• 検索結果がありません。

対話的・主体的な学びを目指した授業の一考察 (3) ~国語科古典領域における『活動型』授業の成立について~

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "対話的・主体的な学びを目指した授業の一考察 (3) ~国語科古典領域における『活動型』授業の成立について~"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 対話的・主体的な学びを目指した授業の一考察 (3) ∼国語科古典領域に おける『活動型』授業の成立について∼. Author(s). 太田, 幸夫. Citation. 国語論集, 16: 101-107. Issue Date. 2019-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/10464. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 対話的・ 主体的な学びを目指した授業の一考察( 3). 太 田 幸. ○「対話的」授業のための理論的柱(再論) 私はこれまで、以下のような問題提起を行った。. ①「ファシリテーター」としての 「教師」の要請 ②「コーチング」スキルの援用 ③「言語技術教育」の方法論の援用. 夫. 従 来 、学 校での学 習 活動 は、理論 によって狭 められることの弊 害 を恐 れ、可能な限り理論に無自覚であることを良しとす る授業者 が大 勢 を占 めてきた。しかし、理 論 的 背 景 のない授 業 論 は、個 人 の 「 名 人 芸 」の域 を脱 す ることができない。一 個 人 の経 験 則 を乗 り越 えた新 たな授 業 観 を目 指 し、私 は① ② ③ の”スキル”に依 拠 す る教 育活動を企図した。①は、学習者主体の 「活動型」授業を展開する ことを目 指 し、教 師 が学 習 者 に働 きかけることを教 授 活 動 の柱 と することを指す。②は学習内容を 「教え込む」のではなく、学習者の 問 題 意 識 を引 き出 し、学 習 の主 役 を生 徒 とす るために教 育 学 ・心 理 学をベー スとした働きかけ方 を意 図 的 に行う ものである。③は、 一 九 八 〇 年 代 以 降 、教 育 界 を席 巻 した 「 言 語 技 術 教 育 」の手 法 を 批判的に取り入れることで、学びの見通しを持った働きかけを行う ものである。. ( 101 ). ~国語科古典領域における 『活動型』 授業の成立について~. ○はじめに 中 央 教育審議会の 1 答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及 び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等につい て」(二〇一六年)に示された 「主体的・対話的で深い学び」は、いよい よ活動内容の具体化の段階にさしかかっている。中学校の国語教科 書がまもなく公示され、引き続き高等学校国語の教科書が編集さ れるものと思われる。 また、 「共通テスト」実施に向けての作業は着々と進んでおり、高 校 の国 語 教 師 は、記 述 を伴う 国 語 問 題 の実 施 像 がつかみ切 れない 中、戦々恐々とした思いで対応に苦心している。 「書く」領域の指導 を手厚くすることにとどまらず、 「思考・判断・表現」という活動への 志向が要請されていることをひしひしと感じる。 私は数年来、 「対話的」な学習を成立させるための理論的条件の 整 理 と、そこから考 えられる授 業 実 践 を模 索 してきた。図 らず も 昨 年 (二 〇 一 八 年 )四 月 より新 たな勤 務 先 に異 動 し、教 育 目 標 を 異とする学習集団への指導の機会を与えられた。限られた中ではあ るが、主体的・対話的な学習活動を行うこともできた。本稿はその 実践を踏まえて、とりわけ 「古典」分野における 「対話的」は授業の あり方と、実施における課題について論じるものである。. −101−.

