Title
ゼオライトナノ細孔を反応容器とする光化学反応制御の研
究( 内容の要旨 )
Author(s)
松原, 千恵
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第264号
Issue Date
2002-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2605
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の、要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 松 原 千 恵 (岐阜県) 博士(農学) 農博甲第264号 平成14年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 信州大学 亨 ゼオライトナノ細孔を反応容器とする光化学反応 制御の研究 主査 信州大学 副査 信州大学 副査 岐阜大学 副査 静岡大学 授 授 授 授 教 教 教 教 紘 信 彦 治 政 善 修 原 嶋 田 邁 茅 小 篠 渡 論 文 の 内 容 の 要 旨 溶液中における単分子系の光化学反応の研究はほぼ体系化され、次第に単分子系からより複 雑な分子複合系へ興味が移行しつつある。本学位論文は、ゼオライトナノ細孔内に包接された 有機分子(ゼトライト超分与)の分光学的挙動や光化学反応挙動について検討し、ゼオライト 細孔の有する主要な反応制御特性について解明した成果を報告するものである。 [1]ゼオライトN左Y細孔内における4-メトキシスチレンの光酸素酸†ヒ及び光コ討ヒ反応の研究 溶液中における4・メトキシスチレン(1a)の柑ヒ学反応Iよ溶存酸素の影響を著しく受けることが知られ ている。不活性爛訂Fでは、【2+2】付加環†ヒ反応によりゐシクロブタンニ量体が生成する。酸素雰 囲気下では、1aと酸素分子間潮虫電荷移動錯体紀伊錯附が形成される。このCCT錯体を選択的に光励 起すると、1aから酸素分子への一電子移動が起こり、最終的に4-メトキシベンズアルデヒド及び由召刀g-シ クロブタンニ量体が室生成物として得られることが見出されている。 ゼオライト紆L内では、ゲスト分子間相互作用が噂大することによりCCr錯体の形成並乙刃こその財ヒ学 反応が促進されることが斯得できる。しかしゼオライトNaYに1aを吸着すると、細孔内に存在するB血 酸点の作用により溶液中では起こらない暗反応が進行したまた紆L内における暗反尉ま、吸着水や芳香族ア_ ルケンの電子路与能や構造に依存することがわかった。更にNよY細孔内において形成される1aと酸素分子 間CCr吸収掛よ溶液中とは異なり、基質の長波長額昧端吸収領域では観測され坑1aの吸収極大付近に 観測された。このスペクトル変他嵐半断割算仏Ml法)に基づいて、1aと細孔内に存在す るNa+との静電的相互作用に起因すると帰属された。 NよY細孔内における1aの光化学反応は、光二塾†肋間倒され憾練覿闇誠が促進されることがわかっ
一114-た。顔中と同様に酸素分子を電子受容体とする光誘起電子移動反応が進行するが、Nがとの静電的相互作
用により1aの拡散が遅いこと、及び発生したイオンラジカル対間の相互作用が強い為、酸素酸化反応が光二 封ヒ反応に対して優勢に進行した為と考えられる。 以上の結果から、光†増坂応制御を支配する重要な因子の-一つは、、吸着分子と細孔内金寓カチオンとの静 紺であることがわかったまたう闇ヒ学反応の解析には細孔内酸点の影響や吸着水の影響を考慮 することが重要であることがわかった [2]ゼオライト細孔内におけるカルコンの光異性化反応 アルケンの光矧封ヒ反応は代紺ヒ学反応の一一つセあり、生体における視覚、植物の発芽などに見ら れる光岡期性を支配している。[1】の研究成果から、不飽和結合を有する有機基質の光矧封ヒ挙動をゼオラ イト細孔内金属イオンとの静紺用によって制御できる可能性が高いと推定した。そこで、カルポニ ル基と共役した炭素一炭素=重結合を有するカルコン妃U誘導体を用いて、ゼオライト細子L内における光 異l封ヒ挙動を検討した。 CLをNよY細孔内に吸着すると、溶液中よりも長波長静或に吸収帯がシフトした。更にゼオライト吸着試 料に減n皿光を照射すると、ゐ体の生成功率は溶液中と比較して増加した。またバラ位にメトキシル基や メチル基を導入したカルコンを用いた場合にlよE体からZ体への異性化が司顎光によって進行することを 見出した。太陽エネルギーの有効利用と関連する重要な発見である。 