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小売商業競争構造モデルとその評価

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(1)

特集・流通

小売商業競争構造モデルとその評価

荒川 隆

1

.

はじめに 流通革命なる言葉が出現してから 10数年になろ うとしているが,この言葉の主役を担ってきたも のの 1 っとしてスーパーマーケソト注わがあろう. このことは,小売業の総販売額の中に占める, これらの業態の販売額シェアが,年々上昇しつづ けていることによっても明らかである. 特に, 昭和49年 3 月に施行された大規模小 売店舗における小売業の事業活動の調整に関する 法律 J (通称:大規模小売店舗法)をめぐって,売 場面積 1 ,ラOOm2以上のスーパーマーヶ、ソトを含む 大規模小売業と,いわゆる既存の中小小売店注2) のあり方が問題となっている.これを多少,大げ さなし、し、方をすれば,わが国の商業構造はいかに あるべきか,将来ビションをどう考えるべきかと いう問題であるともいえる. さて,これらを論議する際に,なにが重要な点 〔注 lJ わが国においては,それほど厳密には使われて

いないが,

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の定義によれば, r①おもに食品およびグローザリィ類 を販売する大規模小売店であって,②低マージンによる 訴求,③広汎な多様性ならびに品揃え,④セノレフ・サー ビス方式,⑤商品訴求の重視,を店の主義としているも のであって,さらに,顧客の愛顧を獲るために,向品自 体の視覚的訴求力を動員する!となっており,上記以外 の品目を取り扱うにつれて,スーパーストアと呼ばれる のが通常であるが,ここでは後者も含めてこの言葉を用 いることにする. かを考えてみると,既存の中小小売業と大規模小 売業聞の有効な競争のあり方はどうあるべきか, であるが,では有効な競争のあり方とはなにかを 考えてみると,それを規定することは非常にむず かしい. そこで, 本研究は商業構造(主として小売商業 構造)を都市(地域)構造との関連においてとらえ, 都市(地域)内における,中小小売業と大規模小売 業との競争関係,およびそれに対する外的与件と して相関の高い地域聞の競争をモテ、ル化し,それ らをもとに競争構造をとらえ,ひいては有効競争 のあり方を考えようとしたものについて検討・評 価してみようとするものである. すなわち,ここでの主題としては,次のような ことをかかげる.モデルの構築については ④ どのような考え方にもとづいて,モテ、ルを 作成したか. (競争構造のとり入れ方) ② モデルの妥当性をどのようにチヱツグした カミ. モデルからの結果としては 〔注 2J 既存の中小小売店というし、い方は大変あいまい である.法的には売場面積 1 , 500m2 未満の店舗と考え ることもできるが,現実問題としては“既存の"あるい は“内くからある"といった意味が重要で,最近,兎場 面積 1 , 500m2未満の店舗についても,既存の店舗に与え る影響といった点から,し、わゆる大規模小売店と同様な 論議を起こしていることもあるので,多少あいまいに表 現した.

(2)

③ 都市成長に応じて,商業施設がし、かに発展 していくかをどうあらわすか. ④ 中小小売業者と大規模小売業者との競争対 抗関係はどのように位置づけられるか. などである. 小売商業競争構造の問題をとりあげたものとし て,当研究所が行なった通産省からの委託事業に よる「中小商業の効率化に関するシステム分析 l および千葉県からの委託事業による「商業近代化 策定のための調査報告書J がある.しかし,これ らについては,考え方には共通点があるが,方法 においてはまったく異なっているので,これらを 対比さぜながら,述べていきたいと考えている. そして,ここでは,前に述べた主題①~④のうち 紙数の関係上もあり,重点を①において詳細に記 述し,②~④については,軽くふれる程度にした いと考えているので,全体の詳細については,報 告書を参照していただきたい.したがって,評価 についても結果の評価ではなく,利用上の評価, 方法の評価を主として試みたし、と思う.

