知られざる計算機:10.並列推論マシン PIE
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(2) クポイントを設定し,プログラムコー ドを効率よくブラウズすることができ る.さらに,実行性能をチューニング するために,プログラム作成者の書い たプログラムを仮想的なクロックで実 行し,その並列実行状況を提示して処 理ネックを明示し,プログラムの変更 に対するヒントを提示する機能を備え ている. PIE は分散型メモリシステムである が,それに実装されたガーベッジコレ クション手法は,小池が開発した Generation Scavenging GC であり, -1 PIE64. オブジェクトの寿命を考慮し,擬実時 間的に動作可能となっている.これら. 割機能を持ち,対応するランタイムシステムは,動的. のほか,メッセージの並列解釈を行うストリーム向き. 負荷分割機能を備えている.コンパイラは中田秀基と. オブジェクト指向言語 Fleng++ も中村宏明,吉田実によ. 馬場恒彦が担当したが,システムの負荷が高い(実行並. って開発された.. 列度が高い)状況に適した細粒度のコードと,負荷が低 い状況に適した疎粒度コードの 2 つを出力し,ランタイ ムシステムが実行時の状況に合わせてコードを動的に 切り換えることにより,システムが常に最適な状態で. PIE のプロセッサの中核は UNIRED である.それは. 稼働するような工夫がされている.この機構は,バン. 4 つのコンテキストそれぞれに 32 個の汎用レジスタが用. バン粒度制御機構と呼んでおり,日高の考案開発した. 意されており,合計 128 個の汎用レジスタを持っている.. 方式であるが,一般に低負荷状態では静的分割が有効. 命令セットは,論理型言語処理に向いたものとして設. で,高負荷時は動的負荷分割が有効であり,これらを. 計され,73 命令からなる.SPARC と比較すると,同じ. 動的に切り換えることが可能なシステムとなっている.. プログラムを書くのに,ほぼ 1/4 のコードサイズで. この工夫は,並列処理に求められる 3 つの要求,並列性. 済む.. を最大限に抽出すること,負荷のバランスをとること,. また,処理速度は,33MHz の SPARC と比較して 1.3. 通信オーバーヘッドを減らすことを同時に可能ならし. 倍速く,これは,同じクロックにすれば,3.9 倍となる.. める方策として考えられた.また,もともとのコンパ. 総合性能として,UNIRED は 10MHz の実装で,1 台あ. イラの出力するコードは処理粒度がかなり小さいので,. たり 920KRPS(Kilo Reductions Per Second)を達成し,. そのまま処理するとオーバーヘッドが大きい.そこで,. 64 台で,実測性能 58MRPS を出した.また利用可能な. 小さなゴールをまとめて大きくする工夫を備えたコン. IU が 1 台の時と,64 台の時とで,1 つのプログラム実行. パイラを荒木拓也が開発した.. を比較すると,スーパーリニアとなる場合がある.こ れは,64 台実行では,使える主記憶が 64 倍となり,GC. システムの支援ソフトウェアとしては,HyperDEBU. の実行時間が著しく小さくなるためであった.. と呼ぶデバッガが舘村純一によって開発された.これ. 2001 年 8 月現在,PIE64 の本体はいまだ稼働状況に. は,Fleng のように複雑な多重の制御/データ流を持つ. ある.. プログラムを,効率よく調べたり操作したりするため のもので,制御ビュー,データ流ビュー,実行スナッ. 1) Tanaka, H. ed.: Parallel Inference Engine − PIE − , Ohmsha IOS Press (2000). (平成13 年9 月14 日受付). プショットなどの形で,見たいところへ効率よくズー ムインする機構を備えるとともに,並列実行にブレー. IPSJ Magazine Vol.43 No.2 Feb. 2002. −2−.
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