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ABO血液型はVWFをして何を語らしむのか

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Academic year: 2021

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(1)血栓止血誌 2021; 32(1): 64-69. 研究四方山話. ABO 血液型は VWF をして何を語らしむのか 松井太衛 藤田医科大学大学院医療検査学領域臨床病態解析学. 研究には波があることは研究者なら誰でも経験す. ウィルブランド因子(VWF)の 2050 アミノ酸残基. ることだろう.目標があって黙々と力仕事に明け暮. の全一次構造と cDNA 配列を決定していた1).VWF. れ,アイデアが湧きデータがどんどん出る時代もあ. の約 15%を占める糖鎖構造のうち,N 結合糖鎖を. れば,何をやってもうまくいかず,論文は出ないし. 網羅的に決定せよ.これが私に投げかけられたテー. 壁にぶつかって自信喪失する時代もある.自分の研. マの 1 つであり,VWF との出会いであった.1970. 究生活を振り返ればそんなことの繰り返しであり,. 年代から 1980 年前半にかけて,VWF の糖鎖,特に. 些細な成果しかあげられなかったが,良き師と共同. シアル酸とガラクトースがフォンウィルブランド病. 研究者に恵まれ,現象と物質の両面から血栓止血学. と関係する,しないで論争になっていたことも糖鎖. を学ぶことができたと思う.. 構造を決める目的になっていたのかもしれない(タ ンパク質以外はあまり興味のない千谷先生だったの. VWF との出会い. でちょっと考えにくいが).何はともあれ,やった こともない糖鎖構造解析を見よう見まねで始めたも. 私は元々生物畑出身で,大学院時代は星元紀先生. のの,水落先生はとっととイギリスへ留学してし. (東京工業大学名誉教授)の指導の下でヒトデを材. まった.その間,技術的なノウハウは IgG の糖鎖. 料に,精子先体反応誘起物質の研究をしてきた.受. 構造解析で学位を取りに研究室に出入りしていた濵. 精に必須の先体反応に関わる卵側の物質の探究とい. 子二治先生(現 藤田医科大学名誉教授)に教えて. うことで,「現象から物質へ」というオーソドック. もらった.濵子先生とはその頃からのコンビである.. スな研究スタイルを学んだ.ポスドクを経て,1987. こうして自分は糖鎖構造解析の深い沼に沈んで. 年に藤田保健衛生大学(藤田医科大学)総合医科学. いった.. 研究所医高分子部門の千谷晃一教授(故人)の助手 として赴任した時は既に 30 歳だった.千谷先生は タンパク質化学の権威だったが,研究室内はヘテロ. VWF と ABO 抗原. な環境だった.助教授として糖鎖構造解析の専門家. 当時の N 結合糖鎖の構造解析は,ヒドラジン分. である水落次男先生(故人),講師には細胞外マト. 解でタンパク質から遊離させたオリゴ糖鎖の還元末. リクスの専門家である関口清俊先生(現 大阪大学. 端をトリチウム(3H)で標識し,高圧濾紙電気泳. 名誉教授),そして核酸研究者の小山文隆先生(現 . 動やレクチンカラムで分画した各画分を 1 m のカラ. 工学院大学教授)を関口先生の助手として集めてい. ムを 2 本直結した Gio-Gel P-4 でのゲル濾過にかけ,. た.タンパク質,核酸,糖鎖のすべての生体高分子. 約 18 時間かけて分画するというもので,グリコシ. に通じる研究室を作ることを理想としたのだろう.. ダーゼで消化してはゲル濾過を繰り返すので非常に. ところが,意に反して研究室内では争いが絶えず,. 時間がかかるものだった(図 1).現在では質量分. 超アグレッシブな千谷先生と団塊世代の水落先生は. 析器を使って網羅的に決定されるが,地道な過去の. 水と油の関係だった.. 基礎データがあるからこそ質量分析データとの照ら. 千谷先生は 1985 年当時,Sadler 博士らとフォン. し合わせが可能になっていると思っている.ご存知 日本血栓止血学会誌.