2

.

モデルの考え方 前に述べたような目的のもとにモテ、ルを構築す る場合,とりうる方法としては,大別して 2 つあ ると考えられる. (1)計量経済学的アプローチによる方法 これについての商業構造モテ‘ル(または商業予 測モデル)に関しては,かなり多くの試みがなさ れ,たとえば,中小企業庁委託事業として,日本 商工会議所が各地域で行なっている「商業近代化 地域計画 J においても,地域商業モデルとして考 えられているものの多くは,これである.われわ れも,千葉県の地域別商業モデルについては,基 本的には計量経済モデ、ルを用い,これに競争条件 をとり入れることを考えた. (2) システム・ダイナミックスによる方法 これについては,周知のように,

J

.W. フォレ スターが,

rURBAN

DYNAMICSJ を著して,

2

0

2

インダストリアル・ダイナミックスの適用範囲の 拡大を示して以来, (あるいは多少それ以前から) 地域問題に対するアプ1 ローチ方法として, システ ム・ダイナミックスが用いられている.この方法 は,方法の性格上,競争構造といったダイナミツ クな問題に対して適用しやすい.われわれの「中 小商業の効率化に関するシステム分析」について は,この方法によっている. (以後, 簡便化のた めに, 前者を「千葉モデル J , 後者を「商業 SD モデル J と呼ぶことにする) これら,

(1),

(2) の方法を利用することのメリ ット,デメリットは後にゆずるが,本来これらの おのおのの手法の発想はまったく異なっているの であるから,目的もおのずと異なってきているの で,モデ、ルについて比較することは多少無理があ るが,競争構造のモデル化という意味では,共通 の基盤をもっているので,そのあたりの問題を特 にとりあげたい.

3

.

各モデルの概要 両方のモデルについて,共通にいえることは, 商業構造は,商業(特に小売業)自体が,それをと りまく各種の環境要因に左右される商が大きいと いうことである.さらにこのことは,各都市の性 格,はたすべき機能と密接にからんでいることを 意味している.したがって,商業構造への影響要 因として,両モデルとも,人口要因,所得要因, 都市機能要因をとり入れている. 本来であれば,モデルは closed なモデ‘ルが望 ましいが,両モデルともこれら環境与件のほとん どを外生変数として与え,一部政策変数として使 用している. (1)千葉モデル このモデルの本来の目的は,千葉県下主要都市 における商業構造を予測することである. しか し,このモデルの l つの狙いとして,将来,大規 模小売業がどれぐ、らいのシヱアを占めるのか(小 売業全体の売場面積の中での大規模小売店の売場 オベレーショ γ ズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(3)

(1) データ:都市別.時系列にあるものと,クロスセクションのもの (11) モデル・計量経済モデル 数量化 I 類 (IlI)アウトプット(3 ) アウトプット (1) j は参考資料として用いる アウトプット (2)

!

数 店 高周 輔閉 売数 販店 高間 積積・ 面画額 岨咽嘩咽量一山 売ま冗販 引間引抑制刷 予予予 llE'Ef 年 別別 F巾店直別別町 市種釘型肝山市種目 ω 都業(大(都業( 小'宮冗相即 図 1 モデルの流れ (1) 面積)にあったから,利用の仕方によっては,競 争モデ、ルともなりうるものである. このモデルの大ざっぱなフローは図 l に示すよ うなものである.この図を見ればわかるように, 基本的には 2 つのプロセスから成り立っている. その l つは,計量経済モデルによる部分と,も う l つは,その結果をもとに都市別の将来予測の ための再配分の部分である.はじめの部分につい ては,いままで数多く行なわれたものとそれほど 差異がないので,説明は省略するが,ここでの特 徴は,後者の部分にある. すなわち,一度,現状のトレンドによって予測 したものを,定量的な要因だけでなく定性的な要 因をも含めて地域魅力テーフ'ルによって配分しな おすといったことである.これらの要因としては 次のようなものが考えられた. ① 交通条件 これは,各地域の交通体系がどうなるのか,具 体的には,千葉県の場合,東京との時間距離がど うなるのか,あるいは千葉市からの時間距離がど うなるのか,さらには都市相互間の距離がどうな るのかによるもの. また, その都市のパス路線

