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体験的な学習に関する研究 :―小学校第1学年での授業実践を通して―

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Academic year: 2021

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(1)  体験的な学習に関する研究 一小学校第1学年での授業実践を通して一    教育実践高度化専攻 小学校教員養成特別コース.    P08074D原田和子 1 研究報告害の構成. 要であり,その際,言葉の重視と体験の充実が重要. 序章 研究の目的と方法. であるとの考えからである。筆者は,このr言葉の.  1問題の所在と研究の目的. 重視」とr体験の充実」のうち, r体験の充実」に.  2研究の方法. より注目した。それは,自身の経験からも,また,. 第一章 学校教育における体験的な学習. これまで関わってきた子どもたちの学びを見ていて.  第1節 現在体験が重視される背景. も,体験を通して学んだことは深く記憶に残ってい.  第2節 学習における体験の意義. くとともに,体験を通して学ぶことで,学ぶ楽しさ.  第3節 体験的な学習活動における言語表現活動. を知り,学ぶ意欲が向上するとの考えがあったから.      の重要性. である。. 第二章各教科・領域における体験的な学習の実際.  平成20年度版小学校学習指導要領においても,指.  第1節 体験的な学習と教科・領域. 導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の一つと.  第2節 各教科・領域における体験的な学習の実. して,各教科等の指導に当たっては,体験的な学習.      践事例. を重視することが挙げられ,小学校学習指導要領解. 第三章 授業実践と実践分析. 説総則編の中で,体験的な学習は, 「主体的に学習.  第1節 授業実践. に取り組む能力を身に付けさせるとともに,学ぶこ.  第2節授業実践の結果と実践分析 第4章 実践授業の改善点. との楽しさや成就感を体得させる上で有効である。」. 終章 総括と今後の課題.  このように,現在学校教育においては,体験を通. と記されている。. した学習が重視されている。しかし,それは,ただ. 2.研究の標要. 体験をすればいいということではない。ただ体験を. (1)間目の所在と研究の目的. するだけで終わってしまっては, r這い回る経験主.  平成20年に改訂された小学校学習指導要領では,. 義」と批判されたように,体験のしっぱなしで,そ. 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会. こから児童が何を学んだのかが不明確なままになっ. 「審議経過報告」(平成18年2月)で示されたよう. てしまう。この「這い回る経験主義」に陥らないた. に, 「『人間力』の向上を図る」という観点から教. めには,筆者は,体験したことを振り返り,その体. 育内容の改善が記された。そして,この報告書にお. 験から学んだことを言葉で表現する活動が必要であ. いて,教育内容の改善に対する基本的な考え方とし. ると考える。振り返りをして気づいたことやわかっ. て第一に挙げられているのが,「言葉や体験などの. たことを言葉で表すことで,自分の学びを確かめる. 学習や生活の基盤づくりの重視」である。これは,. ことができ,その学びを知識,理解へと深めていく. 「人間力」,すなわち「生きる力」を育てるために. ことができると考えるからである。. は,生活習慣,学習習慣,読み・書き・計算などの.  それでは,この「体験と表現の一体的学習」を目. 学習や生活の基盤を培うことが重要であり,また,. 指すにあたり,その出発点となる体験的な学習活動. 将来の職業や生活への見通しを与える,国際社会に. は,どのようなものが実践されるべきであろうか。. 生きる日本人としての自覚を育てるなど,実生活を. 昨今,「体験」と聞くと自然体験やボランティア体. 視野に入れて学習や生活の目標を持たせることが重. 験などがイメージされることが多い。しかし,筆者. 一148一.

