科学における知識理解の意味 : 理科教育的視点から
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第44巻 第2号 2 44 i i t t ty o日欧iuca onIC) VOI on(Sec lof Hokkaido Univelsi louma . . ,No. 平成 6年3月 MarCh ,1994. 科学における知識理解の意味 ÷. -- 理科教育的視点から-. 一. 平. 弘. 1はじめに 50年間における氷河期論生成過程1における詳細な分析から, 理科教育における この論文は過去1. 次の基本問題について論述する‐ ①科学的知識は発見されるものか, 創造されるものか‐. ②知識理解の意味 ③科学の方法について ④科学における合理性について ⑥科学的知識形成における手続論. 2氷河期生成過程 氷河期論生成過程の資料1から, 図1は1800年代から最近に至たろ, 各々の時代における権威あ る教科書と論文をまとめた. この中でT (理論概念), P (経験概念) はその時代の特徴的な科学 概念を示す‐ 図2はこれら科学概念の生成の歴史的配列を示 し, 図3は各々の概念の生成の関係を まとめたものである. この流れを概観すると, 次の区分が可能である‐ ① ② ③. 「前氷河時代期」 (T.~T2期) 「氷河時代確立期」 (Ts期) 「複数の氷河期認知の時期」 (P2期). 「ウルムーリスーミンデルーギュ ンツ氷河期認知の時期」 (P3期) 「過去50万年間の気候変動解析の時期」 (P4~P7期) 更に大きく区分し, (T,~T3期) を 「ライ エルーアガシー期」 とし, (P2~P3期) を 「ガイ. ④ ⑤. ギ--ペ ンク期」 とし, (P4~P7期) を 「エミリアニーヘイ ズ期」 と名づける‐ これらは, 平・ 吉岡 ( ) により既にまとめられている, 氷河期論生成過程における, 段階1, 段階2, 段階3 1 983 に対応する. そのため, その氷河期論生成過程の一般的な歴史的詳細はここでは省略する‐ 図1か ら図6は理科教育的視点から, 次の問題を明確化するため, 筆者によりまとめられた‐. 163.
(3) . 平 図1. 一 弘. 氷河期論生成過程における、 各々の時代の権威的論文. 「旧約聖 書」 : T・ ラ イ エ ル (1 8 3 3) 「地質学原理」 :T2 ア ガ シー (1 8 40) 「氷 河 研 究」 : T3. 経験 領 域 」 1鰍 領 域. 理論領域. 領 域 理 論 . 8 4 2) ア デマ ー ル (1. 「海 の 大変 動」 : T。. ガイキー (18 7 4). ク ロ ー ル (1 8 64). 「大 氷 河 時代」 : P2. 「気 候 と 変動」 : Tb. ペ ンク ・ ブルッ ク ナ ー (1 9 09). ミラ ンコ ピッ チ (19 2 0). 「氷河時代におけるアルプス」 :P3 「太陽放射によって生じる熱現象に関する ケ ッ ペ ン・ ウェ ゲナ ー (1 9 24). 数学 理 論」 : T。. 「地質学的過去の気候」 エ ミ リ ア ニ (19 5 5) 「更新 世 海水温」 : P4 エ リ ク ソ ン等 (19 61). 「大西洋における深海コア」 イ ン ブリ ・ キッ プ (ca .1 9 6 9). 「有孔虫による多変量因子解析法の開発」 メ ソ レー ラ 等 (1 9 6 9) 「気候変動の天文学的理論」 :Ps ククラ (1970) 「黄土と深海底堆積物の対比」 :P6 プ ロ イ カ ー ・ フ ァ ン、 ド ン ク. バ ー ネ カ ー (1 9 72). 「地 球 が受 ける 太 陽 幅 射 の 変動」 (19 7 0) 「放射変動、 氷量、 酸素同位体変動」 ベル ジェ (19 7 7) ヘイ ズ 等 (19 7 6) 「地 球 軌 道 の変 化」 : P7. 164. 「気 候変 動に お ける 天 文 学 説 に対 す ’ る 支 持」 : T。.
