Nagoya City University Academic Repository
学 位 の 種 類 博士 (人間文化) 報 告 番 号 甲第1656号 学 位 記 番 号 第27号 氏 名 宇都宮 明子 授 与 年 月 日 平成 30 年 3 月 26 日 学位論文の題名 新しい歴史教育論の構築に向けた日独歴史意識研究 : 構成的意味形成を 図る日本史授業開発のために 論文審査担当者 主査: 原田 信之 副査: 別所 良美, 上田 敏丈
博士論文審査及 び最 終試験結 果報告書
2018年2月8日 審査委員(主査) 原 田信之 名 古屋 市立大学大学院学則 第14条 及び名 古屋 市立大学学位規程 第10条 に基 づ き、 次の よ うに博 士学位論 文審査及 び最 終試験 結果 を報告 します。 1審 査委員 の補職及 び氏名 別紙1の とお り 2審 査 に係 る学位授 与 申請者及 び論 文の表題 別紙1の とお り 3学 位論文 の内容 の要 旨 4学 位論文審査 の要 旨 別紙2の とお り 5最 終試 験 の結果 の要 旨又 は学力確認 の結果 の要 旨 別 紙2の とお り 6学 位授 与 について の意見 別紙2の とお り(別紙1) 1審 査委員 の補職及 び氏名 委員 区分
補
職
名
氏 名 主査教授
原 田信 之副査
教授
別所良美
副査
准教授
上 田敏丈副査
*人 間文化研究科教員でない場合は、補職名欄は所属 ・補職名 2審 査 に係 る学 位 授 与 申請者 及 び 論 文 の表 題 申 請 者学籍番号
14480 氏 名宇都宮明子
指導教員
原 田信之副指導教員
別所良美
申請 に係 る 学位 論文の表題 新 しい歴 史教 育論 の構築 に 向けた 日独 歴 史意 識研 究: 構成 的 意 味形成 を図 る 日本史授 業 開発 のために(別紙2) 3学 位論 文の内容 の要 旨 本論文 は、 日本 と ドイ ツの歴 史意識研究 の比較考察か ら構築 した歴 史教育論 に基 づいて 日 本 史授業 を開発 す ることで、 両国の歴史教育学(教 授学)研 究を架橋 した新 しい歴 史教 育学 研 究の可能性 を拓 くとともに、歴史教育論の構 築 と歴史授業 の開発 とい う理論 と実 践両面か ら日本 の歴史 学習の変革の実現に向 けて寄与す るこ とを 目的 に した挑戦 的な研 究の成果 であ る。 本論文 は、序 章 「本研 究の 目的 と方法」、第1章 「日本 にお ける歴 史意 識研 究の考察」、第 2 章 「ドイ ツにおけ る歴 史意識研 究の考察」、第3章 「歴史意識 の育成 を図る歴史教育論 の構 築」、第4章 「歴 史意識 の育成 を図 る歴 史教育論に基づいた 日本史授業開発」、終章 「研 究の総 括」の六章で構成 されてい る。 序 章において 、本論文 の全体構想 と して、研 究 目的 とその背景、先行研 究 を踏 まえて導 き 出 され た本研 究の意義 と特質、研究方法 と論文構成 が論 旨明快 に示 されて いる。 第1章 では、 日本 の歴史意識研究 の変遷や歴史教育学研 究に果た した意 義が分析 され、 日 本 の歴史 教育学研 究 にお ける歴 史意識研 究の位置が 明 らかに されてい る。 第二次世界大戦前 か らの歴 史意識研 究の展開 を踏 まえ、 日本 の歴史意識研 究では、戦前 には国体 思想 と国民 性 を中核 とす る国民道徳 を具備 した正 しい 日本人 とい う唯一絶対 の歴史意識 をいかに育成す る か とい う固定的な教 育 目的概 念 として、戦後 には発達心理学上 の方法手段概念 と して規 定 さ れて きた。 しか し、1960年 代にな ると1950年 代 の歴 史意識研 究の限界が認識 され、望 ま し い歴史意識 の構造 は児童 ・生徒 の発達 段階 に関わ る心理的事実 か らのみ で決定 され るもので はな く、社会認識 的な思考 の構 造が社 会科 教育の前提 とな らな くては生徒 の歴 史的 ・社会 的 意識 の実態 は明 らかにできない と考 えられ 、歴 史意 識研 究 は転換期 を迎 えた とい う変化 の経 緯が経年的 に明 らかに され てい る。