不平等尺度と企業集中尺度――ローレンツ曲線の利
用を中心に――
著者
前田 修也
雑誌名
経済研究年誌
号
4
ページ
58-77
発行年
1980-12-15
URL
http://id.nii.ac.jp/1204/00024453/
不平等尺度と企業集中尺度
ーロー レンツ曲線の利用を中心に一
前
田
修
也
日 次 I は1じめに l 過まのa
t
争 l 絶体集中と相対集中 f P一
レンツ尺度と相対的平均差 T 企案集中尺度の条件 l むすびは じ め に
所得や富の分布の不平等の程度を示す尺度として通常利用されているも のには,
ロ ーレ
ンツ曲線などの図表的表現,
ジニ集中係数や変動係数,
そ れに対数的表示によ る パレート分布やジプラ分布などの特殊分布へ
のあて はめのパラメーターの値,
等がある。 と き に,
これらの係数やグラフィッ クな工夫は,
その選択が漫然と行なわれたりするが,
各々一
長一
短があり,
よくその意味するところを理解して用いないと, 利用の目的にそぐゎない 結果を招いてのまう危険性がある。
ここに述ぺようとするのは,
これら所得や富の不平等の程度を示すよう に工夫された諸尺度が,
果して企業の集中現象を示す尺度としてその使用 に耐え得るかどうかを,
ロ ーレンツ曲線について調ぺてみることにある。
数ある不平等尺度の中から特にローレ ンツ曲線を選んだのは,
以前()lxford
t
h
ivers
ity-
I nstitut1eof
Statistics Bulletin誌上において,
J.
M
.
Blairと:
P
.
E
.
Hart及びS
.
J.
P
lraisとの間で,
ま さ に こ の よ う な 間 題 意 識 を も った識論 がなされたことがあるからで,
この論争を手がりにしてローレンツ曲線の-不平等尺度と企集集中尺度 2 企業集中現象
へ
の適用の間題を探つてみようと恩うからである'
)。
換言すれば,
それは個人の所得や富を対象とする「
不平等」
(inequali
ty) と,
それぞれの産業や一
国経済全体の企業を対象とする「
企業集中」
(business concentration) という二つの用語の理論的フレームワークの違い を統計学的に明白にすることだと言える。
そしてそのようにして得られる 相違点を知ることが,
今後, 所得分布の不平等尺度の分野と産業i
a
織論の 企業集中尺度の分野のそれぞれの成果を互いに取り入れる際の参考になる と思うのである。
I
i
過去の論争
ここに紹介するのは,
NationalInstituteofEoonomican,
dSocialReseanh
と 0 x f oll1
d
u
niversityInstituteof S
国isticsB
1d
letinの両誌上に お い て,
P
.
E
.
H
a r t 及 び S.
J.
R n a i s と J.
M
.
Blairとの間でなされた一
連の論争で ある2 )。
すなわち,
ロ グ ・ ノ ー マ ル 仮 説 を 置 く こ と によってローレン ツ 曲 線の企業集中尺度としての有効性を説く,
P
.
E
.
Ha
rt及びS.
J.
:
P
lfaisの両 氏と,
それに反対する J.
M
.
Blairの主張を以下それぞれ要約してみるこ とにする。
( l ) Hart及びPraisの主張 ローレ ンツ曲線の形状と原度数分布との関係を考察するとき,
最も特徴 的だと思われることは,
原 分 布 が い わ ゆ る ロ グ ・ ノ ー マ ル ( b gnom a 1) 分布(変量の対数をとったものが,
正規分布に近 似 す る よ う な 分 布 ) で あ る と,
それによるローレレ ツ曲線が, ローレ ンツ図の均等分布線とは異な る も う一
方の対角線に対して対称(-
etrica
D
な も の に な る こ と で あ る。
そして,
その近似の程度は,
フ イ ッ シ ャ ー の 91, 9
2,
と い う 2 つの パ ラ1) 最 近 で も
,
TheSouthem.
Economic Jound (l970.
