九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
日本と台湾の小学校学習指導要領における道徳教育
的要素の比較 : 言語教育に見られる道徳教育
荒木, 雪葉
西南学院大学 : 博士研究員https://doi.org/10.15017/1522103
出版情報:和の文化. 3, pp.1-20, 2014-03-31. NPO法人和の文化研究会 バージョン:published 権利関係:日本と台湾の小学校学習指導要領における道徳教育的要素の比較
――言語教育に見られる道徳教育
荒木 雪葉
序章
本稿は、日本の小学校の学習指導要領と台湾の学習指導要領にあたる国民中小学九年一 貫課程綱要との比較を通して、日本の学習指導要領のうち言語に関する科目にみられる道 徳教育的要素の扱われ方を指摘し、日本の教育における言語を通した道徳教育の特徴につ いて考察するものである。 筆者は儒学思想を研究すると同時に、2007 年より一般向けの講座で論語の素読や解釈を 行う講座を主催、あるいは担当してきた。講座を行っていく中で、かつて日本で行われて いた漢籍を用いた教育の道徳教育的効果に興味を抱いた。講座の際に受講生を対象に行っ たアンケートでは、「親を大事にしようと思った」等の感想を得られた。つまり論語を素読 し解説する中で、自然に道徳教育も行われているのである。 論語などの漢籍を用いた教育は、現在の学校教育では国語科の漢文にあたる。すなわち 言語教育の中に道徳教育を行うことのできる教材が含まれているということになる。では、 現在の学校教育で行われる言語教育全体において、道徳教育は行われているのだろうか。 また行われているとすれば、どのように行われているのであろうか。 この問題点について考察するために、まずは学校教育の指針である学習指導要領を検討 してゆきたい。今回は小学校教育における状況を考察するため、「小学校学習指導要領」(平 成20 年 3 月公布)を用いる。また台湾の学習指導要領にあたる「國民中小學九年一貫課 程綱要語文學習領域」(中華民国 97 年公布、中華民国 100 年修正)と比較することによっ て、日本の言語教育における道徳教育的要素の特徴を明らかにしたい。なお、中国語文献 からの引用は拙訳のみ掲載する。第一章 小学校学習指導要領における道徳教育について
そもそも道徳教育とはどのようなものであるかという定義づけをするために、小学校学 習指導要領における道徳の項目を参照する。 第一節 道徳とは 日本の小学校学習指導要領において、道徳は科目としては扱われていない。しかし第三 章に「道徳」という項目が立てられ、第一章「総則」には「学校における道徳教育は、道 徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳の時間はもとより、 各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、児童の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければならない」1と定められている。すな わち各教科の授業を通じても道徳的指導を行うことが求められているということが明示さ れている。また道徳教育の目的は「教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精 神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における 具体的な生活の中に活かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんで きた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び、民 主的な社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に 貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成する」2こととされている。 また道徳教育の目標は、学習指導要領第三章「道徳」によると、「学校の教育活動全体を 通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うこと」である。 小学校六年間を通じて行われる道徳教育の具体的な内容は、「1 主として自分自身に関 すること」「2 主として他の人とのかかわりに関すること」「3 主として自然や崇高なも のとのかかわりに関すること」「4 主として集団や社会とのかかわりに関すること」の四 項目に大別されている。(詳細は【資料1】を参照)したがって本稿では、これらの4 項目 に関わる要素を「道徳的要素」という。 ところで小学校で行われる言語教育は指導要領の「各教科」に含まれる「国語」、また第 5 学年と第 6 学年で学ぶ「外国語活動」の二科目である。次節では「小学校学習指導要領 解説 道徳編」における国語と外国語活動についての記述を見てみたい。 第二節 国語科について 「小学校学習指導要領解説 道徳編」によると「各教科、外国語活動、総合的な学習の 時間及び特別活動には、それぞれ固有の目標や内容がある。しかし、それらはすべて、児 童の豊かな人格の形成につながるものである。したがって、教育活動全体を通じて行う道 徳教育では、それぞれの教育活動の特質に応じて、道徳的な心情や判断力、実践意欲と態 度などの道徳性の育成に努める必要がある」3とある。 また平成 20 年 3 月公布の学習指導要領から新しく各教科における道徳教育についての 記述が掲載された。それによると、国語科において行うべき道徳教育については、「国語に よる表現力と理解力とを育成するとともに、人間と人間との関係の中で、互いの立場や考 えを尊重しながら言葉で伝え合う力を高めることは、学校の教育活動全体で道徳教育を進 めていく上で、基盤となるものである。また、思考力や想像力及び言語感覚を養うことは、 道徳的心情や道徳的判断力を養う基本になる。さらに、国語を尊重する態度を育てること は、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛することなどにつな がるものである」4とする。 すなわち道徳編で国語科に求められている道徳教育的要素は、①伝え合う力を高めるこ と、②思考力や想像力及び言語感覚を養うこと、③愛国心・郷土愛を育てること、の三点 である。 1 文部科学省「小学校学習指導要領」平成 20 年 3 月、1 ページ 2 上掲書、1 ページ 3 文部科学省「小学校学習指導要領解説 道徳編」平成 20 年 6 月、98 ページ 4 上掲書、99~100 ページ
