要性 Jmean4.88 (SD=0. 43 )であり、必要性の認識を低く回答した項目は 「実物に近い玩具に触れる必要性Jm ean3.1 7 ( S D =1 .0 7 )、 「絵本やビデオを用いて説明する必要性 Jm ean3. 6 9 (SD=1 .0 2 )、「対処方法を指導する必要性 Jmean4.1 4 ( S D = O .9 3 )であった。. n=484 ロ病棟と外来. ( n = 1 6 ). 口小見外来. ( n = 6 4 ). 瞳混合病棟. ( n = 2 8 6 ). 園小見病棟. ( n = 1 1 8 ).
(4) 1 4 8. 流郷千幸、古株ひろみ、東美香、大西孝子. n=492. (平均点). 5. 4 . 5 4. 3 . 5 3. 表 2 ブリバレーションの認知と実施の関係 項目ごとの 回答人数. 482. 実物に近い玩具に触れる. 481. 対処法方法を指導する. 477. 納得を確認する. 478. 意思を尊重する. 479. 気をそらす. 481. 進行状況を説明する. 480. 体に触れる. 483. 励ます. 482. 緊張をとく. 483. ねぎらう. 482. A:知っていた B :知らなかった. 知っていた/ 知らなかった. ABABABABABABABABABABAS. 絵本やピデオを用いて説明する. n=492 カ イ2乗 値. 実施する. 実施しない. 1 0 8 1 7 (2.2*) 1 2 (-2.2*) 103 (4.0紳) 103 (-4.。料) 143 (3.7梓) 1 7 0 ←3.7 126 (3.3**) 1 4 8 ←3.3**) 1 7 1 (3.2紳) 224 (ω3.2紳) 186 (3.3*本) 258 一(3.3榊) 189 283 1 7 3 246 192 288 192 290. 1 8 1 1 .983 283 1 7 3 ←2.2*) 4 . 7 2 1 279 ←2.2*) 87 ←4.0**) 1 5 . 6 4 1 184ω判 47 ←3.7判 1 3 . 3 5 0 118 (3.7紳) 64 ←3.3林) 1 0 . 6 8 3 1 4 1 (3.3判 2 1 ←3.2特) 488 1 0. 6 5 (3.2附 5 卜3.3榊) 1 0 . 8 9 9 3 1 (3.3紳) 3 0 . 7 3 2 8 1 9 2 . 8 3 1 44 0 1 .992 3 0 0. 字本). 有意差. l l . S. l l . S. l l . S. l l . S. l l . S. ( ) 内 残 差 料 p<O.Ol、*pく0.05.
(5) S県下における幼児の採血場面のプリパレーションと関連要因. 1 4 9. 表 3 ブリバレーションの認知による必要性の認識の差異 知っていた/ 知らなかった. 481 482. 対処法方法を指導する必要性. 481. 納得を確認する必要性. 480. 意思を尊重する必要性. 480. 気をそらす必要性. 482. 進行状況を説明する必要性. 482. 体に触れる必要性. 481. 励ます必要性. 482. 緊張をとく必要性. 482. ねぎらう必要性. 482. ABABABABABABABABABABAB. 悶A z. 具. 'コ止ム : ー. す要 明必 説ゆ. て才 、. UU. --. J. オ玩 アい ピ近 や性に. 本要物 絵必実. hHd. 項自ごとの 回答人数. n=492 Mann人数. 平均ランク. 192 289 192 290 192 289 1 9 1 289 192 288 194 298 192 290 192 289 192 290 192 290 192 290. 277.89 216. 48 274.69 219.52 275.93 217.79 270.12 220.92 267.57 222. 45 256.72 .42 231 253.66 233. 44 239.35 233. 