(2) は,体験はこれら外に出て行うものやイベント的要. (1)各授業において実権した体験的な学習活動. 素のあるものばかりではなく,教室の中の日々の教.  全7回実施した授業(授業A∼G)において,それ. 科学習においても実践可能であり,むしろ後者の毎. ぞれ行った体験的な学習活動は次のとおりである。. 日の授業での実践が大切だと考える。.  授業A:数え棒取りゲーム,B:ワークシートのキ.  そこで,本研究では,これまで様々な教科・領域. ャンディの数を数える,C:おはじき入れゲーム,D:. で行われてきた体験的な学習に関する研究について. お金の模型を使った計算,E:ワークシートの数え棒. 概観するとともに,日々の授業において体験的な学. の数を数える,F:数え棒を使った計算(1),G:数. 習を実践する教科として,第1学年の算数科を対象. え棒を使った計算(2). に,体験的な学習活動,さらに学習したことを言葉. (2)振リ連リカードの回答結果. で表現する活動を取り入れた授業を行い,その実践.  振り返りカードの①∼④の質問項目において,①. の結果を分析し,効果的,体験的な学習のあり方に. 「楽しかった」,②「理解できた」,③「思った」,. ついて考察することを目的とした。. ④r体験的な学習活動(実際には,具体的な活動内. (2)研究の対象と方法. 容名)が楽しかった」を選択した児童の割合がもっ. ①文献研究. とも多かった授業を左から順に並べると次のような.  これまで様々な教科・領域で行われてきた体験的. 結果になった。. な学習に関する研究について概観し,学習における.  ①:授業C>A>F>D>B〉G>E. 体験の意義や,体験的な学習の活動例などを考察す.  ②:授業A〉C・D>E>F>B〉G. る。.  ③:授業C>D>B>A>F>E>G. ②実地研究.  ④:授業A〉F・G〉D>C>B>E.  先行研究を参考に,種類の違う体験的な学習活動,. (3)実良分析から明らかになったこと. 及び学習したことを言語で表現する活動を取り入れ.  実践結果の分析から明らかになったことの主な2. た授業を行い,その実践結果を分析して改善点を示. 点は以下である。. していく。. 1.基礎的・基本的な知識・技能の習得,また主体. 対竈:兵庫県K市立A小学校第1学年の児童22名.   的に学習に取り組む態度の育成につながる体験. 期問:平成22年1月20目∼平成22年2月25同.   的な学習活動とは,お金(模型)の計算や,ゲ. 教科・単元:算数科「大きいかず」.   ームをして得点を比べるといった児童の生活体. 実権倶業:7時間.   験に結びついた学習活動である。. 方法:各時間に,種類の違う体験的な学習活動を取. 2.その中でも,ゲームの得点を比べる学習活動の. り入れた授業を実施し,授業の終わりにその授業で.   方が,第1学年の児童にとってより身近で,興. わかったことや学習したことを,家族に知らせる形.   味・発達段階に合っている。. でノートに記述するという言語表現の活動を行った。. また,各授業の最後に振り返りカードを配布し,①. 4 今讐の課題. 『授業が楽しかったか」,②「授業内容を理解でき.  一つ肩に,本研究では体験と表現の一体的学習を. たか」,③r本時の内容をさらに学習したいと思っ. 目指して実践を行ったが,思うような成果が出せな. たか」を3段階で,④「授業の中のどの活動が楽し. かったので,体験と表現の一体的学習のあり方につ. かったか」を選択方式で,計4項目について児童に. いてさらに考え,その実践を進めていくことである。. 評価させた。そして,児童がどれだけ学習内容を理. 二つ目に,今回の研究では散り上げることができな. 解できているかをみるために,授業後に確認問題を. かったr算数的活動」という概念について考察し,. 出して解かせた。実践分析は,1.実施した体験的校. この概念から先行研究の分析や授業実践の分析をす. 学習活動の内容,2.言語表現活動でのノート記述,. ることである。三つ目に,今回は算数科での実践で. 3.振り返りカードの回答,4.確認問題の正答率を. あったが,算数科以外の教科・領域においても体験. もとに行う。. 的な学習の実践を行っていくことである。. 3.研究の成果. 修学指導教員 鈴木正敏. 一149一.

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