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四国三嶺山域のシカの食性-山地帯以上での変異に着目して

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(1)日本生態学会誌 (Japanese Journal of Ecology) 71:5-15(2021). 原著論文. 四国三嶺山域のシカの食性−山地帯以上での変異に着目して 高槻 成紀1*・石川 愼吾2・比嘉 基紀3 麻布大学いのちの博物館 三嶺の森をまもるみんなの会 3 高知大学理工学部 1. 2. Altitudinal variation in sika deer food habits on Mt. Miune, Shikoku, Japan Seiki Takatsuki1*, Shingo Ishikawa2 and Motoki Higa3 1. 2. The Life Museum of Azabu University The Group for Conservation of Forest Ecosystem of Mt. Sanrei 3 Faculty of Science and Technology, Kochi University. 要旨:これまで不明な点が多かった西日本のシカの食性の例として、四国剣山系三嶺のシカの食性を糞分析により解明 した。標高 1100 m 台のさおりが原ではシカの採食により林床が貧弱になっており、シカの糞でも繊維と稈・鞘が多く、 シカの食物状況は劣悪であった。標高 1600 m 台のカヤハゲでは 2007 年にシカの採食によりミヤマクマザサが消滅し、 現在はススキ群落になっており、糞組成でもイネ科と稈・鞘が多かった。標高 1700 m 台の地蔵の頭では稜線にミヤマ クマザサが密生しており、シカの糞もササが優占していた。山地帯では植生もシカの強い影響で壊滅状態であるが、シ カ自身の食性も劣悪であった。高標高に生息するシカにとっては尾根のミヤマクマザサは特に冬の食物として重要であ ることがわかった。シカの置かれた状態を判断するのに食性解明は有力な情報をもたらすことを指摘した。 キーワード:過剰個体数、スズタケ、採食影響、土壌侵食、ミヤマクマザサ Abstract: In this study, we applied fecal analysis to examine altitudinal variation in the food habits of sika deer (Cervus nippon) on Mt. Miune (also called Mt. Sanrei) in the Tsurugi range in Shikoku, western Japan. At Saorigahara (elevation: 1,100 m), forest floor vegetation was poor and sika deer fecal composition included fiber, culm and sheaths, indicating very poor food conditions. The vegetation at Kayahage (1,600 m) was dominated by Sasa hayatae Makino, a dwarf bamboo extirpated by deer overgrazing in 2007, and Miscanthus sinensis Andersson grassland; sika deer fecal composition consisted mainly of grass leaves, culm and sheaths. At Jizouno-kashira (1,700 m), S. hayatae grew densely on the ridges and sika deer fecal composition was dominated by dwarf bamboo. Montane vegetation is overgrazed; our findings confirmed that food conditions for sika deer were very poor. We also found that S. hayatae was an important diet component for sika deer living at high elevations, particularly in winter. Keywords: Grazing effect, over-abundance, Sasa borealis, Sasa hayatae, soil erosion. 変異を示すと同時に標高的な変異(垂直変異)を示す。. はじめに. これまでシカの食性の垂直変異を示した研究は冷温帯の.  ニホンジカ Cervus nippon の食性は地域の植生を反映し. 岩手県五葉山(Takatsuki 1986)、栃木県表日光(Takatsuki. て地理的な変異を示すことが知られている(Takatsuki. 1983)、神奈川県丹沢山塊(高槻・梶谷 2019)、静岡県伊. 2009)。植生がそうであるように、シカの食性も水平的な. 豆半島(Kitamura et al. 2010)、そして南限に近い鹿児島 県屋久島(Takatsuki 1990)がある。五葉山では山頂が. 2020 年 6 月 1 日受付、2020 年 9 月 11 日受理 *e-mail: [email protected]. 1351 m であり、1200 m 以上は亜高山帯に属すが、ここで 5.

