184 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(76) イワ イ エ リ コ岩井恵理子(昭和
博士(医学) 三三1422号平成6年1月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
小胴径および薄層法を用いたCTによる正常副腎像の検討
(主査)教授 重田 魚子 (副査)教授 相川 英三,小暮美津子論 文 内 容 の 要 旨
目的 正常副腎の形態は複雑で,従来のCTでは空間分解 能に限界があり,CTでの正常副腎像は未だ確立され ていない.本研究では小口径視野および薄層法を用い ることにより空間分解能を高め,多断面で多彩な副腎 像を把握し正常副腎の形態を決定することを目的とし た. 対象および方法 臨床的に副腎疾患の否定された111例を正常群とし, さらに正常に対する対照群として副腎皮質腺腫による Cushing症候群に伴う萎縮21例と過形成8例を対象と した. 副腎を中心にした小範囲に有効視野を設定し,5mm スライス間隔,5mm幅の薄層像を得,周囲臓器との位 置関係,副腎動静脈の同定,副腎の形状および大きさ について検討した.大きさに関しては左右副腎の複数 断面で得られた副腎のそれぞれの幅,厚みを測定し, また,左側の中間のレベルでは三角部の高さと底辺を 測定して正常値を算出し,萎縮例と多変量解析によっ一 て正常値との差を求めた. 結果および考察 1.周囲臓器との位置関係 全例に副腎が描出され,95.4%で右副腎の内側脚と 外側脚が区別可能であった.91.7%で右副腎の外側脚 頭側部が肝右葉と接着し脂肪組織が消失して認めら れ,肝のbare areaに接していることが示された. 2.副腎動静脈の同定 右副腎の99%が下大静脈に接し,うち17。4%が下大 動脈に接する部分に点状の造影効果が認められ,これ は右副腎静脈と考えられた.69.2%で左副腎の内側に 点状の左中副腎動脈が認められ,66.7%に線状の左副 腎静脈の同定が可能であった. 3.形状 右副腎の14.7%がX字形を呈し,うち68.8%が前記 下大静脈に接するX字形の左上部に相当する部分が 右副腎静脈であった.右副腎尾側で25.8%,左副腎で は48.2%で辺縁の凹凸が認められた. 4.大きさ それぞれの断面で幅,厚み,高さおよび底辺の正常 値を算出し,さらに正常と萎縮例の計測値に対し多変 量解析による判別分析を行った結果,93.9%の確率で 左側稜の高さ,右側稜の厚み,右側内側脚の厚み,左 側の頭側レベルの厚みの順位で両者に差が認められた (相関:0.77834).過形成に関しては,右側は内側脚の 厚み,稜の厚み,左側は頭側の厚み,外側脚の厚み, 稜の厚みにおいて正常より大きい傾向が認められた. 結論 小口径視野および薄層像を用いたCTでは副腎と周 囲臓器,副腎動静脈との関係ならびに正常副腎の形状 を適確に把握することが可能であり,正常副腎として の判定上の有用性が確認された. 一790一185