関節動きに不変な移動軌跡の測地的類似度に基づく関節位置推定
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(2) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Bălanら 5) は,3Dの人体モデルに,またFreifeldら 6) は輪郭形状を利用したモデルに基 づき,それぞれ体の形状や変形まで記述可能なパラメータを最適化の枠組みで画像か ら推定することで節位置を推定している. 上述のモデルあてはめをベースとした手法では,推定性能がモデルに依存する.一 般的なモデルは全身の骨格をモデル化しているため,例えば被写体の全身が部分的に しか観測できない場合に,モデルあてはめに失敗するという課題がある.. 3. 提案手法 提案手法は,以下のステップにより節位置を推定する.(図 2) ① 動画像中の画素動き検出 ② 移動軌跡間の関節体判定 ③ 節位置の推定 以下,3.1 節ではまず提案手法の基本となる,移動軌跡間の測地的類似度に基づく 関節体判定について説明し,続く 3.2 節で,関節体の判定ルールに基づき,具体的に 節位置推定を行う手順について述べる.. (2) 剛体動きの解析に基づく手法 一方,モデルを用いずに,節位置を推定する手法も提案されている.これらの手法 は,関節物体を,ある1点で繋がった2つの剛体,すなわち,節によって互いに動き を制限された(完全に独立ではない)剛体の鎖として扱う.節の動きが剛体と節によ って成立する,というローカルな概念に基づくため,モデル当てはめとは異なり,被 写体の全身が部分的にしか観測できない場合でも節位置の推定が可能である. Webbら 7) は剛体,及び関節物体の動きが固定軸周りの回転と並進であると仮定し, 関節構造を復元する手法を提案している. また,Sinclair ら 8) は,節で接続された剛体間で,同一の回転軸方向を持つ場合に定 義される"Euclidean hinge拘束"に基づき射影復元を行う手法を提案した. 一方,Tresadernら 9) は関節物体に対するSFMを提案した.関節物体上では,射影行 列のランクが落ちるという前提に基づくパラメータ推定により節位置を推定している が,アウトライアの悪影響を受けやすいため,事前にアウトライアを除去している. また,Zhangら 10) も,関節物体を節と体節(Link)が繋がった鎖で表現することで, 対象形状や動きによらない節位置推定手法を提案している. 以上に挙げた手法は,節を介して接続された剛体間で成り立つ幾何拘束に対してパ ラメータ推定を行うことで,節位置を推定する.しかし,射影方程式のような高次の パラメータ推定,特に行列の分解を含む計算は一般的にノイズやアウトライアに影響 されやすいという課題がある. 提案手法では,従来法の課題として前述した高次の幾何パラメータ推定が不要な節 位置推定手法を提案する.幾何パラメータを推定する代わりに,移動軌跡間の測地的 類似度が関節動きに対し不変であることを利用し,単純な判定ルールを定義する.こ のルールに基づいて,移動軌跡が関節体上に存在するか否かを判定することにより, 被写体の節位置を推定する.. 3.1 移動軌跡間の測地的類似度に基づく関節体判定. 本稿では以降,関節動きをする,剛体と節からなる物体を関節体と呼ぶ.関節体は, 図 1 に示すような構成で表される.このとき,O-P 間および O-Q 間の関係はそれぞれ ”同一剛体上の移動軌跡” である.一方,P-Q 間については,”関節体上の移動軌跡” と 呼ぶ. 提案手法では移動軌跡間の測地的類似度に基づいて,同一剛体上の移動軌跡と,関 節体上の移動軌跡を判定するルールを定義する. 関節体の判定ルールについて,以下で詳しく説明する. 図 2(a)の関節体上に示す移動軌跡間 P-Q 間の関係に着目する.P-Q 間を直接繋いだ 距離(実線 F)は関節動きに伴い時間的に変動する一方で,P から節の点 O を経由し て Q まで繋いだ距離(破線 G)は時間不変になる.このような特徴を適切に表せる距 離関数を用いれば,移動軌跡が関節体であるか,同一剛体であるかの判定が行なえる.. 図 1. 関節体の構成. 2. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(3) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. (ⅰ)関節体上の2点. dG. P. 独立移動体. d. O. G F. 動画像. ① 画素動き 算出 ② 関節体 判定. F. G. 0. 0. t. 