第三節 外国語活動について 「小学校学習指導要領解説 道徳編」には、外国語活動を通じて行われるべき道徳教育 について「外国語活動においては,目標を『外国語を通じて,言語や文化について体験的 に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の 音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。』と 示している。外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深めることは,日本人 としての自覚をもって世界の人々と親善に努めることにつながるものである」5と記載され ている。世界の人々との親善が目標であり、そのために相手の文化を学ぶということであ る。外国語の学習を通して相手の価値観、道徳的規範を学び理解することが含まれるか否 かについては、いずれ改めて教科書研究や授業参観による教育の実情を通した研究を行い たい。
第二章 国語、外国語活動の学習指導要領における道徳教育的要素について
第一節 国語 一、指導要領における指導項目 日本の小学校学習指導要領「国語」(以下「国語学習指導要領」と表記)では、「国語を 適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像 力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる」というこ とを目標としている。 日本の国語学習指導要領は、各学年の目標及び内容を第1 学年及び第 2 学年、第 3 学年 及び第4 学年、第 5 学年及び第 6 学年の三段階に分けて記述している。さらに各段階には 「目標」が掲げられており、具体的内容は「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」 の三分野に分かれ、また「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の指導を通して 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」を指導することとされている。 各段階における内容の項目数は次の通りである。(詳細は【資料2】を参照) 第 1 学年及び第 2 学年 話すこと・聞くこと 5 項目 書くこと 5 項目 読むこと 6 項目 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 伝統的な言語文化に関する事項 1 項目 言葉の特徴やきまりに関する事項 7 項目 文字に関する事項 3 項目 5 「小学校学習指導要領解説 道徳編」102 ページ 第 3 学年及び第 4 学年 話すこと・聞くこと 5 項目 書くこと 6 項目 読むこと 6 項目 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 伝統的な言語文化に関する事項 2 項目 言葉の特徴やきまりに関する事項 8 項目 文字に関する事項 2 項目 第 5 学年及び第 6 学年 話すこと・聞くこと 5 項目 書くこと 6 項目 読むこと 6 項目 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 伝統的な言語文化に関する事項 2 項目 言葉の特徴やきまりに関する事項 9 項目 文字に関する事項 2 項目 これらを項目ごとに分類すると、次のようになる。 話すこと・聞くこと 15 項目 書くこと 17 項目 読むこと 18 項目 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 伝統的な言語文化に関する事項 5 項目 言葉の特徴やきまりに関する事項 24 項目 文字に関する事項 7 項目 ところで、国語学習指導要領の「目標」すなわち「国語を適切に表現し正確に理解する 能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語 に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる」において、先に挙げた国語科に要求さ れる道徳教育の基本能力「①伝え合う力を高めること、②思考力や想像力及び言語感覚を 養うこと、③愛国心・郷土愛を育てること」と関連のある個所を求めると、「伝え合う力を 高める」こと、「想像力」を養うこと、「国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育 てる」ことの三点が挙げられる。 そこでここからは、国語学習指導要領において「伝え合う力を高める」こと、「想像力」 を養うこと、「国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる」ことの三点に関わる 記述がなされている具体的な項目を挙げ、国語学習指導要領における道徳教育的要素の特 徴を見出したい。 二、学習指導要領の中の道徳教育的要素
国語学習指導要領の中の道徳教育的要素を抜きだすと、以下のようなものが見られる。 〔第 1 学年及び第 2 学年〕 A 話すこと・聞くこと 相手に応じて、話す事柄を順序立て、丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気 をつけて話すこと。 大事なことを落とさないようにしながら、興味をもって聞くこと。 互いの話を集中して聞き、話題に沿って話し合うこと。 B 書くこと 書いたものを読み合い、よいところを見付けて感想を伝え合うこと。 C 読むこと 文章の内容と自分の経験とを結び付けて、自分の思いや考えをまとめ、発表 し合うこと。 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったり すること。 〔第 3 学年及び第 4 学年〕 A 話すこと・聞くこと 相手や目的に応じて、理由や事例などを挙げながら筋道を立て、丁寧な言葉 を用いるなど適切な言葉遣いで話すこと。 相手を見たり、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などに注意したりして話すこ と。 話の中心に気を付けて聞き、質問をしたり感想を述べたりすること。 互いの考えの共通点や相違点を考え、司会や提案などの役割を果たしながら、 進行に沿って話し合うこと。 B 書くこと 書いたものを発表し合い、書き手の考えの明確さなどについて意見を述べ合 うこと。 C 読むこと 文章を読んで考えたことを発表し合い、一人ひとりの感じ方について違いの あることに気付くこと。 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 やさしい文語調の短歌や俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感 じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