(3) また、 「国語総合」の年間の取り組みとしては、古典に親しむ段階 今回紹介する実践は、これらを意識しつつ、いわゆる 「アクティブ から、言語 事 項 を踏まえて自ら理 解す る段 階 に取りかかる時 期で ラーニング」の手法を用いて授業を行ったものである。 あり、一通りの文法事項を学んだ後なので、助動詞に注目しながら ○実践の概要 内 容 を理 解 す る意 識 を定 着 さ せたいと考 えた。全 体 では動 詞 ・助 (1)学校の概要ならびに生徒の概要 動 詞 の解 説 を踏まえながら内 容 の読 み取 りを 「説 明 」したところで 現在の勤務校は札幌市の西 部、手稲区にあり、大学進学を主な あるが、今 回 の取 り組 みを行 ったクラスは、単 元 の 「学 習 の手 引 き」 進 路 先 とす る全 日 制 普 通 科 単 位 制 の高 等 学 校 である。毎 年 国 公 をもとに、 「思 考・判 断・表 現 」を促 す 場 面 として、話し合 いを設 定 立大学合格者百名を超える実績を挙げており、国語科に寄せられ した。 る期待は大きい。数学科ではグループワーク、公民科(現代社会)で (3)今回の指導の概要 は課 題 解決 型の学習 活動 に取り組 んでおり、活動 型の授業形態に 今 回は、資 料 一「 学 習 指 導 案」の通 り、二 時 間 の配 当 時 間 の中 で も慣れている生徒たちである。 「対話的」活動を展開した。 (2)科目ならびに単元の指導観 まず、本 文を通読し、結末 までの内容(現代語訳 )を授業者が説 今回、私が 「対話的」な活動を行ったのは、一年次「国語総合」(四 明した。その後、課題を三点提示した。 単 位 )である。現 代 文 分 野 と古 典 分 野 に分 け、四 十 五 分 授 業 で現 代 文 週 二 時 間 、古 典 週 三 時 間 を実 施 している。教 科 書 は三 省 堂 「高等学校国語総合」(分冊版)を採用している。生徒の基礎学力は 一 これはどんな話か。 高く、毎日の学習活動にも意欲的に取り組んでいるが、やや受け身 二 誰が誰を 「取り返した」のか。 の姿勢が感じられる。基本的には講義型の授業形態を取っているが、 三 「鬼」とは誰を指すのか。 本実践では生徒主体の活動に取り組んだ。 本校一年次「国語総合」の古典領域は、古文・漢文を交互に取り これらの発 問 は、内 容 を話 し過 ぎないよう に留 意 して現 代 語 訳 組む中で、短く易しめの文章から長く難しい(文法を中心とした言 を進 め、自ら考えなければ答えが見えてこない状況を作ったうえで 語 事 項 を多 く盛 り込 んだ)文 章 を 「 読 む」ことに移 行 していく。 『伊 行った。 勢物語』は、短めの説話文学から始まった古文の読解が、ストーリー その後 、生 徒 には自 分 の答えをB5版 の用 紙 にまとめさ せた。こ 性のある 「物語」に移行していく時期においてよく用いられる教材で れは 「KP法」と呼ばれる手法を踏まえたものである。あとで他の生 ある。男 女のや りとりにおいて和歌が効果的 に用 いられており、日 徒 に見 せながら説 明 さ せることを意 識 させた。実 際 の作 業 は十 五 本 の古 典 文 学 作 品 を学 ぶにふさ わしい作 品 と言 える。 「 芥 川 」は 分程度とし、三問全てできなくとも良しとした。これは後の話し合 「鬼」という 超自 然現象 を絡 めつつ、男女 のディス・コミュニケー ション いに接続するために、あえて無理をさせない配慮である。実際には、 のもたらした悲劇を、短めの文章の中で劇的に展開する文章で、古 ほとんどの生徒が自分の答えをB5版にまとめていた。 文初学者にも読みやすいものと考える。 日を改めて、生徒を四 人一組のグループに編成(授業者が指示). −102−. ( 102 ).