(2) 65. 図 2 UEA-I レクチンの反応性 メンブレンに唾液や VWF を直接ピペットで塗布し,ペ ルオキシダーゼ標識 UEA-I(抗 H レクチン)との反応性 を見ただけの荒っぽいドットブロットアッセイ.VWF は UEA-I と反応している(1991 年当時の実験ノートより加 筆).後に,研究室にも高価なドット・ブロッターがある ことを知り,こんな原始的なやり方はしなくなった.. た疑問も浮かんでいたが,日々の体力仕事の中で物 質(構造)から生命現象へどのようにつなげたら良 いのか考える余裕もなかった.その中で,丁寧に各 レクチン画分に含まれる糖鎖群の構造を決めて行く と,VWF の N 結合糖鎖は広く見つかるシアル化 2 本鎖複合型糖鎖が 60%程度を占めていたが,10 ∼ 15%に非還元末端のガラクトースに何か付いている 糖鎖が見つかった.VWF が H 型糖鎖に親和性を示 す UEA-I レクチンと反応することは,卒論生がお こなった原始的なドットブロットアッセイでつかん 図 1 N 結合糖鎖の構造解析の概要 1980 年代に確立されていた N 結合糖鎖の構造解析を簡単 にイラストにしたもの.ヒドラジン分解により遊離させ たオリゴ糖鎖の還元末端を 3H で標識し,高圧濾紙電気泳 動(HVPE)やレクチンカラムで分画し,さらに各画分 をエキソグリコシダーゼで消化して Bio-Gel P-4 カラムで の溶出位置の変化から外れてくる糖を決定した.最終的 にはメチル化分析と GC-MS により,単糖間の結合位置 が決定された.. でいたし(図 2),この糖鎖は糖脂質の非特異的な 結合ではないことも明らかにしていた2).一方,あ るオリゴ糖鎖の画分を GalNAc 分解酵素で消化する と UEA-I カラム結合活性が現れることで,A 型糖 鎖が証明された.これらのことから,VWF に ABO 血液型糖鎖が含まれることをつかんだ.この結果を 最初に水落先生に報告したが,血漿タンパク質で血 液型があるはずがないということだった.しかし, 文献を調べると,Sodetz らが,VWF/FVIII 複合体に. のように糖タンパク質の糖鎖配列は,核酸(塩基配. ABO 抗原が存在することを血球凝集抑制活性を. 列)やタンパク質(アミノ酸配列)と違って一様で. 使って既に報告していることが分かった3).我々の. なく,複雑で多様性に富む.しかし,多様ではある. 結果は,糖鎖構造レベルで VWF に ABO 血液型抗. ものの,1990 年代までにほとんどの糖鎖構造は既. 原が存在することを初めて証明するものだった4).. に明らかにされていた.それら既知の糖鎖構造がど のくらいの割合で存在するかといった結果や,わず か 0.1%の割合でしかない重箱の隅をつつくような 糖鎖構造を決めてどのような意味があるのかといっ 第 32 巻 第 1 号. 血液型抗原探し 血液型が VWF に存在するなら他にも血液型を持.