数,鉄道発着回数,急行が停車するかどうか,高

速道路の開通有無など,その他無数に考えられる が,データの制約 t から k記のものとした. ② 行政などの諸施設 県の出先機関が置かれているかどうか,など. ③ その都市の中心性注 3 ) ある都市が,千葉県の中でどのような機能をは たす都市なのか. などである. これらから地域魅力テープ。ルを作成するには, 各要因のウエイトがどうなるかを決定する必要が あるが,これには数量化理論 I 類注 4) を用いた.す なわち,小売販売額を従属変数(外的基準)とし, 各要因を独立変数(特性)として回帰方程式を求め たことになる.これによって求めたノミラメータを

使って,将来考えられる要因をもとに小売販売額

を推定しなおし,それらの小売業総計に占める割 合によって再配分しなおそうというものである. したがって,モテ、ルに対して外生的に与えうる変 数としては図 2 に示すように,人 rl ,個人消費支

2

0

3

(4)

地域間競争 テーブル 官地域魅力係数 (住と商の差異) 脅都市階層秩序 肯昼間人口 図 2 モデルの流れ (2) 〔注 3

J

中心地理論については,

W.

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ena:

Fischer

, 1933)[江沢譲爾訳「都市の立地と発展」大明

堂, 1969J および A. Lりsch ,

Die r舫mliche Qrdnung

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Wirtschaft

(J

ena: Fischer

,

1940)[篠原泰三訳 「経済立地論J 大明堂, 1968J などが古典的なものとし

て有名であるが,具体的な方法として i つの例をあげて おく.

i ) トンプソンの便宜性指数.

Donald L

.

Tompson が“ Consumer

Convenience

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M. R. Vo

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において使官性指数として述べられているもの.すなわ ち

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i

P; a=-一一一ームー一一

I

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P

,

(i= 1 , 2 ,・・

n

)

ここで i は,ある地域を nfl同に分害IJ したものである. また Pi: 地区の人口

2

0

4

Si: 地区の小売販売額 白色:トンプソンの便宜性指数

i

i

)

ゴドラントの超過重要性

S

.

Godlund は,上式を多少変形して,次のような式 を提唱した.

ム=S「zfι .

I

;

Pi Pi iii) 他の指標 ここでは「大阪都市圏小売商業システムの動向 J にお いて用いられたもの.

r;=会

(ただし Ci =主)

ここで Ci: 商業人口 Pi : 居住人口 Si: 小売販売額 f弘人当り消費支出 〔注 4

J

数量化理論については, 数多くの文献がある が, 一般に対しまとめられたものとしては安田三郎著 「社会統計学 j 丸善, 1969が古い. オベレーションズ.リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(5)

都市別大型店店舗面積の予測(ケース 2)

)一

ν4 AU 一 F コミノ内 3nu バ UFOq4 内34hR ノ 1aA 守つゐ戸 DAEQ ノ戸、ノ 4U 一 A 守 'A14q41i'iq41Atl'ln31A'Atitifiq ,“

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31111111112111111

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2 m 4 4 7 6 9 6 5 5 3 1 7 6 8 5 0 4 9 州 4 一ハ υn3A 守 qJFh ノ円ツ qL74 〆 bq , bQOF コ 7tQυ7aooqJ­ K 一 54376203551864497 一一しふふ弘久久久入み仏, a内丸九九丸 14 Jtt 、一 14