44 245.02 239.16 241 .16 .72 241 241 .46 241 .52. Whi t n e y 有意差 U. 20659.5 21466.5 21036.5 21941 .0 22450.5 24917.0 25505.0. n . s. 27428.5. n . s. 27163.0. n . s. 27775.0. n . s. 27832.5. n . s. * * pく0.01 * pく0.05. A:知っていた B :知らなかった. 3 . ブリバレーションの認知とプリバレーションの実施. 知っている看護師は小児病棟に勤務するものに多く、混. および必要性の認識. 合病棟と小児外来に勤務する看護師はプリバレーション. プリバレーションを知っていたか否かと各項目におけ. を知らないものが多かった。経験年数でも有意な差がみ. る実施の有無の人数比率では(表 2)、プリバレーショ. ら れ (x 2 = 3 3 .8 0 5p < O .0 1)、残差分析を行なった結果. ンを知っていた看護師は、「実物に近い玩具に触れる」. 0年以上の看護師はプリパ ( 表 5)、小児看護経験年数が 1. (X2=4.721 p <0.05)、「対処方法を指導する J (χ2= 1)、「納得を確認する J(X2 = 1 3 .3 5 0 p< 1 5 .6 4 1p < O .0 O .0 1 )、「意思を尊重する J(x2 = 1 0 .6 8 3p < O .0 1)、「気 χ 2 = 1 0 .4 8 8p < O .0 1 )、「進行状況を説明す をそらす J( = 1 0 .8 9 9p < O .0 1において、実施するものが多 るJ (x2 かった。 プリパレーションを知っていたか否かと各項目に対す る認識の高さでは(表 3)、プリバレーションを知ってい た看護師は、「絵本やピデオを用いて説明する必要性J ( U = 2 0 6 5 9 .5p < O .0 1)、「実物に近い玩異に触れる必要 U = 2 1 4 6 6 .5p < O .0 1)、「対処方法を指導する必要 性 J( U = 2 1 0 3 6 .5p < O .01)、「納得を確認する必要性」 性 J( (U=21941 .0p < O .0 1)、「意志を尊重する必要性」 ( U = 2 2 4 5 0 .5p < O .0 1 )、 「 気 を そ ら す 必 要 性 J (U= 2 4 9 1 7 .0p < O .0 5 ) において、必要性の認識が高かった。 4 . プリバレーションの認知に関連する要因 9 2名で、そ プリパレーションを知っていた看護姉は 1 のうち勤務部署を回答したものを対象にど検定を行なっ た結果、プリバレーションの認知において勤務部署によ = 6 3 .7 0 4p < O .0 1 ) 。 る 人 数 に 有 意 な 差 が み ら れ た (x2 残差分析を行なった結果(表 4)、プリパレーションを. レーションについて知っているものが多く、 1年 未 満 の 看護師はプリバレーションを知らないものが多かった。 プリパレーションについて学習経験がある看護師は. 1 1 7 名で、そのうち勤務部署を回答したものを対象にど 検定を行なった結果、学習経験において勤務部署による. = 6 8 .7 4 6p < O .0 1)、残差 人数に有意な差がみられ (x2 分析を行なった結果(表 6)、学習経験のある看護師は 小児病棟に勤務するものが多く、混合病棟に勤務する看 護師は学習経験のないものが多かった。学習ツールでは、. 表 4 プリバレーションの認知における勤務部署の違い n=464. プリバレーションを知っていたカ瓦 勤務部署. 1 6 ) 小 児 病 棟( nニ1. 知っていた. 知らなかった. 83. ( 7 . 9 特). 3 3. ( 7 . 9 柿). 混 合( n = 2 7 2 ). 86. ← 4 . 7 特). 1 8 6. ( 4 . 7 特). 小 児 外 来( n = 6 1 ). 1 6. ← 2 . 4 キ ). 45. (2.俳). 病棟と外来( n = 1 5 ). 3. ← 1 . 6 ). 1 2. ( 1 .6 ). Pearsonのカイ2乗 値 63.704 p<O.Ol . 0 1、*pく0.05 ()内残差料 pく0.