歴 史意識 を教育 目的 として 、歴史意識 の育成 を図る歴史 教育 を解 明す る とい う歴史教育 学の本 来の研 究 目的の追求がで きな くな り、歴史教育学研究 において確 固 たる地位 を確保 できなかったのが 日本 の歴 史意 識研 究で ある と結論づ け、結果 と して 日本 の歴史教育学研 究は歴史意識研 究か ら歴 史認識研 究へ と転換 した過程の詳細が、典 拠 に基づ き実証的 ・分析的 に解 明されてい る。 第2章 では、ドイ ツを代表す る4名 の歴 史教授 学者(ヤ イ スマ ン、リューゼ ン、ボ リース、 パ ン デル)の 歴 史 意 識 研 究 に基 づ き、 歴 史 意 識 研 究 の変 遷 や 歴 史 教 育 学研 究 に果 た した 意 義 を分析す ることで、 ドイ ツの歴史教授学研究 にお ける歴史意識研 究の位置 づけが解 明 されて いる。ここでは四論説 を経 て歴 史意識 が教授 学理論 の 中で十全 に機 能す るよ うになったこ と、 これ よ り ドイ ツ歴 史教 授学研 究 においては、 歴史意識 が教育 目的概念 とされた ことで、歴 史
教授 学研 究の 中核 的な研 究対象 と して不動 の地位 を得 、歴 史教授学研 究 において最 重要で必 要 不可欠な位置 を付 与 され た ことの結論 が導 き出 されて いる。 第3章 では、 日独 の歴 史意識研 究の比較検討 を行 い、その考察に基づいて歴 史教 育論 が構 築 され てい る。 比較 検討 に よ り明 らかに され た両国の歴 史教 育学研 究の課題 を克服 し、発展 的に止揚 を図 る歴 史教育論を構 築す るにあた り、①教育 目的 としての歴 史意識 の設 定、②歴 史意識 を育成す るために教師が到達 させ たい歴 史認識 の設 定、③教師が到 達 させ たい歴 史認 識 を踏 まえた上での子 ども自身 の歴 史認識 の形成 、④子 どもが獲得 す るコンピテ ンスの導入 とい う方策 が考案 され ている。この方策 を組 み入 れた こ とで、「教育 目的 と しての歴 史意識 か ら意 味形成 した教師が到 達 させ たい歴 史認識 と子 どもが獲得 す るコンピテ ンスの相 互作用を 通 して子 ども自身がその意 味形成 と しての歴 史認識 を形成す るこ とで歴 史意識 を育成す る」 とい う歴 史教育論 が構想 され てい る。 即ち、 教育 目的 としての歴 史意識 は、教 師が到達 させ たい歴 史認識 の選択 規準、教 師が到 達 させ たい歴史認識 と子 どもが獲得す るコンピテ ンス、 子 どもが形成す る歴 史認識 の レベル保証、 子 どもが形成す る歴 史認識 が子 どもの歴 史意識 の レベル の判 断規 準 として機能 し、各構成要素 が相互連 関性 を保 つ ことで、歴 史教育 学研 究へ の実現 可能性 と学校 教育現場 での適用 可能性 を高める ことがで きる としてい る。堅 実な比較 分析 とその分析 に基 づ く確 実な考察 に よ り、学校教育現場へ の適用 可能性 を備 えた歴 史教育 論 と してその有効性 が確保 され てい る。 第4章 では、構想 した歴 史教育論 に基 づいて開発 され た 日本 史授 業の指 導計画 が、古代 史 か ら現代 史に至 るまでの時代 区分 ごとに、かつての高等学校教員 と しての実践経験 を生か し 独創性 に富んだ授業展 開内容 が範例 的に示 され ている。 ここでは、従 来の社会科教 育学研 究 で活用 され る教授書(指 導計画)を 改 良 した新たな教 授 ・学習書の提案 もな されてい る。 