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韓国語学習における動機減退要因に関する一考察 日本の大学における第二外国語学習者を対象に

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韓国語学習における動機減退要因に関する一考察

―日本の大学における第二外国語学習者を対象に―

朴 瑞庚(愛知大学)

1. はじめに 動機づけ(motivation)は「やる気」や「意欲」とも呼ばれ、日常でも幅広く使 われる言葉であり、その重要性は教育現場だけでなく、多くの研究者によって繰り 返し指摘されている。動機づけについてDörnyei(1998)は外国語学習を始めるき っかけを与え、長期間にわたる学習の推進力になるとしており、市川伸一(1995) は学習行動や教授行動の出発点になる最も基本的なものと述べている。 学習動機と関連する理論的また実践的な研究が行われている中で、動機づけを静 的なものではなく継続的に変化し、発展していく動的なものとして捉え(Dörnyei & Ushioda, 2011)、学習過程において様々な要素に影響されながら変化していく特 性に注目するようになった。このような動機づけの動的な側面から、近年ではどの ような状況で、またどのような理由で学習者のやる気が低下するのかという動機減 退(demotivation)の要因にも重点を置いて研究がなされている。 日本の大学で韓国語を学んでおり、日常生活で韓国語にほとんど接する機会のな い学習者の場合、韓国語学習に日々の授業が重要な役割を果たすため、授業の中で 動機づけを高めるための工夫が求められている。その際に、動機づけを促進するた めの指導方法の模索なども必要であると思われるが、それとともに、なぜ学習者の 動機づけが減退していくのかを把握するのは大事である。阿川敏恵他(2011)が述 べたように、学習動機の減退は動機の促進という光に対して影のように存在するも のであり、動機減退に関しての知見が深まれば、逆に学習者の動機づけに活かせる 可能性があると考えられるのである。 学習動機減退の要因を分析した多くの研究では、英語学習を中心に多様な学習者 と学習環境において検討がなされている。一方で、韓国語教育に焦点を当ててみる と、動機減退要因と関連する研究は少なく、外国語1環境における研究よりも第二言 1 外国語が第二言語と対比される場合、通常学校で科目として教えられる言語を指し、 学習者を取り巻く学校、共同体、行政機関などの環境でコミュニケーションの手段と しては用いられていない言語を言う(小池, 2003)。

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語環境に限ったものが多いのが現状である。そこで本研究では、外国語環境におけ る韓国語教育という視点から日本の大学で第二外国語として韓国語を学ぶ学習者を 対象に動機減退要因を調査し、考察を試みる。具体的には、アンケート調査を実施 し、学習者が韓国語学習に対して意欲が低下した経験があれば、どのような理由に よるものかを動機減退要因と関連づけて検討する。本研究で得られた知見は大学に おける韓国語教育の現状を把握し、韓国語学習者の動機づけを向上させる方法の具 現化に寄与することを期待する。 2. 動機減退(demotivation)に関する先行研究

学習における動機減退要因を分析した初期の研究には Gorham & Christophel (1992)がある。彼らはアンケート調査を行い、どのような要因が学習における動機 減退と結びつくのかを調べた。その結果、学習者の回答の中で特に教師と直接また は間接的に関わる行為に対する記述が多く、教師の行動が動機づけを減退させる要 因として注目されるようになった。 Dörnyei(2001)は動機減退に関し、行動の意志や実際行っている行動の基とな る動機づけを低下させたり、減少させたりする特定の外的要因と関係すると述べて いる。ここで注意を要するのは、動機減退には何らかの外部要素の働きかけが作用 するとしている点である。これに対してSakai & Kikuchi(2009)は、外的要因に 加えて「自信のなさ」や「否定的な態度」などを内的要因として捉え、動機減退と 関連づけて検討すべきであると主張した。現在は外的要因と内的要因の両方が学習 者の動機減退に影響すると理解されている。その一方で、動機減退は無動機 (amotivation)とは区別される概念である。無動機は Deci & Ryan(1985, 2000)

による自己決定理論(self-determination theory)2と密接に関係する。自己決定理

論における無動機とは、全く動機づけられておらず、行動しようという意志が欠け ている状態を指す。動機減退は動機づけが存在することを前提としている点で無動 機とは異なる。

具体的な質問項目を使用して学習における動機減退の要因を分析した研究には目 標言語が英語の場合が圧倒的多数を占めている(Falout & Maruyama, 2004; 2 自己決定度(degree of self-determination)を軸とする動機づけモデルである。自己 決定理論では、無動機、外発的動機づけ、内発的動機づけという3 つの動機づけの概 念を想定している。これらの動機づけは自己決定の度合いによって連続体をなし、非 自己決定の状態から自己決定の状態に至るまで内在化(internalization)というプロ セスを経て段階的に発展していくものとされている。

