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高齢者の行動に影響を及ぼす志向について : 生涯学習の視点から

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(1)高齢者の行動に 影響を及ぼす 志向について 一一生涯学習の 視点から. 鈴付. 一. 健治 ". Effects@of@Inclinations@on@the@Behavior@of@Aged@People: From. the. Viewpoint. of. Lifelong Learning. Kenji@ SUZUMURA. はじめに 脳の神経細胞の 数は 20 歳を過ぎる頃 から減少していくことが 分かっている。 したがって 、 脳の情報量も 減少することになり、 適応力は弱まる 事実は否定できない. 0. ネ、. ッ. トワーク を. 形成する神経細胞には 限りがあ り、 加齢とともに 死滅したり機能が 衰えてい き 、 高次の情 報や多量の情報を 処理することは 期待でぎなくなる 0 そして 7 0 歳 以上になると 既存の情 報は利用できても、 新しく学習することはかなりの 負担になり、 不可能なことも 多くなる。 神経細胞の死滅や 機能低下のためであ るが、 活性化されない 部位もまた急速に 衰えていき 老化が進む。 しかし、 このような状態であ っても、 これまで全く 経験していない 新しい情報を 学習す る 能力は残存している。 コソピュータ 一の操作も、 初歩程度であ れば習得できるし、 ここ に 生涯学習の意味があ り、 それを可能にするのが 神経細胞同志を 連絡している 軸索の働 き であ る。. この軸索は突起を 持ち、 その突起が樹状突起と 結合して新しい 回路を形成して ネ、 ットヮ一 クな 形成する。 軸索は意志や 意欲の影響を 受けて成育したり 樹状突起と結合したりするの で、 軸索の構造や 機能を支配しているのは 意志、 意欲、 興味、 関心などであ る。 老化に ょ りこれらの活動が 弱まると、 軸索の活動も 鈍くなり、 高次の情報を 取り入れにくくなる。 また、 軸索に指令を 出しているのが 意志や意欲であ り、 それをまとめた 機能が「志向」で あ る。 したがって本論では、 志向を以下のように 定義づけることにする。 志向とは、 行為の目的ではなく、 行為の手段や 結果により方向 づ げられてその 方向に向 か お うと 動ぎ出す力であ る。 手段の選択は 主として認知が 行い、 適切な手段を 選び出して 最善の結果に 結びつげる方略の 使用を可能にする。 認知によって 選択された方略は 意志の " 障害児教育講座. (Dept. of Special Education).

(2) 22. 鈴付. 健治. 力で 遂行される。 いかに認知力が 高くても実際に 遂行されなければ 役にたたないことから、 認知と志向とは 一致した方向に 進むことが望ましい。 ところで、 志向が重要なのは、 脳のネットワークの 形成の方向を 決定づけるからであ る。 逆に、 志向もネットワークによりコソトロールされているので、 加齢によりネットワーク の構造が変化すると、 志向は不均衡な 様相を示すようになり、 それが行動に 影響する。 ま た 、 伝達機能の衰えから 神経伝達物質の 流れが悪くなり、 志向力を弱めることもあ る。 高 齢者の場合は 年齢と相関して 適応困難が生じるので、 現在の志向の 状態をどこまで 維持す るかが問題になる。 そこで本論では、 脳の状態を推測させる 行動と志向との 関係を明かにするために、 志向 に影響する因子の 尺度構成を試み、 因子に含まれる 意味の解釈を 行 う ことにする。 志向は加齢により 方向を変えることがわかっている。 この変化は志向を 構成している 因 子がどの方向を 示すかで決まるので、 方向を決定する 因子を系列化して 考察した。 ただし、 本論では実際のフィールド ワ クな 行 う のではなく、 その前提となる 志向に関与する 因子 の解釈に留める。. 下位項目の構成と 可能な解釈 志向を構成する 因子を系列で 表すと、 外的系列と内的系列とにわげられる。 を下位系列化すると 以下の表のようになる。 表 1. 「志向」を構成している. 外. 的. 系. 列. 時系ダ吐. 時間による階層系列 場系ダ Ⅱ. 対人関係系列 経済・文化・. 娯楽系列. 系列. 内. 的. 系. 列. 欲求に基 づく系ダリ 不安に基づく 系列 自信に基づく 系列 攻撃性に基づく 系列. 失敗感に基づく. 系列. 欝 による系列 自律に基づく 系列 自己不信感に 基づく系列 二元化からの 系列 生産・消費に 基づく系列 難易度感系 タ Ⅰ. されに両者.