長い間使われてきたことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り、使うこ と。 漢字のへん、つくりなどの構成についての知識をもつこと。 〔第 5 学年及び第 6 学年〕 A 話すこと・聞くこと 目的や意図に応じて、事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら、 場に応じて適切な言葉遣いで話すこと。 共通語と方言との違いを理解し、また、必要に応じて共通語で話すこと。 話し手の意図をとらえながら聞き、自分の意見と比べるなどして考えをまと めること。 互いの立場や意図をはっきりさせながら、計画的に話し合うこと。 B 書くこと 引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、自分の考えか伝わるように 書くこと。 表現の効果などについて確かめたり工夫したりすること。 書いたものを発表し合い、表現の仕方に着目して助言し合うこと。 C 読むこと 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。 登場人物の相互関係や心情、場面についての描写をとらえ、優れた叙述につ いて自分の考えをまとめること。 本や文章を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたり すること。 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章について、内容の大体を 知り、音読すること。 古典について解説した文章を読み、昔の人のものの見方や感じ方を知ること。 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。 国語という教科の特性上、互いに伝えあうことや日本の言語である国語に親しむことと 切り離すことはできないため、上記したものはあくまで特に道徳教育的要素が強いものに 限られる。また項目を全て「①伝え合う力を高めること、②思考力や想像力及び言語感覚 を養うこと、③愛国心・郷土愛を育てること」のいずれかに分類することは難しく、多く が複数の道徳教育基本能力にまたがっている。 三、考察 「小学校学習指導要領解説 道徳編」における国語科に求められる道徳教育と、国語学
習指導要領における道徳教育と関連する項目は対応していた。 国語科に求められる道徳教育的要素の特徴を「小学校学習指導要領解説 国語篇」に求 める。「小学校学習指導要領解説 国語篇」には、中央教育審議会答申における国語科の改 善の基本方針として、「特に、言葉を通して的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、 互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に 触れて完成や情緒をはぐくむことを重視する」6とある。また敬語の指導について、「人間 関係を円滑にし、日常の言語生活を豊かにするため、相手や場に応じた言葉遣いが適切に できるようにすることを重視する」7とある。すなわち小学校の国語科を通した道徳教育で は、言語を通した相互理解、また人間関係を円滑にするために用いる言葉遣いを学ぶこと が求められているといえる。 第二節 外国語活動 学習指導要領「外国語活動」では、指導目標を「外国語を通じて,言語や文化について 体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外 国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う」 こととしている。 また指導要領内容の2 が道徳教育的要素にあたる。 2 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう, 次の事項について指導する。 (1). 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り, 言葉の面白さや豊かさに気付くこと。 (2). 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考 え方があることに気付くこと。 (3). 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めるこ と。 外国語活動の学習指導要領には、異文化との交流を通じて異文化理解につとめることが 指導内容として挙げられている。異文化理解も「集団や社会とのかかわりに関すること」 であるので、やはり国際的視野を持つという意味での道徳教育的要素であると考えること ができよう。 第三節 小結 国語学習指導要領における道徳教育的要素は、言語活動を通したものが提示されていた。 また外国語活動を通じて学ぶとされた道徳教育的要素は、異文化を理解するということで あった。 次章では台湾の課程要綱と比較することによって、国語と外国語活動の学習指導要領に 6 文部科学省「小学校学習指導要領解説 国語篇」平成 20 年 6 月、4 ページ 7 上掲書、5 ページ
おける道徳教育的要素の特徴を明らかにする。
第三章 台湾の課程要綱における道徳教育的要素との比較
日本の小学校の国語学習指導要領においては、言葉を通した相互理解と人間関係を円滑 にするために用いる言葉遣いを学ぶこととが道徳教育的要素であると考えることができた。 また外国語活動に関しては、異文化理解につとめるという点が道徳教育と関連するもので あった。ここで、台湾の国語文課程要綱における道徳的要素と比較を行い、日本の国語学 習指導要領における道徳教育的要素の特徴を明確にする。 第一節 台湾の国民中小学九年一貫課程綱要「国語文」 台湾の国民中小学九年一貫課程綱要「国語文」(以下「国語文課程綱要」と表記)では、 基本理念として「1.学生の自国の言語文字の正確な理解と素早い応用能力を養う。学生 に聴く・話す・読む・書く・作るなどのすぐれた基本的能力を身につけさせ、また言語文 字を使用して気持ちを伝達し、性情を陶冶し、知恵を啓発し、問題を解決できるようにす る。 2.学生が効果的に国語文を応用して思考・理解・推理・協調・討論・鑑賞・創作 に携われるように養い、生活経験に溶け込み、多元的視野を広げ、国際的思潮に向き合う ことができるようにする。 3.学生に多方面にわたる閲読の興味を起こさせ、文学作品 を鑑賞する能力を引き上げ、我が国の文化の精髄を深く認識させる。 4.学生の学習に おける工具書の利用を案内し、情報ネットワークを結合させ、それによって言語学習をよ り広く深くし、学生が自分で学習する能力を養う」8を掲げている。 