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中学校の国語科で取り組むコミュニケーション能力の育成 -特別支援教育の視点を生かした授業づくりを通して-

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Academic year: 2021

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中学校の国語科で取り組むコミュニケーション能力の育成

一特別支援教育の視点を生かした授業づくりを通してー

高度学校教育実践専攻 学校臨床実践コース 服 部 直 美 実習責任教員 末 内 佳 代 実習指導教員 小 坂 浩 嗣 第1章 問 題 と 目 的 した授業,生徒一人ひとりの力を伸ばす授業を 1 実習校の現状と課題 創造していく。現在,教職員は,

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コミュニケ 実習校は,全体として落ち着いており,生徒 一ション能力の育成」と「わかりやすい授業の工 は純朴で学校が好きであり,与えられた課題に 夫」に関わる指導方法を探求している。 は真面目に一生懸命取り組むことができる。 そして,さらなる改善を目指して,実習校で は毎年,学校と生徒の実態から課題を捉え,研 修を進めている。 2010年度は,前年度の道徳教育への制且で明 らかになった「自信のなさ」や「集団づくりの課 題J,

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コミュニケーションにおける課題」を踏 まえ,研修主題を「一人ひとりが自分を大切に し,互いに認め合い,支え合える生徒の育成」 とし,人権教育の視点から取り組んだ。その結 果,生徒は,相手を認め,相手に認められる経 験を重ねることで,少しずつではあるが自信を もつことができ,自分の思いを話せるようにな った。 しかし,今なおコミュニケーション能力 の低さは課題として残っている。 今年度は,生徒が学校生活を送る中で最も長 く過ごす時間である「授業Jに着目し,研修主題 を「一人ひとりの学力を保障するわかりやすい 授業の工夫」とし,生徒の自己肯定感の向上と 学力保障を目指した。道徳教育の実践を基盤に, 各授業において生徒同土,生徒と教師が互いに 認め合し、信頼し合える関係をつくる,加えて特 別支援教育の視点から生徒一人ひとりを大切に 2 国語科の果たす役割 文部科学省(2008)は,国語科の基本方針とし て「実生活で生きてはたらくこと」を挙げ,互い の立場や考えを尊重して,言葉で伝え合う能力 の育成を重視している。相手の立場や状況に応 じて話すという,実生活に欠かせない言語能力 を身に付けることにおいて,国語科が大きな役 割を担っていると言える。 その国語科の授業で,学校や生徒の実態に応 じた様々な言語活動を工夫し,充実を図ってい くことで,

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他者とともに生きる自信」につなげ ることができると考える。 3 ソーシャルスキルを学ぶ意義 実習校では,発達障害やその傾向にある生徒 のみが対人関係に課題があるのではなく,人に 話しかけることに自信がなかったり,人間関係 をうまく築けずに悩んでいる生徒がいる。そう いう生徒にとって,モデルとなる仲間がいる小 さな社会である学校において,ソーシヤルスキ ルを学び,ともにスキルを上達させていくこと は,対人関係における適切な対応を身につける

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ことができ,人間関係構築の自信にもつながる と考える。 また,これまで身につけてきたスキルを見直 す意味でも,スキルを新しく学んだり,学ひ漉 したりすることは,義務教育を終え,新しい社 会へ巣立っていく中学生にとって有用である と言える。 4 特別支接教育の視点を生かした授業 生徒にとってわかりやすし、授業を行うにあた って,鍵を握るのが特別支援教育の視点である と言われる。その視点が,認知にかたよりをも っ子の支援になり,さらにはどの子にとっても 学習効果を高めることにつながると考えられて いるからである。 特別支援教育の視点、を生かした授業の工夫を 行うことで,生徒の理解を助け,学ぼうという 意欲を持たせ,わかったという達成惑や充実感 を味わわせ,学習に対する自信をつけさせたい。 5 目的 道徳における仲間づくりの実践を基盤に,コ ミュニケーション能力を育てるために, SST を用いて,相手と場に応じた言語感覚を養う国 語科の授業を行うことを,本実践研究の目的と する。 その手立てとして,教材の視覚化やノfターン 化,協同学習等の工夫を取り入れ,生徒の理解 を助けるわかりやすい授業を目指し,コミュニ ケーションに対する興味関心を持たせる。 第2章 方 法 1 対象 A県 B中学校 2年生の 3学級 2 SSTの流れ SST の/~ターン化された一連の流れ(教示 →モデリング→ロールフ。レイ→フィードパック →定着化)に沿って,毎日寺の指導案を作成した。 3 実践研究の方法 1)学校アセスメント 実習前には,生徒の課題や特別支援教育に関 する教職員への聞き取り調査と,生徒対象の道 徳アンケートによって,生徒の課題を把握した。 さらに,その裏づけとして,国語科の授業を中 心に,登下校時や清掃活動等において生徒の観 察を行うことでう実態を把握した。 実習期間中は,職員会議,校内研修会,特別 支援・教育相談部会,学年部会,国語科の授業, 登下校時の校門指導,清掃指導に参加し,実習 校および生徒の実態把握,ならびに情報の収集 や情報の共有を行うことにした。 2) SSTの実践 授業を進めるにあたって,筆者が指導案を提 案し,授業前と授業後には必ず教科部会を開き, 指導過程の検討や改善を行った。 FWIでは,基本となる SSTを学ぶ授業を 6時間計画した。 FWIIでは,生徒が生活に必 要と思う SSTを自分たちで選択し,その SS Tを学ぶ授業を4時間計画した。 さらに,教材やグループ活動に,特別支援教 育の視点を生かした工夫を取り入れた。 第3章実践事例「国語科の授業におけるS S Tの実践」 1 学校課題フィールドワーク Iでの実践 リパーマン(1994)の「基本会話モジューノレ」に ある4つのポイントをもとに指導案を作成,検 討し,授業を実践した。