(3) 高齢者の行動に 影手を及. ]. 外的系列. 1). 時系列. はす. 志向について. 23. 志向が過去・ 現在・未来のいずれに 向いているかで 行動や態度は 決まる。 高齢になると. 過去への志向が 高いと思われがちであ るが、 現実への志向も 高く維持されており 個人差は 大きい。 したがって、 過去と現在への 志向と未来への 志向の割合を、 未来への志向の 減少. で捉えることにする。 この場合の「過去」とは、 既に十分獲得した 知識や技能を 意味して おり、 現在という場であ っても既存の 情報処理ネットワークを 利用している 場合は、 過去. 志向と解釈する。 一方現在への 志向は、 既存の知識や 技能をただ利用して 課題に対応するだけでなく、 刻々 と 変わる環境の 変化に応じるために 再構成しなおして 適切に処理することを 言 う 。 外的刺 激は働きかけ ろ ことにより刻々と 変化する。 その変化に応じて 行動を変えたけれ ば ならな いので、 相互関係を成立させるためには 既存の反応パターソをそのまま 使っただけでは 不 十分であ る。 その場に応じた 処理が必要になり、 それが現在への 志向の強さとなる。 同様に未来志向とは、 現在使用している 知識や技能であ っても、 未来を想定している 方 向を指す。 縛然 とした目標による 学習意欲、 実現するための 計画性などを 意味するもので はない。 知識や技能を 獲得するための 計画性、 見通し、 準備などが介入する 志向をさす。 この場合の計画性とは 習 う こと自体に対するものであ り、 習ったことを 利用するための 計 画性は含まれていない。 必ずしも利用するとは 限らないからであ る。 一般的な知識の 中で 利用できるものはわずかであ り、 蓄えている知識のほとんどは 何時利用するかわからない ものであ る。 知識欲は未来を 志向する代表であ り、 何を学ぶかにより 未来志向はわかる。 外国語を習 う ことが仕事のためや 外国に行く目的であ れば、 それはむしろ 現在への志向 の 強さと解釈すべきであ ろう。 そのような明確な 目標ではなく、 また何時利用できるかわ からず、 しかも直接自分の 利益にっながらない 知識や技能を 獲得しょうとする 意欲は 、 未 来 志向ととることができる。. 2). 時間による階層系列. 過去に定位しながら 同時に未来も 志向することがあ る。 逆に、 未来に定位しながら 過去 を意識することもあ る。 このように志向は 過去、 現在、 未来に純粋に 定位しているだけで はなく、 過去と現在、 過去と未来、 現在と過去、 現在と未来、 未来と過去、 未来と現在の 対立する方向を 目指すことがあ る。 したがって、 過去と現在・ 未来、 現在と過去・ 未来、 未来と過去・ 現在の志向が 理論上は可能であ る。 これが時間的な 階層化であ るが、 複数の志向が 同時に意識される 場合と、 維持的に意識 される場合とがあ る。 同時に複数生じる 可能性は、 上位の特定の 志向が下位に 属する 2 次 的な志向を働かせることによって 成立する。 したがって、 下位の志向は 相互に均衡を 保つ こともあ れば不均衡なこともあ り、 それに加えて 全てが同一方向を 目指している 場合と ア ソ ビバレ ソス のように両極に 引き合う関係が 存在する。. 維持的に志向が 派生する場合は、 上位志向がそのまま 持続する間に、 下位志向が派生し.

(4) 鈴付. 24. 健治. て 枝葉のようにわかれる. 条件や、 上位志向が下位志向となって. る。. 枝葉のように 別れた志向がまとまりを 持つこともあ. あ. るいはその逆で、. 分岐して影響する 条件もあ. る。. それが 演. 緯的 志向と帰納的志向との 違いであ るが、 老年期においてはどちらの 衰えが速いか 明らか ではない。. 3) 場 系列 場 系列による志向は 空間的な広がりがもとなり、 活動の場の広がりがバロメータ 一にな る 。 特定の職業についている 場合は、 その職種や内容によって 空間は固定しているので、. 少ない。 むしろ保持の 状態で判断することになる。 考えると、 退職しているか 否かが大きな 要因になる。 年齢が高くても. 伸展したり変化することは 高齢者の場系列を. これまでと同様に 活動している 場合は社会適応に 問題がないので、 ここで調べる 必要はな い。 日常生活における 活動がせばまり、 退行していく 割合が高く、 高齢者特有の 問題が生 じた時に調べることになる。 場 系列を空間関係から. 見ると、 志向は家庭から 外部へ、. 変わるので年齢との 関連で方向を 知ることができ 単位の流れにわけて 分析することにより「暮し. る。. あ るいは外部から 家庭へと移り. その方向をさらに 一日の流れと、 週. 方」がわかる。. 毎日同じような 過ごし方を. しているか、 曜日によって 変えているのか、 それとも固定するのではなく 時に応じて柔軟 に 過ごしているかを 調べることによって 老化のレベルは 推測できる。 場 系列はまた、 男女差との関係において 調べたければならない。 脳の活動レベルからみ. ると、 場の広がりが. 重要であ. るし、 男女差が予想される。 この場合、. 過去の生活史との 関. 係を無視することはできない。 男性の場合は 退職という大きな 節目を経験すると、 これま で自分で定めなくても 備わっていた 目標が突然喪失してしまう。 この状態は、 これまでに 経験したことがない 戸惑いであ る。 その原因は、 志向が覚から 内へと転換するためであ り、 転換が終結するまで 志向できない 状態が続く。 退職者は自分で 新たに仕事に 対する計画をたてた 経験がないため、 目標を失い一時的に 落ち込んだ状態になる。 また、 家庭では心理的に 居場所が定まらなくなる。 これが場の喪 失であ り、 この喪失が長期にわたると 生きる気力も 薄れて心身の 衰弱を促進して 死にいた ることもあ る。 長い間働いていると、 外部に向かう 志向が高いので、 家庭や自分の 利益に 直接ったがる 志向は低い。 しかし、 社会から期待されなくなると、 外部志向は不可能にな り家庭や自分に 向かわざるをえない。 これまでのような 志向は定位させることができない ためゼロの状態におかれてしまう。 一方、 職が安定せず 職を頻繁に変えたり、 アルバイト程度のことで 生活してきた 人は 、 退職しても挫折したりすることは 少ない。 それは過去が 不安定であ ったためにかえって 具 体的な目標をたてるのに 慣れている。 小さな目標でしかも 短期目標で妥協するため 環境へ の適応が速い。 このような 低 次の目標で満足できるのは、 自己に定位した 志向が強いためであ る。 現実 が自分と違 う とわかれば、 場に応じた目標に 変えてしまえる。 仕事に関しては 内的方向へ の 志向が強く、 退職することによって 逆に覚部へと 志向が変わる。 この場合の外的志向は.

