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<論説>イギリスにおける環境情報開示と2004年環境情報規則

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(1)イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. イ ギ リス にお け る環 境 情 報 開示 と 2004年 環 境 情 報 規 則 林. 晃. 大. は じめ に 第1章. 環 境 情 報 開 示 に関 す るイ ギ リスの 動 向. 第1節90/313/EEC指 第2節. 令 及 び1992年 環 境 情報 規則. オ ー フス 条 約 及 び2003/4/EC指. 第3節2000年 第2章2004年. 令. 情報公開法 環 境 情 報 規 則(1):情 報 開 示 シ ステ ム. 第1節. 公的機関の義務. 第2節. 「環 境 情 報 」 の 定 義. 第3節. 「公 的 機 関 」 の 定 義. 第4節. その他の規定. 第5節. 救済手段. 第3章2004年. 環 境 情 報 規 則(2):開 示 ・不 開 示 の 判 断 基 準. 第1節. 公益判断. 第2節. 「個 人 デ ー タ」 を 含 む 情 報 の 不 開 示. 第3節. 情 報 あ る いは 開 示 請 求 の 性 質 を 根 拠 に した 不 開 示. 第4節. 一 定 の 要 素 に対 して 「悪 影 響 を 与 え る」 場 合 の 不 開 示. 第5節. その他の規定. 第4章. 市 民 に よ る開 示 請 求 に基 づ く環 境 情 報 開 示 の 意 義. 第1節2004年 第2節. 環境情報規則の特徴. わ が 国 との 比 較. おわ りに. は じめ に. 近 年,国 際 社 会 に お いて,環 境 保 護 を 目的 と した 市 民 参 加 の 重 要 性 が 主 張 され て お り,こ れ を 具 体 化 した もの と して,1998年6月25日 481. に は 「環 境.

(2) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. に 関 す る,情. 報 へ の ア ク セ ス,意. セ ス に 関 す る 条 約 」(以 下,オ. 思 決 定 に お け る 市 民 参 加,司. 法への アク. ー フ ス 条 約)(1)が 国 連 欧 州 経 済 委 員 会. (UnitedNationsEconomicCommissionforEurope,UNECE)に. お いて. 採 択 され た。 オ ー フ ス 条 約 は,そ. の 前 文 で,「 何 人 も,健 康 と 福 祉 に と っ て 十 分 な 環 境. に お い て 生 き る 権 利 を 有 し,現. 世 代 及 び将 来 世 代 の 利 益 の た め に環 境 を 保. 護 し,改 善 す る 義 務 を 負 う 」 こ と を 明 言 し て お り,そ. の1条. に お い て,「 ①. 環 境 に 関 す る 情 報 へ の ア ク セ ス 権 」,「② 環 境 政 策 決 定 へ の 市 民 の 参 加 権 」, 「③ 環 境 問 題 に 関 す る 司 法 へ の ア ク セ ス 権 」 と い う3つ. の 権 利 を,あ. らゆ る. 人 に 保 障 す る こ と を 目 的 と す る 旨 を 定 め て い る 。 さ ら に 同 条 約 は,締 が そ れ ぞ れ の 国 内 に お い て,こ. れ ら3つ. 結国. の 権 利 を 促 進 す る た めの 制 度 を 構. 築 す る よ う 要 求 して い る の で あ る 。 オ ー フ ス 条 約 の 提 言 す る3つ. の 権 利 の 中 で も,特. へ の ア ク セ ス 権 」 に 関 して は,従. 前 か ら,同. に 「環 境 に 関 す る 情 報. 条 約 策 定 の 基 礎 と な っ た 「環. (1)UN/ECEConventiononAccesstoInformation,PublicParticipationinDecisionMakingandAccesstoJustice,Aahus,1998.オ. ー フス. 条 約 に つ い て は 先 行 研 究 が 多 数 存 在 す る た め,本 た い 。 な お,先. 行 研 究 と し て は 以 下 の も の が 挙 げ ら れ る。 高 村 ゆ か り 「環 境 情. 報 へ の ア ク セ ス,環. 境 に 関 す る 政 策 決 定 へ の 市 民 参 加,及. ス に 関 す る 条 約 」 環 境 研 究135号(2004年)79頁 に よ る欧 州 の環 境 保 護 参 加,及. び,司. 稿 で は 概 略 的 な 紹 介 に と どめ. 環 境 に 関 す る,情. 以 下,同. 報 へ の ア ク セ ス,政. 法 へ の ア ク セ ス に 関 す る 条 約(オ. 静 岡 大 学 法 政 研 究8巻1号(2003年)178頁. び,司. 以 下,同. 35巻3号(2006年)31頁. 境 法 一 ドイ ツ2005年 以 下,同. 報 へ の ア ク セ ス,政. その発展一」. 「オ ー フ ス 条 約 に み る 欧 州 以 下,大. 久保規. 法 案 を 中心 と して一 」環 境 と公 害. 「環 境 法 の 新 潮 流 ⑳. 日 本 法 の 課 題 」 環 境 管 理42巻7号(2006年)675頁 る,情. 策決定への市民. ー フ ス 条 約)と. の 情 報 公 開 と 市 民 参 加 」 環 境 情 報 科 学32巻2号(2003年)30頁 子 「オ ー フ ス 条 約 とEU環. 法 へ の ア クセ. 「情 報 公 開 と 市 民 参 加. 策 決 定 へ の 市 民 参 加,及. オ ー フ ス 条 約 か らみ た. 以 下,後 び,司. 藤 隆. 「環 境 に 関 す. 法 へ の ア クセ ス の 確. 保 の 必 要 性 と それ らを前 提 と した合 意 形 成 手 法 の 日本 へ の導 入 の 可 能 性 につ い て. オ ー フ ス 条 約 の 市 民 参 加 規 定 を 中 心 に 」 と う き ょ う の 自 治53号(2004年). 5頁 以 下 等 。. 482.

(3) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 境 と 開発 に 関 す る リオ 宣 言 」 の第10原 則 が,「 環 境 問 題 は,そ れ ぞ れ の 場 に お いて,関 心 の あ る あ らゆ る市 民 が 参 加 す る こ と に よ り,最 も適 切 に扱 わ れ る。 国 内 レベ ル に お いて は,各 個 人 が 公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 に関 す る情 報 ヘ ア クセ スで き るべ きで あ り,… … 加 盟 国 は情 報 を 広 く利 用 可 能 と す る こ と に よ って 市 民 の 参 加 を 促 進 す るべ きで あ る」 と謳 って いた 。 この こ とか ら,特 に公 的 機 関 の 保 有 す る環 境1青報 へ の ア クセ スが,市 民 参 加 の 基 礎 とな る と い う点 で 極 めて 重 要 で あ る と考 え られ る。 「環 境 に 関 す る情 報 へ の ア クセ ス権 」に関 す るオ ー フ ス条 約 の 規 定 を 見 て み る と,4条1項. が,「 各 締 結 国 は,国 内 法 の枠 組 み に お い て,… … 公 的. 機 関 が,環 境 情 報 の 開 示 請 求 に応 じて,市 民 が 当該 情 報 を 入 手 す る こ とが で き る よ う確 保 しな けれ ばな らな い」(2)と 示 して い る こ と か ら,同 条 約 は, 公 的 機 関 の 保 有 す る環 境1青報 の 公 開 につ いて,市 民 が 開 示 請 求 を 行 い,そ れ を 受 け た公 的 機 関 が 情 報 を 公 開 す る と い う 「情 報 開 示 」 制 度 の 構 築 を 重 視 して い る と言 え る。 これ に加 え て,オ. ー フ ス条 約 は,「 各 締 約 国 は,国 内法 の 枠 組 み に お い. て,公 的 機 関 が 環 境1青報 を 市 民 に利 用 可 能 とす る手 段 の 透 明 性 の 向 上,お よ び環 境 情 報 へ の効 果 的 な ア ク セ ス を 確 保 しな け れ ば な らな い」(3)と 規定 し,そ の手 段 と して,「 公 に入 手 可 能 な リス ト,登 録 簿 ま た は フ ァイ ル」(4) を 確 立 し,「リス ト,登 録 簿 ま た は フ ァ イル に含 まれ る環 境 情 報 へ の ア クセ スを 無 料 で 提 供 す る こ と」(5)を 要 求 して い る。 さ らに,「 各 締 約 国 は,公 共 の テ レコ ミュニ ケ ー シ ョン ・ネ ッ トワ ー クを 通 して,公 衆 が 容 易 に ア クセ ス可 能 な 電 子 デ ー タベ ー スで の 環 境1青報 の 利 用 可 能 性 の 向 上 を 確 保 しな け. (2)AarhusConvention,Art.4(1). (3)Ibid.,Art.5(2). (4)Ibid.,Art.5(2)(b)(i). (5)Ibid.,Art.5(2)(c). 483.

(4) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. れ ば な らな い」(6)として お り,こ れ らの 点 か ら,同 条 約 は 各 加 盟 国 に 対 し て,市 民 か らの 開 示 請 求 に基 づ か な い 「情 報 提 供 」 制 度 につ いて も十 分 に 整 備 す る よ う促 して い る こ とが 分 か る。 ま た,同 条 約 を 基 礎 と してEUに お い て 制 定 さ れ た 「環 境 情 報 へ の ア ク セ ス に 関 す る 指 令(以 下,2003/4 /EC指. 令)」(7)は,「 加 盟 国 は,公 的 機 関 が,自 身 の 機 能 に関 連 して い る あ る. い は 自身 が 保 有 して い る環 境 情 報 を,特. に電 子 的 手 段 や イ ン タ ーネ ッ トを. 通 じて,活 発 で 体 系 的 に市 民 へ 普 及 す る た め に必 要 な 手 段 を と らな けれ ば な らな い」(8)と 規 定 す る こ と に よ り,更 な る 「情 報 提 供 」制 度 の 充 実 を 具 現 化 して い る。 この よ う に,オ ー フス条 約 及 びEU指. 令 は,公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情. 報 の 公 開 に つ い て,市 民 の 開 示 請 求 を 受 け て公 的 機 関 が 情 報 を 公 開 す る 「情 報 開示 」制 度 と,市 民 に よ る開 示 請 求 に基 づ か ず 公 的 機 関 か ら市 民 に対 して 積 極 的 か つ 能 動 的 に行 わ れ る 「情 報 提 供 」 制 度 の 両 方 を 通 じた 「環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ ス権 」 の 促 進 を 要 求 して い るの で あ る。 2009年11月2日. の 時 点 で オ ー フ ス条 約 の 締 結 国 は44ケ 国 に及 ん で お り,. その 中で,市 民 や環 境 保 護 団体 に よ る環 境 保 護 運 動 が非 常 に活 発 で あ り(9), 環 境 汚 染 や 汚 染 規 制 につ い て長 い歴 史 を有 して い る⑩ イ ギ リス(ll)も2005年 に 同条 約 を 批 准 して い る。 (6)Ibid.,Art.5(3). (7)Directive2003/4/ECoftheEuropeanParliamentandofthe Council.of28January20030npublicaccesstoenvironmental informationandrepealingCouncilDirective90/313/EECな /EC指. お,2003/4. 令 につ いて は後 に詳 細 に検 討 す る。. (8)Ibid.,Art.7(1). (9)そ. の 代 表 的 な も の が,環. 境 の よ うな. 護 団 体 に よ って 提 起 され る い わ ゆ る 例,根. 拠 な ど に つ い て 詳 し く は,林. 治58巻2号(2007年)345頁 ω. イ ギ リ ス で は,他. 「公 益 」 を 保 護 す る た め に 市 民 や 環 境 保. 「公 益 訴 訟 」 で あ る。 公 益 訴 訟 の 歴 史,判 晃大. 「イ ギ リ ス に お け る 公 益 訴 訟 」 法 と 政. 以下参照。 の 国 々 に 先 駆 け て17世 紀 後 半 か ら産 業 革 命 を 原 因 と す る 大/. 484.