終章 では、前博士論文 「現代 ドイ ツ中等歴 史学習論改革 に関す る研 究:現実 的変革 の論理 」(2010年 度末広島大学大学院教 育学研 究科受理)か ら導 き出 され た本研究 の問題設 定が 総括 され 、 これ まで 日独 両国の歴史教育学研 究にお いて未着手 であった主要概念 の比較研 究 によ り、両 国の歴史意識研 究の理論 的系譜 を解 明 した こと、 日本 と ドイツの歴史意識研 究の 架橋 を通 して歴 史教育論 を構築 し、新 しい歴 史学習 を提起 した ことは、歴史教育学研 究の新 た な研 究方 法論 とともに 日本 の歴史学習 の変革 の展望 を提示す るもの と して説得力 に富む結 論 に至 ってい る。 これ ら全体 の考察 を通 し、 日本の社会科教育 学研 究に対 し、 コン ピテ ンス 志 向に基づ いた歴史学習へ と変革す るためには、教育ス タンダー ドの作成 が必要 である こと を論 じて い る。 分 野 固有 の論 理 に依 拠 せ ず に コン ピテ ン ス を確 定す る こ とは不 可 能 で あ る た め、教育 スタンダー ドは分野 固有で しか考察 できない。 このこ とは社会科教育全体 の論理 か ら各分野 の教育 を考察 してきた社会科教育学研究 に対 し、分野独 自の論理 で分野 の教育 を明 らか に した上で社会科 として統合 してい く社会科教育学研究 にすべ きである との有益 な問題
提 起 を 意 味 し て い る。 4学 位 論文審査 の要 旨 本論 文の主要 な学術的意義 は以下 の点 にま とめるこ とがで きる。 第一の意義 は、 これ まで 日独両 国の歴史教育学研究 において未着 手で あった主要概 念の比 較研 究に よ り、両国 の歴史意識研究 の経年的 な理論的系譜 を解 明 した ことは、今後 両国の歴 史教育学研 究において、看 過す るこ とのできない学説 として高 く評価 され ることが見込まれ る。本研 究 は更 に、日独 に共通 する主要概念 である 「歴 史意識」に限った学説 の範 囲を超 え、 両 国の歴 史教 育学の理論 を比較す る上で も、一つ の有力 な研 究の基盤 になる ことが期待 され る。 第 二の意義 は、外 国 を対 象 にす る歴史教育学研究 にお いて 、理論 的考 察に基 づ く 日本 史授 業 を開発 した点であ る。これ までの 日本 の歴史教育 学研 究では規範 的 ・原理 的研 究は研 究者 、 開発的 ・実践 的研 究は実践 家 といった住み分 けが暗黙の 内に成 立 し、両研 究の往還 は十 分で はなか った。勿論 、その往還 が意識 されてい ないわ けで はな く、 自身 の規範的 ・原理 的研 究 か ら構想 した歴 史教 育論 に基づ いて 自 ら授 業 を開発 す る研究者 や、 自身 が長年 にかけて開発 して きた歴史授業 を踏 まえ、帰納 的に歴 史教育論 を構想 しよ うとす る実践家 も存在 した。 し か し、前者で はその歴 史教育論 に基づ く歴 史授 業が学校 教育現 場の通常 の歴史授業 にお ける 実施 可能性や有効性 の検証 まではな され て こなか った。 後者 で は、 自身 の経験 に基づ く構想 を跡 づ けた歴史教育論 であ り、歴 史教育論 と して有 効な もので あるのか 、またそ の歴史授業 は多 くの教師 も同様 に実施 でき る、ない しは、実施 したい と考 え られ るもので あるのか は問 われない。 日本 の歴 史教育学研 究、学校 教育現場 の双方 を考慮 し、そ の歴史教育論 と歴 史授 業の有効性 ・妥 当性 が問われ て こなかった これ までの学術的な 間隙 を鑑み る と、本研究 は、 歴 史教育論 に関 しては 日本 の歴 史教 育学研 究にお ける理論 上の実現可能性 を考察す る ととも に、学校 教育現場 にお ける適用可能性 も検討す ることで、 日本 の歴史教育学研 究か らも学校 教育現揚 か らも、有効 で妥 当性 のある 日本 史授 業を開発 した こ とは新 た な研 究アプ ロー チを 提起 してお り、その挑戦的価値 は学術的 に高 く評価 され るべ きである。 第 三の意義 は、歴史教育学研究 の新 しい研究方法論 とともに 日本 の歴 史学習の変革の展望 を提 示 し、歴 史教育学研究 の視点か ら社会科教育学研 究の現 代的課題 を明 らか に した こ とで