(4) し、各自の用紙の内容の発表と、答えをすりあわせるための話し合 いに取り組んだ。設 定は十五分程度であるが、ほぼ時間の中で話し 合いを行うことができた。話し合った結論は、B4版のホワイトボー ドに記入させた。記入の終わったホワイトボード(裏に磁石が付いて いるもの)は黒板に貼り付けさせた。 次 に、各 グルー プの代 表 に話 し合 いの結 果 を発 表 してもらった。 持 ち時 間 を一 分 程 度 としたが、いず れのグルー プもおおむね時 間 内で発表していた。 従来 の 「話し合い」活動であれば、ここで全体の答えをすりあわせ るところであろう が、アクティブラー ニング型の活 動 の美点 として、 そこまで求 めなくとも良 いという 授 業 観 がある。私 自 身 、長 年「 話 し合い」を一点に集約させることへの疑義を持っていた。むしろ 「話 し 合 い」を踏 まえて生 徒 個 々 の考 えを熟 成 さ せる方 向 に活 動 を進 め た。大事なことは 「根拠」を明確にして自分の考えを形成することで ある。集団の意見の集約を終着点にはしなかった。 その後、生徒には五分の時間を与え、改めて課題三点の 「自分の」 考えた答えをまとめさせた。最後は授業者が 「模範解答」を提示し て、授業を終えた。 ○実践から見えたこと 本 実践で心がけたことは、 「答え」を 「待つ」生 徒を極力排除する ために、時間を取って考えさせたことである。 従来の 「プリント学習」「ワーク学習」も、本文の内容を(教師が考 える範囲で)丁寧に説明をし、生徒に考えさせる時間を十分に取っ て 「学習」させていた。しかし、結果的には 「内容」の 「説明」を覚えて いるかどうかが生徒の関心の中心となってしまった。これが 「解答」さ え得 られれば良 い、という「 待 ち」の姿 勢 の学 習 を生 徒 たちに増 長 させてしまったのではないか。その弊害は、大学入試改革という形で. 顕在化している。 今後行われる 「共通テスト」および新たな 「学習指導要領」の指導 観 は、そう した学 びの課 題 を打 破 す る側 面 を持 ち合 わせている。 「話し合い」そして 「考察」から、自らの 「根拠」を持って課題を 「 解決 」 することに、今後期待される 「学び」の方向性がある。 だから、最終的に授業者が 「模範解答」を示すことはあっても、そ の過程において 「自ら」「学ぶ」活動を行うことが必要だ、という意識 を育てることが、この実践の肝なのである。 その目 論 見 を実 現 す るために授 業 者 が心 がけたことは、生 徒 の 回 答を極力 用 いて 「 模範 解答」とす ることで、生 徒の活動 を承 認す ることである。教 師 が大 上 段 から模 範 解 答 を与 えて生 徒 の甘 い考 えを否 定す るのではなく、 「 よくわかったね」「 よく気づいたね」と言 いながら、極力生徒の 「答え」を採用し、その 「根拠」を明快に示す。 自分 たちの作 った 「答え」を承 認された学習者は、自己肯定感を高 め、次 の機会 により難度 の高 い 「 答え」を作 ることを志 向す る。この サイクルを回すことによって、初めて学習者は受け身から 「自ら進ん で」学ぶ姿勢を持つのである。 今 回 は(高 校 一 年 生 の国 語 においては)初 めての活 動 型 の学 習 で あったので、各 自 の意 識 のレベルには違 いがあっただろう 。しかし、一 連 の活 動 を終えた状 況では、おおむね良 好 な雰 囲 気 の中 で取 り組 みを終えることができた。. ○今後の課題 今回の取り組みは、いわゆる 「校内研修」の教科研修として行った ものである。国語科スタッフの批評をいただける貴重な機会であり、 今の自分ができる 「アクティブ・ラーニング」型の授業として見てもら うことを念頭に準備を進めた。その後の合評会ではおおむね良い評 価 をいただいたが、 「 このよう な 『 活 動 型 』授 業 に重 きを置 くと、受. −103−. ( 103 ).

(5) 験指導に必要な 「基礎基本」の指導に十分な時間が割けなくなるの ではないか」という意見も頂いた。 仮に 『活動型』をベースにして授業を展開した場合、生徒の大半は 意 を汲 んで取 り組 むものと思 われるが、それが進 学 指 導 の指 標 の 一つ 「模擬 試験 」の成 果 につながるとは断 言できない。また、保護者 の意向に沿うものであるかという点においても予断を許さない。 「共 通 テスト」の対 策 には間 違 いなく役 立 つものだが、 「 基 礎 基 本 」の事 項 を習 得 す るために、いたず らに生 徒 に家 庭 学 習 を要 求す ること は、生 徒 、保 護者の望むところではあるまい。 「主体的・対話的な深 い学び」であっても、 「基 礎基本 」とのバランスに気を配ることが必要 である。これは授業者の今後の最重要課題である。 また、以前の論文でも言及したが、往々にして 『活動型』における 能 動 的 な読 み手 と、いわゆる 「 考 査 」で高 得 点 を挙 げる生 徒 は、必 ず しも一 致 しないものである。本 実践 における生 徒 たちにも、その 傾向が見られた。 「知識の定着」と活動の練度は必ずしも一致しな い。この点をどう考慮していくか、今後の実践で考えねばなるまい。 最 後 になるが、文 章 の能動 的 な読み、という ことだけでなく、複 数 の情 報 を読 み込 んで考 察す ることが、今後 の国 語 科学 習 活 動 に おいて要求される。勤務校では既に現代文分野において何度もその ような活動を行っているが、古典では 「基礎基本」の定着に時間を割 いてきたことで、その活動に取り組むには至らなかった。次年度「古 典B」における優先課題としたい。 これからも、 「思考・判断・表現」の充実を図るべく、 「深 い学び」に 誘う仕掛けを考えていきたい。. 注 1 中教審第一九七号 「 幼 稚 園 、小 学 校 、中 学 校 、高 等 学 校 及 び 特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等につい て(答申)」. http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/tou shin/1380731.htm. 【 参 考資 料 】 ○中教審第一九七号(二〇一六年). 言 語 文 化 に親 し. 全文と解説』(二〇一八年)学. 中学校古典. ( 104 ). ○『 高等学 校新学習 指導要領 事出版 む』(二〇一八年)東洋館出版社. ○『 シリー ズ国 語 授 業 づくり. ○ 川 島 直 ・皆 川 雅 樹『 アクティブラー ニングに導 くKP法 実 践 』 (二〇一六年) みくに出版. (おおたゆきお/北海道札幌手稲高等学校). −104−.

