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ドイツ手話における意味役割の階層性について 利用統計を見る

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(1)

著者

田中 雅敏

著者別名

TANAKA Masatoshi

雑誌名

東洋法学

58

1

ページ

224-213

発行年

2014-07

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006723/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

《 論  説 》

ドイツ手話における意味役割の階層性について

田中 雅敏

1 .はじめに  手話言語では、動作主(Agens)、被動作主(Patiens)、主題(Thema)、経験 者(Experiencer)、受益者(Benefiziens)、時間(Zeit)、場所(Lokation)、出発 点(Quelle)、到達点(Ziel)などの意味役割に応じて、文成分を三次元で眼前 に配置し、手の動きなどによって行為の方向(動作主から被動作主・受益者へ 向かって)や移動の経路(出発点から到達点へ向かう)などを視覚的に示せる ことが特徴である。音声言語では、音声によって線形的(時間的に前から後) にしか情報を伝達できないことと比べれば、手話言語の伝達手段の豊かさは顕 著である。手の動きのみならず、目線や頭の動きもこれに加わり、これらすべ てが音声言語で言うところの屈折形態を体系づけていると言われている(Vgl. Penny-Braem 1992, Steinbach 2007):

( 1 )[…] wie die Grammatik der Gebärdensprache sich der Raumausnutzung und der Bewegungsrichtung von Gebärden im dreidimensionalen Raum sowie der speziellen klassifizierenden Handformen, aber auch besonderer Körperausrich-tungen bedient, um grammatische Begriffe und Funktionen in einem Satz zu definieren. Alle diese Techniken sind grammatikalische Flexionen der visuell-manuellen Sprache. (Penny-Braem 1992: 149)

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いう主張があるが、ドイツ語の場合、自由に使えると言われているのは枠構造 (Rahmenstruktur)における文枠(Satzklammer)を除く語場(Stellungsfelder) についてであり、文枠には動詞要素([+V]素性)しか置くことができないと いう制約がある。この語場のうち、前域(Vorfeld)に来ることのできる文成分 は、 中 域(Mittelfeld) 内 部 で も 階 層 的 に 上 位 に あ る と さ れ る(Vgl. Frey 2000)。本稿では、ドイツ手話において先頭に来やすい文成分を観察すること で、ドイツ手話の意味役割の階層性について論じることを目的とする。それに より、音声言語としてのドイツ語で想定されている中域の階層性(第 3 節で扱 う)がドイツ手話でどの程度通用するのかを見ることができる。 2 .屈折形態と語順  一般的に、屈折形態(Flexionsmorphologie)が豊かな言語では、語順の自由 度が高いと主張されることが少なくない(Vgl. McFadden 2004):

( 2 )There is a long tradition in work on historical syntax of drawing causal links be-tween the loss of rich inflection morphology and changes in word order. Some well-known examples are tying V-to-I movement and V2 to verbal tense/agree-ment morphology and the availability of scrambling and other optional order-changing operations to case-marking. (McFadden 2004: 63)

 ( 2 )によれば、現代ドイツ語の主文で定動詞第二位(V2 ; Verbzweit-Stel-lung)が必須であるのは、動詞の語形変化(Konjugation)の形態が豊かである こと、また、かきまぜ(Scrambling)が許されるのは、名詞(とりわけ冠詞) の格変化(Kasus-Markierung)の形態が豊かであることから導かれる、という ことになる。  現代英語などと比べて、ドイツ語の動詞の人称変化語尾が豊かであることは 事実のように思われるが、V2 が主文(主節)に限定された現象であり、「なぜ 副文(従属節)では V2 (= Verbanhebung)が阻止されるのか」ということ(副

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文では VL; Verbletzt-Stellung)と(=( 3 c))、「なぜそれが文の第二位でなけれ ばならないのか」ということについては(=( 4 c))、( 2 )のような記述だけ では説明がつかない。

( 3 )a. Es regnet heute.     it rains today     ʻIt will rain today.ʼ

   b. Die Wettervorhersage sagt, dass es heute regnet.     the weather-forecast says that it today rains     ʻTodayʼs weather forecast is for rain.ʼ

   c. […], *dass es regnet heute.        that it rains today ( 4 )a. Es regnet heute. (=( 3 a))

    it rains today     ʻIt will rain today.ʼ    b. Heute regnet es.     today rains it     ʻToday, it will rain.ʼ    c. *Heute es regnet.     today it rains

 名詞(や冠詞)の格変化についても、ドイツ語のそれは英語などに比べると 豊かであると言えるが、格変化形態が乏しいと言われているはずの英語のほう が「前置詞残留現象(Präpositionale Spaltungskonstruktion; P-stranding)」が見ら れ、ドイツ語では P-stranding が許されない(=( 5 c))など、屈折形態の豊か さは必ずしも自由なかきまぜを許していないようにも思われる。