(3) 66. つ血漿タンパク質があるのではないか,当然そうい. 当てはまることを確認したほか,AO 型や BO 型な. う疑問を持つ.そこで,精製された血漿タンパク質. ど の ヘ テ ロ で は AA 型 や BB 型 の ホ モ に 比 べ て. を購入したり,市販されていない血漿タンパク質は. VWF 濃度が下がる傾向があることを発見した8).. 片っ端から免沈したりしてウエスタンブロットで血. また,イギリスの O Donnell らは,VWF 上の H 型. 液型抗原の有無を調べていった.凝固第 VIII 因子. 糖鎖が AO や BO で AA や BB よりも多いことを示. (FVIII)にも血液型があることは我々が VWF で報. した9).自分としては,単純に血漿糖タンパク質の. 告するすぐ前に,広中らによって報告されていた5).. クリアランス機構として肝臓レクチンが関与するな. VWF からのコンタミも考えられたが我々も第 VIII. らば,O 型に多い H 型糖鎖を認識するレクチンが. 因子濃縮製剤を使って確認した.他に血漿中では. 存在するか,肝レクチンは H 型に親和性を示すの. α2 マクログロブリン(α2M)に血液型があることが. ではないかと推測した.肝レクチンの cDNA を海. 明らかになった .この結果を大阪で開かれた研究. 外から送ってもらって,組換えレクチンを発現して. 会で話したところ,検査技師の先生から臨床検査で. 差を見ようと計画したが当時の自分にはまだ遺伝子. は α2M に血液型があることは常識だと言われてびっ. 発現の経験がなく,そのままになってしまった.. 6). くりしたことを覚えている.しかし,未だにこの血. O Donnell ら は さ ら に ABO 血 液 型 を 持 た な い. 液型を持つ α2M がどこで合成されるのかは不明で. Bombay 型ドナーの VWF が O 型ドナーの VWF より. ある.血中の α2M は含量が多いが,すべてに血液. も ADAMTS13 感受性が高くなることを示した10).. 型があるわけではなく,血液型をもつのはそのほん. この結果は,糖鎖構造の差というよりも単純に糖鎖. の一部に過ぎない.α2M は肝臓で合成されると教科. の数が ADAMTS13 感受性に影響することを示唆し. 書には書かれているが,肝臓で合成される凝固因子. ている.糖残基 1 個の差が立体障害に影響を与える. (FVIII を除く)や補体系タンパク質は血液型を持た. としたら糖タンパク質において糖鎖の持つ意味は大. ない.結局,20 種類ほどの血漿タンパク質をサー. きい.実際,最近では,奈良医大の松本雅則先生の. ベイしたが,VWF,FVIII,α2M の 3 つしか血液型. グループが,A 型 VWF は B 型や O 型 VWF よりも. を発現していなかった.がん胎児性抗原の CEA に. ADAMTS13 切断に対して防御的であることを報告. 一部血液型を持つデータが出たがすべての検体で検. している11).A 型と B 型の違いは末端のガラクトー. 出されるわけではなかった.いずれにしても 100 種. スの 2 位の炭素が N- アセチル化されているかどうか. 類ほどある血漿タンパク質で少なくとも 3 つに限定. である.このような些細な違いも ADAMTS13 に対す. される結果は興味深かった.何がこれらの限定的な. る立体障害に寄与することを示唆していて興味深い.. タンパク質への血液型の付加を調節しているのか, そのメカニズムはいまだに不明である.. 近年,ゲノム関連解析により,様々な疾患と関連 する遺伝子多型が探索されているが,血栓性疾患が ABO 血液型多型と重要な相関をもつことが示され ている.すなわち,O 型は非 O 型に比べて静脈血. VWF 濃度と血液型. 栓塞栓症や虚血性脳卒中などに罹るリスクファク. VWF と血液型の相関は,当時 Gill らによって調. ターが低いことが報告されている 12, 13).O 型では. べられており,アメリカ人では O 型の血中 VWF 濃. VWF や FVIII の血中濃度が低いこととを考えると. 度が有意に低く,逆に AB 型では高い.このため. とても興味深い結果だと思っている.. type 1 VWD は O 型が多いというものだった .こ 7). の論文を読んだ時,自分達の結果と何らかの関連が あるのではないかと確信したのだがアプローチの仕. VWF の血液型付加経路. 方が分からなかった.藤村吉博先生(奈良医大名誉. 話は戻るが,VWF 上の血液型抗原は O 結合糖鎖. 教授)のグループは,奈良県人における血液型の遺. にも存在するかどうかも押さえるべき課題だった.. 伝子型と VWF 濃度の相関を調べ,Gill らの報告が. N 結 合 糖 鎖 を 特 異 的 に 切 断 す る endo-F や PNG-F 日本血栓止血学会誌.