(6) 流郷千幸、古株ひろみ、東美香、大西孝子. 1 5 0. 表 5 プリバレーションの認知における小児看護経験年数の違い n = 4 8 0 プリバレーションを知っていたか 知っていた 知らなかった 小児看護経験年数 . 6 * 本 ) 3 . 6 * * ) l 年未満 ( 0ニ1 0 5 ) 2 5 卜3 8 0 ( 0 年以上3年未満 ( 0 = 1 5 6 ) 1 1 0 0 (1.) 5 6 ト1.ω 0 . 7 ) ) 7 3 年以上5年未満 ( 0 = 8 1 ) 4 6 ←o 3 5 ( 0 . 7 ) . 7 ) 0年未満 ( 0 = 9 1 ) 5年以上 1 5 2 ←0 3 9 ( 粋) 紳) 4 . 8 4 . 8 1 3 ( 3 4 ( P e a r s o nのカイ2 乗 値3 3 . 8 0 5 pく0 . 0 1 ( )内残差料 pく0 . 0 1、 句 < 0 . 0 5 司. 表 6 プリバレーションの学習経験における勤務部箸の違い n = 4 7 0 学習経験 勤務部署. なし. あ り. 小児病棟( 0 = 1 1 5 ). 6 1. ( 8 . 2 榊) ← 榊). 5 . 5. 混 合( 0 = 2 7 7 ). 4 2. 小児外来 ( 0 = 6 2 ). 9. ← 1 . 9 ). 病棟と外来( n = 1 6 ). 2. ← 1 . 1 ). 5 4. 8 . 2. ト 紳). 5 . 5 特) 2 3 5 ( 5 3. ( 1 . 9 ). 1 4 (1.1) P e a r s o nのカイ2乗値.68 . 7 4. 6 pく0 . 0 1 ()内残差料pく0 . 0 1、*pく0 . 0 5. 書籍が最も多く 6 5名、次いで勤務部署での学習会3 6名 、 学会参加 2 2名、出身校での授業 1 7名であった。. v . 考察 1.幼児の採血場面におけるプリバレーションの実施と 必要性の認識 プリパレーションとしてあげた日項吾のうち、「採血 終了後がんばりを認めねぎらう J 、「採血終了を告げ緊張 、「採血中手を握るなど体に触れる Jといった援 をとく J 劫は実施されることが多く、必要性の認識も高い。看護 師がプリバレーションと意識しなくとも日常ケアとして 行なっている援助であると考えられる O しかし、採血後 のがんばりをねぎらうことや、採血中体にふれるという 支援のみでは、子どもが自分で困難を乗り越えたという 自信や達成感に寄与することは期待できなし、。子どもな りに理解できる説明を受け、納得して採血に臨むことが 重要である O しかし、「絵本やビデオを用いて説明する」、 割未満 「実物に近い玩具に触れる」を実施する看護師は l であり、必要性の認識も低いという結果が得られた。採 血前の説明は、子どもに情報を提供することで理解を深 め、子どもの思いを表出させる機会となるが、子どもの 理解を深めるための絵本や、玩具を使用した説明はほと " " " ' 5歳 んど行なわれていない。姥名ら∞は看護師が、 3 1 .1%であったと報告して 児に採血の説明をするのは 6. 0 )も、看護師が 3 " " " ' 5歳児に採血の説明をす おり、前田ら 2. 1 .3%であるが、口頭での説明が 7 0 " " " ' 8 0 %であっ るのは 9 歳前後の子どもは理解力が十分で、 たと報告している。 3 ないため効果が得られないこともあるが、幼児期後期で は可能となる却といわれている。武田 2 2 )や小 J I !ら2 3 )の調 査においても、子どもが処置に主体的に参加することが できることを報告している。骨髄穿刺や腰椎穿刺といっ た侵襲の大きい処置だけでなく、医療者にとっては日常 的な処置である採血の場合も、子どもが納得し、処置に 臨めるように採血の説明を行なう必要がある O また、口 頭の説明だけでは理解しがたいこともあるため、子ども の認知レベルに合わせて、視覚的な情報を与えることや 実物に近い玩具に触れて遊ぶ機会を与えることも必要で ある O また、対処方法を指導する看護師は約半数であっ た。これは、プリバレーションの学習経験のある看護師 が 2割と少なく、子どもの対処について具体的な方略を もっていない看護師が多いことが要因と推察される O 子 どもの意識を採血から遠ざけるディストラクション技術 とともに子ども自身が状況をコントロールできる対処方 法の指導技術は、小児と関わる看護師に求められる技術 であり、今後学習の機会が必要であると考えられる O プリパレーションを認知していた看護師は、「実物に 近い玩具に触れさせる J 、「対処方法を指導するム「納得 を確認する」、「意思を尊重する」、「気をそらす」などの 援助において、プリパレーションを認知していない看護 部より実施の割合が多く、必要性の認識が高い傾向がみ られた。プリバレーションは単なる説明や励ましではな く、子どもの心理的混乱に対し、子どもの対処能力を引 き出す過程であり、 Thompson,R .H .2 4 ) は、プリバレー つの要素として情報を伝えること、情緒的表 ションの 3 出を後押しすること、スタッフとの信頼関係を築くこと を挙げている。プリノマレーションを認知している看護師 は、子どもへの採血前の説明、子どもが納得して採血に 臨める援助、子どもの気をそらす援助などの必要性を高 く認識していることから、プリバレーションを一連の過 桂と捉えて支援していることが推察される O その過桂で 子どもの情緒的表出を促し、その相互のやりとりを通し て子どもと看護師の信頼関係を築くことが重要である 0 2 . 幼児の採血場面におけるプリバレーションに関連す る要因 今回の調査では、プリバレーションを知っている看護 師は 3 9 .0% ( 1 9 2名)であり、平成 1 2年に行われた山崎 ら2 5 )の調査と比較すると、その割合は倍以上となってお り 、 5 年の経過により広く認知されるようになっている ことがわかる O 対象の属性では、半数以上の看護師が混 合病棟に勤務していることから、勤務部署別にプリパレー ションの認知をみた。小児病棟に勤務する看護師でプリ パレーションを知っていたものはお名であり、小児病棟.