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( 5 )a. Ich habe für meinen Vater eine Krawatte gekauft.     I have for my  father a  tie   bought     ʻI bought a tie for my father.ʼ

   b. [Für wen]j hast du tj diese Krawatte gekauft?     for whom have you this tie   bought     ʻFor whom did you buy this tie?ʼ

   c. *Weni hast du für ti diese Krawatte gekauft?     whom have you for  this tie   bought     ʻWhom did you buy this tie for?ʼ

 このように見ると、形態の豊かさと語順の自由度の高さには、従来言われて いるほど決定的な相関はないように思われるが、その反面、手話ではたしかに 語順を自由足らしめる文法機能マーカーに富んでいることも事実である。たと えば( 6 )の文においては、ドイツ手話(Deutsche Gebärdensprache; DGS)で は、最初に提示されるのが Junge でも Mädchen でも良い。

( 6 )Der Junge küsst das Mädchen.    the boy  kisses the girl     ʻThe boy kisses the girl.ʼ

 文( 6 )が表す内容を構成する手話動作は( 7 )に挙げる通りである。な お、人物や事物の存在や位置関係を空間中に示す動作を「指差し」といい、文 法的にはインデックス(Index)と呼ばれる。

( 7 )JUNGEa INDEXa MÄDCHENb INDEXbaKÜSSENb   a. 「男の子( 1 )」を表すサイン(a)

  b. 「女の子( 2 )」を表すサイン(b)

(6)

  d. ( 7 b)を空間的に指し示すインデックス(指差し)(Indexb)   e. 「キスする」を表すサイン

 ここで重要なのは、何が(時間的に)先に置かれるか、という語順ではな く、動詞 küssen の行為内容を表す動作の向き、すなわち、( 7 e)の動作が、 Indexa から Indexbに向かってなされるという事実である。Indexaは動作主、 Indexbは被動作主を表すわけであるから、「キスする( 3 )」という手話は Indexa を始点とし、Indexbを終点とする手の動きとなる。手話の場に、先に Indexb が提示され、次に Indexaが示されたとしても、動作の向きからどちらが動作 主でどちらが被動作主かはわかる( 4 ) 。そのため、気をつけるべきことは、In-dexaと Indexbが話し手(及び聞き手から見ても)の体の右と左で離れるよう に提示することである。Indexaと Indexbが同じ側にあったのでは、手話の動 きの始点と終点がわかりにくくなるからである。  さて、ここで、ひとつの疑問が生じる。音声言語では、文の前のほうに置か れる文成分ほど、(i)情報構造上の卓越性が低いか(聞き手にとっての旧情 報)、または(ii)高位の意味役割を持っているとされる。情報構造の観点で は、とりわけ文頭位置は、直前の文脈の中から話題(Topik)として取り出さ れた要素を格納する「文脈の連結子」(Linker)として機能する(「文脈の連結 子」については、Tanaka 2007, 2009などを参照されたい)。同じことが、手話 言語にも言えるのだろうか?上述の例で示した通り、手話ではインデックスか らインデックスへの動作の影響の向きを視覚的に示せるため、被動作主である Indexbが先に提示され、その次に動作主である Indexaが提示されることも可 ( 1 )  5 本の指を揃えた右手をこめかみのあたりに添える。帽子のつばのイメージ。 ( 2 ) 右手で親指を立てた握りこぶしを作り、立てた親指を胸部にあてる。 ( 3 ) 両手とも、親指と、それを除く 4 本の指で幅が狭めの「コ」の字を作る。Indexb を表す場にお かれた手は動かさず、Indexaのほうにある手を Indexbのほうに向かって寄せていく。 ( 4 ) 動詞 KÜSSEN に対して、動作主(主語)を表す ʻaʼ を左に、また被動作主(目的語)を表す ʻbʼ を右側に添え、aKÜSSENbのように表す(KÜSSEN は二項動詞)。これを、bKÜSSENaとした場合、

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能である。この場合、音声言語と同様に、先に提示されるインデックス(たと えば Indexb)のほうが Indexaよりも情報的に軽いのか、または付与されてい る意味役割がより高位なのかどうかという問いである。次節では、提示の先行 順序と意味役割構造の関係について考察する。 3 .文成分の先行順序と情報・意味役割構造  音声言語としてのドイツ語で、文成分の先行順序を決めているのは、まずは 名詞の格の階層性や副詞、形容詞などの修飾・被修飾関係といった統語上の基 準である。その上で、意味役割構造や情報構造によって、語順が変動する(か きまぜ)こともある(以下、二重下線部が一重下線部に先行、または一重下線 部が相対的に二重下線部に後続することを表す)。