(4) 67. (peptide-N-glycosidase F)などで処理した VWF では. 巨核球と血管内皮細胞では作られる VWF は糖鎖が. 血液型抗原はほとんど検出されなくなることより血. 異 な る こ と が 判 明 し た. そ の 後, 血 小 板 由 来 の. 液型糖鎖は N 結合型糖鎖にのみに結合していると. VWF には,H 型糖鎖は存在することが明らかにさ. 結論した .しかしその後,Canis らの MS 分析で. れている16).. 6). は O 結合糖鎖にも微量の血液型糖鎖が報告されて. それでは血管内皮細胞を培養してみれば血液型を. 14). いる .「ない」ということを証明するのは難しい. もった VWF が得られるはずだと考えて,A 型の皮. と感じた.. 膚由来微小血管内皮細胞を用いて培養を始めた.予. 血液型について学ぶうちに,分泌型や非分泌型,. 想通り培養液中に A 型抗原をもった VWF が分泌さ. I 型(Galβ1-3GlcNAc)と II 型(Galβ1-4GlcNAc)糖. れた.しかし,検出されたのはこの最初の 1 回だけ. 鎖などがあることが分かり,その辺りも調べていく. で,その後何度繰り返して培養しても VWF 上に A. と VWF 上の血液型抗原は分泌・非分泌型の影響を. 型抗原は検出されず再現性がなかった.血管抽出実. 受けないこと,II 型糖鎖であることなどが明らかに. 験の追試もそうだが,誰か血管内皮細胞の WPB 上. なった.これらの結果は,明らかに赤血球表面の血. に VWF と血液型抗原が共局在するかどうか免疫電. 液型抗原とは異なることを示している.そこで,. 顕レベルでダイレクトに調べてくれないものかと. ABO 血液型ミスマッチの骨髄移植をおこなった場. 思う.. 合,VWF 上の血液型はどうなるのかを調べてみよ. そうこうするうちに私は研究所から学部に教員と. うと思った.奈良医大の藤村吉博先生との共同研究. して異動になり,学務仕事が一気に増え,研究テー. で,骨髄移植前と移植後定期的に採取された血漿を. マも VWF を活性化するヘビ毒タンパク質に軸足を. 使って VWF の定量と血液型を調べてみた.その結. 移してしまったので VWF と血液型からは 10 年近. 果は,赤血球の表面抗原は移植後ほぼ 90 日目でド. く遠ざかってしまった.研究は大学院生と卒論生に. ナーの血液型に移行したのに対して,少なくとも. 任せ,自分はいつの間にか指導する立場になってい. 160 日目の段階では VWF 上の血液型はレシピエン. た.2011 年に京都で第 23 回 ISTH があり,久しぶ. トのままで変化しないというものだった .この間,. りに出かけたところ,VWF の糖鎖に関する研究が. VWF 上の血液型に対する抗体ももちろん産生され. いつの間にか盛り上がっていてびっくりした.10. てこなかった.この結果も,VWF の血液型抗原は. 年前はマイナーな話題だったのに Laffan 博士のグ. 赤血球とは異なる付加経路であることを支持する.. ループを中心に多くの演題が盛り込まれ,非常に興. VWF は骨髄巨核球で合成され血小板の α 顆粒に. 味深かった.それに活性化されて,大学院生に助け. 貯留されるものと,血管内皮細胞で合成され Weibel-. てもらって,以前から気になっていた血漿中に含ま. Palade body(WPB)に貯留されるものがある.血. れる A/B 糖転移酵素が VWF の血液型糖鎖の付加に. 小板由来の VWF と血管内皮細胞由来の VWF で血. 関与するかどうかを調べた.H 型糖鎖をもつ VWF. 液型抗原の有無を調べてみた.血管内皮細胞の単離. は UDP-GalNAc を添加した A 型血漿により A 型糖. は難しいので,A 型ドナー由来の廃棄腎静脈小片を. 鎖に変換されたが,血中にはドナーとなる UDP-. PBS で灌流して良く洗った後 TBS 中でホモゲナイ. GalNAc や UDP-Gal が十分量存在しないことから血. ズしてその抽出液を用いた.抽出液中に血漿が残っ. 中での抗原の合成はないと結論づけた17).. 15). ていないかどうかはフィブリノーゲンやトランス. 研究生活も残り少なくなって,ヘビ毒研究も一段. フェリンを定量して調べた.面白いことに A 型血. 落したところでもう一度 VWF の血液型の問題に立. 小板由来の VWF は A 型抗原をもたず,A 型血管由. ち戻ることにした.どうしても血液型と血管内皮細. 来の VWF は A 型抗原をもつことが分かった.すな. 胞の問題に決着がつけたかったからである.その時. わち,血管内皮で合成される VWF のみに血液型が. 考えたのは血流という物理的な環境である.VWF. 付加されると考えられる.糖タンパク質の糖鎖は合. はあの巨大なマルチマー分子でありながら血流下で. 成する細胞のマシナリーに依存するが,これで骨髄. のずり応力を見事に利用して,内包された GPIb 結. 第 32 巻 第 1 号.