1971年)3t
上 に お け るル t g &SnowとKottke間の論争において,企集集申の館計学的解釈の相違が 大きな話題となっていた
。
〔 8 〕 〔 l 0:
]〔12〕2) 出ir l
:
4〕 〔 5:
], Ha t〔9:
]:
l13)不平等尺度と企業集中尺度 メーターによって, テ ス l' される3 )
。
g
lは対数変換された分布の第3モー メ ン ト ( 歪 度 ) で あ り , g2は,
対 数 変 換 さ れ た 分 布 の 第 4 モ ー メ ン ト ( 尖 度 ) で あ る。
さ て こ の よ う な ロ グ ・ ノ ー マ ル 分 布 によ る ロ ーレ
ンツ曲線は互いに交又 す る こ と な く 分 般 値 : o,2=ΣC
ri-
il1
)21
n
と 図 I の よ う な 関 係 にあ る こ と が 知られている4 )。
こ の こ と が ど の よ う な 意 味 を も っ て い る か を 次 にH a
rt &Ptais にしたがって要約する。
彼らによれば,
第 1 に,
ロ グ ・ ノ ー マ ル 分布の集中のジニ尺度が分布の分1
lll
l1の み に 依 存 す る と い う こ と は,
変換さ れた分布の分散の計算式からジニ尺度を派生させることが可能となる。
そ して分散の計算の方がより簡単に行なわれうる。
第 2に,
ロ グ ・ ノ ー マ リ ティーの仮定によって,
統計学的な信頼度の古典的な検定が直ちに企業集 中の変化の尺度によって,
採用される。
第 3にローレンツ曲線上の所与の 80 67% 60 20 20 40 60 80 100 g :ジ=
係 最 f : 分 做 出所: Journalof RoyalStatisticalSociety.
l956. F e b.
P.
l 6 0 図 I P グ ノーマル分布に対応する理識的Pーレンツ曲線 3) Fisher〔20〕 4) Aitchison&B!o w n 〔 2 〕-
60-不平等尺度と企集集申尺度 ただ
一
点だけから,
分散とジニ係数の値を派生させるこ とが可能である。
これには,
図Iを用いることが便利である。
図 I は,
ジニ係数の0.
1巾の ログ・ノーマル分布が,
底2の対数の分散値と関連して示してある。
その 利用の具体例は次のようなものである。
すなわち,
19417年のアメリカの高 炉産業では,
33企業のうちの上位4大企業一
つまり全体の12%
一
が 生産高の67%
を支配していることが知られている。
そして,
図 I 力'
ら,
もしもその分布の残りの部分が,
ログ・ノーマルなら,
これは,
0.
75のジ=
係数に相当する。つまり
,
ログ・ノーマル分布と分故の上のような関係 は,
たとえ企業数が発表されていないとか,
知られていなくても,一
産業 全体,
或いは一
国経済の集中の程度を推定することを可能にする。
上 の よ う な 対 数 分 散 の 特 徴 に 着 日 し た う ぇ で H a r t と Praisは,
英国 における産業集中を,
ロ ーレンツ曲線と均等分布線の間の面積11、
の大小で 判定している。
しかしながら, 上のような結論を下すには,
少 な く て も 2 つの検証が 必要に な る だ ろ う。
すなわち, 第 1 は,全ての産業がログ・ノーマル分布 に従うかどうかの検証であり, 第 2に は,
ローレ
ンツ曲線と均等分布線と の間の面積入の大小を,
企業集中(businessconcentfation) の大小とみな してよいか,
換言すれば,
ジニ係数が,
企業集中の尺度として有効である かどうかの検証が必要である。
今,
ここでは,
専ら,
第2の点を考察してみ る こ と に す る
。
と い う の も,
0xfofdu
nivefsity-
Instituteof
Statisti,es
Btllletin誌上に お い て な さ れ た,Blairの反論が
,
ま さ にこの点に集中し ているからである。
それでは次に,
そのBlairの批判を要約してみることにするo (:
2
)Blairの批判
「端的に言つて,
集中度を測るために,
ロ ーレ
ンツ曲線を用いることに よって,
統計学者は経済学者に誤まったmissleading な情報を呈示する だ ろ う。
経済学者は,
我々に売手の数の減少が-
,
独占と集中の成長を示す 61-不平等尺度と企集集中尺度 データであることを示す
。
しかし,
統計学者は,
ロー
レ
ンツ曲線の手品に よって売手の数の減少が集中の減少を生ぜしめることを示すことができ るo」
6 ) このように言つてBlairは,
1947年のアメリカ合衆国における,
水産食 品缶詰業と製薬産業を付加価値について,
そのローレ ンツ曲線を描いてい る。
( 図 I I ) 表 IJ
l
製 薬 業 工 :9;
数 付 加 価 値 4 0.
3 23 8 0.
7 34 20 1.
7 40 50 4.
3 70 1,
163 100 l00︷
一
西 詰 業 水 産 食 品 工 場 数 付 加 価 値{
装離表
果 被 (96) 累 積 (%) 4 1.
6 23 8 3.
2 32 20 7.
8 39 50 19.