(5) 高齢者の行動に 影響を及ぼす 志向について. 25. 娯楽やレジャ 一であ り、 旅行がその代表であ ろう。 男性が覚部志向であ り地位や仕事を 重要視するのに. 対して、 女性は内部志向が 強いので、. 家庭や生活を 大切にする傾向があ る。 退職するまで 独身で かた 女性は、 退職後内部志向も 外部志向もできないために 不安定な状態に 陥ると考えられやすいが、 男性が陥る場の 喪失 はなく、 気分を切り換えて 生活中心に志向して 解放感を味わう 柔軟さがあ る。 家庭を中心にしてぎた 者は、 家庭での責任が 次第に軽くなり、 それにともなって 活動の 場も狭まるので 行動が次第に 単調になり、 自分中心の活動が 多くなる。 それが脳の老化と 密接に関係しており、 生涯学習の可能性に 影響を与えるし、 学習を続けることが 高齢者に 適しているのか 否かについては 改めて検討しなければならない。. 4) 対人関係系列 志向は人間関係系列の 影響も受けるので 家族の態度も. 問題になるが、. ここでは直接高齢. 者の志向に影響する 変数にとどめることにする。 この見地にたっと、 中年期までは 責任を 基盤とした志向が 定位していたのに 対して、 責任のない立場に 追 い やられる違いが 目立っ ようになる。 家庭での人間関係も 変わり、 新しい人間関係を 生み出さなければならない。 主役であ った過去はわき 役になり、 それを意識する 中でどのような 方向に自分を 向ければ よいか、 高齢者にとっては 生きがいの問題になる。 人間関係系列の 最終は心理的孤独であ り、 この傾向は脳の 老化の程度と 関係する。 脳は もともと外部からの 刺激を求めているので、 十分に満たされないと 退屈という現象 や、 落 ち着きのなさを 示す。 ところが脳の 活動が衰えると、 一日中単調であ ってもそれなりに 満 足するようになり、 対人関係定位の 志向は弱まるだけでなく、 認識が薄れてしまう。 この ようになると、 社会的関係は 崩れて上下関係が 成立しなくなる。 老人ホームにおける 集団活動をみると、 各自が自分の 活動を行っていて、 集団の関係が 弱まるから、 老人同志ではリーダ 一になる者が 少ない。 同じような活動をしていても 統率 する者がみあ たらず、 集団で行っているようにみえて、 横のつながりが 薄い。 これは、 神 経 細胞の死滅や 機能の衰えを 反映するものであ り、 個人別の、 個人に即した 学習プロバラ ムが必要になる。 対人関係系列が 集団志向から 個人志向へと 移り変わることが 特徴になる。 同様に、 性格と、 集団から個に 変化していく 傾向とが関係する。 社会的関係を 重んじた ければならない 時期では、 自分を中心とした 見方だけではすまされない。 相手からの視点 を加えることによって 社会的関係は 成立する。 しかし、 相手の立場に 立つことが社会から 求められなくなると、 本来持っていた 性格特性が表面化してくるので、 集団行動を好む 者 と好まぬものが 明白になり、 孤立する時期や 様相が異なる。 6 5 歳以前の中年後期に 示し た 性格特性と比べることは、 生涯学習においてどのような 領域が適しているかを 知る手が かりになる。. 5). ・娯楽系列 経済志向か文化志向か、 経済・ 文ィヒ. 要 であ. る0. あ. るいは娯楽志向かと、 六ノ 意識面から学習領域を 知ることも 必. 経済志向とは、 現在に定位しながらも 将来までも見通した 自立志向であ. る0. こ.