同一剛体. Q フレーム間動き検出 P d. 以下では,ユークリッド距離を F,測地距離を G と表す. 図 2(a)-(ⅰ)に,関節体上の移動軌跡 P-Q 間のユークリッド距離 F,測地距離 G,お よび F,G の値の時間変化を描いたグラフを示す(t: 時間軸,d: 距離値).すなわち P-Q 間のユークリッド距離の時間変化(絶対値)を dF,測地距離の時間変化(絶対値) を dG とおくと,. G. O F. (a). F. G 距離の時間変化算出. ③ 節位置 の推定. 0. Q. t. ( dF , dG ) = (k 1 , 0 ). 3点に基づく節判定 移動軌跡間の 同一剛体度dD、 関節体度dA算出. 同一剛体 dD. (b). 同一剛体 dD 節位置推定結果の表示. (k 1. > 0). (1). となる. 一方,図 2(a)-(ⅱ)に,同一剛体上の移動軌跡 O-Q 間のユークリッド距離 F,測地距 離 G,及び F,G の値の時間変化を描いたグラフを示す.O-Q 間の dF,dG は,P-Q 間 とは異なり以下のようになる.. P. O 移動軌跡Oの 節らしさ指標算出. 関節体. 図 3:移動軌跡間の dF, dG 分布. (ⅱ)同一剛体上の2点. 移動軌跡間距離算出 (ユークリッド距離F、 測地距離G). dF. ( dF , dG ) = (0 , 0 ). 関節体 dA. (2). また,互いに異なる移動物体上にある移動軌跡間では,測地距離算出の際の最短系 路上に節の移動軌跡がないため,関節体上の移動軌跡間のような測地距離 G の時間不 変性が成り立たない.すなわち,式 (1)(2)をともに満たさない. 式(1),式(2)で示した移動軌跡間の理想的な dF,dG の分布を図 3 に示す(図では dF, dG と示す ).関節体上の移動軌跡と,同一剛体上,或いは独立して移動する異なる物 体上にある移動軌跡間では,ユークリッド距離 F と測地距離 G の時間変化 dF,dG に おいて明確な差がある.式 (1)(2)を,関節体/同一剛体/独立移動体物体上の点,のい ずれかを判定するルールとすることで,dF および dG を用いて容易に関節体の判定が 可能であることは,図 3 からも明らかである. 以上より本手法では,測地距離をユークリッド距離と組み合わせ,以上で定義した ルールに基づき,各移動軌跡が関節体かどうかを判定し,関節体の節位置を推定する. 続く 3.3 節で,具体的な節位置推定の流れについて説明する.. Q. 図 2.提案手法の概要 そこで提案手法では,各移動軌跡間の類似度を表す移動軌跡間距離であるユークリ ッド距離を,実線 F に対応する距離として,および測地距離(測地的類似度)を,破 線 G に対応する距離として用いる.測地距離は,データの隣接性を考慮した距離であ り,ある閾値を越えるユークリッド距離に対してのみ非線形の変換をかけることで得 られる.この非線形の変換とは,閾値を越えるユークリッド距離を,閾値以下の距離 を有する経路のみで繋いだ際の最短距離に置き換える処理である.このとき適切に非 線形化の閾値を設定すれば,測地距離によって,P-Q 間の距離を,ユークリッド距離 のようなダイレクトな距離とは異なる,関節動きに不変な距離として表せる. 3. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(4) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 3.2 節位置推定の流れ. dF ( p , q ) =. 以下で,関節位置推定の手順について,図 2 を参照しながら具体的に説明する.. T −1. ∑. t =1. 3.2.1 画素動き検出. dG ( p , q ) =. 動画像の画素動きを検出し,連続したフレーム間での対応点である移動軌跡を算出 する.移動軌跡間の測地距離の時間不変性を利用するため,本手法では密な対応点を 取得できるグラフカットベースの画素動き検出手法 12) を用いる.移動軌跡は,ある画 素の各フレーム上での座標を並べたもので,各画素に対し「フレーム数」×「2(画像 上の(x, y))次元」の高次元ベクトルとなる. なお,指定フレーム間での動きが 0 の移動軌跡については,処理の対象から外す.. t =1. (. ただし d. t pq. =. ∑d t=0. t pq. (7). J 3 ( o )( p , q ) = dD ( o , p ) dD ( o , q ) dA ( p , q ). (3). ( x tp − x tq ) 2 + ( y t p − y tq ) 2. abs ( G t ( p , q ) − G t − 1 ( p , q )). 