(4) . 科学における知識理解の意味 図2 氷河期論生成の過程 事実P.(迷子石) 認知 ←先行概念T.(大洪水) 視察データーの選択 ↓ 現象の説明概念の創造 T▲(淡水説) -宗教(創造) T2(流氷説) ←折衷案 (矛盾した論議) To(氷河時代脱)←観察. 現象の説明概念の選択加説得性 (矛盾は内包). T3. 何であるかを知る. 如何にして起こるか. 鰍領域. 経験領域の拡大. 鰍競輪靴 P 票れ考土による複数. 理論 で見る. :. 理論について考える T.:アデマール説 Tb;クロール説 Tc:ミランコビッチ説 Td:その他. 2;. の氷河期の推定 P3:段丘による気候変動 史 - i ▼. ↓. 経験領域の定量化 P,:酸素同位体曲線 1. TG. - ー ▼. ↓. 経験領域の定量化 Ps:海面曲線. 変動曲線. 経験領域の定量化 P,:酸素同位体曲線n. ’ T。 ←. 165.
(5) . 平. 一 弘. 3科学的知識は発見されるのか, 創造されるか 科学的知識は人により真実を発見するという考えと, 科学的知識 は創造されるという考えがあ る3 l i l i t ta sm 的考えと, ェns rumen sm 的考えである‐ 氷河期論生成の過程から論ず . これは Rea. ると, 初期の段階では 「事実の予見」 とか 「可能性の予見」 であり, これは実在を信じるというこ とである. これはポラニーの指摘4にある 「かく れた実在の予感にたいする傾倒」 と考える. 「氷 河時代」 という概念が推定された後において (図2), その作業は 「それが何であるかを知る」 と 言う作業と 「如何に起こるか」 の理論の創造であり, これは理解することと説明の作業でもある. 更に, 理解することは 「理論で見る」 作業であり, 説明は 「理論を創る」 働きである. この作業も 理論T‘が創造さ れ,経験領域が定量(数学) 化が進と, このゲー ム はあるシミ ュ レーショ ン・ゲー ムとなる. それ故, 事実を発見すると言うことは 「そのように見える」 と言うことを意味し, これ は 「事実を創る作業」 でもある. 例えば, エミリアニの酸素同位体曲線は初めての定量的気候曲線 であり, これはある目論みで作成され, これはT。 (ミランコ ビッ チ曲線) とかなりの対応を示 し た. これは最初の説明概念 (T‘ ) を説明 しうる, 事実の発見であ っ た. しかし, これは, 時間を 経るうちに, この曲線は理論と一致するが, これは見掛け上のことで, 別の意味があることが判明 した. これは, この酸素同位体曲線が事実の発見でなく, 事実の創造であることを示す. それ故, 事実の発見とはコ ロンブスによるアメリカ大陸の発見とか, 迷子石があすこにあると言う様な発見 なの である. その意味で, 科学は定性的側面において, 客体と主体の区分はあるが, 定量化が進む につれてその区分は消える様である‐. 4知識理解の意味 氷河期論生成の過程から知識理解の意味を探ってみる.人が対象を理解す・ ると言うことは,本来, 自身の精神的安定を保つためであり, これは個人であるうと, 社会集団であろうとおな じである. 図1は氷河期論生成過程における, 各々の時代の権威ある教科書, 論文である‐ 教科書はクーンよ るその時代の パラ ダイムを示し, これはその時代の 「問題解決の雛型」 となる. それは, 前時代の 概念を部分的に引きずり, 矛盾を内包しながら, 概念分化を伴いながら, その パラダイムは変遷し て いく. そ の 変 遷 は 「ラ イ エ ル ー ア ガ シ ー 期」, 「ガイ ギ - - ペ ン ク 期」, 「エ ミ リ ア ニ ー ヘイ ズ. 期」 と区分される. これは, 知識理解において, ある種の完結性を示す‐ 図2はその歴史的流れを 詳細にまとめ, 知識理解 (知識創造) の過程は次の段階を経る様である‐. ( 1 ) 段階工 ①ある種の先行概念から 「事実」 の認知: 事実の理解 ②現象の 「説明」. ③説明概念の選択 ( 2 ) 段階虹 ①経験領域と理論領域の分化 ②理論を考える作業 (複数の理論が創造) と理論で考える作業:経験的理解と理論的理解が並列 状態.. ( ) 段階m 3 ①理論と経験領域が一体化 (自然現象の説明と意味が確立) :説明・意味の理解 166.