同一

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2 一応 80602052020178912 州 14 一 QJ4 ‘円 U1ι つ 411Q ノハ U つ 4qJqLζUF コ AATS-OOK ノ 町帆 03889626397843150 一一,,,,,,,,,,,,,,,, 一一 75320823 民ノ 9 戸う 89933 j w f i -' i 1 1 A 1 i / O U--ムムムム

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増加面積 表 1

1

,

085

8

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860

101

,

891

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市市市市市市市市市市市市市市市市市

主場 野

葉子川橋山一戸凶原原凶倉金市

更日士山

千銚市船館水絵野佐茂成佐東八旭山中

H 柏 れは後に述べるようにさらに詳細に分類したもの を組み入れなければ,あまり意味がなかったよう である.また,都市の性格によっては,観光が重 昭和49年の店舗面積は 10月 1 日現在 出といった,県としてなかなかコントロールがし にくいものと,都市の機能をどう分担させていく かといった県の政策にかかわるもので, 要な要因となりうるような都市については,計量 経済モデルの中へそれをとり入れた.また,外生 変数を変えることによって 3 つのケースを計算し た.このうちの 1 つを表 l に示しておく.この結 ある程度 果からは,千葉県の場合,ある都市,たとえば, 千葉市などはまだ大規模店が出店しうる可能性が コントロール可能なものである. このモデルは,前者の外生変数は,同じように と。の都市にも影響を与えるものとして考え,後者 については,魅力テープルを導入することによっ て,単一都市の商業構造をあらわしているものを 県内の都市聞の競争構造にまで押し広げることを 可能にした. あり方,柏市などは,あまりないであろうこ とを示唆している.加えて,現在のオーバー・ス トア状況は将来においても解消しえないことも示 す. (2) 商業 SD モデル このモデルの目的は,尚業特に小売業の構造を 以上がこのモデルについての概要であるが, らに,もう少し詳しく述べておくと次のようにな る.すなわち,都市の機能分担の関係から,その 都市がどのような業種の売場面積をどれくらいも 大規模小売店との さ 都市の経済活動をもとに,将来状態の予測と要因 の連関関係を明らかにしようとしたものである. すなわち, 予測値そのものが問題というよりも, 郎 Ih の発燥に対応した小売商業の動きはどうであ ちうるかが異なるであろうし, 関連においても業種によって非常に異なる. このために,飲食料品小売業,織物・衣服・身 のまわり品小売業,家具・建具・什器小売業,そ の他の小売業,飲食店のいわゆる尚業統 J十の,{,分 大規模小売業と中小小売業との関連はど

2

0

5

るのか, V '- -しカミし, 発i にしたがってモデルを組み立てた.

(6)

白 :日一面

図 3 セクタ一間の関連構造 図 4 商業 SD モデルの基本構造 うであるのかを把えることに主眼が置カ通れてい る. そのような意味からは,まさに競争モデルであ るといってよい. このモデルの基本構造としては 3 つのセクタ ーから成り立っている. ④人口セクター ②需要セクター ③商店街セクター であり,この 3 つのセクタ一間の関係は,人口の 流入が需要を喚起し,その結果商店街の形成を促 がすという理論の上になり立ち,図 3 のようなセ クター聞の関連構造をなしている. さらに,その場合,都市(地域)を 2 つの地区か ら成り立つと考え ④中核的地区一モデ、ルでは A 地区とIl乎ぶ ②隣接地区一一モデルでは B 地区と呼ぶ この 2 地区がいかなる相互依存関係の中で発展し ようとするか,しかも個々の地区の発展が 2 つの 地区の商店街形成をどのように規定しているか, さらに,おのおのの商店街内の大規模店と中小小 〔注 5

J

1) このモデルにおける大型店, 最寄品小型 店,買回品小型店の具体的な相違点 ①売場面積大型店は 1 , 000m2 以下では存立しな し\ ②経営効率の基準大型店40 , 000 円 1m' , 最寄小型 店20, 000 円 1m' , 買回小型店九 000 円 1m2 ③発生条件大型店,需要ストック( 8 億円)の制限 がある. 2) 地域と地区の意味 地域とは,

A

,

B 両地区を含めて地域とする.