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Falout et al., 2009; Kikuchi & Sakai, 2009; Sakai & Kikuchi, 2009; 菊池恵太, 2015; 여숙림・이종복, 2015; 주미란・박성만, 2015 など)。この中で菊池恵太(2015) は先行研究の結果をまとめ、学習者は次の6 つの要素を学習動機減退要因として捉 えていると述べた。(1) 教師の態度や性格などを内容とする「教師に関する要因」、 (2) 大学英語入試対策に特化することや単調・退屈な授業スタイルなどを内容とす る「授業の内容/特質」、(3) 試験の点が悪かったことからの失望などを内容とする 「失敗経験」、(4) 英語科目が必須であることなどを内容とする「授業環境」、(5) 興 味をかきたてられない教材などを内容とする「授業教材」、(6) 英語に対する興味の なさなどを内容とする「英語に対する興味の欠如」がそれらである。英語学習を対 象にして動機減退要因を分析した研究の結果を見ると、それぞれの研究において抽 出された要因の種類が異なり、また解釈にも差が見られる。ただし、共通して言及 している部分があり、韓国語教育の文脈で適用できる情報を提供するという点で意 義があると考えられる。 韓国語教育においても学習動機に関する研究はなされているが、英語教育におけ るものほど活発に行われていないのが現状である。동효령(2018)はこれまでに発 表された韓国国内の学位論文と学術雑誌に掲載された論文3を基に分析を行い、韓国 語教育における学習動機に関する研究が本格的に行われたのは 2010 年代に入って からであると評価した。このような状況の中で韓国語教育における動機減退要因を 分析した研究に焦点を当ててみると、第二言語環境で韓国語を学ぶ学習者を対象と したものに限られている。김지영(2016)は韓国ソウル所在の大学付属機関で韓国 語を学ぶ学習者および大学に在学中の学習者4を対象にアンケート調査を実施し、学 習者の動機減退の要因を分析した。探索的因子分析によって動機減退の要因を検討 した結果、「教師要因」、「学習上の困難さ」、「否定的な態度」、「試験および学習量」、 「自信の減少および不安の増加」、「興味の減少」の6 つの因子が抽出された。これら の因子の中で特に「学習上の困難さ」、「試験および学習量」、「自信の減少および不 安の増加」は韓国での居住期間、母語の違い、熟達度などと関係なく学習動機減退 に大きな影響を与える因子であると主張した。홍종명(2017)は韓国ソウル所在の 大学付属機関で韓国語を学ぶ中国人学習者5を対象に質問紙を用いてアンケート調

3 学術研究情報サービス(www.riss.kr)と Korea Citation Index(www.kci.go.kr)で

収集した韓国国内の学位論文および学術雑誌に掲載された論文を分析の対象とした (閲覧日:2017 年 10 月 16 日)。

4 母語別の学習者数は中国語(52 名)、日本語(35 名)、その他(23 名)であった。 5 計 321 名を分析の対象とした。

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査を実施し、動機づけの減退要因を分析した。分析の結果、性別においては男性学 習者の方が、熟達度においては上級の学習者の方が、そして年齢が高い学習者ほど、 動機減退の程度が著しいことが報告された。本研究ではこれらの先行研究の結果を 参考にしつつ、外国語環境における韓国語学習の動機減退要因について多面的に検 討する。 3. 調査の概要 3.1. 調査対象 本調査の対象は島根県内の大学で 2016 年度後期に第二外国語として韓国語の授 業6を受けていた学習者計189 名7である(男性105 名、女性 84 名)。学習者の平均 年齢は19.6 歳(SD 8: 1.0)である。このうち 161 名は前期の韓国語科目の単位を 取得した後に後期の韓国語科目を引き続き履修しており、28 名は再履修科目として 韓国語を受講していた。 3.2. 質問紙の構成 本調査では学習者に「次の理由は韓国語学習のやる気をなくすものとしてどれく らい当てはまりますか。大学での自分の経験に基づいて答えてください」という問 いに対してその理由になる質問項目を作成し、回答を求めた。質問項目は先行研究 (Falout & Maruyama, 2004; Falout et al., 2009; Kikuchi & Sakai, 2009; Sakai &

Kikuchi, 2009; 여숙림・이종복, 2015; 주미란・박성만, 2015; 김지영, 2016)を参 考にして 38 項目を選定したが、日本の大学で行われる韓国語教育の場面を想定し て修正を加えた。質問項目の詳細については付録を参考にされたい。なお、回答に おいては質問項目別に学習者が学習動機の減退要因としてどれほど強く認識してい るのかを5 件法9で評価してもらった。 6 当該大学では、学習期間 1 年で前期(1 コマ 90 分の授業を週 2 回、計 30 回実施) と後期(2 科目に対して科目ごとに 1 コマ 90 分の授業を週 1 回ずつ、計 30 回実施) において韓国語の授業を実施している。 7 学習者は全員、大学入学前の韓国語学習歴はない。韓国での滞在経験のある者は 11 名いたが、滞在期間は2 日から 14 日の間であった。 8 標準偏差(standard deviation) 9 「当てはまらない(1)」、「どちらかといえば当てはまらない(2)」、「どちらともいえ ない(3)」、「どちらかといえば当てはまる(4)」、「当てはまる(5)」であった。