7 70 254 l00 l00 更に 「明らかに曲線の價きと高さは,
個体の所有の構成比によってもた らされる資源或いは活動の構成比だけでなく個体の総数によっても変化す るだろう。
さらにすでに注意したように,
市場行動の観点から個体の総数 は,
特殊な意味をもたないだろう。
すなわち,
市場に影響をあたえるもの は,
売手の数ではなく,
少数の優位性なのである。 こ の よ う に一
都,
個体 の総数に影響をあたえることによ っ て ロ ーレンツ曲線は,
少数の優位とい う観点から集中の測定をあいまいにし,
混乱させる。」
そして 「構成比率 ではなく,
プラントの実際の数字までは,
この2つの産業の集中は,
ほと んど同じである。
4 大 企 業 の プ ラ ン ト は 2 つの産業の付加価値の23%
を 示し,8大企業は製薬業が34%
で,
水産食品缶詰業が32% ,
50大企業で は,
両者とも ' 7'
0
%
と い う ぐ あ い で あ る。しかしながら,
ローレンツ曲線 での比較では,
集中は水産食品缶詰業よりも製薬業の方が大きくなる。
と い う の は,
製 薬 業 の 全 l,
l 6 3 プ ラ ン ト の う ち,
4 9 5 プ ラ ン ト ま で が,
4 人 5) Bhir〔4〕.
p.
356 -62-エ
一 n一
一
数 の % l00 40 30 20 不平等尺度と企集集中尺度 0 l 0 20 30 40 50 60 付 加 価 値 の9'
6 国n
'i,0 80 90 l00 以下の従業員,
そして702プラントまでが,
9人以下である。
それと対照 的に水産食品缶詰業の全254プラントのうち,
4人以下の従業員は,
20プ ラ ン ト で あ り , 9 人 以 下 の 従 業 員 は,
た っ た の 4 4 プ ラ ン ト だ け で あ る。
したがって実際のプラントの数における大きなちがいの故に,
プ ラ ン ト の 与えられた構成比率は,
水産食品缶詰産業よりも製薬産業の方が,
ずっと 大きいということがわかる。」
o) 6) Blhir:
l4:
1l p.
356 このような批判をPーレンツ尺度になげかける学者は Blairのみではない
。
M A.
Adelman(“theM a suIe mentoflndustrialoomentntion.
'TheReview dEconomics&Statistics,Nov
.
1951.
p.
270)もそうである。
'
1れらの人々は, P
一
レ ン ツ 曲a
よ り'も, 「累積集中曲線」の方を重視する。
特にElair は
,
会社単位別の累組集中曲線と工場単位別の累積集中曲線とから得られる「解 指 数 」 (index of divengel 康,)を提案している
。
-不平等尺度と企案集中尺度
m
總対集中と相対集申
以上でみてきた論争は,実は産業組織論でいうところの,
いわゆる絶対 集中度を用いているか,
相対集中度を用いているかの違いによる。
よく用いられている指標としては,
上位z
企業の占めるシェア,
ないし はy%
のシェ
アを占める上位企業の数といった指標がある。
こ の よ う な 単純化された指標は,
図m
の集中曲線上の一
点を表わすものであり, 上 位企業のシェアは累積企業数がz の時の集中曲線の経座標値で示される。
したがって, もしも集中曲線が交又する場合には,
諸産業の集中度の比較 の結呆は,
採用された上位企業の数(もしくは市場シェア) によって異な る こ とに な る。
さて, このような曲線上の一
点をとる測定値を絶対集中度 とょぶのは,
横軸の累積企業数が, 絶体数であるからである。
シ一
一
ア ︵ 例 え l﹁
売 上 高 シ ェ ア ︶ (%) 100 50 集 中 曲a
l 2 3 4 5 6 7 8 9 上位企集からの系積企薬数 図 I I I 10 li 12 したがって絶体集中度は,
上位'
c
企業の平均規模が,
他の諸企業に対し てどの程度の大きさにあるかを示すとしても, 上位z企業内の規棋分布,
上位1t企業以外の諸企業の規換分布は表示しえない。
また,上位企業とそ の他の企業との相対規模の効果,
企業総数の効果によって相殺される可能 性がある。
-
64-不平等尺度と企集集中尺度
