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術前化学療法・放射線療法併用肺癌手術例の検討 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

術前化学療法・放射線療法併用肺癌手術例の検討 国立療養所富士病院 外科 奥脇英人 泉浩 山田康治 堤正夫 石川創二 はじめに  進行した原発性肺癌に対する治療は難しいが、局所浸潤例に対し術前に化 学療法と放射線療法を併用することにより、術式を縮小し得た、あるいは手 術不能例を可能にし得たと思われる2症例について報告する。 症例1 67才 男性  平成元年4月より咳漱が出現し、これを主訴として7月27日に入院とな った。B.1.=1600。 気管支鏡にて右上幹入口部を閉塞する腫瘍と、気 管分岐部、気管への浸潤を認めた。組織型は扁平上皮癌であり、臨床病期は T4N2Mo、 stagelllBとした。  この時点では手術不能と考え、シスプラチンの気管支動注及びシスプラチ ン、ビンデシンの全身投与による化学療法を2クール行い、更に局所療法と して放射線療法を追加した。腫瘍の著明な縮小と気管、気管分岐部の正常化 が得られ、右上葉切除、気管支形成術を施行した。 (治療経過を図1に示す〕 図1

β、 pm

 入 BFS

   PAG

   BAG

     …      も CDDP IOOmg↓ VDS 3mg↓ 1 ↓J 退入    退

BrS BFS酌BFS苧

    …     … OK432  :     ロ5KE局注↓ OK432 5 KE[:::::::::::::=:::::::] [:::::=] 皮下注週3回 リニアック照射39Gy一         套喜萎膿↓ H元.7  8  9  10  11 12H2.1 2  3(月) 一36一

(2)

 胸部単純X線写真(図2)では、 入院1博には月市11りlt{{Sから上中肺野にか けて広範囲に腫瘍陰影を認める(左 端)が、シスプラチン]OOmg気管支 動注後(中央左)、化学療法2クー ル施行後(中央右)では、陰影の著 明な縮小を認める。リニアック39Gy 照射後(右端)では、更に縮小して いる。肺門部の新たな陰影は、放射・ 線による線維化と思われた。 (実際 にS“の線維化が認められた。)  胸部CTにおいても、入院時には 気管支の走行に沿ってサンゴ状を呈 する腫瘍塊を認める(図3)が、化 学療法、放射線療法終了後には、腫 瘍は著明に縮小し、上幹が開口して いる(図4)。  この時点で、組織学的にも気管及 び気管分岐部の腫瘍が消失したこと を確認し、手術適応を再検討した後、 右上葉切除、気管支形成術を施行し た。  図5に切除標本を示す。肺尖部の 嚢胞状変性は、無気ll市に感染を併発 したことによって生じたものと考え られた。気管支壁に沿ってXanthonla となっており、同部では腫瘍細胞は 消失していた。が、放射線照射野か ら外れた部位に腫瘍が残存していた (矢印;φ8mm)。 図4

(3)

症例2 5イ:]’  SiJ}il!l:.  平成2年2月下句より咳蝋出現、4月に」血L淡を認めるようになり入院とな った,、B.「11.・tt:1800、、気管支競にて左上区枝入日部を完全に閉塞する腫 瘍を認めた、,組織型は扁平.1二皮癌であリ、臨床病期はT:, N!tMo, stagelllt、 とした、,  Wし、左肺動脈本幹/\の浸潤が問題となり、この時点では全摘になる可能 性が極めて大きいと考えたIJ術前にシスプラチン、ビンデシンによる化学療 法を2クールと放射線療法を行い、腫賜の著明な縮小を得、左上葉切除、肺 動脈形成術を施行した、,  術後化学療法を1クー一一・ル追1川し、退院となった、,(治療経過を図6に示す) 図6 入