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3.3. 調査手順 データの収集は1 年間の学習が終了する時期である 2017 年 1 月末から 2 月初め にかけて行った。調査はクラス別に実施したが、各クラスを担当している教員が研 究目的などを説明した後、質問紙を配り、回答してもらった。回答には15 分程度の 時間がかかった。 3.4. 分析 収集したデータに対しては以下の分析を行った。まず、質問項目別の評定値を基 に探索的因子分析10を行って因子を抽出した。抽出された各因子の内的整合性を検 討するためにはCronbach のα係数を求めた。次に、動機減退の因子別の評定値に 対し、群間の差を分析するためにMann-Whitney の U 検定を用いた。有意水準は 5%とした。分析には SPSS 25.0 を使用した。なお、分析結果については、小数点以 下の桁数を揃えると、分析項目によって結果が同じように見える場合があったため、 本稿では分析ごとに小数点以下の桁数を調整し、結果が明確に示されるようにした。 4. 結果と考察 4.1. 尺度の検討 学習動機減退の理由になる質問項目間の因子構造を明らかにするために、5 件法 で評価してもらった回答を基に重み付けのない最小二乗法による因子分析を行った。 初回の因子分析で固有値の推移状況や回転後の解釈可能性などの観点から4 因子構 造が示唆された。再度4 因子を仮定して重み付けのない最小二乗法・プロマックス 回転による因子分析を行った。分析の過程で十分な因子負荷量を示さなかった項 目11を除外しながら、繰り返し分析を行った結果、解釈可能な4 因子 25 項目が得ら れた12。回転後の因子構造および因子間相関は表 1 の通りである。なお、回転前の 4 因子で 25 項目の全分散を説明する割合は 59.77%である。 第1 因子は 10 項目で構成されている。「文法が難しかった」、「テスト(例:中間・ 期末テスト)が難しかった」、「単語やフレーズを覚えられなかった」など、学習者 10 因子分析は、複数の観測変数の間に潜む共通の要因(因子)を探り出す手法である。 11 負荷量が.50 以上の項目だけを採用した。 12 因子分析を行うのが妥当であるのかを判断する指標として Kaiser-Meyer-Olkin の 標本妥当性の測度とBartlett の球面性検定がある。それぞれについて分析を行った 結果、Kaiser-Meyer-Olkin の標本妥当性の測度で.92、Bartlett の球面性検定で p < .001 であり、因子分析を本調査で得られたデータに適応させることが妥当であ ることを確認した。

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自らが韓国語の学習過程において感じる難しさや挫折を経験するという内容の項目 が高い負荷量を示していることから「学習内容の難しさと挫折経験」因子と命名し た。第2 因子は 7 項目で構成されている。「先生の授業のペースが適切でなかった」、 「先生の一方的な説明が多かった」、「先生の教え方が悪かった」など、教師の能力や 教師主導の授業に対する不満を表す内容の項目が高い負荷量を示していることから、 「教師の教授能力と教授スタイル」因子と命名した。第3 因子は 5 項目で構成され ている。「授業で学んだ内容が日常的に使える実感がなかった」、「韓国語を学ぶ目標 がなくなった」など、韓国語学習における実用性の不足や目標の喪失を理由に動機 減退を経験していることから、「学習目標の喪失」因子と命名した。第4 因子は 3 項 目で構成されている。「韓国人に対して悪い印象を持った」、「韓国文化が嫌いだった」 など、韓国語学習とは直接関係ないが、目標言語が話されている地域の人や文化を 嫌う内容の項目で構成されていることから、「韓国・韓国文化への否定的態度」因子 と命名した。 各因子に対しては、内的整合性を検討するために Cronbach のα係数13を算出し た。その結果、「学習内容の難しさと挫折経験」因子でα = .91、「教師の教授能力 と教授スタイル」因子でα = .91、「学習目標の喪失」因子でα = .86、「韓国・韓国 文化に対する否定的態度」因子でα = .84 といずれも十分な内的整合性を示してい ることが確認された。 〈表1 因子分析の結果〉 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 共通性 Ⅰ. 学習内容の難しさと挫折経験 Q14 文法が難しかった。 .86 -.09 -.22 .08 .50 Q24 テスト(例:中間・期末テスト)が難しかった。 .86 .10 -.18 .01 .64 Q21 テスト(例:中間・期末テスト)の結果が悪か った。 .76 -.09 .05 -.05 .54 Q12 単語やフレーズを覚えられなかった。 .71 .12 .01 -.14 .54 Q15 韓国語の基礎が足りなかった。 .67 -.11 .15 .05 .56 Q11 授業で学ぶ内容が難しかった。 .63 .17 .03 -.01 .55 Q22 いくら頑張っても成績が上がらなかった。 .59 .04 .07 .15 .53 Q7 授業で学ぶ内容が多かった。 .58 .17 -.01 -.09 .41 Q13 一人でどう勉強すれば良いかわからなかった。 .54 -.09 .22 .06 .47 Q29 韓国語に向いてないと思った。 .52 -.12 .34 .16 .66 13 一般に.70 以上であれば許容しうる値とされている(Nunnally, 1978)。

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Ⅱ. 教師の教授能力と教授スタイル Q1 先生の授業のペースが適切でなかった。 .10 .93 .05 -.31 .72 Q37 先生の一方的な説明が多かった。 .02 .79 .09 -.05 .68 Q6. 先生の教え方が悪かった。 -.18 .78 -.00 .24 .75 Q3 先生の説明がわかりにくかった。 .06 .77 .07 .03 .73 Q4 先生の授業に対する熱意が感じられなかった。 -.02 .69 -.12 .31 .70 Q2 先生が生徒を公平に扱わなかった。 .03 .58 -.12 .22 .47 Q5 先生が間違いの修正や適切なフィードバック をしてくれなかった。 .06 .52 .08 .18 .53 Ⅲ. 学習目標の喪失 Q8 授業で学んだ内容が日常的に使える実感が なかった。 -.05 .00 .78 -.16 .46 Q26 韓国語を学ぶ目標がなくなった。 -.07 .06 .76 .04 .59 Q27 韓国語を学ぶことに興味がなくなった。 -.09 .09 .72 .22 .74 Q28 韓国語を学んでも将来何の役にも立たないと 思った。 .07 -.05 .65 .18 .61 Q25 テスト(例:中間・期末テスト)のために勉強 するのが嫌いだった。 .30 .02 .61 -.17 .59 Ⅳ. 韓国・韓国文化への否定的態度 Q34 韓国人に対して悪い印象を持った。 -.01 .10 -.06 .79 .67 Q35 韓国文化が嫌いだった。 -.10 .14 .10 .70 .66 Q33 韓国に対して悪い印象を持った。 .16 .13 -.05 .67 .65 因子間相関 Ⅰ 1.00 Ⅱ .51 1.00 Ⅲ .67 .52 1.00 Ⅳ .38 .61 .55 1.00 4.2. 韓国語学習における学習動機減退の傾向 4.2.1. 全体的な傾向 表 2 は学習動機減退について学習者に 5 件法で評価してもらった結果を前述の 4.1 の表 1 で示した因子順に並べたものである。まず、すべての因子における評定 平均値を見ると、「どちらともいえない」を意味する3 未満である。これは、動機減 退の理由になる各因子に対して学習者がどちらかというと「当てはまらない」と答 えたことになる。本調査に参加した学習者は1 年間という短い学習期間の中で韓国 語を学んでおり、この1 年間は学習動機の減退を経験するほどの期間ではないと解 釈できるかもしれない。ただし、学習期間が長い上級学習者ほど、学習意欲の減退 の度合いが大きいことが報告されている(홍종명, 2017)。そこで大学以降の学習を