(7) 1 5 1. S県下における幼児の採血場面のプリバレーションと関連要因. に勤務する看護師の 7 割を占めていた。一方、混合病棟 に勤務する看護師では、プリパレーションを知っていた. 6名であり、混合病棟に勤務する看護師の 3 割で ものは 8 あった。小児病棟に勤務する看護師のプリパレーション の認知は高くなってきているが、それに比して混合病棟 に勤務する看護師の認知は低い現状が明らかになった。 近年、病院経営の観点から総合病院における小児病棟の 縮小が進み、小児医療にかかわる病棟の多くが混合病棟 という形態をとっている O さらに、総合病院では数年ご との病棟ローテーションが行なわれている O 本研究にお いても平均看護経験年数は 1 1年であり、それに対して小 児看護経験は 3 年であった。このような状況のなかで、 継続した学習を行なうなど小児看護の専門性を高めるこ とが難しく、混合病棟に勤務する看護師のプリパレーショ ンの認知が低くなると考えられる O プリパレーションの 学習経験において、小児病棟に勤務する看護師の 5 割は 学習の経験があり、混合病棟に勤務する看護師の学習経 割弱であったことからも、混合病棟に勤務する看 験は 2 護師が小児看護の専門性を高めることの難しさが推察さ れる。また、小児看護経験年数による関連も考えられた。 0 年以上の看護師はフ。リパレーションを 小児看護経』験が 1 認知しているものが多く、小児看護経験が 1 年未満の看 護締はプリパレーションを認知していないものが多かっ た。小児看護経験の多い看護師は、経験を重ねるなかで、 子どもの人権の尊重や子どもの自己コントロール感を高 めることなどへの視野が広がるのではないかと考えられ る。一方、小児看護経験が少ない看護師は一般的な処置 や子どもとその保護者とのコミュニケーションなど基本 的技術を身につけることに精一杯であることがプリパレー ションの認知の低さに関連していると考えられる。しか し、子どもがストレスフルな状況を乗り越えるためには、 自分で困難を乗り越えたという自信や達成感が重要であ る。そのためには、プリパレーションを小児看護の基礎 技術として定着させていく必要があり、特に混合病棟に 勤務する看護師や小児看護経験の少ない看護師に、プリ パレーションに関する学習の機会を提供する必要性が示 された。. 処方法を指導する看護師は約半数であり、子どもにどの ように採血に対処すればよいかを指導する具体的な方略 をもっていないことが要因と考えられた。 2 . プリパレーションを認知している看護師は、採血前 の説明、子どもが納得して採血に臨める援助、子どもの 気をそらす援助などの必要性を高く認識していることか ら、プリパレーションを単に説明や励ましとしてではな く、子どもの自信や達成感につながるよう支援している と考えられた。 3 . 小児病棟に勤務する看護部の 7 割はプり パレーショ ンを認知しており、 5 割は学習経験があった。混合病棟 に勤務する看護師ではプリパレーションを認知していた 割であり、学習経験があるものは 2 割であった。 ものは 3 また、小児看護経験が 1 0 年以上の看護部はプリパレーショ 年未満 ンを認知しているものが多く、小児看護経験が l の看護姉はプリパレーションを認知していないものが多 かった。対象施設の多くが混合病棟であり、さらにロー テーションが定期的に行なわれるなか、小児看護の専門 性を高めることの難しさが示された。これらのことから、 混合病棟に勤務する看護師や小児看護経験の少ない看護 師に対し、プリパレーションに関する学習の機会を提供 する必要性が示唆された。. V I I . 研究の限界 本研究は S県下の 1 0 0床以上のすべての総合病院およ び、小児専門病院に勤務する看護師を対象としており、結 果は地域に限定したものであること、看護師のプリノマレー ションに関連する要因には、仕事の煩雑さなど他の要因 の検討も必要であることなどの限界がある O しかし、混合病棟が 7 割を占める S県の小児に関わる 看護師のプリバレーションの実施や必要性の認識状況と その関連要因が一部明らかになり、今後の課題として、 浪合病棟に勤務する看護師、小児看護経験の少ない看護 師へのプリパレーションに関する学習の必要性が示唆さ れた。. 謝辞. V I . 結論 1.