(5) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. イギ リスで は,産 業 革 命 以 降,公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 の 秘 密 性 が 重 視 され,市 民 に 対 す る 情 報 公 開 に 関 して 消 極 的 な 時 代 が 長 く続 い て い た。 しか しな が ら,王 立 環 境 汚 染 委 員 会(RoyalCommissiononEnvironmentalPollution,以. 下RCEP)に. よ る勧 告 や市 民 運 動 な どの影 響 を受 け,. 1974年 汚 染 規 制 法 が 環 境 情 報 提 供 制 度 で あ る公 的 登 録 簿 を 水 質 汚 濁 の 領 域 に お いて 導 入 した こ と に よ り,環 境1青報 の 積 極 的 公 開 の 時 代 へ と突 入 す る こ と とな る。 その 後 引 き続 き様 々な 環 境 汚 染 領 域 に お いて 公 的 登 録 簿 が 導 入 され,市 民 や 環 境 保 護 団 体 が 広 く環 境1青報 に ア クセ スす る こ とが 可 能 に な っ た の で あ る⑫。 公 的 登 録 簿 に は,モ ニ タ リン グな ど に よ って収 集 され た水 や 大 気 な ど汚 染 規 制 の 前 提 にな る よ うな,あ. る い は規 制 の 結 果 と して. あ らわ れ る よ うな 環 境 状 態 や 汚 染 状 況 に関 す る情 報 と,規 制 当 局 に よ る許 可 や 同意 な ど環 境 行 政 過 程 の 情 報 との 両 面 か ら登 録 され て お り,環 境 リス クを 判 断 す る上 で も,規 制 当局 の 活 動 を 監 視 す る上 で も非 常 に有 意 義 な も の と な って い る(③ 。 現 在,公 的 登 録 簿 は イ ンタ ー ネ ッ トな どを通 じて 広 く 提 供 され て い る こ とか ら,同 制 度 は イギ リス に お いて 市 民 が 公 的 機 関 保 有 の 環 境1青報 ヘ ア クセ スす る た めの 中心 的 な 手 段 とな って い る。 開 示 請 求 と い う煩 雑 な 手 続 きを 経 ず に,市 民 に対 して 環 境 情 報 を 広 く提 供 す る こ と に よ って,市 民 は容 易 に情 報 を 入 手 す る こ とが で き,環 境 リス ク に対 す る認 識 を 高 め る こ とが で き るの で あ る。 この こ とか ら,イ ギ リスで はオ ー フ ス. \ 気 汚 染 や 水 質 汚 濁 な ど の環 境 被 害 が 深 刻 化 して い た 。 ま た,こ れ に対 して, 1863年 に は世 界 で 最 初 の 環 境 汚 染 規 制 を 行 う行 政 機 関 で あ る 「ア ル カ リ検 査 団 」 が 設 立 され て お り,同 国 は行 政 に よ る汚 染 規 制 を い ち早 く行 お う と した 国 の1 つ で あ る と言 わ れ て い る。 林 晃 大 「イ ギ リス に お け る環 境 情 報 提 供 手 法 一 公 的 登 録 簿 制 度 につ いて の 一 考 察 一 」 近 畿 大 学 法 学57巻4号(2010年)141頁. 参照。. (ll)本 稿 で の イ ギ リス と は,イ ン グ ラ ン ドと ウ ェー ル ズ を 指 す 。 (12)イ ギ リス に お け る環 境 情 報 公 開 の 歴 史 に つ い て は,林. ・前 掲 注(1①143頁以 下. 参照。 q3)公 的 登 録 簿 につ い て の 詳 細 は,林. ・前 掲 注qo)169頁 以 下 参 照 。. 485.

(6) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. 条 約 の批 准 あ る い は2003/4/EC指. 令 の 制 定 以 前 か ら 「情 報 提 供 」 制 度 が. 確 立 され て い た と言 え よ う。 しか しな が ら,た だ この よ うな 「情 報 提 供 」 制 度 だ けを 充 実 させ て も市 民 参 加 の 観 点 か らは不 十 分 で あ る。 先 述 した よ う に,オ ー フス条 約 は,「情 報 開 示 」 と 「情 報 提 供 」の 両面 か らの環 境 情 報 公 開 の促 進 を規 定 して お り, 公 的 登 録 簿 に代 表 され る 「情 報 提 供 」 制 度 で は入 手 す る こ とが で きな い よ うな 環 境1青報 に市 民 が ア クセ スす る手 段 も 同時 に構 築 す る必 要 性 を 重 視, それ を 「情 報 開 示 」 制 度 の 確 立 に よ って 行 う こ とを 各 加 盟 国 に要 求 して い るの で あ る。 オ ー フ ス条 約 を 締 結 して いな いわ が 国 に お いて も,国. レベ ル. で は1999年 に 「行 政 機 関 の保 有 す る情 報 の 公 開 に 関 す る法 律 」(以 下,情 報 公 開 法)が,地. 方 レベ ル で も大 部 分 の 地 方 公 共 団 体 に お いて 情 報 公 開 条. 例 が 制 定 され て お り,こ れ らを通 じた 「情 報 開 示 」制 度 が構 築 され て い る。 ま た,公 的登 録 簿 を通 じた 「情 報 提 供 」制 度 が充 実 して い る イ ギ リス で も, 2005年 の オ ー フ ス条 約 の批 准 を前 に,2004年. 環 境 情 報 規 則 ⑭ が 制 定 され,. 公 的 機 関 保 有 の 環 境1青報 に関 す る開 示 制 度 が 整 備 され て い るの で あ る。 な お,イ ギ リスの2004年 規 則 は,公 的 機 関 の 保 有 す る あ らゆ る性 質 の 情 報 に 適 用 され るわ が 国 の 制 度 と は異 な り,「環 境 情 報 」の 開 示 にの み 焦 点 を 当て て い る点 に特 徴 が あ る。 そ れ で は イ ギ リス に お け る環 境 情 報 公 開 制 度 の1つ. と して 用 い られ る. 2004年 環 境 情 報 規 則 と は どの よ うな もの な の で あ ろ うか 。 ま た,市 民 は 同 規 則 の 下 で どの よ う に環 境1青報 を 入 手 す る こ とが で き るの で あ ろ うか 。 さ らに,イ ギ リスで す で に導 入 され て い た公 的 登 録 簿 に代 表 され る 「情 報 提 供 」 制 度 との 関 係 は どの よ うな もの な の で あ ろ うか 。 本 稿 は,イ ギ リス に お け る公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 の 開 示 制 度 につ いて,そ の 歴 史 的 展 開. q4)EnvironmentalInformationRegulation2004. 486.

(7) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. や 現 行 制 度 の 詳 細 を 検 討 し,わ が 国 の 制 度 に対 す る示 唆 を 与 え よ う と した もの で あ る。 第1章 で は,2004年. 環 境 情 報 規 則 につ いて 検 討 す る前 提 と して,同 規 則. 制 定 以 前 の イギ リス に お け る環 境 情 報 開 示 制 度 の 実 態 を,国 際 的 動 向 を 踏 まえ な が ら考 察 す る。 その 後,第2章. で は,現 在 の イギ リス にお いて 環 境. 情 報 に関 す る開 示 請 求 の 根 拠 とな る2004年 環 境 情 報 規 則 の 規 定 す る開 示 シ ス テ ム につ いて,第3章. で は,開 示 請 求 が 行 わ れ た 情 報 の 開 示 ・不 開 示 の. 基 準 につ いて,そ れ ぞ れ2004年 規 則 の 規 定 と情 報 審 判 所 の 判 断 を 分 析,検 討 した 上,第4章. で 同制 度 の 意 義 の 提 示 及 び わ が 国 の 制 度 との 比 較 を 行. う。. 第1章. 環 境 情 報 開 示 に 関 す る イ ギ リス の 動 向. 20世 紀 中頃 か ら21世 紀 初 頭,オ. ー フ ス条 約 の 批 准 な ど国 際 的 な 動 向 を 受. け,イ ギ リスで は,公 的 機 関 が 市 民 の 請 求 を 受 けて 環 境 情 報 を 開 示 す る よ うな 「情 報 開 示 」 制 度 が 導 入 され る こ と とな っ た。 これ に よ り,市 民 に よ る環 境 情 報 へ の ア ク セ スが これ ま で 以 上 に格 段 に広 く認 め られ る よ う に な っ たの で あ る。 イギ リス に お け る環 境 情 報 開 示 制 度 の 確 立 につ いて はEUな. ど国 際 的 な. 動 向 が 密 接 に関 係 して い る た め,本 章 で は国 際 的 な 動 向 を 踏 まえ た 上 で イ ギ リス に お け る 「情 報 開 示 」 制 度 につ いて 考 察 す る。. 第1節90/313/EEC指 (1)90/313/EEC指 ECは1970年. 令 及 び1992年 令. 代 以 降,環. mentalActionProgramme)」. 環境情報規則. 境 政 策 に 関 す る 計 画 を 「環 境 行 動 計 画(Environと し て 提 示 し て お り,環. 487. 境 情報 の開示 は.