以下では関節位置の画素であるかどうかを判定する基準を「節らしさ」と定義する. 図 2(b)に示す関節体上の 3 つの移動軌跡 O,P,Q について,O が節である場合,移 動軌跡 P-Q 間が関節体,かつ移動軌跡 O-P 間,O-Q 間が同一剛体という 3 つの移動軌 跡間の関係が成り立つ.したがって, 3 つの関係がそれぞれ成り立つ度合い(関節体 度,同一剛体度)を求めて乗算したものを移動軌跡 O の節らしさとする. 移動軌跡間の関節体度 dA,同一剛体度dDと定義すると,図 2(b)に示す 3 つの移動軌 跡から求められる移動軌跡 Oの 3 点間での節らしさ J3 (o)(p, q)は以下のようになる.. ここでは,移動軌跡間のペアワイズな距離を算出する.移動軌跡ペアを P,Qと表す. 移動軌跡 P-Q間のユークリッド距離 F(p, q)を式(3)により算出する.なお,移動軌跡 Pの, 時刻tにおける画像上での位置を(xp t, y p t)と表記する.(T:処理対象フレーム数) T −1. (6). 3.2.3 節位置推定. 3.2.2 関節体判定. 1 F ( p, q) = T. T −1. ∑. abs ( F t ( p , q ) − F t − 1 ( p , q )). (8). なお,dA, dD はそれぞれ,移動軌跡間のユークリッド距離と測地距離の時間変化 dF, dG より以下のように求めた. max_dF は予め全ての dF より求めた正規化項である. ⎧ dF / max_ dF if dG = 0 dA = ⎨ 0 otherwise , ⎩. ). 次に,ユークリッド距離 F(p, q)に対して,閾値 r を用い,式(4)の非線形化した距離 Fd(p, q)を算出する.なお,閾値 r はフレーム数及び算出した移動軌跡の密度に依存す るため,シーケンス毎に値の設定を行う. さらに,式 (5)に示すように, P-Q間を非線形化した距離 Fdにより繋いだ全ての経路 の候補より最小距離を探索することにより, P-Q間の測地距離 G(p, q)を算出する.最 小距離探索については, Dijkstraら 13) の手法を用いる.. ⎧ F ( p, q) if F ( p, q) < r Fd ( p, q) = ⎨ ∞ otherwise ⎩. (4). G( p, q) = min(Fd ( p, q), Fd ( p, s) + Fd ( s, q) ,....). (5). ⎧ 1 − dA if dG = 0 dD = ⎨ ⎩ 0 otherwise. さらに,前述の 3 つの移動軌跡間の関係を満たす度合いをすべての移動軌跡より移 動軌跡 O について投票する.すなわち,式 (9)により移動軌跡の節らしさ J を算出する.. J (o ) =. ∑J. 3. ( o )( p , q ). (9). 理想状態では,節の移動軌跡のみ J(o)が正の値をとり,節以外の移動軌跡では 0 と なる.つまり閾値を 0 とすれば,節らしさ J(o)の値から関節位置を推定できる.. 4. 実験と結果 4.1 シミュレーション実験. 最後に,図 2(a)に示す移動軌跡間のユークリッド距離と測地距離それぞれの時間変 化 dF, dG を算出する.これに式(1)(2)で定義したルールを適用すれば,移動軌跡 P-Q が関節体上の 2 点であるかどうかを判定できる.なお前述したようにここでは,距離 変化の大きさが重要であるため,dF,dG は絶対値を用いる.次節で dF, dG を用いて 節位置を推定する手順を述べる.. 4.1.1 実験 関節体の移動軌跡を計算機上で作成し,提案法による関節位置推定の有効性を検証す る.図 4(ⅰ)に示すような関節体上に 14 点の移動軌跡を作成した.初期状態では 3 剛 体が直列状態にあり,中央以外の 2 剛体が,曲線の矢印の方向にそれぞれ 6 度/フレ. 4. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(5) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. dF=dGのグラフ(R055). dF-dGグラフ(Sim05/R05). 0.4. dG. 0.1. 0.35. J R. 0.3. 0.05. J R. dG. 0.25. 0 0. 0.1. 0.2 dF. 0.3. 0.2. 0.4 0.15 0.1. (ⅰ)入力したデータ (ⅱ)節検出結果 (ⅲ)dF,dG のプロット図 図 4.シミュレーションデータに対する節検出. 0.05 0 0. ームの角速度で関節動きを行い,また関節体全体が短い矢印の方向に 1 画素/フレー ムの速度で移動するものとした.