(6) 資料1. 「芥川」指導案. 学. 習. 指. 導. 案. (略式) 北海道札幌手稲高等学校. 指 導 者 名. 太田幸夫. 教科・科目. 授 業 日 時 平成30年10月18日(木)○校時 使 用 教 室. 教科書 教 材 三省堂「高等学校国語総合. 単. 元. 名. 配 当 時 間. 物語. 伊勢物語 7. 古典編」. 芥川 時間 指. 導. 目. 国語総合(古典分野). 1年○組. 学年組・人数. 1. 小 単 元 名. 芥川. 年. 本時の位置 標. ○. 組. 5・6 時間目 指導上の留意点及び備考. 3. 助動詞、助詞に留意しながら、本文を理解することができる。. p22 ~ p23l10. 1. 和歌の特性に留意しながら、和歌の解釈をすることができる。. p23l11 ~ p23l12. 2. 登場人物に留意し、話し合いを通じて本文を理解することができ る。. 1. 全体を通して、本文の主題を理解することができる。. (A4サイズ). −105−. p23l13 ~ p24 グループワーク予定.

(7) 学. 習. 指. 指 導 者 名 太田幸夫 授 業 日 時 平成30年10月18日(木)○校時 教 科 書 三省堂「高等学校国語総合 古典編」 教 材 尚文出版「新明説総合古典文法」 単 元 名 物語「伊勢物語」 芥川 配 当 時 間 7 時間 単元の目標 単語(助動詞、助詞)に留意して本文 を理解することができる。 和歌の内容を理解することができる。 配当. 指. 導. 内. 導. 案. 北海道札幌手稲高等学校 国語総合(古典分野) 1年○組 1 年 ○ 組 男子21名:女子20名:計 41名 小 単 元 名 芥川 本時の位置 5・6 時間目 本時の目標 話し合いを通じて、本文の理解を深め ることができる。 教科・科目 使 用 教 室 学年組・人数. 容. 指導上の留意点及び備考. 時間. 導. 展. 入. 5 0 3 1. 古文単語テスト 前時までの内容を確認する. 1. 和歌の解釈を踏まえ、 話の筋を確認する。. 2 3 4. 授業者の説明 授業者の説明 課題は板書する. 5. B 5用紙に、見せて説 明することを想定して 書かせる。. 開. 15 2 p 23 l 11 ~l 12「白玉か―」の歌を解釈する。 ※ 12 3 p 23 l 13 ~l 15 について、口語訳を行い、説明する。 10/15 5 4 p 23 l 15 ~p 24 について、課題を提示する。 実施分 ①これはどんな話か。 ②誰が誰を「取り返した」のか。 ③「鬼」とは誰を指すのか。 5 5 3①②③について、各自考察し、言語化する。. ※ 10/18 予定分. 7 6. 5で作成したものをもとに、グループ(4人1組)の中で発表 させる。. 6. 1人1分程度。. 8 7. 5をもとに、グループ内での見解をまとめる。 まとめたものはボード(A4版)に記入させる。. 7. 大きな文字で書かせる。 発表者を決めさせる。. 6をもとに、全体で発表する。. 8. ボードを見せながら行 う。1班1分程度。. 5 9. 7について、どの発表が正しいと考えたか、各自考察する。. 9. ノートに記入させる。. 8 10. 授業者から、該当箇所について解説を行う。. 10. 口語訳プリントをもと に行う。. 2 11. 「芥川」のエピソードを踏まえ、改めて本文全体をどう理解す れば良いかを、次回行うことを予告する。. 15 8. まとめ. (A4サイズ). −106−.

(8) 資料2. KP法. 授業時作成のホワイトボード. −107−.

(9)

参照

関連したドキュメント

また,文献 [7] ではGDPの70%を占めるサービス業に おけるIT化を重点的に支援することについて提言して

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

話教育実践を分析、検証している。このような二つの会話教育実践では、学習者の支援の

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における