• 検索結果がありません。

経営管理の用具としてのゼロベース予算について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "経営管理の用具としてのゼロベース予算について"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

51

経営管理の用具としてのゼロベース

        予算について

1 序  ゼロベース予算(Zero−Base Budgeting H各してZBBという)は最初は個別 企業で発達したが,後には公的機関でも採用されるようになった。民間企業に おけるZBBの最初の適用はTexas Instruments社であり, Peter A. phyrr の指導の下に実施された。その後ジョージア州知事であったJimmy Carterが 同州に導入し,Texas州もこれを実施している。 New MexicQ, Illinois, Hon− Qluluは1976年当時には実験的実施をおこなっており,カリフォルニア大学や         McMaster大学のような機関でもZBBを実施している。  わが国は石油危機を契機として経済構造の急激な変化に見舞われ,高度経済 成長から減速経済へと転換を余儀なくされている。企業においては製品のコス ト高にともなう利潤の減少,政府においては歳入の伸び悩みによる赤字財政 等,営利組織体と何たるを問わず経営の質的転換を考えざるを得ない時期に至       う っている。「限られた資源を効率的に配分することが必要である」との時代の 要請にこたえることができるのがZBBの考え方である。  ZBBとは業務計画の作成と予算編成のプPセスであり,この過程のなかで 個々の管理者に担当範囲内の予算要求について全くのゼロから(このことから 1) MacFarlane John A: “Zero−Base Budgeing in Action”. CA Magazine Dec. 1976.  p. 28. 2) Peter A. Pyhrr: Zero Base Budgeting, A Practicag Management Tool for Eval−  uating Expanses. A Wiley−lnterscience Publication 1973. p. 153.

(2)

 52 ゼロベースと呼ぶ)詳しく理由付けすることを求め,同時に資金を使用する理 由を裏付けるという業務を個々の管理者に移管する。この方法ではすべての活 動をデシジョン・パッケージとして定義し,そのパッケージをシステマティッ        の クな分析で評価し,重要度にしたがって順位付けることが必要である。このよ うなZBBは民間企業において,企業の間接部門に適用ざれ,現場のマネジャ ーによって作成されたデシジョン・パヅケージはその上位の管理者によって新 旧パッケージを同一基準で評価し,その評価の結果にもとづいて経営資源を割 当てるプログラム予算の一種類であり費用効果分析を主要な用具とし,経営学        の 想の発想の転換によって原価の削減をはかる計数管理の一用具である。 皿 ZBBのメカニズム  ZBBが採用されると業務担当の管理者は前年度の実績に対する増加分では なく,今年度の予算要求について全体の説明をしなければならない。増分主義 的予算編成がおこなわれる場合には既存の事業が縮小されて新しい事業に資金 が配分されることはないが,ZBBではすべての事業がゼロから見直されるこ とになるので増分主義的予算編成とはその内容が異なってくる。ZBBを実施 するためには業務担当管理者は先ず組織の最下位の階層における単位,たとえ ばプログラム,機能,コストセンタ,組織単位,支出項目たるデシジョγ単位 を確認しなけれぼならない。このデシジョン単位における管理者は,その単位 内にあるすべての業務について優先度を設定し,予算作成の権限を与えられて いる。        へ  業務担当管理老はデシジョン単位の目的や業務を再検討してその業務をデシ ジョン・パッケージ(個別業務計画表)にまとめる。 3) Logan M. Cheek: Zer“Base Budgeting Comes of Age, Whar lt ls and What lt  Takes to Make It Work. AMACOM 1977.中神芳夫監訳:『ゼμベース計画と予算  編成』産業能率短期大学出版部 1978年 16ページ。 4)予算管理スタディグループ:「予算管理システムの研究」日本会計研究学会 昭和  54年 PP.28・一29.

(3)

      経営管理の用具としてのゼロベース予算について  53 ニューヨーク電話会社(ニュー’一ヨーク,ニューヨーク州)      5) デシジョン・パッケージの様式(努力水準2) デシジョン・パッケージー1976年度 @   (説  明  用) (3)順位 (1)パッケージ名 @労務者雇用

②組織

齡ハ雇用 事業部 部

 18

P 20 (4)目的:期待される成果 ハーレム,南ブロンクス,ベッドフォードスティーブサン地区に極少数民族が入 閧竄キい非常設雇用事務所をおく。そうすれば,現場作業における少数民族のた ゚のEEO目標により合致した雇用が可能になる。婦人の未進出職務領域のいく ツかの目標達成は除く。 (5)どんな方法で達成するか ブルクリソ雇用事務所に週3日10名,ハーレム雇用事務所に週2日2名の従業員 おく。応募者にたいして審査・試験・面接をおこなう。有資格応募者の登録名 ? 維持・更新する。欠員を補充する。週の残りの日については,新規採用手続, 詞アおよび面接のスケジュール調整,事務をおこなう。 P2名の内訳は,監督者(給与等級1B)1名,面接員(給与等級1C)5名,試 ア員(給与等級1F)2名,非管理者4名。 (6)このパッケージを承認しない場合の影響 少数民族センターの近くにあるこれら最低限度の雇用事務所がないと,有資格少 薄ッ族の人を採用することが困難になる;これらの仕事においていくつかのEEO レ標が達成できなくなる;そして少数民族社会の目からすればわが社のイメージ ェ悪くなる。 (7)所要資源(単位:千ドル) このパッ Pージの Rスト 累計コス g 1976

資金計

@1975 累計パー Zント V6/75 賃金/給料 $203.0 $753.0 $11110 (32) 情報処理 一 一 一 一 その他(コンピュータを除く) 81.0 213.0 308.0 (31) 合   計 284.0 966.0 1419.0 (32) 従業員(管理者/非管理者) / 8/4 40/11 61/161(34)/(31) 管轄区長      作成者      年月日 5)L・gan M. Cheek:ibid.中神芳夫監訳1前掲書287ページ,

