技術開発型中小企業の経営戦略
著者
渡部 順一
号
61
発行年
2000
批
渡
姻
部
じ
ー
晒
頂
巴
学 位 の 種 類
博
士(経 済学)
学 位 記 番 号
経 博 第61号
学位授与年月 日
平成13年3月26日
学位授与 の要件
学位規則第4条 第1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
東北大学大学 院経済学研 究科(博 士課 程後 期3年 の課程)
経営学専攻
学 位 論 文 題 目
技術開発型中小企業の経営戦略
論 文 審 査 委 員
(主査)
教
授
大
滝
精
一
助教授
若 林
直 樹
論
文
内
容
要
旨
1974年 の オ イ ル シ ョ ッ ク以 降 に お い て 、 重 化 学 工 業 か ら電 子 電 気 機 械 産 業 へ の構 造 転 換 が 起 こ っ た。 労 働 集 約 的 な 加 工 組 立 作 業 の た め 、 安 価 な 労 働 力 、 土 地 等 の 資 源 を求 め て 、 地 方 へ の 工 業 再 配 置 が 行 わ れ る よ う に な っ た 。 そ の 結 果 、 地 方 に は、 進 出 企 業 の 下 請 け 、 あ る い は協 力 工 場 と して 、 多 くの 企 業 が 創 設 さ れ る こ と と な っ た 。4半 世 紀 を 経 て 、 あ る企 業 は 淘 汰 さ れ 、 あ る企 業 は 大 手 企 業 の 傘 下 に組 み 入 れ られ た が 、 新 しい タ イ プ の 企 業 が 生 ま れ て きて い る。 当 初 は、 進 出 企 業 か らの 技 術 移 転 を 受 け て製 品 の 納 入 を 行 っ て い た が 、 絶 え ざ る技 術 蓄 積 の 結 果 、 そ の 企 業 の 技 術 が 進 出 企 業 の製 品 の 性 能 を 規 定 す る よ う に な った 企 業 で あ る。 ま た、 経 営 者 が 進 出企 業 に勤 務 しな が ら、 そ の 進 出 企 業 の 技 術 を 身 に付 け る こ と に よ り、 独 立 開 業 した 企 業 な どで あ る。 あ る い は、 そ の 地 方 の 伝 統 産 業 か ら、 そ の 技 術 を 活 か して 業 種 を 転 換 す る こ と に よ り、 電 子 電 気 機 械 産 業 へ 進 出 した企 業 な ど で あ る。 ま た、 将 来 の我 が 国 に お け る経 済 活 性 化 の た め の 新 た な推 進 役 と な る こ とが 期 待 さ れ て い る ベ ンチ ャ ー 企 業 が 生 み 出 した 独 創 的 な技 術 ・ア イ デ ア 等 に よ って 、 新 た な製 品 や 事 業 分 野 が 創 造 され て い る例 も少 な く な い 。 これ らの 企 業 の 中 に は、 絶 え ず 、 他 社 と は違 う性 能 を も った 新 製 品 の 開 発 を 行 って い る企 業 、 他 社 と同 等 の 性 能 で あ って も、 故 障 しに くい とか 保 守 が 容 易 で あ る と い っ た高 い 品 質 を 持 っ た 製 品 を 提 供 して い る企 業 、 あ る い は性 能 、 品 質 に つ い て は、 他 社 と あ ま り代 わ りは な い が 、 価 格 が 安 い こ とで 競 争 優 位 性 を獲 得 して い る企 業 、 さ ら に は他 社 に は 出 来 な い加 工 技 術 を 持 っ た企 業 な ど他 社 とは異 な る差 別 化 さ れ た 技 術 力 に よ って 、 自社 の 競 争 力 を 高 め て い る企 業 が 多 数 存 在 す る。 こ の論 文 で は、 これ らの企 業 の うち 、 持 続 的 な 適 正 利 潤 を 追 求 す る た め に、 そ の 中 核 能 力 と して 、 主 体 的 に 技 術 開 発 を 行 い、 あ る業 界 内 で 競 争 優 位 性 を得 よ う とす る 中 小 製 造 業 を 技 術 開 発 型 中 小 企 業 と み な して 論 じる こ と と した。 技 術 開 発 型 中 小 企 業 が 持 続 的 に適 正 利 潤 を追 求 して い く こ と と、 新 た な 製 品 の 開 発 を行 い、 事 業 分 野 を創 造 、 発 展 させ て い くこ と は経 営 戦 略 上 極 め て 難 しい 課 題 を 含 ん で い る。 