(6) 鈴付. 26. 健治. り、 経済的な安定感に 基づく志向であ る。 高齢者の目標が 中年期以前と 異なるのは、 遠い将来を見越したものではなく、 財産を保障 するような経済志向にあ る。 したがって、 極力経費を削減することによって 安定性を求め ることになる。 生活の範囲がせばまっても 楽しめるのは、 現在を明確にしておきたいと 願 の 経済志向は収入とは 直接結 び つかない意識であ. う経済志向の 強さを示している。. 一方、. 収入が無い場合の 経済志向は不安に 根ざしたものであ. けの守りの姿勢が 強い情動的な. 色彩が強い。. る。 近い将来を見通しただ. 他人への依存がなければ 成立しないので 不安. るばかりか、 その依存がどの 程度保障されるかを 計算しにくいので、 見通しがたち にくい。 このような志向は 環境条件によって 大きく変化して 安定しない。 したがってここ では、 独り暮しで年金に 頼り、 その額が低くしかも 物価の上昇を 見込んだ時にどれ だけ経 費を切り詰められるかという 問題を抱えている 高齢者が典型となる。 逆に、 経済志向において 情動の影響が 低いのは、 生活様式の安定性であ る。 医療が整い、. 定 であ. どのような状況になっても 暮し方を変えないで 済むことが保障されれば 理想的であ る。 つ. まり、 高齢者は護身的な 志向が強くなるから、. あ. る事情が発生しても、. 不自由のない 状態. が保証されれば 表面上の変化は 問題にしない。. 文化志向とは、 体的な知的活動の. 直接見ることができないことへの. 活発さが要因となっている。. 期待の高さ、. 未来への志向の. 学習とも密接な 関係があ. り、. 強さ、. 具. 自分から自発. 的に知識や技能を 取り入れようとする 力が衰えていないことを 示す。. 未来志向は、 獲得した知識を 利用する時期や 場所があ いまいであ りながら追求すること であ る。 そのことから 直接利益を得ることは 少ないので、 精神的な満足に 終わることが 多 い。. またこの精神的満足は 期待通り得られないことも 多いので、 未来志向は期待する 意欲. によって支えられている。. このような意欲はネットワークの. 形成を促進するので、. 脳の活. 動を高める役目を 果たす。. ただし、. 知的活動といっても. 高次の活動ではなく、. 具体的なだれにでも 習得できる内容. であ ることに留意しなければならない。 実際の学習では 初日が大切で、 その時期に学習で ぎると判断すれば、 あ る程度続けることができ る 。 しかし、 その時点で難しいと 判断すれ ば簡単にあ きらめてしまう。 学習意欲は高くても 学習する課題の 高さとは必ずしも 一致し ない。. 娯楽志向とは、 は、 今ど. う. 現実の刺激に 根ざした即時志向というべきであ. ろう。. 明日を考えるより. すべきかという 即時目標が主となり、 情動に基づく 活動をする傾向があ る。. 分の一方的な. 欲求が優先するので、. 快 不快で学習することが. 多く、. 自. 知的な活動は 無視して. しまう傾向があ る。. ただし、 このタイプの 高齢者は年齢が 高くても活発に 活動する傾向があ る。 快 と感じれ ば自分から率先して 行い、 高い意志や意欲をしめす。 逆に 、 少しでも不快な 要素が入れば. 停止してしまうので、 新しく習い覚えることは 苦手であ る。 学習は不快感と ったがりやすいので 消極的になりやすく、 現実の活発さ、 積極性と結びつけて 判断するこ. 簡単に活動を. とはできない。. 活動が現実的でその 場の快を求めるだげなので、 なんでも学ぶよ. う. にみえて学べない。.

