病理診断アトラス(5) : 循環器系1:心臓-心筋症を中心に
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(2) 5. との関連が指摘されている.後者の型は病初期から. 表 1 心筋症の分類 1). 対称性肥厚を示すものと,初期は ASH を示してい. I .Ca r di o myo pa t hy 1 .Di l a t e dc a r di o myo pa t hy 2 .Hype r t r o phi cc a r di o myo pa t hy 3 .Re s t r i c t i vec a r di o myo pa t hy 4 .Ar r hyt hmo ge ni cr i ghtve nt r i c ul a rc a r di o myo pa t hy 5 .Unc l a s s i f i e dc a r di o myo pa t hy :e ndo c a r di a lf i br o e l a s t o s i s , no nc o mpa c t e dmyo c a r di um, mi l dl ydi l a t e dc a r di o myopa t hy, mi t o c ho ndr i a li nvo l ve me nt I I .Spe c i f i cc a r di o myo pa t hy 1 .I nf l a mma t o r yc a r di o myo pa t hy :i di o pa t hi c , a ut o i mmu ne , i nf e c t i o usf o r m 2 .Me t a bo l i cc a r di o myo pa t hy:e ndo c r i ne ,f a mi l i a ls t o r a gedi s e a s ea ndi nf i l t r a t i o n, de f i c i e nc y, a myl o i do s i s 3 .Ge ne r a ls ys t e mi cdi s e a s e :c o nne c t i vet i s s uedi s e a s e (SLE, RA e t c ), s a r c o i do s i s , l e uke mi ci nf i l t r a t i o n 4 .Mus c ul a rdys t r o phi e s 5 .Ne ur o mus c ul a rdi s o r de r s :Fr i e dr e i c ha t a xi a , No o na n ’ ss yndr o me , l e nt i gi no s i s 6 .Se ns i t i vi t ya ndt o xi cr e a c t i o ns :a l c o ho l ,c a t e c ho l a mi ne , a nt hr a c yc l i ne s , i r r a di a t i o n, e t c 7 .Pe r i pa r t um c a r di o myo pa t hy 8 .I s c he mi cc a r di o myo pa t hy:冠動脈病変の範囲を越え て著しい心室拡張と収縮能低下を来すもの 9 .Va l vul a rc a r di o myo pa t hy :弁疾患による心負荷では説 明のつかない心障害を示すもの 1 0 .Hype r t e ns i vec a r di o myo pa t hy:高血圧に伴う心筋障 害.左心室壁肥厚を有し,内腔拡張と収縮不全,ある いは拡張不全を呈する.. たものが経過により対称性肥厚となるものがある. このほか,長い経過で心室拡張を示すようになる群 があり,心不全を呈し拡張型心筋症と同様,心臓移 4) 植の適応となる(拡張相肥大型心筋症) .組織学的に. は心筋の肥大と錯綜配列像(bizarre myocardial hy5) pertrophy with disorganization)をみる(図 1) .典. 型的な錯綜配列像がすべての症例にみられるわけで はないが,肥大所見はほとんどの例で認められる. 臨床的に鑑別が必要な疾患としては,アミロイドー シス,Fabry 病,グリコーゲン蓄積症などがあるが, いずれも心筋生検で鑑別が可能である.高血圧性心 疾患もしばしば鑑別疾患となるが,右室生検を行う と同疾患では病変が軽微であることが多く,明らか な心筋肥大や錯綜配列を示す肥大型心筋症とは鑑別 可能である.拡張相肥大型心筋症では,やや広汎な 線維化と心筋細胞変性がみられ,錯綜配列像を認め ることもある. 