目標あるいは基本理念を比較するだけでも、既に学習内容の違いが際立っている。すな わち日本では日本語という言語に関する能力を学習することに特化した目標を立てている のに対し、台湾では国語を通して「性情を陶冶」「多元的視野を広げ国際的思潮に向き合う」 「文化の精髄を深く認識」などの、人格的教育や言語に限らない文化的教育を行うことを 目標としている。 台湾の国語文課程綱要では、能力目標の段階を1-2 年生の第一段階、3-4 年生の第二 段階、5-6 年生の第三段階、7-9 年生の第四段階に分けている。本稿では日本の小学校 の学習指導要領を考察対象とするため、台湾の課程綱要における能力目標の四段階のうち 第一段階から第三段階までを比較対象とする。 国語文課程綱要は、習得すべき各能力を段階ごとに列記している。習得すべき能力とは 「1.注音符号運用能力」「2.聞く能力」「3.話す能力」「4.文字を覚える・文字を書く能力」 「5.読む能力」「6 書く能力」の六つであり、この中で道徳的要素にあたる条項には次のよ うなものがある。 「2 聞く能力」に関する指導事項「良好な聞く態度を養うことができる」に 8 中華民国教育部「国民中小学九年一貫課程綱要語文学習領域(国語文)」民国 90 年/民国 100 年修正、1 ページ関する条項 2-1-1-2 他の人の発表を喜んで聞くことができる。 2-1-1-4 聞いているときに礼儀正しく話している人を見ることができる。 2-1-1-5 注意して聞くことができ、必要のない口出しをしない。 2-1-1-6 年長者や相手が先に行った発言に礼譲する。 2-1-1-7 礼儀正しい言葉を体得し、適当に応対できる。 2-1-1-8 能動的に参画交流し、相手の説明を聞くことができる。 2-3-1-1 忍耐強く聞く態度を養うことができる。 「3 話す能力」に関する指導事項「良好な話し方を見せることができる」に 関する条項 3-3-3-1 正確に、流暢に、また感情をこめて人と語り合うことができる。 第二節 閩南語、客家語、原住民族語、英語の課程綱要について 台湾の「国語」は中国大陸の北京方言を元とした共通語であるが、中国大陸から移住し てきた人々の用いる閩南語や客家語も公用語としての地位を得ており、国民中小九年一貫 課程綱要にも閩南語と客家語に関する記載がある。また従来台湾島に居住していた原住民 族9の諸言語に関する綱要もあるため、これらの言語に関する課程綱要についても道徳教育 的要素が見られるか否かの考察が必要である。また語文学習領域に英語も含まれているた め、英語における道徳教育的要素についても見てみたい。 一、閩南語 閩南語の課程目標のうち道徳教育的要素に関わるものは、「閩南語を通して人と影響を与 えあい、他人を思いやり各族群の言語と文化を尊重して、お互いの信頼関係や協力精神を 確立する」、「閩南語を通して郷土の文化を学び、世界の様々な族群の文化を知る」である10。 具体的な学習項目では、次のような条項が道徳教育的要素にあたる。 「1 聞く能力」に関する条項 1-2-8 閩南語を聞くときの礼儀と態度を養うことができる。 「2 話す能力」に関する条項 2-1-5 初歩的な閩南語を用いて他人への関心や礼儀を表現することができ る。 2-2-6 閩南語を運用して他人への尊重と関心を表現することができる。 9 先住民族のこと。ただし台湾で「先住民族」というとすでに滅びた民族を意味するため、こ こでは台湾での呼称「原住民族」を用いる。 10 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(閩南語)」1 ページ
「4 読む能力」に関する条項 4-3-5 閩南語を読むことを通して郷土および多元文化を理解できる。 「5 書く能力」に関する事項 5-3-2 閩南語を運用して自分の感じ方や要求を書き表すことができ、また他 人への関心を表現することができる。 二、客家語 客家語の課程目標のうち道徳教育的要素に関わるものは、「客家語を応用して感情を表現 し、考え方を通じ合わせ、これによって客家文化の内包するものを他の人と分かち合う」、 「客家語の相互作用状況を通して、客家文化の精神と特色を伝え、また交流する中にも他 の言語文化を尊重しまた関心を寄せ、互いの信頼関係や集団で協力する精神を確立する」 である11。 具体的な学習項目では、次のような条項が道徳教育的要素にあたる。 「2 話す能力」に関する条項 2-2-5 客家語を用いて礼儀正しい挨拶の言葉を言うことができる。 「4 読む能力」に関する条項 4-3-5 閩南語を読むことを通して郷土および多元文化を理解できる。 4-4-3 読むことを通して各族群の文化を理解し、また客家語に翻訳された外 国の作品を読むことができる。 三、原住民族語 原住民族語の課程目標のうち道徳教育的要素に関わるものは、「異なる言語文化の違いを 尊重することを学び、原住民族の社会に関心を寄せ、また集団で協力する精神をもって民 族の知恵を展開する」、「台湾の原住民族の多くの言語が共存する事実を認識し、異なる言 語およびそれに関係する文化が内包するものを体験し、南島語系社会と文化に対する理解 を深める」である12。 具体的な学習項目では、次のような条項が道徳教育的要素にあたる。 「1 聞く能力」に関する条項 1-1-3 良好な聞く習慣および態度を養うことができる。 1-3-7 聞くことを通して、他人の生活における仕事と休息を理解し、尊重す ることができる。 1-4-5 聞くことを通して、民族の伝統文化を知ることができる。 11 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(客家語)」1 ページ 12 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(原住民族語)」1 ページ
1-4-6 聞くことを通して、自分の民族の民俗習慣を知ることができる。 1-4-9 聞くことを通して、伝統的な生活方式を知ることができる。 「2 話す能力」に関する条項 2-4-5 民族文化に関する認識を簡単に表現することができる。 2-4-6 自分の民族の民俗習慣を簡単に描写することができる。 四、英語 台湾の課程綱要では、英語の教育を二段階に分ける。第一段階は国民小学三年から六年 生、第二段階は国民中学一年から三年生までである。したがって、ここでは第一段階での 課程要綱における道徳教育的要素を抜き出す。 「7 文化と習俗」に関する条項 7-1-3 基本的な国際社会の礼儀規範を理解することができる。 7-1-3-1 国際社会の生活文化と表現の多様性を感じ取り、知ることができる (女性のためにドアをあける等)。 五、考察 閩南語、客家語、原住民族語、英語における道徳教育的要素は、主に閩南語や客家語を 用いる族群、原住民族、また外国の文化への理解を求めるものであった。