2

0

8

売店にどのような影響を与えるかなどを明らかに することを目的とした〔注 5 の 1 )J.これを大ざ っぱに図示すると,図 4 のようになる.次に多少 詳しく,各セクターを説明していくことにする. ④ 人口セクター (Popula

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i

o

n

Sector) の構造 ある地域,それは,比較的独立な性格をもちつ つ,その地域の魅力によって,他地域からの人 11 が流入する,といった性格をもっ地域を考える. このそデ、ル全体は,そのような地域に人口が流入 し, 人口の増加過程(すでに前にも述べたように それが環境与件の重要なファクターになるわけで あるが)を都市の成長過程のー側面と考え,それ に対応する商業集積過程をモデル化しようと試み ているわけであるから,このモデルに対するイン プットは,主として他地域から,当該地域への人 IJ 流入ということになる, c 注ラの 2) を参照〕 そこで次のような考え方を導入する.

a

)

人 IJ の流入状況は,その地域のもつ魅力と 比例的な関係がある.つまり 地域への人口流入=平均的な地域の流入量* 地域の魅力指数 量 々ノ毎嵐 ツ一 卜ロ スフ 一一一 ルト ベィ, レレ

己口

ーーー-情報の経路

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一仁〉ー,コン対ン卜

オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(7)

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( 図示法については ;主 5 参照 人口密度限度 ム -フ グ ヤ J 1 ダ ロ フ の 々 J h J セ ロ 人 数 5

0

附図

平 と書くことができる. この式は,魅力指数が大きければ大きいほど, それだけ,平均以上の人口流入があることを示 している.

b

)

そこで問題になるのは,地域の魅力係数で あるが,これは,次のような要因で規定される ものと仮定する. ・交通の便利さ(主として地域間の交通の使で あり,時間距離,経済距離等がある) ・事業所数(特に雇用機会の多い第 2 次産業関 係の事業所数) ・公共住宅建設戸数 ・地価(同じような交通条件にある他地域との 相対的な地価格差) ・人口密度 などの総合的な値が,地域の魅力を決定すると 考える.したがって,地域政策に大きな変更が ないかぎり,この値は変化させない.

c

)

地域に流入する人 1::1は 2 つの地区に配分 される.このモデルではすでに述べたように A 地区と B 地区と呼ばれるが,想定としては, A 地区をドミナントな地区としている.このこと は,地区内の交通条件がし、し、ということと,他 地域からの流入は,まず A 地区に流入し,そこ から流出する人口の一部が B 地区に流入すると いう形で表現されている.また,各地区に対す る配分は生活のしやすさによってきめられる. したがって A 地区人口流入レイト=当地域への人口流入 レイト *A 地区の生活のしやすさ A 地区の生活のしやすさ =(A 地区買回品需 要 +A 地区レジャー需要)十域内交通の使 となっている. (以下については式を省略する)

d)

人口流出には 2 とおりあり,その 1 つは自 然流出であり,もう l つは物理的条件による流 出,主として人 rl 密度を越えたところでおこる 強制的流出である.自然、流出については平均的 な居住年数を想定したうえで設定した.また, 過密による流出は, 5 , 000人/km2を限界として 考えた. (図 5

)

2

0

7

(8)

|人当円需要(円) 7 ∞o 6,000 5 , ωo の U ∞ 4 3,000 1-2,000 1,000 18,000 20,000 最寄品需要 22,000 7 、 っ と準 が水 ル出 デ支 モ費 の消 回る ムづい / / llu

戸一卿

an 匂 2 26,000 28 , 000 円 |人当り消費支出 図 S 消費支出と需要の関連テーブル ② 需要セクター (Demand Sector) の構造 需要セクターは,地域や地区への人口集積に伴 った需要の発生を行なうセクターである. 実際には,このモデ、ルに示されるような確定的 〔注 6) 買回品,最寄品についても厳密には定義しにく いが,次の表をあげておく. Copeland による商品分類

分類基準(条件) I 最寄品|買回品

1)

買う店

i 想号に決まっ(鵠3範囲内か

2) 店へし、くための|しない.簡単に l 比較することが 努力 ! l 、ける i 必要 3) 買いたいという|すぐに可能 |しばらく時間を 欲求の充足 I ';!"Y'-"J F,lt:i要す 4) ブラシド・ロイ l な し

!