(4)

 54  各部門においてデシジョン・パッケージが作成されると,デシジョン・パッ ケージは重要度に応じてランク付けがなされる。トップ・マネジメントは各部 門の必要度を総合的に比較,評価して限られた経営資源を配分する。  ZBBのプμセスはトップ・マネジメントが組織の方針,目的,目標を設定 し,これを組織の各階層に伝えるtop−downに始まり,つぎに業務担当管理者 は自己の業務を評価し,デシジョン単位を確認し,デシジョン・パッケージを 作成し,これにランクを付けるというbottom−upがおこなわれ,更にこのラ ンク付けにもとづいてトップ・マネジメントはすべての業務を比較検討して資 金や人員を配分し予算編成をおこなう。この3つのプロセスを経てZBBによ る予算編成がなされると,つぎのようなメリットがある。  (1)望ましい目標の達成に必要な資金,人員に関する詳細な情報がトップ・ マネジメントに提供される。  (2)部門間の業務の重複が明確になる。  (3)前年度実績に対する増加分ではなく業務に必要な金額や人員全体に焦点 が合わされる。  (4)部門内および部門間の業務の優先順位が決定される。  ㈲ 資金配分をおこなう際,それぞれの優先順位にもとづいて組織の壁を越 え,る比較が’可能となる。  ⑥ 業務が計画どおりに実施されているかどうかを判定する業務監査が容易   の となる。予算編成について従来の方法とゼロベースの方法をそれぞれの原理, テクニック,長期計画との結び付き,最終結果,組織への影響,人事上の影 響フォロー・アップおよび他の企業システムとの結び付きについて比較すれ          7) ぽ次頁のようになる。  このようなZBBによるときはつぎのように経営管理に変化がみられる。  (!)従来の予算制度は前年度予算を実績として考え,これに対する増分を考 6)中村芳夫:「減速経済下の実践的経営手法一ゼロベース予算一」『産業経理』第38  丁丁1号pp.22∼23. 7)Logan M. Cheek:op. cit.中神芳夫監訳:前掲書pp・22∼23,

(5)

55 経営管理の用具としてのゼロベース予算について   。ゆ誕u笥りゆ冥る寒自暴忍唄憩胃軸製麺e .慧くゆ令照蝋Vの饗く野茨ゴ騰蓼置型一喝築てi 。畑饗9噂蜘喚製潔睡鍾司添Φ饗渥駅如        。ゆ制㌣軽竈O唄⊃田鼠 .b訳卸判尽響慰濃購姐、︾P野望翠尽e懇懸.春雪 電役榔週婆姻團唄。虞司Q鑛.V妻日報72糎.駒攣︻甑         。ゆ和駒無聡如謁輯厚司園、蔽、>o %想孤月ゆ↑翠蝋の製O駆鞄Kギ凱.卜。ゆ二V夷狛俣 騰簑謁Uゆ二V二〇る纏9剴想慧司黎=軽e円国孟罧略         。露↑運証如卵胞寛一尽以て司くい 気巨。昏朝熱二凝和醤倒O軽.囎.和榔ゆ唄二思遡墜漁濫       。ゆ ↑歯℃週堅﹂鞄虫如寛一尽寡て・λ朗へ養承QVて↑       。曾璽や 虫三月徹一も堅笑・Nmへ示爪三↑砕9る£.如鱗申   。ゆ冥物細畑想調燈Q蘇塑.喚鋼く 毅﹂心月 .Vの即。↑ヨ掴暢蔀々⇒響穀 .想£訳ゆ↑牽鯉如閉刊臨壕感醤.慧くゆ ・2︾o最如司りゆ裏初選竈矯畢工臨輯冷一 。畑饗9司月形↑襲爵や“馬6恕るこ   。二噛喚舶月ゆ↑蹄鞄誕盤略9Q畑↑ 如鰍窒薄一謡.﹀ぺ胸興思騒羅々罰康如躍 軽榔訟冷。二誕も慧くゆ緬和墜園.和迎藩 翼O喚囎嶋V喚9円或懸匪即濫.O搏曽Q 仰裏豹蟹と犠榔綱一縫燈%Q葦釦無Q望薄        。・2誕勾ぐ司逆慧 細りゆ↑翻隠や鱗冷刻趣註.炉Voる禽聖 画濯旨旨数理姻Q図詫和円互有。廻転駒岡 Q愈禦累ワ♪遊里ゆ.蛙細。る聖Q紺溜皿    。ゆ搏曽馬身喰eゆ恒如麺蓬鱗軒燈 誰−.想£蝦ゆ駅駒翼思痙即急蜜難濡魚串         。ゆ令騨嬰.劔賦串.Vの 二“思く恥八月.卜裂字劃λ剛示ームトNヤ 。ゆ£慧︾給如鰹猟玉磨e粥禦 ︿誰7K勢紙K> ︿勲譲Qぐ藻舞﹀ ︿昧 纏 潔 畷﹀ ︿杣○る鰻  Q掲魍訪罧略﹀ ︿へ勢蛎へト﹀       。ゆ↑虫照如駆無Q−匝翼裏の蜜.V卸 駒麺韻如︾て↑Qく駆気ロ.卜曜野司くい気ロ.卜Q建露        。︵V嶋如癒、欄9愚 機、蛆騨.鎌夜訳。二謁㍉憲%Q勾 .細凝.細慰凝こ .V々和愈禦騨媚?ρ司h沁γ∼︶即↑鄭幅鞄製幾 睡.顔。ゆ↑9蝋較如︵演K勾−争衡閃々︶く恥気ロp昏 廼蟹臨麟串Klてロ多        。V興や駈、細 u鳴りゆ卸駒瀧野口くい気且。卜虫警Q黙藻       。︵V興如彰、 囲9畢醐沿二到るV潔しρ↑湯剥如虚︽ 。ゆや9蝋較如︵演田論負販蚕団距鰍錦︶雪曇 鎚糎冨羅鱒冷Q※想 ︿園 腫﹀