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視野に入れて考えると、大学の正規課程における韓国語授業は、せっかく始めた韓 国語学習を途中で挫折することなく少しでも長く続けられるように、また韓国語学 習に対してより明確な動機づけができるように学習者を支援する場になるべきであ ると思われる。 次に、因子別の評定平均値を見ると、高い方から順に「学習内容の難しさと挫折 経験」、「学習目標の喪失」、「教師の教授能力と教授スタイル」、「韓国・韓国文化へ の否定的態度」となっている。学習者は動機減退の理由になる対象を教師や韓国文 化などの外部要素から探そうとするよりも、動機減退の原因を学習者自身の内面に 求める傾向が見られる。特に、因子の中で動機減退の程度が最も大きかったのは「学 習内容の難しさと挫折経験」であり、学習者は動機減退の理由が学習内容の持つ難 しさや挫折の経験に起因すると認識している傾向が強いことが分かる。 〈表2 学習動機減退の因子別の評定平均値〉 因子の種類 平均(SD) 学習内容の難しさと挫折経験 2.39(0.89) 教師の教授能力と教授スタイル 1.42(0.61) 学習目標の喪失 2.25(0.93) 韓国・韓国文化への否定的態度 1.38(0.61) 4.2.2. 学習動機減退の各因子における特徴 ここでは前述の 4.2.1 で検討した全体的な傾向を因子別に分類して考察する。因 子別の結果については評定平均値だけでなく、結果をより詳細に把握するために反 応分布をも作成して示した。例えば、表3 の Q14「文法が難しかった」の場合、評 定平均値は2.92 であり、5 件法で回答してもらった学習者の割合はそれぞれ「当て はまらない」(19.6%)、「どちらかといえば当てはまらない」(21.2%)、「どちらとも いえない」(19.0%)、「どちらかといえば当てはまる」(28.6%)、「当てはまる」(11.6%) である14 表3 は「学習内容の難しさと挫折経験」因子における質問項目別の評定平均値お よび反応分布を因子分析で負荷量の高かった順に示したものである。まず、質問項 目の中で「文法が難しかった」は評定平均値が最も高く、反応分布を見ても「どち らかといえば当てはまる」と答えた学習者の割合が28.6%にものぼる。特に「文法 14 反応分布の割合については小数点第二位を四捨五入しているため合計が 100%にな らないものがあるが、そのまま表記している。

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が難しかった」は本研究で調査したすべての個別項目の中で評定平均値が最も高く、 文法に対する学習者の負担の大きさがうかがえる結果と言える。 次に、表3 の質問項目別の評定平均値を見ると、文法や単語のように学習内容と 関係する項目と比べ、「いくら頑張っても成績が上がらなかった」、「一人でどう勉強 すれば良いかわからなかった」など、学習プロセスと関係する項目の評定平均値が 低い傾向を見せている。これは、学習プロセスそのものよりは具体的な学習内容が 学習者の動機減退に影響している可能性があることを示唆する。 それでは、「学習内容の難しさと挫折経験」による動機減退を経験している学習者 に対しては授業でどのような支援がなされるべきであろうか。Deci & Ryan(1985, 2000)によると、人間には「有能さ」、「自律性」、「関係性」といった生まれつき持 っている3 つの心理的欲求があり、これらの欲求が満たされると動機づけが高まる。 この中で「有能さ」は自分が有能であると感じることと関係する。本調査の結果と 関連づけて考えると、学習者に「有能さ」を感じさせるためには成功体験ができる ような課題を提供する必要がある。ただし、単に成功体験ができる課題を与え続け るだけで学習意欲が高まるわけではない。市川伸一(1995)は自らがコントロール することのできない刺激にさらされていると受動的で無気力になってしまうと述べ、 重要なのは成功や失敗が自分の行動と随伴しているかどうかという認知であると指 摘した。成功したにせよ、失敗したにせよ、その原因が努力の量にあるとみなされ なければ、またその努力を自分が払うことができると感じられなければ、学習意欲 は高まらないということである。実際の授業ではこの点に注意して学習者に課題を 与える必要があると考えられる。その一方で、失敗を恐れ、回避志向の傾向がある 学習者に対しての配慮も必要である。朴瑞庚(2015)は失敗を恐れる情意的な側面 が学習に対する熱意を失わせる可能性があると指摘し、このような学習者に対して は失敗しても訂正すれば良いという発想の転換を図るとともに、失敗した際に教師 による支援を容易に求められるよう、授業ではコミュニケーションがとりやすい雰 囲気を作る必要があると述べた。これらの授業における学習者への配慮と学習者自 らの努力が積み重なれば、学習者は自らの進歩を実感し、その結果、動機減退の状 態から抜け出す可能性があると考えられる。