(2) 高槻成紀・石川愼吾・比嘉基紀 は山脚部の 700 m から山頂に至る全域でシカによってミ. 帯以上に限定的である。そうした中で、わずかに伊豆半. ヤコザサ Sasa nipponica (Makino) Makino et Shibata が利用. 島(Kitamura et al. 2010)と屋久島(Takatsuki 1990)では. され、その依存度も高かった(Takatsuki 1986)。表日光で. 低地の情報があり、それらによれば低地のシカは主に常. は 1200 m から 2450 m までの範囲でシカの食性が調べら. 緑広葉樹の葉を食べていた。山地帯では多くの場所でサ. れた。ここでもミヤコザサがよく食べられており、1750 m. サが重要であり、場所によっては丹沢の場合のようにサ. のカラマツ Larix kaempferi (Lamb.) Carrière 林で最も多く、. サ以外のイネ科が多いこともあった。. 11 月には糞の 80%もの高率を占めた。丹沢山塊の場合は、.  これまでのところ中部地方、近畿地方、中国地方、四国、. 長年シカの強い影響によって植生が貧弱化しており、. 九州本土ではシカ食性の個別情報はあるが、垂直変異を. 1970 年 代 に は ス ズ タ ケ Sasa borealis (Hack.) Makino et. 対象とした調査は行われていない。しかし、上記のよう. Shibata が シ カ の 重 要 な 食 物 で あ っ た が( 古 林・ 丸 山. な観点からすれば、この広い空白部分におけるシカの食. 1977)、現在のシカの糞中では一部を除いてササはほとん. 性の垂直変異は解明される必要がある。そこで、本調査は、. ど検出されず、夏でも繊維が多く、シカの食糧事情は非. このような西日本のシカの食性の垂直変異を明らかにす. 常に劣悪であった。ただし、高地ではイネ科が多かった。. るために、四国の剣山系西部の三 嶺(ただし高知県側で. また、高地にミヤマクマザサ Sasa hayatae Makino が生育. は「さんれい」と呼ぶ)のシカを対象とした。三嶺とそ. する場所では冬にササが 20%から 50%を占めていた。伊. の周辺では過去 10 年ほどの間にシカが急激に増加し、植. 豆半島では標高 800 m 以下から 1000 m 以上までの 3 カ所. 生に著しい影響を及ぼすようになり、高標高部では植被. みうね. の胃内容物分析が行われ、低地のシカ胃内容物では常緑. が失われて土壌侵食が起きるまでになっている(石川. 広葉樹が多く、ササは 10.5%、800-1000 m ではササが多. 2015)。本調査ではこの点にも着目した。. くなり 46.2%で、高標高ではササが 74.3%を占めるとい.  これまでに四国のシカの食性分析は 2 例あり、2010-. う変異が認められた(Kitamura et al. 2010)。このように、. 2013 年の三嶺のシカの糞組成では夏には稈(16.0%)と. 冷温帯の太平洋側の落葉広葉樹林で林床にミヤコザサが. 双 子 葉(22.3 %)、 冬 に 繊 維(23.4 %) と サ サ(22.5 %). 生育する場所に生息するシカはミヤコザサに対する依存. が重要であった(Asakura et al. 2014)。また三嶺の北東に. 度が高く、山地帯から亜高山帯にかけてはその依存度が. ある徳島県の八 面山(1312 m)のシカの 2012-2013 年の. やつらさん. 特に高いことがわかった。ミヤコザサは分枝せず、稈の. 糞組成では双子葉植物が 50-80%と最も重要で、季節によ. 寿命が 1 年半程度なので(縣・鎌田 1979)、シカがよく. ってイネ科や針葉樹が 10%台を占めた(Yamashiro et al.. 食べる冬季に葉を除去されても、翌年の春には新しい稈. 2019)。. が出るので、再生力がある。したがってシカはミヤコザ.  以上の背景から、本調査はこれまで情報のない四国の. サを持続的に利用することができる(Takatsuki 1986)。と. シカの食性の山地帯以上における垂直的な変異を明らか. ころが、四国南西部の黒尊山系では 2005 年頃に尾根沿い. にすることを目的とし、近年のシカの強い採食影響によ. のミヤコザサ群落が強いシカの採食圧により消滅し、土. って変化した植生との関係にも関心を払うことにした。. くろそん. 壌流失が起きるまでになった(奥村 2011)。一方、丹沢 のようにスズタケがあった場所でシカが高密度化した場. 調査地. 合には、採食耐性がないスズタケ(汰木ほか 1977)はほ ぼ消滅して、シカの食糧事情は劣悪になっており、ミヤ.  三嶺は四国山地東部の剣山系に属し、標高は 1894 m で. マクマザサがある場所では冬に重要な食物になっていた。. ある。西に綱 付森・西熊山、南に白 髪山が連なり、全体.  一方、屋久島では標高 170 m から宮之浦岳の 1936 m ま. に急峻である(図 1)。気象庁のメッシュ平年値(1981 年. での範囲のシカの食性が調べられた。低地の常緑広葉樹. -2010 年)をもとに算出した年平均気温は 6.9℃、年降水. 林のシカ糞では木本植物が 80-90%を占めてササは全くな. 量 は 2677 mm で あ る( 国 土 数 値 情 報 http://nlftp.mlit.. か っ た が、1800 m 付 近 で は ヤ ク シ マ ダ ケ Pseudosasa. go.jp/ksj/gmlold/meta/ksjshpgml-G02.html, 2020 年 5 月 31 日. owatarii (Makino) Makino ex Nakai が 50-60%を占めていた. 確 認 )。 三 嶺 の 低 標 高 域 は 大 部 分 が ス ギ Cryptomeria. つなつけもり. しらが. japonica (L.f.) D.Don や ヒ ノ キ Chamaecyparis obtusa. (Takatsuki 1990)。  以上、既往情報をまとめたが、垂直変異とはいえ、低. (Siebold et Zucc.) Endl. の人工林に覆われているが、標高. 地は市街地や農耕地であるためにシカが生息していない. 1100 m 以上にはブナ Fagus crenata Blume が優占する落葉. ことが多く、これまで得られた情報も多くの場合、山地. 広葉樹林が成立し、南向き斜面では場所によってウラジ 6.