(7) 高齢者の行動に 影弄 る 及ぼす志向について. 27. 情動に支配された 志向なので計画性がなく、 遂行力の強さと 弱さが同居している。 この場合身体のコソデショ ソ が大きな影響力を 持つ。 長年行ってぎたことも 快を感じた げれば簡単に 断俳してしまう。 計画に基づいて 活動しているわけではないので、 体力が衰 えると精神的にも 落ち込みやすい。 身体の状態により 活動は決まるので、 途中で中止して しまったり、 思いだしたように 活動したり適当に 過ごしているという 状態になる。 一定期 間 連続して活動することは 期待できないので、 娯楽志向は学習への 方向 づ げが難しい。. 2. 内的系列. く. 1) 欲求に基づく 系列 高齢者は心身の 衰えから欲求不満に 陥ることが多い。 これまで感じなかったことでも 強 感じることが 生じてくる。 これまで簡単にできたことができなくなり 負担を感 じ る よ う. になると、 それが 般 化して広い範囲の 不満となり、 影響を大きくするのであ る。 年齢を比 校 することによって 克服できない 壁を感じること 自体が不満の 原因になるので、 解決でぎ ない不快が続く。 避けることができない 状況が強制的に 生じるようになると、 挑戦する気 持が抑えられてマイナスのイメージに っが がり、 学習課題を必要以上に 難しく感じさせて しまう。 欲求不満に陥りやすい 状況を自分から 作ってしまうのであ る。 この場合、 過去と同じ期待通りの 成果が一度でも 挙がれば志向はプラスに 転換する。 こ れはあ くまで感じ方の 間 題 であ るから、 個人のなかで 同一課題においても 欲求不満になり やすい条件が 違い、 不安定になるのが 普通であ る。. 2) 不安に基づく 系列 高齢者になると 不安を感じることが 多くなる。 それが課題を 遂行する時に 影響するし、 必要以上に課題を 難しくさせてしまう。 不安は現実では 起こりえない 縛然 とした感情であ り 、 加齢とともに 不安はたかまり 般 化する。 この不安は本人にも 説明できないもので、 原 因はあ いまいなことが 多い。 特定の決まった 領域や対象に 対して不安を 感じるのではなく、 対象とは関係のない 深い層で嫌悪感に 似た不安が感じられ、 何かを遂行した 後に余韻のよ うに感じられることが 多い。 このような場合に 特定の課題を 行 う ことはストレスになるか ら、 期待に反する 結果になりやすい。 そしてこのことが、 更に漠然とした 不安を っ のらせ て 課題に対するマイナスのイメージを 植えつげる。 したがって、 このような不安は 複数の 課題、 違った内容の 課題の遂行においても 共通に見られるようになる。. 3). 自信に基づく 系列 自信過多は不安を 裏 返したものであ ることが多いので、 不安とは逆の 志向と考えること ができよう。 課題に対する 感じ方は征服的で 強気ではあ るが、 その裏 には不安がかくされ ている可能性があ る。 この自信過多は 志向の方向を 決定するだけでなく、 偏った学習をさ せやすい。 つまり、 難しい部分ははぶき、 易しい部分のみ 学習してしまったりする。 あ る.

(8) 鈴付. 28. 健治. いは、 失敗をおそれて 真面目に挑戦しないかもしれない。 自信を保っためには 常に言い訳 ができる学習態度のほうが 都合がよい。 自信過剰のままでいるためには、 失敗しても失敗 をの 原因を自分以外に 求める必要があ る。 このような偏りが 志向の方向に 影響を与えて、 学習を妨げることになる。. 4). 攻撃性に基づく 系列. 与えるので、 あ たえられた課題をどの ょう に 征服するか、 征服できるかと 感じることで 違ってくる。 攻撃性は意志に 関係するから、 実行するための 遂行力を助ける。 これまで行ってきたことを 中断させたり、 態度を変えた りする要因になる。 攻撃性は心身の 状態と微妙に 関係するから、 脳の機能の高さや、 過去 攻撃性は加齢に. よ. る弱体化から 志向に影響を. の 活動の種類やレベル、. 攻撃性は課題を. つまり生活史により 変わる。. 始めた後、 実際に課題を. 遂行している 時に課題をコソトロールして 結果. までたどりつかせる 原動力となっているので、 老化とともに 衰えやすい。 このように、 攻. 加齢と相関するから、 課題の新奇性と 親近性、 難易度の高いものと 低いもの、 高次神経活動の 有無、 常時行っているものと 突発的なものとの 交互作用を検討しなければ. 撃性の衰えは ならない。. また攻撃性は、 行動を生じさせる 初発の力をつけさせるので、. 攻撃性が衰えると 習慣的. は 行っていることでも、. 取り掛かりが 困難になり簡単にあ きらめてしまうことになる。 内 発的動機 づ げに関係する 変数が問題であ り、 意欲にかかわることなので、 行動開始時の 様 子をみることが. 先決する。 加齢とともに 高次の情報処理、 新奇性、 高難度、. などは減少するので、 老年期の攻撃性は、 行動を始動させる 指標となろ. う. 突発的な課題. 。. 5) 失敗感に基づく 系列 老年期における. 失敗感は、 中年期や青年期とは. 質的に違ったものであ. り、 高齢者特有の. 感じ方があ る。 実際に行っていることは 成功したとしても、 高い評価につたがるとは 限ら ない。 これまでと同じように 行えば当然だと 感じるし、 それ以上の成果を 得ることは難し い。 そのため成功感を 実際に味わう 機会が少ない。 これが成功感を 少なくし、 失敗感を増 加 させることになり、 志向はマイナスの 方向を示すようになる。 したがって 、 小さな失敗. 感が常に感じられるようになり、 この弱くしかも 広範囲に持続する 失敗感が志向を 変える 大きな要因となる。 失敗感が積み 重なり消えないことが 過剰な反応を 生じさせて消極的、 防衛的にするのであ る。 意識内容も実際の 行為もマイナスの 方向に向げられてしまい、 成 功したとしても 満足できない 中年期とは違 う 経験を高齢者は 味わう。 同時に、 行為に対する 他からの評価も 厳しくなり、 批判されることが 多くなる。 年齢を. 批判は、 行為を正しく 評価したものでないと 感じられるので、 ては不当であ り、 そのような不可抗力の 評価が失敗感に 対する反発となり、. 意識したこの. 高齢者にとっ 過剰な意識と. なってしまう。. 老年期におけるこのような 感じ方は、 「老人」というマイナスの 印象が背景となって い るので、 実際の失敗とは 必ずしも結びつかないことが 多い。 他人には分かりにくいことな.