(6)

56         。ゆ緬駒喚司りゆ匁○る簗慰紐園鰐 司く卜Kる廻盧司国孟奨く凝心%ゆ緬曽想肉盈織課竃 尺膿母贔譲怖く。漁凝建eぞ妻超醐如燈申。・ノ.麺錨 輔Q径と馬副凝濫雛暴.和Qゆ緬曽収螺慰黙蜘や魑細 。畑抽P犠司りゆ↑駆韻り憲%畑受想トゴ糾嶺喚騒田 楓.○負.鞠和径蝦想蝋秘露超皿.衆望く堅鳳ロトV翼 如彰、画思蝋糎.慧司U凝星羅慰8駒。三妻Vの隷慧司 り蝉と如へ1亀誤笑・λ朗駅弁爪Q魯訳灸“﹂姻9帽 撫ト気トーロヤトQ廉想.寒駅週如楓攣幻纒肝饗最胴    。ゆ搏㌣沿灸ゆ令驚竈如駄申.Vの糎聖剣彙羅 e円聴紅.辰一q .濫皿粁欄Q畿暴.慧虞即。ゆ杣曽 喚潟り“凝り震如へ寡り企一\卜曽凶毅・“ゆ黒憩迎Q 擾趣ず喰⇒.9鰹健鰹櫨.三思如懸妻臨螢喚麺竈鱈冷 。ゆ舟PQ諭ゆ︾ρQ愚楓.緬P樫胆駒懸鍵慧くトK示        。“縫り脇如暇 四品貯溜灘畷︾o役毅∂想週堅銀園“虞狗む℃週婆思 紹罰麺、慧ムNス銚賛レ・.卜弘ム .繋累迦譲9一争徹 畳セ・トら楓K慧出際ゆ↑9る8黙やるゆ↑朗悩鞄饗    。ゆ櫓和£毅ゆ↑圏塑や田儲ゆ麺巳騰蓼曽く堅 気溌卜“虞狛離睡.O毅の監額慰旺睾如駈、醒Q照鱗串 .慧嘉申。二凝憩々慧VV饗£遇想租轄題如R濃Q卑 .O饗思臨電墳R盟増蝦鷹や胆卜募嵐K刃痙トム紙K         。ゆ緬負喚論りゆ蛇如.髄姐>o凝り 翼如壇山嶽繁5山嶽思浬醤.㌣灸凝Q転圏直物便皿       。勲む燈如露離5匝.撞虞↑ 密と如寡一如郭笑︾二℃司諭9蝋耀毅∂題榊思量画一 。二凝ρ思縫       。二戸&勘灸慧司ゆ男盛巡枳 “超思棉畷如聴慰e葦縫暴強﹂駆麹矯裏目 φVo櫓駒題楓“べ狛脇想理鐘訟恥5 灸∂。ゆ搏駒嚥蜘濫瀞試慧.半日卜ーロ暫卜 円ミ駆申劃落髪    。ゆ饗V愚矯隅題Q .V融和赴禦堅魚喚司輿台 、銚幹セ・。卜寡ゐ 写↑ヨ榔愈朝講勾 ’mp一‘一 饗出。 .zz yo Y}Q二 D ’t”s P 二{貝。 毅町勢 想如墳 kJ灸ム 受緬〉・        。二野喚司り 癬凝V凝彩辰!<K襯λmふ一髪11蛭岬打        。燈鄭∂︾o凝思 罧盤Q^む櫓魯。和こ駄串.差等盤督曝睡蓮         。ゆ妻慰司りゆ裏駒霞 鄭矯刈り縫魍H旨.Vのu息弼Qり。3 擬も︾££緬慧く↑製O駆詮遡N .如9 離唄ρ“り。ゆ嘉狛織浩楚思血・懸毅。灸 口裏心愈蝦喚豆蔦耐雪.幽く毅⇒隠鰭如 騒暢眺凝臨麹9鯨︾o鹸如坦瓶.9盤匡一    ︿勘○る 潔e響く県Kる ・K行歩勾e毫﹀ ︿D卜募卜ーロヤト﹀ ︿馬印Q唄怖く﹀   ︿誕Q司∴ Nスへり男主・卜 外ゐ司卜寡砥K> ︿起e司榊罰囲蟹緊 閉館司h駆嵐K> 、

(7)

      経営管理の用具としてのゼロベーース予算について  57 煩するがZBBではこの増分主義を排し,個々の業務の必要性を毎年洗いなお してゼロから出発するという考え方に立っている。企業における活動水準たる 売上高や生産量と資源の消費量との間に密接な関係がある場合は資源消費の妥 当性を評価することは比較的容易であるが,ZBBの対象となるような企業や 官庁では過去の実績がベースとなりそれに対する増分のみが検討の対象となり 過去の実績の検討はなされないので資源の浪費に気付かないことがある。ZBB は毎年ゼロから出発しすべてに見なおしがなされるのでこの点を克服し得る。 換言すればゼロ思考によるマンネリ経営を打破することができる。  (2)意思決定とは目標達成のための代替案からの選択である。したがって重 要な代替案が欠けている場合は他の案をどのように詳細に分析しても意味がな い。ZBBではデシジョγ・パッケージの内容として重要な代替案とそれらの いくつかの努力水準が記入されているから単一の案に固執することのないよう になっている。管理者は常に業務遂行のためのより良き代替案を考え,その明 確な表現を強制するこのシステムは知的資源の活用の制度化という長所をもつ ことになるのでZBBは単に予算会計手法というよりも業務の計画とその評価 の方法というべきものである。  (3)ZBBでは現場管理者が単に業務の立案をするだけではなく,自己の業 務の重要度を自ら評価しランク付けをするので管理者の動機付けに有効であ 8) る。  (4)従来の原価管理は直接部門が主であったが,ZBBは間接部門の経費節 減に働らき,特に管理費の削減には大きく貢献する。すなわちZBBは費用有 効度分析や費用便益分析によって費用効果分析をおこなうので間i接部門費には        そのまま用いられるが費用と効果の関連性のない直接部門には採用されない。 しかしてZBBはつぎのような業務についてデシジョン・パッケージが作成され 10) る。