以上のように
,
絶対集中度は,
産業内の全企業の規模分布を単一
の指標 として示すことができない。
そこで,
図m
における横軸の累積企業数を 百分率で表わし,
これを下位企業から順にならぺるとすると,
そこに描か れるのは,
実にH
a r t &:
P
tai s と B llairとの間でなされた論争の対象とな
っ
たローレンツ曲線に他ならないのである。
そしてここで得られるロー
レ
ンツ曲線を利用した諸指標は,
相対集中度を測定するものと考えられて いるo . というのは,
ローレ
ンツ曲線といわゆる均等分布線とでかこまれる弓形 部分11
l・が,
一
種の散布度と密接な関係をもっていることが知られているか らである。
そのことは,
次節に示されるが,
今,
もう少し集中度の尺度と してのローレ ンツ曲線のことを考察してみると,
ローレ
ンツ曲線を用いた 指標は,
産業全体における規模分布を反映しうるというメリットがある反 面,
産業内の売手の少数性,
我いは,少数の支配的な売手のもっ
高い市場 シェアといった売手集中における重要な構造的特徴を過小評価する價向が ある。
それは,
例えば所得分布においては,
高額層ほど階層に属する人員 は少いにもかかわらず,
低額層から累積するため,
高額屆lの差異が極めて 使少になって,
その様相が十分明らかにされないからである。
そして,
こ の ローレ
ンツ曲線の集中度としての欠点こそ,
Blairが指摘したことの一
つ
なのである。
W
ロー
レンツ尺度と相対的平均差
ローレ
ンツ曲線と均等分配線との間の弓形の面積11、
が一
種の散分度と密 接な関係にあるということは上でも述ぺたが,
その散布度とは,
相対的平 均差C
l11elIative mean diffefence)と呼ばれる尺度である。
こ こ で い う 平 均 差 は
,
通常の平均偏差« mea,
deviatia:●) や 標 準 偏 差C
standarddeviation)といったあるarbitra:yな中央値からの偏差を用いるの.ではなく
,
.すぺての観察値の可能な寿
(pail1
) の差に基づいてるところに特徴がある
。
そして,
相対的平均差とは-
,
すぺての差の和を,
N a
(
すぺ-9 不平等尺度と企集集中尺度
ての対の数) で除した平均差を相加平均で除し・た商であると定義され
,
さらにそれを2で除したものが
,
ジニ係数(coeffi
cientof
Gini) で あ るo す なわち,
ΣΣl
名j-
「1l
相対的平均差: ?=
.‘
jlN
a
-
l
a
G
m 係 数 :G =
÷
=2入 いまこのことを,
平均偏差との比較で図に示せば,
次のようになるだろ う 0 ( 図 「 V ) ( A ) ( B ) ( C ) 図 「 V すなわち,
例 え ば 図 I V の ( A ) は,
産業Aにおいて, 15百万ドルの資 産を有する企業と残余の各企業との間の絶対値を示しているo けれどもこ れらの差は,
一
つの企業の側だけからみたものである。
もし,
'1
0百万ドル の資産をもっ
最大企業からみれば,
もう1組の違つた差の組合せができる。
図「Vの ( B ) は,
特定の企業を決めずに,
すべての差の絶体値を示したも のである。
そして,
図 I V の ( B )において,
両方向からとられた:企業間の差 を含むとすればその差の数は6個ではなく,
12個であるいう,ことができる。
他方,
図rv
の (c
) は,
平均偏差によって経済規模の分散度を測定する方 法の基礎をしめしている。
当該産業の資産を平均して,
仮説的な平均規模 の 企 業 ( 平 均 ) を 求 め る。
平均規模の企業は,
図の真中に斜線で示したも ので,
資産25百万ドルである。
こ の よ う な 計 算 手 順 は 図 「 V のCA
) で-
66-不平等尺度と企案集中尺度 10 行なった方法と若干似ている
。
そこでは,
15百万ドルの企業が中心であっ た。 と こ ろ が,
(B)では特定の企業が中心になっているわけではない。し
たがって平均差は,
平均偏差にくらべて企業の資産構造に 関 す る よ り 多 く の情報が用いられていることになる。
さてこのような相対的平均差と上述の,1
、
との関係を以下W.
S.