バ ブ ル経 済 崩 壊 後 の 経 済 環 境 の 不 透 明 性 、 あ るい は、 情報 通信 技術 やバ イオ テ クノ ロ ジーの急速 な進 歩 な ど の経 済 環 境 の 変 化 は、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に 持 続 的 な 競 争 優 位 性 を もた らす こ と を 困 難 に して い る た あ で あ る。 そ こ で、 技 術 を競 争 優 位 性 の 源 泉 と して い る技 術 開 発 型 中 小 企 業 の経 営 戦 略 に つ い て 、 競 争 戦 略 論 の 立 場 か ら、 考 察 を加 え た い と思 う。 「第1部 課 題 と戦 略 」 で は、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 課 題 と技 術 開 発 の 意 義 を述 べ る と と も に、 経 営 戦 略 の 中 で 、 技 術 開 発 戦 略 は ど の よ う に位 置 づ け られ るの か に っ い て 検 討 す る。 そ の上 で 、 技 術 開 発 を 、 従 来 議 論 さ れ て き た 内 部 資 源 の 資 源 配 分 に よ る資 源 の 深 耕 と拡 張 と い う立 場 を超 え て 、 事 業 リス ク を 負 うか も しれ な い が 外 部 環 境 と連 携 す る こ と に よ り、 企 業 の成 長 の 機 会 を 得 る と い う ネ ッ トワ ー ク指 向 の 戦 略 と して 捉 え な お した い 。 第1部 の 各 章 で 取 り上 げ る 内 容 は 、 次 の とお り で あ る。 第1章 で は、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る技 術 開 発 の 意 義 に っ い て 取 り上 げ る。 中小 企 業 を め ぐ る環 境 は大 き く変 化 して お り、 そ の 変 化 を受 け て 制 定 後36年 に して 初 め て 中 小 企 業 基 本 法 が 改 訂 さ れ る こ と とな った 。 そ れ らの 結 果 中 小 企 業 に は多 様 な社 会 的 役 割 が 期 待 さ れ る よ うに な って きて い る。 一 方 で 、 中小 企 業 に お い て も、 そ れ らの 環 境 の 変 化 に 対 して 、 経 営 戦 略 の 見 直 しが 求 あ られ て い る。 経 営 戦 略 を 見 直 す た め に 、 事 業 活 動 に っ い て 研 究 開 発 を 行 な う中 小 企 業 も 多 数 存 在 して い る。 これ らの 多 種 多 様 な 中 小 企 業 の う ち、 製 造 業 を主 と して技 術 を そ の 中 核 能 力 と して、 経 営 戦 略 を 構 築 しよ う と して い る企 業 も少 な く な い。 これ らの 技 術 を そ の企 業 の 中 核 能 力 と 位 置 づ け て 経 営 戦 略 を 構 築 す る中 小 企 業 を 技 術 開 発 型 中 小 企 業 と定 義 す る。 第2章 で は 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る技 術 開 発 戦 略 の 課 題 分 析 と戦 略 の 特 徴 に つ い て論 じ る。 まず 経 営 戦 略 の概 念 と そ の変 遷 を 辿 る。 例 と して 、 「3っ の 基 本 戦 略 」 と 「成 長 ベ ク トル 」 を 採 り 上 げ る。 次 に、 競 争 戦 略 論 の 立 場 か ら、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の経 営 戦 略 の うち 、 そ の 基 幹 を な す 技 術 開 発 戦 略 に っ い て 、 「S字 曲 線 」 の 有 効 性 に っ い て 述 べ る。 そ の の ち 、 資 源 の 乏 し い技 術 開 発 型 中 小 企 業 に と って 、 環 境 の 変 化 に適 応 す る た あ に必 要 と さ れ る技 術 開 発 戦 略 に っ い て、 モ ジ ュ ー ル 化 と ネ ッ トワ ー ク能 力 を検 討 した い。 