(8) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. 1973年 の 「第1次 環 境 行 動 計 画 」 の 策 定 以 来 重 要 な 課 題 で あ る と され て い た⑮。 しか しな が ら,実 際 に環 境 情 報 開示 に 関 す る一 般 的 な法 的措 置 が 採 られ た の は1987年 の 「第4次 環 境 行 動 計 画 」 の 策 定 以 降 で あ った 。ECは この 「第4次 環 境 行 動 計 画 」 に基 づ き,環 境 情 報 開 示 に関 す る全10条 か ら 構 成 さ れ る 「環 境 情 報 へ の ア ク セ ス の 自 由 に 関 す る 指 令(以 90/313/EEC指. 下,. 令)」(1④ を定 め た の で あ る。 同 指令 は 情報 へ の ア クセ ス権 の. 促 進 を意 図 して 策 定 され た包 括 的 な 規 定 で あ っ たが,現 実 的 か つ 具 体 的 な 要 求 は何 ら課 して お らず,制 度 の 策 定 を 全 て 加 盟 国 の 裁 量 に委 ね る と い う 性 質 を持 つ もの で あ っ た⑰。 しか しな が ら,同 指 令 は,「 少 な くと もECが 各 加 盟 国 に対 して 環 境 基 準 に従 い活 動 す る よ う圧 力 を か け る た めの 手 段 の 1つ とな っ た」⑱ と い う点 か ら高 く評 価 さ れ て い る。 90/313/EEC指. 令 の 目的 は,「 公 的機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 へ の ア クセ. ス及 び その 普 及 の 自 由を 保 証 し,基 本 用 語 や,そ れ らの 情 報 が 利 用 可 能 と な る た め の 条 件 を設 計 す る もの」⑲ で あ り,さ らに 同 指 令 は各 加 盟 国 に対 して,「 自然 人 あ る い は法 人 か らの請 求 に よ って,請 求 者 が 利 害 関 係 の 証 明 をす る こ とな く,公 的 機 関 が 保 有 す る環 境 情 報 を 開 示 す る こ との で き る よ うな 制 度 を 確 保 す る」⑳ よ う要 求 して い た。 その よ うな 中,90/313/EEC指. 令 は,公 的 機 関 が 開 示 す べ き 「環 境 情 報 」. ⑮StuartBell&DonaldMcGillivray,EnvironmentalLaw,7thed., (OxfordUniversityPress,2008)p.299. q6>CouncilDirective90/313/EECof7June19900nthefreedomof accesstoinformationontheenvironment ⑰StuartBell&DonaldMcGillivray,op.cit.,p.299. q⑳DanielWilsher,"FreedomofEnvironmentalInformation:Recent DevelopmentsandFutureProspects"[2001]7EuropeanPublicLaw 671. q9>CouncilDirective90/313/EEC,Art.1. ⑳Ibid.,Art.3(1).. 488.

(9) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則 の 定 義 に つ い て 「水,大. 気,土. 壌,動. ま た こ れ ら に 悪 影 響 を 与 え る か,与 害 を 生 じ さ せ る も の を 含 む)や. 物,植. 物,土. 地 及 び 自然 地 域 の 状 態,. え る お そ れ の あ る 活 動(騒. 措 置,ま. 音 の よ うな. た は行 政 活 動 や 環 境 管 理 計 画 を 含. む こ れ らを 保 護 す る た め の 活 動 や 措 置 に 関 す る 文 書,画. 像,音. 声 あるいは. デ ー タ ベ ー ス の 形 態 に よ り利 用 可 能 な 情 報 を い う」⑫1)と規 定 し て い る 。 さ ら に 「公 的 機 関 」 の 定 義 に つ い て は,「 司 法 あ る い は 立 法 権 限 に よ り 活 動 を 行 う 団 体 を 除 く,環. 境 に 関 す る 責 任 を 有 し情 報 を 保 有 す る 国 家 レベ ル,. 地 域 レベ ル の あ ら ゆ る 行 政 機 関 を い う 」四 と 定 め て い る 。 90/313/EEC指. 令 は 原則 と して 公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 の 開 示 を 促. 進 して い る が,そ. の 中 で 例 外 も 規 定 し て い る 。 そ れ に よ る と,「(a):公. 的機. 関 に よ る 手 続 の 秘 密 性 や 国 際 関 係 及 び 国 防 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」,「(b): 市 民 の 安 全 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」,「(c):訴 訟 審 理 中 の 事 柄 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」,「(d):知 的 所 有 権 を 含 む 商 業 的 秘 密 性 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」, 「(e):個 人 デ ー タ の 秘 密 性 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」,「(f):法 的 義 務 に よ ら ず に 情 報 を 提 供 し た 第 三 者 の 利 益 に 悪 影 響 を 与 え る 情 報 」,「(9):環 境 に 対 して 損 害 を 与 え る 情 報 」,「(h):未 完 成 の 文 書 や デ ー タ あ る い は 内 部 伝 達 事 項 」,「(i):開 示 請 求 が 明 白 に 不 合 理 な 場 合 や 開 示 の 対 象 が 特 定 さ れ て い な い よ う な 場 合 」に 関 し て は,各 加 盟 国 は そ れ ら の 開 示 を 拒 否 す る こ と が 「で き る(may)」. よ う に す る べ き で あ る と さ れ る ㈱。. 90/313/EEC指. 令 は こ れ ら の 定 義 や 例 外 規 定 を 置 い て い た が,欧. 州司法. 裁 判 所 は 環 境 情 報 が 不 開 示 と さ れ る 範 囲 は 可 能 な 限 り制 限 さ れ る べ き で あ る と 考 え て い た 。 こ の よ う な 姿 勢 が 示 さ れ た の がCaseC-321/96WilhelmMecklenburgv.KreisPinneberg-DerLandra轡 (21)Ibid.,Art.2(1)(a). ⑳Ibid.,Art.2(1)(b). ⑳Ibid.,Art.3. ⑳[1998]ECR1-3809.. 489. で あ る 。 本 事 案 は,.

(10) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. ドイ ツ 国 民 で あ るWilhelmMecklenburgが,90/313/EEC指. 令 に基 づ. き㈱,1993年 に ドイ ツ の ピ ンネ ベ ル ク郡 に 対 して 道 路 建 設 時 の 自然 保 護 に 関 す る地 方 公 共 団 体 の 意 見 を 示 した文 書 の 複 写 の 開 示 を 求 め た こ と に対 し て,当 該 情 報 が 「環 境 情 報 」 に は該 当 しな い こ とを 理 由 に開 示 を 拒 否 され た と い う もの で あ る。 これ につ い て,欧 州 司 法 裁 判 所 は,「 環 境 情 報 」 と い う概 念 は幅 広 い もの で あ り,道 路 建 設 に関 す る決 定 に影 響 を 与 え るで あ ろ う文 書 も そ こ に含 まれ る と して 「環 境 情 報 」 の 概 念 を 広 く解 釈 した。 こ の こ とか らも,環 境 情 報 の 開 示 ・不 開 示 の 基 準 につ いて,欧 州 司 法 裁 判 所 は,不 開 示 と い う例 外 は限 定 され るべ きで あ り,同 指 令 の 目的 に従 い,原 則 と して 環 境 情 報 を 広 く開 示 す べ きで あ る と考 え て い る⑳。 さ らに90/313/EEC指 だ け迅 速 に,遅. 令 に よ る と,開 示 請 求 を 受 け た公 的 機 関 はで き る. くと も2カ 月 以 内 に何 らか の 回 答 を しな けれ ばな らず,開. 示 を拒 否 す る 場 合 に は そ の理 由 を示 さな けれ ば な らな い⑳。 ま た,同 指 令 は,開 示 請 求 が 不 合 理 に拒 否 され た あ る い は不 適 当な 回 答 を 受 け た と考 え る請 求 者 につ いて,国. 内法 に従 って 司 法 あ る い は行 政 に よ る審 査 を 求 め る. こ とが で き る よ う にす べ きで あ る と規 定 して い る㈱。. (2)1992年. 環境情報規則. 90/313/EEC指. 令 を 受 けて,イ ギ リス国 内で は1992年 環 境 情 報 規 則 ⑳ が. 制 定 され た。 これ は イギ リス に お いて 導 入 され た初 めて の 環 境1青報 開 示 制. ⑳. ド イ ツ で は,90/313/EEC指 れ た の は1994年. 令 を 受 けて 環 境 情 報 開 示 に関 す る法 律 が 制 定 さ. で あ っ た た め,本. 事 案 に お い て原 告 は 同 指令 に 基 づ い て 情 報 開. 示 請 求 を 行 って いた 。 ⑳SeeStuartBell&DonaldMcGillivray,op.cit.,p.299. (27)CouncilDirective90/313/EEC,Art.3(4). (2∂Ibid.,Art.4. ⑳EnvironmentalInformationRegulations1992. 490.

(11) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 度 で あ り,1985年. に導 入 され て い た環 境 情 報 提 供 制 度 で あ る公 的 登 録 簿 と. 共 に,公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 へ の 市 民 に よ る ア クセ スを 促 進 す る も の で あ る。 1992年 規 則 は,公 的 機 関 の 義 務 と して,「本 規 則 が 適 用 され る よ うな 情 報 を 保 有 す る関 係 者 は,本 規 則 の 規 定 に従 い,請 求 す る全 て の 者 に対 して 情 報 を 開 示 しな けれ ばな らな い」⑳ と規 定 して い る。 1992年 規 則 に よ る と,先 述 の 「本 規 則 が 適 用 され る よ うな 情 報 」 と は, 「(a):水あ る い は大 気 の状 態,植 物 あ る い は動 物 の 状 態,土 壌 の状 態,自 然 地 域 あ る い は その 他 の 土 地 の 状 態,(b):(a)に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼ す か,及 ぼす お それ の あ る活 動(騒 音 や 他 の 害 を 生 じさせ る よ うな もの も含 む)や 措 置,(c):(a)を 保 護 す る た め に計 画 され た活 動 や 措 置(環 境 管 理 計 画 を 含 む)に 関 す る情 報 」⑳ の こ とを指 し,こ こで の 「情 報 」 とは,登 録 簿,報 告 書 な ど の記 録 に 含 まれ る よ うな あ らゆ る も の を い う勧。 さ ら に 「関 係 者 」 と は,環 境 に関 す る責 任 を 有 す る大 臣,政 府 省 庁,地 方 公 共 団 体,そ の 他 国 家 レベ ル,地 域 レベ ル で 環 境 に関 す る責 任 を 有 した 公 的 な 役 割 を 有 す る 全 て の 者 を 指 す 欝。 そ して 「関 係 者 」 は,市 民 に よ る開 示 請 求 が あ った 場 合,(a)で き るだ け 迅 速 に,(b)遅 くと も2カ 月 以 内 に回 答 しな けれ ばな らず,(c)開 示 を 拒 否 す る場 合 に は文 書 に よ って その 理 由を 示 さな けれ ばな らな い劔。 こ の よ う に1992年 規 則 は90/313/EEC指. 令 の 規 定 とほ ぼ 同様 の もの で. あ る と言 え るが,そ こ に は差 異 も存 在 す る。 例 え ば,90/313/EEC指. 令 が,. 情 報 開 示 の 請 求 が あ る場 合 に は「請 求 者 が利 害 関係 の証 明 を す る こ とな く」 (3①Ibid.,reg.3(1). (31)Ibid.,reg.2(2). (32>Ibid.,reg.2(4). (331bid.,reg.2(3). (34)Ibid.,reg.3(2).. 491.

