【11】グローバル教育セミナー報告
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(2) り生じる貧富の格差が社会の構造的問題となっ. ルド」を見たこと、これらの体験のインパクト. ていることから、世界やアジアで注目されてい. に起因しているといえるでしょう。しかし決定. る『アジアの社会起業』をテーマに開催されま. 的なきっかけは、大学時代アメリカ留学中に湾. した。セミナーは、学生によるワークショップ. 岸戦争が起こり、アメリカ人から、「日本人はお. の事前体験の報告、カンボジアの KURATA . 金を出すだけ」と非難されたことにより、 帰国. PEPPER Co. Ltd. の代表の倉田氏による講. 後、人的貢献をしようと NGO に参加し、それに. 演、そして、パネルディスカッションの 3 部構. よりカンボジア派遣されたことにあるといえま. 成で行われました。. す。そして更に、大学卒業後、倉田氏は NGO に. 第 1 部は、セミナー開催に先立ち、開発教育. 就職します。そこで、支援を必要とするレシピ. 協会のワークショップ「もし世界は 100 人村だっ. エントのために自由に使いたいお金は、支援す. たら」の変型版、本学の本セミナー実行委員会. るドナーの思いに縛られて、思うように使えな. が独自に作成した「世界がもし 130 人の村だっ. いという NGO 職員として、「お金」のジレンマ. たら」のワークショップを体験した本学の学生. に直面します。そして、このジレンマの悩み故. たちの状況の報告とともに、ワークショップの. に、レシピエントのために自由にお金を使える. 内容・目的の紹介が行われました。. よう、自らがお金を稼ぎ出すことを決意して起 業します。倉田氏 を起業に至らしめ た「お金のジレン マ」は、倉田氏ば かりでなく、現在、 NGO や NPO で 働いている人々が 直面している大き な問題といえるで しょう。 倉田氏は講演. 第 2 部は、カンボジアで胡椒を扱っていらっ. で大きな問題提起を二つ行いました。ひとつは、. しゃる KURATA PEPPER Co., Ltd. 代表の倉. 「NGO のお金のジレンマ」であり、もう一つは、. 田浩伸氏による「価値観の多様性-地球とのフェ. 「価値観の多様性」です。. アトレードを目指して」と題した基調講演が行. この「価値観の多様性」に関して、倉田氏は「ア. われました。内容は、なぜカンボジアなのか、. リとキリギリス」の寓話を引き合いに出し、自. なぜ起業したのか、現在の活動の内容そして貨. 然の環境によって人が生きるための社会のカタ. 幣経済社会の問題点等多岐にわたり興味深いも. チは様々(冬のある地域と常夏の地域・雨の多. のでした。. い国と雨の降らない国ではそれぞれ異なる)な. 倉田氏がカンボジアに赴き起業することに. はずなのに、一方の価値観で判断する危険性を. なったのは、ご両親の戦争体験談・中学時代の. 挙げています。又、価値観の数値化よる危険性. お兄様の事故死・ピューリッツアー賞受賞のカ. や GDP や為替相場で表せない豊かさの再考を促. メラマン澤田教一氏の「安全への逃避」という. す示唆を含んだ講演内容でした。. タイトルの写真に教科書付随の資料で出会った. 第 3 部は、本学の重田教授による司会でパネ. こと、そして高校時代に映画「キリングフィー. ルディスカッションが行われました。倉田氏に HANDS next 13.
(3) 加え、吉田ユリノ氏(シャプラニールとちぎ架. ルにもローカルにも社会的な観点を強く持った. け橋の会代表)と奥崎友美さん(国際学部 2 年. 起業家が求められていると痛感していること、. 生・宇都宮大学認定サークル『テーブル・フォー・. そして、社会起業がもっている意味は、そこに. ツゥー Table For Two(TFT)』)の皆さんに. 関わる人たちの意識を変えていく力を持ってい. よるパネルディスカッションが行われました。. ること、即ち、市民育ちに関わっているという. パネルディスカッションでは、①グローバル. コメントが寄せられました。. 化の時代の中で社会起業やフェアトレード活動. 湯本准教授からは、教育の世界のグローバル. の果たす役割は何か、②アジア諸国の貧困や格. 化により、大学の間にも格差が生まれつつある. 差の問題解決のために学生や市民はどのように. 危惧とともに、一般的なイメージの「TOEIC 高. 取り組めば良いかという二つの問題について議. 得点でグローバル企業に就職するグローバル人. 論されました。. 材」とは別の「地域の中でしっかり世界を見つ. 先ず、倉田氏は「みんなで分け合う・みんな. めながら、多様な人々とともに豊かな社会を作っ. で力を合わせる・みんなにチャンスが与えられ. ていける人材」という独自のグローバル人材の. るまるい社会」という点を挙げられ、貨幣経済. 定義が示されました。. の中で突出しているものを丸くする必要性を提. 今回のセミナーの学生パネリストの奥崎さん. 示なさいました。吉田氏からは、今テロが頻発. は、 イ ン タ ー ン と し て KURATA PEPPER. しているのは、その背景に貧困があり、インター. Co., Ltd から 社会起業として、学んだこととし. ネットの時代の今は(貧困の)彼らも世界の中. て、. で自分がどのような位置にいるかということが. 「使えないものはない」-その土地にあったも ①. 分かるからだという指摘とともに、宇都宮の街 づくりという観点から、ジャズ・カクテル・餃 子というバラバラなものをフェアトレードタウ ンという部分で世界に開かれた街としてブラン ド化を図ろうとする市民の取り組みについての 方法が提示されました。 奥沢さんからは、フェアトレードという定義. のを外に発信する ② 「仕事」という形の援助-長期にわたり安定し て多くの地域の人々に利益を与える ③ 現 地の人々との信頼関係-現地の人々のリア リティを大切にする ことなどを挙げています。 奥崎さんのように、海外にインターンとして. することの重要性とともに、自らの活動も変化. 飛び出し、身をもって学んできて、こうして、. していく時代に合わせて見直していく必要性が. 多くの人々に発信していく人材、これこそが、. 示されました。人任せにしないで自らができる. グローバル人材といえるでしょう。. ことをするという姿勢を持つこと、あるいは、. その意味で、今回のグローバル教育セミナー. 国際協力をしたいと思ったらフェアトレード祭. は、参加者に、宇都宮大学がグローバル人材育. や地域で開催されているイベントなどにためら. 成の大学であることを再認識して戴く良い機会. わずに参加すること、こうしたことが重要であ. になったのではないかと思います。. ることが示されました。 最後に、本学の陣内教授(教育学部)と湯本 准教授(留学生・国際交流センター)のお二人 が「街づくり」と「グローバル人材」という観 点から意見を述べられました。 陣内教授からは、格差が広がっている現在、 社会的起業が求められる時代であり、グローバ 14 HANDSnext.
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