あ る。 コン ピテ ンス ・べ一ス の歴史学習へ と変革す るには、歴史教育 固有の論理 に依拠す る ことのない コンピテ ンスの確 定は不可能であ り、コンピテ ンス を規定す る教育ス タンダー ド の開発 は、 社会科 として地理 ・歴 史 ・公 民等の各分野 を統合 してい く社会科教育学研究 にす べ きでな く、各分野固有のアプ ローチを基本 にすべ きことが論証 されてい る。 これは コンピ テ ンス ・べ 一スの授 業へ と変革 を遂 げ よ うとす る最近 のわが国の教育改革 の動 向にあって、 大 いに示唆 を与える ものであ る。歴 史教 育学 における授 業開発(教 授学理論 の実践 化)と い う観点 か ら、有効性 ・妥当性 を備 えた歴 史意識概念へ と昇化 させ 、その精緻 な分析 に基 づい て提示 され た歴 史意識概念 に基づ き、 日本 の教育動 向に応 える歴 史学習へ の変革 に向けた方 途 と方策 を解 明 した ことの意義 と問題点 を確認 した点 も大 きな成 果 として認 め られ る。 以上 の3点 にわた る本論 文の学術 的成果 か ら本論文 は博士論文 とい うにふ さわ しい優秀 な 研 究成果 の論述 である と評価す る ことがで きる。そ の学術的 な価値 は、本論文 の主要部 が、 社会科教育学 におい て双壁 をな して いる二っ の学術学会(全 国社会科教育学会及び 日本社会 科教 育学会)の 学術誌 に レフ リー付 き論文 として掲載 されてい るこ とか らも裏づ け られ てい る。 本論 文全体 を通 して先行研 究の参照及び引用 は適切 であ り、不正防止 ソフ トを用いた検 索 的確認 で も疑義 が生 じる よ うな問題 は見つ か らなか った。 5最 終試 験 の結果 の要 旨又 は学力確 認の結果の要 旨 最終試験 は、1月29日13時30分 よ り名古屋市立大学滝子 キャンパ ス1号 館409教 室 に おいて約110分 間実施 され た。最初 に学位 申請者 か ら、研 究の 目的 と方法 、研 究 目的 を設定 した背景や研 究 の意義 、論文の構 成 ・展開 ・概略な どにっい て説 明が な され、そ の後論文全 体に対 して さまざまな質疑応 答が行 われた。 その主要 な論 点は3つ で あった。第一は、 日独 両国の歴 史教育学の理論研 究 を基盤 に して歴史意識 の形成 をめ ざす授業開発 が行 われてい る が、授業が成 立 した場 合に総 体 と して どの よ うな歴史意識 が形成 され た とい えるのか とい う、 醸成 され る歴 史意識 の性 質 とその評価 を巡 る質 問であった。 申請者 は、本論 文で規定 した歴 史意 識 概 念 は 一つ の統 一 され た共 通 理 解 に導 い て い く こ とを 意 図 した概 念 で は な く、 多様 な 解釈 と価値 を学習者個 人がプ ロダク トす るための機能概念 である こと、その よ うに誤解 され る余地 が残 っている とした ら、む しろ学習者 の理解 の個別性 、多様性 こそを重視す るポス ト モ ダンの構成主義 的教育論 に立 ち返 り一般教育論か ら説明すべ きだったか もしれ ない とい う
返答 がな された。歴 史意識の評価 に関 しては、歴史意識 の構 造 図に示 された7次 元に基づい て説 明が補 われた。 第二 は、教 授学的機能概念 としての歴 史意識 の教育 目的 と しての側 面 に かかわ る質問で ある。教育 目標 は到達 目標 としての性質 を有す るものであるが、歴 史意 識の 構造 図か らす ると、論文でい うところの教育 目標 は子 どもが どの意識 に重点を置 いてい るか とい う 「視 点」 とい う捉 え方で よいか が問われた。 