(12) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. 公 的 機 関 が 環 境1青報 を 開 示 す る こ と の で き る よ う な 制 度 を 整 備 す る よ う 要 求 して い る 一一 方 で,1992年. 規 則 は 同 様 の 文 言 を 規 定 して い な い 。 こ の 文 言. は 開 示 請 求 者 の 権 利 を 強 調 し た も の で あ り,請. 求 者 が い た ず らで 開 示 請 求. を 行 っ て い る と い う こ と を 理 由 に 公 的 機 関 が 開 示 を 遅 延 し た り,拒. 否 した. りす る こ と を 避 け る と い う 意 味 で 重 要 な も の だ と 考 え ら れ て い る ㈹ が,同 規 則 は この 文 言 を 条 文 に組 み 入 れ な か っ たの で あ る。 ま た,1992年. 規 則 と90/313/EEC指. 令 の 間 に は,公. 的機関が情報開示を. 拒 否 す る こ と の で き る 例 外 規 定 に も 差 異 が 存 在 す る 。1992年 国 際 関 係,国. 防,市. 規 則 は,「(a):. 民 の 安 全 に 対 して 影 響 を 与 え る よ う な 事 柄 に 関 係 す る. 情 報 」,「(b):訴 訟 手 続 に 関 係 す る 情 報 」,「(c):公 的 機 関 に よ る 手 続 の 秘 密 性,あ. る い は 内 部 伝 達 事 項 に 関 係 す る 情 報 」,「(d):未 完 成 の 文 書 や 記 録 を. 含 む 情 報 」,「(e):商 業 的 ・産 業 的 秘 密 性 あ る い は 知 的 財 産 に 関 係 す る 情 報 」 を そ れ ぞ れ 秘 密 情 報 と し て 「扱 う こ と が で き る(capable)」 て お り鮒,さ. と規 定 し. ら に,「(f):情. 報 開 示 が 法 規 則 に 反 す る 場 合 」,「(9):情 報 が 個. 人 デ ー タ を 含 ん で お り,開. 示 の 同 意 が な い 場 合 」,「(h):情 報 の 提 供 が 法 的. 義 務 に よ らず,自. 発 的 に 行 わ れ た 場 合 」,「(i):情 報 開 示 が 環 境 に 対 して 損. 害 を 与 え る で あ ろ う 場 合 」 に は,そ ば な らな い(must)」. の 情 報 を 秘 密 情 報 と して. 「扱 わ な け れ. と 規 定 して い る⑳。 つ ま り,上 記(a)か ら(e)の情 報 に は,. 開 示 す る か ど う か を 判 断 す る 裁 量 が 公 的 機 関 に 委 ね られ て お り,(f)か に 関 して は,た. ら(i). と え そ れ が 市 民 に 対 して 何 らか の 意 味 で 重 要 で あ っ た と し. て も 開 示 す る こ と は で き な い の で あ る ㊨a。90/313/EEC指 示 を拒 否 す る こ との. 令 が環 境 情 報 開. 「で き る 」 場 合 の み を 規 定 して い る こ と か ら も,1992. ㈲DanielWilsher,op.cit.,[2001]7EuropeanPublicLaw,p.677. ㈹EnvironmentalInformationRegulations1992,reg.4(2). (37)Ibid.,reg.4(3). G⑳DanielWilsher,op.cit.,[2001]7EuropeanPublicLaw,p.678.. 492.

(13) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 年 規 則 が 不 開 示 の 可 能 性 を 高 めて い る と い う点 で 大 きな 違 いが あ る。 さ らに1992年 規 則 は90/313/EEC指. 令 と異 な り,情 報 の 開 示 が 拒 否 され. た場 合 の審 査 請 求 につ いて 何 ら規 定 を 置 い て い な い働。 こ れ らの 点 を 見 て も,1992年 規 則 は90/313/EEC指. 令 に比 べ て 開 示 が 拒 否 され る可 能 性 が 高. くな って お り,市 民 の 視 点 か ら見 る と,イ ギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 制 度 の 構 築 が この 段 階 で は不 十 分 で あ っ た こ とが 分 か る。 その 後,イ ギ リスで は,1992年. 規 則 の 定 め る例 外 規 定 を 修 正 した1998年. 環 境 情 報(修 正)規 則 ㈹ が 制 定 され た 。1998年 規 則 は1992年 規 則 の 例 外 規 定 につ いて,(a)か ら(e)の定 め る 「関 係 す る情 報 」 と い う文 言 を 「影 響 を 及 ぼす 情 報 」 へ と変 更 す る こ と に よ り,90/313/EEC指. 令 の 意 図 を 正 確 に反. 映 して い る。 つ ま り1992年 規 則 の 下 で は,条 文 に定 め られ た よ うな 性 質 を 持 つ あ らゆ る情 報 が 不 開 示 と され る可 能 性 が あ るの に対 して,1998年. 規則. の 下 で は,そ れ が 関 係 す る利 益 に影 響 を 及 ぼす か ど うか の 判 断 を 行 った 上 で,何. らか の 影 響 を 及 ぼす 場 合 にの み 不 開 示 と され る こ と とな った の で あ. る。 この こ とか ら,1998年 規 則 は1992年 規 則 と比 較 して も,環 境 情 報 の 不 開 示 の 範 囲 を 限 定 して い る と言 う こ とが で き る。 1992年 規 則 及 び1998年 規 則 は,環 境 情 報 開 示 制 度 につ いて 包 括 的 に定 め た最 初 の 規 定 で あ り,こ の 時 点 で イギ リス に は 「環 境 情 報 」 以 外 の 公 的 機 関 保 有 情 報 を 対 象 に した一般 的 な 情 報 公 開 法 規 が 制 定 され て いな か った こ とか ら,「環 境 情 報 」に特 化 した開 示 制 度 が それ よ りも早 い段 階 か ら存 在 し て い た こ と とな るω。. ㈹. こ の よ う な 規 定 が な い に もか か わ らず,市. 民 が情 報 の 不 開 示 決 定 に 対 して 司. 法 審 査 を 請 求 す る こ と は 可 能 で あ る と 考 え ら れ て い る 。SeeSusanWolf& NeilStanley,EnvironmentalLaw4thed.,(CavendishPublishing Ltd.,2003),p.476. ωEnvironmentalInformation(Amendment)Regulations1998 ql)田. 中嘉彦. 「英 国 に お け る 情 報 公 開 一2000年. 493. 情 報 自 由 法 の 制 定 と そ の 意 義 一 」/.

(14) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. (3)90/313/EEC指 ECで. 令 と1992年 環 境 情 報 規 則 の欠 点. 制 定 さ れ た90/313/EEC指. 令及 びイ ギ リスにお いて制定 された. 1992年 環 境 情 報 規 則 に よ り,市 民 に よ る開 示 請 求 に基 づ く環 境 情 報 開 示 制 度 は急 速 な 進 歩 を 遂 げ た。 しか し,こ れ らの 規 定 に は以 下 の よ うな 欠 点 が あ る と指 摘 され て い た。 第1に,90/313/EEC指. 令及 び1992年 規 則 は 「環 境 に関 す る責 任 」 を 有. す る 「公 的 機 関 」 の 保 有 す る情 報 に適 用 され る と規 定 して い るが,こ れ ら の 文 言 の 定 義 が 不 明 確 で あ る と批 判 され る働。 例 え ば,「 公 的 機 関」 で あ る と も 「環 境 に関 す る責 任 」 を 有 して い る と も言 え な い よ うな 例 え ば公 的 責 任 を有 す る民 営 化 され た機 関 に対 して これ らの 規 定 が 適 用 され るか ど うか と い っ た議 論 を 引 き起 こす こ と にな るか らで あ る。 これ につ いて,こ. こに. は「環 境 に 関す る責 任 」を 有 す る民 営 化 され た水 道 会 社 な ど も含 ん で 考 え る べ きで あ る と主 張 す る学 説 も あ る⑬。 第2に,90/313/EEC指. 令及 び1992年 規 則 の 定 め る 「環 境 情 報 」 の 定 義. はか な り広 範 囲 にわ た って い る もの の,あ. る一一 定 の 領 域 につ いて は それ に. 該 当す るか ど うか が 不 明 確 で あ る と い う こ とが 指 摘 され て い る。 人 間 の 健 康 へ の 影 響 に関 す る情 報 や,何. らか の 計 画 を 正 当化 す る た め に用 い られ る. 経 済 分 析 に関 す る情 報 な どが 「環 境 情 報 」 に該 当す るの か につ いて の 明 確 な 規 定 が 存 在 して いな い こ とが その 理 由で あ る幽。 第3に,こ. れ らの 規 定 は,市 民 に よ る開 示 請 求 を 受 け た公 的 機 関 が 情 報. の 開 示 を 拒 否 す る こ との で き る いわ ゆ る例 外 規 定 を 置 いて い るが,そ の 範 囲 が 広 す ぎ る と批 判 され る㈲。 こ れ らの 規 定 の 下 で は,例 え ば現 在 の よ う \ 外 国 の 立 法216号(2003年)5頁. 参 照 。. 幽StuartBell&DonaldMcGillivray,op.cit.,p.300. ⑬SeeSusanWolf&NeilStanley,op.cit.,p.474. ωStuartBell&DonaldMcGillivray,op.cit.,p.300. ㈹Ibid.. 494.