(6) . 科学における知識理解の意味. 5科学の方法 図3は氷河期論生成過程を色々な概念構成から, その相互関係をま とめた‐ 初期の段階の概念 T,の時期から, 最後のP7ま での, 概念の生成とお互いの関係を示す. 基本的に, この知識形成の. 過程は内的な世界と外的な世界をその視点を移動しながら, 現象の分析と統合を繰り返し, 理論と 現象の矛盾を解決して行く作業である. これは, ヨーロッパ という地域から, アメリカをふくめた 全世界にむけて同意をもたらす 作業でもある‐ クー ン流5の視点で氷河期論生成の流れを見ると, T.-P,の時期 はプレパラ ダイムの時期 であ りT3からパラ ダイム成立期で, P4以降はパラダイムの精密化の時期と考える‐ 科学の方法におい て, この パ ラ ダイムという用語はある全体を包括するが, あいまいな用語と指摘8されるが, この 「あいまい」 な用語こそが重要な前提概念である これは 宗教における無分別知であり 宗教は ‐ , , むしろこの無分別知を重視する. 図4は図3を基盤とし概念の理論概念と経験概念の生成の パタ「 ンをしめす. この図から, m期 以降と以前でその知識の構造論的違いが見られる. 皿期以前は上位概念の設定の段階であり, これ 以降は概念分化の時期 である‐ 宗教における無分別知と分別知の区分で, 知識とは分別知を示す . 図4のm期以降はその分別知を示 し, 以前は無分別知と考える‐ 前者は構造化された科学的知識 で あり, 後者は経験, 直感, 部分的観察を基盤とし理論と形而上学的理論が一体化 した, 断片的な複. 合体を示す. 分別知の出発点は上位概念 (氷河期) の認知であリテ 無分別知の出発点は事実の認知 である. 事実を認知する場合も, ある理論が必要でされる (ここでは形而上学的概念である). 分 別知と無分別知 (包括的な知) の区分を科学哲学の分野に応用すると, 無分別知の代表は前述した 様にパラ ダイムという概念 であり, 氷河期生成の流れ ではこれは 「氷河時代」 と言う概念 である . 氷河期論生成の過程からこの無分別知と分別知の違いは図5 に詳細に示 している‐ ラカ トッ シュの「研究 プロ グラム」7’8は暖昧さが内在する パラ ダイムという概念を逸脱し, 「研 究プロ グラム」 と言う 概念に三つ の要素を (中心核, 仮説帯等) 内包させているが これはこれ自 , 体分別知に近かづい ている‐ この 「研究プログラム」 の視点で図3を見ると, 氷河期論の中心核は 「氷河時代をもたらすそ の源動力は,太陽のまわりをまわる地球のまわり方の変化」 と言う思想 で , この研究プロ グラム は外部からの反証に対し, T。からT ’ とその構造を変 化 (先行理論に対し補 助項を加える) をさせながら (図3, 4), 前進的な時期と退行的な時期を繰り返して来ている ‐ これら一連の天文学説は他の氷河期論と競合しながら, 歴史の中で消される ことなく, 浮き沈みし てきた. そのため, ラカ トッ シュの 「研究 プロ グラム」 説は知識が分別化される時, 適合可能であ り, 「パラダイム」 の概念は知識が無分別知の次元で適合性があるよう である‐ これは 即科学の , 方法論という概念は科学的知識が生 成され, その発展の過程の 各々の-側面を強調 している様であ る.. 167.