半緯蜘掛算により得られたCUNが錯臓lら、肘はカルポニル基の非共有電子対 と相互作用することが示唆された,この静電的相互作用により、スチレン部位とカルポニル部位間の平面性 が噂大すること並びこn一花働嘲倒されることが見出された。 [3]2-ヒドロキシカルコンの光鼎肘ヒに討紺L内B鵬酸点の評価 0・OHCLは光及び熱反応により多様に異性化する。これら異性体の吸収スペクトルは多彩 であるため、フォトクロミック分子として注目されている。また、異性体の1つであるフラビ リウムカチオンは、アントシアニンと基本的な化学構造が同一であるため、天然のアントシア ニンの化学的挙動を研究する上で、非常によいモデルとされている。 水溶液中における0-OHCLの光反応は既に研究がなされており、光照射によってZ体に 異性化し、-Z体は不安定反応中間体であるため、直ちに環化しフラベノールとなることがわか っている。酸性水溶液中においては、プロトンの付加と脱水が起こり、フラビリウムカチオン を与えることが見出されている。 そこで本研究では、0・OHCLをNaY細孔内に吸着させて光照射したところ、細孔内でフ ラビリウムカチオンが生成することを見出した。これは、光照射によって生成したフラベノー ルが、NaY細孔内Br8nSted酸点の作用によりフラビリウムカチオンを与えた為であることを 見出した。 以上の研究成果から、ゼオライトナノ細孔は、吸着分子の光化学反応性を制御する為の反 応容器として非常に高い可能性を有することが明らかになった。 一115一審 査 結 果 の 要 旨 ゼオライトは2世紀以上も前から知られているアルミノケイ酸塩である。分子ふる
い作用や熱反応触媒特性を有する為、30年以上にも渡り触媒化学の分野で活発に研
究されてきたが、ゼオライト吸着分子の光化学反応に関する研究は数少ない。本研舞
では、ゼオライトナノ細孔に包接された芳香族アルケンの分光学的挙動や、光酸素酸_
化反応・光異性化反応等の光化学反応挙動について検討し、溶液中における分子の分 光学的並びに光化学的挙動とは著しく異なることを見出し、その因子を解明して報告 している学位論文であり大変興味深い。本研究では、先ず4-メトキシスチレン(土)を用いて、ゲスト分子に対する細孔
内プレンステッド酸点や吸着水の影響を評価した。さらに、上の光酸素酸化反応並び
に光二量化反応について、分光学的解析、生成物分析に基づく反応性の解析、分子軌
道計算に基づく理論的解析をおこない、細孔内金属カチオンとゲスト分子の静電的相
互作用が光化学反応性を支配する主要な因子であることを明らかにした。 またこの静電的相互作用は、芳香族アルケンの光異性化にも影響を及ぼすと推定して、ゼオライト細孔内における置換カルコンの光異性化挙動を検討した。その結
果金属カチオンとゲスト分子の相互作用によりゲスト分子の立体構造が変化し、これまで溶液中では見られなかった可視光領域の吸収帯が新たに観測されたこと、及
び可視光照射たよりE体からZ体への光異性化が起こることを見出した。このこと は、太陽エネルギ†の有効利用に関する大変重要な発見であると評価できる。 さらに、フォトクロミック特性を有する2-ヒドロキシカルコンの光異性化並びに熱異性化挙動め研究へと発展させ、細孔内酸点の影響にフいてより詳細な知見を
見出した。カルコンに関する研究は、まだ研究論文としては発表されていないが、国内外での学会発表ではその成果の一部を報告しており、大変活発な研究活動をお
こなっている。既に発表された下記の2報の学術論文は、国際学術雑誌として高し) 評価を得ている雑誌に掲載されたものであり、本研究成果の評価を裏付けるもので ある。 以上のことから、審査委員全員一致で本学位論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値あるものと認めた。
基礎となる学術論文:1・C・Matsubara and
M.Kqjima,Effect
of Co-adsorbed Water onPhotodimerizationandPhotooxygenationIncludedinNaY;詑trahedronLett.4軋
3439-3442(1999).
2・C・Matsubara and
M・Kqjima,Photooxygenation
and Photodimerization of4-MethoxystyreneinNaY TheRoleofCo-adsofbedWaterandAlkene-0Ⅹygen
Charge-ThnsferComplex,Res・Chem・hztermed・,inpress・