234 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(10!) イシ ハラ石原さかえ(昭和
博士(医学) 罷工1447号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
内因性精神病の長期経過形態一感情病症状および分裂病症状の二元評価に基
づく調査一 (主査)教授 田村 敦子 (副査)教授 溝口 秀昭,白坂 龍暖論 文 内 容 の 要 旨
目的 内因性精神病研究にとって,長期的な形態変遷の解 明は重要な課題である.しかし,長期継続的な観察が, 実施上極めて困難であることから,これまでの報告は 決して多くはない.本研究では,内因性精神病圏全体 を対象として,10年以上の継続観察例を選び,形態変 遷についての病歴研究を行った. 対象および方法 東京女子医大病院神経精神科に1965年から1974年の 問に内因性精神病圏の診断で初回入院した症例の中か ら,5~7年後に再入院歴を持つこと,および10年以 上の経過観察が可能であったことを基準として,平均 17.0年の治療歴を持つ74例を選択し,長期的な形態変 遷を病歴上で調査した.その都度の横断面病像から感 情病性要素と産出性の分裂病性要素を分析し,それら を縦断的に累積した.この方法によって長期経過を図 式し,内因性精神病の長期的な形態の変化を追跡した. 結果および考察 対象74例は,単極うつ病群,双極感情病群(以下, 双極群と略す),分裂感情病群,分裂病群の4群にわか れた.単極うつ病群(1G例)は,単調で比較的安定し た経過を保った.それに比較し,双極群(28例)の経 過は症例毎に多様で不安定であった.また双極化は比 較的早い時期に起こっていた.双極群と分裂感情病群 (29例)は,両群羊に第5病弔問に約90%が,観察5年 以内に各々約80%および90%が双極化していた.また 双極群の一部には,経過途中にうっ病相が軽症化して 躁病相のみが残留し,双極の均衡が躁病極側に偏筒す る傾向,すなわち「マニーへのシフト」が見られた. 感情病の経過は,双極群と分裂感情病群で相似してお り,躁病極への旧藩は後者で一層顕著であった.なお, 分裂感情病群の約20%に単極躁病型経過が見られたの に対し,単極うつ病型経過はなかった. 分裂感情病群では,分裂病症状の出現は躁病極と強 い連関を示した.また分裂感情病母の一部に,経過後 半,分裂病化する傾向が見られた.なお,分裂病群(7 例)に属した症例にも,軽度の感情病性要素は存在し た. 各群の経過を概観し,また長期的な推移を考慮に入 れると,単極うつ病,双極感情病,分裂感情病,分裂 病などのカテゴリーはそれぞれ孤立したものではな く,相互に連関したものと見倣し得る. 結語 以上,内因性精神病圏全体を対象にして長期経過を 調査した結果,個別カテゴリーは内因性精神病全体の スペクトルの一つとして眺めるのが妥当であることが 示唆された. 一840一235