(15) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. に公 的 機 関 が 情 報 の 開 示 を 認 め るか を 判 断 す る際 に,公 益 性 を 検 討 す る必 要 が な い。 つ ま り,開 示 請 求 され た情 報 が これ らの 例 外 規 定 に該 当 して い れ ば,た とえ 開 示 が 公 益 に適 って い た と して も,公 的 機 関 は容 易 に不 開 示 とす る こ とが で き るの で あ る。 第4に,情. 報 の 開 示 が 拒 否 さ れ た 場 合 の 救 済 手 段 と して,90/313/EEC. 指 令 が 規 定 す る司 法 あ る い は行 政 に よ る審 査 だ けで は不 十 分 で あ る と され る㈹。 ま た,イ ギ リス は もち ろん,多 くのEC加. 盟 国 にお いて も,こ れ らの. 手 段 は審 査 を 求 め る者 に と って 煩 雑 で 費 用 の か か る もの で あ る と批 判 され て お り,ま た,司 法 審 査 は公 的 機 関 の 行 っ た開 示 拒 否 決 定 の 適 法 性 の み を 判 断 す る もの で あ る た め,市 民 か らの 請 求 につ いて 再 び検 討 す る よ うな も の で は な い 点 も指 摘 され て い る㈲。 さ ら に,1992年. 規 則 は救 済 に 関 す る規. 定 を 一切 置 いて いな い。 先 述 した よ う に,不 開 示 決 定 につ いて は司 法 審 査 が 認 め られ る余 地 は あ る もの の,何. ら明 文 の 規 定 を 置 いて いな い こ と につ. いて は批 判 され るべ き もの で あ ろ う。 第5に,90/313/EEC指. 令 及 び1992年 規 則 は 公 的 機 関 に対 して2カ 月 以. 内 に 「回 答 」 す る 旨を 規 定 して い るが,こ の 文 言 に従 う と,公 的 機 関 は開 示 請 求 に ただ 何 らか の 「回 答 」 を す るだ け にな り,実 際 にそ の 期 間 内 に情 報 を 開 示 しな くて も よ い と考 え られ る姻。 最 後 に,90/313/EEC指. 令 は 公 的機 関 に対 して 市 民 に よ る請 求 に基 づ い. た情 報 開 示 の 義 務 の み を 課 して お り,「情 報 提 供 」制 度 につ いて は具 体 的 な 規 定 を 置 いて いな い た め,公 的 機 関 に よ る受 動 的 な もの に過 ぎな い と批 判 され る㈹。1992年 規 則 も同 様 で あ る が,イ ギ リス に は個 別 法 に よ って 導 入. ㈹Ibid. ⑳SusanWolf&NeilStanley,op.cit.,p.476. ㈹Ibid. qgIbid.. 495.

(16) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. され て い る公 的 登 録 簿 を は じめ とす る公 的 機 関 に よ る能 動 的 な 「情 報 提 供 」 制 度 が存 在 して お り,ECレ. ベ ル と比 較 す る と,よ. り広 い範 囲 で の 情 報 の. 提 供 が 実 現 され て い た と言 え よ う。. 第2節 (1)オ. オー フ ス条 約 及 び2003/4/EC指. 令. ー フ ス条 約. 1998年,環. 境 保 護 を 目的 と した市 民 参 加 を 促 進 す る た め にオ ー フ ス条 約. が 採 択 され た。 先 述 した よ う に,同 条 約 は,「① 環 境 に関 す る情 報 へ の ア ク セ ス権 」,「② 環 境 政 策 決 定 へ の 市 民 の 参 加 権 」,「③ 環 境 問 題 に関 す る司 法 へ の ア クセ ス権 」 と い う3つ の 権 利 を あ らゆ る人 に保 障 す る こ とを 目的 と す る 旨を 定 めて お り,締 結 国 が それ ぞ れ の 国 内で これ ら3本 柱 を 促 進 す る た めの 制 度 を 構 築 す る よ う要 求 して い る。 第1の 柱 で あ る 「環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ ス権 」 につ いて,オ ス条 約4条1項. ーフ. は,「各 締 結 国 は,国 内法 の枠 組 み に お い て,… … 公 的 機 関. が,環 境 情 報 の 開 示 請 求 に応 じて,市 民 が 当該 情 報 を 入 手 す る こ とが で き る よ う確 保 しな け れ ば な らな い」6① と規 定 して い る。 同 項 に よ る と,「(市 民 は開 示 につ いて の)利 害 関 係 を 示 す 必 要 はな い」6Dとされ て お り,さ らに 「公 的 機 関 が 他 の形 式 で 情 報 を公 開 す る方 が適 切 で あ る場 合 や … …,情 報 が 既 に他 の 形 式 で 公 開 され て い る場 合 」勧 に は公 的機 関 が 情 報 を 開示 す る 義 務 はな い と され て い る。 ま た,同 条 に は,公 的 機 関 は開 示 請 求 が 提 出 さ れ て か らで き るだ け迅 速 に,遅. くと も1ケ 月 以 内 に情 報 を 利 用 可 能 に しな. けれ ばな らな い 旨の 規 定 や,公 的 機 関 が 開 示 を 拒 否 す る こ との で き る例 外 ⑳UN/ECEConventiononAccesstoInformation,PublicParticipationinDecisionMakingandAccesstoJustice,Aahus,1998.,Art.4 (1). (5DIbid.,Art.4(1)(a). (521bid.,Art.4(1)(b).. 496.

(17) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 規 定,開 示 され る場 合 に請 求 者 が 支 払 うべ き手 数 料 な ど につ いて も詳 細 に 定 め られ て い る。 ま たオ ー フ ス条 約 は,市 民 か らの 開 示 請 求 が な くて も,公 的 機 関 が 環 境 情 報 を 収 集,保 有,普 及 す る よ うな 制 度 を 確 保 す る よ う義 務 付 けて お り, 具 体 的 に は5条2項. が 「各 締 約 国 が,国. 内法 の 枠 組 み にお いて,公 的 機 関. が 環 境1青報 を 市 民 に利 用 可 能 とす る手 段 の 透 明 性 の 向 上,お. よ び環 境 情 報. へ の効 果 的 な ア ク セ ス を 確 保 しな け れ ば な らな い」⑬ と規 定 して い る。 イ ギ リス で は,先 述 した よ う に,「 情 報 提 供 」 制 度 と して の 公 的 登 録 簿 が 充 実 して い た こ とか ら,こ の 点 に関 して は,オ ー フ ス条 約 に先 ん じて 既 に実 現 され て い た と言 え よ う。 それ で は,オ ー フ ス条 約 の 促 進 して い る市 民 参 加 と い う もの が 環 境 保 護 に対 して どの よ うな 意 義 を 持 つ の で あ ろ うか 。 学 説 は以 下 の 点 を 挙 げて い る。 第1に,市. 民 参 加 は公 的 機 関 に よ る環 境 に関 す る決 定 の 質 を 改 善 す る. と され る。 オ ー フ ス条 約 の 前 文 は 「ア クセ スの 改 善 や 政 策 決 定 へ の 市 民 参 加 は,決 定 の 質 を 高 め る」 と示 す こ と に よ り,環 境 保 護 の た めの 市 民 参 加 の 役 割 を 強 調 して お り,こ れ は市 民 や 環 境 保 護 団 体 な どの 有 す る専 門 知 識 や 価 値 観 を 公 的 機 関 に よ る決 定 等 に反 映 す る こ と に よ って 達 成 され るの で あ る融。 第2に,市. 民 参 加 は規 制 当局 に よ る手 続 を 改 善 す る。 公 的機 関 の. 決 定 に対 す る市 民 の 関 与 の 拡 大,環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ スの 促 進, 司 法 的 な 手 段 を 通 じた事 後 的 な 審 査 制 度 の 充 実 は,環 境 に関 す る政 策 決 定 者 の 責 任 を 増 加 させ る こ と につ な が り,さ らに市 民 の 監 視 の 下 で 公 的 機 関 の 手 続 の正 当性 を 高 め る こ とに つ な が る と され る㈲。 第3に,市. (531bid.,Art.5(2). 励MariaLeeandCarolynAbbot,"TheUsualSuspects?Public ParticipationUndertheAarhusConvention"[2003]M.LR.82. (55>Ibid.,p。83.. 497. 民参 加 は.

(18) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. 「環 境 市 民 権 」の促 進 につ な が る6⑤ 。StuartBell&DonaldMcGillivrayに よ る と,「 環 境 市 民 権 」 とは,市 民 個 人 が環 境 と の相 互 作 用 に責 任 を 有 す るべ きで あ る と い う考 え に基 づ い た権 利 で あ り,環 境 保 護 を 目的 と した市 民 参 加 は,こ の よ うな 「環 境 市 民 権 」 の 促 進 の た め に重 大 な 意 味 を 持 つ と 考 え られ る㈱。 つ ま り,環 境 政 策 決 定 に お い て 市 民 に対 して積 極 的 な 役 割 を担 わ せ た り,情 報 へ の ア クセ スを 広 く認 め る こ と に よ って 環 境 問 題 につ いて の 認 識 を 高 め た りす る こ とが 「環 境 市 民 権 」 の 促 進 の 中心 とな るの で あ る。 そ して 最 後 に,市 民 参 加 は,全 て の者 が 担 う環 境 問題 に つ い て の 「共 同責 任 」を果 たす の に役 立 つ ⑬。 我 々 が直 面 して い る環 境 問題 は,あ る特 定 の 者 だ けで はな く,一 般 市 民 を 含 む 様 々な 利 害 関 係 者 に よ る協 力 を 通 じて 扱 わ れ るべ き もの で あ り,あ らゆ る人 が 環 境 につ いて の 責 任 を 有 して い る の で あ る。 オ ー フ ス条 約 は,第4条 の 促 進 を,第5条. に お いて 市 民 の 請 求 に基 づ く 「情 報 開 示 」 制 度. に お いて 公 的 機 関 に よ る能 動 的 な 「情 報 提 供 」 制 度 の 促. 進 を それ ぞ れ 要 求 して お り,こ れ らの 制 度 を 両 面 か ら構 築 す る こ と に よ っ て,「 環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ ス権 」 が 保 障 され,上 述 した よ うな 環 境 保 護 の た めの 市 民 参 加 が 実 現 す るの で あ る。. (2)2003/4/EC指. 令. イ ギ リ ス と 同 様 に,EUも2005年 れ に 先 立 ち,オ. に オ ー フ ス 条 約 を 批 准 し た 。EUは. ー フ ス 条 約 の 柱 の1つ. こ. で あ る 「環 境 に 関 す る 情 報 へ の ア ク. セ ス 権 」 の 促 進 を 行 う た め に,様. 々な 欠 点 が あ る と指摘 され て い た. 90/313/EEC指. か ら 構 成 さ れ る2003/4/EC指. 令 に 替 え て,全13条. 6③StuartBell&DonaldMcGillivray,op.cit.,p.295. ⑳Ibid. ⑬Ibid.. 498. 令 を.