(9) 高齢者の行動に 影饗を及ぼす 志向について. 29. ので、 このような現実とは 離れた感情が 高齢者の学習意欲に 影響するのであ る。 失敗の機 会を少なくして、 存在感、 期待感が増加するような 配慮が必要であ る。. 6) 鶴による系列 年齢により生じる 薦 傾向も志向に 影響する変数として 無視することはできない 0 欝は意 欲 に強く作用する 因子であ るので、 意志面は比較的保たれていることが 多い。 この欝も個 人特有のものであ り、 他人には感じられないものであ るから、 爵と感じる意識内容が 問題 であ り他人には計り 知れない。 穏は行動生起の 発端を鈍らせて 行為自体を遂行させない 初発障害といえる。 重い 欝 状態. にあ っても一度生じた 行動は継続させやすいのが 一般的であ り、 最後まで遂行する 力はの こっているのが 老年期の特徴であ る。 このことから 意志の面は比較的頑健に 保たれている ことがわかる。 例えば、 健康のために 毎朝体操をしているとしたら、 その回数が次第に 少 なくなりやがて 見られなくなることはあ るが、 このような状態でも、 一度始めたことは 最 後まで 行 9 力を保持していて、 その力は衰えにくい。 欝 傾向による影響は 生起頻度でみるのが 最も適している。 欝が重くなるとこれまで 無難 に 行ってきたことでもおろそかにすることになる。. 仕事自体を放棄してしまうだけではな. く、 仕事の過程で 生じる小さなこともおろそかにしたり、 無視したり、 遅らしたりするよ う になる。 つまり、 仕事に伴い派生することの 初発の時点で 反応でぎなくなり、 失敗して しまう。. それだけではなく、 皆勤であ った人が無断欠席する よう になる。 一度会社に出勤してし まえばいつものように 自分の責任を 果すわけだが、 そこに至るまでが 問題で、 家は出ても 会社に出勤しないで 公園などで時間を 消費するようになる。 このような理由から 欝は学習 を 開始するチャ ソス を逃す基になりやすい。. 7). 自律に基づく 系列 加齢にともな う 自律性の低下は 志向に影響を 与える。 自律性とは生理的、 心理的な欲求 をコソトロールして、 外部への適応を 計ろ う とする機制を 意味するが、 老化は自律をコソ トロールすることを 弱める。 トイレまで膀胱の 括約筋をコソトロールして 失禁しないでい られた人が失敗するようになる。 空腹 を抑えることができず 欲求のまま食べすぎてしまい 苦しんだり、 食べ物以外のものを 食べてしまうことも 起こる。 これが自律性の 衰えで、 初 期の頃 は生理的な自律は 保たれているのが 普通で気づきにくい。 心理的自律から 志向の変化が 表れやすいが、 心理的自律は 自己抑制がきかなくなり 対人 関係で問題を 起こすようになるので、 周囲からわかりやすい。 志向も自律性の 弱まりから 変更を余儀なくされ、 他者中心志向であ ったものが自己中心志向になり、 自分の利益や 欲 求に関してこの 変わり方は特に 目立つことになる。 また、 自律と依存との 関係も変化して 自己主張が強くなる。 その反面、 他者への依存も 増加する矛盾が 目立つようになる。 しか し、 自分を中心とした 自律性なので、 老年期の自律は 他律との対立を 鮮明にさせるもので あ り、 しかもその矛盾に 当人が気づいていないのが 特徴となっている。.