2)拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy) 拡張型心筋症は,心筋傷害の結果,心室が拡張し, 代償性肥大が充分でないために収縮機能が障害され. 2.心内膜心筋生検法. 心不全を呈する心筋症である.しばしば重篤な不整. 1962 年に本学の榊原,今野両博士により考案され. 脈を呈する.病因は単一ではなく多岐にわたると考. 2). た方法で ,末梢の静脈(多くは大腿静脈)や動脈か. えられ,とくにウイルス感染との関連が重要視され. ら長い生検鉗子を挿入して,先端についた鉗子によ. ているが,その他,免疫異常,遺伝要因などが想定. り心筋組織を生検する方法であり,開胸して心筋組. され,種々の要因が複合的に関与して心筋傷害を来. 織をとる方法などに比べて侵襲が少なく,最もしば. すと考えられている6).組織学的には,心筋細胞の肥. しば行われる方法である.生検標本は HE 染色など. 大,変性,線維化が種々の程度でみられ,心内膜肥. 通常の染色のほか,免疫染色や,電子顕微鏡による. 厚を示す場合もある(図 2).鑑別疾患のうち,心筋. 観察が行われる.. 炎では間質にリンパ球などの炎症細胞浸潤がみられ. 3.心筋症各論. 鑑別可能であるが,リンパ球浸潤が少ないと,とき. 1)肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy). に鑑別困難である.サルコイドーシスは類上皮肉芽. 肥大型心筋症は心室の異常肥大を呈し,しばしば. 腫がみられれば鑑別が容易であるが,生検組織に肉. 心 室 中 隔 の 非 対 称 性 肥 厚(asymmetric septal hy-. 芽腫を含む病変が採れなかった場合はしばしば鑑別. pertrophy:ASH)を示す心筋症で,約半数に家族性. 困難である.蓄積疾患では心筋細胞内や間質に沈着. がみられ,原因として心筋ミオシン重鎖,トロポニ. 物が認められるので鑑別は容易である.ミトコンド. ン T,トロポニン I,トロポミオシン,ミオシン蛋. リア心筋症は電顕によりミトコンドリアの異常増. 白結合 C,ミオシンアルカリ軽鎖,ミオシン調節軽. 生,巨大ミトコンドリアの出現,ミトコンドリア内. 鎖,アクチンなどの遺伝子異常が指摘され,これら. の異常クリスタなどをみるので鑑別可能である.薬. 収縮蛋白遺伝子の異常によるサルコメア病と考えら. 剤心筋症7),神経筋疾患8),左室心筋緻密化障害9)など. れている3).形態学的には流出路の狭窄の有無により. は非特異的病変を呈するので心筋生検による鑑別は. 閉塞性と非閉塞性に分けられるが,病理学的には同. しばしば困難である.. 一と考えられている.亜型として,心尖部肥大型や. 3)拘束型心筋症(restrictive cardiomyopathy). 対称性肥厚を示す群があり,心尖部肥大型は高血圧. 拘束型心筋症は,心室の拡張障害と著明な心房の. ―407―.
(3) 6. 拡大を呈する心筋症で,心駆出率は正常であるが拡. 本症は右室心筋の線維脂肪化が進行性に生じ,頻. 張不全のためしばしば高度の心不全を呈することが. 発する持続性の心室性頻拍を呈し,ときに突然死す. 多く,予後は一般に不良である.組織学的には心内. ることがある.家族性を示す症例も報告されている.. 膜肥厚,心筋間質の広汎な線維化がみられる (図 3).. 右室心筋の線維・脂肪化がみられる(図 4).心筋生. アミロイドーシスとの鑑別はコンゴー赤染色や免疫. 検は右室より行う必要がある.本症の病変は心外膜. 染色を行えば容易である.. 側から始まり,徐々に心内膜側に向かって進行して いくので10),病初期には心内膜心筋生検像は線維化. 4)不整脈源性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy). だけの場合もある.. 図1. 図2. 図3. 図4. 図5. 図6. 図7. 図8. 図9. 図 10. 図 11. 図 12. ―408―.