Wl)ytinslky の幾何学的な証・明方法で説明する'
)。
いま, ロ ーレ
ンツ曲線と均等分布線である対角線との間の面積11
、
の,
ロ ーレンツ曲線が描かれている正方形の半分の面積に対するその比率を集中 比 ( R ) と 呼 ぶ。
この不平等尺度の使用は,
ロ ーレ
ン ツ 曲 線 の 特 性 に よ っ て正当化される。
すなわち,正方形の半分の面積に対するその集中面積 1l、
の比は,所与の度数分布の各項目間の相対的平均差の半分に等しい。
こ の ロ ーレ
ンツ曲線の特性は,
計算式を用いないで次のようして証明される だ ろ う。
今,
当該集団内の個体の数がN
であり,
それらの1人あたりの平 均 所 得 を 1 と す る と , その集団の総所得は,
N
所得単位となる。
そこで,
図 V の ローレン ツ プ ロ ツ ト に お い て は,
A D
= DC =
N
(l) そして 面積ABCD
=N2 (2) 図のA Dのそれぞれの区分は, ・個 人 を 表 し て い る 。 そして,
E F
はK
番目の個人を表わしているとすると,
A E=K
-
11
C
3)F D
=.ZV-
K
j
次にローレンツ曲線の構造を考えると i G = K-
1番目までの人の累積所得}
FL= K番目までの人の累積所得 (4)G K
=H L
= K番目の人の所得=I
K も っ と 都 合 が よ い こ と に は,
I
Kが四角形(;
H L
K
(G
直とK L
=l ) の 面 7) Woytinsky〔l8〕.
-
67-li 不平等尺度と企案集中尺度
TOTAL AMOUNT 0F EARNINGS
I
S 一一
一
: N I N ∼ -W
a
A I ln
重
:︶
l b,
TOTALNUMBEROFINDIVIDUALS p-
INDl、
!DUALS -図 V oーレンツ曲線と相対的平均整 積によって示されるということである。
また,
四角形K L NM
とE
F
HG
がI
K「
以上」
と「以下」
の総所得を示し,
一
方,
四角形S
G
:
K R
とHUTL
が,
所得I
gにそれぞれK
-
l とN
-
K
を掛けたものを示していることは注日に値する。
N
項目の相対的平均差を計算するためには,
各々の項日とその他N
-
1 の個の項日との間の差の合計が,
そのシリーズの相加平均と差の数であるN
(1V
-
l ) によって割られなければならない。 も し
も,
それ自身(差は・t
ロ)の項日の比較もまた同様に計算されるなら,
そして,
そのシリーズの 相加平均がlに等しいなら, 相対的平均差は,
,M
・a
f
Σ
(1a
f
)-
・一
=
-«
5)M a
N
2-
68-不平等尺度と企藥集中尺度 l 2 に な る だ ろ う
。
こ こ で,
df
は,
個々の項目間の差である。
或いは, N
2が,
正方形ABC
I
)の面設で 示 さ れ て い る ロ ーレン ツ プ ロ ツ ト の タ ー ム で は,
M
・a
f
∑
(1i
f
) -M a- ==
-
Bc
D ( 6 ) さて, Σ (
af
)の計算においては,
所得I
Kが (N-
K
) より大きな所得 のそれぞれから連続的に差し引かれ, かっ , K
-
1 よ り も 小 さ な 所 得 の そ れぞはI
Kから引かれなければならない。 その結果は, I
K(N
-
K) を 全 て のより高い所得の総額から差し引くことに よ っ て, そ し て, ま た 全 て の よ り低い所得総額をI
K(K
-
1 ) か ら 差 し 引 く こ と に よ っ て 得 ら れ る も の と 等 し く な る だ ろ う 。 したがって所得I
Kについての差の合計は,,S
K= ( a r e a K L N
M-
area
H U T L
)十(areaS GKR
-
area E
F
直G
)= ( a r e a
K L NM
-
area E F H
e
1)十(areaS G
KR-
area
HUTL
)(7) もし も
, A G
LK
が KL N
M とS GKR
に 加 え ら れ,
かっ
同じAGHL
が
1
a
U
T L
とEFHG
に加えられるなら, 合 計 は 変 わ ら な い だ ろ う 。 故に
,
S
K= (area GLN
M-
area
EFLG
)十(areaSGLR
-
area GUTL;
) .=
C
2・areaGLNM
-
area EF
N M )十(2・areaSGLR
-
area
SUTR;
) (8) もし, 同 じ よ う な 合 計 が , 全 て の 個 々 の 所 得 (I
K以上と以下) につ い て 達成されるならば,
Σ
a
f
=∑
S
= (GLN
Mの よ う な 縦 の一
切の合計の2倍)十(SGLR
の よ う な 横 の一
切の合計の2倍)-
(E F NM の よ う な 縦 の一
切の合 計)-
(S U T R
の よ う な 横 の一
切の合計)故に
,
ΣC
a
f
) = 4 X a r e aAGLB
-
2x
area ABC
D = 4 ( a r e aAGLCB
-
11
2area
ABCD
) =4・areaAGLC
したがって相対的平均差は
,
,,-
69-(9) (10)
1
=
ア
= 4 ・
=
= 2・
そして集中比(1
R1
) は 1M
・a
f
Concentration area
R=
-
・
一
=
- - -
-2M a
4A
a
D
以上のことから,
企業集中を表わす尺度として望ましいのは,
いわゆる絶 対集中と相対集中の双方を表わせる尺度であること,
そして,
ローレ
ンツ 尺度はそれらのうち,
相対集中の尺度としてだけ機能することが判明した。
それでは,
絶体集中と相対集中の双方の尺度をあゎせ持つ尺度というのは,
どのような条件をそなえていなければならないだろうか。
幸い,
Ha1l&Tidemanが,
そのような試みを行なっているので,
彼ら の主張する条件6個を,
:
11.
