1 -第2学年○組 道徳学習指導案 1 主題名 「感謝の伝え方」 〔内容項目2-(6) 多くの人々の善意や支えにより,日々の生活や現在の自分があることに感謝し, それにこたえる。〕 2 資料名 「少年の親切はいくらか」(出典:かけがえのないきみだから 学研) 3 主題設定の理由 ○ 本主題のねらいは,自分の心の中にある感謝の気持ちを相手の心に届け,潤いのある人間関 係を築こうとする心情を育てることである。 感謝の心は,他の人が自分のことを大切に思ってくれていることに触れ,相手の行為をいわ ば心の贈り物としてありがたいと感じたときに起こる人間の自然な感情である。これは,自分 から頼んだことをやってもらったときやほめられたときなどにも生じるが,個人が苦境に置か れたときや気持ちが弱まっているときなどに,とりわけ強く感じるものである。また,感謝の 念を強くいだいたとき,何らかの形で報いようとする心が生まれる。しかし,そこに恩着せが ましさや打算があると,行為の受け手にとって負担になることもある。一方,「何気ない」気 遣いは,喜びと活力を与えてくれる。そこで,助け合いや協力を根底で支えているのは感謝の 心であることを理解し,他者の善意や支えに対してどのようにこたえることが人間としてより よく生きることにつながるのか考えさせていきたい。 ○ 本学級の生徒は,感謝の気持ちをもつことについては全員が大切だと考えており,他者の善 意や支えに対して感謝することのよさや価値を理解している。しかし,日常生活の中で「あり がたい」と感じることがない生徒が約 15 %いる。これは,物質的に豊かで便利な生活を送る ことが当たり前のようになっているからだと思われる。また,感謝の気持ちを言葉や行動とし てうまく伝えられないと感じている生徒は 40 %いる。これは,感謝の念を抱いて多くの人々 の善意や支えにこたえることの道徳的価値についての理解が不十分だからであると考える。 また,道徳の時間の学習について尋ねたところ,道徳の時間が「あまり好きではない」「全 く好きではない」と答えた生徒が68 %いた。その理由として,「授業の流れがいつも似ている から」と答えた生徒が最も多かった。さらに,道徳の時間が自分の生活に役立つと思う生徒は46 %にとどまった。これらは,これまでの授業が,教師の発問で意図した価値へと誘導したり生 徒が学習そのものに考える必然性をもてないでいたりしていたためだと思われる。 ○ 資料「少年の親切はいくらか」は、ある教師がクアラルンプール日本人学校に勤務していた 時に経験したことを取り上げたものである。主人公は家族旅行に出かけた帰り,地図には載っ ていない道で迷う。道を案内してくれた少年へお礼にとお金を渡そうとするが,少年は受け取 らない。後に,主人公は少年の親切に値段をつけた自分の行為を後悔するという内容である。 指導に当たっては,導入で,「ありがたい」と感じた体験について交流した後学習テーマを 設定し,感謝の気持ちを伝えることについて問題意識をもてるようにする。展開前段では,資 料を2つに分けて提示する。まず,主人公が受けた善意に対しお金でお礼をしようとする場面 を取り上げ,賛成か反対か生徒自身の考えを明らかにさせる。その際,心情をグラフを用いて 交流することにより多様な価値観を視覚的に捉えられるようにする。次に,資料の後半を読み, 主人公の心情の変化から,他者からの善意や支えに感謝しそれにこたえるという道徳的価値に ついて,新たな側面に気付かせ多面的に捉えられるようにする。展開後段では,これまでの自 分自身を振り返らせる。その際,経験やそのときの心情を問うことで,感謝の気持ちを伝える 価値に関して,生徒が自分の感じ方や考え方を自覚できるようにする。終末では,本時の学習 を振り返り,他者の善意や支えに対してどのようにこたえることが人間としてよりよく生きる ことにつながるのか,生徒が自分の思いや考えをまとめられるようにする。 4 本時 (1) 本時のねらい 感謝の気持ちの伝え方について考え,潤いのある人間関係を築こうとする心情を育てる。