ここでは,式 (1)(2) および (9) の原理確認を目的とす るため,動き検出は行なわず,各移動軌跡は正解値を与えた.. 0.05. 0.1. 0.15. 0.2 dF. 0.25. 0.3. 0.35. 0.4. (ⅰ).予備実験のシーケンス (ⅱ)dF, dG のプロット図 図 5.予備実験シーケンスにおける節検出 4.2.2 実画像における関節検出式の再定義. 4.1.2 結果. 実画像実験では関節体度 dA および同一剛体度 dD を再定義して用いる. 実画像では,パースに起因する拡大縮小,対応点誤差等の要因により,同一剛体上 の移動軌跡間のユークリッド距離が時間変動し,それにともない測地距離の時間不変 性が崩れることがある. 予備実験として図 5(ⅰ)に示す関節体から算出した dF,dG を,図 5(ⅱ)に示す.式(1)(2) を満たさないことがわかる(系列名の J,R は図 4 と共通).そのため式(2)を以下の式 (10)のように改めて定義する.. 提案手法により節位置を推定した結果を図 4(ⅱ )に示す.節 A,B のみが節として検 (推定結果を黒,他はグレーの点で 出され,他の移動軌跡では節らしさ J=0 となった. 表示.) 図 4(ⅲ )に,関節体判定に用いた移動軌跡間の dF,dG をプロットした図を示す.関 節体上の移動軌跡間については ”J”,同一剛体上については ”R”の系列名を付与した. 図 3 と比較すると,関節体(J),同一剛体(R)ともに,図 3 同様の,式 (1)(2)を満たす分 布が得られた. 以上より,本実験では事前に関節位置を与えることなく正しく複数の節位置を推定 できた.提案手法による節位置推定が有効であることを示せた.. dG ( p , q ) = dF ( p , q ). (10). また,推定の安定化のため dD には指数関数状の制約を与え,dA には dF の項を追 加した.再定義した同一剛体度 dD,関節体度 dA を以下に示す.(max_dF’ は,予め 全ての dF’(=dF(dF-dG))より求めた正規化項である.). 4.2 実画像実験 4.2.1 実験条件. dD = exp. 次に,実際に撮影した画像に提案手法を適用し,本手法の有効性を検証する. ま ず 撮 影 条 件 は 以 下 の 通 り で あ る . 撮 影 装 置 は Imaging Source 社 の カ メ ラ (DFK21BU04)に FUJINON のレンズ(TF4DA-8)を取り付けたものを使用し,三脚 上に固定した状態から,画像サイズが 640×480 pixel,フレームレートが 30fps の動画 像を取得した.関節検出対象の動画シーケンスは,屋内環境で 3 種類の動作について 撮影した.ノイズへの耐性も考慮するため,シミュレーション実験とは異なり,動き 検出処理も行なう.. −. 1 ⎛ dF − dG ⎞ ⎜ ⎟ 2⎝ σ ⎠. 2. ,. dA = 1 −. dF ( dF − dG ) max_ dF '. 再定義した dD,dA を用いて,各移動軌跡の節らしさ J を算出し節位置を推定した. さらに,実画像実験では関節体の領域を検出する実験も行った.関節体上である節 を介して繋がる 2 剛体上の全ての移動軌跡は,その節の移動軌跡に対し同一剛体の関 係にある.したがって節と同一剛体関係にある移動軌跡を求めることで,関節領域を 推定する.各移動軌跡に対して, 「関節体領域らしさ」を表す指標 R J を定義し,以下の 5. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(6) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 式(11)により算出した.. R J ( p) =. ∑ J ( q ) dD ( p , q ). (11). 4.2.3 実験結果 1)節位置の推定 2 種類のシーケンスに対し,提案手法による節位置の推定を行なった. 図 6(a)(b)にシーケンス 1 の開始フレーム,および終了フレームを示す.シーケンス 1 では,1 関節の例として,人物が机上のタンブラーを取る様子を撮影した.人物の右 肘が関節体になっている. 図 7(a)(b)にシーケンス 2 の開始フレーム,および終了フレームを示す.シーケンス 2 では,左手の第 2 指が屈曲する様子を撮影した.撮影範囲は手領域のみで,第 1 指 の一部が最終フレームでフレームアウトする. 図 8 に,シーケンス 1 に対する関節位置推定結果を示す.見やすさのため,元の画 像はグレースケールで表示している.