Title
[報文]泡盛中の高級アルコールおよびェステル生成にお
よぼす製麹条件の影響
Author(s)
池間, 洋一郎; 田村, 博三; 照屋, 輝一
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 4(1): 21-27
Issue Date
1988-03-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/13978
Vol.4 No.1 1988
報 文
こ&',;'糾】.'!.'.''IうこIj-.- 1∴ し1..∴、一上・'、 <蝣- 'i 'I-'-t;蝣;・ ∴t lサリ噛策n 、.1旨‡蝣蝣v?泡盛中の高級アルコールおよびェステル生成におよぼす製麹条件の影響
rj 誰MJ-.I て いHIII1- !*',!,','蝣主1.1. * ・小川'蝣i ?-:.-.^--'i∴、化蝣蝣一-}".て1;い「; HKoji-making Conditions Affecting the Formation of Higher Alcohols and Esters in Awamori Yoichiro IKEMA* Hiromi TAMURA** and Kiichi TERUYA*
・chemistry Division, **Food division, Industrial Research Institute of Okinawa Prefecture, Naha, Okinawa 902
The formation of higher alcohols (n-propyl, iso-amyl and phenethyl alchols), aromatic est-ers (ethyl acetate, isoamy主acetate, ethyl caproate, ethyl caprylate, ethyl pelargonate, ethyl
caprate, diethyl succinate, ethyl phenyl acetate, phenethyl acetate and ethyl laulate) and higher fatty acid esters (ethyl myristate, ethyl palmitate, ethyl oleate and ethyl linoleate) in awamori under koji・making (incubation time, and concentration of spores) conditions was demonstrated. The formation of β-phenethyl alcohol and the aromatic esters, excepting diethyl succinate, were promoted under the conditions of a shorter time of koj-making(30hours) and lower con-centrations of spores(104 sporer/g-rice). Formation of higher fatty acid esters were greately promoted under the condition of a longer koji-making time.
The organoleptic tests were performed by 5 panels for awamori fermented under the koji-makig conditions. They set a high value on the awamori contained much aromatic esters, which formed under the condition of lower concentrations of inoculated spores.
緒 言 泡盛はタイ国産のインディカ米を原料とし, 黒麹菌を使用して全麹仕込みを行うことを特徴 とする蒸留酒で,独特な香味を有している. 一般に蒸留酒は,揮発成分中の微量成分が香 味形成に影響をおよぼすことが知られており, そのうち高級アルコ-ル,エステル類は言酉類 の香気に大きを役割を果しているlJ. 高級アルコール,エステルに関する報告は多 く2-61ウイスキー7,)ヮイン8',清酒9)については その生成と発酵条件との関係も検討されている. 泡盛については,高級アルコール,エステルの 貯蔵中の経時変化が報告されている10)が,これ らの成分と発酵条件との関連を検討した報告は ほとんど見当たらない. 醸造条件による酒質管理を目的に,本報では,
梨麹条件における製麹時間,麹菌胞子の接種濃
度が泡盛中の高級アルコール,エステルの生成
にどのような影響をおよぼすかについて検討し
>.実験方法
1. ffl柁麹菌は,泡盛工場で使用されている種麹から
分離し,生酸性が高く黒褐色の胞子を着生する
Asp. saitoiタイプの黒麹菌を使用した.
酵母菌は県内の工場で広く使用されている
「泡盛1号酵母11」を使用した.