(7) . 平. 一 弘. 図3 氷河期論生成過程における経験概念と理論概念の関係. 外の世界. 内的世界. 経験概念. 理論概念. 経験概念1. 経験概念耳. 理論概念ロ 理論概念1 形而上学的概念. (定性的). (定量的). 定量的予言. 可能性の予見. 事実の予見. (数学の利用). &く、 、 、. T.. 一・、 ;〉′T3. // / / を/ ↓. r b T Tc. P3 \\ \\. \\ \\ iP 4. ↓ Ps. き. *. Tc’. 実験・観察1. 実験・観察=. (野外観察). (機器の利用). 観察・実験. 168. 実験皿. (思考実験).
(8) . 科学における知識理解の意味 図4 氷河期論生成における、 概念分化の過程. 「1期」 :事実の認知の時期. 1期」 :複合概念の時期 [1. T. 主. T. T2 T3. 「W期」 理論概念の固定化の時期. [m期」 : 知識生成の時期 T3. P2. T3. Tb. 歳差. P3. 歳. 離 心率. Tc. 離 心率. 傾動. 「V期」 :理論概念と経験概念の融合の時期 T3. P4. P5. P6. Tc. T c’. P7. 歳差1. 歳差ロ. 離 心率. 傾動. 169.
(9) . 平. 一. 弘. 6科学における合理性 科学は合理的である言う場合, そのイメージは定量的に思考することが出来るという漠然たる概 念である. 科学における合理性は, 人の脳が本来合理的なのか, 自然が合理的にできているのか, 自然科学がレトリカルに合理的であるのか, その問題は多様である9 .. 氷河期論生成の過程から合理性を考察すると, これは知識の構造論的特性で変化する様である‐ 図2, 3において, TI-P.期においては, 科学外の権威と 「帰納的合理性」 が一体化している が, 「氷河期」 概念が認められる過程は合理的と は言われない. むしろ, 非合理的であるが, 色々 な概念群 「T, , T2 , T3」 は色々な問題を内包しているにもかかわらず, それぞれ内的に調和し, 完結性をもっ ている. これらをここで, 内的・直感的・合理性 (これは広い範囲の前提を基礎とし ている) と定 義する‐ T3選択以後P3-T‘までは, 定性的操作で経験領域を拡大 し, 理論群を増. 殖の時期でもあり, 天文学説と定性的な気候変動曲線の対比の時期である‐ この対比が如何なる意 味があるかは別として, 定性的な 「確証と反証」 を基盤とす る合理性の時期である. P4以降は天 文学説と定量的気候曲線の対比の時期であり, この時期は定量的 (数的) な 「確証と反証」 の合理 性を特徴とする. 更に, 図3は時間と共に経験概念と理論概念の相対的距離が近か づいていることが明確に示され ている. ロー ダン ( 198 6 ) は問題解決過程を科学における合理性と考え ているが, 図3における二. つ概念の収教化は最終的に対象の完全理解 (問題解決) を示す‐ これは真の理解 (問題の解決) が 内的世界空間と外的世界空間の結合を意味し, 宗教における 「主客不二」10に対応する. 科学にお いて, 二つ は完全に結合はなく, あくま で近似であるが, 「主客不二」 に近かづき, これが理解で ある‐ 理解とは一見 「分別 (概念の分化) 」 を意味するが, このレベ ルでは人の知恵と はなりえな い. 宗教における 「仏も吾れもなかりけり」10と言う心境が知恵の理解であり, これが知識の同化 を意味する‐ しかし, 約1 50年間における氷河期論形成過程におい て, その問題解決の過程は図4における, 概念分化の過程であり, それに伴いその理解の レベ ルが存在する. この概念分化過程には, 色々な 小問題の形成, 理論の選択, 問題解決法が内包されている (図6)‐ 更に, T,-P,期, P3ーT。 期, P4期以降において, その問題の解決の方法論は広い範囲の知識領域が常に関与している‐ 又, ある問題を解決に努力しても, その結果は別の意味が判 明することがあり, そのため図4は単なる 現在の結果図なのである‐ ロー ダンの 「合理性は最も高い問題解決率を示す研究伝統を選択するこ とである」 と言う主張は完全 には理解できないが, この氷河期論形成過程において, 概念分化の基 本となっ ている概念が存在する. それは 「時間と空間」 の概念であり, 概念分化の基本前提はこの 概念である. それは地球には長い歴史が存在すると言う言明 (これは18 30~186 5年にライエルによ り地質時代区分がなされている) と同じ時代の地層がグロー バ ルに広がる言う言明である. もし, この氷河期論生成の歴史に研究伝統的な 概念があるとすると, この 「時間と空間」 の概念である. それ故,この「時間と空間」 の概念を基本としなければ, 氷河期論の歴史のながれは存在しない. その意味でこの概念を受容したことが科 学における合理性と考えるなら, これが第一の合理性であ り, その中に 「帰納的合理性」 ・ 「演経的合理性」 を内包すると考える‐. 17 0.