最 後 に、 外 部 環 境 を活 用 した ネ ッ トワ ー ク能 力 に よ る技 術 開 発 戦 略 の 構 築 に っ い て 考 察 す る。 「第2部 現 状 分 析 」 で は、 ネ ッ トワ ー ク能 力 の 一 形 態 で あ る産 学 官 が 一 体 と な って 、 技 術 開 発 を 促 進 す る 「産 業 集 積 」 を取 り上 げ て 、 地 域 との 連 携 に よ って 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 が 成 長 す る た め の 経 営 戦 略 と地 域 へ の期 待 さ れ る役 割 に つ い て 論 じた い。 特 に、 そ の 知 的 財 産 の 活 用 が 求 め られ
る大 学 等 との 連 携 とお 互 い に そ の 能 力 を 補 完 し、 技 術 開 発 を 行 う技 術 開 発 型 中 小 企 業 の異 業 種 交 流 に つ い て 、 分 析 を 加 え る。 第2部 の各 章 で 取 り上 げ る内 容 は、 次 の とお りで あ る。 第3章 に お い て は 、 ネ ッ トワー ク能 力 を 活 用 した地 域 産 学 官 連 携 に お け る技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 経 営 戦 略 に つ い て 述 べ る。 企 業 を 取 り巻 く外 部 環 境 に お い て も、 企 業 が ネ ッ トワ ー ク能 力 を 発 揮 す る た め に は、 ネ ッ トワ ー ク を 促 進 す る た め の 「集 積 」 が 必 要 と な る。 ま た、 中 小 企 業 へ は、 市 場 競 争 の 苗 床 、 イ ノ ベ ー シ ョ ンの 担 い 手 、 魅 力 あ る雇 用 機 会 創 出 の 担 い 手 、 地 域 経 済 社 会 発 展 の担 い 手 な ど へ の 期 待 が あ る た め 、 そ の 期 待 を 達 成 させ る た め に、 産 学 官 と地 域 が 一 体 と な っ て 取 り組 む 必 要 が あ る。 そ こで 、 山 形 県 米 沢 市 を取 り上 げ 、 地 域 ネ ッ トワ ー ク能 力 と して の 「産 業 集 積 」 が も た らす 、 新 た な技 術 あ る い は産 業 の 創 出 に よ る雇 用 機 会 創 出 、 並 び に 地 域 経 済 社 会 発 展 に つ い て 述 べ る。 第4章 で は 、 「学 」 との 連 携 に つ い て 論 じ る 。 大 学 に お い て は 、199G年 代 初 め に お け る地 域 共 同 研 究 セ ン タ ー の 設 置 、1999年 の大 学 等 技 術 移 転 促 進 法 の 制 定 に よ って 、 企 業 と の 共 同 研 究 や 大 学 の 知 的 資 産 の民 間 へ の 移 転 の た め に整 備 が 進 ん で きて い る。 こ う した 大 学 の動 き に対 応 して 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お い て も、 大 学 等 の 知 的 資 産 を い か に活 用 して い くの か が 、 経 営 課 題 と な って き て い る。 宮 城 県 と東 北 大 学 を 例 に 取 り な が ら、 そ の 課 題 に っ い て 述 べ る こ と とす る。 第5章 で は 、 「官 」 と 「産 」 と の 連 携 、 す な わ ち 支 援 制 度 を活 用 した 企 業 間 に お け る ネ ッ トワ ー ク能 力 を 取 り上 げ た い と思 う。 中 小 企 業 の 技 術 開 発 に お け る 企 業 間 連 携 に っ い て は 、 大 企 業 か らの 協 力 会 社 あ る い は、 下 請 け企 業 へ の 技 術 移 転 と して 、 従 来 も行 わ れ て き た。 しか し、 従 来 技 術 開 発 型 中 小 企 業 は一 般 に 外 部 資 源 との 連 携 が 不 充 分 で あ っ た。 