2.麹菌の培養方法
(1)培養装置
無菌的に多量の麹を製造するため,培養容
器として図1に示すような径25cmのガラス製デ
他聞洋一郎, 田村 博三, 照屋輝-図 1. 麹菌培養装置 シケ一 夕- を使用 した.内部 での培養麹 の保持 には市販のステンレス製綿 (
孔
径0.釦rn.直径20cm. 深 さ4.5cm)を用 いた.また,麹菌 の生育 に伴 っ て生成 され る炭酸 ガス を除去 す るために,デ シ ケー ター蓋 上部 よ り底部へ テフロ ン管 を通 し, 吸引排 気で きる構造 に した.培賓装置は実験 の 前 に乾熱滅菌 を行 った. (2)堵着条件 タイ国産砕米4509を,各2
Pの水 で4[司洗 米 し,浸漬50分,水切 り30分後 .50分間蒸煮 を行 った.得 られた蒸米 に発芽率96%の胞子 を 2× 105胞子数/
9
・原料米 になるよ うに接種 し,恒 温 器内で無菌的 に培養 を行 った.胞子接種後 .20 時間,25時間後 に麹の撹拝 を行 い,40時間後 に 培養 を終 了 して出麹 とした.培養20時間後 か ら デ シケー ター内の空気 を4
0m
e/分 の条 件 で排 気 を開始 した.培養中 ,麹 の中心温度 を37℃ にな るよ うに恒温器内の温度 を随時調整 した.以後 の実験 では,条件 を特 に断 わ らない限 り.この よ うな条件で培養 を行 った. 3.もろみ発酵条件 もろみ発酵 は,2
jZの三角 フ ラス コに麹 と原 料米重畳の1.
7
倍容量 の殺 菌蒸 留水 をカロえ,こ れに30℃ .48時間前培養 した酵母 を、 5×105 酵母数/
9
-
原 料 米 に な るよ うに添加 し,恒 温水 槽中で20℃ ,12日間発酵 を行 った . もろみは固型部 と液部 を混合す る目的 で1日 に1回授拝 した.4.
蒸留方法 発酵 もろみの蒸留 は、接続部 をすべ てす り合 わせ を使用 した冷 却部50cmの蛇 管 を備 えた実 験重用 ガラス製蒸留機 を用 いた.12の丸底 フラ スコに8
0
0me
の もろみを入 れ.マ ン トルヒー ター 南方資源利用技術研 究会誌 で加熱 し,留液 の アルコール濃度 が45% になっ た時 に蒸留 を終 了 した .蒸留開始 か ら終 了まで の時間は約45分 間で あった. 得 られた泡盛 は蒸留水 で アルコール濃度40% に希釈 した後 ,香気成分 の分析 に供 した.5.
麹の一般成分の分析 グルコース,エチルアル コールの分析 は高速 液体 クロマ トグラフ ィー によ り行 い,カラムは 島津製SCR-101Nを使 用 した.水 分 は赤外線 乾燥機 を使 用 し,その他の成分は国税庁所定分 析法注解12)に従 って行 った・6.
香気成分の分析 (1) 低沸点成分 泡盛 の低沸点成分 の分析 はTenaxGCトラップ 法13)で行 った.す をわ ち,アルコール濃度400^O の泡盛5
0me
を蒸留水で200/Oに希釈 した後,3
0
meを 吸収 ビンに入 れ,25℃ ,15分間,4
0m
e
/分 の条 件 で速 や かに窒素のバ ブ リングを行 う.通負後 , 捕集管 をガス クロマ ト装置 にセ ッ トし,加熱炉 の温度 を200℃ まで急速 に高めてTenaxGC に 0 10 20 リテ ン シ ョン タ イ ム (分 ) 図2.泡盛 の低 沸点香気成分の クロ マ トグラム 1.酢酸エチル 2.エチルアルコール 3.n-プロピル7ルコ-ル 4.イソブチル7JL,コール 5.酢酸イソアミル 6.イソ7ミル7ル コール 7.カプロン穀エチル 捕集 された香気成分 を脱著 して分析 を行 った. 香気成分の含有量 は,捕集管中のTenaxGC o.39に捕集 された香気成分 の絶 対量 で表示 した . ガスクロマ トグラフ ィーの分析条件 は,分離 カ ラ ム にPEG-20M (20%) を充項 したガラ ス カラム (3.0mmX4m)を使用 し,測定は70℃ - 2 2-vol.4 N..1 1988 泡盛中の高級アルコ-ルおよびエステル生成におよぼす製麹条件の彩管 4分 間保 持 後 , 4℃ /minの速 度 で160℃ まで昇 温 して行 った .高級 アル コー ル類