(10) . . 科学における知識理解の意味 図5 氷河時代に関する分別知 (科学的知識) と無分別知. 無分別知 (大 洪 水説). P. (迷 子 石). T.. 全鯛の 識別:観. T3 (氷 河 時 代 ). \ \ \ \ \. ← 無分別. 大洪水説 硯 : T.. 氷 河 時代 : T3. 一. / /. 察. 知の概念 構成図. / //. 又. 迷 子石 T。 (歳 差). ←分別知 (知識). ↓. ↓. P2 (漂 れ き 土). Tb. ↓. ↓. P3 (段 丘 れ き層). T。 (歳 差、 難 心 率、 傾 動). (歳差、 離心率). 時間と空 間により. 分析. P4 (酸 素 同 位体) ↓. P5 (海 面 曲 線) ↓. P6 (土 壌 と 黄土) “ ′ {↓. ′ ′ ′ ↓. ’ (T の 修 正) P7 (酸 素 同 位体) T。 。. 氷 河 時 代 : T3. 何 である か. 如 何に して 起 こる か (天文 学 説 : T。). (気 候 曲線). 4. P5. P6. 歳差 P2. ←分別知 の概念構 成図. 離 心率. 傾動. P3. 171.
(11) . 平. 一 弘. 図6 氷河期論生成過程における問題の設定とその解決の過程. 「事実の認知」. 1迷子石←洪水説 ↓. 「問題1:何かを知. 1迷子石 鵬. 贈 来たかl. る」 ・ ↓Y. 「事実の説明」. 〆. 1事実の多様な説明1 ↓. 「選択基準:経験概 念拡大・概念の分. 観察領域の拡大 から選択瀧 ヒ 震 1説明の中 聾篇蓉歪 経験概念の分化 1. 化」. 「前提概念の確立」. -理論A. ー氷河時代 」 I. I. 「問題江: 問題の分 化」 「何かを知る」 「何故起こるか」. 氷河時代とは 氷河時代の原因は何か 何か ↓. ↓. 「問題皿:経験問題 と理論問題:その 整合性」. 殖・選択 ,選択1 綱 理論概念の増 経験概念の分化 理論概念の 増殖 1↑. ↑1. ← 「他の分野からの知識」. 「問題W:如何に知 るか」. 嘉麗茅1嫌冨か Y ‐ r 、. 1. 「問題解決」. 17 2. 一理論B. 1理論と現象の近似的一致l.