2 -(2) 準備 資料「少年の親切はいくらか」 ワークシート 板書用挿絵 (3) 学習指導過程 段階 学習活動と内容 教師の支援 配時 導 1 これまでに「ありがたい」と感じた体験について交流 ○今までの自分を振り返 5 入 し,学習のテーマを確認する。 らせ,本時のねらいと T : 感謝の気持ちの伝え方に正解はあると思いますか。 する道徳的価値への問 S : 決まった伝え方はないと思う。 題意識をもたせる。 S : 時と場合によって伝え方はいろいろある。 テーマ 感謝の気持ちの伝え方に正解はあるのだろうか。 展 2 資料「少年の親切はいくらか」の前半を読み,主人公 ○主人公のとった行為に 開 の心情や行為と自分を比較して考える。 賛成か反対か心情グラ 前 (1) 主人公が少年にお礼をしようとする場面までのあらす フを用いて自分の考え 15 段 じを確認し,主人公のとった行為について考える。 を明らかにし,交流す T : お金を渡そうとした主人公の行為をどう思いますか。 ることで多様な価値観 S : 賛成。この場面ではそうするしかない。 を引き出す。 S : 反対。お金で解決しようとするのはよくない。 (2) 資料の後半を読み,主人公の心情の変化を通して,他 ○主人公の心情の変化に 10 者の善意に対してこたえることの価値に気付く。 焦点を当て,ねらいと する道徳的価値に気付 T : 少年の親切に値段をつけた自分の行為が無性に恥ず かせる。 かしくなってきたのはなぜでしょう。 S : お金で済ませようとしていた安易な気持ちだったから。 S : 小遣いをあげれば喜ばれると恩着せがましかったから。 〔補助発問〕主人公は,自分がどんな気持ちでお金を渡そ うとしていたことに気付いたのでしょう。 (3) 感謝の気持ちを伝える上で大切なことについて考える。○カテゴリーに分けて板 5 T : この日の出来事を思い出すとき,主人公はどんなこと 書し,道徳的価値につ を考えているのでしょうか。 いて新たな側面に気付 S : これぐらいでいいだろうなどと思わない。 かせ多面的に捉えられ S : お金や物よりも心を込めることが大切。 るようにする。 S : 機会を逃すと感謝の気持ちを伝えられないことがある。 展 3 感謝の気持ちを伝えることについて,これまでの自分 ○生活体験の想起などを 10 開 自身を振り返る。 通して,道徳的価値に 後 T : これまで主人公のように感謝の気持ちをうまく伝えら 対する自分なりの解釈 段 れなかったことはないですか。 を表現させる。 S : 言おうと思っていながらチャンスを逃した。 終 4 本時の学習を振り返り,これからの自己の生き方につ 5 末 いて考える。 T : 今日の学習で,自分に取り入れてみたいと思ったこと はどんなことですか。
3 -5 資料分析 家族旅行の帰り道,地図には載っていない一本道で迷う。ガソリンも残 立場や状況設定 り少ない。車も故障しかねない。言葉も通じない。ようやくマレー語を話 せる高校生と出会う。 人間的弱さ 道を案内してくれた少年に対して,いくらくらいと値段を考えながら二 場 千円程度の紙幣を渡そうとする。 面 の 回転軸 少年はどうしてもお金を受け取ろうとしない。 分 析 価値覚醒 少年の親切に値段をつけた自分の行為が無性に恥ずかしくなってくる。 「わたしたち日本人は大切なものを失いかけている気がする。」という妻 のことば。 6 板書計画 「 あ り が た い 」 と 感 じ た こ と テ ー マ 感 謝 の 気 持 ち の 伝 え 方 に 正 解 は あ る の だ ろ う か 。 道 に 迷 う 残 り 少 な い ガ ソ リ ン 故 障 し そ う な 車 通 じ な い 言 葉 賛 成 こ の 状 況 で は 仕 方 が な い 。 お 金 を 渡 す の も 一 つ の 方 法 。 少 年 も 喜 ぶ か も し れ な い 。 い し 〔 ネ ー ム カ ー ド を 貼 り か そ の 理 由 を 書 く 。 〕 ず 恥 お 金 で 解 決 す る の 反 対 は よ く な い 。 ・ こ れ ぐ ら い で い い だ ろ う な ど と 思 わ な い 。 ・ 心 を 込 め る こ と が 大 切 。 ・ 機 会 を 逃 す と 感 謝 の 気 持 ち を 伝 え ら れ な い こ と も あ る 。 潤 い の あ る 助 け 合 い 感 謝 の 人 間 関 係 協 力 心 場面絵 D C B A 主人公 お礼にお金を渡そうとした主人公