(19) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 2003年. に 定 め て い る㈲。 同 指 令 は オ ー フ ス 条 約 の 規 定 を 忠 実 に 反 映 し,そ. れ ま で 指 摘 さ れ て き た90/313/EEC指. 令 の欠 点 を補 完 しな が ら規 定 され. て い る 。 そ の た め,本 稿 で は,2003/4/EC指. 令 に つ い て,90/313/EEC指. 令 との 差 異 に焦 点 を 当て て 検 討 す る。 2003/4/EC指. 令 も90/313/EEC指. 令 と 同 様 に,市. 民 に よ る請 求 に基 づ. く 「公 的 機 関 」 の 保 有 す る 「環 境 情 報 」 の 開 示 に つ い て 定 め た 指 令 で あ る が,「 環 境 情 報 」 の 定 義 に つ い て は 以 前 よ り も 幅 広 く,さ し て い る。2003/4/EC指. ら に詳 細 に 規 定. 令 に よ る と,「 環 境 情 報 」 は,90/313/EEC指. の 定 め る よ う な 環 境 の 状 態,環. 境 へ の 排 出 物,環. 令. 境 につ いて の 政 策 や 計 画. に 関 す る 情 報 だ け で は な く,「 費 用 便 益 分 析 や そ の 他 の 経 済 分 析 に 関 す る 情 報 」㈹ や,環 境 要 素 を 通 じて 影 響 を 受 け る,あ. る い は受 け るお そ れ の あ る. 限 り に お い て は 「人 間 の 健 康 や 安 全 の 状 態 に 関 す る 情 報 」㊨1)も含 む と さ れ て い るの で あ る。 さ ら に,2003/4/EC指. 令 は 「公 的 機 関 」の 定 義 に つ い て も拡 大 し て い る 。. そ れ に よ る と,「 公 的 機 関 」 と は,「(a):国,地. 域 レベ ル で の 公 的 な 諮 問 団. 体 を 含 む 政 府 あ る い は そ の 他 の 行 政 機 関,(b):環 活 動,サ. ー ビ ス を 含 む,国. 内 法 の 下 で の 行 政 機 能 を 果 た して い る あ ら ゆ る. 自 然 人 も し く は 法 人,(c):(a)あ 人 に よ る 管 理 の 下 で,環. 境 に 関 す る 特 定 の 義 務,. る い は(b)の 範 囲 内 に 含 ま れ る 団 体 ま た は 個. 境 に 関 連 す る 公 的 責 任 や 機 能 を 有 す る,も. し くは. 公 共 サ ー ビ ス を 提 供 す る あ ら ゆ る 自 然 人 も し く は 法 人 」㈱ を い う 。 つ ま り, 90/313/EEC指. 令 が 明 文 で 規 定 し て い な か っ た 公 的 責 任 を 有 した 民 間 企 業. な ど も2003/4/EC指. ⑲2003/4/EC指 イ ツ2005年. 令 の 下 で は 「公 的 機 関 」 に 含 ま れ る と考 え られ る 。. 令 に つ い て は,大. 久保規子. 「オ ー フ ス 条 約 とEU環. 法 案 を 中 心 と して 一 」 環 境 と 公 害35巻3号(2006年)32頁. ㈹Directive2003/4/EC,Art.2(1)(e). ⑳Ibid.,Art.2(1)(f). ㈲Ibid.,Art.2(2).. 499. 境法 参照。. ド.

(20) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. ま た90/313/EEC指. 令 で は,開 示 請 求 を 受 け た公 的 機 関 は遅 くと も2ケ. 月 以 内 に 「回 答 」 しな け れ ば な らな い と定 め られ て い た が,2003/4/EC指 令 に よ る と,公 的 機 関 はで き るだ け迅 速 に,遅. くと も1ケ 月 以 内 に情 報 を. 「開示 」 しな け れ ば な らず,情 報 の 量 や 複 雑 さを 理 由 に その 期 限 を2ケ 月 に 延 長 す る こ と もで き るが,そ の 場 合 に は理 由を 申請 者 に通 知 しな けれ ばな らな い㈹。 これ に よ って 期 限 が短 縮 さ れ る と共 に,開 示 あ る い は不 開 示 の 「回 答 」 だ けで は な く,公 的 機 関 が 開示 決 定 を行 った 場 合 に は,期 間 内 に 実 際 に情 報 を 開 示 す る義 務 が 生 じるの で あ る。 ま た,同 指 令 は,公 的 機 関 は情 報 開 示 の 手 数 料 を 課 す こ とが で き る とす るが,そ れ は適 切 な 金 額 を 超 え るべ きで はな い と して い る㈹。 開 示 を 拒 否 す る こ と の で き る例 外 規 定 につ い て も,2003/4/EC指 90/313/EEC指. 令 の 欠 点 を 補 完 し て い る。2003/4/EC指. 令は. 令 に よ る と,. 「(a):請求 され た情 報 を 公 的 機 関 が 保 有 して い な い場 合 」,「(b):請 求 が 明 らか に適 切 で はな い場 合 」,「(c):開 示 請 求 され た情 報 の 詳 細 … … が 示 され て いな い場 合 」,「(d):未 完 成 の 文 書 や デ ー タの 請 求 」,「(e):内 部 伝 達 事 項 の 開 示 請 求 」 に関 して は,公 的機 関 は情 報 開示 を拒 否 す る こ とが で き る㈹。 さ らに,情 報 開示 が,「(a):法 律 に よ って 秘 密 が 定 め られ て い る よ うな 公 的 機 関 の 手 続 」,「(b):国 際 関 係,治 安,国 防 」,「(c):裁 判 の 進 行,公 平 な 裁 判 を 受 け る権 利,刑 事 上 ま た は 懲 戒 上 の 調 査 を 行 う公 的 機 関 の 権 利 」, 「(d):正当 な 経 済 的利 益 を 保 護 す るた め 国 内法 あ る い はEC法. に よ って 秘. 密 が 定 め られ て い る よ うな 商 業 情 報 や 産 業 情 報 の 秘 密 性 」,「(e):知 的 所 有 権 」,「(f):開 示 の 同意 が な い場 合 に お け る個 人 デ ー タの 秘 密 性 」,「(9):請 求 され た情 報 を 提 供 す る法 的 義 務 が な く,自 発 的 に情 報 を 提 供 した人 の 利. ㈹Ibid.,Art.3(2). 御Ibid.,Art.5(2). ㈲Ibid.,Art.4(1).. 500.

(21) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 益 」,「(h):希 少 生 物 の 生 息 地 の よ うな 情 報 に関 連 す る環 境 」 にそ れ ぞ れ 悪 影 響 を与 え る場 合 に は,公 的 機 関 は情 報 開 示 を 拒 否 す る こ とが で き る㈹。 こ の よ う に,2003/4/EC指. 令 は90/313/EEC指. 令 に比 べ て 情 報 開 示 を 拒. 否 す る こ との で き る状 況 を 拡 大 して い る よ う に見 え る。 しか しな が ら,こ れ ら2つ の 指 令 の 間 に は決 定 的 な 差 異 が あ り,2003/4/EC指. 令 は 「上 記 の. 開 示 拒 否 の 根 拠 は,個 々の 事 例 に お いて 開 示 が もた らす 公 益 性 を 考 慮 し, 制 限 的 な 方 法 で 解 釈 され な けれ ば な らな い。 つ ま りあ ら ゆ る事 例 に お い て,開 示 が も た らす 公 益 性 と,開 示 拒 否 が もた らす 利 益 を 比 較 しな けれ ば な らな い」㈹ と い う規 定 を 置 い て い る。 これ に よ って,公 的 機 関 が情 報 開 示 を 拒 否 す る場 合 に は,不 開 示 の 公 益 性 が 開 示 の 公 益 性 を 上 回 らな けれ ば な らな くな り,90/313/EEC指. 令 に比 べ る と,公 的 機 関 が 開 示 を 拒 否 す る. こ との で き る状 況 を 実 質 的 に限 定 して い るの で あ る。 ま た2003/4/EC指 90/313/EECの. 令 は 開示 が拒 否 され た場 合 に お け る救 済 手 段 と して,. 定 め る司法 あ るい は行 政 に よ る審 査 の み で はな く,迅 速 で. 安 価 な 審 査 制 度 を 設 け る よ う要 求 して い る㈱。 さ らに2003/4/EC指. 令 は,加 盟 国 に対 して,積 極 的 な 環 境 情 報 の 普 及 の. た め の措 置 を行 う よ う要 求 す る㈹。 つ ま り,同 指 令 は,市 民 か らの 開 示 請 求 に基 づ く環 境 情 報 開 示 だ けで はな く,公 的 機 関 に よ る能 動 的 な 「情 報 提 供 」 制 度 を 積 極 的 に構 築 す る こ と に よ って,環 境 情 報 の 公 開 を よ り効 果 的 に実 現 す る こ と を求 め て い るの で あ る。 この よ う に,2003/4/EC指 オ ー フ ス条 約 の 規 定 に基 づ き なが ら,90/313/EEC指. 令 の 欠 点 を 補 う形 で. 「環 境 に 関 す る情 報 へ の ア クセ ス権 」 の促 進 を行 って い る。. ㈹Ibid.,Art.4(2). ㈲Ibid. ㈹Ibid.,Art.6(1). ㈹Ibid.,Art.7(1).. 501. 令は.

(22) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. その 後,イ ギ リス は2005年2月24日. にオ ー フ ス条 約 を 批 准 した。 これ に. 先 立 ち,イ ギ リスで は1998年 環 境 情 報(修 正)規 則 に替 え て,2004年 情 報 規 則 を 制 定 す る。 これ は オ ー フ ス条 約 と2003/4/EC指. 環境. 令 の制 定 を 背. 景 に作 られ た もの で あ り,イ ギ リス国 内で 制 定 され て い た2000年 情 報 公 開 法 ⑩ を基 礎 と した もの で もあ る。 イ ギ リス に お け る公 的 機 関 の 保 有 す る環 境1青報 へ の 市 民 に よ る ア クセ ス の 歴 史 は,公 開 に消 極 的 な 産 業 革 命 の 時 代 か ら,公 的 登 録 簿 導 入 に よ る積 極 的 公 開 の 時 代 を 経 て,オ ー フ ス条 約 やEU指. 令 を 背 景 に制 定 され た2004. 年 環 境 情 報 規 則 に基 づ い た さ らな る積 極 的 公 開 の 時 代 へ と突 入 して い くこ と とな る。. 第3節2000年. 情報公開法. 先 述 し た よ う に,イ. ギ リ ス で は オ ー フ ス 条 約 の 批 准 に 先 立 ち,2004年. 境 情 報 規 則 が 制 定 さ れ た 。2004年. 規 則 は,オ. ー フ ス 条 約 と2003/4/EC指. 令 の 制 定 を 背 景 と して 作 られ た も の で あ り,2000年 て い る σ1)。 こ の2000年. 法 及 び2004年. 環. 情報公開法を基礎 と し. 規 則 は 共 に2005年1月1日. に全 面 的 に. 発 効 し た も の で あ る 。 本 節 で は,イ. ギ リ ス に お い て 市 民 が 環 境1青報 の 開 示. 請 求 を す る た め の 根 拠 と な る2004年. 規 則 を 検 討 す る 前 提 と して,そ. と な っ た2000年. の基礎. 情 報 公 開 法 に つ い て 考 察 す る ⑫。. ⑳FreedomofInformationAct2000 ⑳seeRoyW.Davis,"TheEnvironmentalInformationRegulation 2004:Limitingexceptions,wideningdefinitionsandIncreasing AccesstoInformation?"[2006]Env.L.R.51. (72)な. お,2000年. 情 報 公 開 法 に つ い て は わ が 国 で も 先 行 研 究 が 多 数 存 在 す る た め,. 本 稿 で は 概 略 の み を 紹 介 す る 。 詳 し くは,田. 中 ・前 掲 注ql)1頁. 以 下,木. 村 実 「イ. ギ リ ス に お け る 情 報 公 開 制 度 に つ い て 」東 洋 大 学 比 較 法39号(2002年)115頁. 以. 下,池. 村正道. 以. 下,宇. 賀 克 也 『情 報 公 開 法 ・情 報 公 開 条 例 」(有 斐 閣,2001年)107頁. 「イ ギ リ ス 情 報 公 開 法 序 説 」 日 本 法 学72巻2号(2006年)653頁. 502. 以下等参照。.