ヤリティ

1

'

'

'

-ー 一一一一再て豆復属天]正較雨ま訴であ 5) 購入頻良 |する l る 6) 商品についての|多いなじんで|た い あらかじめの知識! l 、る |ム

7)単価

!小さい

8

)

価格の比較 する

瓦瓦間企

十 3

10) スタイルの比較す る 11) 買手 女性が主

(資料 M.T. Copeland

,

Harvard Business Review

,

1 (April 1923) pp.282-289 M. T. Copeland によって提唱された商品分類は実際 にはもう 1 つ“専門品"があるが本モデルで、はむしろ民 間品に含まれていると考えてよい.

2

0

8

な構造をもっているとはし巾、がたく, もっと確率 的な現象であるかもしれないが,以卜.のようなシ ステムで需要を発生させている.

a

)

問題になるのは l 人当り消費支出である が,実際に変動するのは,所得であるという考 え方をすれば,消費支出は所得の関数であると いうことができる.また,所得から消費支出を 決めるには, →般には消費性向をノミラメータと してきられるが,このモデルでは,消費性向も 所得水準によって異なるという仮説をとり入れ た.

b

)

消費支出はすべてが地域の小売業に対する 需要とはなり得ない.地域に対する需要となり 得るのは,公共サービス,個人サービスに対す る支出,あるいはレジャー等に対する支出を除 いたものだということができる.つまり支出ハ ターンに応じて小売業需要の潜在的な大きさが 決められるということになる.さらに,商品を 買回(かいまわり)品と最寄(もより)品注 6) とに わけで考えるので,買回品に対する需要は宇 部,地域外への流出も考慮されなければならな い.このように,総需要を分割してしぺ方法を とることによって,所得水準の変化に伴う支出 パターンの変化を再現しうる. 需要セクターについては,さらに,いくつか オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(9)

(商店街セクター) (人口店入レイト) (人口セクター) (商店街セクター)

-

0

-

所得県民可処骨

巳←(人口セクター)

(商店街セクター) (人口流入レイト日) (人口流出レイト B) (人口セクター) (商店街セク責-) 図 7 需要セクターのフローダイヤグラム の定式化があるが,あとは,フローをかかげる にとどめておく. ③ 尚店街セクター (Distribution Sector) の 構造 このセクターは地区に配分された需要をもとに 大規模店と中小店の売場面積というかたちで商業 の集積が行なわれる過程を問題にする.ここで地 区に配分された需要についてまとめてみると .A 地|ふ B 地区とも最寄品需要は地域内に発 生したものである .n 回品の需要は B 地区の需裂のうち,大規 模店,中小店の面積比によって決められた地 区内購買率に該当する部分だけが, B 地区に 残り,それ以外のものは A 地区に吸引される. となっている.これをもとに

a

)

まず大規模店の発生について考えてみると ・大規模店が期待しうる需要が,ストックとし て一定水準以上になること ・大規模店は, I , OOOm2以上で、発生すること注7) が条件となっている.

b

)

大規模店が売場面積を拡張しようとする動 機には 2 つの要因が考えられる. ・実際の売面効率からそれが十分に高い場合 .地域の需要増加が見込める場合 〔注 7J このモデルが作られたのは,昭和46年であるた め,当然のことながら大規模小売店舗法がなく,したが って, I , OOOm' 以上を大規模店としたのは,モデル作成 途中での話し合いによる.