黒~赤のグラデーションが,処理対象の移動軌 跡に対応する画素の節らしさの値を示す.赤に近いほど節らしいことを示す. 図 8(a)では,肘の部分が関節位置として推定された.上腕部,および前腕~タンブ ラーまでのそれぞれを同一剛体として処理したものと考えられる.また図 8(b)では, 第 2 指の第 2 関節の部分が関節位置として推定された. 以上の実画像実験において,シーケンス 1 は座席上の人物を側方より撮影したもの, シーケンス 2 は手を撮影したものであり,これら 2 つは見えも形状も大きく異なる被 写体である.したがって,提案手法によって,それぞれの被写体に特化したモデルを 立てることなく,関節位置を推定できることを示せた. 一方,実際には節である図 8(b)上の第 1 関節周辺で,節らしさの高い移動軌跡と低 い移動軌跡が混在している.図 7 から確認できるように,第 1 指節(第 1 関節よりも 指先の領域)では,他の領域に比べて,特に照明に起因する輝度変動が大きい.グラ フカットベースの対応点探索は非常に輝度変動に敏感であるため,第 1 指節での動き 検出に大きな誤差が生じ,その結果,第 1 指節の移動軌跡を含む移動軌跡間のユーク リッド距離が,正しく求まらなかったことが原因で,第一関節の推定に失敗したと考 えられる.. 2)領域検出 さらに式 (11)で示した関節体の領域の抽出についても検討を行った. シーケンス 3 は,人物がカメラに向かって両腕を振る様子を撮影したものである.. (a)開始フレーム(110). (b)終了フレーム(210) 図 6.シーケンス 1. (a)開始フレーム(990). (b)終了フレーム(1038) 図 7.シーケンス 2. (b)シーケンス 2 (a)シーケンス 1 図 8.シーケンス 1,2 に対する節検出結果 6. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(7) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 図 9(a)(b)にシーケンス 3 の開始フレーム,および終了フレームを示す.なお,イス に隠されているため,人物の全身は写っていない. 図 10 に,シーケンス 3 に対する関節体の領域検出結果を示す.右腕全体を関節 体の領域と推定できた.結果より,人物の全身が写っていない画像に対しても,関節 体の領域の推定が行えることを示せた. 一方,理想的には関節体の領域として検出されるべき左腕は検出されていない. 本稿で用いた画素動きの検出手法は,整数精度の動き検出を行なう.すなわち, 1 フ レームごとに動き検出を行った際,動きが小さすぎて,フレーム間での動きがないも のとして除去された領域に左上腕部が含まれており,そのため左前腕部のみが関節体 ではなく剛体領域として扱われたのだと考えられる.. (a)開始フレーム(100). 画素動きの検出エラーにより,左腕の関節体としての領域検出に失敗したが,剛体 (左腕)と関節体(右腕)を同時に含むシーンであっても関節体の領域のみを推定で きることが,本実験により示された.. 5. 結論 本稿では,入力した動画像に対し,画素の動きである移動軌跡の類似度を示すユー クリッド距離が関節動きに対して変動する一方,ユークリッド距離の非線形変換であ る測地距離(測地的類似度)が,関節動きに対して不変となる点に着目し,これらの 距離に基づき,画素が関節物体上かどうかを判定する基準を定義した.そして,これ を利用して,被写体の節位置を推定する手法を提案した. 提案手法は,一般的な人体モデルでは処理の難しい,人体の一部だけが写っている ような画像に対しても適用可能である.そのような動画像に対し,高次の幾何パラメ ータ推定を行うことなく,各移動軌跡間の距離に基づく単純な計算によって,動画像 中の節位置を推定できることを示した. 本稿では,単独の被写体に対する節位置推定結果のみを示したが,複数の関節体と 剛体が含まれるようなシーンなどにおける提案手法の有効性についても,今後検証を 進めたいと考えている.. 参考文献. (b)終了フレーム(120) 図 9.シーケンス 3. 1) 島田伸敬, 有田大作, 玉木徹, “関節物体のモデルフィッティング”, 情報処理学会コンピュ ータビジョンとイメージメディア研究報告, Vol.2006, No.51,pp.375-392 (2006), 2006-CVIM-154. 2) Ronald Poppe, “Vision-based human motion analysis: An overview”, Computer Vision and Image Understanding, vol.108, no. 1-2, pp. 4-18, 2007. 