(23) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. (1)制 定 の 背 景 イギ リスで は元 来 か ら公 的 機 関 の 保 有 す る情 報 に関 して 秘 密 主 義 の 伝 統 が 強 く,情 報 の 公 開 につ いて は消 極 的 な 姿 勢 が 示 され て お り,そ の 中で, 1979年 か ら1990年 まで 続 い た 「サ ッチ ャ ー政 権 も,議 院 内閣 制 と情 報 公 開 法 と は相 いれ な い と い う姿 勢 を と って い た」⑬。 しか しな が ら,そ の よ うな サ ッチ ャー政 権下 に お いて も,1985年 地方 自治(情 報 ア クセ ス)法 ㈹ が 制 定 され た こ と に よ り,地 方 公 共 団 体 の 保 有 す る情 報 の 公 開 が 促 進 され る こ と とな る。 市 民 は 同法 の 下,カ. ウ ン シル や その 内部 の 委 員 会 の 会 議 に 出席 す. るだ けで な く,ア ジ ェ ン ダや 議 事 録,報 告 書 と い った 情 報 を 自 由 に入 手 す る こ とが で き,さ. らに適 切 な 時 間 で あれ ば無 料 で これ らの 情 報 を 閲 覧 し,. 手 数 料 を 支 払 え ば そ の 複 写 を 取 得 す る こ とが で き る よ う に な っ た の で あ る㈲。 そ の後,中 央 政 府 の 保 有 す る情 報 に 関 して も,メ ー ジ ャー政 権 下 に お け る 「市 民 憲 章 」 に よ り,行 政 サ ー ビスの 評 価 を 可 能 とす るた め に情 報 開 示 を 促 進 す る政 策 が 採 られ る㈹ な ど,イ ギ リスで は着 実 に公 的 機 関 の 保 有 す る情 報 の 公 開 が 進 め られ よ う と して い た。 その 後,1993年. の 労 働 党 に よ る情 報 公 開 法 案 の 提 出,1994年. へ の ア クセ ス に関 す る要 綱 の 実 施,1997年 関 す る 白書 の 公 表 な どを 経 て,2000年 1月1日. ㈱. の政府情報. の ブ レア政 権 下 で の 情 報 公 開 に. に は情 報 公 開 法 が 制 定 され,2005年. の施 行 を 迎 え た⑰。 先 述 した よ う に,す で に イ ギ リス で は1992年. 宇 賀 ・前 掲 注 ⑫107頁 参 照 。. ⑳LocalGovernment(AccesstoInformation)Act1985 ㈲. 林 ・前 掲 注qo)170頁 参 照 。. ㈹. 宇 賀 ・前 掲 注 ⑫107頁 参 照 。. ⑳. イギ リス にお け る情 報 公 開法 の制 定 に 向 け て の動 向 に つ い て は 先 行 研 究 が 多 数 存 在 す る た め,本 稿 で は概 略 的 な紹 介 に と どめ た。 な お,先 行 研 究 と して は 主 に以 下 の もの が 挙 げ られ る。 安 藤 高 行 「イギ リス情 報 公 開 最 近 二 題(上)一 「開 か れ た 政 府 』 に関 す る 白書 とそ の 実 行 」法 政 研 究63巻1号(1996年)115頁. 以 下,. 吉 井 秀 樹 「イギ リス に お け る情 報 公 開へ 向 け て の最 近 の 動 向 に つ い て 」 石 村 善/. 503.

(24) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. 環 境 情 報 規 則 が 公 的機 関 の保 有 す る 環 境 情 報 の 開 示 に つ い て 規 定 して お り,こ れ よ り10年 ほ ど遅 れ て 情 報 公 開 に関 す る一般 法 が 制 定 され た こ と と な る。. (2)2000年. 情報公開法の規定. (a)開 示 原 則 2000年 情 報 公 開 法 は,そ の 原則 と して,「公 的 機 関 に対 して 情 報 の 開 示 を 請 求 す る いか な る者 も,(a):公. 的 機 関 が 当該 請 求 に明 記 され た情 報 を 保 有. して い るか ど うか につ いて,そ の 公 的 機 関 か ら書 面 で 通 知 を 受 け,(b):公 的 機 関 が それ を 保 有 して い る場 合 に は,そ の 情 報 の 提 供 を 受 け る権 利 を 有 す る」㈹ と規 定 す る。 情 報 の 開示 請 求 は 書 面 で 行 う こ と と され て お り⑲,そ こ に は請 求者 の 氏 名 と住 所 ⑳,お よ び請 求 す る情 報 の 内容 を記 載 しな け れ ば な らな い ⑱1)。 な お,請 求 は電 子 的 手 段 に よ り送 付 す る こ と もで き るが,判 読 で き る形 態 に お いて 受 領 され る こ と,ま た,そ の 後 の 参 照 に供 す る こ とが 可 能 で あ る こ とが 必 要 で あ る㈱。. \ 治 先 生 古 稀 記 念 論 文 集 『法 と 情 報 」(信 山 社,1997年)425頁 報 公 開 」 元 山 健 ・倉 持 孝 司 編 89頁 以 下,同 頁 以 下,同. 「イ ギ リ ス:情. 年)45頁. 島泰 彦. 原 秀訓. 「情. 報 公 開 法 制 定 提 案 白 書 」 行 財 政 研 究35号(1998年). 「イ ギ リ ス:ブ. 以 下,田. 以 下,榊. 本 と イ ギ リ ス 」(敬 文 堂,1997年). 報 公 開 要 綱 の 改 革 」 行 財 政 研 究32号(1997年)40. 「イ ギ リ ス:情. 58頁 以 下,同. 「現 代 憲 法:日. レ ア 政 権 の 情 報 公 開 法 案 」 行 財 政 研 究42号(2000. 「情 報 公 開 法 制 定 へ 向 か う イ ギ リ ス. 利 」 白 書 を め ぐ っ て 」 法 学 セ ミ ナ ー520号(1998年)18頁 ㈲FreedomofInformationAct2000,s.1(1). (79>Ibid.,s.8(1)(a). (8①Ibid。,s.8(1)(b)。 (81)Ibid.,s.8(1)(c). (82>Ibid.,s.8(2).. 504. 政 府の. 以下等。. 『知 る 権.

(25) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 開 示 請 求 は あ らゆ る 「公 的 機 関 」 に対 して 適 用 され る もの で あ る。2000 年 法 は別 表1で. その リス トを 挙 げて お り,加 え て 国 務 大 臣が 命 令 に よ って. 指 定 した もの も 「公 的 機 関 」 に含 む と され る㈱。 ま た,開 示 請 求 の 対 象 と な っ た情 報 を 第 三 者 が 公 的 機 関 の た め に保 有 して い る場 合 に も,公 的 機 関 が 保 有 して い る とみ な され,同 法 の 下 で の 開 示 請 求 が 可 能 とな る鱒。 開 示 請 求 を 受 け た公 的 機 関 はで き るだ け迅 速 に,遅. くと も請 求 を 受 理 し. た翌 日か ら20業 務 日以 内 に,請 求 され た情 報 を 保 有 して い るか ど うか を 書 面 で通 知 し,保 有 して い る場 合 に は,そ の 情 報 を 開示 しな け れ ば な らな い㈲。. (b)除. 外情報. こ の よ う に イ ギ リ ス で は,2000年. 情 報 公 開 法 の 制 定 に よ っ て,公. 的機関. が 情 報 を 市 民 か らの 請 求 に 基 づ い て 開 示 す る こ と が 原 則 と して 義 務 付 け ら れ る こ と と な っ た が,同 は 第21条 か ら第44条 23種 類 の. 法 は い くつ か の 例 外 規 定 を 置 い て い る 。2000年. にか けて 公 的 機 関 が 情 報 を 不 開 示 とす る こ との で き る. 「除 外 情 報(exemptinformation)」. こ の 「除 外 情 報 」 は,2000年 exemption)情. 法. 法2条3項. を規 定 して い る の で あ る。 に よ っ て 「絶 対 的 除 外(absolute. 報 」 と 「条 件 付 除 外(qualifiedexemption)情. さ れ る 。 市 民 に よ っ て 開 示 請 求 さ れ た 情 報 が2000年 情 報 」 に 該 当 す る 場 合 に は,公. 的 機 関 は単 に それ が. 報 」 に分 類. 法 の い う 「絶 対 的 除 外 「絶 対 的 除 外 情 報 」 に. 該 当 す る こ と の み を 理 由 と して 情 報 の 開 示 を 拒 否 す る こ と が で き る 。 こ の よ う な性 質 を 持 つ. 「絶 対 的 除 外 情 報 」 に は,「 ① 請 求 者 が 他 の 手 段 に よ り. 合 理 的 に 入 手 可 能 な 情 報(21条)」,「. ② 安 全 保 障 を 扱 う 機 関 に よ り提 出 さ れ. (83>Ibid.,s.3(1). ⑧DIbid.,s.3(2). (85>Ibid.,s.10(1).. 505.