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〈表3 「学習内容の難しさと挫折経験」における項目別の評定平均値および反応分布〉 質問項目 平均(SD) 反応分布 [%] 1 2 3 4 5 Q14 文法が難しかった。 2.92(1.32) 19.6 21.2 19.0 28.6 11.6 Q24 テスト(例:中間・期末テスト) が難しかった。 2.21(1.14) 33.9 30.2 20.1 12.7 3.2 Q21 テスト(例:中間・期末テスト) の結果が悪かった。 2.48(1.25) 27.0 28.6 21.7 14.8 7.9 Q12 単語やフレーズを覚えられなか った。 2.84(1.26) 14.8 32.3 19.0 22.2 11.6 Q15 韓国語の基礎が足りなかった。 2.61(1.27) 24.9 25.4 20.6 21.7 7.4 Q11 授業で学ぶ内容が難しかった。 2.22(1.12) 30.7 36.5 15.9 13.8 3.2 Q22 いくら頑張っても成績が上がら なかった。 1.74(0.95) 51.9 30.2 11.1 5.8 1.1 Q7 授業で学ぶ内容が多かった。 2.41(1.21) 26.5 34.4 16.9 16.4 5.8 Q13 一人でどう勉強すれば良いかわ からなかった。 2.16(1.11) 35.4 30.7 18.0 14.3 1.6 Q29 韓国語に向いてないと思った。 2.34(1.28) 33.3 29.1 14.3 16.4 6.9 表4 は「教師の教授能力と教授スタイル」因子における質問項目別の評定平均値 および反応分布を因子分析で負荷量の高かった順に示したものである。まず、表 4 の評定平均値を見ると、すべての質問項目において1.56 以下を示しており、反応分 布を見ても「当てはまらない」を意味する1 番を選んだ学習者が圧倒的に多い。こ の結果より、教師と関連する要因は一つの因子として抽出されたものの、学習者の 動機づけの減退につながるほどの強い影響力は持っていなかったと解釈できる。こ れは、韓国語学習における動機減退要因を分析した先行研究(김지영, 2016; 홍종명, 2017)と一致する結果であり、外国語学習において教師要因が動機減退と大きく関 係すると報告した先行研究(Dörnyei, 2001; Hasegawa, 2004)とは異なる結果で興 味深い。홍종명(2017)は、英語のように長期間にわたって入試中心、成績重視の 教育が行われる場合、それを経験した学習者が教師に対して不満を持つようになっ た可能性があると指摘した。この点を考慮すると、本調査に参加した学習者は、入 試の負担から離れて大学入学後に韓国語を学んでいるため、教師に対する不満がさ ほど強くなかったのではないかと推測される。 次に、各質問項目における評定平均値を比較してみると、「先生の授業に対する熱 意が感じられなかった」のように教師の態度に言及した項目よりも、「先生の授業の ペースが適切でなかった」や「先生の一方的な説明が多かった」のようにいわゆる

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教師主導型の授業で起こり得る問題点を述べている項目の評定平均値が高い傾向が 見られる。日常生活でほとんど韓国語に接する機会のない学習者を対象とした授業 を想定すると、シラバスの作成、教材の準備、指導方法の工夫など、教師が授業の 中で担う役割と責任は大きいのが事実である。そのゆえに、教師は自らが学習者の 動機減退に最も直接的な影響を与えうる存在であることを認識する必要がある。教 師が主導する授業において学習者は、教師依存の学習から抜け出すきっかけがない 限り、時間が経っても自律的な学習に踏み出すことができない恐れがある。学習初 期に学習者は基礎的な言語知識と言語運用のための技能を習得する必要があり、こ れらをいかに定着させるのかは教師の力量であるため、どうしても教師が主導する 授業になりがちである。しかし、熟達度が高くなればなるほど、教師は学習を支援 する立場に立ち、学習者が主体的に学習活動に参加できるよう授業での適切な取り 組みがなされるべきである。 〈表4 「教師の教授能力と教授スタイル」における項目別の評定平均値および反応分布〉 質問項目 平均(SD) 反応分布 [%] 1 2 3 4 5 Q1 先生の授業のペースが適切でな かった。 1.51(0.90) 68.8 18.0 8.5 3.2 1.6 Q37 先生の一方的な説明が多かった。 1.56(0.85) 63.0 23.3 9.0 4.8 - Q6 先生の教え方が悪かった。 1.31(0.66) 77.2 16.9 3.2 2.6 - Q3 先生の説明がわかりにくかった。 1.45(0.78) 69.3 20.1 6.9 3.7 - Q4 先生の授業に対する熱意が感じ られなかった。 1.30(0.61) 76.2 19.0 3.2 1.6 - Q2 先生が生徒を公平に扱わなかった。1.38(0.79) 76.2 14.3 6.3 2.1 1.1 Q5 先生が間違いの修正や適切なフィ ードバックをしてくれなかった。 1.41(0.66) 67.2 25.4 6.3 1.1 - 「-」は無回答を表す。 表5 は「学習目標の喪失」因子における質問項目別の評定平均値および反応分布 を因子分析で負荷量の高かった順に示したものである。「学習目標の喪失」における 個別項目の中で最も評定平均値が高かったのは「授業で学んだ内容が日常的に使え る実感がなかった」であり、反応分布を見ても「どちらかといえば当てはまる」を 意味する4 番を選択した学習者が 21.2%にものぼっている。これは、言語の使用頻 度が高い第二言語環境と比べ、限られた時間や場面でしか韓国語を使えない外国語 環境における韓国語教育の限界が学習者の回答に現れた結果であると思われる。