(10) 鈴付. 30. 健治. 結びついていて、 そのことから 生じる弱さも 持ち合わせて いる。 行動の範囲が 狭まるとともに、 利益の追求がより 具体的で直接的な 形をとるよ に なる。 例えば、 高齢になると 物的利益は乏しくなり 制限される。 その制限は時間とともに 厳しくなり希望が 持てない状態に 追いやられる。 この回復不可能な 人的、 物的な制限は 心 理全体を圧迫するので 余裕がなくなり、 要求を即座に 充足したがるために、 待つことがで 心理的自律は 経済観俳と強く. う. きないようになる。. 弱まるので、 結びつく。 志向の 生じさせる。. 自律機能の衰えとともに 即座に解決をはかろうとする 欲求のコソトロールは 志向の方向は 身近なものでしかも 時間を無視して 即座に得られるものと 構造は即時的解決を 目指したものに 変化して高齢者特有の 行動や態度を. 8). 自己不信感に 基づく系列. 志向はまた、. 自己不信により 方向 づ げられるし、 自己不信が意志や 意欲を弱めさせるの. で 学習は消極的になる。. この背景には、 老年期に起こる 心身の衰えがあ る。 したがって、. り、 このような不信感が 対する自己評価が 厳くなる。 この厳しさ. 自信を持って 活動していた 高齢者ほど不信感に 襲われる傾向があ 広まると防衛的姿勢は が. 堅くなり、 遂行した結果に. 自己不信感を 不当に増させる 相乗効果となる。 自己不信感は 不安と同じ性質をもっていて、 現実とは必ずしも. 不信感に結びっく 直接的な原因は 見あ たらないことがあ. 一致するものではない。. り、 現実とは対応していないこと. がわかる。 具体的な失敗に 基づいたものではないので、 活動していない 静止状態の時のほ うが強く感じられる 傾向があ る。 つまり、 自分でも説明できない 不信感が生じてしまい、 この不信感を 自分で取り除くことができない。. この自己不信感は、 周囲からの評価がこれまでと 同じように高い 場合に感じられるもの であ る。 逆に、 期待されない 時や個人的なことでは 感じにくい。 不信感は、 相互交渉の中 で生じることなので、 他者に影響されて 不信感は増加し、 それがストレートに 表現させる ことを拒み、 回避したり、 表面を取り繕うことに 意識がいく。 ささいな心理的負担が 学習 を 促進させないようにしてしまう。 高齢者の頑固はこのような 自己不信感に 支えられたものになっている。 の場は現在の 活動においては 見つからないと. 自己実現の最高. 感じているから、 動かないこと、. 新しい生活. を避けることが 安全策になる。 ただし、 この感じ方は 主観的であ るから、 根拠があ るわけ ではない。 現在の状態より 良いと思われる 場においても、 その方へは動きたがらない 防衛. 的な色彩が濃い。. 青年期や中年期においては 正の志向性が. 高く、. 前進していく 目的的な志. 向となるので、 頑固さは前進するための ェ ネルギ一であ るが、 老年期においては、 そのよ. な志向は減少していき、 負の志向に変容する。 頑固さは中年期の 正の志向から 負の志向 へと割合を変えるものであ る。 う. 9) 二元化からの 系列 加齢とともに 自分の居間、 居住空間中心の 志向になるから、 活動の狭さ、 視野の狭さ 、. 単調さ、. または具体性で 身近な活動が. 中心となる。 強く意識されるのは、. 自分自身の安定.

(11) 高齢者の行動に 影響を及ぼす 志向について. 31. 感 であ り、 この安定感を 守るための対策に 苦慮することになる。 その一方で、 自分を離れ. た世間の動きが 以前にも増して 強く感じられるようになる。 新聞やテレビから 世間の動 き を 収集する。 このような自分の 世界と他者の 世界が老年期になると 別々に意識されるので、 表面的には ぽ んやりと何も 考えていないように 見えて、 世間への意識は 強いのであ る。 こ の二 つ にわかれた意識をここでは 二元化と呼ぶ。. この二元化は、 志向が覚の世界に 向いている中年期まではほとんど 意識されない。 中年 期以前は外的志向であ るので、 内外ともに一体となっていて 切りはなせない。 それが老年 期 になると、 個人的世界が 鮮明に意識されるので、 内と外とが遊離したものになり、 並列 構造にならざるをえない。 自分中心の意識が 強まるとともに、 自分を離れた 客観的な立場 での世界を意識して 情報を取り入れるので、 志向が内覚に 向かう二元化が 起こるのであ る。. 生産と消費とは、. 活動の内容と 関係する志向を. 決定する。. 生産的志向・ 消費的志向は、. 肯定的志向や 否定的志向とも 関係するので、 学習と深い関係があ る。 高齢者でも職に 就い ている場合は 中年期以前と 同じ志向が保てるから 問題になることは 少ない。 老年になった ために職から 退いている人、 あ るいは家事をする 必要がなくなった 人が問題で、 生産的志 向を維持していても 実質的には利用する 揚がなくなる。 このようなことから、 生産・消費 志向は個人の 事情を含めた 特定の系列を 形成することになるので、 その面から、 生産志向 と消費志向を 一次から四次までの 段階にわけて 考察してみる。 一次的生産志向とは、 職に就くことによって 生産するか収入をえることを 意味する。 二 沈約生産志向は 一次的生産志向の 可能な者を支援することを 指すので、 一次的生産志向者 の配偶者やそれに 近 い 関係にあ る者がこれに 当てはまる。 三次的生産志向は 金銭等の節約 により経済的、 物質的な消費を 抑えることにより、 生産的志向を 結果的に維持している 状 態をい う 。 四次的生産志向は 消費したことによって 需要がふえて 生産することを 結果的に 促進する志向を 指す。 消費的志向も 同様で、 一次的消費志向は 将来のことを 考えて活動や 消 をできるだけ 抑 える志向であ る。 家具や道具を 大切に使 う ことで代表されるよ う に、 日常生活での 活動を 制限することによって 消費しないようにした 節約型志向であ る。 二次的消費志向は 縛 然 とした生産的志向がその 裏 にあ る。 実際に金銭は 消費するが、 や がて生産的な 生活にその消費を 結びつげることを 期待した消費であ る。 これは、 資格を取 るために授業料を 払 う ことで代表される。 消費するのは 一時的で将来取り 戻せると予想し た志向であ り、 肯定的志向ということができる。 この場合、 実際には取得した 資格を利用 しないかもしれない。 しかし、 積極的な志向内容であ り、 一次的 消 志向の消極さと 対比 できる。 三次的消費志向とは、 ボラ. ソ. ティア活動などのように 実質的な収入はないが、 他人のた. めに活動することによって 間接的に生産を 支援する志向をい う 。 また、 四次的消費志向と は趣味や気分の 発散など、 心身の健康を 保つために消費する 志向で、 旅行、 ダンス、 スキⅠ 釣りなど、 その活動を行 う ために必然的に 消費がともな う 。 精神的な利益は 得られるが 個.