︶︶︶

890

  1

長浜穆良「ゼロベース予算の問題点」「産業経理』第38巻第9号 36ページ。 西澤 脩:「ゼロベース予算の会計的意義」『産業経理』第38巻第!号pp.7∼8. Peter A. Pyhrr:op. cit, pp.217一一222.西澤 脩:前掲論文 9ページg

(8)

58 分  類

DPの対象となる業務の一例

管 理 技 術 会計・統制 法 律 資 金 租 税 会計,受取勘定,支払勘定,連結会計,監査(外部報酬),期末監査,内部 監査,取得分析,信用供与,管理部長室,銀行勘定調整,年間計画(年間        総勘定元帳,記帳,製造間接費統制,貸借対照       時間記録,    給与, 予算), 表報告,予測と報告,会計情報システム,財務分析,特殊プロジェクト, 子会社の統制と監査,設備記録・統制 特許権の取得,競争会社の特許権,契約交渉,妨害,取引機密,商標,特        国内法規,国際法規 許権の使用権,本社の法的承諾,事業部の法律援助, 特許権の侵害,起訴,提訴,コンサルタント報酬,特許権の告訴,調査, 対顧客事件(強制回収),契約の検討 国際資金,国内資金,現金管理,投資家関係,現金出納係,銀行関係,信 託サービス,所有権管理,投資家記録株主総会,証券取引委員会報告, 財務情報伝達,保険管理士報酬 租税計画,納税申告書の提出と説明,固定資産税の管理,国際税,国内税 申告,連邦税の申告,州税の申告,従価税の申告,税目別の納税,特別調 査,投資税の控除 保険 リスク管理,請求,損害防止,製品責任保険,保険管理,種類別の保険料 人 事 データ処理

般管理

研開 雲斗 維持 蔭 子・管 生産三 品管 質理 PR,スタッフの活動,時間給制スタッフの活動,月給制スタッフの活動, 報酬,手当,人事管理者,地域社会関係,公共支出(寄付),ニュースおよ び編集サービス,大学生の募集,労働関係,表彰式,訓練,訓練計画,作 業評価,人事情報制度,作業説明,従業員新聞と対話,機会均等雇傭夏 期開発計画,レクリェーション 計画設定,統計サービス,専門図書室,現プPグラムの維持,現プログラ ムの修正・改善,システム設計,システム開発,主要なシステム設計・開 発,プログラミング,設備維持,スケジュールの設定と統制,テープ貯蔵 所設備費用(レンタル料),コンピュータによるグラフ作成,タイム・シ ェアリング,標準手続の管理,システム監査,コンピュータの操作,端末 機の操作,キーパンチ 全部門の監督,全部門の管理,秘書室,掃除・門番,特別掃除,自動サー ビス,廃棄物処理,キャブテリヤ(食堂),電話,交換手・交換台,電話設 備長距離電話・広域通話制安全・保安,消防部,保健,旅行・予約, 交通監視員,警備員,物理的保護,軍事上の保護,郵便,郵便料,用地入 口管理,受付・来客管理,社長室,取締役会,本社と事業部の役員,印刷 写真,退職・団体保険,その耐油配分の手当,貸付団体,特殊な費用,造 園・グラウンド維持 大型プロジェクト,小型プロジェクト,研究所のテスト,応用研究,設備 技術援助,管理援助,図書室,基礎研究 通常維持,PM,生産援助,大型プロジェクト,大型修理,予備部品,予 備部品管理,建物維持,廃水管理移転・配置替え 生産計画,顧客接触,在庫管理,資材管理・予測,請求予測,市場計画・ 見通し,ライン調整,需要調整,作業日程,長期計画,設備計画,システ ム開発 品質管理,耐久度検査,仕掛品検査,完成品検査,原材料検査

(9)

経営管理の用具としてのゼロベース予算について  59 分  類

DPの対象となる業務の一例

技 術 営 業

IE

IE,特殊プロジェクト,作業測定,職務評価,安全,標準化手引さ,工場 設計・レイアウト,設備調達・取替,作業分析.マテハソ,方式技術,工 具,設計,工程設計

鮮馨岡田律等L饗騨押脚至難立糠贈理用地

あ騰製品設註魍三三技儲

エンシニア

販売

購供 料給 広告,企業イメージ広告,製品広告,販売促進,地域別販売管理,販売員 受注処理,顧客への掛販売,テスト販売,市場調査,通信販売,カタログ パンフレット,景品,自動受注制度販売予測,販売計画・開発,デイラ ー,仲買人 購買,入札契約,顧客接渉,送り状処理・承認,購入注文処理,自動発注 制度,倉庫,資産管理・在庫,余剰資産管理,在庫管理,事務・記録送 り状の転記・監査 二二    輸送,配達J出荷,入荷,日程,倉庫作業・保管,販売と生産の連絡,自 送達    動在庫・配置制度,輸送業者との交渉,在庫管理        一i 皿 ZBB実施上の問題点  ZBBは増分主義によらず毎年ゼロに戻って検討をやりなおす立場であるか ら時間と労力を要するプロセスを経なければならない。そこでつぎのような問 題点が派生してくる。  (1)意思決定要素を定義し,この要素をあらわす過程で信じられないほどの 多量の書類が生ずる。  (2)多数のtask forcesおよび諮問委員会を利用するこによって彪大な時間 を必要とする。何回も締切を延ばしたり,またその消費した時間も彪大である。  (3)優先順位を発表すると大概の人は順位付けが粗雑であるとか,実施担当 者にとって望ましい優先順位でなかったりして不満をもつ。優先順位の統一・一・es        li) 極めてむずかしいものであり容易に成功するものではない。  ZBBがはじめて実施される際の問題点としては,(1)管理者は意思決定を 強いられるので担当業務の存続にのみ高い優先度をおいている管理者や,目立 たないようにしていれば自己の担当業務は存続できると考えている管理者にと 11) MacFarlene, John A: ibid. p. 32,