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「学習目標の喪失」因子によって動機づけの低下を経験した学習者に対しては、韓 国語を学ぶ必要性について抽象的な理想や理念を訴えるだけでは動機づけの回復ま でに至らないと思われるため、動機回復のためのより具体的で現実的な取り組みが 必要であると考えられる。そのためには、韓国語を学習したことが生活や他の学習 の文脈でどのように生かされるのかを明確に提示するとともに、技能的な側面から コミュニケーションの手段としての本来の働きが実感できるような言語使用場面を 提供する必要がある。また、学習者それぞれが自分なりの具体的で達成可能な目標 を設定するように指導し、その目標に向けて努力することによって新たな目標を設 定することができれば、動機づけの低下を突き止めることも可能になるのではない かと思われる。 〈表5 「学習目標の喪失」における項目別の評定平均値および反応分布〉 質問項目 平均(SD) 反応分布 [%] 1 2 3 4 5 Q8 授業で学んだ内容が日常的に使 える実感がなかった。 2.64(1.25) 24.3 22.2 25.4 21.2 6.9 Q26 韓国語を学ぶ目標がなくなった。 2.27(1.10) 31.7 27.5 23.8 15.9 1.1 Q27 韓国語を学ぶことに興味がなく なった。 1.91(1.10) 48.7 25.4 14.8 8.5 2.6 Q28 韓国語を学んでも将来何の役に も立たないと思った。 2.01(1.08) 42.9 25.9 20.1 9.5 1.6 Q25 テスト(例:中間・期末テスト)の ために勉強するのが嫌いだった。 2.42(1.28) 30.2 28.0 19.6 13.8 8.5 表6 は「韓国・韓国文化への否定的態度」因子における質問項目別の評定平均値 および反応分布を因子分析で負荷量の高かった順に示したものである。表6 の結果 を見ると、評定平均値はすべての質問項目において1.45 以下であり、反応分布を見 ても「当てはまらない」の1 番を選んだ学習者が圧倒的多数を占めている。これは、 韓国・韓国文化に対する項目が動機減退の因子として抽出されたものの、学習者の 動機づけの低下に与える影響力はさほど強くなかったことを意味する。 目標言語が話されている地域の社会や文化的文脈を理解することは外国語学習に おいて非常に重要である。社会文化的背景が言語に反映されているためである。韓 国語教育を行っている多くの大学では社会文化教育の重要性を認識し、韓国の社会 文化について学ぶ授業を設けている。それでは、韓国の社会文化を学ぶ授業ではど のような点に注意して指導すべきであろうか。まず、教師の態度について考えてみ

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たい。朴瑞庚(2016)で述べているように、教師は韓国で常識的な事柄であっても 学習者はときに違和感や抵抗感を覚える可能性があることを十分に認識し、学習者 による主観的な解釈のプロセスを尊重すべきである。その上で学習者には、韓国で その事柄にどのような価値が付与されているのかを説明し、実践的な側面から、誤 解や摩擦を招きやすい状況の中でどのように話し、また行動すべきであるかを考え させる必要がある。次に、教師による一方的な説明を避け、学習者がより広い視野 を持って異文化社会に接することができるように指導すべきである。朴瑞庚・林河 運(2017)では日本の大学で第二外国語として韓国語を学ぶ学習者が韓国・韓国人 に対してどのようなイメージを持っているのかを調べた。その結果、学習者の回答 の中で韓国・韓国人に対する肯定的なイメージと否定的なイメージが混在している 例15が多数見られたことを報告している。マスメディアの発達とその普及に伴い、 学習者は韓国・韓国人に対する意識やイメージ形成が容易にできるようになってい る昨今である。授業では学習者同士の意見交換による知識の共有にも適切に配慮し、 韓国・韓国人に対する先入観や偏見を解消するためには様々な視点から学んでいく ことが重要であることを理解させる必要がある。 〈表6 「韓国・韓国文化への否定的態度」における項目別の評定平均値および反応分布〉 質問項目 平均(SD) 反応分布 [%] 1 2 3 4 5 Q34 韓国人に対して悪い印象を持っ た。 1.32(0.61) 75.7 17.5 6.3 0.5 - Q35 韓国文化が嫌いだった。 1.38(0.72) 72.5 20.1 4.8 2.1 0.5 Q33 韓国に対して悪い印象を持った。 1.45(0.77) 69.8 17.5 10.6 2.1 - 「-」は無回答を表す。 4.3. 学習者の属性の違いによる学習動機減退の傾向 本研究では学習者の属性によって群分けを実施し、属性の違いが動機減退の程度 にどれほど現れているのかを検討した。ここでは、性別、専攻、単位取得の有無に よる学習者の動機減退の傾向について述べる。 15 例えば、韓国人に対するイメージとして「日本人に対して友好的なイメージ」と「日 本人のことを嫌っている人が多そう」という対立があった。