(3) 四国三嶺山域のシカの食性. 図 1.シカの糞を採集した三嶺の 3 カ所の位置図。数字は調査地番号。. ロモミ Abies homolepis Siebold et Zucc. が優占する。渓谷. 退した場所では、ガリー状や地滑り状、虫食い状など様々. 沿いの湿性立地ではサワグルミ Pterocarya rhoifolia Siebold. な土壌侵食、斜面崩壊が進行している。. et Zucc. や ト チ ノ キ Aesculus turbinata Blume、 ケ ヤ キ.  シカの糞は以下の 3 カ所で採集した(図 1)。調査地の. Zelkova serrata (Thunb.) Makino などが生育する渓谷林が. 景観を図 2 に示した。. 成立する。標高 1600 m 以上にはミヤマクマザサの優占す るササ草原が広がる。. 調査地1.さおりが原(北緯33° 49’ 3” 、東経133° 58’ 45” ).  三嶺一帯では、1970 年代からシカの生息が確認されて.  調査地 1(さおりが原)は三嶺の南西、標高 1160 m に. いたが、1990 年代までは植生への影響は認められていな. ある斜面下部の広い平坦地である。2008 年に調査地の一. かった(依光 2011)。1990 年代末頃から、三嶺の東に位. 部に防除柵が設置され、林床植生が保護されてきた。森. 置する中東山で剥皮害が増加し、2004 年から 2005 年頃. 林は渓畔林に近い組成で、優占樹種はサワグルミ、イヌ. には三嶺全体で影響が認められるようになった。落葉広. ザクラ Padus buergeriana (Miq.) T.T.Yü et T.C.Ku、トチノ. 葉樹林の林床にはスズタケが優占していたが、2001 年頃. キ、アサガラ Pterostyrax corymbosa Siebold et Zucc. などで、. からシカの採食が見られるようになり、2004 年頃から三. 林床植生はシカの食害によってほとんど裸地状態まで衰. 嶺全体で衰退した。稜線部のササ草原では、2007 年に. 退し、防除柵の外側では現在でも回復していない(図 2)。. にろうごえ. 韮生越からカヤハゲにかけてミヤマクマザサの枯死が確. 平坦地周辺の斜面には、モミ Abies firma Siebold et Zucc.. 認された(石川 2011)。スズタケやミヤマクマザサが衰. にブナ、ミズメ Betula grossa Siebold et Zucc.、カエデ類な. 図 2.シカの糞採集地 3 カ所の植生の状況。. 7.

(4) 高槻成紀・石川愼吾・比嘉基紀 どの落葉樹が混生した針広混交林が成立している。シカ. の葉(顕微鏡下では網目の葉脈やモザイク状の表皮細胞. の食害を受ける以前は、林床には密度の高いスズタケ群. が認められる)、常緑広葉樹の葉、枯葉(不透明な葉脈だ. 落が広がっていたが、現在ではほとんど消失した。植生. けが残り、表皮細胞はない)、果実、種子、稈・鞘、繊維、. が貧弱になった結果、表土の流失が激しい。. その他である。占有率がどこかの場所、いずれかの季節 に 10%を超えた食物を「主要食物」とし、場所ごとの月. 調査地2.カヤハゲ(北緯33° 49’ 37” 、東経133° 59’ 28” ). 変化と、月ごとの場所比較を多重比較(Kruskal-Wallis 検.  調査地 2(カヤハゲ)は調査地 1 の北に位置し、標高. 定、Steel-Dwass 事後検定)した。有意水準は α = 0.05 と. 1650 m である。周辺の植生は、稜線上ではかつてはミヤ. した。また、月ごとに糞採集地点間の組成を比較するた. マクマザサ群落が広く卓越していたが、シカによる食害. め に 除 歪( 傾 向 化 除 去 ) 対 応 分 析(detrended. で 2007 年に広範囲に枯死して消失した。ミヤマクマザサ. correspondence analysis、以下 DCA)をおこなった。これ. 群落が消失した後、一時は裸地状態まで植生が衰退した。. は群集ごとの量的組成を比較する手法で、ここでは糞サ. その後、ヤマヌカボ Agrostis clavata Trin. subsp. clavata 群. ンプルごとに類似性を示し、類似性が大きいほどグラフ. 落が成立し、現在ではススキ Miscanthus sinensis Andersson. 上で近くにプロットされる。. 群落が卓越している(図 2)。この地域周辺でシカの管理.  植物名は「米倉浩司・梶田忠(2003-) 「BG Plants 和名−. 捕獲が継続的に行われており、シカの個体数が減少して. 学名インデックス」(YList)、http://ylist.info(2020 年 5 月. きたため、植生は回復傾向にある。一部に不嗜好植物の. 31 日確認)」によった。. イワヒメワラビ Hypolepis punctata (Thunb.) Mett. ex Kuhn 群落やタカネオトギリ Hypericum sikokumontanum Makino. 結 果. 群落が広がっている。斜面はウラジロモミとブナの混交 主要食物. 林が卓越しているが、林床のスズタケはシカの採食圧を 受けて壊滅状態である。この場所は、剣山系で最初にシ.  主要食物に該当したのは、ササ、イネ科、双子葉植物、. カの被害が顕在化した場所であり、多くの防除柵や表土. 枯葉、稈・鞘、繊維の 6 群であった。これらを 3 カ所で. 流失防止のための植生シートが敷設されている。しかし、. 比較する(図 3)。主要食物を含む各食物カテゴリーの組. 土壌流失や斜面崩壊は現在も完全には止まっていない。. 成は付録 1 付表 1 に示した。. 調査地3.地蔵の頭(北緯33° 49’ 45” 、東経133° 57’ 4” ). 主要食物占有率の場所比較.  調査地 3(地蔵の頭)は三嶺の西にあり、標高 1780 m で、.  糞分析ではミヤマクマザサとスズタケの葉は区別でき. 周辺の植生は、稜線上ではミヤマクマザサ群落が広く卓. なかった。糞組成においては、ササは 3 カ所で大きな違. 越している(図 2)。南斜面はウラジロモミとブナの混交. いがあり、調査地 3(地蔵の頭)では非常に多く、調査. 林が卓越しているが、北斜面ではウラジロモミが少ない。. 地 2(カヤハゲ)と調査地 1(さおりが原)では非常に少. シカの食害は多数みられるものの、ササ群落が消失する. なく、特に調査地 1 ではほとんど出現しなかった。ササ. ような強度の被害は受けていない。. の占有率は 5 つの月すべてで調査地 3 が有意に多く、調 査地 1 と調査地 2 は少なかったが、この 2 カ所では調査 地 2 の方が多いことが多く、有意差がなかったのは 2 例. 方 法. だけであった(統計情報は付録 1 付表 2 参照)。.  各地点で各調査月に新鮮なシカの糞を 10 の糞塊からそ.  イネ科は調査地 2 で多く、次いで調査地 3 で、調査地. れぞれ 10 粒採集した。採集は 2019 年 5 月、7・8 月(調. 1 では少なかった。有意差がなかったのは 5 月と 11 月の. 査地 1 では 7 月に採集できず 8 月 5 日に採集したが、以. 調査地 2 と調査地 3 の間、3 月の調査地 1 と調査地 3 の. 下の結果では「7 月」とする)、9 月、11 月、2020 年 3 月. 間の 3 例にすぎなかった(付録 1 付表 2 参照)。. に行った。糞サンプルは 0.5 mm 間隔のフルイ上で水洗し、.  双子葉植物は調査地 1 で最も多く、調査地 2 がこれに. 残った植物片を顕微鏡により、ポイント枠法で分析した. 次ぎ、調査地 3 で最も少なかった。5, 7 月と 11, 3 月には. (Chamrad and Box 1964;Stewart 1967) 。糞内容物は次の 8. ほとんど有意差がなかったが、9 月は調査地 1 での多さ. つのカテゴリーに分けた。ササの葉、イネ科(ササ以外. が目立った(付録 1 付表 2 参照)。. のイネ科の葉)、スゲ、その他の単子葉植物、双子葉植物.  枯葉は全体に少なかったが、調査地 1 の秋と冬に多く 8.

