体験的な学習に関する研究 :―小学校第1学年での授業実践を通して―
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(2) は,体験はこれら外に出て行うものやイベント的要. (1)各授業において実権した体験的な学習活動. 素のあるものばかりではなく,教室の中の日々の教. 全7回実施した授業(授業A∼G)において,それ. 科学習においても実践可能であり,むしろ後者の毎. ぞれ行った体験的な学習活動は次のとおりである。. 日の授業での実践が大切だと考える。. 授業A:数え棒取りゲーム,B:ワークシートのキ. そこで,本研究では,これまで様々な教科・領域. ャンディの数を数える,C:おはじき入れゲーム,D:. で行われてきた体験的な学習に関する研究について. お金の模型を使った計算,E:ワークシートの数え棒. 概観するとともに,日々の授業において体験的な学. の数を数える,F:数え棒を使った計算(1),G:数. 習を実践する教科として,第1学年の算数科を対象. え棒を使った計算(2). に,体験的な学習活動,さらに学習したことを言葉. (2)振リ連リカードの回答結果. で表現する活動を取り入れた授業を行い,その実践. 振り返りカードの①∼④の質問項目において,①. の結果を分析し,効果的,体験的な学習のあり方に. 「楽しかった」,②「理解できた」,③「思った」,. ついて考察することを目的とした。. ④r体験的な学習活動(実際には,具体的な活動内. (2)研究の対象と方法. 容名)が楽しかった」を選択した児童の割合がもっ. ①文献研究. とも多かった授業を左から順に並べると次のような. これまで様々な教科・領域で行われてきた体験的. 結果になった。. な学習に関する研究について概観し,学習における. ①:授業C>A>F>D>B〉G>E. 体験の意義や,体験的な学習の活動例などを考察す. ②:授業A〉C・D>E>F>B〉G. る。. ③:授業C>D>B>A>F>E>G. ②実地研究. ④:授業A〉F・G〉D>C>B>E. 先行研究を参考に,種類の違う体験的な学習活動,. (3)実良分析から明らかになったこと. 及び学習したことを言語で表現する活動を取り入れ. 実践結果の分析から明らかになったことの主な2. た授業を行い,その実践結果を分析して改善点を示. 点は以下である。. していく。. 1.基礎的・基本的な知識・技能の習得,また主体. 対竈:兵庫県K市立A小学校第1学年の児童22名. 的に学習に取り組む態度の育成につながる体験. 期問:平成22年1月20目∼平成22年2月25同. 的な学習活動とは,お金(模型)の計算や,ゲ. 教科・単元:算数科「大きいかず」. ームをして得点を比べるといった児童の生活体. 実権倶業:7時間. 験に結びついた学習活動である。. 方法:各時間に,種類の違う体験的な学習活動を取. 2.その中でも,ゲームの得点を比べる学習活動の. り入れた授業を実施し,授業の終わりにその授業で. 方が,第1学年の児童にとってより身近で,興. わかったことや学習したことを,家族に知らせる形. 味・発達段階に合っている。. でノートに記述するという言語表現の活動を行った。. また,各授業の最後に振り返りカードを配布し,①. 4 今讐の課題. 『授業が楽しかったか」,②「授業内容を理解でき. 一つ肩に,本研究では体験と表現の一体的学習を. たか」,③r本時の内容をさらに学習したいと思っ. 目指して実践を行ったが,思うような成果が出せな. たか」を3段階で,④「授業の中のどの活動が楽し. かったので,体験と表現の一体的学習のあり方につ. かったか」を選択方式で,計4項目について児童に. いてさらに考え,その実践を進めていくことである。. 評価させた。そして,児童がどれだけ学習内容を理. 二つ目に,今回の研究では散り上げることができな. 解できているかをみるために,授業後に確認問題を. かったr算数的活動」という概念について考察し,. 出して解かせた。実践分析は,1.実施した体験的校. この概念から先行研究の分析や授業実践の分析をす. 学習活動の内容,2.言語表現活動でのノート記述,. ることである。三つ目に,今回は算数科での実践で. 3.振り返りカードの回答,4.確認問題の正答率を. あったが,算数科以外の教科・領域においても体験. もとに行う。. 的な学習の実践を行っていくことである。. 3.研究の成果. 修学指導教員 鈴木正敏. 一149一.
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