( 8 )a. Der Mann  schenkt der Frau   das Buch.     the man.Nom gives the woman.Dat the book.Acc     ʻThe man gives the woman the book.ʼ

   b. Der Mann  schenkt das Buch  einer Frau.     the man.Nom gives the book.Acc a woman.Dat     ʻThe man gives a woman the book.ʼ

   c. Der Frau   schenkt das Buch  ein Mann.     the woman.Dat gives  the book.Acc a man.Nom     ʻAs for the woman, a man gives the book to her.ʼ    d. Mir  gefällt die Stadt  am besten.     me.Dat be-liked this city.Nom the best     ʻI like this city the best.ʼ

   e. Ich war vor einer Woche in Berlin.     I was before one week in Berlin     ʻI have been in Berlin a week ago.ʼ

(8)

   f. Es gibt in Deutschland viele Mundarten.     it gives in Germany many dialects.Acc     ʻThere are many dialects in Germany.ʼ

 ( 8 a)では、与格(Dat[ive Case])が対格(Acc[usative Case])に先行する 原則が示されている。尤も、主格(Nom[inative Case])は与格にも対格にも先 行する。なお、( 8 b)が示すように、聞き手の知らない新情報(焦点句)があ ると、旧情報(ここでは定冠詞つきの名詞)が焦点句を左方に飛び越えること によって、焦点句が相対的に文の右方(聞き手の記憶にとどまりやすい位置) に置かれる。主格であっても、それが焦点化されている場合には、( 8 c)で示 されるように文の右方に置かれることもある。また、ひとつの文に有生物と無 生物が現れる場合、( 8 a)で示された階層性に反して、与格を表示された有生 物が主格を表示された無生物に先行する(=( 8 d))こともある。( 8 e)が示 しているのは、時間規定副詞と場所規定副詞の先行順序は「時間(Zeit)>場 所句(Lokation)」である、ということである。なお、「主題(Thema)」は、文 の中でも最も深く埋め込まれた意味役割であり(主要部 V0の最も内側の内 項)、「場所句(Lokation)」に「主題」が後続する(=( 8 f))。  これらをまとめると、ドイツ語の先行順序を決める原理(の一部)は、( 9 ) のようになる(符号「>」は先行関係を意味する。括弧内は意味役割): ( 9 )a. 主格 > 与格 > 対格 (Agens > Benefiziens > Patiens)

   b. 旧情報 > 新情報/焦点

   c. 有生物 > 無生物 (Experiencer > Thema)    d. 時間 > 場所 (Zeit > Lokation)

   e. 場所 > 主題 (Lokation > Thema)(Vgl. Stechow/Sternefeld 1988)  与格が対格に先行する(=( 9

(9)

a))のは、与格が典型的には「経験者(Experi-encer)」や「受益者(Benefiziens)」を表す有生物に対して付与される格である ことに由来する。つまり、( 9 a)と( 9 c)は無関係ではない。また、( 9 a-d) を複合的に捉えると、(10)のような文の配列にも説明がつく:

(10)Damals  hat mir  die Stadt  am besten gefallen.    at-that-time has me.Dat this city.Nom the best be-liked    ʻAt that time, I liked this city the best.ʼ

 無標(unmarkiert)の語順では、時間規定の副詞(=( 9 d))が最も先頭に 来やすい。これは、話し手と聞き手が「時間」というものを互いに共通して知 覚(認識)することができる(直示的 ; deiktisch( 5 ))ことに起因する。  また、形態的に格の区別がつかない(11a-b)のような場合にも、( 9 )の原 理は有用である。聞き手は、( 9 )の基準によって、(11a)では「少女」が主 格、(11b)では「子供」が主格として文を理解しようとすることが知られてい る(ただし、実際には、(11a)と(11b)が同じ内容を表すこともありうる。 Bornkessel 2002, Bornkessel/Schlesewsky/Friederici/Comrie 2006などを参照)。 (11)a. Das Mädchen  sieht das Kind.

    the girl.Nom/Acc sees the child.Nom/Acc

    ʻThe girl is looking at the child. / The child is looking at the girl.ʼ    b. Das Kind    sieht das Mädchen.

    the child.Nom/Acc sees the girl.Nom/Acc

    ʻThe child is looking at the girl. / The girl is looking at the child.ʼ

 第 1 節でも触れたとおり、これらの階層性( 9 a-d)は、中域での語順を決 ( 5 ) たとえば、話し手が「ここ(hier)」という場の設定をすることができるためには、話し手と

聞き手が同じ場を共有している必要がある(もしくは、話し手がいる場所を、聞き手が知ってい る必要がある)。

(10)

める規則であり、中域で最上位にある唯一の句が前域に繰り上がり、文の第二 位にある定動詞(V 2 )の前に置かれる。すなわち、中域において配列の序列 が高いものほど、前域に出やすいわけである。逆の言い方をすれば、前域(ド イツ手話においては文の開始点を指す)に置かれやすいものを調べることで、 中域の階層性が確認できるということになる。次節では、ドイツ手話において 文の始めに提示されやすいサインについて考察する。 4 .ドイツ手話における文の開始  ドイツ手話の例をいくつか見てみよう( 6 )