3
成 分 お よび エ ステ ル類3
成 分 の同定 を標 準 物 質 の保持 時 間 よ り推 定 した .図2に標 準 的 な クロマ トグ ラム を示 した . (2) 中高沸 点成分 泡 盛 中 の中 高沸 点成 分 の抽 出 お よび濃縮 操 作 は西谷 の方法14)に従 った.濃縮 後 の泡 盛 試料 は 約25倍 の濃 寿宿倍 率 にを る.分析 は ガ ス クロマ ト グラフ ィー によ り行 い ,液相PEG-HT(5%), Uniport HPのガラス カ ラム (3.0mmX2m) を 使 用 し, 3℃ /minの 速 度 で90℃ か ら210℃ まで 昇温 して測 定 した .成 分 の同 定 は標 品 の保 持 時 間 によ り推 定 した . をお ,内部 標準 物 質 に 3-7ェ ニー ルート プ ロパ ノールを使 用 した .標準 的 をガス クロマ トグ ラム を図3
に示 した .中高沸 8 11 13 0 10 20 30 リテンションタイム(分) 図 3.中高沸点香気成分 とガスクロマ トグラム 1.カプリル酸エチル 2.ペラルゴン醸エチル 3.カプリン醸 ェナル 4.コハク酸ジエチル 5.フェニル酢酸エチル 6.那 ルコール 9.3-7ェニール-1-プロパノール (内部標準) 10.ミリスチ/醸エチル 11.パルミチン酸エチル 12.オ レイ/較エチル 13.リノール椴エチル 点成分 の分析 結 果 は ,アル コー ル濃 度400/Oの泡 盛 中の濃 度 (ppm)で表示 した . 7.官能 評価 蒸留 後 の泡盛 をアル コー ル濃 度300/Oに希釈 し て一晩放 置後,0.45JLmのフィルターで炉過 し,5
名の審査 員 で官 能試験 を行 った . 実験 結果 お よび考 察 1.製麹 時 間 が泡盛 の香 気成 分 におよぼ す影響 泡盛 製 造 の大 きな特 徴 は ,他 の酒類 と異 な り もろみ発 酵期 間 中 に二次 仕込 み を行 わず,1
次 仕込 み に全麹 を使 用 す るこ とで あ る. した が っ て麹 の品 質 が直接 酒 質 に与 える影響 は大 きい と 考 え られ る.そ こで本 実験 で は ,麹 の培 養時 間 を30時 臥 40時 間 ,50時 間 に設 定 して品質 の異 な る麹 を製 造 し,麹 の培 養 時 間 が泡盛 の香 気成 分 にお よぼ す影響 を椎 討 した . (1) 麹 の品質 各時 間培 養 した麹 の品質 の分析 結 果 を表1に 表 1.製麺時間 と麹の一般成分培
養
条
件
分
析
項
目
3梨麹時間 (0 40時間)50 出 麹 歩 合 (a/o) 25.7 22.7 19.5 麹 水 分 (%) 33.0 31.9 31.7 pH 3.52 3.43 3.34 酸 度 (me) 1.6 3.1 4.0 糖 化 力 2.8 4.5 6.0 プ ロ テ アー ゼ 活 性 0.42 0.85 0.97 ※榊胞子畳非常 に多い、甘地+量 多い、+胞子量少 い、一胞子畳無 40 示 した .製 麹時 間 と麹 の一般 成 分 の関係 は ,製 麹 時 間 が長 くな るほ ど麹 の性 質 が強調 され,30 時 間麹 で は培 養時 間 が短 いため ,酸度 .糖 化 九 プ ロテ アーゼ活性 の値 が低 いが ,製麹 時 間 が長 くな る と麹 菌 の生育 に応 じて各分析 値 も大 き く な る.麹 の状 ぼ うは30時 間培 養 で は まった く胞 子着 生 を示 され 、が,40時 間以後 には十分 去月包 子着 生 が観 察 された .(