英語については 国際社会の礼儀規範を理解することが求められており、言語活動に留まらない道徳教育的 要素が見られた。 第四節 小結 台湾の国語文課程綱要における道徳教育的要素を持つ条項と日本の国語学習指導要領に おける道徳教育的要素とを比較したとき、最も異なる点が「礼儀正しく話している人を見 る」「必要のない口出しをしない」「礼譲する」「忍耐強く聞く」という条項である。これら は言語や言語を通した文化を学ぶための国語科でのみ学ぶことができる条項ではなく、道 徳的態度への言及である。換言すると、日本の国語学習指導要領では、日常の生活態度の 指導ではなく言語文化を通した道徳教育が望まれているということになる。伝えあう力を 高めることや想像力を養うこと、また国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育て ることという道徳教育的要素は、いずれも言語活動を行う際の態度にまでは言及していな い。これが日本の国語学習指導要領における特徴であると言える。 台湾の国語文課程綱要において日常的な道徳教育的表現がなされている理由の一つとし ては、次のことが考えられる。台湾の課程綱要において道徳教育は社会科の一領域として 扱われている。そして社会科課程綱要の当該部分には、「4-3-4 自分の重視する各種の徳行 や道徳信念について反省する」「4-4-3 (道徳、芸術や宗教などを含む)文化がどのように 人類の価値観と行為に影響するかということを理解する」というように道徳に言及しては いるものの、具体的にどのような価値観を持つべきなのかということや、身につけるべき 徳目については書かれていない。つまり道徳教育を行うときには具体的な道徳的態度への
指摘が見られないからこそ、国語文課程綱要で道徳的態度に言及しているのではないだろ うか。 翻って日本の学習指導要領の道徳部分を見ると、こちらには「父母,祖父母を敬愛」「礼 儀正しく真心をもって接する」「思いやりの心」「公徳心をもって法やきまりを守り」とい った、道徳的態度への言及が見られる。道徳の時間にこれらのことを教えることになって いるからこそ、国語科においては特に道徳的態度への言及がないと考えられるのである。 また日本の学習指導要領と台湾の課程綱要の双方において、「国語」以外の言語を通して 学ぶべき道徳教育的要素は主に当該言語を用いる人々の文化を理解、すなわち文化の多元 性を理解することであった。日本と台湾双方とも、道徳教育はその国の言語政策と密接に 関わっていることを予見させる。このことについてはいずれ別に論じたい。
終章
本稿では、日本の学習指導要領にみられる道徳教育的要素の特徴を、台湾の課程綱要と の比較を通して明らかにした。日本の国語学習指導要領に見られる道徳教育的要素として、 言語を通した相互理解や人間関係を円滑にするために用いる言葉遣いを学ぶことが記され ていた。一方台湾の国語文課程綱要では、言語にとどまらない道徳的態度についても述べ られていた。この理由として、台湾の社会課程綱要の中の道徳教育部分には道徳的態度に 触れられていないことが考えられた。一方で日本の学習指導要領の道徳部分には、道徳的 態度について述べられていた。道徳の時間に道徳的態度の教育を行うとされているために、 国語では特に言語を通した道徳教育的要素のみが述べられていると考えることができる。 道徳の時間に日本の基本的道徳観を教え、各教科の時間では教科ごとに特化した道徳教 育的要素を教えるとするのが日本の学習指導要領であった。 ただし、日本の学習指導要領の変遷をみると、次第に道徳的内容が各教科に導入され、 道徳の授業とつながりを持ってきていることが分かる。たとえば国語科の学習指導要領で の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕という項目は、前回の改定である平成 10 年改訂分までは〔言語事項〕とされ、内容も文字の発音や書き方、表記の仕方や敬語・ 漢字・ローマ字の知識、また書写のやり方について等であった。一方台湾では、民国 41 (1952)年の「国民学校課程標準」以来国語文に「我が国固有の道徳を発揚する」13とい った道徳的内容が盛り込まれており、時代の変化に伴って表現も変化してきたものの、現 在にまで続いている。台湾の小学校教育での「道徳」にあたる科目は、民国 41 年から民 国82(1993)年の課程標準改訂段階までは「公民訓練」「公民与道徳」「生活与倫理」「道 徳与健康」などと名称を変えながら存在した。しかし民国 90(2001)年に開始された九 年一貫教育の課程綱要からは従来の道徳にあたる科目がなくなった。これは道徳教育的要 素が各科目に織り込まれるという台湾の教育モデルとしての特徴がより顕著になったとい うことができるのではないだろうか。 13 中華民国教育部『国民学校課程標準』商務院書館、民国 42 年、92 ページ今回は言語教育の中で行われる道徳教育について考察するために、学習指導要領を資料 として用いた。今後は教科書や教育現場での実情はいかなるものか探求したい。また同じ 儒教文化圏である中国や台湾を比較対象とし、歴史的背景が教育に与えた影響も含めて学 習指導要領の時代に伴う変遷をたどることにより、道徳教育への考え方の変化や国による 違いを追ってゆきたい。 【資料 1】日本の小学校学習指導要領 第三章 道徳 第 2 内容 〔第1学年及び第2学年〕 1 主として自分自身に関すること。 (1). 健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい 生活をする。 (2). 自分がやらなければならない勉強や仕事は,しっかりと行う。 (3). よいことと悪いことの区別をし,よいと思うことを進んで行う。 (4). うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活する。 2 主として他の人とのかかわりに関すること。 (1). 気持ちのよいあいさつ,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接する。 (2). 幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で接し,親切にする。 (3). 友達と仲よくし,助け合う。 (4). 日ごろ世話になっている人々に感謝する。 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (1). 生きることを喜び,生命を大切にする心をもつ。 (2). 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接する。 (3). 美しいものに触れ,すがすがしい心をもつ。 4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。 (1). 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にする。 (2). 働くことのよさを感じて,みんなのために働く。 (3). 父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つ喜びを知る。 (4). 先生を敬愛し,学校の人々に親しんで,学級や学校の生活を楽しくする。 (5). 郷土の文化や生活に親しみ,愛着をもつ。 〔第3学年及び第4学年〕 1 主として自分自身に関すること。 (1). 自分でできることは自分でやり,よく考えて行動し,節度のある生活をする。 (2). 自分でやろうと決めたことは,粘り強くやり遂げる。