2

0

9

(10)

(最寄品総需要A) (買回品総需要A) 図 8

D

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Sedor(

A 地区のみ)のフローダイヤグラム である.

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)

逆に,大規模店の売場面積の減少について は,実効率が基準効率以下になったときに発生 する.しかしながら,これには,若干の時間的 遅れがあるであろう.

d

)

中小小売店(最寄品,買回品)の売場面積, 増加,減少についても大規模店と同じメカニズ ムをとるとする.

e

)

さらに最も重要な定式化は,地区における 需要の大規模店,中小小売店への配分で、ある. (この部分が,競争構造をあらわす部分である) 需要配分には,基本的な 2 つのタイプがあ る.その l つは,最寄品についてはあくまでも 地域内の問題として考えること,他の l つは, 買回品については地域全体を考えるということ である.また,大規模店と中小店への配分とし

2

1

0

ては,売場面積が用いられているが,中小店に 対しては,協業化による大型店への対抗手段が ありうることを考慮し,協業化の度合いにより 配分方法を変更している.以上をフローダイヤ グラムにまとめると図 8 のようになる. 以上, 3 つのセクターについての説明であるが, このモデルについての妥当性を検証するための l つの結果をのせておく.これは,このモデルが想 定するような典型的な都市の姿に比較してどうか とし、う点が l つの基準であろうと考えるからであ る. (オリジナル・モデルより作成)

I

(10 年後)

I

仰年後)

地域人口 75 , 500

108

,

000

小売店総売場面積 28 , 800m2

38

,

100m

2 大型店売場面積 o

11

,

592m

2 小売業総需要I 5 億4, 600万/月 I 9 億2, 700万/月 オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(11)

24,000 (m2) 22,000 20 , 0001ー 18,000 16,000 14,000 12,000 10 , 0001~---一← 8,000 6 , 000ι ←積

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77

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4

.

各モデルの比較評価 2 つのモデルを比較して記述したことによって 理解できたと思うが,モデルについては,競争構 造をあらわす最も重要な部分について,すなわち 地域の魅力についての考え方が,根本的に異なっ ている.これは, 千葉モデ、ルが昼間人口(移動人 口)に対する魅力を考えているのに対し, 商業 S D モデルは夜間人口(居住者人口)を問題にしてい る点であろう.これはどちらがし、 L 、から判断がつ けがたいというより,むしろ商品によって両方を 使いわけるのが正しいやり方のように思える. また,モデルの厳密性からいうと,千葉モデル のほうがすぐれていると考えられる.なぜならば パラメータを厳密に設定できるからである.ただ これは,むしろシステム・ダイナミックスの特徴 というべきで非難されるべきものではない. 一方,競争構造をうまくモデル化するという面 からは, SD モデルのほうがすぐれているといえ るが,計量経済モデルにも,夕、イナミヅクとはい えないが競争構造をつなげることは可能であると

思われる.このことからいえることは,ごく当然、

のことながら, SD モデルは,比較的マクロな問

題で,要因の大ざっぱな関連とか,さらに動きを

知るのに適している手法であって,それ以上を期

待するのはむずかしいし,計量経済モデルにダイ ナミックな動きを望むのは無理があるといった結 論であった.

5

.

今後の課題 以上の結論は,かなり推測の入ったものである ので,これをたしかめるためにも,それぞれのモ デルをさらに精織化する必要があると思われる. これによってテストをくり返すことによって,さ らに正しい比較評価がなされるように思う. たとえば千葉モデルで、あれば,大規模小売店と

(12)

中小小売店の競争を明確にするために,さらに業 種を細分類化して式を組み立てるとか,地域の魅 力による配分もさらに精密化するなどがあるし, 一方,商業 SD モデルについては,これも地域の