申請者 か らは、教育 目的 と教 育 目標 を区 別 した上 で、教 育 目的の性 質 について ボ リースの 「自立救済権」 に関す る歴 史意識 の構 造図 か ら説 明を試 み、同一事 象の表現で あって も、子 どもが どう解釈す るか、 どの認知 の レベル で の解釈 なのか、感 覚に基づいてか資料 に基づいてか、モ ラル的 な判断 を伴 ってか、連 帯感 情 につ いて の表 出は ど うかな ど、各 次元で どの レベル にあるのか、認知や解釈や価値判 断の 広が りと深み は ど うか とい う立体 的条件 が図には表 現 されてお り、 この広が りと深み は視点 とい うにはやや狭す ぎる として、授業構想 に立ち返 り、教育 目的 をコン ピテ ンス として可視 化 す ることの有効性 と限界 を明示 しつつ 、教 育スタンダー ドの開発 とそ の教育ス タンダー ド に基づ く授 業開発 にお ける 目標 の提示 の仕方 には慎重 を要す る として、今後の重要 な研 究課 題 とな り得 る と了解 され た。第三 は、構想 した歴 史教育論 を図化 した授 業構想 図 を巡 る質問 であった。 この授業構想図 に基づ く実践化 の障壁 として、教 師 と生徒の双方で形成 され る授 業 の共 同構成 の側面 に着 目す る と、教師側 の価値観 の影響 、つま り授 業者が有 す る歴 史意識 の伝達化 か ら逃 れ られないので はな いか 、またそれが成功 した と して も、極 めて可視化 しに くい歴史意識 の内的醸成 に対 し、内的醸成が できてい るこ とをどの よ うに評価 で きるのか等 の質 問がな され た。 これ らの質問に対す る 口頭で の返答 を通 して も、論 展開の適切性 と重厚 性 、論 旨の堅 実性 を確認す ることがで きた。 なお、質問 に先立 ち別所委員 か らは、公 開セ ミ ナーでの質 問に対 して論 の補 充 も適 切に行われてい るこ と、外 国研 究を一方 向的に模範 モデ ル として理論 の摂取 を試み よ うとす る研 究が少 な くない 中、 日独双方 の克服すべ き課題 が明 らか に され、そ の課題克服 を 目指 し、古代史か ら現 代史 に至 るまで の授業教材 とそ の授業展 開案 が範例的 に示 され ている ことが高 く評価 で きる等、貴重 な研究成果 である との コメン ト が披 露 された。 以上、 申請者 が高度 に専 門的 な問題 関心を もって 日独 双方の歴史意 識研 究 に向き合い 、こ れ までの研 究成果 にも裏づ け され た学 問的素養 に立脚 しつつ、教授 学的 な問題 設定か ら研 究 を深 化 させてい るこ とが確認 され た。本論文 は、全体 と して膨 大な文献資料 を扱 ってい るに もかかわ らず緻密 かつ 堅実 な文献研 究がな され ている こと、研 究のオ リジナ リテ ィが認 め ら れ ること、 日独の歴史教育学 にお ける主要概念 を もって両国の横 断的 ・比較研 究の視座が示 され てい ること、歴 史教育学研究のみ な らず実 際の歴史教育 に対 して重要な貢 献をな しうる こ とな ど、 これ までの研 究を前進 させ た学術論 文になってい る と評価 された。
なお 、本 論文の問題設 定その ものが広 島大学に提 出 され た前博士論 文(科 学研 究費補 助金 ・ 研究成果公 開促進費 による学術 図書 『現代 ドイツ中等歴史学習 論改革に関す る研 究』風 間書 房 として刊行済)に 基づ いて導 き出 された ものであ るこ と、これまで全国的学会誌 に16本 レフ リー付論文 が掲載 されてい るこ と、現在全 国社会科教育学会理事(2017年 度選 出)と し て学術研 究 を牽 引す る立揚 にある ことな どか ら、学位授与 申請者 は高度 な専 門的学術研 究を 遂行す る能力 を有 してい るこ とも併せて審 査委員間 で確認 で きてい る。 6学 位 授与 についての意見 以上 の点 よ り審査委員 は一致 して宇都宮明子の 「新 しい歴史教育論 の構築 に向けた 日独歴 史意 識研 究: 構成的意 味形成 を図 る 日本史授業 開発 のために 」は博 士学位論文 に相応 しく、 申請者 に博 士の学位 を授与 す ることを妥当 と判 定 した。