(5) 四国三嶺山域のシカの食性. 図 3.三嶺の 3 カ所におけるシカ糞の主要食物の占有率の季節推移。. なった。調査地間の占有率は 5 月から 9 月まではほとん. と対応しなかった。多くの月では調査地 1-2 の間、調査. ど有意差がなかったが、11 月と 3 月には調査地 1 が有意. 地 1-3 の間では有意差がないこともあったが(付録 1 付. に多くなった(付録 1 付表 2 参照)。. 表 2)、9 月は調査地 2(55.7%)> 調査地 1(42.5%)> 調.  稈・鞘は調査地 2 で最も多く、ついで調査地 1 で多い. 査地 3(18.6%)の順で少なくなり、有意差があった(付. 傾向があり、調査地 3 では少なかった。稈・鞘はイネ科. 録 1 付表 2)。. やカヤツリグサ科由来であるから、調査地 2 で多かった.  繊維は調査地 1 の春と冬に多く、調査地 2 と調査地 3. のは当然であるが、調査地 1 で多かったのは現地の植生. では少なかった。5 月、7 月、3 月は調査地 1 が他の 2 カ 9.

(6) 高槻成紀・石川愼吾・比嘉基紀. 図 4.三嶺 3 カ所における糞組成による DCA 展開図。+:3 カ所のうち対象地でない場所(例えば調査地 1 の場合、調査地 2 と 3) でのサンプルのプロット。右下図は糞サンプルの位置づけを決める食物成分の位置を示す。. 所よりも有意に多かった(付録 1 付表 2 参照)。. から 3 月に減少した(t2 = 3.784、P = 0.001)。数字は小さ いが調査地 2, 3 でも同じ季節変化を示した(付録 1 付表. 主要食物の占有率の各調査地での月変化. 3 参照)。.  主要食物の占有率を調査地ごとに採集月が隣接してい.  枯葉は調査地 1 でやや多く、9 月から 11 月まで有意に. る月について比較すると次のようになった。. 増加し(Kruskal-Wallis 検定、χ 2 = 41.02、P = 0.000;Steel-.  ササは調査地 3 で多かったが、その中での月変化に有. Dwass 検定、t2 =-3.964、P = 0.001)、11 月から 3 月に有意. 意差があったのは 5 月から 7 月の増加だけであった. に減少した(t2 = 3.3277、P = 0.008、その他は付録 1 付表 3 参照)。. (Kruskal-Wallis 検定、χ = 27.68、P = 0.000;Steel-Dwass 2. 検定、t2 = -3.780、P = 0.001、その他は付録 1 付表 3 参照)。.  稈・鞘は全体に多く、調査地 3 がやや少なかった。調.  イネ科は調査地 2 で多かったが、月変化に有意差があ. 査地 1 では 5 月から 7 月に有意に増加し(Kruskal-Wallis. ったのは 7 月から 9 月の減少だけであった(Kruskal-Wallis. 検 定、χ 2 = 32.78、P = 0.000;Steel-Dwass 検 定、t2 =. 検定、χ = 26.07、P = 0.000;Steel-Dwass 検定、t2 = 0.175、. -3.477、P = 0.005)、7 月 か ら 9 月 に さ ら に 増 加 し(t2 =. P = 0.013、その他は(付録 1 付表 3)。. -3.025、P = 0.021)、11 月から 3 月に減少した(t2 = 3.477、.  双子葉植物は調査地 1 で多く、5 月から 7 月(Kruskal-. P = 0.005、その他は付録 1 付表 3 参照)。調査地 2 でも多. Wallis 検定、χ = 41.76、P = 0.000;Steel-Dwass 検定、t2 =. かったが、季節的パターンは不明瞭で、有意差があった. -3.781、P = 0.001)、7 月から 9 月(t2 = -3.024、P = 0.021). の は 7 月 か ら 9 月 の 増 加(Kruskal-Wallis 検 定、χ 2 =. に増加し、9 月から 11 月(t2 = 3.780、P = 0.001)と 11 月. 23.89、P = 0.000;Steel-Dwass 検定、t2 = -2.873、P = 0.033)、. 2. 2. 10.