(4) 7. 5)ファブリー病(Fabry disease). や腎機能障害を欠き,心臓の障害,とくに心肥大を. 本疾患はライソゾーム酵素の α-galactosidase 活. 主な症状とし,臨床的には肥大型心筋症や高血圧性. 性の欠損・低下によって生じる伴性劣性遺伝の糖脂. 心筋症との鑑別がしばしば困難であるという.頻度. 質代謝異常症であり,遺伝子座は Xq22 である.典型. は,左室肥大を呈する患者の 3% 程度にみられ,40. 例では酵素活性の完全欠損があり,糖脂質の蓄積の. 歳以後の中高年発症が多い.心臓はびまん性肥厚を. ため幼小児より皮膚症状などがみられ,次第に腎,. 示すことが多く,また収縮不全は当初はみられない.. 心などの障害が出てくるが,不全例では酵素活性の. 心筋生検を行うと,ホルマリン固定標本では心筋細. 程度が様々であり,病態も種々であることが知られ. 胞内に蓄積したグリコスフィンゴリピッドが固定・. て い る.最 近,心 以 外 の 障 害 が 軽 微 な 非 典 型 的. 脱水で流出するため光顕組織標本において空胞変性. Fabry 病(心 Fabry 病)が存在すること,その頻度. 像として観察される(図 5).しかし注意深く観察し. が必ずしも稀ではないことが中尾らにより報告され. ないと非特異的空胞変性として見逃されてしまう可. 11). た .この心 Fabry 病は被角血管腫などの皮膚症状. 能性もある.電顕を行うと,心筋ライソゾーム内に 層状,年輪状の特有な蓄積物として証明できるので 診断が容易となる(図 6).確定診断には,心筋生検. 図 1 肥大型心筋症 心筋細胞の肥大と錯綜配列(bi z a r r emyo c a r di a lhype r t r o phywi t hdi s o r ga ni z a t i o n)を み る(右 室 生 検:HE 染色) . 図 2 拡張型心筋症 心筋細胞の変性,心筋配列の乱れ,および線維化をみる (右室生検:HE染色). 図 3 拘束型心筋症 心内膜の軽度肥厚,心筋間質の線維化,心筋細胞肥大を みる(右室生検:HE染色). 図 4 不整脈源性右室心筋症 心筋の線維・脂肪化(f i br o f a t t yr e pl a c e me nt )がみら れる(右室生検:HE染色). 図 5 Fa br y病 心筋細胞の空胞変性が広汎にみられ,蓄積物質は固定・ 脱水過程でほとんど流出してしまうが,空胞内にわず かに顆粒状物質を認めるところもある(右室生検:HE 染色) . br y病 図 6 Fa 心筋細胞内に年輪状の蓄積物を認める(右室生検:電 顕写真,ba r =1μm). 図 7 アミロイドーシス 心筋間質に均等物質(アミロイド)の沈着がみられる (右室生検:HE染色). 図 8 アミロイドーシス アミロイドが橙赤色に染色されている(右室生検:コ ンゴー赤染色) . 図 9 心臓粘液腫 軟らかいゼラチン様の腫瘍である.左側下部に茎部断 端(白色調)がみられる(肉眼像). 図 10 心臓粘液腫 小型紡錘形の腫瘍細胞が管状,輪状に配列し,周囲に粘 液物質をみる(HE染色). 図 11 移植心筋生検(急性拒絶反応1 A) 血管周囲および間質にリンパ球浸潤をみる.心筋細胞 傷害は認められない(右室生検:HE染色). 図 12 移植心筋生検(Qui l t ye f f e c t ) 心内膜に密なリンパ球の集蔟がみられる.集蔟巣の中 に小血管が認められる(右室生検:HE染色).. に加えて血中の α-galactosidase の活性低下を証明 することであるが,適切な検体処理が行われないと 活性低下が証明されないことがあり,さらに,女性 の患者では酵素活性が正常値を示すことがあり注意 が必要となる.この場合,遺伝子診断が役立つが, 中尾らは,典型的 Fabry 病と心 Fabry 病では点変 異の部位が異なることがあると述べている11). 6)アミロイドーシス(amyloidosis) 本症は,β-pleated sheet 構造により特徴づけられ る微細線維性蛋白質が全身の諸臓器に沈着する疾患 であるが,心臓にもしばしば沈着を示す.心室流入 障害により拘束型病態を呈することがよく知られて いるが,病期によっては心肥大が前面に出て肥大型 心筋症と類似の病態を示すことがある.多くはびま ん性肥大を示すが,一部の症例では肥大型心筋症と 同様に ASH を呈するものがある.Eriksson ら12)はア ミロイドーシスの 38% に ASH がみられたと述べ ているが,その頻度は報告者により 7∼55% と幅が ある.剖検心では,心筋割面で特有の光沢がみられ, 組織学的に均等物質の間質・血管壁沈着が認められ るので診断は容易であるが,生前診断で臨床情報が 乏しい場合,心筋生検組織はよく観察しないと病変 を見逃すことがある.アミロイドの沈着は,血管壁 への沈着が主体である場合や,間質に著明に沈着を みる場合などがある(図 7) .特殊染色としてコン ゴー赤染色やダイロン染色などがありアミロイドが 染色される(図 8).アミロイドーシスの subtype としては,AL 型アミロイドーシスのほか,AA 型や 老人の場合 ATTR 型アミロイドーシスの場合があ り,沈着部位が若干異なるといわれているが例外も 多いようである. ―409―.