(3). 正しいと判断したことは,勇気をもって行う。 (4). 過ちは素直に改め,正直に明るい心で元気よく生活する。 (5). 自分の特徴に気付き,よい所を伸ばす。 2 主として他の人とのかかわりに関すること。 (1). 礼儀の大切さを知り,だれに対しても真心をもって接する。 (2). 相手のことを思いやり,進んで親切にする。 (3). 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。 (4). 生活を支えている人々や高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接する。 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (1). 生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする。 (2). 自然のすばらしさや不思議さに感動し,自然や動植物を大切にする。 (3). 美しいものや気高いものに感動する心をもつ。 4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。 (1). 約束や社会のきまりを守り,公徳心をもつ。 (2). 働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働く。 (3). 父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくる。 (4). 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級をつくる。 (5). 郷土の伝統と文化を大切にし,郷土を愛する心をもつ。 (6). 我が国の伝統と文化に親しみ,国を愛する心をもつとともに,外国の人々や文化に関心をもつ。 〔第5学年及び第6学年〕 1 主として自分自身に関すること。 (1). 生活習慣の大切さを知り,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛ける。 (2). より高い目標を立て,希望と勇気をもってくじけないで努力する。 (3). 自由を大切にし,自律的で責任のある行動をする。 (4). 誠実に,明るい心で楽しく生活する。 (5). 真理を大切にし,進んで新しいものを求め,工夫して生活をよりよくする。 (6). 自分の特徴を知って,悪い所を改めよい所を積極的に伸ばす。 2 主として他の人とのかかわりに関すること。 (1). 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接する。 (2). だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。 (3). 互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合う。 (4). 謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。 (5). 日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それにこたえる。 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1). 生命がかけがえのないものであることを知り,自他の生命を尊重する。 (2). 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にする。 (3). 美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。 4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。 (1). 公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。 (2). だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。 (3). 身近な集団に進んで参加し,自分の役割を自覚し,協力して主体的に責任を果たす。 (4). 働くことの意義を理解し,社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする。 (5). 父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをする。 (6). 先生や学校の人々への敬愛を深め,みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。 (7). 郷土や我が国の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,郷土や国を愛する心をもつ。 (8). 外国の人々や文化を大切にする心をもち,日本人としての自覚をもって世界の人々と親善に努める。 【資料 2】日本の小学校学習指導要領 国語 各学年の内容 〔第1学年及び第2学年〕 A 話すこと・聞くこと ア. 身近なことや経験したことなどから話題を決め,必要な事柄を思い出すこと。 イ. 相手に応じて,話す事柄を順序立て,丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気を付けて話すこと。 ウ. 姿勢や口形,声の大きさや速さなどに注意して,はっきりした発音で話すこと。 エ. 大事なことを落とさないようにしながら,興味をもって聞くこと。 オ. 互いの話を集中して聞き,話題に沿って話し合うこと。 B 書くこと ア. 経験したことや想像したことなどから書くことを決め,書こうとする題材に必要な事柄を集めるこ と。 イ. 自分の考えが明確になるように,事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること。 ウ. 語と語や文と文との続き方に注意しながら,つながりのある文や文章を書くこと。 エ. 