(7) 四国三嶺山域のシカの食性. 図 5.調査地 1(さおりが原)の景観写真。A:2003 年。林床にスズタケが密生していた。B:2013 年。シ カの影響によりスズタケは完全に消滅した。(撮影:門脇義一氏)。. 11 月から 3 月の減少(t2 = 3.704、P = 0.002)だけだった。. 最も右側に位置したこともササの優占を反映していた。.  繊維は調査地 1 で多く、5 月から 7 月(Kruskal-Wallis 検定、χ 2 = 39.81、P = 0.000;Steel-Dwass 検定、t2 = 3.402、. 考 察. P = 0.006)、7 月から 9 月(t2 = 3.780、P = 0.001)に減少し、. 各調査地でのシカの食性と生息地の植生の関係. 9 月から 11 月は有意差がなく(t2 = 0.227、P = 0.999)、11 月から 3 月で再び増加した(t2 = -3.780、P = 0.001)。.  四国の高峰である三嶺の山地帯以上のシカの食性の変.  このようにシカの糞組成は場所による違いが非常に明. 異に着目して分析したところ、標高 1100 m 台の調査地 1. 瞭で、調査地 1 では夏に双子葉植物、冬に繊維や枯葉が. (さおりが原)、1650 m の調査地 2(カヤハゲ)、1780 m. 多く、調査地 2 ではイネ科、調査地 3 ではササが多く、. の調査地 3(地蔵の頭)で明瞭な違いがあった。. これらの結果は現地の植生をよく反映していた。.  調査地 1 の植生はサワグルミ、トチノキなどが多い渓 畔林的な森林であり、シカの影響が強いため、林床植生. DCA. が非常に貧弱である(図 2)。それを反映してシカの糞組.  DCA の結果を図 4 に示した。調査地 1 のサンプルは全. 成も緑葉は少なく、繊維や稈・鞘が多かった。ただし夏. 体にグラフの左側に集中し、5 月が最も上に位置し、そ. には双子葉植物の葉がやや増える季節変化を示した。サ. の後 7 月、9 月と下がり、11 月が最下となり、3 月に上. サが微量出現したが、これが高地のミヤマクマザサであ. 昇して 7 月と大きく重複した。5 月に左上にプロットさ. るか、ここにかつて豊富にあったスズタケであるかは、. れたのは繊維が多かったことに対応し、その後下がった. 糞分析では区別ができなかった。この場所は、かつては. のは稈・鞘が増えたことに対応し、11 月に最下となった. スズタケが密生していたが、シカが増加して 2010 年くら. のは枯葉が増えたことに対応する。. いから激減した(図 5)。スズタケは枝数が少なく、年毎.  調査地 2 のサンプルは中央下部に横に広がり、5 月、7 月、. の更新率が低い、つまり葉の回転率が低いため、採食に. 9 月は重複しながら集中し、11 月には左下に分離し、3. 対する耐性がない(汰木ほか 1977)。調査地 1 の近くで. 月には再び右上に上がった。調査地 2 全体が調査地 1 よ. は 2010 年 8 月と 2013 年 3 月に本調査と同様な方法で糞. りも右側にプロットされたのはイネ科が多かったことと. 分析が行われている(Asakura et al. 2014)。当時はササが. 対応し、11 月に左下にプロットされたのは枯葉の多さと. 8 月に 10.1%、3 月に 22.5%を占めたが、今回はいずれも. 対応する。. 1%未満であった。同様のことは神奈川県の丹沢山塊でも.  調査地 3 のサンプルは右上に集中し、5 月は中央上に、. 記録されている。1970 年代には丹沢のシカはスズタケを. 7 月は右に、9 月は中央に位置し、11 月は 7 月、9 月と重. よく食べていたという記録があるが(古林・丸山 1977)、. 複し、3 月は最も右上にプロットされた。調査地 3 が右. 2018 年の調査ではほとんど検出されなかった(高槻・梶. 側に位置したのはササが多かったことに対応し、3 月に. 谷 2019)。したがって、スズタケが優占する場所におい 11.