2)
低 沸 点成 分 の生成 製 麹 時 間 の異 を る麹 を使 用 して得 られた泡盛 の低 沸 点成 分 の分析結 果 を表2に示 した .低 沸 点成分 の なかで最 も多 く占めて い る酢酸 エ チ ル の含有量 は ,製麹 時 間 に関係 な くはぼ一定 の値 を示 した が ,n-プロピルアルコール,酢酸 イソア ミル ,イ ソア ミルア ル コー ル, カプ ロ ン酸 エチ - 23他聞洋一郎, 田村 悼三,照 盛 輝-表2.製麹時間 と低沸点香味成分
培
養
条
件
成分名
3製麹時間 (0 40時間)50 酢 酸 エ チ ル 209.3りJP;187.8lfLPj227.2-llJy' nプロピルアルコール 23.8 15.8 15.9 イソブチルアルコール 40.5 40.7 30.4 酢 酸 イ ソ ア ミ ル 56.0 16.3 5.7 イソアミルアルコール 68.0 56_6 30.5 カプ ロ ン酸 エ チ ル 3.5 3.0 2.1 ルの生成 は短時 間製麹条件 (30時 間) で促 進 さ れ る傾 向 を示 した .特 に酢酸 イソア ミル とイソ ア ミルアルコー ルは,50時 間製麹条件 に比較 し て前者 は9.8倍 ,後者 は2.2倍 の生成 を示 した . 酢酸 イソア ミルは清酒吟醸香 の主成 分 の ひ とつ ともいわれ ,また コニ ャ ックに対 してモ ル トウ イスキー を特 長づ けてい る重要 を香気成分 の ひ とつで ある7'こ とか ら ,酢 酸 イソア ミルの著 し い増加 は ,泡盛 の香気増強 に役立つと考えられ る (3)中高沸点成分 の生成 図4に示 す よ うに,製麹 条件 が泡盛 の中高沸 2 1 1 ( ∈ dd ) 世 ■ 30 10 50 割麹時 間 (RWEll) 閃4.製麺時間と中高沸点香気成分 一〇一.カプ リ ル穣 '-チ ll;-●-,1)7 リ ル轍-T・ナ ル;-△- ヘ ラル ゴ ン横 工 ナ ル ;-▲ -,コハ ク頼 シ r_ナ ル;-ロ ー.--/r)リ ン 椴 エ チ ル: -ロー.〟-フ t T・チルア ル コー ル ;-01.ミ リスナ ン頼 エ チ ル;-O l.'目しミナ ン他 エ チ ル;-△ -,オ レ イ ン酸 エ チル ;-△-.TJノール横 L + ル 南 方 資源 利 鞘 技 術相究 会誌 点成 分の生成 に大 きく影響 す ることは明 らかで あ る.中高沸点成分 の生成 は ,製 麹時 間 が短 い ほ ど高根 脂肪酸 エ ステル4成分 .コハ ク酸 ジエ チ ルが抑 制 されたが,他 の芳香性 エ ステル 7成 分 および β-フェネテルアルコー ルは促進 された 芳香性 エ ステルの うち.カプ リル酸 エチ ル.カ プ リン酸 エチ ル ,酢酸 フェニー ルエ チ ル含有量 の増加 が大 きく,特 に酢酸 フェニー ルエチ ルの 含有量 は著 しく増 大 し,50時 開裂麹条件 よ りも 30時 間製麹 条件 において,20倍 も高 い増加 を示 した .同様 に.β-フ ェ ネテ ル ア ル コー ルの 含 有量 は4倍 の増加 を示 した. カプ リル酸 エ チル, カプ リン酸 エチ ル.酢酸 フェニー ルエ チ ルはい ず れ も花様 の香 りを有 し,これ らの成分の多 い 泡盛 は香 りの高 い泡盛 に在 ると考 えられた . 高級 脂肪酸 エ ステルの ミリスチ ン酸エチルノヤ ル ミナ ン酸 エチル,オ レイ ン酸 エチ ル. リノー ル酸 エチ ルの含有量 は , その前駆 物質 と在 る高 級脂肪酸 を麹菌 が生産 す るこ とと関 わって15).製 麹 時 間 が長 くな るに した がい増加 した .高級順 肪酸 エ ステルは原酒 に浮遊 す る油状 物 質 の原因 物 質 といわれI,5'リノー ル酸 エチ ルは貯蔵 中 に分 解 して酒質劣化 につ をが る成分 で ある】5・'こ とか ら, これ らの成分 は泡盛 にとっては好 ま しくを い成 分 で あ る. (4) 官能試験結 果 官能試験 の結 果 は ,表 3に示 す よ うに40時 間 表3.製麹時間 と製成