(12) 鈴付. 32. 典型的な消費志向となる。 この消費志向の 特徴は単発的であ ることで、 仕事のように 定期的に、 しかも常時行われ るものではない。 このことからわかるよ に、 消費志向は常に 生産志向を意識させるもの であ る。 高齢者は生産的志向が 低下すると思われがちであ るが年齢との 相関は低い。 生産 的志向を実現する 機会が乏しくなるためであ って、 機会があ れば常に志向できるのであ る。. 人的であ. り、 一般性のあ. 健治. る金銭的利益は 望めないので. う. 脳 に何らかの障害がなければ、 一次的生産志向は 高く保たれているのが 普通であ り、 点で誤解されることが 多い。 この生産・消費志向とクロスするのが 課題に対する 肯定的志向と 否定的志向であ. 定と否定を軸にすると、 肯定・生産、 肯定・消費、 否定・生産、 なり、 志向の方向も. 4. 肯定・生産志向は、. 否定・消費の. 4. この. る。 肯. つの型に. 方向に分岐する。 これまで従事していた 職や家事において. 最も発揮されやすい。. 肯定・. 消費志向も同様に 過去の活動と 結びつくことが. 予想される。. が、. るいは過去に 行っていたことなどであ り、. その内容をみると 長年行ってぎたこと、. 少ない労力でしかも 習慣的に行える. あ. 積極的な活動を 行ってはいる. 活動が特徴となる。. これに対して、 否定・生産志向が 意識されるのは、 新しい仕事の 経済面においてであ る。. しかしこの意識は、 自分からも周囲からも 否定されることが 多いので、 意欲をかりたてる までには至らない。 また、 否定・消費志向は 還元する見通しの 低い資質の向上を 目指すも の、 新しい事への 挑戦といったことで 実現されるが、 これも否定傾向が 前提になるので、 実際の活動にまでつながらず 消えてしまう 意識内容であ る。. ただし、. 場合は、 その間だ け 受動的に活動する ことは可能であ る。 受動の程度が 否定の程度の 指標になるものであ るから、 遂行している ことが全面依存なのか、 部分依存なのか、 非依存なのかを 調べることによって 分析するこ とができ. 否定傾向にあ っても強く働きかげられた. る。. 別の側面から 見れば、 自発的か他者によるかという 行為以双の依存状態に. よ. り志向の方向を 決めることになるが、 そのことが課題に 対する積極性や 学習態度に影響す る。. 11) 難易度感系列 志向は課題の 難易度によって 影響されることは 当然であ るが、 ここで問題にするのは 難. る。 難易度感系列とは、 本人の感じ方を 意味するものであ り、 当事者だけ が感じる難しさの 度合であ る。 この系列を成立させるのは、 同一課題に対する 個々の感じ 方であ り、 課題自体の難易度で 系列化するものではない。 実際の難易度を 問 必要はない。 老年期においては、 能力による難しさなのか 精神的な難しさなのを 測ら ほ げれば意味が 易度感系列であ. う. ない。 加齢にともないこれまでとは 違った感じ方をするのはむしろ. 自然であ り、 中止した. る。 このような変容を 与 儀 なく されるのは、 課題に対するマイナスのイメージが 強くなるためで、 その背景となるのが 欲 求 不満、 不安、 自信過多、 攻撃性、 失敗、 欝 傾向、 自律性、 頑固、 自己不信など、 これま り手直ししたりすることが 志向の変化を 反映するものであ. でに考察したことであ る。 したがって、 それらとの関係を 明かにすることで、 学習課題の 選択を絞ることができる。.

(13) 高齢者の行動に 影響を及ぼす 志向について ま. と. 33. め. 以上、 高齢者の内面から 志向が態度や 学習に影響する 変数について 考察したが、 活動や 課題内容から 志向の方向をみること、 以下のような 変数が考えられる。 活動のレベル、 活. 動の連続、 断続、 中止、 活動範囲、 単純・複雑、 活動の安定性、 個人対集団、. 季節の利用. などそれであ る。. また、 課題の内容や 種類からは、 家庭内村家庭 外 、 集団の規模、 施設利用、 気温や天候、 競技の種類や 構成度などがあ り、 それらの変数についても 言及しなければならないが、 直 接 志向を方向づけるのは 意識内容であ るので、 今回は取り上げなかった。.

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