(10)

 60 ってはZBBは好ましいシステムではなくなる。このような問題は企業よりも 官庁において著しく,また管理システムの確立していない組織に存在する。(2) 通常の予算編成や計画策定手続に比較してZBBでは,多くの管理者が関係し てくるからZBB方式の管理とコミュニケーションが問題となる。そしてこの 問題は組織が大きくなれぽなお一層複雑になる。㈲ 全体の政策や計画策定方 針がなかったり,もしあったにしても実際にデシジョン・パッケージを作成す る下位の管理者に確実に伝わらないことがある。(4)ZBBを導入した年度に        必要な時間はその他の方式を採用した前年度よりも多くの時間を必要とする。  ZBBを開発する際の日米の経営的風土の相異がどのように影響するものか について考察してみよう。(1)日本の企業経営は終身雇用制と年功序列型であ り人の和を基本的理念とし,人の存在を第一義に考えるが米国は経済合理性を 基本とし,経営は仕事機能本位であり,仕事をまとめたものが組織となり,そ の仕事に最も適した人がそれぞれの部署に配属される。このような観点から人 員,部門,業務等の廃止や移動をおこなうのは日本の方が困難でありZBBも実 施が困難である。(2)米国の経営は仕事の流れをトータルにとらえそれを適宜 分割して部や課が作られるが日本の場合は逆に部や課を先きに作ってからそれ らに仕事の内容を与えるという形をとることが多い。このような環境の下では 新規なことや未知なことには不安感が高められ,ZBBの実施についても経験が 浅くその成功を実証するまでには至っていない。③ 米国の上級管理者は部下 の仕事を全部掌握し,強力な指導力をもたなければならないので上下の間に常 に緊張感があり個別計画の作成やランク付けの作業は真剣になされる。これに 対して日本では管理者は業務を部下に任せ,その結果のみを大掴みする管理構 造であるから,上司としての強い指導力を持たず自己の業務について代替案や サービス水準を立案,評価しさらに順位付けすることが乏しいためにデシジョ ン・パッケージの作成が困難である。ましてや廃止案を作ることには本能的に 拒否反応を示す。(4)日本では権限と責任が必ずしも明確ではなく,臨機応変 に業務の追加がなされたり,また救援に応ずることがあるためにデシジョン・ ユ2) 中村芳夫:前掲論文pp.26∼27,

(11)

       経営管理の用具としてのゼロベース予算について  61 ユニットごとに業務の計画や評価ができない場合がある。(5)日本ではZBB の基礎となる目標による管理,提案制度,長期計画,行動会計,費用効果分析, 機能別会計,コンピュータ会計等が確立していないので,これらから充実をは        から・なければならない。(6)ZBB実施の費用効果分析では, a)管理費,事 務費予算をとってみると日本においては実施効果よりも実施コストが大きいた めに従来の予算編成方法に戻ってしまう。b)設備投資予算,戦略的経費予算 をとってみると,従来はヒアリングが主でライティングは従であったが,ゼロ ベースではライティングが主になるためにその量:がかなりのものとなり実施コ          14) ストが大幅にかさむ。        15)  因みにわが国における官民のZBBの導入実態は次表のとおりである。 行 政  の 場 合

調査項・嚢関1−%

実施中

検討中

全面的に 実施中 全面的に実施中 Ol O.O     1部舳縛入・てい・i・・8・・ 一部実施     計画行政ないし行政管1中     理に考え方を一部導入i20        16.1     している      [

小計ト線施中の機関

311 25.0

講鹸藷繋轍とξの13528・2

蘇奉を1辮黎磐導入鹸・8・4・・

小 計 検討中の機関 s31 42.7 上記の合計 実施・検討中の機関 s41 67.7

その副上記以外の機関

40i 32.3 回答総数 被調査機関の総数 ] 1241 loo. o 企 業 の 場 合

調査項目姦社1%

額黒鉱鷲導入33.・

特定部門では,すでに ZBBを導入し実施し ている 51 5.0 実施中の会社 sl s.o 今後,ZBBをぜひと も導入し実践したい 4i戟@4i.e 導入を希望する会社 !41 41.0 実施・希望中の会社1・・1・… 上記以外の会社 sil si.o

被議会社の繍1…i・・…

!3)西澤 脩:「わが国におけるゼロベース予算の現状と経理部門の役割」『企業会計』  第32巻第3号。pp.62∼63.   中山 諭:「ゼロベース予算導入成功のための諸条件と基本前提」『産業経理』第  38巻第1号。34ページ。 14)牧戸孝郎:「わが国におけるZBBの適用上の諸問題」日本会計研究学会第39回大  会報告。 15)西澤 脩:前掲論文『企業会計』第32巻第3号 64ページ。

(12)