現 在 で は、 技 術 の 高 度 化 あ る い は 開 発 領 域 の 広 が りの た め に、 自社 に な い技 術 を 持 っ 他 の 技 術 開 発 型 中 小 企 業 と連 携 して 技 術 開 発 を 行 う こ とが 重 要 に な り つ っ あ る。 そ こで 、 融 合 化 法 に 基 づ く、 企 業 間 の 異 業 種 交 流 に 着 目 して 、 技 術 開 発 に お け る連 携 の 有 効 性 に っ い て 検 証 した い。 ま た 、 そ の検 証 を 行 う た め に、 融 合 化 法 に 基 づ く事 業 化 を 行 ったB協 同 組 合 とM株 式 会 社 の 事 例 を 採 り上 げ る こ と と した。 ま た、 支 援 制 度 の 有 効 性 に つ い て も検 討 す る。 「第3部 結 論 」 で は 、21世 紀 に 向 け て の ネ ッ トワ ー ク能 力 を 活 用 した、 新 しい経 営 戦 略 の 構 築 に つ い て の 私 見 を述 べ た い。 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る技 術 開 発 能 力 は、 技 術 開 発 能 力 二 狭 義 の 技 術 開 発 能 力(内 部 資 源)+ネ ッ トワ ー ク能 力(外 部 環 境) と して表 す こ とが 出 来 る。 従 って 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 が 外 部 環 境 と の 連 携 を す る こ と に よ り、 自 社 の 内 部 資 源 に よ って もた ら され る能 力 を 超 え た技 術 開 発 を行 う こ とが 出 来 る可 能 性 が あ る。 ま た 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る外 部 環 境 との 連 携 は 、 事 業 リス ク を 負 う と と も に事 業 機 会 を 得 る こ と と成 る。 外 部 環 境 との ネ ッ トワ ー ク能 力 を 如 何 に 構 築 して い くか に よ って 、 経 営 戦 略 に大 きな 影 響 を与 え る こ と とな る。 こ う した こ と を 前 提 と して 、21世 紀 に 向 か っ た 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る有 効 な 経 営 戦 略 の 一
っ と して 、 ネ ッ トワ ー ク指 向 の技 術 開 発 戦 略 が あ る と考 え て い る。 ネ ッ トワ ー ク指 向 の 技 術 開 発 戦 略 と は 、 外 部 環 境 との 適 合 能 力 並 び に そ の 活 用 能 力 で あ る ネ ッ ト ワ ー ク能 力 を 企 業 の 中 核 能 力 と して 、 内 部 資 源 と組 み 合 わ せ る こ と に よ り、 そ の 企 業 の 内 部 資 源 能 力 以 上 の 能 力 と を 発 揮 す る こ と と迅 速 な 変 化 へ の対 応 を 可 能 に す る戦 略 で あ る。 そ の戦 略 は、 自社 の ポ ジ シ ョ ン と将 来 予 測 に よ り、 適 切 な外 部 資 源 、 例 え ば産 学 官 及 び 地 域 との 連 携 を行 う こ と に よ り、 「機 会 」 を 最 大 に し、 「リス ク」 を 最 小 限 にす る こ と を意 図 した技 術 開 発 戦 略 で あ る。 この ネ ッ トワ ー ク指 向 の技 術 開 発 戦 略 か ら、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 新 しい方 向 性 が 見 出 す こ と が 出来 れ ば 幸 い で あ る。 最 後 に 、 この 論 文 の有 効 性 と限 界 、 並 び に今 後 の 研 究 課 題 を 取 り上 げ る こ と と した。
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