(8) 高槻成紀・石川愼吾・比嘉基紀. 図 6.調査地 2(カヤハゲ)の景観写真。A:2004 年 7 月。ミヤマクマザサが密生していた。B:2009 年 5 月。 シカの採食により枯れた。白っぽく見えるのは枯れた稈(撮影:暮石 洋氏)。. てシカが増加すると、その影響は強く現れると言える。. に続く斜面にウラジロモミやブナからなる林があり、か. 実際、調査地 1 では植物が著しく減少し、大規模な土壌. つてはこの林床にスズタケがあったが、現在はシカの影. 流失も起きている。調査地 1 での双子葉の占有率は 2010. 響で壊滅状態にある。したがって、ササを多く含んでい. 年 8 月に 22.3%、2013 年 3 月に 18.5%であったが、今回. たサンプルは調査地 2 のシカが、現在もミヤマクマザサ. はそれぞれ 14.7%と 1.2%であり、ササほどではないがや. がある三嶺の南斜面などに行ってササを食べて戻って来. はり大幅に減少した。これらに対して稈・鞘は 2010 年 8. たか、あるいはその辺りにいるシカが調査地 2 に降りて. 月に 26.0%、2013 年 3 月に 13.7%であったが、今回はそ. きて排糞をした可能性が大きい。. れぞれ 30.2%、24.5%と、特に冬に大幅に増加し、繊維.  調査地 3(地蔵の頭)はミヤマクマザサが密生してお. も 2010 年 8 月に 11.8%、2013 年 3 月に 23.4%であったが、. り(図 2)、シカの糞もほぼササで独占されていた。糞中. 今回はそれぞれ 24.8%、30.7%と、特に夏に大幅に増加. のササは特に冬に多くなったが、これはササが常緑であ. した。また枯葉が秋に 17.5%、冬に 9.9%を占め、3 カ所. るため、他の落葉性の樹木や草本類が枯れた後、シカの. で最も多かった。シカの影響が強く植生が貧弱な丹沢で. 食物としての相対的な価値が大きくなるためであろう。. は 5 カ所で調査したが、枯葉は最も多かった場所でも冬. 同様なことは岩手県五葉山(Takatsuki 1986)や山梨県乙. に 5.1%、春に 7.0%であった(高槻・梶谷 2019)。これ. 女高原(Takahashi et al. 2013)のミヤコザサでも示された。. と比較しても、本調査の調査地 1 での枯葉の占有率は大.  調査地 1 と調査地 2 とは標高差は 500 m ほどあるが、. きく、シカの食物状況が劣悪であることを示唆していた。. 距離は 1.5 km ほどでしかなく、調査地 2 と調査地 3 とは. このように、調査地 1 では、2010 年にもシカの影響で植. 距離は 3.6 km ほどあるが、標高差は 100 m あまりしかな. 生はかなり貧弱になっていたが、その後さらに減少した. い。にもかかわらず糞組成は全く違うものであった。こ. ことがシカの食性に反映されていた。. のことはシカの行動圏が狭いことを示唆する。四国西部.  調査地 2(カヤハゲ)は草原状態で、早くからシカの. の黒尊山系でシカの行動圏を調べた奥村(2011)によれば、. 影響が顕在化した場所である。かつてはミヤマクマザサ. 当地のシカの行動圏は 0.5 km2 程度(直径約 800 m)であ. が広がっていた(図 6)。シカの影響でミヤマクマザサが. ったという。また剣山・三嶺山系での調査では行動圏の. 減少した後ではヤマヌカボ群落が広がったが(石川 2011,. 平均値が 1.64 km2 であったが、個体ごとの変異が大きく、. 2015) 、シカの影響がさらに強くなるとこれも減少し、土. 15 例のうち、11 例は 1 km2 未満で、6 例は 0.5 km2 未満で. 壌流失や斜面崩壊が起きた。その後、シカ頭数抑制が行. あった(環境省 2019)。行動圏はシカが行動する最大の. われたため植生が回復し、現在ではススキ群落が広がり. 範囲であり、シカは日常的にはその一部を高頻度で利用. (図 2)、シカが好まないイワヒメワラビ群落やタカネオ. するであろうから、その範囲はかなり狭いはずである。. トギリ群落も見られるようになった。シカの糞組成はこ. したがって本調査の調査地の 2 カ所、3 カ所が行動圏に. くろそん. のことをよく反映して、イネ科と稈・鞘が多かった。サ. 含まれるとは考えにくい。シカの糞組成が場所ごとに大. ンプルの 1 つでササを多く含むものがあった。調査地 2. きく違ったのは、シカの行動圏が狭いことと関係してい 12.

(9) 四国三嶺山域のシカの食性 る可能性がある。. はほとんどなく、常緑の低木が多く、草本類も生育期が.  著者の一人石川は長年調査地の植生を観察しており、. 長いので、シカの食糧事情は冬でも大きくは低下しない. 調査地 1 におけるスズタケの減少・消滅を目の当たりに. ため、季節的な変動が小さいと考えられる。このような. した。現在の調査地 1 はシカの食物になる植物が非常に. 中で、西南日本太平洋側の高標高地域ではシカの食物供. 乏しくなっており、そのことは糞分析結果にも反映され. 給量の季節的変動は大きい。このことは調査地 2 で夏に. ていた。一方、調査地 3 には現在でも豊富にミヤマクマ. イネ科や双子葉植物が増え、冬に減少して、秋や冬に繊. ザサがあり、シカの強い採食圧を受けている。2000 年以. 維や稈・鞘、枯葉などの栄養価の低い成分が増加すると. 前は調査地 3 を含む稜線上でシカの姿を見るのは稀であ. いう形で示された。しかし稜線沿いの調査地 3 ではミヤ. った。このような状況から推察すると、山地帯にいたシ. マクマザサがあるためにそこのシカは冬でもササを利用. カ集団が増加して生息域を稜線にまで拡大して、強い採. していた。多雪地以外の稜線部でササが大面積であるの. 食圧を加えるようになった可能性がある。. は四国に固有なことであり(石川 2011)、そのことがシ.  次に調査地のシカの食性における双子葉植物に触れて. カの糞組成に反映されていた。この意味で、常緑であり、. おく。三嶺の 3 カ所の糞組成では双子葉植物の占有率は. 植物量も多いササが四国山地の稜線部に豊富にあること. 小さく、15 例のうち、10%以上を占めたのは 3 例にすぎず、. は、シカの食物として価値が大きい。稜線部のミヤマク. そのほかは 10%未満であった(付録 1 付表 1)。調査地 1. マザサについては、シカの採食影響に対する耐性を含め、. での 8 月の双子葉植物の占有率は 14.7%であったが、こ. さらに調査する必要がある。一方、四国の森林限界より. こでは 2010 年 8 月にも糞分析をしており、当時は 22.3%. も低い場所でササ原が成立することについて、人為的な. と多かった(Asakura et al. 2014)。また三嶺の北東にある. 影響であるという議論もあり(鎌田 1994;佐々木 2003)、. 八面山では、双子葉植物は夏に 53.9%、秋には 80.6%の. シカとの関連でさらに研究が必要であろう。. 