(12) . 科学における知識理解の意味. 7知識形成における手続的知識 知識には図5に示され様な表示的知識と, これを生み出すための手続的知識があり, ここでは手 続的知識の意味を探る.次は各々の時期の気候変動曲線作成の前提と,曲線を作成する手続である‐ ・ 漂れき土層の間に見 ①P2:最も厚い漂れき土 (末端氷堆石) より, 過去の氷河の分布を推定し, られる, 植物の破片等は間氷河期の堆積物と推定する. ②P3: ‐アル プスの北斜面において砂磯層 を氷河期の堆積物とし, 平坦面を間氷河期の堆積物 とす る‐. ③P4: 海水は二種の酸素同位体を含み, 寒冷水に棲息する貝はより重い同位体を取り入れる‐ そ のため過去に棲息 していた貝の同位体を測定すると, 過去の古海水温が推定出来るため,-それに より氷河期と間氷河期を区分することが出来る. ④P5:サン ゴ礁の高さから昔の海面の高さを推定 (温暖期は高海面, 寒冷期は低海面)- ⑤P6: 氷河拡大期のその周辺部に黄土層が堆積 し, 温暖化すると森林が発達することにより, 氷. 河期と間氷河期を区分出来る. これらの基本的前提により, 色々な気候曲線が各々の時代に作成され, 理論と照合し, ある完結し ) た知識体系を形成した‐ しかし, これらの前提は, おとからの研究資料で否定され (例えばP3 たもの, 初期の目的とその結果の意味が変更させられた前提 (P4 ) 等があり, その前提は変遷 し ている. それ故, その前提が否定, 変更させられると言うことは知識形成の手続論が変わることを 意味する‐ それは理論領域においても, ある前提が存在 (氷河作用の始まりは, 冬期における太陽 放射量の減少か, 夏期における減少か) することは同じである. これらの資料から, 科学は前提を 認容したまま知識を創造し, 知識転換の中で, 前提も転換させて行くやりかたを取るのが自然であ る. それ故, 科学的知識は 「知識の前の知識」 があり, これが知識転換の重要な働きをしている‐. 8理科教育的視点からの考察 これら科学史的資料の理科教育的視点からの再編成は多様な問題点を明示している. それは, 教 育目的, カリキュラム編成, 教授・学習課程論, 学力論等に多面的な視座を与える‐. ①教育目的論 1 それらは 「知識理解」 教育目的は実際的側面, 社会的側面, 文化的側面に分類され1 , , 「社会 的問題解決」, 「知識の創造」 に対応する‐ 教育目的は社会目的と同じく考える場合があるが, こ れらは基本的次元の違うものである. 基本的に社会全体の人間が, 専門的知識を創造することはで きないし, 又一人の人間があらゆる知識を習得することはできない. それ故, 「知識理解」 には限 界があり, むしろ 「社会的問題解決能力の育成」 ということに, 教育目的は限定される‐ この問題 解決能力の意味はこの小論で論述したように, 如何なる理論なり, 如何なるパラダイムなり, 如何 なる伝統を 「選択」 出来るかと言うことである (これには, 社会において純粋に多様な理論を創造 する機関があるという前提がある). これが, 知識理解の過程で習得される必要がある.. ②教育課程論 それ では, 具体的に氷河期論体系をカリキュラム問題に載せて見たい‐ カリキ ュラムはその目的 により, 「生の知識体系」 にするか, あるプロ グラムを作りそれ に再編するか, 多様である. 「知 識理解」という視点からは「気候のシステム」 に, 「社会的問題」 という視点からは 「気候と環境, 173.