こに掲げてみることにする8 )。
またその次に,
高橋長太郎が,
所得の不平等について, 望ましいと思われる条件を挙げて いるので,
それもあゎせて掲げてみることにするo)。
そ う す る こ と に よ っ て,
企業を対象とする「
集中」
と個人の所得等を対象とする「
不平等」
の 相違がはっきりすると恩われる。
V企業集中尺度の条件
13 商 尺 度 と 企 梁 集 中 尺 度M
・
a
f ?(a
f
、
area
A
(; L
C
Concentration area
A A
a
D
(11) ( l ) Hall&Tidemanによる企業集中尺度の条件 l.
°
集中に単一
の尺度でなければならない。
2つ
C、
産 業 A と B が あ る と き,
A はB
より集中しているか,
B
より集中していないか,
同じである かである。
換言すれば,
集中の測度は,
明白でなければならない。
2.
°
一
産業の集中は全体の規模から独立でなければならない。
それは 産業内の企業の相対的シ,
,
アの関数である。
すなわち全てのP
i(t'番日企 業のシ3・ア)の関数である。
8) H dl & T i d e man〔7〕 9) 高概長太郎l[l5〕pp.
19~
20.
-70-不平等尺度と企集集中尺度 14 3
.
°
低ランクの企業から高ランクの企業へ
の シ フ ト が あ っ た と・き,
. 集 中の增加にともなって集中の測度は,
どんな.P
の変化によっても,
影響 をうけなければならない。
より形式的には,
次式において,
売り上げが,
i
番目の企業から,
11i
番日の企業へ
シ フ ト し た 時,
集中測度C
の変化率を,
a
C
‘
;
と定義することである。
もし
P
>P
i:なら変化率は負で,
集中は減 少する。
もし, P
i<P i
なら,
変化率は正で集中は增加する。
すなわち,
C (
p
l'
p
2,
…
,
p
-
1
),
…
,
p
j十1
),
…
,
p
:
)dC
jf =9
期
_
C«
p
l'
…
' p
2'
…
-
'量
'
'
-
'
'
1'
-
l)
(1)Z
) で判断することになる。
(1
D
は集中の変化分) 4.
°
もし, A
産業が,
B
産業より企業数において,
K
倍存在し (K
> 1 ) そして,
A
におけるP
i'
s
がB
におけるそれぞれのP
iに相当するように 分布してP
il
K
の規模の企業が,
K
個 存 在 す る な ら,
A
に対する集中測 度は,
B
に対する測度の11
K
にならなけれは'ならない。この条件は,
一
産業内の異時点間比較にもなりたっ。
5.
°
一
産業が,
.N
の等し.い規模の企業に分割さ.れている時,
集中測度 はN
の減少関数でなけ れ ば な ら な い。
この条件は,
ロ ーレ
ン ツ 曲 線 に よっ
て典型的に代表される不平等の測度と集中度との相違に光をあてる。
加えるに,
この条件は,
経済学の理論から直接に拾い集められるただ一
つ
の特殊なガイドを含む。すなわち,
より少ない企業は,
より大きな集中を 意味する。
6.
°
一
つの集中測度は0からlの範囲を取ることが望ましい。
. (1
2
) 高橋長太郎による不平等R
度の
条件 .l.
.* 測定尺度は一
定の型から導き出されなければならない。
型とかか わりない測度は型の特性すなわち,
構造を示すことができない。
2.
* 測定単位(員数の大いさ,
貨a
i
: 単 位 な ど ) に よって影響を受ける ものであってはならない。
. 3.
* 2つ以上の分布の比較を行ない-
,
また時の変化につ
れて,
..i
a
続的 ,n.
-l 5 不平等尺度と企集集中尺度 な比較を試みうるたみには
,
係数は単一
の値で示されなければならなし_
、
。
4.