(5) 8. 7)心臓粘液腫(cardiac myxoma). 表 2 St a nda r di z e dc a r di a cbi o ps ygr a di ng. 心臓に発生する良性腫瘍であり心臓原発腫瘍の約. Gr a de 0 : nor e j e c t i o n 1 : A= Fo c a l (pe r i va s c ul a ro ri nt e r s t i t i a l )i nf i l t r a t ewi t h o utne c r o s i s B= Di f f us ebuts pa r s ei nf i l t r a t ewi t ho utne c r o s i s 2 : Onef o c uso nl ywi t ha ggr e s s i vei nf i l t r a t i o na nd/ o rf o c a lmyo c yt eda ma ge 3 : A = Mul t i f o c a la ggr e s s i vei nf i l t r a t e sa nd/ o rmyo c yt e da ma ge B= Di f f us ei nf l a mma t o r ypr o c e s swi t hne c r o s i s 4 : Di f f us ea ggr e s s i ve po l ymo r pho us i nf i l t r a t e ±e de ma , ±he mo r r ha ge , ±va s c ul i t i s , wi t hne c r o s i s. 1! 4 を占める.小型の紡錘形ないし多角形の腫瘍細 胞の増殖と豊富な粘液基質が特徴である.男女比は 3:1 で好発年齢は 30∼60 歳代である.心臓内腔に 有茎性に発育し,3!4 が左心房,1! 5 が右心房,残り が左右の心室から発生する.ときに複数の心腔内に 多発することがある.発育は緩徐で内腔に向かって 増殖し, 心房や心室壁に浸潤増殖をすることはない. 本腫瘍は様々な生物学的態度をとることが知られて いる.一つは塞栓であり,腫瘍の一部が末梢に流れ て塞栓症を起こすことがある. 肺や脳に塞栓が生じ, 臨床的に塞栓症の症状があって精査の結果はじめて 心臓に粘液腫がみつかることもある.また,心房内 で有茎性に増殖して次第に大きくなり,房室弁に陥 入して閉塞することがある.この場合,房室口を閉 塞して流入障害を呈したり,突然疳頓して急死する こともある. もう一つは機能性障害を呈するもので, 粘液腫からサイトカイン[IL-6]が分泌されてリン パ球の B 細胞が刺激され,膠原病,とくに全身性エ リテマトーデスに類似した病態を呈することがあ る13).この場合原因となっている粘液種を摘除すれ ば症状は消失する.粘液腫の多くが有茎性で,腫瘍 の茎と心内膜の連続性がみられる.大きさは 1∼5 cm 程のものが多いが,ときに 15cm 程にもおよぶも のもある.卵円窩近縁の心房中隔から発生する場合 が多く,形状は球形ないし楕円形である.表面は平 滑で軟らかく灰白色調で,血栓の付着をみることが ある(図 9) .割面は灰色ないし黄色調を示すゼラチ ン様で,粘液および出血巣をみる.腫瘍細胞は小型 紡錘形,星形ないし多角形で,索状,管状,輪状, 合胞体細胞様など様々な形態を示し,細胞周囲には 酸性ムコ多糖質が豊富な粘液基質をみる (図 10).周 囲は線維化もみられ,ときに石灰化を示すこともあ る.リンパ球やマクロファージの浸潤を伴ないマク ロファージにヘモジデリン貪食像をみることがあ る.髄外造血を 10% ほどにみる.腫瘍表面は内皮で おおわれ,しばしば血栓付着をみる.. 的診断基準は 1990 年に米国の International Society for Heart Transplantation よりstandardized cardiac biopsy grading が提唱され14),現在は多くの施設で この基準により診断を行っている(表 2) .Grade 0 は生検標本に急性拒絶反応や心筋細胞傷害を示す所 見がない.Grade1A は局所的に血管周囲あるいは間 質に大型リンパ球が浸潤しているが心筋傷害はな く,一つあるいは複数の生検標本で認められる(図 11).Grade 1B は血管周囲や間質,あるいはその両方 に大型リンパ球がよりびまん性に浸潤しているが心 筋傷害はなく,小血管周囲から放射状に浸潤し,周 囲の心筋層で金網状を呈することもあり,局所的に びまん性の形態を示すが生検標本全体にびまん性と いうことではない.この所見が一つあるいは複数の 標本に認められる.Grade 2 は明瞭に周囲と境界さ れた炎症細胞浸潤巣がただ 1 ヵ所で見出され,炎症 細胞は大型の活性化されたリンパ球からなり,好酸 球を混えることもある.心筋構築の改変を伴った心 筋細胞傷害が病変内に認められなければならない. Grade 3A は大型の活性化されたリンパ球から成る 炎症細胞浸潤巣が多発性に形成され,好酸球を混じ えることもあり,これらの多発性の炎症細胞巣の 2 ヵ所以上が心筋細胞傷害を伴っている.ときに心内 膜への疎な炎症細胞浸潤がみられる.この浸潤巣は 生検標本の一つあるいは複数の標本で認められる. Grade 3B は Grade 3A でみられた炎症細胞巣がよ. 4.心臓移植後の評価 心臓移植後の急性拒絶反応の診断には種々の方法 があるが,現在のところ最も信頼できる方法は心筋 生検による組織診断であり,そのため移植後には定 期的に心筋生検が施行される.通常,移植後 7 日目 から週 1 回,1 ヵ月後から 2 週に 1 回,以後漸減され 5 年後以後は 1 年に 1 回生検が施行される.組織学. り融合性ないしびまん性となり,より多くの生検標 本で認められる.大型リンパ球と好酸球,ときに好 中球を混える炎症細胞浸潤とともに心筋細胞傷害が ある.出血は通常はない.Grade 4 は活性化したリン パ球,好酸球,好中球を含む多彩な炎症細胞浸潤が びまん性に認められ,心筋細胞傷害と心筋細胞壊死. ―410―.