(13) . 平. 一 弘. 気候と文明, 気候と食料」 に, 「知識の創造」 という視点からは 「所謂, 知識の前の知識 (知識創 造の潜在的側面) 」 に再編される. しかし, 再編したとしても, それらは無限大に拡大できな し, 同時に子供の外的世界は常に無限大に変革される可能性を持つ. その意味でカリキ ュラムは小さな 枠組みで限定されることが望ま しい. それで, カリキ ュラ ムの中心 核は 「気候システム十知識の潜 在的側面」 となり, 周辺部に 「気候と環境等」 いっ た概念を配列すべきである‐. ⑧学力論 学力について, 氷河期論生成過程から, 考察してみたい. 学力というより, 人間が安定して存在 、 するためは何が必要かと言うことである. 問題解決における矛盾は内的世界と外的世界の矛盾と, 内的世界同志の矛盾が存在 し, この解決とは最終的にを宗教における 「主客不二」 の状態に達すこ とである. この学ぶ力, 即ち問題解決のする力は 「創造する力 (探求能力) の裏側に存在する選択 する力 (受容能力, 選択能力) 」 となり, これが広い意味の学力と定義される.. ④教授・学習過程論 2における知識習得過程と 氷河期論生成過程から考察された知識理解の段階は発生論的学習理論1 3氷河期論 驚く ほど良く一致する. 更に, オーズベルが指摘する前提概念からの知識分化の過程は1 生成過程における構造分析においても明確に示されいる‐ ピアジェにおける論理的思考とかガニエ の指摘する探求の過程は, 「知識外の知識」 としては単純化, 一般化されたきらいあり, それほど 知識形成は単純ではない. むしろ, ピア ジェ における 「主客不分離」 の思想14こそが, 理解におけ る最重要な考えであると, この資料は示している.. 引用文献 1 1 i i l ingthe mys l i ・ nbr e t 1 1dl l nbr e v ery ow Publ shers ,J ,K‐P‐,1979 ‐a ‐lceages:so .Ens ,New Jersey .. 2 平 一弘・吉岡一男, 198 3 3‐7 8 ‐ 地学分野の学問構造と学習理論. 日本教科教育学会誌,8(3・4) :7 ‐ 3. Munby ing the sc i i f i i ty s tudi idence ca t tudeinvent r v esinvol ent c at ory:whatconf l l we ,H.,1983 ‐Thi haveinthi R S i T h 2 0 1 4 1 1 6 2 sinst rument ? J e s c e c ‐ a : ‐ ‐ ., . ‐. 4 マイケル・ポラニー (佐藤訳)‐ 19 8 7 . 暗黙知の次元. 紀国屋書店. 5. Kuhn,T-S i i f i t tureofsc ions ruc ent crevolut cago Uni v cago .,1970 .Thes .Chi ‐Press ‐ Chi .-. 6 ラリー・ローダン (村上・井山訳), 19 8 6 ‐ 科学は合理的に進歩する‐ サイエンス社‐ 7. Gi l ber f t t ian analys i ian and a l i t t t s ofthe piage erna ve ,J‐K.and Swi ,D‐J ‐,1985 ‐Towards a Lakatos ionsresearch progra江 S i E d 6 9 6 8 1 6 9 6 concept ー s c u c 一 : ‐ . ‐, ‐. 8. Ha l lam,A ,1983 Greatgeol i ogi calcont rovers es vrPress ‐ . ‐oxford Uni ,London . Nussbaun J 1 9 8 9 C 1 l h h i l h i l i t i ・ t ves , ., ‐ assroom concep ua c ange:p osop ca perspec .lnt ‐J ‐Sc .Educ ‐11: 530‐540 .. 9. 10 .柳宗悦, 1 99 1 ‐ 南無阿弥陀仏‐ 岩波文庫. 1I Shen i i t i i tanding ofsc encel eracy andthepubl cunders ence ,B‐S.P‐,1975 ‐Sc .lns ‐B.Day (ed) ,Com- i i i f i i K l B . 4 2 4 5 muni cat onofsc ent cinfor l nat on a r e a s e 一 g , . ,pp ・ ・ i2 〇sborne t t i i i Educ,67:489一508 t rock ngsc ence:agene veProcess ra ,R-J -and Wi ,M-C .,1983 .Learni . Sc . ・ . ) 13 Novak i l IUni thaca on v ,J -ェ ・,1977 -Atheoryofeducat ‐Corne ‐Press ,l . 14 Cawthron,B・R・and Rowe ILJ .ogy and sc i ion i temo s enceeducat esin Sc ence Edu- ・w.,1978 .Epi ‐Studi i cat on,5:31‐59 .. (本 学 教 授 174. 旭 川 校).
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