* 係 数 は 有 限 の 値 ( 例 え ば 0 か ら l ま で ) の 範 田にあって,
程度が 明確に測定され,
その解釈が均等,
不均等についての定義と一
致しなけれ ばならない。
以上の諸条件は,
それぞれ重複するものがあるように恩われるので,
ま とめて表にしてみることにする。
すなわち,
次 の よ う に な る。
表 I I 高橋の第2の条件と H all&
Tideman の第2の条件とは厳密にはその 相対化の手順は異なってはいるものの,
相対化という意味では一
致してい るo また,
高橋は触れていないが,Hall&Tidernanの第3の条件は,
不平 等尺度の条件としても必要なものではないだろうか。 そこで,
これをひと まず,
不平等尺度の条件に加えるとして,
残るのは,
Han
& T i d e m a n の 第 4 と 第 5,
それに高橋長太郎の第lの条件ということに な る。
そして,
その第4と第5の条件こそはまさに企業の絶対数を考慮するか否かの,
う らがえした表現だといえる。
そ し て こ の こ と が,
企業集中尺度を,
不平等 尺度から区別するものだということができる。
さて,
それでは,
高橋長太郎の第lの条件はどのように理解したらょい であろうか。
高橋長太郎はその著『所得分布の変動様刻のなかで,
種々 の不平等尺度をあげて,
それらのほとんどのものが-
,
高橋の第2~
第 4 の 72-不平等尺度と企集集中尺度 l 6 条件をみたすにもかかわらず
,
第lの条件をみたさないとして,
それをみ たす,
ジブラ係数を推確1している。
ジプラの不平等係数(indiced'inegalitli
) を測る方程式は,
Z=
a・log«
%-
z
?
十b
におけるa
である。
. この逆数を指 標として,
100/aをもって不平等指数としている。
注意すぺきは,
ジプラ 式においては,
a
(不平等の逆数),
A
(平均所得), r
o (最低所得)はそれ ぞれ独立したパラメーターであることである。
そして,
ジプラ式において は,
a=1/s
・、
/'i
-
,
b=
-
m
/s
・、
/i
であり,
a
の逆数はS
(対数標準偏差) に比例し, 1b
の逆教は変動係数S
/m
に 比 例 す る こ と を 示 し て い る。
つ
ま
り , 「
不平等指数」
は,
標準偏差の大いさに対 応 す る こ と に な るlo)。
そし てログ・ノーマルな,
原分布を,
対数確率紙に描くとき,
そこに現われる のが,
右上りの直線であることに着日して,
原分布の形状までを推測でき る・というのである。
このような利点は,
当然ローレ
ンツ曲線と原分布の形状とのあいだに対 応関係がある以上, ローレ
ンツ曲線によっても,
ある程度なしうるところ であるが,
それでは果して, 企業集中を測定する局面において,
この原分 布の形状との対応関係は要請されないのであろうか。
次にこのことを少し く考察してみる。
今日,
企業集中尺度として,
最も一一
般的に使用されている尺度は,
いわ ゆるハーフィンダール指数(H
i1l:shman=HerfindahlIndex)であろうn) o ,とおいて.
-
Z9=
-
1-
-
-' 2、
S'
log(1l:-
zo). m と ぉ け ば (mは幾何平均) Z=
,-
:=
-
-
-
:=
S~
l2 S~
12 Z=
a・log(z-
zo)十b l-
n であるから,
a=
-
s
-
f i
,
b=
-
s
,
_
.
. /2 . 11) i bll&Tidemanは前述の6つの条件をのべたあと,H指数が下位企梁に対し て,感度が思いとして企業規田位そのものを,
ウ ニ イ ト と し た T ・ H.
指数=
i i ・P
iを提案している。
-'t3-「
l°
9 ( Z二
Z°
)-
?
一、
17 不
W
尺度と企集集中尺度 ハーフィンダール指数は,
ある産業の企業規模の自采和として定義される。
企業規模は,
産業の総規模に対する構成比であらゎされる。
いま資産を規 換変数として取るとき,
記号をもって表わせば,
%iをn
個の個別企業の 賣産,
Xを産業の総演産として, この指数の公式は次のとおりである。
ハーフィンダール指数:9 = Σ
(号)
a
( i = 1,
2,
3,
…
,
“
) ハーフィンダール指数は,
上述の H1l0 l & T i d e m a n の 6 つ の 条 件 を み たし,
次 の よ う に変形することができるl 2 )。
・H= ΣS
P
十1/
n ・?