 62  つぎにZBBを実施する場合の人的問題を考察してみよう。  (1)ZBBの組織的インパクト  1)ZBBはゼロベース思考にもとづいて業務計画を作成し予算編成をおこ なうのであるが,ゼロベースをあまり強調すると却って業務の削減や配置転換 というような誤解や反発を招くおそれがある。 2)ZBBを実施する際には業 務担当責任者は何をなすべきかを弁え,これが組織内で円滑に実行されている ことが必要である。 3)ZBBによる業績評価をおこなうに当ってはその単位 を職能別ではなくデシジョン単位あるいはデシジョン・パッケージ単位になさ れなければならないので,従来の責任会計システムが変更され事務処理量が増 大する。4)目標管理では個人が日常活動においてとるべき具体的行動まで規 定するが,ZBBでは予算期間中の期待する成果だけを明示するだけであるから ZBBを目標管理にどのように結び付けるかが困難である。  (2)デシジョン・パッケージの作成評価における人的問題  1)代替案の探索にあたって意欲的な管理者は業務の革新に努力するが,安 定指向型の管理者は現状維持を指向するので後者については圧力的でない形で 現状改善をするよう指示する必要がある。2)順位付けの処理能力から生ずる 限界を克服するために基準パッケージの優先順位を下位の管理者が決定し,残 りの増分パッケージやカット・オフ・ラインの前後にあるデシジョン・パッケ ージについてだけ上層部で評価すると,基準パッケージの中にスラックができ る恐れがある。これを回避する方法としてはZBBに対する教育をしたり,原価 引下げに貢献した部署や業務の改善に寄与した者に報奨を与えたり,内部統制 システムによってチェックを強化する方法が考えられる。3)ZBBの管理者は 利益計画によって決定される費用枠に対してモチベートされるのではなく,サ ービス水準を維持し確保することにモチベートされるから,このサービス水準 を誰がどのように定量的に測定するかが問題である。4)増分パッケージの作 成については単に従来の業務を踏襲するだけではなく,何か新しい効率的なも のを創造しなけれぽならないから,アイディアを活用する体制とそれを生み出 す能力のある人材を養成していくことが必要である。5)デシジョン・パッヶ

(13)

      経営管理の用具としてのゼロベース予算について  63 一ジの評価にはトレード・オフ関係の検討が中心となる。この問題を解決する 方法には費用効果分析がある。しかしこの方法によらない場合は主観的方法を 用いなければならない。そのために組織目標の見地から整合性が保てるよう な,たとえば委員会制度のようなものを設けなければならない。6)ZBBに おけるデシジョン・パッケージの作成と評価にあたっては管理者に積極的な参 加が求められるが,この参加方法が有効か否かはZBBの管理者が作成したデ シジョン・パヅケージの質とデシジョン・パッケージの達成度によって評価さ れる。  (3)デシジョン・パッケージの付順・採択における人的問題  1)付順にあってZBBの管理者は自己が実施したいデシジョン・パッケー ジを最上位にし,他のものはたとえ優れたものであっても意識的に下位に付順 することがある。これを防ぐには最高管理者の厳密な審査が必要である。2) デシジョン・パッケージのなかには定量化できないものやディメンションの異 なるものを同一の基準で判定することが困難な場合がある。3)企業発展に重 要な事項が否決されてしまわないように最高管理者はデシジョン・パッケージ の付順と採択を長期・短期の両面から判断して重要なデシジョン・パッケージ       ラが付順の段階で却下されないように配慮しなければならない。

IV ZBBとPPBとの関係

 従来の計画会計では基本計画と予算編成は独立の領域とされていて両者の 有機的結合が充分におこなわれない欠点があった。この欠点を補うために programmingの概念が生まれ,!)基本計画の設定,2)任務別計画の作成, 3)予算の編成の3つを1つのトータル・システムとして実施することが考え られた。これがPlanning−Programming−Budgetin9(略してPPBという)と いう経営計画の技法である。元来このPPBは1971年に米国のR.マクナマラ 国防長官が国防予算に関して考え出したものであり,今日企業の経営計画に利 16) スタディグループ;  33t一一35. 「予算管理システムの研究」日本会計研究学会 昭和54年pp.

(14)

 64 用されている。企業におけるPPBの基本フローを通産省の答申にもとづいて       わ 図示するとつぎの表の上半分のようになる。 〔ト ソ プ〕 〔マネジャー〕 〔予算スタッフ〕 基本計画(P) 任務別計画〔P) 子算編成(B) PPBのフ

轍全

問題

目標

戦略

戦略

戦略

予算

総部プ@ 二合門ン → → ∫    工

把 設 提 評 選 編

予予7

経営方針 変更 握 定 案 価 択 成   予

Z卦算

ゼロからの出発(Z) Z 経 利 予 パッケージの作成 ノf 総部業 ン

BB

営方 益計 算 ケ 合門務 の 針 画 枠の パノケージの評価

別 フ の 口 の表 設 決

予予予 ﹁ 明 定 定 パノケージの順位づけ 択 成 算算算 基本計画 個別業務計画(P) 予算編成(B)

 PPBとZBBを比較してみよう。第1段階の基本計画と第3段階の予算編

成においては,両者は大差ないが第2段階ではPPBは目標設定→戦略提案→ 戦略評価→戦略選択とおこなわれ,トップ・ダウン方式であり観念的である。 これに対してZBBは第2段階で個別業務計画としてゼロから出発し,パッケ ージの作成→パッケージの評価→パッケージの順位付け→パッケージの選択と おこなわれボトム・アップ方式をとっている。より具体的には現場の管理者が 業務について自ら案を作り,自ら評価し,順位付けをおこな:うのでPPBとく       ユ ラ らべて理想に走ることなく現実的であり実行可能性は大きい。 17) 産業構造審議会:『国際化時代におけるわが国企業経営の高度化について』通産省  昭和46年。   西澤脩:前掲論文『産業経理』第38巻第1号 3ページ。 18)西澤 脩=前掲論文『産業経理』第38巻第1号 5ページ。

(15)