3) M. A. Brubaker and D. J. Fleet, "The kneed walker for human pose tracking," Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, pp. 1-8, 2008. 4) G. Mori, X. Ren, A. Efros, and J. Malik, Recovering Human Body Configurations: Combining Segmentation and Recognition, Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, 2004. 5) A. O. Bălan, L. Sigal, M. J. Black, J. E. Davis, and H. W. Haussecker, “Detailed human shape and pose from images”, Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, pp. 1-8, 2007. 6) O. Freifeld, A. Weiss, S. Zuffi, M. J. Black, “Contour people: A parameterized model of 2D articulated human shape”, Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, 2010. 7) J. A. Webb and J. K. Aggarwal, "Structure from Motion of Rigid and Jointed Objects", Artificial Intelligence, vol. 19, pp. 107-130, 1982. 8) D. Sinclair and K. Zesar, "Further Constraints on Visual Articulated Motions", Proc. IEEE Conf. on. 図 10.関節領域検出結果(シーケンス 3). 7. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
(8) Vol.2011-CVIM-176 No.18 2011/3/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report Computer Vision and Pattern Recognition, pp. 94-99, 1996. 9) P. Tresadern, I. Reid, "Articulated Structure From Motion by Factorization", Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, 2005. 10) X. Zhang, Y. Liu, T. S. Huang, “Motion Analysis of Articulated Objects from Monocular Images”, IEEE Trans. Pattern Analysis Machine Intelligence, pp625-636, 2006. 11) J. B. Tenenbaum, V. de Silva, J. C. Langford, "A global geometric framework for nonlinear dimensionality reduction. Science 290: 2319-2323, 2000. 12) V. Kolmogorov and R. Zabih, “Computing Visual Correspondence with Occlusions via Graph Cuts”, Proc. Int'l Conf. Computer Vision, pp. 508-515, 2001 13) E. W. Dijkstra, "A note on two problems in connexion with graphs", Numerische Mathematik, pp.269-271, 1959. 8. ⓒ2011 Information Processing Society of Japan.
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