はi
11番目の企業のシュ
アの平均値からの偏差である。
すなわち,
H
指 数は,
散布度と,
企業の絶対数の双方に依存していることになる。
さ て こ の よ うにし て 得 ら れ る .a
指数から,
我々は,
直接に原分布の構 造 を 知 る こ と が で き る だ ろ う か。
す な わち,
H
指数は高橋長太郎の第1 の条件をみたすことができるだろうか。今,
2つの仮説的市場を考えてみ ると次の表m
の よ う に な る。
表m
各 企 集 シ=
ア (96) H 指 数 A 産 集 B 度 業 40 34 40 33 5 l 5 33l
-5-
5l
0.
33l
0.
33 こ れ に よ る とA
の二極集中型市場と,
B
の高度器占型市場とでは,
H
指数はまったく同じ結果がでてしまう。 こ の よ う な 特 徴 は,
概括的尺度 12) Cを変動係数として (C二十l )1
aを考える。 すなわち,
1iのC二にS二/1lla を代入すると S◆十'
二 i::l'
1
o-
'
'
十1t'
izf
1n i r jl'
-
=
-
=
=
-a,
二 a,
'
a,
'
a'
,
o こ こ で, o,
= x
だから=
j
=
i(
等
)'
・
.
C 次に,
すぺてのz‘
が相対シニアなのでa;l=
l.
.
'.
-
=
S 〇-
'ti-l 8
C
sum merymeasure0
l 3 ) のほとんどに言える特徴であろうが,
今後改良の進められることが期待される
。
・最後に
,
産業組織論の分野では,
H
指数«0
.
C
.
H
erlindahl,
“oo
nlce
ntra
-tion i n t h e
Steel
Industry,”Ph
.
D
.
I
)lissertation,
C
d u m;biaU
l:●ivefs
iiy
,
l95l
:
)»は,Rosenlllluthに よって最初に組介され, H i
11shmanが集中の計測にこの尺度が有用であることをはじめに提案し利用したとされているが
,
所得分布の分野では,
すでに田村市郎によって, 「
個別的構成比自乗法」
として扱われていたl 4 )。
ただし, 当然のことながら,比較される2つの場 合の所得者数が同一
でなければならないことから, そのままでは実際上応 用不可能である。
したがって多数の所得者の存在する場合には,
十分位値 成いは二十分位値を決定した上でそれらに応用することや,
都道府県数は・一
定であり, かつあまり多数ではないことから,
地域分布へ
の応用等が提 案されている。
それにしても,
かっ
て所得の不平等尺度として提案され,
その不平等尺 度としての欠点の故に陽の日をみなかった「
個別的構成比自乗法」
が,
今 日企業集中尺度として最も普及していることは注日に値する。
V I
む
す
び
本稿ではまず,
「
企業集中」
という専門用語の統計学的解釈のあいまい さの故に起つた B h i r とH
a r t & Plrai
sの論争を整理して,
そこで主に用 いられたローレ ンツ尺度の欠点を指摘した。
すなわちローレンツ尺度が企 業集中の測定に際して特に重要な企業の絶対数を考慮できないという欠点 である。
もちろん2つ以上の指標を用いるのであれば,
この欠点は克服さ れ る。
し か し こ の 方 法 に よ る と い う こ と は,
上記のHla1l&Tidemanと高 13) このような尺度は,
当段産集内の現換分布の概橋的な像を与えるものであり,
し ばしti概指指標とょtiれる。
l4) 日本統計学会l
l「国民所得とその分布」の第三章 「所得の不平等の意m
測定 法J p.
p.
l72~
175.
にみられる。
-'l15.-l 9 不平等尺度と企集集中尺度 橋長太郎の双方に共通する
「
単一
の尺度で測定すぺきである」
という条件 を満足しない。
つまり2つ以上の企業集中現象についての明白な比較がで きない結果になる。
次に本稿では,
ロ ーレ
ンツ尺度のより深い理解のために,
相対的平均差 との関係を明らかにした。
その証明方法は,
通常の数学的手法とは異なり, かなり直観にうったえることができると恩われるl 6 )。
最後に,
企業の集中現象を測定する際の尺度に要請される代表的諾条件 と所得の不平等を測定する際の尺度に要請される代表的な諸条件とを対比 さ せ る こ と に よって今日普及している集中尺度の特徴を考察した。
このよ うな考察は,
将来企業集中尺度と不平等尺度についての成果が互いに取り 入れられて,
考察を進展させる際の重要な参考になると思われる。
〔本積は,
1980年9月22日行なわれた第34回東北選済学会(於富士大学)で報告し た内容に加銀修正したものである。
〕参
考
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15) よく用いらる方法としてはKend
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all & S t u a r t 〔 ll〕 p p.
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