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4.3.1. 性別による学習動機減退の相違 性別によって動機減退の様相にどのような相違が見られるのかを調べるために、 学習者を性別によって分類し、分析を行った。その結果は表7 の通りである。男性 と女性における評定平均値を比較してみると、すべての因子において男性学習者の 方が女性学習者と比べて高い傾向にある。このような性別における評定平均値の差 が統計的にも有意であるかどうかを調べるために、動機減退の因子別に Mann-Whitney の U 検定を行った。その結果、すべての因子において有意差は確認されな かった16。この結果より、統計的に有意な差はなかったものの、1 年間の韓国語学習 が終了する時期において男性学習者の方が女性学習者より動機減退の程度が少々大 きい傾向にあったと言える。 〈表7 性別による学習動機減退の傾向〉 因子の種類 平均(SD) 男性 [n = 105] 女性 [n = 84] 学習内容の難しさと挫折経験 2.47(0.87) 2.30(0.91) 教師の教授能力と教授スタイル 1.44(0.57) 1.39(0.66) 学習目標の喪失 2.35(0.87) 2.13(0.99) 韓国・韓国文化への否定的態度 1.41(0.57) 1.35(0.67) 4.3.2. 専攻による学習動機減退の相違 表 8 は学習者の専攻が文系であるのか理系であるのかによって群分けを実施し、 群別の評定平均値を示したものである。文系と理系における評定平均値を比較して みると、理系学習者の方が文系学習者と比べてすべての因子における評定平均値が 高いことが分かる。専攻別における評定平均値の差が統計的に有意であるかどうか を調べるために、動機減退の因子別にMann-Whitney の U 検定を実施した。その 結果、すべての因子において有意差は認められなかった17。この結果より、統計的に 有意な差は確認されなかったものの、理系学習者の動機減退の度合いは文系学習者 よりやや大きい傾向にあったと解釈できる。 16 「学習内容の難しさと挫折経験」(p = .155)、「教師の教授能力と教授スタイル」(p = .298)、「学習目標の喪失」(p = .054)、「韓国・韓国文化への否定的態度」(p = .099) であった。 17 「学習内容の難しさと挫折経験」(p = .175)、「教師の教授能力と教授スタイル」(p = .746)、「学習目標の喪失」(p = .076)、「韓国・韓国文化への否定的態度」(p = .640) であった。

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〈表8 専攻による学習動機減退の傾向〉 因子の種類 平均(SD) 文系 [n = 103] 理系 [n = 86] 学習内容の難しさと挫折経験 2.32(0.89) 2.49(0.88) 教師の教授能力と教授スタイル 1.40(0.62) 1.43(0.61) 学習目標の喪失 2.15(0.94) 2.37(0.91) 韓国・韓国文化への否定的態度 1.37(0.62) 1.40(0.62) 4.3.3. 単位取得の有無による学習動機減退の相違 本研究では学習成果の1 つの評価基準である単位取得に注目し、単位取得に失敗 した経験のある学習者とそうでない学習者の動機減退の程度に相違が見られるのか を検討した。本調査に参加した189 名の学習者のうち 161 名は前期の韓国語科目に 対して単位取得が認められ、引き続き後期の科目を履修しており(以下、正規)、28 名は後期の授業で韓国語を再履修科目として受講していた(以下、再履修)。 表9 は学習者を正規と再履修別に分類し、群別の評定平均値を示したものである。 表9 の評定平均値を見ると、再履修の学習者の方が正規の学習者と比べてすべての 因子における評定平均値が高い。特に評定平均値の差が最も大きいのは「学習内容 の難しさと挫折経験」因子であり、再履修の学習者の場合、学習内容の持つ難しさ や挫折の経験によって学習動機が低下したと答える傾向が強かった。これらの因子 別の評定平均値の差が統計的に有意であるかどうかを調べるために、動機減退の因 子別にMann-Whitney の U 検定を行った。その結果、「学習内容の難しさと挫折経 験」、「学習目標の喪失」、「韓国・韓国文化への否定的態度」の因子において再履修 の学習者の評定平均値が正規の学習者より有意に高いことが認められた18 前述の 4.3.1 と 4.3.2 で検討した性別と専攻別における動機減退の傾向と違って 単位取得の有無による動機減退の程度に統計的に有意な差が認められたことは特記 すべき点である。単位取得に失敗した経験や、正規課程より長く学習していること など、学習過程で様々な要素に影響された結果、再履修の学習者は動機減退に対し て敏感に反応するようになったのである。それだけにこれらの学習者に対しては何 らかの動機づけに基づいて学習ができるよう授業で積極的な支援が行われるべきで あると考えられる。 18 「学習内容の難しさと挫折経験」(p < .001)、「教師の教授能力と教授スタイル」(p = .053)、「学習目標の喪失」(p = .006)、「韓国・韓国文化への否定的態度」(p = .010) であった。