(5) 68. 図 3 簡易灌流系培養装置 ピエゾ型マイクロポンプとコントローラーを培養液の 入った 6 穴シャーレと流路培養用プレパラートに接続し た簡易装置.プレパラートに血管内皮細胞を播種して接 着させ,ずり応力を負荷しながら CO2 インキュベーター 内で培養した.. 図 4 研究を導いて下さった先生方と共に A:VWF と巡り合わせて下さった千谷晃一先生(左)と 藤村吉博先生(右).B:大学院時代からポスドク時代ま でお世話になった星元紀先生(右)と筆者.. 合ドメインの開示と ADAMTS13 による切断を制御 している.ならば,血管内皮細胞も血流のようなず. 名言を残している19).星先生はその中で「誰よりも. り応力を負荷された条件下では糖鎖合成も変わり,. 自分の今やっている研究を好きになりなさい.自分. 血液型を付加するのではないかと考えた.流動系の. が面白くもない仕事を誰が面白いと思うだろうか.. 培養装置は高価で買えないので,流路の付いた粘着. そして,本当に良い研究というのは,より多くの人. 処理培養用プレパラートに簡単なピエゾポンプを接. が面白いと思うものだ」ということを話されたのを. 続し,細動脈の流速に近いずり応力を負荷できる実. 鮮明に覚えている.確かにそうだと思って自分も若. 験系を組んだ(図 3).この自前の簡易型灌流系培. い研究者にそう言って伝承している.. 養装置で A または B 型由来の数種類の血管内皮細. 自分にとっての VWF との出会いは運命的で,知. 胞を培養して何度もトライしたが,結局現在まで合. るほどに実に奥の深い分子だと思う.その VWF を. 成,分泌された VWF 上には A 型や B 型抗原は検. 引き合わせてくれたのは千谷先生であり,蛇毒ボ. 出されていない.どうすれば A/B 型を付加する糖. ト ロセチンの面白さを含めたくさんの support と. 転移酵素が目覚めるのか不明のまま現在に至ってい. encourage をしてくれたのは藤村先生であった(図 4) .. る.ただ,H 型糖鎖は必ず検出された.むしろ H. そしてこれまでにたくさんの大学院生と卒論学生に. 型糖鎖は執拗に VWF に付加される方が重要なので. 研究を手伝ってもらったことは感謝にたえない.. はないかと最近考え始めている . 18). VWF の糖鎖構造解析から血栓止血分野の研究に 入り,ABO 血液型の発見からその生理的意義を探. おわりに. る道のりはエキサイティングで非常に面白かった. 「物質から現象へ」の研究方向も悪くない.血流に. 大学院生の頃,星先生(図 4)はいろんな話をし. 最適化した VWF にひっそりと寄り添う ABO 血液. てくれた.それは生化学教授の江上不二夫先生から. 型糖鎖が本当は何をしているのか,できれば残され. 聞いた言葉だという.江上先生といえば我が国の生. た時間内にこっそりと教えてもらいたいと思うので. 化学の祖で「江上語録」と言われるほどたくさんの. ある. 日本血栓止血学会誌.

