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抗真菌剤による肝肥大及び肝発がんへのconstitutive androstane receptor(CAR)の関与に関する研究

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Academic year: 2021

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Title 抗真菌剤による肝肥大及び肝発がんへのconstitutiveandrostane receptor(CAR)の関与に関する研究( 内容と審査の 要旨(Summary) ) Author(s) 田村, 圭 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 乙第150号 Issue Date 2017-03-13 Type 博士論文 Version ETD URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/56188 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本(国)籍) 田 村 圭(千葉県) 推 薦 教 員 氏 名 岐阜大学 准教授 梅 村 隆 志 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博乙第150号 学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第2項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学 学 位 論 文 題 目 抗真菌剤による肝肥大及び肝発がんへの constitutive androstane receptor (CAR)の関与に関する研究

審 査 委 員 主査 岐 阜 大 学 准教授 梅 村 隆 志 副査 帯広畜産大学 教 授 古 林 与志安 副査 岩 手 大 学 教 授 佐 藤 洋 副査 東京農工大学 教 授 渋 谷 淳 副査 岐 阜 大 学 教 授 柳 井 徳 磨 学位論文の内容の要旨 げっ歯類は化学物質の毒性試験の主たる実験動物として用いられている。化学物質の毒 性学的評価では,ヒトの健康リスクにとって,これら実験動物を用いたデータの種差を考 慮することが重要である。特に発がん性は,ヒトの健康に対する影響が重大であることか ら,その評価には慎重を期する必要がある。これまでの発がん性メカニズム研究によって, 様々なげっ歯類の発がん性が,種特異的であり,ヒトに外挿されないことが明らかにされ つつある。本研究では,げっ歯類の最も一般的な化学物質誘発性腫瘍である肝臓腫瘍のヒ トへの外挿性について調べることを目的とした。フェノバルビタールは,げっ歯類におい て肝発がんのプロモーターであることがよく知られている。そのフェノバルビタールによ るげっ歯類の肝発がんには核内受容体である constitutive androstane receptor (CAR)が 重要な役割を果たしていることが,CAR ノックアウトマウスを用いた実験により明らかに された。一方,ヒトでは,CAR の活性化や肝肥大が誘発され,げっ歯類で肝発がんを誘発 した暴露量を投与されているにもかかわらず,フェノバルビタールによる肝臓腫瘍の増加 は認められていない。これらのげっ歯類及びヒトでの実験結果から,げっ歯類で認められ るフェノバルビタールによる肝発がんはヒトには外挿されないことが明らかとなった。フ ェノバルビタールによるげっ歯類の肝発がんがヒトに外挿されないことから,フェノバル ビタールに似た特徴を持った化学物質によるげっ歯類の肝発がんもヒトに外挿されないと 考える mode of action (MOA) が提唱されてきた。この MOA では,フェノバルビタールに 似た特徴,すなわち key event の一つとして肝肥大を挙げており,あたかも肝肥大が肝発 がんの initial event のように捉えられている。しかし,フェノバルビタールの化学物質 による情報は不足しており,フェノバルビタールの結果のみから肝肥大を key event と考 えることは適切ではないと考えられた。そこで本研究では,肝肥大や肝発がんを誘発する 複数の抗真菌剤を評価化学物質として用い,CAR ノックアウトマウスに投与することで, 肝肥大及び肝発がんへの CAR の関与を調べた。また,これらの抗真菌剤による肝肥大及び (2)

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肝発がんへの CAR の関与を調べることで,肝肥大が肝発がんの key event か否かを調べた。 第 1 章では,トリアゾール系抗真菌剤であるシプロコナゾール,テブコナゾール,及び フルコナゾールによる肝肥大及び肝発がんへの CAR の関与を調べた。その結果,シプロコ ナゾール及びフルコナゾールによる肝肥大は CAR が重要な役割を果たしていたが,テブコ ナゾールによる肝肥大は CAR 以外が重要な役割を果たしていた。一方,肝発がんについて は,テブコナゾールを含めたいずれの 3 剤も CAR が重要な役割を果たしていた。テブコナ ゾールにおいては肝肥大と肝発がんでの CAR の役割が異なっていたことから,肝肥大は肝 発がんの key event ではないと考えられた。 第 2 章では,第 1 章で用いたトリアゾール系抗真菌剤 3 剤を複数用量投与することで, 肝肥大に関与する因子をより詳細に調べた。その結果,第 1 章で用いた腫瘍誘発用量(1 用量)では明らかにできなかったテブコナゾールによる肝肥大への CAR の関与とフルコナ ゾールによる肝肥大への CAR 以外の関与を明らかにすることができた。また,第 2 章では 比較対照としてフェノバルビタールを複数用量投与する群を設けたことで,フェノバルビ タールとの差異を明確にした。3 つのトリアゾール系抗真菌剤では,フェノバルビタール とは異なり,肝肥大への CAR 以外の関与が認められた。 第 3 章では,第 1 章及び第 2 章で確立した手法を用いてイミダゾール系抗真菌剤である イマザリルによる肝肥大及び肝発がんへの CAR の関与を調べた。その結果,イマザリルに よる肝肥大には CAR 以外が重要な役割を果たしていた一方,肝発がんは CAR に依存してい た。以上の結果から,肝肥大が肝発がんの key event ではないことが改めて示唆された。 本研究では,これまで知られていなかった 4 つの抗真菌剤による肝肥大及び肝発がんへ の CAR あるいは CAR 以外の関与を明らかにした。肝肥大については,いずれの剤もフェノ バルビタールとは異なり,肝肥大に CAR 以外の関与が認められた。一方で,肝発がんには いずれの剤も CAR が重要な役割を果たしていた。また,これらの実験結果から,肝肥大が 肝発がんの key event ではないことが示唆する実験結果を示した。 審 査 結 果 の 要 旨 フェノバルビタールは,げっ歯類に肝発がんを誘発するが,ヒトでは肝発がんは認めら れていない。また,フェノバルビタールによるげっ歯類の肝肥大及び肝発がんには核内受 容体である constitutive androstane receptor (CAR)が重要な役割を果たしていることが CAR ノックアウトマウスを用いた実験から明らかになっている。フェノバルビタールによ るげっ歯類の肝発がんがヒトに外挿されないことから,フェノバルビタールと似た特徴を 有した化学物質による肝発がんもヒトに外挿されないとする mode of action(MOA)が提 唱された。この MOA では,肝肥大が肝発がんの key event の 1 つとしていた。しかし,肝 肥大の発生機序は様々であり,肝発がんとは独立していると考えられる。また,この MOA はフェノバルビタールの情報のみから判断されており,他の化学物質を用いた検証がなさ れていない。本研究は,その点に着目し,げっ歯類に肝肥大及び肝発がんを誘発する物質 として抗真菌剤を選択して,CAR ノックアウトを用いて,肝肥大及び肝発がんへの CAR の 関与を明らかにし,肝肥大と肝発がんの関係性について調べることを目的とした。化学物 質による発がん性評価はヒトの健康リスクの観点から非常に重要である。発がん性のヒト への外挿性を正しく評価する方法を研究することをテーマにした本研究は,科学的に重要 な意味を持つ研究と判断した。 第 1 章では,シプロコナゾール,テブコナゾール,及びフルコナゾールによる肝肥大及 び肝発がんへの CAR の関与を明らかにした。第 2 章では,第 1 章で認められた課題であっ た肝肥大に関わる因子を詳細に調べるため,複数用量の投与により第 1 章では検出できな