高率を占めていた(Yamashiro et al. 2019)。このような情.  以上、三嶺でのシカの食性の位置付けを試みた。今後、. 報から推察すると、本来の四国のシカにとっては双子葉. 暖温帯の他の場所や、近畿地方、中部地方などのシカの. 植物が現在よりは重要度が大きかったが、現在の三嶺で. 食性の垂直変異についての情報の「空白地帯」での調査. はシカ自身の採食影響により双子葉植物が減少して、シ. が期待される。. カの食性に占める割合が小さくなった可能性が大きい。 三嶺の植生の保全とシカの食性 全国的に見た四国のシカとササの関係.  以上から、調査地 1(さおりが原)とその下部では現.  日本以外の冷温帯のシカ類の食性を考えると、イネ科. 状ではシカの影響が過度に強く、シカの個体数調整によ. を利用するものは少なくない。しかしイネ科は秋に枯れ. って影響を抑制する必要がある。このことは調査地 2(カ. るので、シカ類にとって冬の食物事情は質的にも量的に. ヤハゲ)でも同様であり、現在進められている防除柵や. も低下する。反芻獣ではタンパク質が欠乏しがちであり、. シートによる植生回復は不可欠であろう。調査地 3(地. ワピチ Cervus elaphus の場合、タンパク質含有率が 5%以. 蔵の頭)とこれに続く稜線では、捕獲以外にはこれまで. 下になると栄養不足となり、このレベルが生存の臨界値. 特に対策は取られていないが、シカによるミヤマクマザ. であるとされる(Wallmo et al. 1977;Swift 1983)。笹竹類. サの利用の程度には局所性があり、場所によっては強度. は特にアジアで種数、量的にも豊富であるが、湿潤気候. の影響を受けている(堀澤・石川 2013)。ここを含む西. を必要とするので、東アジアでは沿岸部に分布する。た. 熊山、天狗塚(1812 m)に至る稜線一帯は「三嶺・天狗. だし、揚子江以北(北緯 32 度)にはほとんど生育しない。. 塚のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落」として 1994 年. これに対して日本列島は多湿であるために、樺太に至る. に天然記念物に指定された。今後、シカの影響がさらに. 広い範囲(北緯 48 度)にササが分布する(鈴木 1978;. 強くなれば、調査地 2 で起きたような枯死、消失が起き. 小林 2017)。このように考えると日本列島の冷温帯のニ. る可能性もあり、このことを視野に入れた管理が必要で. ホンジカが冬でもササを利用できるのは世界のシカ科全. あろう。. 体から見てもユニークなことである(高槻 2006)。.  シカ管理においては頭数調査が行われることが多いが、.  その日本列島の南側に位置する西南日本太平洋側では、. 頭数そのものは生息地の植生により実質的な意味が違い、. 低地の常緑広葉樹林帯は林床が暗いため、林床植物は種. 例えば人工林のような林床植生が貧弱な場所では密度が. 数は別としても、量的にはあまり多くない。しかし積雪. 低くても植生への影響は大きくなり、シカの食糧事情は 13.

(10) 高槻成紀・石川愼吾・比嘉基紀 んなの会, 高知 石川 愼吾 (2011) 三嶺山域稜線部のササ原の枯死と再生を 考える. (依光良三 編) シカと日本の森林, 122-138. 築地 書館, 東京 石川 愼吾 (2015) 四国山地のササ草原とシカ. (前迫 ゆり, 高槻 成紀 編) シカの脅威と森の未来−シカ策による植 生保全の有効性と限界, 186-196. 文一総合出版, 東京 鎌田 磨人 (1994) 徳島県剣山系におけるササ草原の成立と 維持過程. 徳島県立博物館研究報告, 4:97-113 環境省 (2019) 国指定剣山山系鳥獣保護区におけるニホン ジカ管理計画. 環境省, 東京 Kitamura T, Sato Y, Takatsuki S (2010) Altitudinal variation in the diet of sika deer on the Izu Peninsula: patterns in the transitional zone of geographic variation along the Japanese archipelago. Acta Theriologica, 55:89-93. https://doi. org/10.4098/j.at.0001-7051.100.2008 小林 幹夫 (2017) 原色植物分類図鑑 日本のタケ亜科植 物. 北隆館, 東京 奥村 栄朗 (2011) 三本木坑周辺のニホンジカによる天然林 衰退. (依光 良三 編) シカと日本の森林, 139-158. 築地書 館, 東京 佐々木 直子 (2003) 瓶ケ森氷見二千石原における過去700 年間の植生景観と人間活動. 日本生態学会誌, 53:219232. https://doi.org/10.18960/seitai.53.3_219 Stewart DRM (1967). Analysis of plant epidermis in faeces: A technique for studying the food preferences of grazing herbivores. Journal of Applied Ecology, 4:83-111. https://doi. org/10.2307/2401411 鈴木 貞雄 (1978) 日本タケ科植物総目録. 学習研究社, 東京 Swift D (1983) A simulated model of energy and nitrogen balance for free-ranging ruminants. Journal of Wildlife Management, 47:620-645. https://doi.org/10.2307/3808600 Takahashi K, Uehara A, Takatsuki S (2013) Food habits of sika deer at Otome Highland, Yamanashi, with reference to Sasa nipponica. Mammal Study, 38:231-234. https://doi. org/10.3106/041.038.0302 Takatsuki S (1983) The importance of Sasa nipponica as a forage for Sika deer (Cervus nippon) in Omote-Nikko. Japanese Journal of Ecology, 33:17-25. https://doi. org/10.18960/seitai.33.1_17 Takatsuki S (1986) Food habits of Sika deer on Mt. Goyo. Ecological Research, 1:119-128. https://doi.org/10.1007/ BF02347015 Takatsuki S (1990) Summer dietary compositions of sika deer on Yakushima Island, southern Japan. Ecological Research, 5:253-260. https://doi.org/10.1007/BF02346995 高槻 成紀 (2006) シカの生態誌. 