      経営管理の用具としてのゼロベーース予算について  65  PPBが有効ではなく経営の意思決定の用具として用いられない主たる理由 はPPBシステムのデザインにある。すなわちPPBは基本的には巨視的であ り中央集権的であり,またトップ・ダウン的政策であり長期計画の用具である からである。しかしてこのようなPPBにはつぎに示すような5つの大きなギ ャップがある。1)PPBは何がなされるかに焦点があるのであって如何にな されるかという方法には焦点がない。2)PPBによる予算編成は基本計画 Planningと任務別計画Programmingの段階でなされた意思決定にもとつく費 用計算であるが,実際には予算編成の準備段階でおこなわれる多くの政策や代 替案が生じてくる。3)PPBは政策や計画を決定するライン管理者に対して それを実行する用具を提供するものではない。4)PPBは種々の資金案が各 計画要素における影響を評価したり,また各計画の優先度を確立する仕組を持 たない。5)PPBは新規計画あるいは現計画の主たる支出増加に焦点がある       ユきう のであって,現計画の活動に関して不断の評価を焦点とするものではない。  PPBはこのようなギャップがあるにもかかわらずPPBをゼロベース予算 編成法の源泉と考える人が多い。前述のようにPPBは1970年代の初期に国防 省が関発し,米国の宇宙プログラムにまで広範囲に適用されたものである。そ の特徴はつぎの3つに要約できる。  1)PPBでは従来の予算編成方法のような職能中心ではなく,プログラム にもとづいて支出を計画する。換言すれば職務と結び付いたインプットではな く目的と結び付いたアウトプットによって支出を分類する。  2) プログラムに必要なすべての資源と支出を明らかにするためにプログラ ムの完了時期まで将来にわたって検討する。換言すれば新規兵器システムのコ ストは三年三分だけを検討するのではなく,そのライフ・サイクル全体につい てのコストを検討するから,このような方法をとればコスト超過とか将来の予 算額をみて驚くことはなくなる。すなわちこの方法を用いることにより将来に おいて予算が予想以上に増減したり,費用を使いすぎないように予め対策を立 19) Peter A. Pyhrr: op. cit. p. 149.

(16)

 66 てることができる。  3)すべてのプログラムについて厳しい定量的分析をおこなう。分析の重点 はプログラムの価値を増加したり,プμグラムの必要な資源のコストを低減さ せたり,あるいはこの両者を実現することである。この方法はコスト有効度分 析と呼ばれる。  要するにPPBは設定した戦略上の目的を達成し得る複数の代替案について 長期的観点の下でコスト評価をおこなうプログラム本位の手法であり,主とし て計画作成に重点をおき予算編成が主目的ではないがこの手法を正しく適用す       ヱの るとその結果として業務予算ができる。

 それではZBBとPPBの類似点はどこに見出されるであろうか。第1は両

者とも従来の予算方法によ.らず活動あるいはプログラムにもとづいた予算意思 決定を必要とすること。第2は予算意思決定の結果としてもたらされる費用効 果を強調していること。第3は非常に実施が困難なこともあるが効果の定量化 が必要であること。第4は複雑な分析をしたり,あるいはコンピュ・’一タを利用 した意思決定をするために広い範囲のデータを必要とすること等である。

 これに対してZBBとPPBの相違点はつぎのとおりである。 ZBBでは個

々の活動を分離し独立した意思決定要素とする。経営者は優先順位に従って意 思決定要素の採否を決定したり順位付けをする。さらにZBBでは現行の資金 量あるいは望ましい資金量を用いた場合にどのような結果がもたらされるかが 明らかにされる。またZBBではすべての活動を予算期間ごとに全体について 見直す必要がある。従来の予算編成からZBB方式への移行は経験的にも明ら かなように比較的容易である。これに対してPPBは一般に非常に複雑な構成         を必要とし,さらにZBB以上の時間と労力を必要とする。  ZBBとPPBとはうえに述べたような類似点と相違点があるが,この両者 の長所をとり短所を捨てることによって両者を結合しては如何であろうか。 ZBBはPPBとともに用いることはできないものか,あるいは両システムは 20)Logan M。 Cheek:op. cit.中神芳夫監訳:前掲書pp.13∼14. 21) MacFarlane John A: op. cit. p. 32.

(17)

      経営管理の用具としてのゼロベース予算について  67 それぞれ排他的なものであろうか。これに対する答えはつぎの4つに集約でき

る。1)ZBBとPPBは両立し得る。2)ZBBはPPBの大きな欠陥を補

完し得る。3)ZBBはPPBを補強し得る。 4)PPBはZBBを効果的に

実施するために必要な計画と政策の枠を与える。したがってZBBとPPBを 結合すれば両者は補完し合いPPBの予算概念をZBBの予算に変化させるこ とによって両者は調整されたものとなる。

 ZBBとPPBをどのように結合するかを理解するためにZBBがPPBの

重大な欠陥をどのように補完するかを検討しよう。1)ZBBは与えられた目 的をどのように達成するかの方法に焦点がある。2)ZBBは目的や政策が決 定された計画の中で多くの行動の代替案を詳細に評価したものである。3) ZBBはライン管理者が業務を評価するための実施上の用具となり最も効率的, 効果的目的達成手段を勧告し,種々の予算レベルの業務に対する影響を認識す る。4)ZBBは種々の予算レベルの計画への影響を評価し,その評価は最善 の実施計画および計画要素への予算レベルの影響を決定する基礎となる。ZBB 分析による各要素の評価をおこなうことによってプログラム別評価やプログラ ム要素間でのトレード・オフが可能となり,プログラム別の予算レベルを決め る基盤を与えることができる。5)ZBBによって管理者は計画別および予算 別の効率や効果を詳細に知ることができる。6)PPBは重要な政策や基本的 予算配分に関する中央集権的意思決定のためのマクロ経済的用具である。これ に対してZBBは目的に合わせて効率的に業務計画や予算を作成するためのミ クロ経済的用具であり,ZBBによって管理者はプPグラム別,プログラム要 素別に種々の予算レベルの効果を評価することができるので限られた資源が効       ヨおり 果的に配分されることになる。  PPBの欠陥をZBBが補完し,両システムの機能を発揮できるように有機 的に結合したシステムとしてPPZBBS(Planning, Programming and Zer(h Base Budgeting System)を考えてみよう。このシステムはつぎの手順によっ 22) Peter A. Pyhrr: op. cit. pp. 152一一一一153.