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かった CAR あるいは CAR 以外の関与を明らかにした。第 3 章では,第 1 章及び第 2 章で確 立した試験系を用いて,イマザリルによる肝肥大及び肝発がんへの CAR の関与を明らかに した。これらの結果から,抗真菌剤 4 剤による肝肥大にはいずれも CAR 以外の関与があり, フェノバルビタールとは異なることが示唆された。その一方で,肝発がんには CAR が重要 な役割を果たしていた。また,肝肥大は肝発がんの key event ではないことを示唆する実 験データが得られた。これらの結果は,これまでの考え方を変える新しいエビデンスであ り,研究内容は今後の肝発がん性研究に非常に有用であると判断した。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文

1)題 目:Dose-response involvement of constitutive androstane receptor in mouse liver hypertrophy induced by triazole fungicides

著 者 名:Tamura, K., Inoue, K., Takahashi, M., Matsuo, S., Irie, K., Kodama, Y., Ozawa, S., Nishikawa, A. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:Toxicology Letters

巻・号・頁・発行年:221(1):47-56,2013

2)題 目:Involvement of constitutive androstane receptor in liver hypertrophy and liver tumor development induced by triazole fungicides

著 者 名:Tamura, K., Inoue, K., Takahashi, M., Matsuo, S., Irie, K., Kodama, Y., Gamo, T., Ozawa, S. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:Food and Chemical Toxicology 巻・号・頁・発行年:78:86-95,2015

3)題 目:A crucial role of constitutive androstane receptor (CAR) in liver tumor development by imazalil in mice

著 者 名:Tamura, K., Inoue, K., Takahashi, M., Matsuo, S., Kodama, Y. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:The Journal of Toxicological Sciences 巻・号・頁・発行年:41(6):801-811,2016

既発表学術論文

1)題 目:Development of an enzyme-linked immunosorbent assay for detection of circulating IgG autoantibodies against canine desmoglein 3 in dogs with pemphigus

著 者 名:Nishifuji, K., Tamura, K., Konno, H., Olivry, T., Amagai, M. and Iwasaki, T.

学 術 雑 誌 名:Veterinary Dermatology 巻・号・頁・発行年:20(5-6):331-337,2009

2)題 目:Development of an early induction model of medulloblastoma in Ptch1 heterozygous mice initiated with N-ethyl-N-nitrosourea

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著 者 名:Takahashi, M., Matsuo, S., Inoue, K., Tamura, K., Irie, K., Kodama, Y. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:Cancer Science

巻・号・頁・発行年:103(12):2051-2055,2012

3)題 目:Adaptive parotid gland hypertrophy induced by dietary treatment of GSE in rats

著 者 名:Inoue, K., Morikawa, T., Matsuo, S., Tamura, K., Takahashi, M. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:Toxicologic Pathology 巻・号・頁・発行年:42(6):1016-1023,2014

4)題 目:Inhibitory potential of postnatal treatment with cyclopamine, a hedgehog signaling inhibitor, on medulloblastoma development in Ptch1 heterozygous mice

著 者 名:Matsuo, S., Takahashi, M., Inoue, K., Tamura, K., Irie, K., Kodama, Y., Nishikawa, A. and Yoshida, M.

学 術 雑 誌 名:Toxicologic Pathology 巻・号・頁・発行年:42(8):1174-1187,2014

5)題 目:Dose-dependent difference of nuclear receptors involved in murine liver hypertrophy by piperonyl butoxide

著 者 名:Sakamoto, Y., Yoshida, M., Tamura, K., Takahashi, M., Kodama, Y. and Inoue, K.

学 術 雑 誌 名:The Journal of Toxicological Sciences 巻・号・頁・発行年:40(6):787-796,2015

参照

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