(6) 9. は常に存在する.浮腫,出血,血管炎も通常認めら れる.後述する“Quilty effect”とは異なる心内膜へ の炎症細胞浸潤が通常みられる.相当期間免疫抑制 剤で強力に治療されている場合には細胞浸潤よりも 浮腫と出血が顕著となることもある.拒絶反応と鑑 別を要する所見として,以前の生検部位が採取され ると線維化やリンパ球浸潤を伴うことがあり,拒絶 反応と紛らわしいことがある.また,心内膜に局所 的なリンパ球の密な集蔟をみることがあり,Quilty effect とよばれるが拒絶反応とは直接関連がないと 15) され,通常自然消退する(図 12) .浸潤細胞は主と. して T 細胞から成っており,集蔟巣の中に小血管が 認められる.そのほか,移植後 1 週間以内の生検標 本では移植時の虚血傷害による病変が観察されるこ とがある.また,シクロスポリンなどの免疫抑制剤 により間質の線維化をみることがあり,とくに心筋 細胞間に微細な線維化をみる.免疫抑制剤を使用す るので種々の感染症を併発することがあり,その組 織反応として炎症細胞浸潤がみられることがある が,好中球や好酸球が目立つことが多い. 文. 献. 1)Richardson P, McKenna W, Bristow M et al: Report of the 1995 World Health Organization!International Society and Federation of Cardiology task force on the definition and classification of cardiomyopathies. Circulation 93: 841―842, 1996 2)Sakakibara S, Konno S : Endomyocardial biopsy. Jpn Heart J 3: 537―542, 1962 3)木村彰方:心筋症の遺伝子異常.病理と臨 18: 541―547, 2000. ―411―. 4)稀代雅彦,井埜利博:肥大型心筋症.小児内科 28:1791―1799, 1996 5)関口守衛, 布田伸一, 森本紳一郎:肥大型心筋症. 日臨 49:2―4, 1991 6)中田真詩,古賀義則:特発性心筋症と特定疾患.日 臨 58:7―11, 2000 7)Billingham ME, Bristow M: Evaluation of anthracycline cardiotoxity : predictive ability and functional correlation of endomyocardial biopsy. Cancer Treat Symp 3: 71―76, 1984 8)西川俊郎:肥大型・拡張型心筋症の病態を示し鑑 別が必要な特定心筋症.病理と臨 18:533―540, 2000 9)西川俊郎:孤立性心筋緻密化障害.病理と臨 19: 1360―1361, 2001 10)西川俊郎:不整脈源性右室心筋症の病理. 「新 心 臓病診療プラクティス 8―画像で心臓を診る」 (栗林 幸夫編) ,pp180―181, 文光堂,東京(2006) 11)中尾正一郎,田中弘允:心 Fabry 病.日臨 (別冊 循環器症候群 III) :119―124,1996 12)Eriksson P, Backman C, Eriksson A et al: Differentiation of cardiac amyloidosis and hypertrophic cardiomyopathy. A comparison of familial amyloidosis with polyneuropathy and hypertrophic cardiomyopathy by electrocardiography and echocardiography. Acta Med Scand 221: 39―46, 1987 13)志水正敏,田中敏郎,重本昌三ほか:膠原病様症を 呈した心房内粘液腫の 2 症例.代謝 22:73―79, 1985 14)Billingham ME, Cary NRB, Hammond ME et al: A working formulation for the standardization of nomenclature in the diagnosis of heart and lung rejection: Heart rejection study group. J Heart Transplant 9: 587―593, 1990 15)Billingham ME: Diagnosis of cardiac rejection by endomyocardial biopsy. J Heart Transplant 1: 25― 30, 1982.
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