文章を読み返す習慣を付けるとともに,間違いなどに気付き,正すこと。 オ. 書いたものを読み合い,よいところを見付けて感想を伝え合うこと。 C 読むこと ア. 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。 イ. 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。 ウ. 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。 エ. 文章の中の大事な言葉や文を書き抜くこと。 オ. 文章の内容と自分の経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめ,発表し合うこと。 カ. 楽しんだり知識を得たりするために,本や文章を選んで読むこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 (1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について 指導する。 ア. 伝統的な言語文化に関する事項 (ア). 昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり,発表し合ったりすること。 イ. 言葉の特徴やきまりに関する事項 (ア). 言葉には,事物の内容を表す働きや,経験したことを伝える働きがあることに気付くこと。 (イ). 音節と文字との関係や,アクセントによる語の意味の違いなどに気付くこと。 (ウ). 言葉には,意味による語句のまとまりがあることに気付くこと。 (エ). 長音,拗音,促音,撥音などの表記ができ,助詞の「は」,「へ」及び「を」を文の中で正しく使 うこと。 (オ). 句読点の打ち方や,かぎ(「」)の使い方を理解して文章の中で使うこと。 (カ). 文の中における主語と述語との関係に注意すること。 (キ). 敬体で書かれた文章に慣れること。 ウ. 文字に関する事項 平仮名及び片仮名を読み,書くこと。また,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと。 (ア). 第1学年においては,別表の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)の第1学年 に配当されている漢字を読み,漸次書き,文や文章の中で使うこと。 (イ). 第2学年においては,学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を読むこと。また, 第1学年に配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,第2学年に配当されている 漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。 (2) 書写に関する次の事項について指導する。 ア. 姿勢や筆記具の持ち方を正しくし,文字の形に注意しながら,丁寧に書くこと。 イ. 点画の長短や方向,接し方や交わり方などに注意して,筆順に従って文字を正しく書くこと。 〔第3学年及び第4学年〕 A 話すこと・聞くこと ア. 関心のあることなどから話題を決め,必要な事柄について調べ,要点をメモすること。 イ. 相手や目的に応じて,理由や事例などを挙げながら筋道を立て,丁寧な言葉を用いるなど適切な言 葉遣いで話すこと。 ウ. 相手を見たり,言葉の抑揚や強弱,間の取り方などに注意したりして話すこと。 エ. 話の中心に気を付けて聞き,質問をしたり感想を述べたりすること。 オ. 互いの考えの共通点や相違点を考え,司会や提案などの役割を果たしながら,進行に沿って話し合 うこと。 B 書くこと
ア. 関心のあることなどから書くことを決め,相手や目的に応じて,書く上で必要な事柄を調べること。 イ. 文章全体における段落の役割を理解し,自分の考えが明確になるように,段落相互の関係などに注 意して文章を構成すること。 ウ. 書こうとすることの中心を明確にし,目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。 エ. 文章の敬体と常体との違いに注意しながら書くこと。 オ. 文章の間違いを正したり,よりよい表現に書き直したりすること。 カ. 書いたものを発表し合い,書き手の考えの明確さなどについて意見を述べ合うこと。 C 読むこと ア. 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。 イ. 目的に応じて,中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え,文章を 読むこと。 ウ. 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基 に想像して読むこと。 エ. 目的や必要に応じて,文章の要点や細かい点に注意しながら読み,文章などを引用したり要約した りすること。 オ. 文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。 カ. 目的に応じて,いろいろな本や文章を選んで読むこと。 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 (1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について 指導する。 ア. 伝統的な言語文化に関する事項 (ア). 易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱 をしたりすること。 (イ). 長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと。 イ. 言葉の特徴やきまりに関する事項 (ア). 言葉には,考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。 (イ). 漢字と仮名を用いた表記などに関心をもつこと。 (ウ). 送り仮名に注意して書き,また,活用についての意識をもつこと。 (エ). 句読点を適切に打ち,また,段落の始め,会話の部分などの必要な箇所は行を改めて書くこと。 (オ). 表現したり理解したりするために必要な語句を増し,また,語句には性質や役割の上で類別がある ことを理解すること。 (カ). 表現したり理解したりするために必要な文字や語句について,辞書を利用して調べる方法を理解し, 調べる習慣を付けること。 (キ). 修飾と被修飾との関係など,文の構成について初歩的な理解をもつこと。 (ク). 指示語や接続語が文と文との意味のつながりに果たす役割を理解し,使うこと。 ウ. 文字に関する事項