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〈表9 単位取得の有無による学習動機減退の傾向〉 因子の種類 平均(SD) 正規 [n = 161] 再履修 [n = 28] 学習内容の難しさと挫折経験 2.29(0.85) 2.99(0.89) 教師の教授能力と教授スタイル 1.38(0.60) 1.62(0.64) 学習目標の喪失 2.18(0.92) 2.69(0.89) 韓国・韓国文化への否定的態度 1.34(0.59) 1.65(0.71) 5. おわりに 本研究では、日本の大学で第二外国語として韓国語を学ぶ学習者を対象とし、動 機減退の理由になる質問項目を用いてアンケート調査を行い、韓国語学習における 動機減退の要因について検討した。 まず、動機減退に影響する要因を調べるために、得られた回答を基に因子分析を 行った。その結果、「学習内容の難しさと挫折経験」、「教師の教授能力と教授スタイ ル」、「学習目標の喪失」、「韓国・韓国文化への否定的態度」の4 つの因子が抽出さ れた。ただし、5 件法で評価してもらった結果を見ると、いずれの因子においても 「どちらともいえない」を意味する 3 未満を示しており、学習者は動機減退の理由 になる各因子に対してどちらかというと「当てはまらない」と答えていた。抽出さ れた因子の中では「学習内容の難しさと挫折経験」因子における動機減退の程度が 最も大きく、学習者は動機減退の理由が学習内容の持つ難しさや挫折の経験に起因 すると認識する傾向が見られた。 次に、学習者の属性によって群分けを実施し、動機減退の相違を調べた。その結 果、韓国語科目の単位取得に失敗した経験のない学習者と比べ、単位取得が認めら れず、再履修科目として韓国語を受講している学習者の動機減退の程度が統計的に も有意に大きいことが確認された。これらの学習者に対しては動機回復に関するス トラテジーを共有するなど、授業で積極的な支援を行う必要があると考えられる。 動機回復については今後の課題にしたい。

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参考文献

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付録(Appendix) 「アンケート調査における質問項目」 Q1.先生の授業のペースが適切でなかった。 Q2.先生が生徒を公平に扱わなかった。 Q3.先生の説明がわかりにくかった。 Q4.先生の授業に対する熱意が感じられなかった。 Q5.先生が間違いの修正や適切なフィードバックをしてくれなかった。 Q6.先生の教え方が悪かった。 Q7.授業で学ぶ内容が多かった。 Q8.授業で学んだ内容が日常的に使える実感がなかった。 Q9.授業が文法などに偏ってバランスよく学ぶことができなかった。 Q10.授業で扱う韓国語のトピック(話題)が退屈だった。 Q11.授業で学ぶ内容が難しかった。 Q12.単語やフレーズを覚えられなかった。 Q13.一人でどう勉強すれば良いかわからなかった。 Q14.文法が難しかった。 Q15.韓国語の基礎が足りなかった。 Q16.1 クラスの生徒数が多かった。 Q17.同じクラスの生徒が好きではなかった。 Q18.同じクラスの生徒の実力が自分と合わなかった。 Q19.映像教材(ビデオ・DVD)を使わなかった。 Q20.1 週間に取らないとけない韓国語の授業が多かった。 Q21.テスト(例:中間・期末テスト)の結果が悪かった。 Q22.いくら頑張っても成績が上がらなかった。 Q23.他の生徒の成績と比較されることがよくあった。 Q24.テスト(例:中間・期末テスト)が難しかった。 Q25.テスト(例:中間・期末テスト)のために勉強するのが嫌いだった。 Q26.韓国語を学ぶ目標がなくなった。 Q27.韓国語を学ぶことに興味がなくなった。 Q28.韓国語を学んでも将来何の役にも立たないと思った。 Q29.韓国語に向いてないと思った。 Q30.韓国語に自信がなくなった。 Q31.授業で韓国語を使うのが恥ずかしかった。 Q32.韓国語が嫌いだった。 Q33.韓国に対して悪い印象を持った。 Q34.韓国人に対して悪い印象を持った。 Q35.韓国文化が嫌いだった。 Q36.韓国語でコミュニケーションをする機会がなかった。 Q37.先生の一方的な説明が多かった。 Q38.講義中心の授業だった。

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【要旨】

A study on demotivating factors in learning Korean: In case of

Japanese university KFL

*

learners

한국어 학습에 있어서의 동기 저하 요인에 관한 일고찰

―일본 대학의 제

2 외국어 학습자를 대상으로―

본 연구에서는 일본의 대학에서 제 2 외국어로 한국어를 배우고 있는 학습자를 대상으로 동기 저하 요인을 조사하였다. 선행연구의 결과를 토대로 동기 저하 요인에 대한 설문지를 작성하여 한국어 학습자 189 명을 대상으로 설문조사를 실시하였다. 동기 저하 요인을 추출하기 위하여 설문조사의 결과를 바탕으로 탐색적 요인분석을 실시하였다. 그 결과, ‘학습 내용의 어려움과 좌절 경험’, ‘교사의 교수능력 및 교수 스타일’, ‘학습목표의 상실’, ‘한국 ・ 한국 문화에 대한 부정적 태도’ 등 4 개의 동기 저하 요인이 추출되었다. 이 중에서 동기 저하의 정도가 가장 컸던 요인은 '학습 내용의 어려움과 좌절 경험’으로, 학습자는 동기 저하의 이유가 학습 내용의 어려움이나 좌절의 경험에 기인한다고 인식하는 경향을 보였다. 설문조사에 참여한 학습자의 집단별 차이를 살펴보았다. 그 결과, 재이수 과목으로 한국어를 수강하고 있는 학습자의 동기 저하 정도가 한국어 과목의 학점 취득에 실패한 경험이 없는 학습자와 비교하여 통계적으로도 유의하게 큰 것으로 확인되었다. 이러한 학습자들에 대해서는 동기 회복을 위한 전략을 공유하는 등 수업에서 적극적인 지원이 이루어질 필요가 있다. 동기 회복에 관해서는 향후 과제로 삼고자 한다. キーワード:韓国語学習、動機減退、要因分析

Park, Seokyung(Aichi University) * Korean as a foreign language

参照

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