 BFS

l計PAG

 PAG

BFS

vA閉塞試験

退 院 1 CDDP 150ni9↓  100nl9↓      CDDP 100m9↓ VDS  4m9↓↓ 3mg↓↓        VDS  3m9↓↓ NK421内服[::::=::::コ       リニアック照射40Gy Imzzzzzi        縞藻綴↓ H2.4 5 6  胸部単純X線写ユ‘〔(図7)では、 入院時には左」二1肺野に7×5CILI大の 辺縁不整な腫瘍陰影と末梢の不完全 無気肺像を認める(左)。化学療法 2クール施行後では、陰影は縮小し 淡くなっており、末梢の無気肺が改 善している(中央),更にリニアッ ク40Gy照射後では、腫瘍陰影の辺縁 は不明瞭となり、線状影を残すのみ となった(右)。 図7 一38一

(4)

 入院時の胸部CT(図8左)では 腫瘍が#5リンパ剖盲と一塊となり、 肺励脈本幹へ広汎に浸潤していると 考えられた。  肺動脈造影写真(図8右)でも、 本幹に壁不整が認められ(矢印)、 浸潤が強く疑われた。上方に伸びて いる枝はA°であり、上葉への枝は 全く描出されていない。  この時点では上葉切除は難しく、 全摘になる可能性が極めて大きいと 考えた。ところが患者は身長ユ67cm、 体重85kgの肥満体型であり、合併症 として糖尿病があることを考え併せ、 全摘は避けたかった。  そこで、上葉切除を念頭において 化学療法及び放射線療法を施行した。 終了時点でCT、肺動脈造影を再検 し、肺動脈本幹周囲の腫瘍の著明な 縮小と壁不整の消失を得、葉切可能 と判断したが、全摘になる可能性も 否定できず、左肺動脈閉塞試験を行 い、全摘に耐え得ることを確認した 後、手術に踏み切った。  予想どおり肺動脈本幹に約1cmの 強固な癒着があったため、一部合併 切除し、ICII管形成を要した(図9) が、上葉切除を行なうことができた。  切除標本をみると(図10)、上 区枝内には腫瘍は認められず、原発 巣はリンパ節と一塊となって廠痕化 しており、この中の極一部に腫瘍細 胞が残存していた。 1ソ 図8 図9 図ユ0

(5)

まとめ  術前に化学療法と放射線療法を併用した2症例を報告した。 いずれもDown stageが得られ(c−T4N、, IIIB→c−T、N2, IIIA; c−T2N2, IIIA→c−T,N、, II)、治癒切除が行なわれた(p−TIN。,

絶治;p−T。N2,相治)。それぞれ術後5M,12M経過し再発は認めら

れていない。  Neoadjuvant chemotherapyには全身の微小転移巣に対する効果が、局所療 法としての放射線照射には、リンパ管の閉塞等による手術操作による転移の 防止が、抗腫瘍効果と併せて期待される。また術前治療による手術操作に対 する悪影響は感じられず、縫合不全等の合併症も認められなかった。 III期肺癌局所進展例に対して、術前に化学療法と放射線療法を併用するこ とにより手術不能例を可能に、あるいは術式を縮小することが可能となり、 治癒切除率の向上が期待される。そのためには、術前のT,N, M各因子の 正確な評価が求められるとともに、病理組織所見を含め個々の症例による慎 重な適応の検討が必要である。  今後は予後について、症例を重ね比較検討するつもりである。 文 献 1)西山祥行,西村光世,黒木基夫,兼安秀人,北谷知己,松山智治:N2  111期肺癌例における術前化学療法(Neoadjuvant chemotherapy)の検討.  日胸外会誌 33(5):886−888,1989. 2)尾形利郎,加瀬勝一,森崎善久,菊地敬一:肺癌に対する照射と手術の  併用.治療学23(2):241−244,1989. 3)柴 光年,山口 豊,木村秀樹,小川利隆,山川久美,川野 裕,卜部  憲和,藤沢武彦,長尾啓一,栗山喬之:進行期肺非小細胞癌に対する術前  化学療法の検討.日胸外会誌 36(7):1089−1095,1988. 4)長尾啓一:Neoadjuvant chemotherapyの意義.呼吸9(3):299−304,1990・ 5) Faber I、P, Kittle CF, Warren WH, θt ∂ノ.  Preoperative chemotherapy  and irradiation for stage III non−small cell lung cancer. Anfl Thorac  Surg 47 : 669−677,1989. 一40一

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