(6) 69. 文献 1) Titani K, Kumar S, Takio K, Ericsson LH, Wade RD, Ashida K, Walsh KA, Chopek MW, Sadler JE, Fujikawa K: Amino acid sequence of human von willebrand factor. Biochemistry 25: 3171–3184, 1986. 2) Matsui T, Kihara C, Fujimura Y, Mizuochi T, Titani K: Carbohydrate analysis of human von willebrand factor with horseradish peroxidase-conjugated lectins. Biochem Biophys Res Commun 178: 1253–1259, 1991. 3) Sodetz JM, Paulson JC, McKee PA: Carbohydrate composition and identification of blood group A, B, and H oligosaccharide structures on human factor VIII/von willebrand factor. J Biol Chem 254: 10754–10760, 1979. 4) Matsui T, Titani K, Mizuochi T: Structures of the asparaginelinked oligosaccharide chains of human von willebrand factor. Occurrence of blood group A, B, and H(O) structures. J Biol Chem 267: 8723–8731, 1992. 5) Hironaka T, Furukawa K, Esmon PC, Fournel MA, Sawada S, Kato M, Minaga T, Kobata A: Comparative study of the sugar chains of factor VIII purified from human plasma and from the culture media of recombinant baby hamster kidney cells. J Biol Chem 267: 8012–8020, 1992. 6) Matsui T, Fujimura Y, Nishida S, Titani K: Human plasma alpha 2-macroglobulin and von willebrand factor possess covalently linked ABO(H) blood group antigens in subjects with corresponding ABO phenotype. Blood 82: 663–668, 1993. 7) Gill JC, Endres-Brooks J, Bauer PJ, Marks WJ, Jr., Montgomery RR: The effect of abo blood group on the diagnosis of von willebrand disease. Blood 69: 1691–1695, 1987. 8) Shima M, Fujimura Y, Nishiyama T, Tsujiuchi T, Narita N, Matsui T, Titani K, Katayama M, Yamamoto F-I, Yoshioka A: ABO blood group genotype and plasma von willebrand factor in normal individuals. Vox Sang 68: 236–240, 1995. 9) O Donnell J, Boulton FE, Manning RA, Laffan MA: Amount of h antigen expressed on circulating von willebrand factor is modified by ABO blood group genotype and is a major determinant of plasma von willebrand factor antigen levels. Arterioscler Thromb Vasc Biol 22: 335–341, 2002.. 第 32 巻 第 1 号. 10) O Donnell JS, McKinnon TA, Crawley JT, Lane DA, Laffan MA: Bombay phenotype is associated with reduced plasmaVWF levels and an increased susceptibility to ADAMTS13 proteolysis. Blood 106: 1988–1991, 2005. 11) Hayakawa M, Kato S, Matsui T, Sakai K, Fujimura Y, Matsumoto M: Blood group antigen A on von willebrand factor is more protective against ADAMTS13 cleavage than antigens B and H. J Thromb Haemost 17: 975–983, 2019. 12) Vasan SK, Rostgaard K, Majeed A, Ullum H, Titlestad KE, Pedersen OB, Erikstrup C, Nielsen KR, Melbye M, Olof Nyrén, Hjalgrim H, Edgren G: ABO blood group and risk of thromboembolic and arterial disease: A study of 1.5 million blood donors. Circulation 133: 1449–1457, 2016. 13) Stowell SR, Stowell CP: Biologic roles of the ABH and lewis histo-blood group antigens part II: Thrombosis, cardiovascular disease and metabolism. Vox Sang 114: 535–552, 2019. 14) Canis K, McKinnon TA, Nowak A, Panico M, Morris HR, Laffan M, Dell A: The plasma von willebrand factor Oglycome comprises a surprising variety of structures including ABH antigens and disialosyl motifs. J Thromb Haemost 8: 137–145, 2010. 15) Matsui T, Shimoyama T, Matsumoto M, Fujimura Y, Takemoto Y, Sako M, Hamako J, Titani K: ABO blood group antigens on human plasma von willebrand factor after ABO-mismatched bone marrow transplantation. Blood 94: 2895–2900, 1999. 16) McGrath RT, van den Biggelaar M, Byrne B, O Sullivan JM, Rawley O, O Kennedy R, Voorberg J, Preston RJS, O Donnell JS: Altered glycosylation of platelet-derived von willebrand factor confers resistance to ADAMTS13 proteolysis. Blood 122: 4107–4110, 2013. 17) Kano T, Kondo K, Hamako J, Matsushita F, Sakai K, Matsui T: Effects of plasma glycosyltransferase on the ABO(H) blood group antigens of human von willebrand factor. Int J Hematol 108: 139–144, 2018. 18) Matsui T, Nakamura Y: von Willebrand factor and ABO blood group. Trends in Glycosci Glycotechnol 32: E151– E156, 2020. 19) 笠井献一:科学者の卵たちに贈る言葉,東京,岩波書店, 2013..

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