幼児の採血場面でのプリパレーションでは、「絵本 やビデオで説明J 、「実物をみせて説明」は実施、必要性 の認識ともに低く、子どもの理解を深めるための絵本や、 玩具を使用した説明はほとんど行なわれていないことが 明らかになった。子どもなりに納得し、主体的に処置に 臨むことができるように、子どもの認知レベルに合わせ た視覚的な情報を与えることや、実物に近い玩具に触れ て遊ぶ機会の提供が必要であると考えられた。また、対. 本研究に快く協力してくださいました対象施設の看護 部長様、看護師の皆様に心より感謝いたします。. 引用文献 1 ) 夏路瑞穂:プリパレーション;その方法と工夫の仕 方,他職種のプリパレーションへのかかわりかた,チャ 5 ( 2 ),2 0 7 イルドライフスペシャリスト,小児看護, 2. 0 0 0 . 2 1 1,2 2 ) Broome, M. E .: P r e p a r a t i o no fC h i l d r e nf o r.
(8) 1 5 2. 流郷千幸、古株ひろみ、東美香、大西孝子. P a i n f u l P r o c e d u r e s, PEDIATRIC NURSING, 1 6 ( 6 ),5 3 7 5 4 1,1 9 9 0 . 3 ) 及川郁子.プリバレーションはなぜ必要か.小見看. 2 5 ( 2 ) .1 8 9 1 9 2 .2 0 0 2 . 4 ) French,G . M.,P a i n t e r,E .C . & Coury,D . BlowingAway ShotP a i n :A t e c h n i q u ef o rP a i n ManagementDuringI m m u n i z a t i o n .PEDIATRICS. 9 3 ( 3 ) .3 8 4 3 8 8 .1 9 9 4 . .& Fowler-Kerry,S .Theu s eo ft o p i c a l 5 ) Abbott,K r e f r i g e r a n ta n e s t h e t i ct or e d u c ei n j e c t i o np a i ni nc h i l d r e n,J o u r n a lo fPainSymptomManage,1 0 ( 8 ), 5 8 4 5 9 0,1 9 9 5 . 6 ) K l e i b e r,C .,C r a f t R o s e n b e r g,M.,& Harper,D .C . P a r e n t sa sd i s t r a c t i o nc o a c h e sd u r i n gi .v .i n s e r t i o n :randomized s t u d y,Jo u r n a lo fP a i n Symptom 2 ( 4 ) .8 5 1 8 61 .2 0 01 . Manage,2 7 ) J e l b e r t,R .,Caddy,G .,& C l i n,D .P r o c e d u r e p r e p a r a t i o nw o r k s ! Anopent r i a lo ftwentyf o u r c h i l d r e nw i t hn e e d l ep h o b i ao ra n t i c i p a t o r ya n x i e t y . The J o u r n a l oft h eN a t i o n a lA s s o c i a t i o no f H o s p i t a lPla yS t a f f .W i n t e r .1 4 1 8 .2 0 0 5 . 8 ) 二宮啓子,蝦名美智子,半田浩美,片田範子,勝田 仁美他:検査・処置における子どもへの説明と納得の 過桂における医師・看護師・親の役割,日本小児看護 学会誌8( 2 ),2 2 3 0, 1 9 9 9 . 9 ) 勝田仁美,片田範子,蝦名美智子,二宮啓子,半田 浩美他:検査・処置を受ける幼児・学童の"覚悟"と覚 悟に至る要因の検討, 百本看護科学学会誌, 2 1 ( 2 ), 1 2 2 5,2 0 01 . 1 0 ) 半田浩美, 蝦名美智子,二宮啓子,片田範子,勝 田仁美他:1 子どもへ検査・処置について説明を行う こと」に関する文献検討,神戸市看護大学紀要, Vo l . 4 ,7 1 5,2 0 0 0 . 