東京大学出版会, 東京 Takatsuki S (2009) North-south variations in sika deer ecology as a forest-dwelling cervid. In: McCullough DR, Takatsuki S, Kaji K (ed) Sika Deer: Biology and Management of Native and Introduced Populations, 217-230. Springer, Tokyo 高槻 成紀, 梶谷 敏夫 (2019) 丹沢山地のシカの食性−長期 的に強い採食圧を受けた生息地の事例. 保全生態学研 究, 24:209-220. https://doi.org/10.18960/hozen. 悪く、栄養状態などにも影響する。また直接目撃による 頭数調査は状況により発見率が大きく変動する。その意 味でシカ頭数あるいは密度だけでなく、シカの置かれた 質的な状況を判断する必要がある。この点、本調査のよ うにシカの食性を明らかにすることにより、調査地 1 で はシカの食物事情が劣悪であること、調査地 3 では稜線 に残されたササに強く依存しており、ササの今後が注目 されることなどが示された。  調査地 1 の場合、偶然 2010 年と 2013 年にシカの糞を 採集して分析していたので、シカ増加によってスズタケ が消滅したことがその後のシカの食性に変化をもたらし ていたことを確かめることができた。この意味で、シカ 管理と植生保全においてシカの食性解明が有効であるこ とを指摘しておきたい。. 謝 辞  シカの糞の採集では、三嶺の森をまもるみんなの会の 押岡茂紀氏、高知大学大学院の幸田将平氏にご協力いた だいた。高知県鳥獣対策課の門脇義一氏と特定非営利活 動法人三嶺の自然を守る会の暮石洋氏にはさおりが原と カヤハゲの異なる年代の景観写真を提供いただいた。認 定特定非営利活動法人四国自然史科学研究センターの金 城芳典氏には 2010 年のシカ糞分析結果と今回の結果につ いて有益なコメントをいただいた。これらの方々にお礼 申し上げます。. 引用文献 縣 和一, 鎌田 悦男 (1979) 数種在来イネ科野草の生態特性 と乾物生産 1. ミヤコザサ群落の生育環境. 日本草地学 会誌, 25:103-109 Asakura G, Kaneshiro Y, Takatsuki S (2014) A comparison of the fecal compositions of sympatric populations of sika deer and Japanese serows on Mt. Sanrei in Shikoku, southwestern Japan. Mammal Study, 39:129-132. https://doi. org/10.3106/041.039.0201 Chamrad AD, Box TW (1964) A point frame for sampling rumen contents. Journal of Wildlife Management, 28:473477. https://doi.org/10.2307/3798199 古林 賢恒, 丸山 直樹 (1977) 丹沢山塊札掛におけるシカの 食性. 哺乳動物学雑誌, 7:55-62. https://doi.org/10.11238/ jmammsocjapan1952.7.55 堀澤 凌甫, 石川 愼吾 (2013) 剣山系稜線部におけるササ草 原の現状. (三嶺の森をまもるみんなの会 編) どう守る 三嶺・剣山系の森と水と土−シカ被害対策を考える・ シンポジウム(6)資料集, 21-25. 三嶺の森をまもるみ 14.

(11) 四国三嶺山域のシカの食性 付録1 付表2. 糞分析(ポイント枠法)による三嶺3カ所 (調査地1:さおりが原、調査地2:カヤハゲ、調査 地3:地蔵の頭)におけるシカの各食物組成の占有率 (%)の場所比較(Steel-Dwass検定)における統計 情報。11月までは2019年、3月は2020年。*: P < 0.05, **: P < 0.01, NS: 有意差なし。. Wallmo OC, Carpenter LH, Regelin WL, Gill RB, Baler DL (1977) Evaluation of deer habitat on a nutritional basis. Journal of Range Management, 30:122-127. https://doi. org/10.2307/3897753 Yamashiro A, Kaneshiro Y, Kawaguchi Y, Yamashiro T (2019) Dietary overlap but spatial gap between sympatric Japanese serow (Capricornis crispus) and Sika deer (Cervus nippon) on Eastern Shikoku, Japan. Mammal Study, 44:261-267. https://doi.org/10.3106/ms2018-0072 汰木 達郎, 荒上 和利, 井上 晋 (1977) スズタケの生態に関 する研究. 九州大学農学部演習林報告, 50:83-122 依光 良三 (2011) シカと日本の森林. 築地書館, 東京. 付録1 付表3. 糞分析(ポイント枠法)による三嶺3カ所 (調査地1:さおりが原、調査地2:カヤハゲ、調査 地3:地蔵の頭)におけるシカの各食物組成の占有率 (%)の季節比較(Steel-Dwass検定)における統計 情報。11月までは2019年、3月は2020年。*: P < 0.05, **: P < 0.01, NS: 有意差なし。. 付 録. 付録は本文のオンラインサイトに掲載。. 付録1 付表1. 糞分析(ポイント枠法)による三嶺3カ所 (調査地1:さおりが原、調査地2:カヤハゲ、調査 地3:地蔵の頭)におけるシカの各食物組成の占有率 (%)。11月までは2019年、3月は2020年。. https://doi.org/10.18960/seitai.71.1_5. 15.

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