(18)

 68 て総合的な計画設定と予算編成をすることができる。  1)経営環境条件の予測……企業の内外の専門家によって企業内外の環境条 件が今後の計画期間内にどのように変化するかを予測する。  2)経営方針の再検討……経営環境条件の予測と並行して従来の経営方針を 継続または修正する。あるいは全く新しい経営方針を設定する。  3)問題の把握……上の1)および2)を考量して現在や将来において企業 が解決しなければならない問題を総合的に決定する。  4) 目標の設定……決定された問題を解決するために具体的目標を設定す る。  5)デシジョン・パッケージの提案……目標の達成のための個別プμグラム 要素をまとめプログラム・パッケージを作る。単一または複数のプPグラム・ パッケージによってデシジョン・パッケージを作る。このデシジョン・パッケ ージには予算はもとよりそれに関連する項目をすべて収容する。  6) デシジョン・パッケージの評価……デシジョン・パッケージを費用効果 分析やトヅプ・マネジメントによる判断によって,費用と期間の関係,資金調 達および経営指標等について評価する。  7) デシジョン・パッケージの順位付け……デシジョン・パッケージの優先 度を付け,つぎにその順位を付ける。  8) デシジョン・パッケージの見直し……計画期間の中途において定期的に デシジョン・パッケーの見直しをおこなう。その結果によって,現状継続,増 分パッケージの見直しをおこなう。その結果によって,現状継続,増分パッケ ージの採用,減分パッケージの採用,現行パッケージの中止のいずれかを決定 する。したがって予算額はその決定項目によって予定通り,増額,減額,中止 のいずれかとなる。  PPBにおけるコミュニケーションはトップ・ダウン型であり,他方ZBB のそれはボトム・アップ型であるのでこの両者の有機的結合によって情報の 流れを効果的に機能付けることによってすぐれたシステムとすることができ

(19)

経営管理の用具してのとゼロベース予算について  69   ヨ  よう。

V 結

び  1970年代のはじめにアメリカの民問企業(TexasのInstruments社)と州 政府(ジョージア州)でスタートしたZBBは仕事中心で合理性を基本とする 組織基盤のなかで比較的スムーズに導入されてきた。わが国の企業が過去の高 度成長時代に培ってきた終身雇用,年功序列,家族主義,企業別組合等の諸制 度は今日経営上の大きな欠陥として見直されている。具体的には過剰人員とこ れにもとつく人件費の増加,多少厳しくいえば経営全体の見えない労組と果敢 な意思決定を欠くトップ・マネジメント等である。これらの欠陥をZBBの導 入あるいはZBB的発想で解決していかなければならない。 ZBBを採用するこ とによって少くともつぎの3点は改善されよう。1)ランキングのプPセスを 経てマネジメント階層間のコミュニケーションと理解を促進し得る。2)デシ ジョン・パッケージの作成に当って個別業務の実行担当者が種々の側面から仕 事を見直すため,仕事の分析能力を高め業務の改善,システムの改善を推進し 得る。3)全従業員を予算に参加させることになり,従業員のモラルの向上を         おの もたらすことになる。  しかしながらZBBの定義にもかかわらず,その目的と成果については, 「人・物・金の有効利用と適正配分を進めるため」とする企業が圧倒的に多く て全体の65%を占める。これに対して「経費を削減し減量経営の仕上げをする ため」とする企業が10%しかなく,「人員整理の手段として使用するため」は 全くなく「最高管理者が導入に強い意向を有しているため」としているのが1 %である。他方漠然とした目的ではあるが,「マンネリ経営を打破し,やる気        お の経営をおこなうため」とするのが21%もあるのは注目すべきであろう。 23)竹森一正=「会計面より見たZBBとPPBS」『産業経理』第38巻第1号pp.1g   ∼20. 24)中山諭:前掲論文29ペーージ。 25)西澤 脩;前掲論文『企業会計』第32巻毛3号 65ページ。

(20)

 70  それではZBB導入に成功する条件とはどのようなものであろうか。第1は トップ・マネジメント全員のZBBのねらいと基本的構造の理解があること。 第2は全管理者のZBBについての充分なオリエンテーションによる実務能力 のマスターがなされていること。第3はZBB導入プロジェクトの推進につい てのトップ・マネジメントの熱意と充分なバック・アップがあること。第4は 管理者の前向きなモラルの維持向上による後向きな抵抗を排除すること。第5 はZBBのデザインと導入作業の運営についての技術的訓練を経た強力なプロ        ジェクト・チームの編成ができることであろう。 26)中山諭:前掲論文35ページ。

参照

関連したドキュメント

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

在させていないような孤立的個人では決してない。もし、そのような存在で

「欲求とはけっしてある特定のモノへの欲求で はなくて、差異への欲求(社会的な意味への 欲望)であることを認めるなら、完全な満足な どというものは存在しない

ぎり︑第三文の効力について疑問を唱えるものは見当たらないのは︑実質的には右のような理由によるものと思われ

Âに、%“、“、ÐなÑÒなどÓÔのÑÒにŒして、いかなるGÏもうことはできません。おÌÍは、ON

下山にはいり、ABさんの名案でロープでつ ながれた子供たちには笑ってしまいました。つ

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

神はこのように隠れておられるので、神は隠 れていると言わない宗教はどれも正しくな