(12)a. GESTERN ICH SCHULEa INDEXa ARZTb INDEXbaGEHENb     yesterday I  school  INDEX doctor INDEX go     ʻYesterday, I went to school from the clinic.ʼ

   b. ICH EIS   SCHMECKEN AM BESTEN.     I  ice-cream taste     the best     ʻIce cream tastes the best to me.ʼ

( 6 ) ここで用いられるサイン(標準的なドイツ手話)は次の通り:   ―昨日:親指を立てた右手の握りこぶしを顔の横から耳の後ろに動かす。   ―学校:右腕を胸の前で45°程度の傾斜になるように止める。   ―医者: 5 本の指を揃えた左手を手の甲を上にして胸の前に掲げ、右手の親指と人差し指で丸を 作り、左手の手の甲を軽くつまむ。   ―行く:右手の人差し指と中指を両足に見立て、歩くような動作をする。   ―ソファー: 軽く指先を曲げた両手の V サインを胸の前で合わせ、そこから右と左に離す。ソ ファーの背もたれのイメージ。   ―犬: 右手の 5 本の指を揃え、親指を除く 4 本の指を直角に曲げる。第二関節のあたりを顎の下 にぽんぽんと押し当てる。   ―寝ている:右手の手のひらを右頬に当て、そのまま首を手のひら側に横に倒す。   ―アイス:アイスクリームのコーンを持っている手つきをし、口の前で揺らす。   ―味がする: 右手の指を開いた状態からすぼめて揃えつつ、同時に手の位置を口のところまで 持っていく。   ―最も良い:親指を立てた右手の握りこぶしを、親指を立てたまま数回振る。

(11)

   c. SOFAa INDEXa HUNDb SCHLAFEN auf-INDEXa     sofa  INDEX dog  sleep   on INDEX     ʻA dog is sleeping on the sofa.ʼ

 (12a)では、文が「時間」表現で始められていることが示されている。この ことは、音声言語における傾向(10)と類似する。また、(12a)には場所規定 の句が 2 つあるが(「学校」と「医者」)、「学校(SCHULEa)」は「学校に来る (登校する ; zur Schule gehen)」という述語をなしており、情報構造的には軽

い。それに比して、「医者(ARZTb)のところから」というのは、通常であれ ば自宅から登校するところ、昨日は変則的に学校の前に医者に行ってから、そ の足で登校した、ということを述べたいのであり、焦点化されている(旧情報 >新情報)。さらに、(12b)では、有生物(有情物ともいう)ICH が無生物 EIS に先行することが見てとれる。これは、いわゆる心理動詞(schmecken) であるので、有生物はその心理(ここでは「味覚がする」)の〈経験者〉であ り、無生物はその〈主題〉を表す。これも音声言語としてのドイツ語に類似す る。(12c)では、〈場所〉を表す SOFAaが〈主題〉を表す HUNDbに先行して いることが見てとれる。一見すると、「ソファー」は無生物であり、「犬」は有 生物であるため、SOFAa> HUNDbは( 9 c)に反しているように思われる。 しかし、この場合の HUNDbの意味役割は〈経験者〉でもなければ、無論〈動 作主〉でもなく、文にもっとも深く埋め込まれた〈主題〉であるため、〈主題〉 が深い位置にあるという点については音声言語と同様であると言える。  以上の観察をまとめると、ドイツ手話で見られる意味役割の階層性は(13) のようになり、これらは音声言語における階層性( 9 )にほぼ対応していると いえる(符号「>」の意味は上に同じ): (13)a. 時間表現がある場合、常に文は時間表現で始められる。(Zeit)    b. 旧情報 > 新情報/焦点    c. Experiencer > Thema

(12)

   d. Lokation > Thema 5 .結語  音声言語では聴覚と若干の身振りによって情報が伝達されるのに対し、手話 言語では手振り、頭の動き、目線の動きといった視覚情報によって情報が伝達 され、その伝達方法が異なる。伝達方法は異なるものの、いずれも共通して人 間言語であることを考えると、人間に普遍的に備わっている認知システムの働 きによって、話し手と聞き手は音声言語と手話言語で同様の情報の送受信を 行っていると考えることが自然である。本稿では、音声言語としてのドイツ語 で分析されている意味役割の階層性が、手話言語にも一定の範囲で対応してい ることを確認した。  ただし、文成分が担う意味役割は、ここに挙げたものですべてではない。本 稿では、一部の意味役割二者の相互の先行順序については述べることができた が、三者以上の意味役割が並んだときの複合的な先行関係については稿を改め て論じることとしたい。 参考文献

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