(26) 近畿大学法学. た情 報,又. 第58巻 第2・3号. は 当該 機 関 に関 す る情 報(23条)」,「 ③ 裁 判 記 録(32条)」,「 ④. 開 示 が 議 会 特 権 の 侵 害 に 当 た る よ うな 情 報(34条)」,「 ⑤ 開 示 が 公 務 の 効 果 的 な 遂 行 を 侵 害 す る よ うな 情 報(36条)」,「 ⑥ 個 人 デ ー タ に 関す る情 報(40 条)」,「⑦ 秘 密 を条 件 と して提 供 され た情 報(41条)」,「 ⑧ 法 律 の 規 定 に よ り開 示 が 禁 じ られ て い る情 報 な ど(44条)」. と い う計8種. 類の情報 が該 当. す る。 一 方 ,「 条 件 付 除 外 情 報 」 に つ い て は,開 示 請 求 さ れ た 情 報 が そ れ に該 当 して い た と して も,公 的 機 関 が 事 案 の あ らゆ る状 況 に照 ら して 「公 益 判 断 」 を行 い,不 開 示 の 公 益 性 が 開 示 の 公 益 性 を 上 回 る時 にの み,公 的 機 関 は情 報 の 開 示 を 拒 否 す る こ とが で き る㈹。 な お2000年 法 に は,「条 件 付 除 外 情 報 」 に該 当す る もの と して,「 ① 将 来 の公 開 が 予定 され た情 報(22条)」, 「② 国家 安 全 保 障 の 目的 の た め に必 要 と され る情 報(24条)」,「 ③ 開 示 が 防 衛 を害 す る又 は害 す る お それ の あ る情 報(26条)」,「 ④ 開 示 が 国 際 関 係 を 害 す る又 は害 す る お それ の あ る よ うな 情 報(27条)」,「 ⑤ 開 示 が イギ リス国 内 に お け る行 政 府 間 の 関 係 を 害 す る又 は害 す る お それ の あ る よ うな 情 報(28 条)」,「⑥ 開 示 が イ ギ リス の 経 済 的 利 益 を 害 す る又 は 害 す る お そ れ の あ る よ うな 情 報(29条)」,「 ⑦ 公 的 機 関 に よ る捜 査 及 び訴 訟 手 続 の た め に保 有 さ れ て い た情 報(30条)」,「⑧ 開示 が 犯罪 の 防止 ・捜 査,犯 罪 者 の逮 捕 ・訴 追, 司 法 の 運 営,入 国 管 理 な ど法 の 執 行 を 害 す る又 は害 す る お それ の あ る よ う な 情 報(31条)」,「 ⑨ 開 示 が 会 計 検 査 機 能 を 持 つ 公 的 機 関 の 職 務 執 行 を 害 す る又 は害 す る お そ れ の あ る よ うな 情 報(33条)」,「 ⑩ 政 府 の政 策,立 案 な ど に関 係 す る情 報(35条)」,「 ⑪ 王 室 との通 信 に 関 す る情 報(37条)」,「 ⑫ 開 示 が 個 人 の 身 体 や 精 神 の 健 康 又 は個 人 の 安 全 を 危 険 に さ らす 又 は さ らす お それ の あ る よ うな 情 報(38条)」,「 ⑬ 環 境 に 関 す る情 報(39条)」,「 ⑭ 裁. (8③Ibid.,s.2(2)(b). 506.

(27) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. 判 手 続 に お いて 法 律 専 門 家 の 秘 匿 特 権 又 は秘 匿 情 報 の 主 張 が 支 持 され る情 報(42条)」,「 ⑮ 商 業 的秘 密 性 を持 つ情 報(43条)」. と い う計15種 類 の 情 報. が 規 定 され て い る㈱。 こ の よ う に イ ギ リス で は,情 報 公 開 に 関 す る一 般 法 が2000年 に制 定 さ れ,2005年. に施 行 され たが,同 法 に は公 的 機 関 が 不 開 示 とす る こ との で き. る 「除 外 情 報 」 が 多 数 存 在 し,不 開 示 規 定 を 容 易 に適 用 す る こ とが で き る こ と,さ. らに施 行 まで5年. と い う長 い期 間 を 要 した こ とな どが 市 民 か ら批. 判 され て き た。 しか しな が ら,同 法 は 「市 民 に対 して 公 的 機 関 の 保 有 す る 情 報 へ の普 遍 的 な ア クセ ス権 を与 え て い る とい う点 で 革 命 的」㈱ で あ り, ま た,同 法 は 「民 主 主 義 と平 等 性 を 改 善 す る た めの 優 れ た 道 具 で あ り,さ らに全 て の 公 的 事 業 に関 す る意 識 や 誠 実 さ,公 正 さ,コ ス トパ フ ォー マ ン ス な どを 改 善 す る とい った 点 か ら も大 い な る利 点 とな って い る」㈱ と概 ね 積 極 的 に評 価 され て い る。. (c)環 境 に関 す る情 報 先 述 した よ う に,2000年. 情 報 公 開 法 に は 「除 外 情 報 」 に関 す る規 定 が 置. か れ て お り,環 境 に関 す る情 報 につ い て も同 法39条1項(a)号 が,「情 報 を 保 有 して い る公 的 機 関 が,第74条. に基 づ く規 則 に よ り,そ の 規 則 に従 って 情. 報 を 市 民 に提 供 す る こ とを 義 務 付 け られ て い る場 合 に は,当 該 情 報 は除 外 情 報 とす る」⑲ ①と規 定 して い る。 さ らに,除 外 情 報 の 中で も 「絶 対 的 除 外 情 報 」 につ いて 規 定 した2条3項. ⑳. 除 外 情 報 の 規 定 に つ い て,詳. は環 境 情 報 を 「絶 対 的 除 外 情 報 」 に は挙 げ. し く は,田. ㈹PhilipCoppel,"EnvironmentalInformation:theNewRegime" [2005]J.P。L.13. ㈱HeatherBrooke,YourRighttoKnow,2nded.,(PlutoPress,2007), P.9. ㊤①FreedomofInformationAct2000,s.39(1)(a).. 507. 中 ・ 前 掲 注ql)11-15頁. 参 照 。.

(28) 近畿大学法学. 第58巻 第2・3号. て お らず,同 法 の 下 で は,環 境 情 報 は 「条 件 付 除 外 情 報 」 に該 当す る こ と とな る。 な お2000年 法39条 の 規 定 す る 「第74条 に基 づ く規 則 」 と は2004年 環 境 情 報 規 則 の こ とで あ る⑲1)。 現 在 イ ギ リス で は,公 的 機 関 保 有 の環 境 情 報 の 開 示 を請 求 す る市 民 は,2004年. 規 則 に基 づ いて それ を 行 う こ と にな るが,た. とえ 環 境 情 報 の 開 示 請 求 を 受 け た公 的 機 関 が2004年 規 則 の 下 で 情 報 開 示 を 拒 否 しよ う と して も,2000年 に よ り,2000年. 法 の 定 め る 「除 外 情 報 」 規 定 が 存 在 す る こ と. 法39条 に従 い,「 公 益 判 断」 を 行 っ た上 で,開 示 の公 益 性. が 不 開 示 の 公 益 性 を 上 回 る場 合 に は 当該 情 報 を 開 示 しな けれ ばな らな い こ と とな る。 しか しな が ら,2004年 規 則 に も2000年 法 と 同様 に,公 的 機 関 が 開 示 請 求 に 関 す る公 益 判 断 を行 う 旨の 規 定 が 置 か れ て い る た め働,実 際 に は2004年 規 則 の 下 で 開 示 が 拒 否 され た よ うな 情 報 が2000年 法 の 下 で は開 示 され る と い う よ うな 状 況 は存 在 しな い㈱。. 第2章2004年. 環 境 情 報 規 則(1)情. 報 開示 システム. 先 述 した よ う に,国 際 社 会 に お いて 環 境 保 護 を 目的 と した市 民 参 加 制 度 の 促 進 が 主 張 され,そ の手 段 の1つ. と して,「環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ. ス権 」 の重 要 性 が謳 わ れ て い た。 そ の よ うな 中,オ ー フ ス条 約 やEU指. 令. が,締 結 国 や 加 盟 国 に対 して,そ れ ぞ れ の 国 内 に お け る制 度 の 整 備 を 要 求 して い た。 環 境 保 護 に長 い歴 史 を 有 す る イギ リス も,こ れ らの 国 際 的 動 向 を受 け,国 内法 の枠 組 み の 中 で,公 的機 関 の保 有 す る環 境 情 報 に 関 す る 「情 報 提 供 」 及 び 「情 報 開 示 」 制 度 を 形 成 して い くこ と とな る。. ㊤DEnvironmentalInformationRegulations2004,reg.20. 働Ibid.,reg.12(1)(b).こ. の 規 定 に つ い て は 後 に 検 討 す る 。. (93>PhilipCoppel,op.cit.,[2005]J.P.L.,p.14.. 508.

(29) イギ リス にお け る環 境 情 報 開 示 と2004年 環 境 情 報 規 則. イギ リス に お け る 「情 報 開 示 」 制 度 の 根 拠 法 規 と して 制 定 され た2004年 環 境 情 報 規 則 は,2000年. 情 報 公 開 法 と 同様,2005年1月1日. もの で あ り,オ ー フス 条 約 及 び2003/4/EC指. に施 行 され た. 令 を忠 実 に反 映 した上 で,さ. らに イギ リス独 自の 規 定 を 導 入 して い る。 イギ リス に は従 来 か ら公 的 登 録 簿 な どを 通 じて 公 的 機 関 の 保 有 す る環 境 情 報 の 提 供 が 積 極 的 に行 わ れ て い たが,こ れ らの 「情 報 提 供 」 制 度 に よ って 市 民 が 公 的 機 関 の 保 有 す る あ ら ゆ る環 境 情 報 を 入 手 す る こ とが で き る と い うわ けで はな く,そ の 範 囲 外 に あ る よ うな 情 報 につ いて は2004年 規 則 に基 づ いた 「情 報 開 示 」 制 度 を 通 じ て 入 手 す る こ とが で き る よ う にな っ たの で あ る。 この よ うな 点 か ら,同 規 則 の 制 定 が イギ リス に お け る環 境 情 報 公 開 制 度 を よ り強 固 な もの と した と 言 え る。 な お2004年 規 則 は,「 ① 序 文(1条 境 情 報 へ の ア クセ ス(4条. ∼3条)」. 「② 公 的 機 関 が 保 有 す る環. ∼11条)」 「③ 環 境 情 報 の 開 示 義 務 の 例 外(12条. ∼15条)」 「④ 実 施 規 則 と歴 史 的 記 録(16条 ∼17条)」 「⑤ 執 行 ,提 訴,罰 則, 修 正,廃 止(18条. ∼21条)」 の全5部. 本 章 で は,2004年. か ら成 り立 って い る。. 規 則 を 検 討 す る 中で,ま ず 市 民 に よ る開 示 請 求 手 段 と. 公 的 機 関 に課 せ られ る義 務,市 民 に対 す る救 済 手 段 な ど,環 境 情 報 開 示 の 基 本 的 な シ ス テ ム につ いて 考 察 す る。. 第1節. 公的機関の義務. (1)「 情 報 提 供 」 と 「情 報 開示 」 の義 務 まず,2004年. 環 境 情 報 規 則 が 公 的 機 関 に対 して 課 して い る義 務 につ いて. 検 討 す る。 同規 則 は,市 民 に よ る開 示 請 求 に基 づ く 「情 報 開 示 」 制 度 だ け で はな く,能 動 的 な 「情 報 提 供 」 制 度 に関 して も公 的 機 関 に義 務 を 課 して い る。 つ ま り,同 規 則 は 「情 報 提 供 」,「情 報 開 示 」 両 面 か ら環 境 情 報 の 公 開 を 公 的 機 関 に義 務 付 けて お り,市 民 の 「環 境 に関 す る情 報 へ の ア クセ ス 509.

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