本 論 文 は、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 経 営 戦 略 を 理 論 的 お よ び 実 証 的 に 分 析 し、 そ れ らの 分 析 を通 し て 「ネ ッ トワ ー ク指 向 の 技 術 開 発 戦 略 」 を 提 唱 しよ う と した も の で あ る。 全 体 は3部 か ら構 成 され て い る。 ま ず 第1部 「課 題 と戦 略 」 に お い て は、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 課 題 と技 術 開 発 の意 義(第1章)を 述 べ る と と もに 、 経 営 戦 略 の 中 で 技 術 開 発 戦 略 が ど の よ う に位 置 づ け られ る の か に っ い て 検 討 して い る(第2章)。 特 定 の技 術 を 中 核 能 力 と位 置 づ け て 経 営 戦 略 を 構 築 す る既 存 の 中 小 企 業 を技 術 開 発 型 中小 企 業 と定 義 し、 そ こで の 技 術 開 発 戦 略 の 課 題 と戦 略 の 特 徴 が 明 らか に され る。 こ こで は 特 にS字 曲 線 の 概 念 を 用 い て 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 が 異 な る タ イ プ な い し世 代 の 技 術 に た い し、 内 部 開 発 だ け で 対 応 して い く こ とが 難 しい こ とが 強 調 さ れ 、 外 部 の 経 営 資 源 を活 用 し た モ ジ ュー ル化 と ネ ッ トワ ー ク能 力 の 重 要 性 が指 摘 さ れ る。 第2部 「現 状 分 析 」 で は、 ネ ッ トワー ク戦 略 の 一 形 態 と して 、 地 域 の 産 学 官 が 連 携 して 技 術 開 発 を 促 進 す る、 産 業 集 積 を 活 用 し た技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 経 営 戦 略 に つ い て 考 察 され る(第3章)。 特 に こ こ で は、 そ の 知 的 財 産 の 活 用 が 求 あ られ る大 学 等 との 産 学 連 携 の 実 態(第4章)と 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 に お け る異 業 種 交 流 の 現 状 と課 題(第5章)が 明 らか に さ れ る。 産 学 連 携 の 実 態 に っ い て は、 宮 城 県 内 の 中 小 企 業 と東 北 大 学 との 連 携 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 に よ って 、 ま た 異 業 種 交 流 の現 状 に つ い て は 、 著 者 が 直 接 に 関 わ った 融 合 化 法 に基 づ く2つ の 事 業 の事 例 研 究 を 通 して 、 そ れ ぞ れ の 課 題 を 示 して い る。 第3部 「結 論 」 に お い て は、 これ らの 分 析 に基 づ い て、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 が 、 内部 開 発 の み な らず 、 外 部 の経 営 資 源 を 活 用 して モ ジ ュ ー ル や ネ ッ トワ ー ク を 形 成 す る こ との 意 義 を 強 調 し、 さ ら に そ の 両 者 を戦 略 的 に統 合 した 「ネ ッ トワ ー ク指 向 の 技 術 開 発 戦 略 」 の 概 念 を 提 示 して い る(第6 章)。 以 上 の よ う に、 本 論 文 は、 こ れ ま で 本 格 的 な 分 析 が 少 な か っ た技 術 開 発 型 中 小 企 業 の経 営 戦 略 に 関 して 、 理 論 と実 証 の双 方 か ら詳 細 な 考 察 を 加 え た も の と して 高 く評 価 さ れ る。 特 に モ ジ ュ ー ル 化や ネ ッ トワ ー ク戦 略 の 議 論 に お い て は 、 著 者 の 実 務 で の 経 験 も十 分 に 反 映 さ れ、 分 析 に 厚 み を 加 え て い る と い え る。 もち ろ ん 、 技 術 開 発 型 中 小 企 業 の 定 義 の しか た 、 論 文 全 体 を通 して の 分 析 単 位 の 問 題 な ど解 決 す べ き課 題 も残 さ れ て は い る もの の、 こ う した 問 題 は、 け っ して 本 論 文 の 価 値 を減 じ
る も の で は な い。