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1)単元名 伝え合おう(1)ー話し手も聞き手も気持ちよ く話ができるためにはー

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単元目標

(FW1

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共通) ・気持ちゃ状況を伝える方法には,言語を使う 方法と非言語での伝え方があることを知る。 ・相手,目的や意図,場面や状況などに応じて, 言葉を選び,話をすることができる。 ・コミュニケーションの取り方に関心をもっ。 .学んだことを自分たちの生活に生かすことが できる。

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観点別評価の規準

(FW1

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n

共通) ・モデリングの観察およびロールプレイにおい て,自ら気づいたことや感じたことを書き留 め,発表することができる。(意欲・関心・ 態度) -重要用語を理解し,説明できる。(知識・王騎手) ・相手にわかりやすく意見を述べ,聞く態度に 気をつけて聞くことができる。(聞く・話す) 4)授業の内容 (1)第1時 rS S Tとは」 ・rSS Tとは何かJrなぜSSTを学ぶのか」を 知る。 (2 )第 2時 「聞く態度について考えよう」 .相手の話を聞くときのポイントを学ぶ。 (3 )第 3時 「相手のサインを読み取ろう」 ・表情から気持ちを,芦の調子から状況を読み 取る。 ・「ゴーサイン」と「ノーゴーサイン」について理 解する。 (4 )第 4時 「話かけてみよう」 ・「オープニングライン」と,その種類,使い方 を学ぶ。 (5)第 5時 「話を続けてみよう」 ・「閉ざされた質問」と「開かれた質問」の違いを 知る。 ・自己開示のレベルについて考える。 (6)第 6時 「話の終わり方」 ・お互いが気分よく話を終えるために必要な, 相手に伝えるときのポイントを学ぶ。 ・アンケートに自分が知りたいSSTを記入 する。 2 学校課題フィールドワーク Eでの実践 1)単元名 伝え合おう (2)一自分たちの生活に必要だと 思う SSTを学ぼうー 2)授業の肉容 (1)第7時 「授業で取り組みたいSSTを 自分たちで選ぼう」 ・アンケート結果をもとに,授業で取り組みた いSSTについて各クラスで話し合う。 ・その後,学年全体で, SSTを 2つ決定する。 (2 )第 8時 「励まし方について考えようJ .相手からゴーサインを感じることができない ときの「励まし方」を学ぶ。 ・パターン化されているスキルにも例外がある ことを知る。 (3)第 9時「注意のしかたについて考えようJ .注意をするときに気をつけるポイントについ て学ぶ。 (4)第10時 「みんなのアイデアを生活に生 かそうJrS S Tのまとめ」 -仲間が考えたオープニングラインを知る。 -今まで学んできたSSTを復習し,生活に生 かせているかどうかを振り返る。 3 個の変容 学年の教員と話し合い,コミュニケーション に自信がないと恩われる 2名の観察を続けた。

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1 )生徒C 毎回の授業の感想に,コミュニケーションに 関連する質問や,人見知りである等の自己開示 の記述が見られ, SSTへの関心の大きさが伺 えた。担任との会話も増えていき,

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から話題 を提供することが多くなった。 2)生徒D 学んだSSTを友だちとの話題に上げたり, 活用しようという姿勢が見られた。最終の感想 にはrSS Tで助かっているから,もっとやり たい」と記述しており Dが,人間関係におい て, S S Tを有用な手段として受け止めている ことが{司えた。 4 特別支援教育の視点を生かした授業 1 )教材の視覚化 板書用掲示カードを作成し,本時の課題と重 要用語が一目でわかるようにした。 2)教材のパターン化 1時間の授業の内容が1枚でわかるワークシ ートと,授業を振り返って記入する振り返りシ ートを作成した。両シートとも毎時間同じ記入 パターンになっている。 また,ファイノレを用いて 1時間分のワーク シートと振り返りシートが見聞きになるよう整 理し,既習内容が容易に確認できるようにした。

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協同学習 モデリングを導入し,生徒の生活にあり得る 場面を想定,教師とともに生徒も参加するよう にした。また,ロー/レプレイや話合い等の「話 す場Jを設定することで,全員が言語活動に参 加できる機会を確保した。 第4章 成 果 と 課 題 1 SST実践の成果 1)生徒による授業評価 振り返りシートによれば,意欲,理解, 有用性とも,毎時間 90%以上の肯定的な評 価を得ることができた。 2) 国語科と SST 実践した内容は,国語科が求める「相手,目 的,場面や状況に応じてふさわしい言葉を選ん で表現する」という,

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実生活で生きてはたらくJ ことに結びつくということが,多くの生徒が記 述したrSS Tは自分たちの生活に大きく関わ っているjとしづ感想からも裏づけられた。 3) SSTを実践する上で大切なこと S S Tの実践において欠かせないこととし て,学級経営が機能していること,教員の創意 工夫がなされていること,生徒がまた受けたい と恩える授業にすることを確認、できた。学年の 教員による日頃からの集団づくりと,国語科教 員の協働の上に成立した取組であった。 4)スキルの定着化 生徒アンケートと教員の聞き取りから,多く の生徒が,生活の中で意識しながら実際に試し ていることが明らかになった。 5)校内,校外への広がり 校区内研修会や市教育研究所主催の実践発表 会において, S S Tを広めることができた。参 加者の感想には,児童生徒がコミュニケーシヨ ンスキルを身につける必要があるという記述が 多く見られた。 2 今後の課題 定着化に向けて,授業でロールプレイの時間 を十分に取って練習時間を増やすこと,国語科 以外の教員への周知および情報の共有,保護者 への広報活動が挙げられる。

参照

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