(ア). 第3学年においては,日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み, また,ローマ字で書くこと。 (イ). 第3学年及び第4学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢 字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使う とともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。 (ウ). 漢字のへん,つくりなどの構成についての知識をもつこと。 (2) 書写に関する次の事項について指導する。 ア. 文字の組立て方を理解し,形を整えて書くこと。 イ. 漢字や仮名の大きさ,配列に注意して書くこと。 ウ. 点画の種類を理解するとともに,毛筆を使用して筆圧などに注意して書くこと。 〔第5学年及び第6学年〕 A 話すこと・聞くこと ア. 考えたことや伝えたいことなどから話題を決め,収集した知識や情報を関係付けること。 イ. 目的や意図に応じて,事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら,場に応じた適切な言葉 遣いで話すこと。 ウ. 共通語と方言との違いを理解し,また,必要に応じて共通語で話すこと。 エ. 話し手の意図をとらえながら聞き,自分の意見と比べるなどして考えをまとめること。 オ. 互いの立場や意図をはっきりさせながら,計画的に話し合うこと。 B 書くこと ア. 考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事 柄を整理すること。 イ. 自分の考えを明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考えること。 ウ. 事実と感想,意見などとを区別するとともに,目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたり すること。 エ. 引用したり,図表やグラフなどを用いたりして,自分の考えが伝わるように書くこと。 オ. 表現の効果などについて確かめたり工夫したりすること。 カ. 書いたものを発表し合い,表現の仕方に着目して助言し合うこと。 C 読むこと ア. 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。 イ. 目的に応じて,本や文章を比べて読むなど効果的な読み方を工夫すること。 ウ. 目的に応じて,文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係を 押さえ,自分の考えを明確にしながら読んだりすること。 エ. 登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまと めること。 オ. 本や文章を読んで考えたことを発表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすること。
カ. 目的に応じて,複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 (1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について 指導する。 ア. 伝統的な言語文化に関する事項 (ア). 親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知り,音読すること。 (イ). 古典について解説した文章を読み,昔の人のものの見方や感じ方を知ること。 イ. 言葉の特徴やきまりに関する事項 (ア). 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。 (イ). 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いに気付くこと。 (ウ). 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書くこと。 (エ). 語句の構成,変化などについての理解を深め,また,語句の由来などに関心をもつこと。 (オ). 文章の中での語句と語句との関係を理解すること。 (カ). 語感,言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつこと。 (キ). 文や文章にはいろいろな構成があることについて理解すること。 (ク). 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。 (ケ). 比喩や反復などの表現の工夫に気付くこと。 ウ. 文字に関する事項 (ア). 第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢 字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使う とともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。 (イ). 仮名及び漢字の由来,特質などについて理解すること。 (2) 書写に関する次の事項について指導する。 ア. 用紙全体との関係に注意し,文字の大きさや配列などを決めるとともに,書く速さを意識して書く こと。 イ. 目的に応じて使用する筆記具を選び,その特徴を生かして書くこと。 ウ. 毛筆を使用して,穂先の動きと点画のつながりを意識して書くこと。 ※【資料1】【資料 2】は、文部科学省「小学校学習指導要領」平成 20 年 3 月より抜粋 参考文献 文部科学省「小学校学習指導要領」平成20 年 3 月 文部科学省「小学校学習指導要領解説 道徳編」平成20 年 6 月 文部科学省「小学校学習指導要領解説 国語篇」平成20 年 6 月
中華民国教育部「国民中小学九年一貫課程綱要語文学習領域(国語文)」民国90 年/民国 100 年修正 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(閩南語)」民国90 年/民国 100 年修正 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(客家語)」民国90 年/民国 100 年修正 中華民国教育部「國民中小學九年一貫課程綱要語文學習領域(原住民族語)」民国90 年/ 民国100 年修正 中華民国教育部『国民学校課程標準』商務院書館、民国42 年
[Comparative Study of Moral Education in Language Teaching between Japan and Taiwan]