酒の官能評価 製麹時間 (時間) 30 40 50 ※ 官能
評 価 4.2 3.0 3.4 ※評価は右記の尺度による。 1 2 3 4 5 優 :.jI,'・ Ij'; 秀 通 る 製麹条件 の泡盛 の評価 が最 も高 か った .30時間 麹 の泡盛 は ,低 沸点成分 および中高沸点成分 含 量 が多い にもかかわ らず官能評価 の結果 が悪 か った .この ことは30時 間麹 の泡盛 が酢酸 フェニ ー ルエチ ルの含有量 が極端 に多 く,他 の成 分 と の比率 が大 きく異 なったため と考 えられ る. -2
4-V。1.4 N。.1 1988 泡 盛 中 の高級 ア ル コー ル お よびエ ステ ル生成 にお よぼす製麹 条件 の影響 2.接種胞子濃渡 が泡盛 の香気成分 におよぽす 影響 製麹工程 における種麹 の使用量 は,泡盛製造 管理上 の大 きを目安のひ とつ と在ってお り,季 節や工場 によって変動 が大 きく,麹 の品質や酒 質 におよぽす影響 は大 きい もの と考 えられ る・ そこで ,接種胞子濃度 を
1
)2.
3×1
0
4胞子数/
9 -原料米,
2
)
2.
3×
105胞子数/
91原料米,
3
)
21
3×1
0
6 胞子数/
9.原料米の3条 件 で製 麹 を行 い,麹菌 胞子接種濃度の違 いが泡盛 の香気成分含量 にど の よ うに影響す るかを検討 した. (1) 麹 の品質 接種胞子濃度 を変 えて培養 した麹 の品質 を表 4に示 した.麹菌胞子 の接種濃度 は麹 の品質 に 表4.接種胞子濃度 と麹の品質条
件
分
析
項目
2,原 料 米3×104 2.19当 りの胞 子 接 種 数3×105 2.3×106 出 麹 歩 合 (% ) 20.5 17.7 15.9 麹 水 分 (% ) 30.2 29_0 28_3 pH 3.48 3,49 3.42 酸 度 (me) 3.0 3,8 4,8 糖 化 力 5.1 7.7 10.5 プロテアーゼ活性 1.35 1.55 1.58 ※†小胞子量非常 に多い、≠胞子量 多い,+胞子量少 い 大 きく影響 をおよぽ した.同一時間培養 して も 胞子濃度 が高 いほ ど,酸度 ,糖化 力 ,プロテア ーゼ活性 ,胞子着生量 の値 が上昇 し,ほぼ順調 を麹菌生育 を示 していると思 われ る.出麹歩合, 水分の値 は低 く怒る傾 向 を示 した. (2)低沸点成分 の生成 接種胞子濃度 を変 えて培養 した品質の異 をる 麹 を使用 した泡盛 の低沸点成分の含有量 は,表 5に示 す よ うに胞子濃度 が低 いほ ど高級 アルコ 表5.接種胞子濃度 と製成酒 の官能評価条
件
成
分
名
2.原 料 米3×104 2.19当 りの胞 子 接 種 数3×105 2.3×106 酢 酸 エ チ ル 403.4 (LLg) 268.4(FLg) 232.0(lLg) n-1ロビル7ルコ-ル 25.6 23.5 21.7 イソブチル7ルコール 25.6 23.5 21.7 酢酸イソアミル 128.2 31.0 17.8 イソアミルアルコール 48_2 41.9 34.8 カプロン酸エチル 8.2 5.7 5.4 合 計 622.8 387.3 224.5 ール,エ ステルのすべ ての成分 が促進 され る傾 向 を示 した.酢酸エチル と酢酸 イソア ミルの生 成 は強 く促進 され,高級 アルコールの生成 は弱 かった.特 に酢酸 イソア ミルの生成 は,低濃度 条件(
2.