1 1 ) 山崎千硲,尾川瑞季,池田友美,山崎道一,郷間英 世:入院中の子どものストレスとその緩和のための援 助についての研究 第 2報 プリパレーション(心理的 準備)について小児科病棟看護職員への調査,小児保 健研究, 6 3 ( 5 ),5 0 1 5 0 5,2 0 0 4 . 1 2 ) 蝦名美智子:シンポジウム B 子どもと親が安心し て医療を受けられるための医師・看護師・コメディカ ノレの役割と協同 子どもから信頼される医療とプリパ ω. レーション,小児保健研究, 6 4 ( 2 ),2 3 8 2 4 3,2 0 0 5 . 1 3 ) 鎌田佳奈美,橋木野裕美,高橋清子,鈴木敦子,赤 川晴美他:入院する子どもへのプリバレーションに対 する看護師の認識とその実施状況.滋賀医科大学看護 (1 ) , 1 2 2 2,2 0 0 4 . 学ジャーナル, 2 1 4 ) 野村みどり,横山勝樹,蝦名美智子,芳井菜穂子, 縮決i 安弘:小児外科を有するこども病院のプリバレー ション実施状況に関する実態調査i 平成 1 3 年度厚生科 学研究報告書, 6 7 76 9 8,2 0 0 2 . 1 5 ) 松森直美、二宮啓子、蝦名美智子、片田範子、勝田 仁美他 . 1検査・処置を受ける子どもへの説明と納得」 ).日本看 に関するケアモデルの実践と評価(その 2 4 ( 4 ) .2 2 3 5 .2 0 0 4 . 護科学学会誌.2 1 6 )S t e p h e n s,B .K .,Barkey,M.E .,& H a l l,H .R .. T e c h n i q u e st oc o m f o r tc h i l d r e nd u r i n gs t r e s s f u l p r o c e d u r e s .A c c i d e n t& EmergencyNursing,7 ,2 2 6 2 3 6 .1 9 9 9 . 1 7 ) 流郷千幸,藤原千恵子:幼児の採血場面について看 護師が認識する援助内容とその影響要因,日本小児看 護学会誌, 1 2 (1 ) , 1 6 2 2,2 0 0 3 . .H .& S t a n f o r d,G .,小林登監訳.府 1 8 ) Thompson,R 院におけるチャイルドライフ:子どもの心を支える" 遊 グ'7ログラム,中央法規出版 2 0 0 0 . 1 9 ) 前掲ω 0. 2 0 )前田貴彦,杉本陽子,蝦名美智子,鈴木敦子,楢木 野裕美他:子どもが採血・点滴を受ける心の準備をす るための関わり,第 2 3沼日本看護科学学会学術集会講 3 0,2 0 0 3 . 演集, 4 2 1 ) 蝦名美智子,鈴木敦子,楢木野裕美,杉本陽子, 二宮啓子他:プリパレーションの実践に向けて 医療 を受ける子どもへの関わり方,平成 1 4 年度・ 1 5 年度厚 0 0 5 . 生労働科学研究報告書別冊, 2 2 2 ) 武田淳子,松本暁子,谷洋江,小林彩子,兼松百 合子,内田雅代,鈴木登紀子,丸光恵,古谷佳由理: 痛みを伴う医療処置に対する幼児の対処行動,千葉大 3 6 0, 1 9 9 7 . 学看護学部紀要, 5 2 3 ) 小川純子:小児がんの子どもが腰椎穿刺時に対処 行動を高めるための看護介入,看護研究, 3 3 ( 2 ),2 9 -. 3 5, 2 0 0 0 . 2 4 ) 前掲ω 2 5 ) 前掲 11.
(9)
関連したドキュメント
SD カードが装置に挿入されている場合に表示され ます。 SD カードを取り出す場合はこの項目を選択 します。「 SD
関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて
これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ
そして,我が国の通説は,租税回避を上記 のとおり定義した上で,租税回避がなされた
このアプリケーションノートは、降圧スイッチングレギュレータ IC 回路に必要なインダクタの選択と値の計算について説明し
それに対して現行民法では︑要素の錯誤が発生した場合には錯誤による無効を承認している︒ここでいう要素の錯
となってしまうが故に︑
図表の記載にあたっては、調査票の選択肢の文言を一部省略している場合がある。省略して いない選択肢は、241 ページからの「第 3