魅力係数の基本的な定量化とか,地域内移動に関

する調査とか,大規模店売場面積の発生条件の現 実化など多くの課題が残されている. 今後は,それらの l つ 1 つをかたづけながらよ りよいモデルを作りあげ, しかるのち, もう一 度,比較評価を試みてみたい.全体に多少,舌た らずの面があったと思うが,主旨は理解していた だけたと思う. 参考文献 通産省: I 中小商業の効率化に関するシステム分析J , 砂木間々勇造氏の発言

;1";1"ああるがつかい

“終る学課会"と書カ通れたのを見て,なんのことか と判断できる人はなん人いるだろうか? これは落語や作り話でなく実際にあった話である. 昭和49年 4 月 7 ・ 8 日に K 大学で、行なわれた,日本 OR 学会研究発表会の時の寿司屋の領収書の宛先なのであ る.白いかっぽう着にねじり鉢巻のオヤジさんが電話 注文をうけ,領収書を書く段になって,“おおああるが つかし、"とはいったいなんのことかと,ハタと困惑し た様子が眼に浮かぶようである.さんざん頭をしぼっ たあげし大学からの注文という唯一のヒントから, “終る学課会"様御中と書き付けたのは,オヤジさん にしてみれば大まじめであったにちがいない.事務局 の S 嬢によると,このくらいはまだし巾、ほうで, “お 笑い学会ぺ“ OL 学会ぺ“オンワード学会"……等々 珍妙な名称を冠せられるのは,しばしばのことなのだ そうだ. OR の原語は,英国では Operational

Research

,

米国では Operations Research で,当初 O. R.と書 いたものがだんだん OR と書くようになったというさ わりは,もう十数年前,筆者がM先生から聞いた最初 の OR 講座の切り出しの一節であり, IFORS は,英 国ででき本部がロンドンにあるので International

2

1

2

1

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.

千葉県: I 商業近代化策定のための調査報告書 J ,

1

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3

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Jay W.

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:

URBAN DYNAMICS

,

The M.

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T. Press

,

USA

,

1

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.

Brian J

.

L

.

Berry :

I 小売業・サ{ビス業の地理学 J , 大明堂,西岡久雄他訳,

1

9

6

7

C訳 1970J. H.R. ハミルトン他著: I地域分析とシミュレーショ ン・モデノレ J , 鹿島出版会,中村浩治他訳,

1

9

6

9

C訳 1975]. あらかわ・たかし 1943年生 (財)流通経済研究所,研究開発部 略歴:慶応義塾大学,大学院を卒業後,現在に至る 専門:応用統計・調査

Federation o

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O

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a

l

Research

Societies で

ある,おとなりの文字の国,中国では“運禽術"とい うとは T 氏から聞いた話.その後中国へ出かけた人に たしかめてもらったが,たしかに運鍵学で通用するら しい.“はかりごとを,いあくの中にめぐらす術とは, ほんとうにうまい表現だと感心するが,それにつけて も日本語訳がないために寿司屋のオヤジをなやました りしているのは, OR の同志の 1 人として深く遺憾に 思う次第である. さて,英語の辞書の OR から, OR を連想、できる文 字とはなんであろうか? まず第 l に, 99% まで賛問いただけそうな言葉は, “ Originality" であろう.オリジナリティのない OR なンて,テレビの CMではないがまったく無意味な存 在だ. 第 2 には“ Organiza tion" がくると思う. OR の対 象は常に実在の組織であり,複数者である.ひとりよ がりの OR は百害あって一利なし さて 3 番目になにをもってくるか. 辞書には Or.

ange

,

Oration

,

Orbit

,

Orchestra

,

Order

,

Ordinary

,

Orthodox,等々が見られるが,私としては Orient を挙げてはいかがかと思う.西洋式の合理主義の中に 生まれ育った OR に対して,東洋風な味付けに成功し たとしたら,もっともっと実社会に適用普及されるよ うになるのではないかと切望するからにほかならな し、. (こやま・つよし) オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

参照

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