3×1
0
4胞子数/
9-原料米)で,高濃度条 件(
2.
3×1
0
6胞子数/
9
・原料米)よ りも約8
倍 に 高め られた.(
3)
中高沸点成分の生成 接種胞子濃度 は ,図5に示 す よ うに泡盛 の中 0 0 0 0 6 4 2 (u Jd d ) # * 00
0 0 人U 0 20
8 6 4 2 (冒 d d ) 単 項 L.:.
.,:.!
( ( T L .i ll .,
.I.
.
I
.
H t ..:/ I..q 23〉くiL11 23×105 23×106 原料 米1g当りの胞子数 図5.接種胞子濃度 と中高沸点香気成分一〇
一. カプ リル酸 エ チ ル; -● -. カプ リン軽 エ チ ル; -△ -.ペ ラ ルゴ ン酸 エ チ ル; -▲ -, コハ ク酸 ジエ チ ル; -ロ ー.酢 酸 フ ェニー ルエ チ ル: -嘉 一, 7 ェニ ー ル酢 酸 エ チ ル; 一ロ ー. ラウ リ ン酸 エ チ ル; -[コ -,β -フ ェ ネチ ルア ルコ- ル:一〇 一;ミリスチ ン酸 エ チ ル;-CI-.パ ル ミチ ン酸 エ チ ル;-△ -.オ レ イ ン酸 エ チ ル;-△ -, リ ノ- ル椴 エ チ ル 高沸点成分 の生成 に大 きく影響 した.低接種濃 度条件 は,β-フェネテルアルコール,カプ リル 酸 エチル,カプ リン酸 エチル,酢酸 フェニール エチル,ラウ リン酸エチルの生成 を促進 させ , コハ ク酸 ジエチル を抑制 した.酢酸 フェニール エチルの生成 は,胞子濃度 による影響 が最 も強 く,胞子濃度 を1
0
6胞子数/
9-原料米 か ら1
0
ソ9
-原料米 に低 くす ると,約4倍 の濃度上昇 を示 し他聞洋一 郎, 田村博 三, 照屋 輝-た . 高級 脂肪 酸 エ ステ ルの含有量 は ,接 種 胞 子濃 度
2.
3×1
0
5
/
g・原 料 米 の 条 件 において ,や や高 い傾 向 を示 したが ,接種 胞 子濃 度 の影響 は ほ と ん ど認 め られ なかった . (4)官能試験 結 果 官能評価 の結 果 は蓑 6に示 す よ うに ,接 種 胸裏6.
接種胞子濃度 と製成
酒の官能評価 接 種 胞 子 濃 度2.
原料3×1
利
0
4 2,
19当た りの接種胞子数3
×1
0
52.
3×1
0
6 ※評価は右
記の尺度 による0号
ヲt
'
2
7 5( 催 、1(.・
'
・
'
1
;
秀 通 る 子濃 度 が低 い条件 で得 られた泡盛 は ど良好 な結 果 が得 られ ,高級 アル コー ル ,芳 香性 エ ステ ル の含有量 が多 い泡盛 が官能的 に も評 価 が高 い と い う結 果 に なった . この よ うな官 能評価 の順位 は .蒸留 前 の もろみ で も認 め られた . 以上のよ うに,泡盛の醸造工程 に おけ る製 麺時 間,接種胞子濃度条件 が泡
盛の高級 ア ルコー ル, ェ ステルの生成 に, どのよ うな影響 を与 えるか を 検討 した. その結果,製麹期間 中,英米 に麹 菌 が 生育 してい くに した が って ,泡盛 中 のβ-フェ ネ チ ルアルコー ル ,酢酸 イソ ア ミル を どの芳 香性 エ ステ ルの生成 が抑 制 され る結 果 が得 られた . した が って .香 気 の強 い泡盛 を製 造 す るための 製麹 条件 は ,製麹 時 間 は短 く,接 種胞 子濃 度 は 低 くす るこ とが必要 で あ る, 結論 1. 泡盛 中の高級 アル コー ル4成 分(
n
-
プ ロ ピ ルアル コー ル , イソブチ ル ア ル コー ル , イソ ア ミル ア ルコー ル,β-フ ェネチ ル ア ルコール), 芳香 を有 す るエ ステ ル1
0
成 分 (酢酸 エ チ ル , 酢酸 イソア ミル , カプ ロ ン酸 エ チ ル , カプ リ ル酸 エチ ル , カプ リン酸 エ チ ル ,ペ ラルゴ ン 酸 エ チ ル , コハ ク酸 ジエ チ ル ,酢酸 7 ェニー ルエ チ ル,フェニー ル酢酸 エ チ ル , ラウ リン 南方 資源 利 用 技術研 究 会誌 酸 エ チ ル) お よび高級 脂 肪 酸 エ ステ ル4成 分 (ミリスチ ン酸 エ チ ル ,パ ル ミチ ン酸 エ チ ル. オ レイ ン酸 エ チ ル, リノー ル酸 エチ ル) の生 成 と製麺 条件 の関係 を検 討 した .製麹 条件 は , 製麹 時 間 および接 種 胞子濃 度 につ いて武儀 し た . 2.製 麹 時 間 と香 気成分 生成 の関係 を検 討 した 結 果 ,低 沸 点成分 は ,製 麹 時 間 が短 い ほ ど酢 酸 イ ソア ミル , イソ ア ミル アル コー ルの生 成 が促 進 された .中高沸 点成分 の うち,コハ ク 酸 ジエ チ ルの生成 は製麺 時 間 が短 いほ ど抑 制 された が ,他 の芳 香性 エ ス テ ル ,β-フェ ネテ ル アル コー ルの生成 はすべ て促 進 され た .特 に酢酸 フェニー ルエ チ ル ,β-フェ ネチ ル アル コー ルの生成 は短 時 間製 麺 条件(
3
0
時 間)によ る促 進 効 果 が大 きかった . 高級 脂肪 酸 エ ステ ルの生成 は製 麹時 間 が長 いほ ど促 進 された . 官能試験 で は ,香 気成 分 含量 と官能 評価結 果 の 間 には明確 な関係 はみ られ なか った .3.
接種 胞 子濃 度 を変 えて麹 を製 造 し、得 られ た泡盛 の香 気成 分 含量 を比較 した . 低 沸 点成分 で は ,胞 子濃 度 が低 いほ どすべ ての成分 の生成 が促 進 され ,特 に酢酸 エ チ ル , 酢酸 イソア ミルの生成 は , 低 胞 子 濃 度 条 件(
2,
3×1
0
ソ9
・原 料 米 ) で 非 常 に高 い促 進 効 果 がみ られた . 中高沸 点成分 は ,接 種胞 子濃 度 が低 いほ ど, コハ ク酸 ジエ チ ルは抑 制 された が ,他 の芳香 性 エ ステ ル,β-フェ ネチ ル アル コー ルの生成 は促 進 された .促 進 効 果 の大 きい成分 は酢酸 フェニ ー ルエ チ ルで あった . 高級 脂肪酸 エ ステ ルの生成 は ,接 種 胞 子濃 度 にほ とん ど影響 はみ られ をかった . 官能評価試 験 で は ,接 種 胞 子濃 度 が低 い条 件 で得 られた泡 盛 ,す を わ ち高級 アル コー ル. 芳 香性 エ ステ ル含量 の 多 い泡盛 ほ ど高 い評価 が得 られ た . 本研 究 は ,昭和5
9
年度 技術 開発研 究 費補 助 事 莱 ,共同 研究 「特 産蒸留 酒 の品質 向上 に関 す る 研究」 の分担 課題 と して ,実施 した もの で あ る.-2
6
-Vol4 Nal 1988 泡盛 中の高級 アル コー ルおよびエ ステル生成 におよぼす封麹条件 の影響 文 献 1)吉沢淑 :日本醸造協会雑誌